(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
獣医療用の薬剤であることを示す獣医薬情報と、薬剤の名称を示す各第1名称情報と、前記第1名称情報の薬剤の用法、効能および薬理情報を含む第1詳細情報と、が関連付けられた第1情報群、ならびにヒト医療用の薬剤であることを示すヒト医薬情報と、薬剤の名称を示す各第2名称情報と、前記第2名称情報の薬剤を獣医学用途で使用した場合の用法、効能および薬理情報を含む第2詳細情報と、が関連付けられた第2情報群を記憶する薬剤情報記憶手段と、
前記第1名称情報および前記第2名称情報を一覧表示する一覧表示手段と、
前記一覧表示手段によって一覧表示された前記第1名称情報および前記第2名称情報から第1名称情報または第2名称情報を選択する選択手段と、
前記選択手段によって第1名称情報が選択されると、選択された第1名称情報に関連付けられた第1詳細情報を表示し、前記選択手段によって第2名称情報が選択されると、選択された第2名称情報に関連付けられた第2詳細情報を表示する詳細情報表示手段と、を含むことを特徴とする獣医療支援装置。
薬剤情報記憶手段が、獣医療用の薬剤であることを示す獣医薬情報と、薬剤の名称を示す各第1名称情報と、前記第1名称情報の薬剤の用法、効能および薬理情報を含む第1詳細情報と、が関連付けられた第1情報群、ならびにヒト医療用の薬剤であることを示すヒト医薬情報と、薬剤の名称を示す各第2名称情報と、前記第2名称情報の薬剤を獣医学用途で使用した場合の用法、効能および薬理情報を含む第2詳細情報と、が関連付けられた第2情報群を記憶する薬剤情報記憶ステップと、
一覧表示手段が、前記第1名称情報および前記第2名称情報を一覧表示する一覧表示ステップと、
選択手段が、前記一覧表示手段によって一覧表示された前記第1名称情報および前記第2名称情報から第1名称情報または第2名称情報を選択する選択ステップと、
前記選択手段によって第1名称情報が選択されると、詳細情報表示手段が、選択された第1名称情報に関連付けられた第1詳細情報を表示し、前記選択手段によって第2名称情報が選択されると、詳細情報表示手段が、選択された第2名称情報に関連付けられた第2詳細情報を表示する詳細情報表示ステップと、を含むことを特徴とする獣医療支援方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
獣医療はヒト医療と比べて未確立な部分が多く、特許文献2記載のペット歯科診療支援システムは、このような獣医療の現状を鑑み、獣医師が歯科医師から動物の歯科治療についての見解や助言を容易かつリアルタイムに得られることを可能としている。
【0008】
しかしながら、特許文献2記載のシステムでは、獣医師が見解や助言をリアルタイムで得るには、歯科医師が同時刻にシステムを使用していることが必要であり、また、歯科医師の擁する知識が獣医療に適切であるかどうかも不明である。
【0009】
ところで、獣医療で用いられる治療薬は、獣医療専用の薬剤もあるが、ヒト医療用として開発された薬剤を獣医学用途で使用する場合が多い。ヒト医療用の薬剤を動物に対して使用した臨床事例の蓄積は少なく、事例の増加に伴って用法、効能、薬理情報などは変化するため、より適切な治療を行うにあたっては、治療薬に関する最新情報を入手することが望ましいが、獣医師にとっては困難である。
【0010】
本発明の目的は、獣医師が、治療薬の情報を容易に入手し、より適切な治療を行うことができるよう支援を行う獣医療支援装置、獣医療支援方法および獣医療支援プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、獣医療用の薬剤であることを示す獣医薬情報と、薬剤の名称を示す各第1名称情報と、前記第1名称情報の薬剤の用法、効能および薬理情報を含む第1詳細情報と、が関連付けられた第1情報群、ならびにヒト医療用の薬剤であることを示すヒト医薬情報と、薬剤の名称を示す各第2名称情報と、前記第2名称情報の薬剤を獣医学用途で使用した場合の用法、効能および薬理情報を含む第2詳細情報と、が関連付けられた第2情報群を記憶する薬剤情報記憶手段と、
前記第1名称情報および前記第2名称情報を一覧表示する一覧表示手段と、
前記一覧表示手段によって一覧表示された前記第1名称情報および前記第2名称情報から第1名称情報または第2名称情報を選択する選択手段と、
前記選択手段によって第1名称情報が選択されると、選択された第1名称情報に関連付けられた第1詳細情報を表示し、前記選択手段によって第2名称情報が選択されると、選択された第2名称情報に関連付けられた第2詳細情報を表示する詳細情報表示手段と、を含むことを特徴とする獣医療支援装置である。
【0012】
また本発明は、現在の日付を出力する計時手段をさらに含み、
前記第2情報群は、前記第2名称情報と関連付けられた、年月日で示される有効期限情報を含み、
前記詳細情報表示手段は、前記選択手段によって第2名称情報が選択されると、選択された第2名称情報に関連付けられた有効期限情報と前記計時手段によって出力される現在の日付とを比較し、現在の日付が有効期限情報の年月日を過ぎていれば、前記第2詳細情報を表示しないことを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記第2情報群は、前記第2名称情報と関連付けられた、前記第2名称情報の薬剤をヒト医学用途で使用した場合の用法、効能および薬理情報を含む追加詳細情報を含み、
前記詳細情報表示手段は、前記選択手段によって第2名称情報が選択されると、選択された第2名称情報に関連付けられた前記追加詳細情報をさらに表示することを特徴とする。
【0014】
また本発明は、前記第1名称情報の薬剤に関連する第1関連情報または前記第2名称情報の薬剤に関連する第2関連情報を入力可能な関連情報入力手段をさらに含み、
前記薬剤情報記憶手段は、前記関連情報入力手段によって入力された第1関連情報を前記第1名称情報に関連付けて記憶し、前記関連情報入力手段によって入力された第2関連情報を前記第2名称情報に関連付けて記憶し、
前記詳細情報表示手段は、前記選択手段によって第1名称情報が選択されると、選択された第1名称情報に関連付けられた第1関連情報をさらに表示し、前記選択手段によって第2名称情報が選択されると、選択された第2名称情報に関連付けられた第2関連情報をさらに表示することを特徴とする。
【0015】
また本発明は、薬剤情報記憶手段が、獣医療用の薬剤であることを示す獣医薬情報と、薬剤の名称を示す各第1名称情報と、前記第1名称情報の薬剤の用法、効能および薬理情報を含む第1詳細情報と、が関連付けられた第1情報群、ならびにヒト医療用の薬剤であることを示すヒト医薬情報と、薬剤の名称を示す各第2名称情報と、前記第2名称情報の薬剤を獣医学用途で使用した場合の用法、効能および薬理情報を含む第2詳細情報と、が関連付けられた第2情報群を記憶する薬剤情報記憶ステップと、
一覧表示手段が、前記第1名称情報および前記第2名称情報を一覧表示する一覧表示ステップと、
選択手段が、前記一覧表示手段によって一覧表示された前記第1名称情報および前記第2名称情報から第1名称情報または第2名称情報を選択する選択ステップと、
前記選択手段によって第1名称情報が選択されると、詳細情報表示手段が、選択された第1名称情報に関連付けられた第1詳細情報を表示し、前記選択手段によって第2名称情報が選択されると、詳細情報表示手段が、選択された第2名称情報に関連付けられた第2詳細情報を表示する詳細情報表示ステップと、を含むことを特徴とする獣医療支援方法である。
【0016】
また本発明は、コンピュータを、
獣医療用の薬剤であることを示す獣医薬情報と、薬剤の名称を示す各第1名称情報と、前記第1名称情報の薬剤の用法、効能および薬理情報を含む第1詳細情報と、が関連付けられた第1情報群、ならびにヒト医療用の薬剤であることを示すヒト医薬情報と、薬剤の名称を示す各第2名称情報と、前記第2名称情報の薬剤を獣医学用途で使用した場合の用法、効能および薬理情報を含む第2詳細情報と、が関連付けられた第2情報群を記憶する薬剤情報記憶手段、
前記第1名称情報および前記第2名称情報を一覧表示する一覧表示手段、
前記一覧表示手段によって一覧表示された前記第1名称情報および前記第2名称情報から第1名称情報または第2名称情報を選択する選択手段、および
前記選択手段によって第1名称情報が選択されると、選択された第1名称情報に関連付けられた第1詳細情報とを表示し、前記選択手段によって第2名称情報が選択されると、選択された第2名称情報に関連付けられた第2詳細情報とを表示する詳細情報表示手段として機能させるための獣医療支援プログラムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、薬剤情報記憶手段には、獣医療用の薬剤に関する第1情報群と、ヒト医療用の薬剤に関する第2詳細情報とが、記憶される。第1情報群は、獣医療用の薬剤であることを示す獣医薬情報と、薬剤の名称を示す各第1名称情報と、前記第1名称情報の薬剤の用法、効能および薬理情報を含む第1詳細情報と、が関連付けられており、第2情報群は、ヒト医療用の薬剤であることを示すヒト医薬情報と、薬剤の名称を示す各第2名称情報と、前記第2名称情報の薬剤を獣医学用途で使用した場合の用法、効能および薬理情報を含む第2詳細情報と、が関連付けられている。
【0018】
一覧表示手段は、前記第1名称情報および前記第2名称情報を一覧表示し、選択手段は、前記一覧表示手段によって一覧表示された前記第1名称情報および前記第2名称情報から第1名称情報または第2名称情報を選択する。
【0019】
詳細情報表示手段は、前記選択手段によって第1名称情報が選択されると、選択された第1名称情報に関連付けられた第1詳細情報を表示し、前記選択手段によって第2名称情報が選択されると、選択された第2名称情報に関連付けられた第2詳細情報を表示する。
【0020】
これにより、ヒト医療用の薬剤について、その薬剤を獣医学用途で使用した場合の用法、効能および薬理情報が、薬剤名称を選択するだけで表示されるので、獣医師が、治療薬の情報を容易に入手し、より適切な治療を行うことができるよう支援を行うことができる。
【0021】
また本発明によれば、前記第2情報群には、前記第2名称情報と関連付けられた、年月日で示される有効期限情報を含まれており、前記詳細情報表示手段は、前記選択手段によって第2名称情報が選択されると、選択された第2名称情報に関連付けられた有効期限情報と現在の日付とを比較し、現在の日付が有効期限情報の年月日を過ぎていれば、前記第2詳細情報を表示しないように構成される。
【0022】
これにより、有効期限が経過したのちに、古い知見に基づく情報によって獣医師が誤った診療を行ってしまうことを防止することができる。
【0023】
また本発明によれば、前記第2情報群は、ヒト医療用薬剤の本来の情報、たとえば市販の薬剤に添付される説明書の記載情報などを参考に表示することができる。
【0024】
また本発明によれば、関連情報入力手段によって、前記第1名称情報の薬剤に関連する第1関連情報または前記第2名称情報の薬剤に関連する第2関連情報を入力することができる。
【0025】
関連情報は、獣医師が自ら見出した知見などに基づいて、診療に参考する情報として入力され、診療時にこれを表示することができる。
【0026】
また本発明によれば、薬剤情報記憶ステップでは、薬剤情報記憶手段に、獣医療用の薬剤に関する第1情報群と、ヒト医療用の薬剤に関する第2詳細情報とが、記憶される。第1情報群は、獣医療用の薬剤であることを示す獣医薬情報と、薬剤の名称を示す各第1名称情報と、前記第1名称情報の薬剤の用法、効能および薬理情報を含む第1詳細情報と、が関連付けられており、第2情報群は、ヒト医療用の薬剤であることを示すヒト医薬情報と、薬剤の名称を示す各第2名称情報と、前記第2名称情報の薬剤を獣医学用途で使用した場合の用法、効能および薬理情報を含む第2詳細情報と、が関連付けられている。
【0027】
一覧表示ステップでは、一覧表示手段が、前記第1名称情報および前記第2名称情報を一覧表示し、選択ステップでは、選択手段が、前記一覧表示手段によって一覧表示された前記第1名称情報および前記第2名称情報から第1名称情報または第2名称情報を選択する。
【0028】
詳細情報表示ステップでは、前記選択手段によって第1名称情報が選択されると、詳細情報表示手段が、選択された第1名称情報に関連付けられた第1詳細情報を表示し、前記選択手段によって第2名称情報が選択されると、詳細情報表示手段が、選択された第2名称情報に関連付けられた第2詳細情報を表示する。
【0029】
これにより、ヒト医療用の薬剤について、その薬剤を獣医学用途で使用した場合の用法、効能および薬理情報が、薬剤名称を選択するだけで表示されるので、獣医師が、治療薬の情報を容易に入手し、より適切な治療を行うことができるよう支援を行うことができる。
【0030】
また本発明によれば、コンピュータを、上記の獣医療支援装置として機能させるための獣医療支援プログラムとして提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る獣医療支援装置10を含む情報通信システム1の構成を示す概略図である。情報通信システム1は、通信ネットワーク2を介して互いに通信可能な獣医療支援装置10とサーバ装置20とを含んで構成される。
【0033】
獣医療支援装置10は、通信ネットワーク2を介してサーバ装置20と通信可能に構成されるとともに、サーバ装置20から薬剤情報をダウンロードすることにより、自装置の記憶部に薬剤情報を記憶し、薬剤情報をディスプレイに表示することができる。
【0034】
獣医療支援装置10は、獣医師が診療を行う際に使用し、処方する薬剤や治療行為(簡単な処置および手術などを含む)において投与する薬剤についての情報を参照するために用いる装置である。獣医師が本発明の獣医療支援装置10による支援を受けて診療の対象とする動物(ヒトを除く。以下「診療対象動物」という場合がある)は、愛玩動物(伴侶動物、ペット)、家畜動物および野生動物を含み、特定種類の動物には限定されない。
【0035】
また、本実施形態の獣医療支援装置10は、電子カルテの作成、閲覧などの機能も有しており、薬剤情報の参照機能は、電子カルテの有する機能の一部として含まれている。本発明は薬剤情報の参照機能に特徴を有するものであり、電子カルテの機能は従来公知の機能であるので、電子カルテの機能については詳細な説明を省略する。
【0036】
なお、本発明の獣医療支援装置10は、電子カルテの機能を有している必要はなく、薬剤情報の参照機能だけに特化した薬剤データベースとしての機能のみを有していてもよい。
【0037】
図2は、獣医療支援装置10の構成の一例を示すブロック図である。獣医療支援装置10は、表示部11と、操作部12と、記憶部13と、第1通信部14と、第2通信部15と、制御部16とを含んで構成され、たとえば汎用のパーソナルコンピュータ(PC)に獣医療支援プログラムをインストールして実現される。
【0038】
表示部11は、画像を表示可能に構成され、たとえば液晶パネルおよびバックライトユニットを備える液晶ディスプレイによって実現される。表示部11には、電話機能や電子メール機能を使用する際の操作画面やウェブブラウザによるウェブサイト閲覧画面などの各種画面が表示される。
【0039】
操作部12は、制御部16に対し指令やデータを入力するための操作を受け付ける部分であり、ユーザによる操作に応答して、指令信号や入力データを制御部16へ出力する。操作部12は、キーボード、マウス、タッチパネルなどの各種入力デバイスによって実現される。
【0040】
記憶部13は、フラッシュメモリまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶デバイスによって実現され、各種プログラムやデータを記憶する薬剤情報記憶手段である。記憶部13は、システム情報記憶領域13a、電子カルテ情報記憶領域13bおよび薬剤情報記憶領域13cを少なくとも含み、ウェブブラウザなどその他のソフトウェアや静止画および動画を含む画像データ、音声データなどを記憶するための記憶領域も有している。
【0041】
システム情報記憶領域13aには、OS(オペレーティングシステム)の設定情報など獣医療支援装置10を動作させるための基幹情報が記憶される。電子カルテ情報記憶領域13bには、診療対象動物の名前、飼い主の氏名や連絡先、診療対象動物の既往歴、過去の診療履歴など電子カルテに入力された各種の情報が記憶される。
【0042】
薬剤情報記憶領域13cには、薬剤の名称、用法・効能などの薬剤情報が記憶される。薬剤情報の詳細については後述する。
【0043】
第1通信部14は、たとえば、スマートフォンなどの携帯端末装置と比較的容量の小さいデータを通信したり、テレビジョン受像機などの外部機器を遠隔操作するための各種のコマンド信号を、無線通信によって送信する機能を有する。
【0044】
第1通信部14は、制御部16によって生成される各種のコマンド信号を、赤外線通信によって外部へ送信するように構成されてもよく、IEEE802.11、Bluetooth(登録商標)およびZigbee(登録商標)などの無線通信によって外部へ送信するように構成されてもよい。
【0045】
第2通信部15は、公衆電話回線網に接続し、インターネットを含む通信ネットワーク2を介して、サーバ装置20との間でデータ通信を実現する。第2通信部15は、たとえばイーサネット(登録商標)インターフェイスによって実現され、有線通信によるデータ通信を行う。
【0046】
制御部16は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを備え、ROMや記憶部13に記憶される各種プログラムに従って獣医療支援装置10全体の動作制御を行う。
【0047】
獣医療支援装置10は、音声を出力するスピーカや音声が入力されるマイクなど上記各部以外の構成を備えていてもよい。
【0048】
図3は、サーバ装置20の構成の一例を示すブロック図である。サーバ装置20は、通信部21と、操作部22と、制御部23と、記憶部24とを含んで構成される。
【0049】
通信部21は、公衆電話回線網に接続し、インターネットを含む通信ネットワーク2を介して、獣医療支援装置10との間でデータ通信を実現する。通信部21は、獣医療支援装置10の第2通信部と同様に、たとえばイーサネット(登録商標)インターフェイスによって実現され、有線通信によるデータ通信を行う。
【0050】
操作部22は、制御部23に対し指令やデータを入力するための操作を受け付ける部分であり、たとえばキーボード、マウス、タッチパネルなどの各種入力デバイスによって実現される。
【0051】
記憶部24は、フラッシュメモリおよびHDDなどによって実現され、各種プログラムやデータが記憶される。記憶部24は、システム情報記憶領域24aおよび薬剤情報記憶領域24bを少なくとも含み、ウェブブラウザなどその他のソフトウェアや静止画および動画を含む画像データ、音声データなどを記憶するための記憶領域も有している。
【0052】
システム情報記憶領域13aには、OS(オペレーティングシステム)の設定情報などサーバシステムを動作させるための基幹情報が記憶される。薬剤情報記憶領域24bには、獣医療支援装置10に提供するための薬剤情報が記憶される。なお、記憶部24は、獣医療支援装置10に記憶される電子カルテ情報のバックアップのために、獣医療支援装置10からアップロードされる電子カルテ情報を記憶してもよい。
【0053】
以下では、獣医療支援装置10の記憶部13の薬剤情報記憶領域13cに記憶された薬剤情報について詳細に説明する。なお、獣医療支援装置10に記憶される薬剤情報は、薬剤情報提供サービスの役務を担うサービス提供業者が、予め準備する情報であり、サービス提供業者は、たとえば、JBPV(日本臨床獣医学フォーラム)などの獣医学関連の学会や、大学などの獣医学関連の研究者、薬剤メーカーなどによってもたらされる知見に基づき、作成される情報である。サーバ装置20は、サービス提供業者によって運営される。
【0054】
図4は、薬剤情報130のデータ構造を示す概略図である。薬剤情報130は、記憶部13の薬剤情報記憶領域13cに記憶される。なお、
図4に示すデータ構造は、本発明の説明に必要な項目のみを示しており、薬剤情報130は、図に示す以外の項目を含んでいてもよい。
【0055】
薬剤情報130は、ID番号131、薬剤名称132、薬効分類133、人動区分134、内外区分135、効果・効能(犬)136、用法・用量(犬)137、参考事項(犬)138、効果・効能(猫)139、用法・用量(猫)140、参考事項(猫)141、保存方法142、薬理情報143および説明書PDF144の各項目を含む。
【0056】
ID番号131は、各薬剤を識別可能なように、各薬剤に対して割り当てられた番号である。薬剤名称132は、各薬剤の名称を示し、通常は商品名が入力される。
【0057】
薬効分類133は、各薬剤の薬効を示し、「麻酔薬」「問題行動治療薬」「消化器官用剤」「抗腫瘍薬」「眼科用剤」「ビタミン・栄養補助剤」など予め定める複数の分類の中から選択して入力される。
【0058】
人動区分134は、各薬剤が、ヒト医療用の医薬であるか、獣医療用の医薬であるかの区分を示す。内外区分135は、各薬剤が内服であるか、外用であるかの区分を示す。
【0059】
効果・効能(犬)136は、各薬剤を犬に使用したときの効果および効能を示す。用法・用量(犬)137は、各薬剤を犬に使用するときの用法および用量を示す。参考事項(犬)138は、各薬剤を犬に使用するときの参考情報を示す。参考情報は、たとえば、副作用に関する情報、注意事項に関する情報などを含む。
【0060】
効果・効能(猫)139は、各薬剤を猫に使用したときの効果および効能を示す。用法・用量(猫)140は、各薬剤を猫に使用するときの用法および用量を示す。参考事項(猫)141は、各薬剤を猫に使用するときの参考情報を示す。参考情報は、たとえば、副作用に関する情報、注意事項に関する情報などを含む。
【0061】
保存方法142は、各薬剤の保存方法を示す。薬理情報143は、各薬剤の薬理情報が別途記録された記録箇所を示す。薬剤の薬理情報は、主成分の化学式など多岐にわたる情報であり、各項目とは別途に記録されているので、薬理情報143の項目には、別途記録された記憶箇所が記載されている。
【0062】
説明書PDF144は、追加詳細情報である市販のヒト医薬に添付されている説明書をPDF化したPDFファイル名(ファイルパスを含む)を示す。薬剤の説明書は、PDFファイルとして各項目とは別途に記録されているので、説明書PDFの項目には、記録されているPDFファイルのファイルパスを含むファイル名が記載されている。
【0063】
図4には、ID番号131が「0001」の薬剤と「0002」の薬剤が例として記載されている。ID番号131が「0001」の薬剤を以下では獣医薬、ID番号131が「0002」の薬剤を以下ではヒト医薬とよぶ。
【0064】
獣医薬は、第1名称情報である薬剤名称132が「○○○○錠」であり、薬効分類133は、「抗腫瘍薬」に分類される薬剤である。獣医薬は、獣医薬情報である人動区分134が、獣医療用の薬剤であることを示す「動物用」であり、内外区分135は、「内服」である。獣医薬は、効果・効能(犬)136および用法・用量137に記載されているように、犬に使用したときの効果および効能が、「多発性骨髄腫」であり、犬に使用するときの用法および用量は、「2mg/m
2」である。参考事項(犬)138には、犬に使用したときの副作用が記載されている。
【0065】
獣医薬は、効果・効能(猫)139および用法・用量140に記載されているように、猫に使用したときの効果および効能が、「多発性骨髄腫」であり、猫に使用するときの用法および用量は、「2mg/m
2」である。参考事項(猫)141には、猫に使用したときの副作用が記載されている。
【0066】
保存方法142には、獣医薬の保存方法が記載されている。獣医薬の薬理情報は、薬理情報143に示す「薬理情報A1」に記載されている。薬理情報A1は、たとえば、他のデータとして記憶部13の薬剤情報記憶領域13cに記憶されている。獣医薬は、ヒト医薬ではないので、ヒト医薬としての説明書は存在しておらず、説明書PDF144の項目には、何も登録されていない。
【0067】
ヒト医薬は、本来は獣医学用途ではなくヒト医学用途に開発された市販の薬剤である。獣医療においては、必ずしも獣医療用の薬剤があるとは限らず、また、獣医療用薬剤があったとしても、十分な効能が見込めない場合もあり、ヒト医療用の薬剤を獣医学用途で使用することが行われる。
【0068】
しかしながら、ヒト医薬を獣医学用途で用いた場合に、その効果・効能が同じとは限らず、用法・用量も同じであるとは限らない。人間と診療対象動物とでは、体組織や生体反応などが大きく異なるからである。
【0069】
従来の獣医療用の薬剤情報では、ヒト医薬の情報は、ヒト医学用途で用いた場合の情報として既に知られている情報が開示されるだけであり、獣医学用途で用いた場合の情報については不明である。
【0070】
ヒト医薬を獣医学用途で用いることは行われているので、そのような知見自体は、たとえば、学術論文やその他の形式で公表されているかもしれないが、獣医師が、診療するにあたって、それらの知見を薬剤ごとに個別に探し出して取得し、自らの診療に反映させることは、非常に困難である。
【0071】
本発明は、ヒト医薬については、獣医学用途で用いた場合の効果・効能に関する情報、用法・用量に関する情報およびその他の特筆すべき情報を、薬剤ごとに関連付けてデータベース化し、獣医師が診療するにあたって、簡単かつ迅速に、参照することができることを特徴としている。
【0072】
したがって、下記のヒト医薬について、効果・効能(犬)136、用法・用量(犬)137、参考事項(犬)138、効果・効能(猫)139、用法・用量(猫)140、参考事項(猫)141、保存方法142、薬理情報143の項目は、ヒト医薬をヒト医学用途で用いた場合の情報ではなく、ヒト医薬を獣医学用途で用いた場合の情報が入力されている。さらに、ヒト医薬をヒト医学用途で用いた場合の情報は、市販品に添付される薬剤説明書を参照することが可能となっている。なお、犬・猫は診療対象動物の一例であって、診療対象動物であれば、犬・猫以外の動物に関する情報が入力されていてもよい。
【0073】
ヒト医薬は、第2名称情報である薬剤名称132が「××××錠」であり、薬効分類133は、「抗腫瘍薬」に分類される薬剤である。ヒト医薬は、ヒト医薬情報である人動区分134が、ヒト医療用の薬剤であることを示す「人体用」であり、内外区分135は、「内服」である。ヒト医薬は、効果・効能(犬)136および用法・用量137に記載されているように、犬に使用したときの(獣医学用途で使用した場合の)効果および効能が、「多発性骨髄腫」であり、犬に使用するときの(獣医学用途で使用した場合の)用法および用量は、「2mg/m
2」である。参考事項(犬)138には、犬に使用したときの(獣医学用途で使用した場合の)副作用が記載されている。
【0074】
ヒト医薬は、効果・効能(猫)139および用法・用量140に記載されているように、猫に使用したときの(獣医学用途で使用した場合の)効果および効能が、「多発性骨髄腫」であり、猫に使用するときの(獣医学用途で使用した場合の)用法および用量は、「2mg/m
2」である。参考事項(猫)141には、猫に使用したときの(獣医学用途で使用した場合の)副作用が記載されている。
【0075】
保存方法142には、ヒト医薬の保存方法が記載されている。ヒト医薬を獣医学用途で使用した場合の薬理情報は、薬理情報143に示す「薬理情報A2」に記載されている。薬理情報A2は、たとえば、他のデータとして記憶部13の薬剤情報記憶領域13cに記憶されている。
【0076】
ヒト医薬については、説明書PDF144にPDFファイルのファイルパスを含むファイル名が登録される。市販品であるヒト医薬については、本来のヒト医学用途で使用する場合の、効果・効能、用法・用量およびその他の参考事項などが記載された説明書が存在する。
【0077】
本発明の獣医療支援装置10では、ヒト医薬を獣医学用途で使用した場合の情報を参照することが特徴であるが、当該ヒト医薬の本来の情報自体も、獣医学用途で使用した場合の情報と比較したり、取扱における注意事項や保存方法などにおいて、参照できるほうが好ましい。ヒト医薬の本来の情報を薬剤情報130に登録してもよいが、より簡単な方法として、当該ヒト医薬に添付されている説明書をPDFファイルなどの画像ファイルとして登録し、獣医師が画像ファイルを表示させるよう操作すると、登録されている画像ファイルを表示部11に表示させるように構成されている。PDFファイルなどの画像ファイルの表示部11への表示は、従来公知の方法で可能である。
【0078】
なお、本発明においては、獣医薬についての効果・効能(犬)136、用法・用量(犬)137および薬理情報143の項目からなる情報が第1詳細情報であり、この第1詳細情報と、獣医薬についての薬剤名称132および人動区分134の項目からなる情報とが、1つの獣医薬として関連付けられて第1情報群を構成する。また、ヒト医薬についての効果・効能(犬)136、用法・用量(犬)137および薬理情報143の項目からなる情報が第2詳細情報であり、この第2詳細情報と、ヒト医薬についての薬剤名称132および人動区分134の項目からなる情報とが、1つのヒト医薬として関連付けられて第2情報群を構成する。
【0079】
図4の例では2つの薬剤についての情報が登録されているが、実際には、3以上のより多くの薬剤についての情報が登録されている。
【0080】
次に、獣医療支援装置10による薬剤情報130の表示処理について説明する。本実施形態の獣医療支援装置10は、電子カルテの1つの機能として薬剤情報の表示機能を備えている。
【0081】
図5〜
図7は、第1実施形態における薬剤情報130の表示処理において、表示部11に表示される画面例を示す図である。電子カルテのプログラムが起動している状態で、薬剤情報の表示機能を開始する操作を行うと、薬剤情報130の表示処理プログラムが起動し、
図5に示す初期画面が表示される。本例では、薬剤情報130の表示処理プログラムは、電子カルテ上で、「お薬DB」と表示されたタブやアイコンなどを選択することで起動する。
【0082】
本実施形態における各種の操作は、獣医療支援装置10を操作する獣医師または獣医師以外の操作者(以下では単に「獣医師」という)が、キーボードやマウスなどの操作部12を使用して行う。
【0083】
初期画面では、薬剤情報130に登録されている薬剤についての薬剤名称132の一覧が、一覧表示領域111に表示されている。一覧表示領域111の大きさは限られているので、登録されている全ての薬剤について一覧表示されないときは、スクロールやページ送りなどの機能によって一覧表示すればよい。また、人動区分134において、人体用および動物用のいずれに区分される薬剤も1つの一覧表示領域111に一覧表示される。
【0084】
一覧表示領域111に一覧表示される薬剤名称は、予め定める順序で表示される。ここで、予め定める順序としては、五十音順、アルファベット順などである。また、薬剤を薬効分類などの分類ごとにグループ化し、グループごとに一覧表示領域111に一覧表示してもよい。その場合、グループ内での表示順序は、五十音順、アルファベット順などである。
図5に示す例では、薬効分類によるグループ化がなされており、分類の1つである「抗腫瘍薬」が選択されることで、「抗腫瘍薬」に分類される薬剤が抽出されて、一覧表示領域111に一覧表示される。薬効分類によるグループ化は、薬剤情報130の項目である薬効分類133に入力された分類名に基づき、同じ分類名が入力されている薬剤を1つのグループとする。
【0085】
一覧表示領域111に一覧表示された薬剤名称のそれぞれについて、薬効分類、内外区分、人動区分などが分類・区分表示領域112に表示される。獣医師は、一覧表示領域111に一覧表示された薬剤名称や、分類・区分表示領域112に表示される各種情報を見ながら、さらに詳細な情報を表示させたい薬剤について、操作部12を用いてその薬剤の薬剤名称を、一覧表示された薬剤名称の中から1つ選択する。
【0086】
1つの薬剤名称が選択されると、
図6に示すように、選択された薬剤名称の薬剤についての詳細情報が詳細情報表示領域113に表示される。本実施形態では、詳細情報表示領域113は、別ウインドウとして初期画面に重ねて表示される。
【0087】
詳細情報表示領域113には、詳細情報として、薬剤名称、効果・効能、用法・用量、参考事項が各表示領域113a〜113dに表示される。さらに、詳細情報表示領域113の表示内容は、タブによって切り替えることができる。たとえば、犬タブ114を選択すると、当該薬剤を犬に使用する場合の情報、すなわち効果・効能(犬)136、用法・用量(犬)137および参考事項(犬)138に入力されている情報が、各表示領域113b〜113dに表示される。たとえば、猫タブ115を選択すると、当該薬剤を猫に使用する場合の情報、すなわち効果・効能(猫)139、用法・用量(猫)140および参考事項(猫)141に入力されている情報が、各表示領域に表示される。
【0088】
また、詳細タブ116が選択されると、薬効分類133、人動区分134、内外区分135に入力されている情報などを含む分類情報が分類表示領域118に表示される。分類表示領域118は、詳細情報表示領域113とは異なる領域であり、分類表示領域118と詳細情報表示領域113に表示される情報は独立し、それぞれタブ選択によって表示される情報を切り替えることができる。薬理タブ117が選択されると、薬理情報143に入力されている情報に基づいて、
図7に示すように、当該薬剤の薬理情報が薬理情報表示領域119に表示される。薬理情報表示領域119は、分類表示領域118であった領域と同一箇所にあり、タブの選択により、表示領域自体が、分類表示領域118と薬理情報表示領域119との間で切り替わるように構成されている。
【0089】
薬理情報表示領域119に表示される薬理情報は、たとえば、臨床応用情報、作用機序情報および化学構造式情報などを含み、これらの情報は、薬剤情報130の薬理情報143に示す「薬理情報A1」「薬理情報A2」などの情報群として記憶部13に記憶された情報である。
【0090】
図8は、第1実施形態の薬剤情報表示処理を示すフローチャートである。薬剤情報130は、予め獣医療支援装置10の記憶部13に記憶されており、電子カルテ上で、「お薬DB」と表示されたタブやアイコンなどを選択されると、薬剤情報表示処理を開始する。
【0091】
ステップA1では、薬剤情報130に登録されている薬剤名称を一覧表示領域111に一覧表示する。ステップA2では、一覧表示された中から1つの薬剤名称が選択されたかどうかを判断し、選択されるとステップA3に進み、選択されなければ一覧表示した状態で待機する。
【0092】
ステップA3では、薬剤情報130に、選択された薬剤名称に関連付けられて登録されている犬用の効果・効能、用法・用量および参考事項を詳細情報表示領域113に表示する。また、分類情報を分類表示領域118に表示する。
【0093】
ステップA4では、猫タブと犬タブのいずれかのタブが選択されたかどうかを判断する。いずれかのタブが選択されるとステップA5に進み、選択されなければ現在表示されている効果・効能、用法・用量および参考事項を表示した状態で待機する。
【0094】
ステップA5では、選択されたタブに応じて犬用の効果・効能、用法・用量および参考事項と猫用の効果・効能、用法・用量および参考事項とを切り替えて詳細情報表示領域113に表示する。
【0095】
ステップA6では、詳細タブと薬理タブのいずれかのタブが選択されたかどうかを判断する。いずれかのタブが選択されるとステップA7に進み、選択されなければ現在表示されている分類情報または薬理情報を表示した状態で待機する。
【0096】
ステップA7では、選択されたタブに応じて分類表示領域118における分類情報の表示と、薬理情報表示領域119における薬理情報の表示とを切り替える。
【0097】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態では、ヒト医薬と獣医薬のうち、ヒト医薬については、有効期限を設定し、有効期限を経過した薬剤については、関連する一部の情報を非表示とする。
【0098】
ヒト医薬を獣医学用途で用いた場合の知見は、日々更新されており、現在知られている知見が、適切なものとは限らない。新しい臨床実験などにより新たな知見が見出されると、獣医師としては、その知見に基づく効果・効能、用法・用量および参考事項を参照して獣医療行為を行うことが好ましい。また、新たな知見によって、これまでは効果があると考えられていたものが、効果が無いとされたり、知られていない副作用について新たに見出されるなど、薬剤によっては使用しないほうが良い場合もある。
【0099】
このような獣医薬の現状を鑑みると、ヒト医薬を獣医学用途で用いた場合の効果・効能、用法・用量および参考事項については、永続的に変化しないようなものではく、変化する可能性が高いものと考えるべきであり、そのような場合には、診療を誤らないようにするために、薬剤情報について有効期限を設定し、古い知見に基づく詳細情報については、獣医療支援装置10において表示されないように構成するほうが好ましい。
【0100】
図9は、薬剤情報130Aのデータ構造を示す概略図である。薬剤情報130Aは、記憶部13の薬剤情報記憶領域13cに記憶される。なお、
図9に示すデータ構造は、本発明の説明に必要な項目のみを示しており、薬剤情報130Aは、図に示す以外の項目を含んでいてもよい。
【0101】
薬剤情報130Aは、ID番号131、薬剤名称132、薬効分類133、人動区分134、内外区分135、効果・効能(犬)136、用法・用量(犬)137、参考事項(犬)138、効果・効能(猫)139、用法・用量(猫)140、参考事項(猫)141、保存方法142、薬理情報143、説明書PDF144および有効期限145の各項目を含む。
【0102】
ID番号131から説明書PDF144までの各項目は、
図4に示した薬剤情報130と同じであるので、説明は省略し、有効期限145の項目について説明する。
【0103】
有効期限145には、ヒト医薬の効果・効能、用法・用量および参考事項に対する有効期限を示す年月日が記載されている。獣医師が操作することにより獣医療支援装置10が薬剤情報表示処理を実行するときに、ヒト医薬が選択されると、有効期限145として登録された年月日と現在の日付とを比較し、有効期限を過ぎていれば、詳細情報表示領域113の各表示領域113a〜113dには、薬剤情報130Aに登録されている薬剤名称、効果・効能、用法・用量、参考事項のいずれも表示しない。また、当該薬剤の有効期限を過ぎていることが獣医師にわかるように、「データ有効期限を過ぎています。」などのメッセージをたとえば、赤色など注意を引くような態様で表示するのが好ましい。
【0104】
さらに、有効期限が過ぎた薬剤については、薬理情報も表示しないようにするのが好ましい。たとえば、薬理タブ117を表示せず、薬理タブ117が選択できないようにすることで、薬理情報を表示しない構成とする。
【0105】
図10は、第2実施形態における薬剤情報130Aの表示処理において、表示部11に表示される画面例を示す図である。本画面例は、薬剤名称の一覧からヒト医薬の薬剤名称が選択されたときの画面例である。詳細情報表示領域113の各表示領域113a〜113dには、薬剤名称、効果・効能、用法・用量、参考事項を表示せず、その代わりに、「データ有効期限を過ぎています。」とのメッセージが表示されている。また、
図6での画面例では選択可能であった薬理タブ117が表示されず、選択できないようになっている。
【0106】
図11は、第2実施形態の薬剤情報表示処理を示すフローチャートである。薬剤情報130Aは、予め獣医療支援装置10の記憶部13に記憶されており、電子カルテ上で、「お薬DB」と表示されたタブやアイコンなどを選択されると、薬剤情報表示処理を開始する。
【0107】
ステップB1では、薬剤情報130に登録されている薬剤名称を一覧表示領域111に一覧表示する。ステップB2では、一覧表示された中から1つの薬剤名称が選択されたかどうかを判断し、選択されるとステップB3に進み、選択されなければ一覧表示した状態で待機する。
【0108】
ステップB3では、薬剤情報130Aの有効期限145に登録された年月日と現在の日付とを比較し、選択された薬剤について有効期限が経過したかどうかを判断する。有効期限を経過していれば、ステップB4に進み、経過していなければ、ステップB5に進む。ステップB4では、有効期限が経過したことを示すメッセージを表示する。
【0109】
ステップB5では、薬剤情報130Aに、選択された薬剤名称に関連付けられて登録されている犬用の効果・効能、用法・用量および参考事項を詳細情報表示領域113に表示する。また、分類情報を分類表示領域118に表示する。
【0110】
ステップB6では、猫タブと犬タブのいずれかのタブが選択されたかどうかを判断する。いずれかのタブが選択されるとステップB7に進み、選択されなければ現在表示されている効果・効能、用法・用量および参考事項を表示した状態で待機する。
【0111】
ステップB7では、選択されたタブに応じて犬用の効果・効能、用法・用量および参考事項と猫用の効果・効能、用法・用量および参考事項とを切り替えて詳細情報表示領域113に表示する。
【0112】
ステップB8では、詳細タブと薬理タブのいずれかのタブが選択されたかどうかを判断する。いずれかのタブが選択されるとステップB9に進み、選択されなければ現在表示されている分類情報または薬理情報を表示した状態で待機する。
【0113】
ステップB9では、選択されたタブに応じて分類表示領域118における分類情報の表示と、薬理情報表示領域119における薬理情報の表示とを切り替える。
【0114】
(第3実施形態)
本実施形態は、第1実施形態および第2実施形態に加えて、飼い主向け説明文を表示することを可能としている。獣医療支援装置10は、獣医師が、自らの診療にあたって利用する装置であるので、表示される各種情報は、獣医師または看護士などがそれを見て理解し、診療に反映させることができればよい。さらに、診療においては、診療対象動物の飼い主にも使用する薬剤についての説明をすることが好ましい。
【0115】
図12は、薬剤情報130Bのデータ構造を示す概略図である。薬剤情報130Bは、記憶部13の薬剤情報記憶領域13cに記憶される。なお、
図12に示すデータ構造は、本発明の説明に必要な項目のみを示しており、薬剤情報130Bは、図に示す以外の項目を含んでいてもよい。
【0116】
薬剤情報130Bは、ID番号131、薬剤名称132、薬効分類133、人動区分134、内外区分135、効果・効能(犬)136、用法・用量(犬)137、参考事項(犬)138、効果・効能(猫)139、用法・用量(猫)140、参考事項(猫)141、保存方法142、薬理情報143、説明書PDF144、有効期限145、飼い主向け標準情報146および飼い主向け自由情報147の各項目を含む。
【0117】
ID番号131から説明書PDF144までの各項目は、
図4に示した薬剤情報130と同じであり、有効期限145の項目は、
図9に示した薬剤情報130Aと同じであるので、説明は省略し、飼い主向け標準情報146および飼い主向け自由情報147の項目について説明する。
【0118】
飼い主向け標準情報146は、各薬剤について飼い主に対して説明するための各種情報が別途記録された記録箇所を示す。飼い主向け標準情報は、ヒト医薬については、効果・効能(犬)136、用法・用量(犬)137、参考事項(犬)138などと同じくヒト医薬を獣医学目的で用いた場合の情報であり、たとえば、効果・効能、注意事項、使用方法および保存方法などの情報を含む。飼い主向け標準情報146の項目には、「標準情報A1」など別途記録された記憶箇所が記載されている。
【0119】
第1関連情報および第2関連情報である飼い主向け自由情報147は、獣医薬およびヒト医薬の各薬剤について飼い主に対して説明するための各種情報であるが、獣医師が自らの知見などに基づき、自由に獣医療支援装置10に入力した情報であり、入力された情報が別途記録された記録箇所を示す。飼い主向け自由情報は、飼い主向け標準情報と同じく、たとえば、効果・効能、注意事項、使用方法および保存方法などの情報を含む。飼い主向け自由情報147の項目には、「自由情報A1」など別途記録された記憶箇所が記載されている。
【0120】
図13は、第3実施形態における薬剤情報130Bの表示処理において、表示部11に表示される画面例を示す図である。本画面例は、飼い主向け説明文タブ120が選択されたときの画面例である。
【0121】
詳細タブ116および薬理タブ117と並ぶ飼い主向け説明文タブ120が選択されると、標準情報表示領域121に、飼い主向け標準情報が表示され、自由情報表示領域122に飼い主向け自由情報が表示される。
【0122】
飼い主向け標準情報は、上記のようにヒト医薬を獣医学目的で用いた場合の情報である。第1実施形態に基づけば、飼い主向け説明文タブ120が選択されると、
図13に示すように、標準情報表示領域121に、飼い主向け標準情報が表示され、自由情報表示領域122に飼い主向け自由情報が表示されるが、第2実施形態に基づけば、ヒト医薬には、有効期限が設定されるので、飼い主向け標準情報については、詳細情報と同様に、有効期限を経過したあとは、表示されないように構成される。
【0123】
図14は、第3実施形態における薬剤情報130Bの表示処理において、表示部11に表示される画面例の他の例を示す図である。ヒト医薬について有効期限が設定されている場合に、有効期限を経過していると、
図14に示すように、標準情報表示領域121には、飼い主向け標準情報が表示されず、その代わりに「データ有効期限を過ぎています。」とのメッセージが表示される。飼い主向け自由情報は、獣医療支援装置10を使用する獣医師が、自らの責任において、入力した情報であるので、有効期限が経過していたとしても自由情報表示領域122に表示される。
【0124】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態として、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された獣医療支援プログラムとすることもできる。なお、獣医療支援プログラムが記録された記録媒体も本発明の実施形態に含まれる。
【0125】
記録媒体としては、マイクロコンピュータで演算処理を実行するためのメモリ、たとえばROMが記録媒体であってもよいし、また、外部記憶装置として読み取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することで読み取り可能な記録媒体であってもよい。
【0126】
具体的な記録媒体としては、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/BD等の光ディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいは、USBメモリやマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)フラッシュROM等による半導体メモリ系を含めた獣医療支援プログラムを担持する媒体である。
【0127】
なお、本発明において、一覧表示手段および詳細情報表示手段は、表示部11によって構成され、選択手段および関連情報入力手段は操作部12によって構成され、計時手段は、制御部16によって構成される。
【0128】
(各実施形態の変形例)
第1〜第3実施形態では、一覧表示領域111に一覧表示された薬剤名称から1つの薬剤名称が選択される場合について示したが、これに限らず、複数の薬剤名称を同時に選択できるようにしてもよい。
【0129】
同じ薬効分類に属する薬剤は複数あり、診療時には、これらの薬剤の中からどの薬剤を使用するかを決定する必要がある。そのような場合に、複数の薬剤を選択可能とし、複数の薬剤を選択した場合には、たとえば、複数のウインドウによって詳細情報表示領域113が、1つの画面に並べて表示され、獣医師は、複数の薬剤の詳細情報を見比べて使用する薬剤を決定することができる。
【0130】
第2実施形態では、ヒト医薬については、有効期限を経過したものについて、詳細情報などを表示せず、代わりに有効期限が経過したことを示すメッセージを表示する構成としたが、これに限らず、有効期限が経過したことを示すメッセージを表示するとともに、詳細情報を表示するようにしてもよい。有効期限が過ぎた情報は、たとえ、古い知見であったとしても、診療時の参考となる場合もあるので、有効期限を経過しても表示される構成としてもよい。ただし、有効期限が経過したことは、1つの情報として獣医療支援装置10を使用する獣医師に報知しておく必要があるので、詳細情報と有効期限が経過したことを示すメッセージとを同時に表示しておくことが好ましい。
【0131】
第1〜第3実施形態では、薬剤情報をサーバ装置20から獣医療支援装置10にダウンロードする構成としているが、これに限らず、サービス提供業者から提供される薬剤情報であれば、光学ディスクや半導体メモリなどの各種記録媒体に記録された薬剤情報を記憶部13にコピーして用いてもよく、印刷物として提供された薬剤情報を、獣医師が獣医療支援装置10の操作部12を操作して入力し、記憶部13に記憶させてもよい。
【0132】
また、現在記憶部13に記憶されている薬剤情報に加えて新たな薬剤情報を獣医療支援装置10に追加することも可能である。追加する薬剤情報は、たとえば、サービス提供者から獣医療支援装置10を使用する獣医師に対して定期的に、または不定期に送信されてもよく、獣医療支援装置10を使用する獣医師からサービス提供者に対して薬剤情報の追加要求を行い、サービス提供者はこの要求に応答して追加する薬剤情報を送信するようにしてもよい。
【0133】
獣医師からサービス提供者に対する追加要求は、獣医療支援装置10を使用してもよく、使用しなくてもよい。獣医療支援装置10を使用しない場合は、サービス提供者に対して、電話通信、ファクシミリ通信および電子メールなどの各種通信手段を用いて、獣医師からサービス提供者に対して追加要求を行う。また、サービス提供者が、電子掲示板を利用している、または運営している場合や、SNS(Social Networking Service)を利用している、または運営している場合には、これらの電子掲示板やSNSを利用して獣医師からサービス提供者に対して薬剤情報の追加要求を行うこともできる。
【0134】
獣医療支援装置10を使用する場合は、上記のように、獣医師が獣医療支援装置10の操作部12を操作して薬剤情報の一部(たとえば薬剤名称など)を入力し、その他の情報について追加して欲しい旨を示す追加要求情報を、獣医師が獣医療支援装置10を操作してサービス提供者が運営するサーバ装置20などに送信する。追加要求情報の送信は、獣医師が獣医療支援装置10を操作すると、即時に送信してもよく、複数の追加要求情報を一時的にストックしておき、所定の時間が経過したのち、ストックしていた複数の追加要求を一括で送信してもよい。
【0135】
第1〜第4実施形態では、薬剤情報の表示処理は、電子カルテ上の機能またはデータベース閲覧プログラムなど専用プログラムによって実行される構成としていたが、これに限らず、ウェブブラウザによるブラウジング機能を利用して薬剤情報を表示するようにしてもよい。
【0136】
この場合、薬剤情報は、サービス提供者が運営するウェブサーバやクラウドサーバに記憶されており、薬剤情報をPCなどのブラウジング機能を有する装置に一時的にダウンロードして、薬剤情報を表示するようにしてもよい。
【0137】
なお、本発明の獣医療支援装置10では、ヒト医薬について全ての医薬を網羅している必要はなく、使用可能な医薬のうちの一部の医薬について薬剤情報を記憶部13に記憶させておけばよい。