(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5986657
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】簡易化した深度ベースのブロック分割の方法
(51)【国際特許分類】
H04N 19/119 20140101AFI20160823BHJP
H04N 19/157 20140101ALI20160823BHJP
H04N 19/176 20140101ALI20160823BHJP
H04N 19/597 20140101ALI20160823BHJP
H04N 13/00 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
H04N19/119
H04N19/157
H04N19/176
H04N19/597
H04N13/00 480
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-50810(P2015-50810)
(22)【出願日】2015年3月13日
(65)【公開番号】特開2015-177547(P2015-177547A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2015年3月13日
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2014/073360
(32)【優先日】2014年3月13日
(33)【優先権主張国】WO
(73)【特許権者】
【識別番号】510122658
【氏名又は名称】メディアテック シンガポール ピーティーイー エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】張 賢國
(72)【発明者】
【氏名】林 建良
(72)【発明者】
【氏名】張 凱
(72)【発明者】
【氏名】安 基程
(72)【発明者】
【氏名】黄 ▲かん▼
【審査官】
岩井 健二
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2015/137783(WO,A1)
【文献】
国際公開第2014/009644(WO,A1)
【文献】
国際公開第2013/068564(WO,A1)
【文献】
国際公開第2013/047805(WO,A1)
【文献】
国際公開第2013/016231(WO,A1)
【文献】
国際公開第2011/046607(WO,A2)
【文献】
Min Woo Park et al.,Simplification of DBBP in 3D-HEVC,Joint Collaborative Team on 3D Video Coding Extensions of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11,8th Meeting: Valencia, ES,2014年 3月,JCT3V-H0068_r1,pp.1-5
【文献】
Xianguo Zhang et al.,Simplification on depth-based block partitioning (DBBP),Joint Collaborative Team on 3D Video Coding Extensions of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11,8th Meeting: Valencia, ES,2014年 3月,JCT3V-H0073,pp.1-6
【文献】
Fabian Jager et al.,CE3: Results on Depth-based Block Partitioning (DBBP),Joint Collaborative Team on 3D Video Coding Extensions of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11,7th Meeting: San Jose, USA,2014年 1月,JCT3V-G0106,pp.1-12
【文献】
Fabian Jager et al.,CE3: Results on Depth-based Block Partitioning (DBBP),Joint Collaborative Team on 3D Video Coding Extensions of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11,6th Meeting: Geneva, CH,2013年10月,JCT3V-F0137,pp.1-11
【文献】
Fabian Jager et al.,CE3-related: Depth-based Block Partitioning,Joint Collaborative Team on 3D Video Coding Extensions of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11,5th Meeting: Vienna, AT,2013年 7月,JCT3V-E0118,pp.1-8
【文献】
Tomohiro Ikai,AHG7: Controllable memory bandwidth reduction with bi-pred to uni-pred conversion,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11,8th Meeting: San Jose, CA, USA,2012年 2月,JCTVC-H0096_r3,pp.1-8
【文献】
Yusuke Itani et al.,Improvement to AMVP/Merge process,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11,5th Meeting: Geneva, CH,2011年 3月,JCTVC-E064_r1,pp.1-8
【文献】
Hideki Takehara and Shigeru Fukushima,Temporal predictor restriction harmonized with motion vector compression,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11,5th Meeting: Geneva, CH,2011年 3月,JCTVC-E097,pp.1-5
【文献】
Fabian Jager,Depth-based Block Partitioning for 3D Video Coding,Picture Coding Symposium (PCS),IEEE,2013年12月,pp.410 - 413
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 19/00 − 19/98
H04N 13/00 − 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチビュー映像符号化または3次元(3D)映像符号化用の簡易化した深度ベースのブロック分割(DBBP)の方法であって、前記方法は、
カレントテクスチャ画像のカレントテクスチャブロックと関連した入力データを受信するステップ、
前記カレントテクスチャブロック用に深度画像の対応する深度ブロックを決定するステップ、
前記対応する深度ブロックからカレントセグメンテーションマスクを生成するステップ、
DBBPの符号化のために、全セットの分割候補から、選択されたセットの分割候補を決定するステップ、
前記選択されたセットの前記分割候補から選択されるカレントブロック分割を決定するステップ、および
前記生成されたカレントセグメンテーションマスクおよび前記選択されたカレントブロック分割に応じて、前記カレントテクスチャブロックに前記DBBPの符号化をするステップを含む方法。
【請求項2】
前記全セットの分割候補は、2NxN、Nx2N、2NxnU、2NxnD、nLx2N、およびnRx2Nのブロック分割からなる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記選択されたセットは、2NxNとNx2Nのブロック分割からなり、前記選択したセットの分割候補を示す必要がない請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記選択されたセットの分割候補は、ビットストリームの映像パラメータセット(VPS)、シーケンスパラメータセット(SPS)、ピクチャパラメータセット(PPS)、スライスヘッダ、符号化ツリーユニット(CTU)、符号化ツリーブロック(CTB)、符号化ユニット(CU)、予測ユニット(PU)、または変換ユニット(TU)レベルで、明白に示される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記選択されたセットの分割候補は、有意マップ、有意テーブル、または有意フラグを用いて表される請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記選択されたセットの分割候補は、カレントブロックサイズが1セットの許容されたブロックサイズに属する場合、任意の分割候補を2NxnU、2NxnD、nLx2N、およびnRx2Nの分割候補から除外する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記許容されたブロックサイズのセットは、ビットストリームの映像パラメータセット(VPS)、シーケンスパラメータセット(SPS)、ピクチャパラメータセット(PPS)、スライスヘッダ、符号化ツリーユニット(CTU)、符号化ツリーブロック(CTB)、符号化ユニット(CU)、予測ユニット(PU)、または変換ユニット(TU)レベルで、有意マップ、有意テーブル、または有意フラグを用いて示される請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記許容されたブロックサイズのセットは、予め定義され、前記ブロックサイズセットを明白に示す必要がない請求項6に記載の方法。
【請求項9】
マルチビュー映像符号化または3次元(3D)映像符号化用の簡易化した深度ベースのブロック分割(DBBP)の方法であって、前記方法は、
カレントテクスチャ画像のカレントテクスチャブロックと関連した入力データを受信するステップ、
カレントブロックサイズが1セットの許容されたブロックサイズに属するかどうかを決定するステップ、
前記カレントブロックサイズが前記セットの許容されたブロックサイズに属する場合、
前記カレントテクスチャブロック用に深度画像の対応する深度ブロックを決定するステップ、
前記対応する深度ブロックからカレントセグメンテーションマスクを生成するステップ、
DBBPの符号化のためにセットの分割候補から選択されるカレントブロック分割を決定するステップ、および
前記生成されたカレントセグメンテーションマスクおよび前記カレントブロック分割に応じて、前記カレントテクスチャブロックに前記DBBPの符号化をするステップを含む方法。
【請求項10】
前記許容されたブロックサイズのセットは、予め定義され、ブロックサイズセットを明白に示す必要がない請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記許容されたブロックサイズのセットは、ビットストリームの映像パラメータセット(VPS)、シーケンスパラメータセット(SPS)、ピクチャパラメータセット(PPS)、スライスヘッダ、符号化ツリーユニット(CTU)、符号化ツリーブロック(CTB)、符号化ユニット(CU)、予測ユニット(PU)、または変換ユニット(TU)レベルで、明白に示される請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記許容されたブロックサイズのセットは、有意マップ、有意テーブル、または有意フラグを用いて表される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記許容されたブロックサイズのセットは、全てのNxNのブロックからなり、前記Nは、正の整数Mより大きい請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記Nは、明白に示されるか、または予め定義される請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記Mは、8に対応する請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元(3D)およびマルチビュー映像符号化に関し、特に、簡易化した深度ベースのブロック分割(depth−based block partitioning; DBBP)を用いたテクスチャ符号化に関するものである。
【背景技術】
【0002】
3次元(3D)テレビは、視聴者にセンセーショナルな視聴体験をもたらすことを目的とする近年の技術である。様々な技術が3D視聴を可能にするように開発されてきた。その中でも、マルチビュー映像は、3DTVアプリケーションの中でも鍵となる技術である。従来の映像は、カメラの視点から視聴者にシーンの単一のビューのみを提供する2次元の(2D)媒体である。しかしながら、3D映像は、動的シーンの任意の視点を提供し、視聴者に臨場感を体感させることができる。
【0003】
3D映像は、通常、深度情報をキャプチャする関連装置を備えた映像カメラを用いて、または同時に複数のカメラを用いてシーンをキャプチャすることによって作られ、複数のカメラは、各カメラが1つの視点からシーンをキャプチャするように適切に配置される。シーンに対応するテクスチャデータと深度データは、通常、実質的な相関関係を示す。従って、深度情報は、テクスチャデータに対して、符号化効率を向上させる、または処理の複雑度を低減させるのに用いられることができ、逆の場合も同様である。例えば、テクスチャブロックの対応する深度のブロックは、ピクセルレベルオブジェクトセグメントに対応する類似した情報を明らかにする。従って、深度情報は、ピクセルレベルのセグメントベースの動き補償を実現する助けをすることができる。従って、深度ベースのブロック分割(DBBP)は、現在の高効率映像符号化(HEVC)規格に準拠した3D映像符号化(3D−HEVC)においてテクスチャ映像符号化用に用いられている。
【0004】
現在の深度ベースのブロック分割(DBBP)は、仮想深度導出(Virtual depth derivation)、ブロックセグメンテーション(segmentation)、ブロック分割、およびバイセグメント補償(bi−segment compensation)のステップを含む。まず、仮想深度が隣接ブロックからの視差ベクトル(NBDV)を用いてカレントテクスチャブロック用に導出される。導出された視差ベクトル(DV)は、カレントテクスチャブロックの位置から参照ビューに深度ブロックを配置するように用いられる。参照ビューは、ベースビューとすることができる。参照ビューにある配置された深度ブロックは、次いでカレントテクスチャブロックを符号化する仮想の深度ブロックとして用いられる。仮想の深度ブロックは、配置されたテクスチャブロック用にブロック分割を導出するものであり、ブロックセグメントは非長方形でもよい。仮想の深度ブロックの平均値、d
AVEが測定される。バイナリセグメンテーションマスクは、仮想深度値を平均値 d
AVEと比較することによって、ブロックの各ピクセル用に生成する。
図1A及び
図1Bは、仮想ブロックに基づくブロックセグメントの例を表している。
図1Aでは、ディペンデントビュー中のカレントテクスチャブロック110用の参照ビュー中の対応する深度ブロック120は、カレントテクスチャブロックの位置と、3D−HEVCに応じたNBDVを用いて導出された、導出されたDV112とに基づいて配置される。仮想ブロックの平均値は、ステップ140で決定される。仮想深度のサンプル値は、ステップ150において平均深度値と比較され、セグメンテーションマスク160を生成する。
図1Bの2つの異なるラインパターンによって示されるように、セグメントマスクは、バイナリデータで表され、下にあるピクセルがセグメント1またはセグメント2に属しているかどうかを示す。
【0005】
ピクセルベースの動き補償に係る計算の複雑さを避けるために、DBBPはブロックベースの動き補償を用いる。各テクスチャブロックは、2NxN、Nx2N、2NxnU、2NxnD、nLx2N、およびnRx2Nからなる6つの非正方形の分割の中の1つを用いることができる。後の4つのブロック分割は非対称動き分割(asymmetric motion partition; AMP)に対応する。ブロック分割がブロック分割の選択プロセスによって、これらのブロック分割候補から選択された後、2つの予測動きベクトル(PMV)が、それぞれ分割されたブロック用に導出される。
【0006】
次いでPMVは、分割される2つのセグメントを補償するように用いられる。現在の3D−HEVCに応じて、最良のブロック分割は、セグメンテーションマスクとセグメンテーションマスクのネゲート(negation)(即ち、反転されたセグメントマスク)を6つの非正方形の分割候補(即ち、2NxN、Nx2N、2NxnU、2NxnD、nLx2N、およびnRx2N)と比較することによって選択される。ピクセル毎の比較は、セグメンテーションマスクとブロック分割パターンとの間のいわゆるマッチングしたピクセル(matched pixel)の数を数える。2つの相補的セグメンテーションマスクと6つのブロック分割タイプの組み合せに対応する12セットのマッチングしたピクセルが数えられる必要がある。
【0007】
ブロック分割プロセスは、マッチングしたピクセルの数が最も多い候補を選択する。
図2は、ブロック分割選択プロセスの例を示している。
図2では、6つの非正方形のブロック分割タイプは、セグメンテーションマスクと対応する反転されたセグメントマスクの上に積層される。ブロック分割タイプとセグメントマスクとの間の最良のマッチング分割は、DBBPのプロセス用にブロック分割として選択される。
【0008】
ブロック分割のタイプが選択された後、2つの予測動きベクトルを決定することができる。各2つの予測動きベクトルは、全てのブロックに用いられ、対応する予測ブロックを形成する。次いで、2つの予測ブロックは、セグメンテーションマスクに応じてピクセル単位でピクセル上に1つにマージされる。このプロセスは、バイセグメント補償(bi−segment compensation)とも呼ばれる。
図3は、DBBPのプロセスの例を示している。この例では、Nx2Nのブロック分割タイプが選択され、2つの対応する動きベクトル(MV1とMV2)が2つの分割されたブロックにそれぞれ導出される。各動きベクトルは、全てのテクスチャブロックを補償するように用いられる(310)。従って、動きベクトルMV1は、テクスチャブロック320に用いられ、動きベクトルMV1に応じて予測ブロック330を生成し、動きベクトルMV2もテクスチャブロック320に用いられ、動きベクトルMV2に応じて予測ブロック332を生成する。2つの予測ブロックは、各々のセグメンテーションマスクを用いることによってマージされ(340と342)、最終の予測ブロックを生成する(350)。
【0009】
DBBPのプロセスは、ピクセル毎のベースの動き補償を避けることによって計算量を減少しているが、ブロック分割およびブロックセグメンテーションのステップにおける問題はなお存在する。問題の1つは、ブロック分割候補のセットからブロック分割を選択することに関連するものである。
図2に示されるように、カレントブロックの分割のプロセスは、6つのブロック分割候補と、各ブロック分割候補の2つの相補的セグメンテーションマスクからブロック分割を選択しなければならない。従って、ブロック分割プロセスを簡易化することが望ましい。
【0010】
もう1つの問題は、計算量と、DBBPのプロセスと関連したメモリアクセスに関する問題である。処理される各2Nx2Nテクスチャブロックに対しては、対応する深度ブロックがアクセスされなければならない。カレントテクスチャブロックは、2つのPMVに基づき、動き補償用に2回アクセスされなければならない。ブロックセグメンテーションプロセス、ブロック分割プロセス、およびバイセグメント補償プロセスは、全て集中的な計算を含む。ブロックサイズが小さくなったとき、画像はより多くのブロックに分割され、より多くのメモリにアクセス可能になる。従って、DBBPのプロセスと関連する計算量とメモリアクセスを減少することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、簡易化した深度ベースのブロック分割の方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、3次元(3D)およびマルチビュー映像符号化用の簡易化した深度ベースのブロック分割(DBBP)の方法を説明する。1つの実施形態では、選択されたセットの分割候補は、全セットより少ない分割候補からなる少なくとも一部のセットの分割候補を含む1つ以上のセットの分割候補から決定される。全セットの分割候補は、2NxN、Nx2N、2NxnU、2NxnD、nLx2N、およびnRx2Nのブロック分割からなる。1つ以上のセットの分割候補は、2NxNとNx2Nの分割候補からなる1つの簡易化したセットだけに対応し、選択したセットの分割候補を示す(信号により伝える)必要がない。2NxNとNx2Nからなる1つの簡易化したセットは、前記1つ以上のセットの分割候補の中の1つでもよい。前記1つ以上のセットの分割候補は、予め定義され、前記1つ以上のセットのそれぞれは、インデックスによって示される。選択されたセットのインデックスは、ビットストリームの映像パラメータセット(VPS)、シーケンスパラメータセット(SPS)、ピクチャパラメータセット(PPS)、スライスヘッダ、符号化ツリーユニット(CTU)、符号化ツリーブロック(CTB)、符号化ユニット(CU)、予測ユニット(PU)、または変換ユニット(TU)レベルで、明白に示すことができる。また、選択されたセットの分割候補は、ビットストリームの映像パラメータセット(VPS)、シーケンスパラメータセット(SPS)、ピクチャパラメータセット(PPS)、スライスヘッダ、符号化ツリーユニット(CTU)、符号化ツリーブロック(CTB)、符号化ユニット(CU)、予測ユニット(PU)、または変換ユニット(TU)レベルで、明白に示すことができる。この場合、選択されたセットの分割候補は、有意マップ、有意テーブル、または有意フラグを用いて表されることができる。
【0013】
選択されたセットの分割候補は、カレントブロックサイズが1セットの許容されたブロックサイズに属する場合、任意の分割候補を2NxnU、2NxnD、nLx2N、およびnRx2Nの分割候補から除外することができる。許容されたブロックサイズのセットは、ビットストリームの映像パラメータセット(VPS)、シーケンスパラメータセット(SPS)、ピクチャパラメータセット(PPS)、スライスヘッダ、符号化ツリーユニット(CTU)、符号化ツリーブロック(CTB)、符号化ユニット(CU)、予測ユニット(PU)、または変換ユニット(TU)レベルで、有意マップ、有意テーブル、または有意フラグを用いて示す(知らせる)ことができる。許容されたブロックサイズのセットも予め定義されることができ、ブロックサイズセットを明白に示す(知らせる)必要がない。
【0014】
本発明のもう1つの実施形態では、深度ベースのブロック分割(DBBP)の符号化は、ブロックサイズが1セットの許容されたブロックサイズに属する場合にのみ、カレントブロックに用いられる。許容されたブロックサイズのセットは、予め定義されることができ、ブロックサイズのセットを明白に示す(知らせる)必要がない。許容されたブロックサイズのセットは、ビットストリームの映像パラメータセット(VPS)、シーケンスパラメータセット(SPS)、ピクチャパラメータセット(PPS)、スライスヘッダ、符号化ツリーユニット(CTU)、符号化ツリーブロック(CTB)、符号化ユニット(CU)、予測ユニット(PU)、または変換ユニット(TU)レベルで、明白に示す(知らせる)ことができる。この場合、有意マップ、有意テーブル、または有意フラグを用いて表されることができる。許容されたブロックサイズのセットは、全てのNxNのブロックサイズからなることができ、Nは、正の整数Mより大きく、Nは、明白に示す(知らせる)か、または予め定義される。一実施形態では、Mは8となるように選択される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】
図1Aは、ディペンデントビューのカレントテクスチャブロック用に参照ビューの対応する深度ブロックを導出する例示的な導出プロセスを示す図である。
【
図1B】
図1Bは、ディペンデントビューのカレントテクスチャブロック用に参照ビューの対応する深度ブロックに基づくセグメンテーションマスクを生成する例示的な導出プロセスを示す図である。
【
図2】
図2は、ブロック分割選択用にブロック分割タイプとセグメンテーションマスク/反転されたセグメントマスクの12の可能な組み合わせの例を示す図である。
【
図3】
図3は、深度ベースのブロック分割(DBBP)を用いた3Dまたはマルチビュー符号化の例示的な処理フローを示す図である。
【
図4】
図4は、2NxNとNx2Nの分割候補からなる一部の分割候補を用いた簡易化した深度ベースのブロック分割(DBBP)を例示する図である。
【
図5】
図5は、分割候補の一部のセットが用いられている、深度ベースのブロック分割(DBBP)を簡易化する本発明の実施形態を組み込んだ例示的なシステムのフローチャートである。
【
図6】
図6は、ブロックサイズが1セットの許容されたブロックサイズに属する場合にのみ、DBBPのプロセスが用いられる、深度ベースのブロック分割(DBBP)を簡易化する本発明の実施形態を組み込んだ例示的なシステムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
現存する深度ベースのブロック分割(DBBP)プロセスと関連した大量の計算及び計算の複雑性という問題を克服するために、本発明は、計算量および/またはメモリアクセスを減少するさまざまな実施形態を提供する。
【0017】
1つの実施形態では、深度ベースのブロック分割(DBBP)プロセスは、全分割候補の一部のセットを用いている。言い換えれば、選択されたセットの候補数は、全セットの候補数より少なくすることができる。選択されたセットのブロック分割候補は、ビットストリームの映像パラメータセット(VPS)、シーケンスパラメータセット(SPS)、ピクチャパラメータセット(PPS)、スライスヘッダ、符号化ツリーユニット(CTU)、符号化ツリーブロック(CTB)、符号化ユニット(CU)、予測ユニット(PU)、または変換ユニット(TU)レベルで、明白に示す(知らせる)ことができる。選択されたセットのブロック分割は、予め規定された、または予め定義されたセットの複数のセットから選択されることができる。この場合、表示は、複数のセットから選択されたセットを識別するように示さ(知らせら)れる。例えば、インデックスは、各セットと関連されることができ、且つインデックスは、明白に示(知らせら)れるか、暗に導出されることができる。或いは、一部の候補を表すさまざまな手段が、用いられることができる。例えば、有意マップがセット用に選択された特定の候補を識別するように用いられることができる。6ビットからなる全分割マップが用いられうる場合、各ビットは1つの候補に対応する。前記選択されたセットの候補に属する場合、対応のビットは1の値を有することができる。さもなければ、対応するビットは、0値を有する。有意マップは、分割候補を表す例として示されているが、他の手段、例えば、有意テーブルまたは1セットの有意フラグも用いられることができる。
【0018】
選択されたセットのブロック分割候補も暗に導出されることができる。候補のセットは、符号器および復号器が同じ導出プロセスを用いた場合、合図なく(信号により伝達されることなく)、全分割候補の予め規定されたサブセットに対応する複数のセットから選択されることができる。1セットの候補しかなく、前記セットの候補が復号器で予め定義された場合、その選択を信号により伝達(合図)する必要がない。例えば、
図4に示されるように、分割候補は、全候補を除外する全てのAMP分割候補を有するセットに対応することができる。これが選択される候補の唯一のセットである場合、選択されたセットの候補を信号により伝達する必要がない。この場合、サブサンプルレベルの平均値の計算とピクセル毎のCUのセグメンテーションマスクの導出の後、分割選択は、2NxNとNx2N分割に対応する分割候補用に評価する(即ち、マッチングしたサンプルを計算する)必要があるだけである。
【0019】
選択されたセットの分割候補もカレントブロックサイズによって決まる。例えば、選択されたセットの分割候補は、カレントブロックサイズが 1セットの許容されたブロックサイズに属する場合、任意の分割候補を2NxnU、2NxnD、nLx2N、およびnRx2Nの分割候補から除外することができる。許容されたブロックサイズのセットは、ビットストリームの映像パラメータセット(VPS)、シーケンスパラメータセット(SPS)、ピクチャパラメータセット(PPS)、スライスヘッダ、符号化ツリーユニット(CTU)、符号化ツリーブロック(CTB)、符号化ユニット(CU)、予測ユニット(PU)、または変換ユニット(TU)レベルで、有意マップ、有意テーブル、または有意フラグを用いて示す(知らせる、伝達する)ことができる。許容されたブロックサイズのセットは、予め定義されることができ、ブロックサイズセットを明白に示す必要がない。
【0020】
本発明のもう1つの実施形態に係る、DBBPのプロセスは、カレントブロックサイズ(即ち、CUサイズ)に応じてカレントブロックに用いられる。言い換えれば、DBBPのプロセスは、ブロックサイズが1セットの許容されたブロックサイズに属する場合にのみ、用いられる。ブロックサイズ制限の情報は、ビットストリームの映像パラメータセット(VPS)、シーケンスパラメータセット(SPS)、ピクチャパラメータセット(PPS)、スライスヘッダ、符号化ツリーユニット(CTU)、符号化ツリーブロック(CTB)、符号化ユニット(CU)、予測ユニット(PU)、または変換ユニット(TU)レベルで、明白に示すことができる。また、ブロックサイズ制限に関する情報は、送信される情報がなくても復号器側で暗に決定されることができる。許容されたブロックサイズは、1つ以上の予め定義されたCUサイズを含む予め規定された、または予め定義されたサブセットであることができる。例えば、許容されたブロックサイズのセットは、NxNのブロックに対応することができ、Nは、正の整数Mより大きい。Mのセット選択は、ビットストリームで明白に示さ(知らせら)れるか、または明白に示される(信号により伝達される、知らされる)ことなく暗に導出されることができる。例えば、各ビデオシーケンスでは、許容されたブロックサイズは、DBBPモードを用いるために8x8より大きい任意のサイズであることができる。符号器および復号器は、隣接のブロックに基づく許容されたブロックサイズのセットを選択する同じ手順を用いて、明白な合図(信号による伝達)の必要をなくすこともできる。許容されたブロックサイズのセットは、有意マップ、有意テーブル、または有意フラグを用いて表されることができる。
【0021】
図5は、少なくとも1セットの分割候補が一部の分割候補だけからなる、深度ベースのブロック分割(DBBP)を簡易化する本発明の実施形態を組み込んだ例示的なシステムのフローチャートを示している。ステップ510に示されるように、前記システムは、カレントテクスチャ画像のカレントテクスチャブロックと関連した入力データを受信する。符号化では、入力データは、符号化されるピクセルデータに対応する。復号化では、入力データは、復号化される符号化ピクセルデータに対応する。入力データは、メモリ(例えばコンピュータメモリ、バッファ(RAMまたはDRAM)、または他のメディア)から、またはプロセッサから取得されることができる。
【0022】
ステップ520では、深度画像の対応する深度ブロックは、カレントテクスチャブロック用に決定される。ステップ530では、カレントセグメンテーションマスクは、対応する深度ブロックから生成される。ステップ540では、選択されたセットの分割候補は、全セットより少ない分割候補からなる、少なくとも一部のセットの分割候補を含む1つ以上のセットの分割候補から決定される。ステップ550では、カレントブロック分割は、対応する深度ブロックに基づく選択されたセットの分割候補から生成される。次いで、ステップ560では、DBBPの符号化は、生成されたカレントセグメンテーションマスクおよび選択されたカレントブロック分割に応じて、カレントテクスチャブロックに用いられる。
【0023】
図6は、ブロックサイズが一セットの許容されたブロックサイズに属する場合にのみ、ブロックに用いられるDBBPのプロセスに、本発明の実施形態を組み込んだ例示的なシステムのフローチャートを示している。ステップ610に示されるように、前記システムは、カレントテクスチャ画像のカレントテクスチャブロックと関連した入力データを受信する。ステップ620では、カレントブロックサイズが1セットの許容されたブロックサイズに属するかどうかを決定するようにチェックされる。1セットの許容されたブロックサイズ(即ち、yes path)に属する場合、630〜660のステップが行われる。ステップ630では、深度画像の対応する深度ブロックは、カレントテクスチャブロック用に決定される。ステップ640では、カレントセグメンテーションマスクは、対応する深度ブロックから生成される。ステップ650では、カレントブロック分割は、1セットの分割候補から選択される。ステップ660では、DBBPの符号化は、生成されたカレントセグメンテーションマスクおよび選択されたカレントブロック分割に応じて、カレントテクスチャブロックに用いられる。カレントブロックサイズが1セットの許容されたブロックサイズ(即ち、No path)に属さない場合、630〜660のステップがスキップされる。
【0024】
上述のフローチャートは、本発明に係る、簡易化した深度ベースのブロック分割(DBBP)を例示するものである。当業者は、各ステップを変更、再構成、分割、または組合せを行うことができる。
【0025】
上述の説明は、特定のアプリケーションおよびその要求の文脈に提供されるように、当業者が本発明を実行できるように示している。本願発明に関する種々の変更は、当業者には明らかであり、ここに定義される一般原理は、他の実施形態に用いられ得る。従って、本発明は、ここで述べられた特定の実施形態を限定することを意図するものではなく、ここで述べられる原理および新しい特徴を包括する最も広い範囲を付与されるものとする。上述の詳細の説明では、各種の特定の詳細が本発明の完全な理解を提供するために述べられる。しかしながら、本発明を実施され得る当業者には理解できるであろう。
【0026】
上述の本発明の実施形態は、さまざまなハードウェア、ソフトウェアコード、またはその組み合わせに行われることができる。例えば、本発明の実施形態は、ここに述べられる処理を行う、画像圧縮チップ内に統合された回路、または画像圧縮ソフトウェア内に統合されたプログラムコードであることができる。本発明の実施形態は、ここで述べられる処理を行う、デジタル信号プロセッサ(DSP)で実行されるプログラムコードでもよい。本発明は、コンピュータプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、マイクロプロセッサ、またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)によって行なわれるいくつかの機能も含むことができる。これらのプロセッサは、発明で実現される特定の方法を定める機械読み取り可能なソフトウェアコードまたはファームウェアコードを実行することによって、発明に応じて特定のタスクを行うように構成されることができる。ソフトウェアコードまたはファームウェアコードは、異なるプログラミング言語と異なるフォーマットまたはスタイルで開発されることができる。ソフトウェアコードは、異なるターゲットプラットホーム用にコンパイルされてもよい。しかしながら、ソフトウェアコードの異なるコードフォーマット、スタイルと、言語、および本発明に応じてタスクを行うコードを設定する他の手段は、本発明の精神および範囲を逸脱しない。
【0027】
本発明は、その精神と基本的な特徴から逸脱することなく他の特定のフォームに統合され得る。上述の実施例は、本明細書中に記述される発明を限定するものでなく、あらゆる局面において例示的であると考えられる。よって本発明の範囲は、前述の説明によってではなく、添付の請求の範囲によって示され、請求の範囲と等価な意義と範囲内にある全ての変更は、この中に含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0028】
110 ディペンデントビューのテクスチャ画像
112 導出されたDV
120 参照ビューの深度画像
140 平均値
150 バイナリマスクの生成
160 セグメンテーションマスク