(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5986686
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】車輪速センサ
(51)【国際特許分類】
G01P 3/488 20060101AFI20160823BHJP
G01D 5/245 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
G01P3/488 C
G01D5/245 H
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-529057(P2015-529057)
(86)(22)【出願日】2013年9月3日
(65)【公表番号】特表2015-526738(P2015-526738A)
(43)【公表日】2015年9月10日
(86)【国際出願番号】EP2013068171
(87)【国際公開番号】WO2014033319
(87)【国際公開日】20140306
【審査請求日】2015年3月17日
(31)【優先権主張番号】201220443877.4
(32)【優先日】2012年9月3日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】399023800
【氏名又は名称】コンティネンタル・テーベス・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・オッフェネ・ハンデルスゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】チー・ユリアン
(72)【発明者】
【氏名】ユ・シン
【審査官】
森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−538225(JP,A)
【文献】
特許第3866531(JP,B2)
【文献】
特表2009−518860(JP,A)
【文献】
特許第3794937(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P3
G01D5
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのセンサ本体と1つのハウジンアセンブリとから少なくとも構成されている車輪速センサにおいて、
前記センサ本体が、1つのホールセンサ素子と1つのリードフレームと1つのサポートと1つのワイヤリングハーネスとから構成され、
前記サポート内に配置されている前記リードフレームが、前記ホールセンサ素子と前記ワイヤリングハーネスとの間の電気接続を達成するための1つのリード接続構造物を備え付けられていて、
前記サポートが、前記ホールセンサ素子に適合されている1つの取付溝を備え付けられていて、このホールセンサ素子が、この取付溝内に設置されていて、
前記リードフレームと前記サポートとが、1つの絶縁ハウジング内に全体として封入されていて、この絶縁ハウジングが、前記ハウジングアセンブリ内に固定されていて、前記ワイヤリングハーネスの一部が、前記絶縁ハウジング内に設置されている当該車輪速センサ。
【請求項2】
前記車輪速センサは、1つの信号パネルをさらに有し、この信号パネルは、1つの車輪に固定されていて、この車輪の回転と一緒に回転し、
1つの磁場源が、前記ハウジングアセンブリ内に設けられていて、
前記ホールセンサ素子は、前記ハウジングアセンブリ内の前記信号パネルの回転に起因する当該磁場の変化に基づいて測定信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の車輪速センサ。
【請求項3】
前記ハウジングアセンブリは、1つのハウジング本体と1つの中心軸と1つの永久磁石とから構成され、
前記ハウジング本体は、1つの軸孔を備え付けられていて、
1つの取付溝を有する前記中心軸が、前記ハウジング本体内の前記軸孔に固定されていて、
前記永久磁石は、前記磁場源として前記取付溝内に固定されていて、
前記信号パネルは、前記中心軸上にスリーブ状に被せられていることを特徴とする請求項2に記載の車輪速センサ。
【請求項4】
前記信号パネルと車輪とが、同期して回転し、前記信号パネルが、前記磁場の変化をもたらすための前記永久磁石によって生成された前記磁場内の磁力線を切ることを特徴とする請求項3に記載の車輪速センサ。
【請求項5】
前記信号パネルは、複数の歯型構造物を有し、これらの歯型構造物は、前記中心軸と前記ハウジング本体との間に非接触式に設置されていて、前記ホールセンサ素子と前記永久磁石との間に設置されていることを特徴とする請求項4に記載の車輪速センサ。
【請求項6】
前記サポートは、複数の突起部をさらに有し、これらの突起部は、前記センサ本体内の対応する複数の固定点の周りに分散されていることを特徴とする請求項1に記載の車輪速センサ。
【請求項7】
前記センサ本体は、1つの測定信号処理回路をさらに有し、
前記測定信号処理回路は、前記リードフレームを介して前記ホールセンサ素子と前記ワイヤリングハーネスとに接続されていて、前記測定信号処理回路は、前記ホールセンサ素子によって生成された測定信号を処理し、当該測定信号を前記ワイヤリングハーネスに伝送することを特徴とする請求項2に記載の車輪速センサ。
【請求項8】
前記ワイヤリングハーネスは、1つの電力線と1つの接地線と1つの出力信号線とを有し、前記測定信号処理回路は、前記電力線と前記ホールセンサ素子とに接続している1つの抵抗器と、前記電力線と前記接地線とに接続されている1つのコンデンサと、前記接地線と前記信号線とに接続されている1つのコンデンサとを有することを特徴とする請求項7に記載の車輪速センサ。
【請求項9】
前記サポートは、前記抵抗器と前記コンデンサとに適合された複数の取付溝を有することを特徴とする請求項8に記載の車輪速センサ。
【請求項10】
前記ハウジング本体は、前記絶縁ハウジングに適合された1つの座屈構造物をさらに有し、前記絶縁ハウジングは、前記ハウジング本体に固定接続されるように、前記座屈構造物内に座屈式に固定されていることを特徴とする請求項3に記載の車輪速センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪速センサの構成に関し、特にホールセンサ素子を有する車輪速センサに関する。
【背景技術】
【0002】
車輪速度(車輪の回転速度)が、車両の交通安全にとって重要な監視データである。運転者に車両の速度制御に注意を払わせるため、又は、車両の現在の運転状態に基づいて、対応する安全補助機能を実行するための車両安全システムに提供することによって車両内の人の安全を保証するため、車両の現在の走行状態が、車輪速度データを通じて確認され得る。
【0003】
運転者への注意喚起に関して、車輪速度データが、バックグラウンド計算によって車両の速度に変換され、車両の現在の速度を目視するための運転者用計器パネル上に表示され得る。しかしながら、車両安全システムの適用に関しては、現在においてあらゆる車両に標準の構成であるアンチロックブレーキングシステム(ABS)によるアンチロックブレーキング機能が、当該安全補助機能において比較的重要な機能のうちの1つである。車両が、走行中に緊急事態に遭遇したときに、車輪のロッキング状態が頻繁に発生することが周知である。この車輪のロッキング状態は、車両の通常のブレーキングに対して不利益であり、このときに交通安全に支障をきたす。また、当該アンチロックブレーキングシステムは、車輪速度に対する実時間計測によって、車輪がロッキング傾向にあるか否かを判定できる。当該ロッキング傾向が確認されると、車輪のロッキング状態が発生することを回避するため、車両のブレーキシリンダ内の圧力が調整される。
【0004】
現在、リアルタイムに車輪速度を測定するための車輪速センサが、上述した機能を達成する当該測定の重要性のために、市場で非常に注目を集めている。より効率的な車輪速度の測定を達成するため、既存の車輪速センサは、非接触構造を一般に採用する。この場合、ホールセンサ素子を有する車輪速センサも、比較的広い用途を網羅している。したがって、より正確な車輪速度の測定信号を提供するため、ホールセンサ素子を有する車輪速センサの性能を、どのようにしてより安定にするかもが、存在する構成の注目の的になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010097054号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102006050177号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102008064047号明細書
【特許文献4】仏国特許出願公開第2585840号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2002181207号号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2007126088号明細書
【特許文献7】独国特許出願公開第19744673号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2002180424号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2007296398号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、性能がより安定である車輪速センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、1つのセンサ本体と1つのハウジンアセンブリとが少なくとも構成されている。この場合、前記センサ本体が、1つのホールセンサ素子と1つのリードフレームと1つのサポートと1つのワイヤリングハーネスとから構成される。射出成形によって前記サポート内に配置されている前記リードフレームが、前記ホールセンサ素子と前記ワイヤリングハーネスとの間の電気接続を達成するための1つのリード接続構造物を備え付けられている。前記サポートが、前記ホールセンサ素子に適合されている1つの取付溝を備え付けられている。このホールセンサ素子が、この取付溝内に設置されている。前記リードフレームとサポートとが、1つの絶縁ハウジング内に全体として封入されている。この絶縁ハウジングが、前記ハウジングアセンブリ内に固定されている。前記ワイヤリングハーネスの一部が、前記絶縁ハウジング内に設置されている。
【0008】
この代わりに、前記ハウジングアセンブリが、前記絶縁ハウジングに適合された座屈構造を備え付けられている1つのハウジング本体を有する。前記絶縁ハウジングが、前記ハウジング本体に固定接続されるように、前記座屈構造物内に
座屈式に固定されている。
【0009】
従来の技術と比較すると、本発明の車輪速センサは、以下の利点を有する:
1)前記ホールセンサと一緒に組み立てられた前記サポートと前記リードフレームとを全体として同じ前記絶縁ハウジング内に封入することによって、前記車輪速センサの組み立てを完了し、前記ホールセンサ素子を、前記絶縁ハウジングを介して前記ハウジングアセンブリ内に固定した後に、前記ホールセンサ素子の位置が、不動に維持される。不動の位置にある前記ホールセンサ素子が、車輪速度に対する測定精度を効果的に維持する結果、車輪速センサの性能が、より安定である。
2)別の解決手段では、前記センサ本体と前記ハウジング本体とによって採用された組み立て構造に起因して、前記センサ本体又は前記ハウジング本体が、何らかの不具合があるときに、この別の解決手段は、前記センサ本体又は前記ハウジング本体を交換することによって達成され得る。その結果、維持コストが削減される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の車輪速センサの実施の形態の全体の概念図である。
【
図2】
図1に示された車輪速センサの分解された概念図である。
【
図3】
図1に示された車輪速センサ内のセンサ本体の、サポートとリードフレームとワイヤリングハーネスとの接続部分の概念図である。
【
図4a】
図3に示されたセンサ本体の特定の実装の詳細な概念図である。
【
図4b】
図4aに示されたセンサ本体内の測定信号処理回路の等価概念図である。
【
図5】
図3に示されたセンサ本体の組立概念図である。
【
図6】
図3に示されたセンサ本体の組立概念図である。
【
図7】
図3に示されたセンサ本体の組立概念図である。
【
図8】
図3に示されたセンサ本体の組立概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の車輪速センサを特定の実施の形態によってさらに説明する。
【0012】
図1は、本発明の車輪速センサの実施の形態の特定の構成を示す。
図1によれば、この車輪速センサは、センサ本体1とハウジングアセンブリ2と信号パネル3とから構成される。これらの3つの要素が、これらの3つの要素のそれぞれの結合機構によって一緒に組み立てられる。車輪速に対する実時間計測を実現するため、当該センサ本体1が、当該ハウジングアセンブリ2内に固定されている。特に、当該車輪速センサは、当該信号パネル3を介して車輪上に固定されている。当該信号パネル3は、この車輪の回転と一緒に回転する。磁場源が、当該ハウジングアセンブリ2内に設けられていて、当該信号パネル3が、この車輪と一緒に回転する結果、当該磁場が、当該ハウジングアセンブリ2内で変化する。このとき、センサ本体1が、当該磁場内のその変化に基づいて、リアルタイムに測定される測定信号、すなわち車輪速データを生成する。当該車輪速センサの作動過程中に、センサ本体1が、当該ハウジングアセンブリ2内に固定されているので、当該信号パネルに対するこのセンサ本体1の距離も一定に保持される。当該距離は、車輪速に対するこのセンサ本体1の測定精度を効果的に維持する。
【0013】
図2は、
図1に示された車輪速センサの分解された概念図である。以下に、上記の車輪速センサ内のハウジングアセンブリと信号パネルとを、
図2を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1及び
図2を一緒に参照すると、当該ハウジングアセンブリ2は、ハウジング本体21と中心軸22と永久磁石23とから構成される。当該中心軸22が、1つの取り付け孔を備え付けられている。当該永久磁石23が、上記磁場源としてこの取り付け孔内に固定されている。当該中心軸22が、当該ハウジング本体21内に固定されているときに、当該永久磁石23が、このハウジング本体21内に上記の磁場を生成できる。当該ハウジング本体21内に当該中心軸22を固定することを実現するため、射出成形のような方法が、この中心軸22をこのハウジング本体21内に収容して固定するために採用され得る。すなわち、この中心軸22とこのハウジング本体とが、金型による射出成形を経て全体として一体化される。この中心軸22と一体化するため、射出成形によって形成されたこのハウジング本体21が、この中心軸22に合う1つの軸孔を備え付けられなければならない。
【0015】
また、当該中心軸22は、当該信号パネル3を当該ハウジング本体21内に組み付けるための結合部品として作用する。
図2に示されているように、この信号パネル3は、この中心軸22の寸法に合う1つの中心孔を備え付けられている。当該組み付けは、この信号パネル3をこの中心軸22上に嵌合させることによって実現され得る。当然に、この信号パネル3とこのハウジング本体21とを組み付ける方法は、当業者に公知で且つここでは説明されていないその他の方法で実施されてもよい。この信号パネル3が、このハウジング本体21に組み付けられた後に、このハウジング本体21内の磁場が、この信号パネル3の回転によって変化され得る。このハウジング本体21に組み付けられた後に、この信号パネル3をこのハウジング本体21内で回転させるためには、この信号パネル3が、このハウジング本体21の対向面から間隔を保たなければならないことが重要である。したがって、この信号パネル3がこのハウジング本体21内に設置されている構造は、この回転機能の実現に基づいて設計され得る。
【0016】
例えば、当該信号パネル3が当該ハウジング本体21内に設置されている構造は、
図2に示されたように複数の突起構造物を備え付けられ得る。当該永久磁石23が、当該中心軸22によって当該ハウジング本体21内に固定されてあり、当該信号パネル3と一緒に回転しないので、当該ハウジング本体21内に組み付けられている当該信号パネル3が、車輪と一緒に回転するときに、当該複数の突起構造物が、磁場内の磁力線を切る結果、当該ハウジング本体21内の磁場を変化させる。この磁場の当該変化が、上述したように、当該センサ本体1によって検出され、次いで、上記の測定信号が出力される。明らかに、当該信号パネル3の当該複数の突起構造物は、この磁場の変化の検出及び出力を実現するために、このセンサ本体1内のホールセンサ素子と当該永久磁石23との間に設置されなければならない。この磁場の変化を、当該センサ本体1によってより正確に測定されるようにするため、当該複数の突起構造物は、当該信号パネル3の回転面上に均等に配置された複数の歯型構造物を包囲できる。当該複数の歯型構造物間の複数の空間は、等しい。当然に、本発明の車輪速センサは、当該複数の突起構造物の形を規定せず、当業者が、当該信号パネル3の磁力線を切る機能を実現するためのその他の構成を採用してもよい。
【0017】
当該信号パネル3が、当該ハウジング本体21内に組み付けられた後に、当該車輪速センサが、全体として、より良好な密封性を有する目的のために、オイルシール4が、当該ハウジング本体21上にさらに設けられ得る。当該オイルシール4は、外側にゴムを採用し、中央部に金属製のフレームワークを採用し、当該オイルシール4の形及び寸法は、車輪の、対応するセンサ相手穴に一致されなければならない。当該オイルシール4の構造は、車輪の回転中に、センサ内の潤滑油が、漏れ出ることから阻止され、外部の不純物が、センサに入ることが阻止されることを保証できる。その結果、当該車輪速センサの耐用年数が延びる。
【0018】
図3は、
図1に示された車輪速センサ内のセンサ本体の、サポートとリードフレームとワイヤリングハーネスとの接続部分の概念図である。以下に、このセンサ本体の特定の構造を、
図3と共に詳しく説明する。
【0019】
図1及び3を一緒に参照すると、当該センサ本体1は、ホールセンサ素子11とリードフレーム12とサポート13とワイヤリングハーネス14とから構成される。このリードフレーム12が、このホールセンサ素子11とワイヤリングハーネス14との間の電気接続を実現するためのリード接続構造物を成す。当該リード接続構造物内の、当該ホールセンサ素子11に電気接続されている接続端子の数が、接続端子の数と当該ホールセンサ素子11自体の作業要件とに基づいて適切に構成され、そして、当該ワイヤリングハーネス14に電気接続される当該リード接続構造物内の接続端子の数が、当該ホールセンサ素子11の作業要求とこのワイヤリングハーネス14の出力要求とに基づいて適切に構成される。当該リードフレーム12が、金属等の導電材料から成る。
【0020】
当該サポート13が、当該ホールセンサ素子11に適合されている取付溝を備え付けられている。当該リード接続構造物の接続端子が、射出成形によってこのサポート内に設けられる。当該ホールセンサ素子11が、当該取付溝内に設置される。このホールセンサ素子11によって生成された測定信号が、当該接続端子を通じてワイヤリングハーネス14に伝達され、車両の現在の状態を判定し、対応する制御手段を講じるための、対応する車両用制御装置に対して出力されるか、又は現在の速度を読み取るための、対応する車両用計器に対して出力される。
【0021】
図4aは、センサ本体の特定の実装の詳細な概念図である。
図4aを参照すると、このセンサ本体は、測定信号処理回路をさらに有し、当該ホールセンサ素子11によって生成された測定信号を処理し、次いで当該測定信号を当該ワイヤリングハーネス14に伝送する。この測定信号処理回路は、当該リードフレーム12の接続端子を介して当該ホールセンサ素子11と当該ワイヤリングハーネス14とを接続する。
【0022】
特に、当該ホールセンサ素子11が、例えば3端子(電力供給端子、接地端子及び出力信号端子)のセンサ素子の場合、当該測定信号処理回路は、当該ホールセンサ素子11の電力供給端子に接続された抵抗器R1と、当該ホールセンサ素子11の出力信号端子と接地端子との間に並列に接続された第1コンデンサC1と、当該ホールセンサ素子11の電力需給端子と接地端子との間に並列に接続された第2コンデンサC2とから構成される。当該測定信号処理回路の2つのコンデンサの配置は、当該車輪速センサの耐干渉性を強化するための、当該ホールセンサ素子11によって出力された測定信号のフィルタリングに有益である。
【0023】
当該ホールセンサ素子11の端子構造に応じた、当該ホールセンサ素子11に電気接続されている当該リードフレーム12の接続端子の数は、3であり、当該ワイヤリングハーネス14に電気接続されている接続端子の数は、少なくとも3つである。当該測定信号処理回路内の上記の1つの抵抗器と複数のコンデンサとがそれぞれ、対応する接続端子に電気接続されることによって
図4bに示されたような回路を実現する。これに応じて、当該ワイヤリングハーネス14も、1つの電力線と1つの接地線と1つの出力信号線とから少なくとも構成される。
【0024】
図3及び4aを一緒に参照すると、当該サポート13は、当該抵抗器R1とコンデンサC1とコンデンサC2とに適合された取付溝をも備え付けられ得る。当該センサ本体内への当該測定信号処理回路のより安定した組み付けが、上記の1つの抵抗器と複数のコンデンサとの取付溝によって実現され得る。
【0025】
例えば、
図5〜8は、当該サポート13の構造に基づいた組み付けの例を示す。最初に、
図5を参照すると、当該リードフレーム12の接続端子が、金型による射出成形を経た当該サポート13内に配置される。また、当該ホールセンサ素子11が、対応する取付溝内に設置され、当該ホールセンサ素子11の全ての端子と、当該リードフレーム12の対応する接続端子とが、接続後の溶着によって一緒に固定される。
【0026】
次いで、
図6を参照すると、当該抵抗器R1が、対応する取付溝内に設置され、当該リードフレーム12内の当該電力線に接続された接続端子との電気接続と同様に、当該抵抗器R1と当該ホールセンサ素子11の電力供給端子との電気接続を実現するため、この抵抗器R1の両端部が、
図4bの回路構成に基づいて、当該リードフレーム12に対応する接続端子に溶着される。
【0027】
次いで、
図7を参照すると、コンデンサC1とコンデンサC2とがそれぞれ、対応する取付溝内に設置され、
図4bの回路構成に基づいて、コンデンサC1の接続端子とコンデンサC2の接続端子とワイヤリングハーネスの接続端子とがそれぞれ、当該リードフレーム12に対応する接続端子内に通常の方法で設置され、一緒に圧接される。例えば、接地されているコンデンサC1の1つの端部に対して、この端部と接地線とが、リードフレームに対応する接続端子内に設置され、一緒に圧接される。
【0028】
最後に、一体型の射出成形が、金型を構成することによって実施される。当該リードフレーム12とサポート13とが、同じ絶縁ハウジング内に全体として封入される。すなわち、
図8内に示されたようなセンサ本体が形成される。外部の車両用制御装置又は車両用計器との接続を実現するため、当該ワイヤリングハーネス14の一部が、当該絶縁ハウジング内に封入され、当該ワイヤリングハーネス14の別の一部が、当該絶縁ハウジングの外側に設置される。当該ワイヤリングハーネスの一部以外の当該センサ本体内の全ての構成要素が、一体型の射出成形によって同じ絶縁ハウジング内に封入される方法は、様々な道路状況下の車両の走行状態に適合されるように、当該車輪速センサに非常に良好な耐振動性及び耐密封性を持たせる。
【0029】
説明をより簡潔にするため、上記の1つの抵抗器と複数のコンデンサと一緒に組み立てられた当該サポート13の2つの対向面は、組み立て面と呼ばれ、その他の2つの対向面は、側面と呼ばれる。当該絶縁ハウジングの対向する当該側面の一部が、側壁と呼ばれる。
図3及び8を一緒に参照すると、当該サポート13が、当該絶縁ハウジングの側壁に設置されている。すなわち、当該側面は、複数の突起部を備え付けられている。当該突起部は、射出成形温度より低い融点を呈する材料を採用し、射出成形中に、当該突起部が溶融し、当該絶縁ハウジングと一体化される。この構造設定は、当該センサ本体の密封性を強化させる。当該絶縁ハウジング自体が、耐水性を有するので、この構造は、当該センサ本体の内部構成要素が、比較的良好な耐水性を有することも保証する。当該複数の突起部は、突型であり、当該センサ本体内の対応する固定点の周りに分散されている。
【0030】
図1,2及び8を一緒に参照すると、当該車輪速センサの全体の組み立てを完成させ、
図1に示されたような車輪速センサを形成するため、
図8に示されたようなセンサ本体が、
図2に示されたような方法で当該ハウジング本体21内に挿入され、オイルシール4が、当該ハウジング本体21内へ押圧され、当該信号パネル3が、当該ハウジング本体21内に組み付けられるように、当該中心軸22上にスリーブ状に被せられる。より最適な構成では、当該センサ本体と当該ハウジング本体21とを座屈構造物によって一緒に固定させるため、当該座屈構造物が、当該ハウジング本体21内に提供されてもよい。当該センサ本体が故障したときに、このセンサ本体が、当該座屈構造物から引き出され、当該センサ本体と当該ハウジング本体とを簡単に交換させることができる。当該信号パネルを簡単に交換することも、全体の組立工程から理解され得る。
【0031】
当該車輪速センサが、例えば自動二輪車に適用される場合、2つの爪構造物が、当該自動二輪車の2つの車輪に対する当該信号パネルの複数の部分に配置され得る。これに応じて、当該自動二輪車の2つの車輪が回転するときに、この信号パネルと当該2つの車輪とが、同期して回転され得る。この信号パネルの当該回転は、当該座屈本体内の磁場を変化させるために、上述したように、この信号パネル上の当該複数の突起構造物に当該磁場の磁力線を切らせ得る。当該センサ本体内のホールセンサ素子が、この変化を検出し、測定信号を生成する。当該測定信号は、当該ワイヤリングハーネスを通じて計器パネルに出力され、この計器パネルによって計算された後に得られた速度値が、この計器パネル上に表示される。
【0032】
本発明が、上述したように、好適な実施の形態で説明されているものの、本発明は、この実施の形態に限定されない。本発明の技術思想及び範囲から離れることなしに、当業者によって実施される様々な変更及び修正が、本発明の保護範囲内に含まれる。したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって規定される範囲である。
【符号の説明】
【0033】
1 センサ本体
2 ハウジングアセンブリ
3 信号パネル
4 オイルシール
11 ホールセンサ素子
12 リードフレーム
13
サポート
14 ワイヤリングハーネス
21 ハウジング本体
22 中心軸
23 永久磁石
R1 抵抗器
C1 コンデンサ
C2 コンデンサ