(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一方の前記振れ止め部材の端部と、他方の前記振れ止め部材の端部との間に架け渡された横フレームをさらに有している請求項1または2に記載のケーブル巻き取り装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明が適用されたケーブル巻き取り装置100を備えるクレーン10を示す。クレーン10は、大略、脚部12と、タワー部14と、旋回装置15と、水平ジブ16と、操作室18と、吊り装置20と、ケーブル巻き取り装置100とを備えている。
【0017】
なお、本実施例では、吊り装置20に取り付けられたカメラ50の映像信号ケーブル(以下、単に「ケーブルC」という。)を巻き取り/繰り出しするケーブル巻き取り装置100について説明するが、ケーブル巻き取り装置100が取り扱うケーブルCは映像信号ケーブルに限定されるものではなく、カメラ50以外の他の装置等に対する、給電ケーブルや制御ケーブル等の他のケーブルCにも適用できる。
【0018】
脚部12は、例えばビルの屋上から立設された角筒形の構造物であり、本実施例では、トラス構造で構成されている。
【0019】
タワー部14は、脚部12の上端において、旋回装置15を介して立設された角筒状の構造物であり、脚部12と同様にトラス構造で構成されている。
【0020】
旋回装置15は、脚部12とタワー部14との間に配設されており、下側旋回台40と、当該下側旋回台40の上面に積まれた上側旋回台42とで構成されている。脚部12の上端は、下側旋回台40の下面に接続されており、タワー部14の下端は、上側旋回台42の上面に接続されている。図示しない駆動装置からの駆動力で上側旋回台42が下側旋回台40に対して回動することにより、脚部12に対してタワー部14が回動することになる。タワー部14が回動することにより、操作室18や水平ジブ16および当該水平ジブ16に取り付けられた吊り装置20やケーブル巻き取り装置100も一緒に旋回することになる。なお、旋回装置15によるタワー部14の回動は、オペレータによって操作室18から制御される。
【0021】
水平ジブ16は、タワー部14の上端に取り付けられており、かつ、水平方向に延びる三角柱状の構造物であり、当該水平ジブ16もトラス構造で構成されている。
【0022】
操作室18は、タワー部14と水平ジブ16との取り付け部付近に配設された箱状体であり、当該操作室18内でオペレータがクレーン10を操作する。したがって、操作室18内には、クレーン10の操作に必要なすべての設備(スイッチ、ボタン、レバー等)が設けられている。
【0023】
吊り装置20は、フレーム43と、横行装置44と、フック46と、巻き上げ装置48と、カメラ50とを備えている。
【0024】
横行装置44は、フレーム43の上側に取り付けられており、吊り装置20を水平ジブ16に対して横行可能にするための装置である。横行装置44による吊り装置20の横行は、オペレータによって操作室18から制御される。
【0025】
フック46は、クレーン10で吊り上げる荷物(図示せず)を引っかけるためのものである。もちろん、フック46に変えて、クラムシェルバケット等のバケットを取り付けてもよいし、それ以外のアタッチメントを取り付けてもよい。
【0026】
巻き上げ装置48は、先端にフック46が取り付けられたワイヤー52の繰り出し、および、巻き取りを行う装置である。ワイヤー52の繰り出し(フック46が降下する)、および、巻き取り(フック46が上昇する)は、オペレータによって操作室18から制御される。
【0027】
カメラ50は、任意に取り付けられる装置であり、本実施例では下方に向けてフレーム43に取り付けられている。カメラ50で撮影された画像は操作室18に設けられたモニタ(図示せず)に表示されるようになっている。これにより、オペレータは、フック46が死角に位置しているような場合であっても、フック46を荷物に引っかけたり、荷物を移動させたりする操作を容易かつ安全に行うことができる。
【0028】
本実施例に係るケーブル巻き取り装置100は、
図2に示すように、大略、リール110と、ブラケット130と、ガイド150とを備えている。
【0029】
リール110は、それ自身が回転することによってケーブルを巻き取ったり、繰り出したりする部材であり、一対の円板部材112と、リール本体114とを有している。
【0030】
一対の円板部材112は、略円形の板材であり、互いに対向して配置されている。また、一対の円板部材112は互いに同形に形成されている。さらに、リール本体114は、略円柱状の部材であり、一対の円板部材112の間に配設されている。また、リール本体114は、一対の円板部材112よりも小径に形成されている。これにより、リール110は、リール本体114に対応する位置が凹んだ溝状になっており、当該溝部116にケーブルが巻回される。なお、本実施例のリール110は、内部にバネ機構を備えており、予め手動で回転させて自身の回転力を保持させておくことにより、後のケーブルの巻き取り/繰り出しはバネ機構による回転力で行われるようになっているが、これに変えて、リール110に回転力を付与する電動機等を設けてもよい。
【0031】
ブラケット130は、クレーン10の水平ジブ16にリール110を取り付けるための部材であり、本実施例では、大略、ベース板132と、リール保持板133と、一方の側板134と、他方の側板136とを有している。
【0032】
ベース板132は、水平ジブ16に取り付けられたジブ側ブラケット200(後述)に固定される部材であり、リール110の回転方向Rに対して直交する向きに延びる一対の長孔140が形成されている。
【0033】
リール保持板133は、ベース板132に形成された長孔140に直交する当該ベース板132の端辺から、当該ベース板132の表面に直交する方向に立設された、略正方形状の板材である。リール保持板133の略中央部には、リール110の回転軸を取り付けるリール取付孔138が複数形成されており、リール110は、このリール保持板133によって回転自在に保持されている。
【0034】
一方の側板134は、ベース板132の側縁(長孔140が延びる向きに略平行な側辺)から、当該ベース板132の表面に直交する向きに立設された板材である。一方の側板134における一方端はベース板132に対して溶接等の手段によって接続されており、他方端はリール保持板133の側縁(長孔140が延びる向きに略平行な側辺)に対して同じく溶接等の手段で接続されている。
【0035】
他方の側板136も、上述した一方の側板134と同様に、ベース板132の側縁から、当該ベース板132の表面に直交する向きに立設された板材である。他方の側板136における一方端はベース板132に対して溶接等の手段によって接続されており、他方端はリール保持板133の側縁に対して同じく溶接等の手段で接続されている。
【0036】
ガイド150は、リール110を囲む部材であり、本実施例では、第1フレーム152と、第2フレーム154と、第3フレーム156と、一対の振れ止め部材158とを有している。
【0037】
第1フレーム152は、
図3に示すように、断面が略C形の部材を折り曲げたような形状をしている。この第1フレーム152における、折り曲げ位置を境にした一方側をA部160といい、他方側をB部162という。A部160には4つの長孔164が形成されており、B部162には、2つの長孔166が形成されている。
【0038】
図2に戻り、第1フレーム152は、そのA部160がブラケット130における一方の側板134の外側面にボルト(図示せず)等で固定される。なお、上述のように、A部160には長孔164が形成されているので、一方の側板134に対するA部160(第1フレーム152)の固定位置の上下方向を調整できる。
【0039】
第2フレーム154は、
図4に示すように、断面が略C形の部材を折り曲げた形状をしている。この第2フレーム154における、折り曲げ位置を境にした一方側をC部168といい、他方側をD部170という。C部168には、2つの長孔172が形成されており、D部170には、4つの長孔174が形成されている。
【0040】
図2に戻り、第2フレーム154は、そのD部170がブラケット130における他方の側板136の外側面にボルト(図示せず)等で固定される。なお、上述のように、D部170には長孔174が形成されているので、他方の側板136に対するD部170(第2フレーム154)の固定位置の上下方向を調整できる。
【0041】
第3フレーム156は、
図5に示すように、断面が略L形の部材を2箇所で折り曲げることによって全体が略C形に形成されている。つまり、第3フレーム156は、E部176(図中、上側の左右方向に延びる部分)と、F部178(図中、右側の上下方向に延びる部材)と、G部180(図中、下側の左右方向に延びる部材)とで一体に形成されている。この第3フレーム156における両端部(E部176の図中左端部、および、G部180の図中左端部)には、それぞれ2箇所の長孔182,184が形成されている。
【0042】
図2に戻り、第3フレーム156のE部176に形成された長孔182に、第2フレーム154のC部168に形成された長孔172の位置を合わせたうえで、ボルト等により、第3フレーム156と第2フレーム154とが固定される。また、第3フレーム156のG部180に形成された長孔184に、第1フレーム152のB部162に形成された長孔166の位置を合わせたうえで、ボルト等により、第3フレーム156と第1フレーム152とが固定される。これにより、第3フレーム156が、第1フレーム152および第2フレーム154を介して、ブラケット130に固定される。
【0043】
上述したように、ブラケット130に対する、第1フレーム152および第2フレーム154の固定位置の上下方向を調整することにより、ブラケット130に対する第3フレーム156の上下位置を調整できる。さらにいえば、第3フレーム156は、第1フレーム152および第2フレーム154に対して長孔166,172,182,184で固定されているので、ブラケット130に対する、当該ブラケット130の長手方向(ブラケット130のベース板132に形成された長孔140が延びる方向に平行な方向)の固定位置を調整できる。これにより、リール110の回転面に対する振れ止め部材158の位置を調整できるようになる。この点については後述する。
【0044】
一対の振れ止め部材158は、パイプ材を略半円形に曲げるようにして形成された部材であり、
図5に示すように、互いに所定の間隔をあけて(本実施例の場合、リール110を構成する一対の円板部材112の離間距離とほぼ同じ間隔に設定されている。)、それぞれの一端が第3フレーム156のE部176に接続されているとともに、それぞれの他端が第3フレーム156のG部180に接続されている。つまり、各振れ止め部材158は、それぞれ、第3フレーム156のE部176とG部180との間に架け渡されている。また、各振れ止め部材158の湾曲半径は、リール110を構成する円板部材112の半径よりも大きく形成されている。
【0045】
これにより、上述のように第3フレーム156をブラケット130に固定したとき、
図2に示すように、一方の振れ止め部材158が対応する一方の円板部材112の周縁とほぼ同一平面上にあって、かつ、一方の円板部材112の周縁よりも外側に位置するようになっている。また、他方の振れ止め部材158も同様であり、対応する他方の円板部材112の周縁とほぼ同一平面上にあって、かつ、他方の円板部材112の周縁よりも外側に位置するようになっている。振れ止め部材158の位置決めは、上述のように、ブラケット130に対する第3フレーム156の位置を調整することによって行われる。つまり、本実施例では、ブラケット130と、ガイド150における第1フレーム152、第2フレーム154、および第3フレーム156とによって、リール110に対する振れ止め部材158の固定位置の上下方向を調整する「振れ止め部材固定位置調整手段」が構成されている。
【0046】
次に、クレーン10の水平ジブ16に対するケーブル巻き取り装置100の取り付け構造について説明する。
図6は、ケーブル巻き取り装置100を水平ジブ16に取り付けるためのジブ側ブラケット200を示している。
【0047】
ジブ側ブラケット200は、大略、上下一対の取り付けフレーム202,204と、ジブ側ブラケット本体210とを備えている。
【0048】
上下一対の取り付けフレーム202,204は、それぞれ、長手方向に延びる複数の長孔212が形成されたアングル材であり、水平ジブ16を構成するトラス材60に対してUボルト等を用いて固定されている。
【0049】
ジブ側ブラケット本体210は、第2ベース板214と、フレーム取付板216と、一方の第2側板218と、他方の第2側板220とを有している。
【0050】
第2ベース板214は、ケーブル巻き取り装置100のブラケット130におけるベース板132が載置および固定される部材であり、図示しない長孔が形成されている。
【0051】
フレーム取付板216は、第2ベース板214の端辺から、所定の角度をもって図中下方へ立設された、略正方形状の板材である。第2ベース板214に対するフレーム取付板216の取り付け角度は、水平ジブ16のトラス材60の垂直面に対する角度に応じて設定される。当該角度は、ジブ側ブラケット本体210をトラス材60に固定したとき、第2ベース板214の表面がほぼ水平となるように設定される。
【0052】
一方の第2側板218は、第2ベース板214の側縁から、当該第2ベース板214の表面に直交する向きに立設された板材である。一方の第2側板218における一方端は第2ベース板214に対して溶接等の手段によって接続されており、他方端はフレーム取付板216の側縁に対して同じく溶接等の手段で接続されている。
【0053】
他方の第2側板220も、上述した一方の第2側板218と同様に、第2ベース板214の側縁から、当該第2ベース板214の表面に直交する向きに立設された板材である。他方の第2側板220における一方端は第2ベース板214に対して溶接等の手段によって接続されており、他方端はフレーム取付板216の側縁に対して同じく溶接等の手段で接続されている。
【0054】
このようなジブ側ブラケット200にケーブル巻き取り装置100を固定し、水平ジブ16の長手方向に直交する断面で見たときの状態を
図7に示す。ケーブル巻き取り装置100の固定は、上述のように、ジブ側ブラケット本体210の第2ベース板214にケーブル巻き取り装置100のブラケット130を載置および固定することによって行う。このとき、吊り装置20に取り付けられたケーブル引き止め金具62が、ケーブル巻き取り装置100のリール110におけるリール本体114の略中央位置を通る仮想中央線CL上にくるようにケーブル巻き取り装置100の固定位置を調整する。ケーブル引き止め金具62は、吊り装置20におけるケーブルCの固定点となる金具である。ケーブル引き止め金具62の形状/形式は図示したものに限定されず、多種多様な形状/形式のものを適用できる。いずれの形状であっても、上述の通り、吊り装置20におけるケーブルCの固定点となる位置が、リール本体114の略中央位置を通る仮想中央線CL上にくるようにケーブル巻き取り装置100の固定位置を調整する。
【0055】
このようにケーブル巻き取り装置100の固定位置を調整することにより、吊り装置20が水平ジブ16に沿って移動を繰り返した場合であっても、ケーブルCがリール110のリール本体114に偏って巻き取られて、ケーブル巻き取り装置100がケーブルCを繰り出し/巻き取りする際にトラブルが生じるおそれを低減できる。
【0056】
次に、ケーブル巻き取り装置100の振れ止め部材158について詳述する。
図8において模式的に示すように(図中、振れ止め部材158として、その断面形状(丸形)が描かれている。)、振れ止め部材158は、リール110の円板部材112における周縁118よりも外側(リール110の回転中心軸LCからより離間した位置)に位置するようになっている。これにより、リール110がケーブルCを巻き取っている最中に、横風の影響や、水平ジブ16が旋回装置15によって旋回された際の動きによる慣性力等によってケーブルCが図中左右方向に撓んだとき、当該ケーブルCがリール110の円板部材112を越えてリール110の回転中心軸LCの方向に外れた状態で巻かれてしまう「乱巻き」が生じるおそれを低減できる。
【0057】
振れ止め部材158の位置は、リール110の回転中心軸LCからの距離が長いほど効果的である。例えば、振れ止め部材158が回転中心軸LCからL
1の距離にある場合におけるケーブルCの振れ角度がθ
1であるとき、回転中心軸LCからの距離がL
1よりも長いL
2の位置に振れ止め部材158がある場合、ケーブルCの振れ角度は、θ
1よりも小さい角度θ
2に制限できるからである。
【0058】
また、振れ止め部材158の図中左右方向(リール110の回転中心軸LCに平行な方向)の位置は、リール110の円板部材112の内縁を通る仮想線IL上に一対の振れ止め部材158の内端が位置するようにするのが好適である。振れ止め部材158の位置をさらに仮想中央線CL寄りに設定すると、ケーブルCの振れ角度を小さく制限できるものの、リール本体114における円板部材112との接合位置近傍部分をケーブルCの巻き取りに使用できなくなるおそれがあり、無駄が生じるからである。逆に、振れ止め部材158の位置をさらに仮想中央線CLから離間させた位置に設定すると、「乱巻き」が生じる可能性が高まる。
【0059】
図9および
図10には、吊り装置20が水平ジブ16に沿って横行した場合における、ケーブルCと振れ止め部材158との位置関係を示している。本実施例において、ケーブル巻き取り装置100は、吊り装置20よりも高い位置に配置されている。なお、
図9における「X」は、吊り装置20が操作室18から最も離間した位置にある例を示している。また、「Y」は、吊り装置20が操作室18に最も近い位置にある例を示している。
【0060】
図10に示すように、吊り装置20が位置「X」にある場合、当該吊り装置20は、図中のケーブル巻き取り装置100よりも図中左側に位置している(
図10において、吊り装置20の図示は省略されている)。逆に、吊り装置20が位置「Y」にある場合、当該吊り装置20は、図中のケーブル巻き取り装置100よりも図中右側に位置している。なお、
図10において、ケーブルCの巻き取り時におけるリール110の回転方向は反時計回りであるが、仮に、当該巻き取り回転方向が逆(時計回り)の場合、振れ止め部材158の位置は、リール110の回転中心を通る垂直線Vを中心として線対称の位置になる。
【0061】
吊り装置20が位置「X」にある場合、ケーブルCは、リール110におけるリール本体114の下端部から、吊り装置20のケーブル引き止め金具62(
図10には図示していない)に向けて延びることになる。ただし、現実的には、リール本体114に巻回されたケーブルCが残存していることから、リール本体114の下端部からさらに下方の位置(図中、リール本体114に巻回されたケーブルCの位置「MC」と垂直線Vとの交点「LO」)からケーブル引き止め金具62に向けて延びることになる。
【0062】
吊り装置20が位置「Y」にある場合、ケーブルCは、リール本体114の上端部から、同じく吊り装置20のケーブル引き止め金具62に向けて延びることになる。この場合も、現実的には、リール本体114に巻回されたケーブルCが残存していることから、リール本体114の上端部からさらに上方の位置(図中「MC」と垂直線Vとの交点「HI」)からケーブル引き止め金具62に向けて延びることになる。
【0063】
したがって、リール110を側面から見たときにおける振れ止め部材158の最大設定範囲D
Maxは、リール本体114の下端に接する水平線LPから、リール本体114に巻回された残存ケーブルCを考慮した位置HIを通る水平線HPまでとなるので、この最大設定範囲D
Maxで振れ止め部材158が存在するように、ガイド150の位置を調整するのが好適である。
【0064】
なお、本実施例のように吊り装置20が横行するタイプのクレーン10に取り付ける場合は上記の最大設定範囲D
Maxとなるが、吊り装置20が移動しないタイプのクレーンにケーブル巻き取り装置100を適用する場合、振れ止め部材158の最大設定範囲D
Maxは、より狭い範囲となる。つまり、振れ止め部材158は、ケーブルCの移動範囲に応じた最大範囲をカバーできていればよい。これにより、リール110の周囲に振れ止め部材158が存在しない領域(例えば、
図10では、リール110の左上部)が生じるので、リール110やリール110に対するケーブルCの巻き具合等のメンテナンスの際、当該領域からリール110等にアクセスするのが容易になる。
【0065】
また、
図5に示すように、本実施例のガイド150は、一方の振れ止め部材158の一方の端部と、他方の振れ止め部材158の一方の端部との間に、第3フレーム156のE部176が架け渡されており、一方の振れ止め部材158の他方の端部と、他方の振れ止め部材158の他方の端部との間に、第3フレーム156のG部180が架け渡されている。このような構造になっているので、万一、ケーブルCの移動範囲が設計時よりも大きくなり、振れ止め部材158の最大設定範囲D
Maxを越えてしまうような場合であっても、一対の振れ止め部材158間に架け渡されている横フレーム(上記実施例では、第3フレーム156のE部176やG部180)にケーブルCが当接して、リール110に対するケーブルCの角度がそれ以上変化するのを制限するので、ケーブルCが振れ止め部材158の範囲から外れてしまうのを回避できる。
【0066】
ガイド150の位置の調整について説明すると、すでに述べたように(
図2参照)、ガイド150の第1フレーム152および第2フレーム154は、ブラケット130に対する固定位置の上下方向を調整できる。リール110は、ブラケット130を構成するリール保持板133に回転可能に固定されていることから、ガイド150は、リール110に対する固定位置の上下方向を調整できる。
【0067】
このようにリール110に対するガイド150の固定位置の上下方向を調整することにより、
図11に示すように、振れ止め部材158の設定範囲を調整できる。リール110に対するガイド150の固定位置の上下方向を比較的高い位置(
図11中、「(H)」の位置)に設定した場合と、比較的低い位置(
図11中、「(L)」の位置)に設定した場合とを比較すると、比較的高い位置(H)にある場合、リール110を側面から見たときの設定範囲は広くなる。図示するように、比較的高い位置(H)にある場合は、水平線HPから水平線LPまで十分な余裕をもって設定範囲内に収まっていることがわかる。
【0068】
しかしながら、比較的高い位置(H)にある場合、リール110の回転中心軸LCから振れ止め部材158までの距離L
Hは、比較的低い位置(L)にある場合の距離L
Lよりも短くなってしまうことから、上述した理由により、「乱巻き」を防止する効果はかえって低くなってしまうおそれがある。
【0069】
以上のことから、リール110に対するガイド150の上下方向の位置を調整する際には、リール110を側面から見たときにおける振れ止め部材158の設定範囲の観点と、これとは別に、「乱巻き」を防止する効果の観点(つまり、リール110の回転中心軸LCから、円板部材112の周縁118までの距離と、振れ止め部材158までの距離との関係。
図8を参照)とから、最適な位置に設定するのが好適である。
【0070】
(変形例)
上述した実施例では、リール110を側面から見たときにおける振れ止め部材158の最大設定範囲D
Maxについて説明し、振れ止め部材158の範囲をこの最大設定範囲D
Maxに設定していたが、
図12に示すように、振れ止め部材158を側面から見た状態で円形に形成してもよい。ただし、このように振れ止め部材158を円形に形成すると、「乱巻き」防止効果に寄与しない部分がでてくること、および、リール110やリール110に対するケーブルCの巻き具合等のメンテナンスの際、
図12における振れ止め部材158の上側部が邪魔になってリール110等にアクセスし難いことなどが考えられることから、振れ止め部材158の範囲は必要な範囲に限定するのが好適である。
【0071】
また、振れ止め部材158の全体形状も、上述した半円形に限定されるものではなく、例えば、
図13に示すように、四角形(
図13(a))や多角形(
図13(b))としてもよい。
【0072】
さらに、上記実施例のようにガイド150をブラケット130に固定するのではなく、
図14に示すように、ガイド150をリール110の回転中心軸LCで固定支持してもよい。具体的には、第4フレーム250をリール110の回転中心軸LCに取り付けた後、当該第4フレーム250の両端部に振れ止め部材158の両端をそれぞれ接合することでケーブル巻き取り装置100を構成してもよい。
【0073】
また、上述した実施例では、振れ止め部材158にパイプを使用しているが、振れ止め部材158の断面形状はこれに限定されず、例えば、中実円形状、多角形状、半円形状といった他の形状を採用することができる。
【0074】
また、上述した実施例では、横行装置44付きの吊り装置20を備えるクレーン10に本発明に係るケーブル巻き取り装置100を適用していたが、ケーブル巻き取り装置100が適用可能なクレーンはこれに限定されるものではない。ケーブル巻き取り装置100は、各種ケーブルの巻き取り、および、繰り出しが必要なすべてのタイプのクレーンに適用することができる。
【0075】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
ケーブル巻き取り装置(100)を、少なくとも、ケーブルCが巻回されるリール(110)と、一対の振れ止め部材(158)とで構成する。そして、リールを、互いに対向して配置された一対の円板部材(112)と、円板部材よりも小径であり、円板部材間に配設されたリール本体(114)とで構成する。さらに、一対の振れ止め部材を、それぞれ対応する円板部材の周縁(118)よりも外側に位置させる。これにより、上記課題を解決できる。