(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記モード切替部は、前記原稿画像データの容量又は前記原稿画像データに含まれるオブジェクトの内容に応じて前記選択処理を行うことを特徴とする請求項1記載の画像データ変換ユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、画像形成装置側において、入力された画像データを、比較的複雑な圧縮アルゴリズムに基づき圧縮処理して印刷処理を行う技術であるため、ファイル容量の大きい入力データが画像形成装置に入力されると装置側の負担が増大して印刷処理の遅延を招く。このような場合には、ジョブデータの転送速度を印刷処理の速度と同期させることができず、その結果、印刷処理の速度が低下するという問題があった。一方、データを高圧縮化するアルゴリズムについては、アルゴリズムへの適応性が高い特定のデータに対して有効であるものの、その他のデータに対しては必ずしも有効ではない。例えば、「11112222333333444」のように、同じ値が連続することが多いデータは、圧縮適応性が高く圧縮しやすい。これに対して、「123441223411234」のように、同じ値が連続することが少ないデータは、圧縮適応性が低く圧縮しづらい。そのため、全てのデータを一律に高圧縮させることができず、ジョブデータの種類によっては圧縮時間の増加を招くこととなる。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたもので、複雑な圧縮アルゴリズムを用いることなく、汎用性の高い手法によって、印刷処理の対象となるジョブデータのファイル容量を軽減し、画像形成装置における印刷処理の高速化が図れる画像データ変換ユニットを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明は、
原稿画像データ(例えば、
図3の印刷設定データ、画像データ)を画素毎の濃度に応じた印刷用階調データに変換し、圧縮処理後に出力する画像データ変換ユニット(例えば、
図3のデータ変換モジュール120)であって、
前記原稿画像データを所定階調数の前記印刷用階調データに変換する標準モード変換部(例えば、
図3の色変換部123、中間調処理部125)と、
前記原稿画像データを前記所定階調数よりも少ない階調数の前記印刷用階調データに変換するデータ圧縮モード変換部(例えば、
図3の色変換部123、データ置換部124、中間調処理部125)と、
前記標準モード変換部によるデータ変換と前記データ圧縮モード変換部によるデータ変換とのいずれか一方を選択するモード切替部(例えば、
図3のモード切替部121)と、
前記モード切替部で選択したモードによるデータ変換を用いて、前記印刷用階調データを圧縮処理するデータ圧縮部(例えば、
図3のデータ圧縮部126)と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
上記発明によれば、モード切替部でデータ圧縮モード変換部によるデータ変換を選択すると、通常モード変換部によるデータ変換よりも少ない階調数の印刷用階調データに変換され、データ圧縮部で圧縮される。したがって、データ圧縮部が圧縮する印刷用階調データは、標準モード変換部によるデータ変換の場合よりも相対的に隣接画素間での階調数の連続性が高くなる。このため、特殊なアルゴリズムのデータ圧縮方法に頼らず一般的なデータ圧縮方法を用いても、データ圧縮部における圧縮効率を高めることができる。よって、印刷用階調データのデータ伝送を画像形成装置における印刷処理と同期させやすくして、印刷処理の高速化を図ることができる。
【0010】
また、印刷用階調データの階調数を減らさない標準モード変換部によるデータ変換も選択できるので、データ圧縮モードによるデータ変換と使い分けて、状況によっては、標準モード変換部によるデータ変換を用いることで、画像品質の劣化の少ない印刷物を取得することができ、ユーザーの意図する印刷物を提供することができる。
【0011】
また、本発明は、前記モード切替部は、前記原稿画像データの容量又は前記原稿画像データに含まれるオブジェクトの内容に応じて前記選択処理を行うことを特徴とする。
【0012】
上記発明によれば、例えば、原稿画像が写真を含む場合や原稿枚数が少なく原稿画像データの容量が少ない場合に標準モード変換部によるデータ変換を用いることで、画像品質の劣化の少ない印刷物を取得することができ、ユーザーの意図する印刷物を提供することができる。
【0013】
さらに、本発明は、前記データ圧縮モード変換部は、前記標準モード変換部で変換した前記標準モードの印刷用階調データを複数の単位面積エリアに分割し、各単位面積エリア内の画素の合計階調値から、各単位面積エリア内の画素毎の階調値を、前記所定階調数よりも少ない階調数で決定するデータ置換部(例えば、
図3のデータ置換部124)を有していることを特徴とする。
【0014】
上記発明によれば、例えばインクジェットプリンタの場合は、ドロップデータを標準モード変換部によるデータ変換で所定階調数の印刷用階調データに一旦変換し、これを2値化処理する等して、所定階調数よりも階調数が少ない印刷用階調データへのデータ圧縮モード変換部による変換を実現することができる。このため、既存のドライバ等のソフトウェアをバージョンアップさせることのみで、データ転送速度を高速化させることができ、画像形成装置の実質的な印刷速度の低下を防止することができる。
【0015】
また、本発明は、前記所定階調数は、原稿画像の印刷に使用する記録媒体の種類に応じて決定される階調数であることを特徴とする。
【0016】
上記発明では、記録媒体の種類に応じて標準モード変換部によるデータ変換の階調数(所定階調数)が定まり、それよりも少ない階調数でデータ圧縮モード変換部によるデータ変換が行われる。このため、例えば、インクジェットプリンタにおいて、ドットゲインが大きい普通紙では、所定階調数を下げ、ドットゲインが小さい光沢紙やマット紙などでは、所定階調数を上げるなどすることで、記録媒体に応じて取得される印刷物の画像品質を担保することができる。
【0017】
さらに、本発明は、前記データ圧縮モード変換部は、原稿画像中の、無彩色インクと有彩色インクとで黒色を印刷する部分に対応する画素について、有彩色インクに対応するデータ部分の階調数をゼロとした前記データ圧縮モードによる印刷用階調データを生成することを特徴とする。
【0018】
上記発明によれば、画像形成装置が、例えば、画像の黒ベタ部分を無彩色インク(K(ブラック))と有彩色インク(C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー))とを組み合わせて印刷するコンポジット印刷を行う場合、データ圧縮モードでは、印刷用階調データ中の有彩色インクの階調数はゼロにされる。このため、データ圧縮モードでは、無彩色インクの階調数が隣り合う画素間で連続していさえすれば、データ圧縮を高効率で行うことができる。よって、データ圧縮モードによる印刷用階調データのデータ圧縮効率をより高めることができる。
【0019】
なお、上記発明の画像データ変換ユニットは、所定の言語で記述されたプログラムをコンピュータ上で実行することにより実現することができる。このようなプログラムを、パーソナルコンピュータ等のユーザー端末や印刷装置にインストールし、CPU上で実行することにより、上述した各機能を有する画像データ変換ユニットを容易に構築することができる。このようなプログラムは、例えば、パーソナルコンピュータ上で実行されるアプリケーションやドライバソフト、OSの他、ルーターや画像形成装置のファームウェアとして実装することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、複雑な圧縮アルゴリズムを用いることなく、汎用性の高い手法によって、印刷処理の対象となるジョブデータのファイル容量を軽減し、画像形成装置における印刷処理の高速化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施形態]
以下に添付図面を参照して、本発明に係る画像データ変換ユニットの第1実施形態を詳細に説明する。なお、ここでは、印刷装置2(画像形成装置)は、多数のノズルが形成されたインクヘッドを複数備え、それぞれのインクヘッドから黒又はカラーインクを吐出してライン単位で印刷を行い、搬送ベルト上の記録用紙上に複数の画像を互いに重なり合うように形成するインクジェット方式のラインカラープリンタを例に説明する。
【0023】
(印刷システムの全体構成)
図1は、本実施形態に係る画像データ変換ユニットを含む印刷システムの全体構成を示す概念図である。本実施形態における画像データ変換ユニットは、データ変換プログラムをドライバとしてユーザー端末1(1a〜1c)にインストールすることによって構成される。
【0024】
そして、本実施形態では、
図1に示すように、ネットワーク3に対して、印刷装置2と、複数のユーザー端末1(1a〜1c)とが接続されている。ネットワーク3は、通信プロトコルTCP/IPを用いた10BASE−Tや100BASE−TX等によるローカルネットワーク(LAN)や無線LAN(WLAN)等の無線ネットワークであり、例えば、ピア・トゥー・ピアによる家庭内ネットワークなどの簡易的なネットワークなども含まれる。
【0025】
ユーザー端末1(1a〜1c)は、CPUを備えた演算処理装置であり、各種アプリケーションソフトにより印刷用の画像データを作成し、その画像データについて、プリンタドライバソフトやOS、ファームウェアを通じ、印刷装置2に対して印刷処理の実行を指示する機能を備えている。このユーザー端末1は、例えば、パーソナルコンピュータ等の汎用コンピュータや、機能を特化させた専用装置により実現することができ、モバイルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistance)、スマートフォンなどの携帯電話機であってもよい。
【0026】
印刷装置2は、本実施形態では、インクジェットプリンタであり、複数段の階調で濃度が変化される多数の画素で構成された印刷用階調データに応じて、各画素に対するインクの液滴数を変化させつつ、インクを記録媒体である印刷用紙へ吐出することにより、印刷用紙に画像を形成する。そして、特に、この印刷装置2は、ユーザー操作に基づく印刷指示に従って、ネットワーク3を通じてユーザー端末1から受信したジョブデータ(原稿画像データ)によって原稿画像を印刷するネットワークプリンタとしての機能を有する。
【0027】
(ユーザー端末の構成)
図2は、ユーザー端末1(1a〜1c)の内部構成を示すブロック図であり、
図3は、ドライバ110をインストールすることにより、ユーザー端末1の演算処理部10上に仮想的に構築される機能モジュールを示すブロック図である。なお、本実施形態中で用いられる「モジュール」とは、装置や機器等のハードウェア、或いはその機能を持ったソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成され、所定の動作を達成するための機能単位を示す。
【0028】
図2に示すように、ユーザー端末1(1a〜1c)は、種々の演算処理を行う演算処理部10と、データや実行プログラム等のデータを保存するハードディスク11と、ユーザー端末1に対してデータや操作信号、映像・音声信号等の入出力を行う出力インターフェース12及び入力インターフェース13と、ネットワーク3を介して通信を行うための通信インターフェース14と、これらの各モジュールを接続するバス15とから構成されている。
【0029】
出力インターフェース12及び入力インターフェース13は、データや映像・音声信号等の入出力を行う外部端子を含むデータ転送モジュールである。各インターフェース12.13には、具体的には、ディスプレイ16等の表示装置や、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、ハードディスクドライブ、マウス13aやキーボード13b等の入力デバイスなど、一般的に用いられているデバイスが接続され、各デバイスに適合した信号形式でデータや信号の送受信を行う。通信インターフェース14は、印刷装置2との間でデータの送受信を行う通信インターフェースであり、例えば、10BASE−Tや100BASE−TX等に代表されるLAN用通信プロトコルや、シリアル方式、USB方式によりデータの通信を行う。
【0030】
ハードディスク11は、各種データを蓄積する記憶装置であり、マウス13aやキーボード13b等の入力デバイスから入力されたデータや演算処理部10による演算処理の結果を保存するものである。また、ハードディスク11には、データ変換に関する標準モード、圧縮モード、及びドロップデータ圧縮モードの切り替え条件が蓄積されている。
【0031】
演算処理部10は、プロセッサやメモリその他の周辺装置によって構成される演算装置である。特に、本実施形態においてこの演算処理部10上では、OS101が実行され、OS101上でアプリケーション102が実行され、このOS101により上記各部11〜14の制御を行うドライバ110が実行される。演算処理部10上において、後述するデータ変換プログラムを起動することによって、印刷装置2にデータ転送する印刷データをデータ変換するデータ変換ユニットが仮想的に構築され、当該ユーザー端末がデータ変換ユニットとして機能させることができる。
【0032】
ドライバ110は、ユーザー端末1に接続された印刷装置2を制御するために、ユーザー端末1上で実行されるデータ変換プログラムである。ドライバ10は、通常は、原稿データを取得し、所定の印刷設定情報に従って印刷用のイメージデータである印刷データを生成し、圧縮処理して印刷装置2にジョブデータとして送出し、印刷装置2に印刷処理を実行させる。そして、このドライバ110は、印刷に係るジョブデータに対し、ファイル容量を低減させるデータ変換処理を実行する。
【0033】
(ドライバ110の構成)
図3に示すように、本実施形態において、このドライバ110は、制御部111と、印刷データ送信部112と、データ変換モジュール120(請求項中の画像データ変換ユニットに相当)とを備えている。
【0034】
制御部111は、ドライバ110の動作全体を制御するモジュールであり、具体的には、印刷設定データに基づいて、データ送受信の他、データ変換モジュール120における画像データからドロップデータへのデータ変換を制御している。この印刷設定データには、印刷モードや、原稿データのサイズ、解像度、印刷用紙のサイズ及び印刷方向など、通常印刷に必要な情報が含まれる。また、制御部111は、印刷用紙の種類に関する情報を取得する記録媒体取得機能を備えており、印刷装置2に設定されている印刷用紙の種類を取得し、その情報に基づいてデータ変換モジュール120を制御している。
【0035】
印刷データ送信部112は、データ変換モジュール120において変換された印刷データ(ドロップデータ)を最終的な印刷データとしてジョブデータに含ませて、印刷装置2に送出するモジュールである。
【0036】
データ変換モジュール120は、原稿データからドロップデータへのデータ変換処理を実行するモジュール群であり、
図3に示すように、モード切替部121と、画像データ取得部122と、色変換部123と、データ置換部124と、中間調処理部125と、データ圧縮部126とを備えている。画像データ取得部122は、画像形成に係る画像データを取得するモジュールであり、アプリケーションソフトから取得した画像データをモード切替部121と、色変換部123に送信する。
【0037】
モード切替部121は、標準モードとデータ圧縮モードとのいずれかを選択し、選択されたモードに従って画像データ取得部122から出力された画像データの処理順序を切り替えるモジュールである。なお、データ圧縮モードには、ドロップデータの生成時にデータ圧縮(2値化)を同時に行う第1データ圧縮モードと、ドロップデータへの多値化を行った後、さらにデータ圧縮(2値化)を行う第2データ圧縮モードとがある。
【0038】
標準モードとは、印刷装置において一般的に行われている通常のデータ変換処理であり、画像データ取得部122で取得された画像データをそのまま中間調処理部125に入力してドロップデータを生成するモードである。一方、データ圧縮モードのうち第1データ圧縮モードとは、画像データ取得部122で取得された画像データを、データ置換部124に入力し、所定の階調(ここでは2値)に多値化された画素パターンで置換した後、中間調処理部125でドロップデータを生成するモードである。ここで、「画素パターン」とは、例えば、2値化処理などを行うことで算出される同階調の画素の並びを示したパターンである。また、第2のデータ圧縮モードとは、画像データ取得部122で取得された画像データを中間調処理部125に入力してドロップデータを生成した後、データ置換部124においてドロップデータを画素パターンに置換するモードである。
【0039】
なお、この標準モードとデータ圧縮モードとの切り替えは、印刷設定データの各条件に基づいて決定されるようになっている。例えば、データファイルの容量に応じて各モードを切り替える閾値を設定し、データファイルの容量が所定の閾値よりも大きいか小さいかで、どちらのモードを選択するかを自動的に決定するようにしてもよい。具体的には、閾値よりもデータファイル容量が大きい場合には、圧縮率を高めるため、データ圧縮モードを選択するようにしてもよい。反対に、データファイルの容量が所定の閾値よりも小さい場合や、原稿画像に写真が含まれている場合や、色情報に肌色が含まれる写真が原稿画像に含まれている場合には、画像の品質を優先させるため、標準モードを選択するようにしてもよい。なお、この画像データ内の色情報の判別としては、例えば、自動原稿色判別(ACS)機能を用いたり、ファイルの拡張子を参照して自動で判別する他、ユーザー操作によって手動で行ってもよい。
【0040】
色変換部123は、画像処理に特化したデジタル信号処理を行うモジュールであり、画像データ取得部122から取得した画像データをイメージデータを含む印刷データに変換する。具体的に、色変換部123は、画像データのRGB値[0〜255]をCMYK値[0〜255]に変換する。この色変換部123は、モード切替部121によって制御され、モード切替部121からの制御信号が通常印刷時である標準モードや第2データ圧縮モードである場合には、印刷データ(CMYK値[0〜255])を中間調処理部125へ送出する。一方、モード切替部121からの制御信号が第1データ圧縮モードである場合には、印刷データ(CMYK値[0〜255])をデータ置換部124へ送出する。
【0041】
また、色変換部123は、コンポジット印刷部分を単色印刷に置換する機能を備えている。具体的には、色変換部123は、モード切替部121の制御により、画像データの処理順序中に、複数色を合成して形成される画素を、その合成された画素と同一色であって且つ単一色の画素に変換する。この単一色変換処理について詳述すると、入力された画像データのある画像領域には、
図4(a)に示すように、KインクとCMYインクとが組み合わせて印刷される、いわゆるコンポジット印刷による黒ベタ部分P1が含まれる。このようなコンポジット印刷による黒ベタ部分について、CMYインクを用いると、
図4(b)に示すように、インク量が0の画素と、インク量が0以上の画素が点在してしまうこととなり、同階調のドロップデータが連続しなくなり、圧縮率が低下することとなる。
【0042】
そこで、本実施形態では、
図4(a)に示すように、KインクとCMYインクとが組み合わせてコンポジット印刷される黒ベタ部分P1については、
図4(b)に示すように、画素の黒と同一色である単一のKインクのみで印刷されるように画像データを変換する。具体的には、例えば
図5(b)に示すように、CMYKインク量がそれぞれ、C値=20、M値=20、Y値=20、K値=100となっている画素部分の印刷データを、
図5(a)に示すように、C値=0、M値=0、Y値=0、K値=100となる印刷データへ変換し、
図4(a)に示すように、Kインクのみ使用してCMYインク部分は0ドロップデータを連続させる。
【0043】
この単一色変換処理を実行するか否かは、モード切替部121によって、印刷用紙の種類に応じて処理するようにしてもよい。具体的には、例えば、印刷用紙がドットゲインの小さい光沢紙やマット紙である場合には、Kインクのみでは印刷物の再現率が低いため、CMYインクを使用すると判断し、印刷用紙がドットゲインの大きい普通紙である場合には、Kインクのみで印刷物の再現率が高いため、単一色変換処理を実行すると判断する。
【0044】
データ置換部124は、画像データにおける各画素の濃度に関する情報(CMYK値[0〜255])を所定数の階調に置換するモジュールである。具体的に、データ置換部124は、
図6に示すように、画像データを所定面積の単位面積(例えば、
図6の場合は3×3画素)に分割し、各単位面積内における濃度に応じて、同階調の画素が連続する画素パターン(例えば、
図6(b)に示すように、行方向については左から右に、列方向については上から下にそれぞれ向けて、000050000)を単位面積毎に算出し、単位面積に含まれる各画素値(同じく、101011010)を、その単位面積に対して算出された画素パターンで置換する。そして、画像データの全域に対してこのような画素パターンを算出し置換することで、画像データの全体に対する画素パターンの置換(変換)が行われる。
【0045】
すなわち、本実施形態において、データ置換部124は、印刷データを2値化して画素パターンを算出している。この2値化処理には、例えば、前の画素で発生した誤差を次の画素に足して各画素の濃淡レベルを閾値と比較する誤差拡散処理や、所定のディザマトリックスを画像データに重ね合わせ、対応する各画素の濃淡レベルと閾値を比較する組織的ディザ等の種々の手法を用いている。
【0046】
特に、本実施形態において、データ置換部124は、第2データ圧縮モードによって多値のドロップデータ(Drop値[0〜5])が入力された場合には、各単位面積における濃度を確保しつつ、2値化処理して画素パターンを算出している。具体的には、
図6(a)に示すような、3画素×3画素の単位面積部分に1ドロップデータが5箇所に発生し、全体として5ドロップ分の濃度を有している場合には、
図6(b)に示すように、中央部分の単位面積部分に5ドロップデータを位置させ、その他の単位面積部分については、ドロップデータが0として、全体として5ドロップ分の濃度を確保した画素パターンに置換する。また、例えば、誤差拡散法のように、左上の画素から順に右方向で、上から下へと各画素と閾値とを比較しつつ、前の画素で発生した誤差を次の誤差に足していき、
図6(c)に示すように、5ドロップが蓄積された画素に5ドロップデータを位置させるようにしてもよい。
【0047】
なお、多値のドロップデータ(Drop値[0〜5])についてのデータ置換は、これらに限定するものではなく、例えば、分割された所定面積の単位面積の一方に濃度が偏っている場合には、その偏った方の単位面積内に5ドロップをプロットさせてもよい。
【0048】
そして、データ置換部124では、モード切替部121の制御により、第1圧縮モードが選択されている場合には、色変換部123から入力された多値の印刷データ(CMYK値[0〜255])を2値化して、その2値化された印刷データ(CMYK値[0又は255])を中間調処理部125へ送信する。一方、第2データ圧縮モードが選択されている場合には、中間調処理部125から入力されたドロップデータ(Drop値[0〜5])を2値化して、2値化されたドロップデータ(Drop値[0又は5])を生成し、そのドロップデータ(Drop値[0又は5])をデータ圧縮部126へ送信する。
【0049】
中間調処理部125は、画像データにおける各画素の濃度に関する情報を、画像形成時における印刷階調に関する情報に変換して、印刷用階調データを生成するモジュールである。ここで、本実施形態における印刷用階調データとは、インクジェットプリンタで吐出されるインクの液滴数を示しており、この液滴数をドロップデータとして生成している。本実施形態では、印刷データのCMYKの値(0〜255)に対応して、段階的に0〜5ドロップのドロップデータを生成するようになっている。
【0050】
具体的に、中間調処理部125は、モード切替部121の制御により、標準モードが選択されている場合には、色変換部123から入力された多値の印刷データ(CMYK値[0〜255])を多値のドロップデータ(Drop値[0〜5])へデータ変換して、そのドロップデータ(Drop値[0〜5])をデータ圧縮部126へ送信する。
【0051】
一方、モード切替部121の制御により、第1圧縮モードが選択されている場合には、データ置換部124から入力された2値化された印刷データ(CMYK値[0又は255])をドロップデータ(Drop値[0又は5])へデータ変換してそのドロップデータをデータ圧縮部126へ送信する。さらに、中間調処理部125は、モード切替部121の制御により、第2データ圧縮モードが選択されている場合には、色変換部123から入力された多値の印刷データ(CMYK値[0〜255])をドロップデータ(Drop値[0〜5])に変換した後、データ置換部124へ送信する。
【0052】
データ圧縮部126は、入力されたドロップデータを圧縮するモジュールであり、本実施形態では、例えば、ある連続した同階調を、その階調と連続した回数とで表現することで圧縮するランレングス圧縮を用いる。なお、圧縮方法としては、ランレングス圧縮に限定するものではなく、周知である種々の圧縮手法を用いることができる。
【0053】
(データ変換の動作)
以上の構成を有するデータ変換ユニットを動作させることによって、本実施形態に係るデータ変換を実施することができる。
図7は、本実施形態に係る印刷処理の概要を示すフローチャート図である。
【0054】
先ず、ユーザー端末1において、印刷処理が実行されると、プリンタドライバ110上の画像データ取得部122が画像データを取得し(ステップS101)、その画像データをモード切替部121と、色変換部123とに送信する。色変換部123では、入力された画像データ(RGB値[0〜255])を多値の印刷データ(CMYK値[0〜255])に変換する(ステップS102)。一方、モード切替部121は、入力された画像データの印刷設定データを参照し、単一色変換処理を実行するか否かを判断する(ステップS103)。
【0055】
単一色変換処理を行うと判断した場合には(ステップS103でYES)、モード切替部121は、色変換部123を制御し、KインクとCMYインクとが組み合わせて印刷される画像の黒ベタ部分の画像領域について、画素の黒と同一色である単一のKインクのみで印刷されるように印刷データを変換し(ステップS104)、印刷設定データからデータ変換に関する各モードを決定する。一方、単一色変換処理を行わないと判断した場合には(ステップS103でNO)、そのまま、印刷設定データからデータ変換に関する各モードを決定する。
【0056】
このデータ変換に関する各モードの決定は、先ず、印刷データを標準モードでデータ変換するか否かを判断する(ステップS105)。標準モードでデータ変換すると判断した場合には(ステップS105でYES)、色変換部123から中間調処理部125へ多値の印刷データ(CMYK値[0〜255])が入力される(ステップS106)。そして、印刷データは、多値のドロップデータ(Drop値[0〜5])へデータ変換される(ステップS107)。その後、ドロップデータはデータ圧縮部126へ送信され、ランレングス圧縮により圧縮処理される(ステップS117)。
【0057】
一方、標準モードでデータ変換しないと判断した場合には(ステップS105でNO)、いずれのデータ圧縮モードでデータ変換するかを判断する(ステップS108)。第1圧縮モードが選択された場合には(ステップS108における「第1データ圧縮モード」)、第1データ圧縮モードによりデータ変換処理を行う。具体的には、色変換部123からデータ置換部124へ多値の印刷データ(CMYK値[0〜255])が入力される(ステップS109)。そして、データ置換部124において印刷データは2値化されて(ステップS110)、2値化された印刷データ(CMYK値[0又は255])は中間調処理部125へ入力される(ステップS111)。中間調処理部125では、2値の印刷データ(CMYK値[0又は255])を2値のドロップデータ(Drop値[0又は5])へデータ変換する(ステップS112)。その後、ドロップデータはデータ圧縮部126へ送信され、ランレングス圧縮により圧縮処理される(ステップS117)。
【0058】
第2データ圧縮モードが選択された場合には(ステップS108における「第2データ圧縮モード」)、第2データ圧縮モードによりデータ変換処理を行う。具体的には、色変換部123から中間調処理部125へ多値の印刷データ(CMYK値[0〜255])が入力される(ステップS113)。そして、印刷データは多値のドロップデータ(Drop値[0〜5])へデータ変換され(ステップS114)、データ変換された多値のドロップデータ(Drop値[0〜5])は、データ置換部124へ入力される(ステップS115)。データ置換部124では、多値のドロップデータ(Drop値[0〜5])を2値のドロップデータ(Drop値[0又は5])へ2値化して(ステップS116)、ドロップデータをデータ圧縮部126へ送信する。データ圧縮部126では、このドロップデータをランレングス圧縮により圧縮処理する(ステップS117)。
【0059】
そして、データ圧縮されたドロップデータは、印刷データ送信部112からジョブデータに含ませて印刷装置2へ送出され(ステップS118)、印刷装置2ではこのドロップデータに基づいて印刷処理が実行される(ステップS119)。
【0060】
(変更例)
なお、上述した各実施形態の説明は、本発明の一例である。このため、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることはもちろんである。
【0061】
例えば、本実施形態では、データ置換部124で印刷データ(CMYK値[0〜255])を2値化して画素パターンを生成したが、本発明は、これに限定するものではなく、例えば、0,3,又は5ドロップのように3値化など3階調以上の画素パターンを生成してもよい。このデータ置換部124における処理は、印刷設定データ内の印刷モードや、原稿データのサイズ、解像度、印刷用紙のサイズ及び用紙種類に応じて、自動で選択するようにしてもよく、また、ユーザー操作によって、ユーザーが任意に選択できるようにしてもよい。例えば、データファイルの容量に対する閾値を設定して、データファイルの容量が所定の閾値よりも大きい場合には、圧縮率を高めるため2値化を選択し、データファイルの容量が所定の閾値よりも小さい場合や、画像データに写真や、色情報に肌色が含まれている場合には、画像の品質を考慮して、3値化以上を選択するようにしてもよい。なお、この画像データ内の色情報の判別としては、例えば、自動原稿色判別(ACS)機能を用いたり、ファイルの拡張子から自動で判別してもよいし、例えば、ユーザー操作に応じてもよい。
【0062】
また、本実施形態では、2値化され、算出された画素パターンの上限ドロップを5ドロップとしたが、本発明は、これに限定するものではなく、適宜変更可能である。この場合、中間調処理部125は、制御部111が取得した印刷用紙に関する情報に基づいて、単位面積内における液滴数の上限を設定し、この上限を超える濃度の画素について、その濃度を当該上限まで低減して画素パターンを算出する。この上限値の選択は、印刷用紙の種別に応じて自動で選択するようにしてもよいし、例えば、ユーザー操作に応じてもよい。自動選択では、例えば、印刷用紙がドットゲインの小さい光沢紙又はマット紙では、印刷物の再現率を高めるためドロップデータの上限を5ドロップとし、印刷用紙がドットゲインの大きい普通紙である場合には、ドロップデータの上限を3ドロップとするなどの設定条件を設定するものとする。
【0063】
さらに、本実施形態では、コンポジットと単一色との置換処理(ステップS103)を色変換処理(ステップS102)の直後に行ったが、中間調処理部125やデータ置換部124による処理後に行ってもよい。
【0064】
また、本実施形態では、黒ベタ部分を一律に同一の画素パターンで置換して圧縮するようにしたが、黒ベタ部分の輪郭部分についてはエッジ強調を施した画素パターンで置換して視認性を向上させるようにしてもよい。
【0065】
(データ変換プログラム)
本実施形態係るデータ変換ユニットは、所定の言語で記述されたプログラムをコンピュータ上で実行することにより実現することができる。このようなプログラムを、パーソナルコンピュータ等のユーザー端末や印刷装置にインストールし、CPU上で実行することにより、上述した各機能を有するデータ変換ユニットを容易に構築することができる。このようなプログラムは、例えば、パーソナルコンピュータ上で実行されるアプリケーションやドライバソフト、OSの他、ルーター装置のファームウェアとして実装することができる。
【0066】
また、このようなプログラムは、汎用コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録することができる。具体的には、フレキシブルディスクやカセットテープ等の磁気記録媒体、若しくはCD−ROMやDVD−ROM等の光ディスクの他、RAMカードなど、種々の記録媒体に記録することができる。
【0067】
そして、このプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体によれば、プログラムの保存、運搬及びインストールを容易に行うことができる。このようなデータ変換プログラムによれば、特別な処理装置を必要とせず、既存の情報処理装置を上述したデータ変換ユニットとして簡便に実施することができる。
【0068】
(作用・効果)
本実施形態によれば、原稿画像データの印刷階調データ化に当たり、標準モードとデータ圧縮モード(第1データ圧縮モード、第2データ圧縮モード)とを使い分ける。このため、例えば、データ圧縮モードを選択した場合には、入力された画像データを2値化したドロップデータ(Drop値[0又は5])として生成することができるので、同じ階調のドロップデータ(Drop値[0又は5])の連続性が向上する。これにより、通常の圧縮アルゴリズムを用いて圧縮することで、ファイル容量を低減させることができる。よって、ユーザー端末1から印刷装置2へのデータ転送速度を高速化させることができ、印刷装置2の実質的な印刷処理速度の低下を防止することができる。
【0069】
具体的に、例えば、
図8(a)に示すように、画像データが階調の変化度合いを視覚的に表したグラデーションである場合、標準モードで処理した場合には、
図8(b)に示すように、出力されるドロップデータも多値化されている。そのため、同じドロップデータが連続する確率が減少し、これにより、ドロップデータのファイル容量は増大する傾向にある。これに対して、データ圧縮モード(第1データ圧縮モード、第2データ圧縮モード)を用いた場合には、
図8(c)に示すように、0ドロップか5ドロップの2値のドロップデータが生成される。このため、ドロップデータが連続する確率が増加し、通常の圧縮アルゴリズムを用いたとしても、ファイル容量を低減させることができる。
【0070】
特に、本実施形態では、モード切替部121では、第2データ圧縮モードも選択可能であるので、
図8(b)に示すような、多値のドロップデータ(Drop値[0〜5])を2値化処理することができる。このため、既存のドライバ等のソフトウェアをバージョンアップさせることのみで、データ転送速度を高速化させることができ、印刷装置の実質的な印刷処理速度の低下を防止することができる。
【0071】
さらに、データ置換部124は、各単位面積内における濃度に応じて、同階調の画素が連続する画素パターンを算出する場合には、各単位面積での濃度を確保しつつ、2値化して画素パターンを算出している。このため、
図8(b)に示すように、ドロップ値が0か1の領域であっても、
図8(c)に示すように、少なくとも領域内に5ドロップが位置することとなり、画像の劣化を防止することができる。
【0072】
また、本実施形態では、標準モードのデータ変換処理も切り替え可能であるので、
図8(b)に示すようなドロップデータに基づいて印刷物を取得することができる。このため、例えば、画像データが写真を含む場合や印刷枚数が少ない場合に、画像品質の劣化の少ない印刷物を取得することができ、ユーザーの意図する印刷物を提供することができる。
【0073】
また、本実施形態によれば、印刷用紙の種類に関する情報に基づいて、単位面積内におけるドロップデータの上限を設定し、この上限を超える濃度の画素について、その濃度を上限まで低減して、画素パターンを算出する。このため、例えば、ドットゲインが大きい普通紙では、印刷用階調データの上限を下げ、ドットゲインが小さい光沢紙やマット紙などでは、印刷用階調データの上限を上げるなどすることで、取得される印刷物の画像品質を担保することができる。
【0074】
さらに、本実施形態によれば、色変換部123は、複数色を合成して形成される画素を、その合成された画素と同一色であって且つ単一色の画素に置換する。このため、例えば、画像の黒ベタ部分について、KインクとCMYインクとが組み合わせて印刷される、いわゆるコンポジットされる画像領域については、
図4(b)に示すように、CMYインクのドロップデータが発生するためドロップデータの連続性が失われやすい。しかし、本実施形態では、
図4(a)に示すように、CMYのドロップ数を0ドロップとするので、CMYインクの同階調のドロップデータの連続性が向上し、転送データの圧縮率を高めることができる。
【0075】
[第2実施形態]
次いで、本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態では、データ変換ユニットは、データ変換プログラムをドライバとしてユーザー端末1(1a〜1c)にインストールすることによって構成させた。しかし、本実施形態では、データ変換プログラムを印刷装置2へインストールしてデータ変換ユニットを仮想的に構築させた場合を例に説明する。なお、本実施形態においても、印刷装置2はインクジェット方式のラインカラープリンタを例に説明する。
【0076】
図9は、本発明の第2実施形態に係る印刷装置2の内部モジュールを示したブロック図である。なお、本実施形態において、上述した実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その機能等は特に言及しない限り同一であり、その説明は省略する。
【0077】
図9に示すように、印刷装置2には、ジョブデータ受信部202と、記憶部201と、操作信号取得部203と、印字手段であるインクヘッド220と、演算処理部210が備えられている。
【0078】
ジョブデータ受信部202は、一連の印刷処理単位であるジョブデータを受信する通信インターフェースであり、受信したジョブデータに含まれる画像データ(RGB[0〜255])を演算処理部210に受け渡すモジュールである。また、上記ジョブデータには、RGBで定義された印刷画像データの他、解像度や印刷枚数、用紙サイズなどが含まれている。
【0079】
操作信号取得部203は、操作パネル205、及び通信インターフェース204を通じて、ユーザーによる操作信号を受信するモジュールであり、受信した操作信号を解析し、ユーザー操作に応じた処理を他のモジュールに実行させる。特に、本実施形態において、この操作信号取得部203は、操作パネル205、又は通信インターフェース204を介して接続されたプリンタドライバ110などから、印刷設定データを受け付けたり、ユーザーによるデータ変換処理の指示操作や設定操作を受け付ける。
【0080】
用紙情報取得部206は、操作パネル205、及び通信インターフェース204から受信した用紙設定や、用紙検出機構によって検出された印刷用紙の種類に関する情報を取得するモジュールであり、これらの情報を演算処理部210へ送出する。
【0081】
画像形成制御部211は、データ圧縮部126から入力されたドロップデータに基づいて、各色のインクヘッド220の駆動や、搬送経路の駆動部の動作を制御し、画像形成処理全体を制御して画像形成を行うモジュールである。
【0082】
演算処理部210は、CPUやDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサ、メモリ、及びその他の電子回路等のハードウェア、或いはその機能を持ったプログラム等のソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成された演算モジュールである。演算処理部210は、プログラムを適宜読み込んで実行することにより種々の機能モジュールを仮想的に構築し、構築された各機能モジュールによって、画像データに関する処理や、各部の動作制御、ユーザー操作に対する種々の処理を行う。また、この演算処理部210には、操作パネル205が接続されており、この操作パネル205を通じて、ユーザーによる指示や設定操作を受け付けることができる。
【0083】
そして、演算処理部210には、データ変換プログラムを読み込むことで、データ変換モジュール120を仮想的に構築させ、ジョブデータ受信部202が受信したジョブデータに含まれる画像データについてデータ変換を実行する。具体的には、演算処理部210内のモード切替部121の制御によって、標準モードとデータ圧縮モード(第1データ圧縮モード、第2データ圧縮モード)とのいずれかを選択される。そして、選択されたモードに応じて、色変換部123と、データ置換部124と、中間調処理部125とが、ジョブデータ受信部202から入力された画像データ(RGB[0〜255])を2値のドロップデータ(Drop値[0又は5])、又は多値のドロップデータ(Drop値[0〜5])にデータ変換する。
【0084】
本実施形態においても、標準モードとは、画像データ取得部122で取得された画像データを中間調処理部125に入力してドロップデータを生成するモードである。また、第1データ圧縮モードとは、画像データ取得部122で取得された画像データをデータ置換部124に入力して2値化して画素パターンを生成した後、中間調処理部125でドロップデータを生成するモードである。さらに、第2データ圧縮モードとは、画像データ取得部122で取得された画像データを中間調処理部125に入力してドロップデータを生成した後、データ置換部124に入力してドロップデータを2値化して画素パターンに置換するモードである。
【0085】
そして、2値のドロップデータ(Drop値[0又は5])、又は多値のドロップデータ(Drop値[0〜5])に変換されたデータは、データ圧縮部126で圧縮処理され、その画像形成制御部211に入力された後、所定のタイミングで印刷処理が実行される。
【0086】
このような第2実施形態によれば、印刷装置2側において、2値化されたドロップデータ(Drop値[0又は5])を生成することができるので、同じ階調のドロップデータの連続性が向上し、ファイル容量を低減させることができる。これにより、印刷処理を実行する画像形成制御部211に圧縮度の高いドロップデータを送信することができるので、画像形成制御部211で実行される印刷速度に同期してドロップデータを送出させて、印刷装置2の実質的な印刷処理速度の低下を防止することができる。
【0087】
なお、第1データ圧縮モードや第2データ圧縮モードは、画像データの容量が元々少なく印刷処理速度の低下を防ぐためにデータ圧縮する必要性が少ない場合や、画像データが写真等の解像度の高いオブジェクトを含んでいる場合等に、利用しないように構成してもよい。これにより、無用な圧縮処理の実行を防止したり、解像度の高いオブジェクトが必要以上に低解像度で印刷されてしまうのを防止することができる。