(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
店舗において商品等の物品を展示するための物品陳列棚は、その設置や移動、ディスプレイ方法の変更等を容易に行えるよう、床面上に設置されるベース脚、ベース脚上に立設される支柱、互いに隣接する支柱に係止される棚板等からなる組立式のものが多用されている。
【0003】
このような陳列棚においては、ベース脚上に、最下段のベース棚を設けることがある。
ベース棚は、支柱に係止するのではなく、ベース脚上に載置される。ベース棚の前後方向方向(支柱どうしが隣接する方向に直交する方向)への位置決めのため、互いに隣接する二本の支柱の下端部どうしを連結する下部連結材に係止具を設け、この係止具にベース棚の後端部を係止させることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に示された構成では、下部連結材と係止具とが別部品であるために、部品点数が増えてコストがかかる。さらに、ベース棚の取り付け時には、下部連結材に係止具を装着する必要があり、手間がかかる。また、部品点数が多ければ、工場出荷時に、部品の出荷間違い等が起きる可能性が高まる。
【0006】
また、このような物品陳列棚は、店舗内のレイアウト変更等のため、棚の高さ等の変更を行うことがある。そのような場合、ベース棚と係止具を一緒に取り外したならば、これらを確実に保管しておく必要がある。その後に再びベース棚を取り付けるときまでに、係止具を紛失してしまう恐れがあるからである。
【0007】
さらに、係止具は、下部連結材に装着された部分から下方に延びる垂下片と、垂下片の下端から斜め上方に折り曲げられた折曲片とが、断面視略レ字状をなしている。この垂下片と折曲片とからなるフック部に、ベース棚の後端部を引っかけているが、フック部とベース棚の後端部との間に、ベース棚が前後方向に動いてしまうだけのクリアランスが残されている可能性がある。
また、係止具が下部連結材に引っかけられているのみであるため、ベース棚とともに係止具が前後に動いてしまう可能性がある。
【0008】
そこでなされた本発明は、ベース棚を容易かつ強固に取り付けることができるとともに、部品点数を減らして部品管理を確実に行うことのできる物品陳列棚を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の物品陳列棚は、床面に沿って延び、床面上に間隔を隔てて二本一対で設置されるベース脚と、それぞれのベース脚上に設けられて上方に延び、棚板が装着可能とされた支柱と、互いに隣接する二本の支柱の下端部どうしを連結する下部連結材と、二本一対のベース脚上に設置され、下部連結材側の後端部に、下方に延びる垂下壁を有したベース棚と、を備え、前記下部連結材は、
二本一対の前記支柱どうしを結ぶ方向に延びる連結バーと、前記連結バーの両端部に設けられ、前記支柱に係止される係止部と、前記係止部に形成され、前記ベース棚を前記下部連結材に接近・離間する前後方向において拘束する拘束部
と、を備え、拘束部は、二本一対の支柱どうしを結ぶ鉛直面内に位置するバックプレートと、バックプレートの表面に直交する方向に間隔を隔てて配置されたフック部と、を備え、バックプレートとフック部との間に垂下壁が挿入されることでベース棚を前後方向に拘束し、バックプレートが、フック部に対し、
下部連結材の軸線方向に沿ってオフセットした位置に、垂下壁が突き当たる突き当たり面を有していることを特徴とする。
このような構成によれば、バックプレートが、フック部に対し、
下部連結材の軸線方向に沿ってオフセットした位置に、垂下壁が突き当たる突き当たり面を有している。これにより、垂下壁が
下部連結材の軸線方向に沿って互いにオフセットしたフック部とバックプレートの少なくとも2か所で保持されるため、ベース棚を安定的に拘束することができる。
また、拘束部が下部連結材に形成されているため、これらが別々の部品の場合のように、部品を紛失したり、不用意に外れたり、手配間違いをする可能性が低くなる。
【0010】
ここで、バックプレートは、フック部の片側のみにオフセットした位置に突き当たり面を有しても良いが、バックプレートは、
下部連結材の軸線方向に沿った幅寸法がフック部よりも大きく形成され、フック部に対し、
下部連結材の軸線方向に沿った両側に突き当たり面を有していているのが好ましい。これにより、ベース棚を、より安定的に拘束することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、拘束部を構成するバックプレートとフック部は、下部連結材に一体に設けられているため、ベース棚を容易に取り付けることができるとともに、部品点数を減らして部品管理を確実に行うことが可能となる。
また、垂下壁が連結材の軸線方向に沿って互いにオフセットしたフック部とバックプレートの少なくとも2か所で保持されるため、ベース棚を安定的に拘束することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明による物品陳列棚を実施するための最良の形態を説明する。しかし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
図1に示すように、物品陳列棚10は、床面に沿って延び、床面上に間隔を隔てて互いに平行に設置される二本一対のベース脚11と、各ベース脚11上に設けられて上方に延び、棚板が装着可能とされた二本一対の支柱12、12と、互いに隣接する二本の支柱12、12の下端部どうしを互いに連結する下部連結材13と、互いに隣接する二本の支柱12、12の上端部どうしを互いに連結する上部連結材14と、を備えている。
【0015】
ベース脚11は、床面に沿って延びる断面矩形の中空筒状で、その下面11aに床面に接地するパッド15を備えている。
【0016】
支柱12は、断面矩形の中空筒状で、その前後面12f、12rに、棚板等を係止するため、長手方向に所定の間隔をあけて略矩形状の係止孔16が複数貫通形成されている。ここで、係止孔16は、支柱の前後面12f、12rの幅方向に2列に形成されている。これは、支柱12の幅方向両側に棚板等のオプション部材が係止できるようにするためである。
また、支柱12は、その両側面12a、12bに、下部連結材13、上部連結材14等を係止するため、長手方向に所定の間隔をあけて略矩形状の係止孔17Aやスリット17Bが複数貫通形成されている。
【0017】
図2に示すように、上部連結材14は、断面矩形の筒状をなした連結バー20と、連結バー20の両端部に設けられた係止金具21と、が一体に設けられている。
係止金具21は、連結バー20の少なくとも両側面に溶接されたプレート21a,21aと、プレート21a、21aに突出形成された係止フック21b、21bと、を有する。そして、上部連結材14は、両端に突出形成された係止フック21b、21bを両側の支柱12、12のスリット17B、17Bに係止させることにより、両側の支柱12、12をその上部どうしにおいて互いに連結する。
【0018】
さて、各ベース脚11の先端部11sには、先端部11sの開口を塞ぐキャップ40を装着することができる。
図3に示すように、このキャップ40は、ベース脚11を断面視したときの外形寸法とほぼ同寸法に形成されたプレート部41と、このプレート部41からその表面に直交する方向に延び、ベース脚11の内部に挿入される筒状部42と、が一体に形成された構成を有している。これにより、プレート部41は、筒状部42よりも外周側に張り出して形成されている。
【0019】
また、筒状部42の先端部側には、片持ち状に延びる係止レバー44が形成されている。この係止レバー44は、ベース脚11の側面に形成された開口11cに嵌り込むことで、キャップ40の抜け止めとして機能する。
【0020】
また、
図4に示すように、このキャップ40は、ベース脚11の先端部11sに装着した状態で、ベース脚11の上面11bよりも上方に延びる一対の爪部材45,45が突出形成されている。
【0021】
図5に示すように、下部連結材13は、二本一対の支柱12,12どうしを結ぶ方向に延び、断面矩形の中空筒状をなした連結バー18と、連結バー18の両端部に設けられ、支柱12に係止される係止金具(係止部)50と、が一体に設けられている。
係止金具50は、連結バー18の少なくとも両側面に溶接により固定され、二本一対の支柱12,12どうしを結ぶ連結バー18の軸線を含む鉛直面内に位置するバックプレート50a,50aと、バックプレート50a、50aの下端部どうしを連結し、水平面内に位置する連結部50bとからなる、上向きに開口する断面略コ字状とされている。
バックプレート50aには、連結バー18の軸線方向に沿った方向に、連結バー18の端部から突出するよう、係止フック52,52が形成されている。下部連結材13は、両端に突出形成された係止フック52、52を両側の支柱12、12の係止孔17A、17Aに係止させることにより、両側の支柱12、12をその下端部どうしにおいて互いに連結する。
【0022】
図1、
図4に示したように、このような物品陳列棚10においては、二本一対のベース脚11,11上に、最下段のベース棚60が、以下に示すような構成により設置されている。
ベース棚60は、平面視矩形で、その上面において物品が載置される物品載置面60aと、物品載置面60aの側方および後方の各辺のそれぞれから鉛直下方に垂下する垂下壁60b、60cと、物品載置面60aの裏面側(下面側)に設けられた補強フレーム60dと、を有する。
【0023】
下部連結材13の両端部の係止金具50には、最下段のベース棚60が下部連結材13に接近・離間する前後方向において拘束するベース棚拘束部(拘束部)55が一体に形成されている。
すなわち、
図5、
図6に示すように、係止金具50のバックプレート50aには、係止爪部材51が形成されている。係止爪部材51は、例えば、連結部50bから連結バー18の軸線に直交する水平方向に延びるベース部51aと、ベース部51aの先端部から、それぞれバックプレート50a,50aと平行に立ち上がるフック部51b,51bとからなる、断面略L字状とすることができる。フック部51bは、バックプレート50aに対し、その表面に直交する方向に間隔を隔てて配置されている。
これらバックプレート50aとフック部51bによってベース棚拘束部55が形成され、バックプレート50aとフック部51bとの間に、ベース棚60の後端部側の垂下壁60cを差し込むことによって、最下段のベース棚60が下部連結材13に接近・離間する前後方向において拘束される。
【0024】
これら突出部51cとフック部51bは、連結バー18の軸線方向における幅寸法が、同じ寸法W1に設定されている。また、係止金具50のバックプレート50aは、連結バー18の軸線方向における幅寸法が、フック部51bよりも大きな寸法W2に設定されている。
また、このバックプレート50aに対し、フック部51bは、連結バー18の軸線方向において中間部に位置するよう形成されている。
このようにして、バックプレート50aは、フック部51bに対し、下部連結材13の軸線方向に沿って両側にオフセットした位置に、ベース棚60の後端部側の垂下壁60bが突き当たる突き当たり面F1、F2を有している。
【0025】
このような、ベース棚拘束部55は、以下のように形成することができる。すなわち、バックプレート50a、50a及び連結部50bを形成する断面コの字状の部材に対して、連結部50bにおけるバックプレート50aが接続される縁部において、バックプレート50aの下部までわたるようにしたL字状の切れ目を、フック部51bの幅寸法分だけ離間して対をなして形成する。また、バックプレート50a、50aに、当該対をなして形成されたL字状の切れ目の上端同士を結ぶようにして切れ目を形成する。そして、これら切れ目によって画成されたL字状の部分において、バックプレート50aから切り出された部分を、当該バックプレート50aよりも、少なくともベース棚の60の垂下壁60cの厚さ寸法以上にせり出させるように、バックプレート50aと連結部50bとの折り曲げ位置とずらした位置で折り曲げることで、フック部51bが形成される。
【0026】
そして、ベース棚60は、下部連結材13側の後端部の垂下壁60cが、ベース棚拘束部55であるバックプレート50aと係止爪部材51のフック部51bとの間に挿入された状態で、垂下壁60cは、一方の面(ベース棚60の内周側の面)にフック部51bが突き当たり、他方の面(ベース棚60の外周側の面)にバックプレート50aが突き当たる。これにより、ベース棚60が、下部連結材13に接近・離間する前後方向に拘束されている。さらに、フック部51bが垂下壁60cに突き当たる部分F3に対し、バックプレート50aは、フック部51bの両側の突き当たり面F1、F2において垂下壁60cに突き当たる。
これにより、垂下壁60cは、前後方向に係止されるだけでなく、その両面がバックプレート50aとフック部51bとにより面接触により挟み込まれ、安定的に保持される。
【0027】
また、
図4に示したように、ベース棚60は、その前端部側において、ベース脚11,11上に位置する両側の垂下壁60bが、キャップ40に形成された爪部材45、45の間に挿入される。一本のベース脚11の両側にそれぞれベース棚60を設ける場合、一方の側のベース棚60の垂下壁60bと、他方の側のベース棚60の垂下壁60bとが、同じ爪部材45,45の間に差し込まれるようになっている。これにより、ベース棚60は、幅方向(隣り合う支柱12,12どうしが並ぶ方向)に固定される。
【0028】
上述したような構成によれば、最下段のベース棚60は、その後端部が下部連結材13に設けられた係止爪部材51のフック部51bにより係止され、その幅方向両端部がキャップ40に形成された爪部材45、45により係止されている。これにより、ベース棚60は、前後方向、および左右方向に確実に係止される。
このとき、バックプレート50aは、フック部51bに対し、下部連結材13の軸線方向に沿って両側にオフセットした位置に、ベース棚60の後端部側の垂下壁60cが突き当たる突き当たり面F1、F2を有している。これにより、ベース棚60の後端部においては、垂下壁60cは、その両面がバックプレート50aとフック部51bとにより両側から挟みこまれ、安定的に保持される。
さらに、このようなベース棚拘束部55を、下部連結材13に一体に備えるようにしたので、物品陳列棚10の部品点数を減じて低コスト化を図ることができる。さらに、部品点数が減れば、部品の紛失やメーカや販売店からの部品発送時に部品発注ミスなどを防ぐことができる。
【0029】
(その他の実施形態)
なお、本発明の物品陳列棚は、図面を参照して説明した上述の各実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
上記実施形態では、フック部51bを係止金具50に形成するようにしたが、フック部51bが形成されるのであれば、いかなる構成としても良い。例えば、係止金具50とフック部51bとを別部材とし、これらを溶接等により一体化することもできる。
【0030】
また、バックプレート50aは、フック部51bに対し、下部連結材13の軸線方向に沿って両側にオフセットした位置に、ベース棚60の後端部側の垂下壁60cが突き当たる突き当たり面F1、F2を有する構成としたが、フック部51bの一方の側のみに突き当たり面を有する構成としても良い。
さらに、フック部51b,51bは、バックプレート50a,50aと平行としたが、フック部51b,51bの上端側、あるいはフック部51b,51bの全体を、ベース部51aから上方に行くにしたがい、バックプレート50a,50aとの間隔を漸次拡開させる構成とすることもできる。これにより、下部連結材13側の後端部の垂下壁60cを、ベース棚拘束部55であるバックプレート50aと係止爪部材51のフック部51bとの間に挿入しやすくなる。
【0031】
例えば、支柱12には、棚板に限らず、他の様々なオプション部品を装着することができる。
また、上記実施形態では、物品陳列棚10は、二本の支柱12,12のみを備える構成としたが、三本以上の支柱12を併設し、互いに隣接する二本の支柱12、12間を下部連結材13、上部連結材14で連結して棚板を設けるようにしても良い。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。