(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5986777
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】電柱間の光ケーブル接続用作業台及び当該作業台を用いた光ケーブル接続工法
(51)【国際特許分類】
G02B 6/48 20060101AFI20160823BHJP
G02B 6/255 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
G02B6/48
G02B6/255
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-79695(P2012-79695)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-210461(P2013-210461A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2015年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(73)【特許権者】
【識別番号】509036012
【氏名又は名称】株式会社TCM
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】大島 恭一郎
(72)【発明者】
【氏名】小泉 孝史
(72)【発明者】
【氏名】森口 達久
(72)【発明者】
【氏名】笠原 浩治
(72)【発明者】
【氏名】海老塚 剛
【審査官】
林 祥恵
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−352372(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3043075(JP,U)
【文献】
特開平09−281345(JP,A)
【文献】
特開平02−026205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/46、6/48
G02B 6/24−255
G02B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッセンジャーワイヤに吊り下げ、上面に融着機を載置可能な光ケーブル接続用作業台において、
長方形の平面を有する枠体の上に、当該枠体の長手方向の両枠に跨った略四角形の作業基台を取付け、前記枠体の四隅に夫々設けた線条体によりクランプを介してメッセンジャーワイヤに吊り下げ、当該各線条体の長さを調整可能な長さ調整手段を設け、
前記作業基台の上に、高さの微調整自在な昇降作業台を設け、当該昇降作業台に、前記メッセンジャーワイヤに対して直角な方向に長さを有するスリットを設け、
当該スリットに固定ボルトを通して前記融着機を固定自在とし、
前記融着機を前記昇降作業台に固定した際、当該作業台の水平バランスをとるバランス手段を設け、当該バランス手段は、前記枠体内に、当該枠体の長手方向及び当該長手方向に直角な方向の夫々に横棒を設け、これらの横棒に、各横棒に沿って摺動又は固定自在な錘を夫々設け、
前記枠体に上端開口縁を固定し、前記横棒及び錘を内部に収納した袋体を設けたことを特徴とする、電柱間の光ケーブル接続用作業台。
【請求項2】
メッセンジャーワイヤに吊り下げ、上面に融着機を載置可能な光ケーブル接続用作業台において、
長方形の平面を有する枠体の上に、当該枠体の長手方向の両枠に跨った略四角形の作業基台を取付け、前記枠体の四隅に夫々設けた線条体によりクランプを介してメッセンジャーワイヤに吊り下げ、当該各線条体の長さを調整可能な長さ調整手段を設け、
前記作業基台の上に、高さの微調整自在な昇降作業台を設け、当該昇降作業台に、前記メッセンジャーワイヤに対して直角な方向に長さを有するスリットを設け、
当該スリットに固定ボルトを通して前記融着機を固定自在とし、
前記作業基台の、前記光ケーブル方向の両側に把持アームを夫々立設し、当該各把持アームの先端部に前記光ケ-ブルを把持自在な把持手段を設けたことを特徴とする、電柱間の光ケーブル接続用作業台。
【請求項3】
前記袋体は、メッセンジャーワイヤに対して直角な底部の両端が、一方が高く、他方が低い、断面略三角形形状であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電柱間の光ケーブル接続用作業台。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかの作業台を用いた接続工法であって、メッセンジャーワイヤに二つのクランプを介して4本の線条体により作業台を吊り下げ、各線条体の長さを調整して、メッセンジャーワイヤに支持された光ケーブルの接続する光ファイバー芯線と昇降作業台との距離を接近させ、融着機を前記スリットに固定ボルトを通して固定した後、当該融着機と光ファイバー芯線との距離が一定となるよう前記昇降作業台の高さを微調整し、これと同時に当該昇降作業台を水平にしてから、光ケーブルを接続することを特徴とする、電柱間の光ケーブル接続工法。
【請求項5】
前記昇降作業台の高さを微調整し、これと同時に水平バランスをとるバランス手段により、当該昇降作業台を水平に吊り下げることを特徴とする、請求項4に記載の電柱間の光ケーブル接続工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光ケーブルを電柱間で接続する際に使用する作業台及びこの作業台を用いた光ケーブルの接続工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電柱間の既設の光ケーブル、又は新設の光ケーブルの光ファイバー芯線を接続する場合、光ケーブルのシースを一定幅にわたり剥ぎ取り、対象となる光ファイバー芯線を引出し、当該光ファイバー芯線の被覆を剥ぎ取って当該端部と、接続する分岐光ファイバーの端部とを融着機(接続機)で融着し、予め被せていた保護スリーブを接続箇所にずらして被せ、当該保護スリーブを熱融着している。
【0003】
この接続作業には、前記融着機を載せる作業台が必要である。また、光ケーブルは、各電柱に支持されたメッセンジャーワイヤに、スパイラルハンガーで吊り下げられている。この電柱間の光ケーブルを接続する場合、高所作業車のバケットの上に前記作業台を置いて作業者はバケット上で接続作業をしたり、電柱から張り出した作業台を用いて作業者は電柱の上で接続作業をしていた。
【0004】
しかしながら、近年、この光ケーブルの接続作業において、スマートグリッド化や工事コスト削減により前記シースの剥ぎ取り幅が、例えば700mm程度から400mmに縮小するようなコストダウンのニーズから、この剥ぎ取り幅で対象となる光ファイバー芯線を引出し、融着機で接続しなければならなくなった。従って、引き出した光ファイバー芯線には余長がなく、この状態での接続作業を余儀なくされている。
【0005】
従来の電柱から作業台を張り出しての作業は、電柱に近い箇所での光ケーブルの接続しかできず、電柱から離れた箇所の分岐接続作業はできないため汎用性がない。また、高所作業車のバケットに作業台を載せて作業をするものは、柱上の電線や通信線が錯綜しており、高所作業車のバケットが目的とする光ケーブルの近くに接近できない場合がある。また、当該バケットとメッセンジャーワイヤの動きが異なることがあり、作業性の悪い恐れがある。
【0006】
そこで、特許文献1に示すように光ケーブルを支持しているメッセンジャーワイヤに作業台を吊り下げて、接続作業をする作業台が開発されている。この方法では、メッセンジャーワイヤに作業台の両端を吊り下げ、当該作業台に前記融着機を載せ、作業者は高所作業車のバケット等に乗り、作業を行うものである。
【0007】
【特許文献1】特許第3811573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記特許文献1のものは、作業台をメッセンジャーワイヤに吊り下げている索の長さを調整することはできるが、微調整はできない。また、作業台にスリットを設け、融着機をメッセンジャーワイヤに対して直角方向に移動固定自在としているが、メッセンジャーワイヤ方向には移動自在でない。しかも、融着機を動かした際の作業台の水平バランスを考慮していない。したがって、作業台をメッセンジャーワイヤや光ケーブルに対して、任意の位置に接近させることに対しては不十分である。さらに、メッセンジャーワイヤや光ケーブルが風で揺れた際などには、作業台と光ケーブルの位置関係を一定に保つことができない。
【0009】
そこで、この発明は、これらの従来技術に鑑み、メッセンジャーワイヤに吊り下げた作業台を、極めて容易にかつ精度よく光ケーブルに接近できて、微調整が可能なものとし、さらに当該作業台に載せる融着機の位置を、光ケーブルの真下や、脇下等の位置に調整、載置した際もバランスよく吊り下げられ、さらに、強風等の際も、メッセンジャーワイヤに安定して吊り下げられる作業台及び当該作業台を用いた光ケーブルの接続工法を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、メッセンジャーワイヤに吊り下げ、上面に融着機を載置可能な光ケーブル接続用作業台において、
長方形の平面を有する枠体の上に、当該枠体の長手方向の両枠に跨った略四角形の作業基台を取付け、前記枠体の四隅に夫々設けた線条体によりクランプを介してメッセンジャーワイヤに吊り下げ、当該各線条体の長さを調整可能な長さ調整手段を設け、
前記作業基台の上に、高さ
の微調整自在な昇降作業台を設け、当該昇降作業台に、前記メッセンジャーワイヤに対して直角な方向に長さを有するスリットを設け、当該スリットに固定ボルトを通して前記融着機を固定自在とし、
前記融着機を前記昇降作業台に固定した際、当該作業台の水平バランスをとるバランス手段を設け、当該バランス手段は、前記枠体内に、当該枠体の長手方向及び当該長手方向に直角な方向の夫々に横棒を設け、これらの横棒に、各横棒に沿って摺動又は固定自在な錘を夫々設け、 前記枠体に上端開口縁を固定し、前記横棒及び錘を内部に収納した袋体を設けた、電柱間の光ケーブル接続用作業台とした。
【0011】
また、請求項2の発明は、
メッセンジャーワイヤに吊り下げ、上面に融着機を載置可能な光ケーブル接続用作業台において、長方形の平面を有する枠体の上に、当該枠体の長手方向の両枠に跨った略四角形の作業基台を取付け、前記枠体の四隅に夫々設けた線条体によりクランプを介してメッセンジャーワイヤに吊り下げ、当該各線条体の長さを調整可能な長さ調整手段を設け、前記作業基台の上に、高さの微調整自在な昇降作業台を設け、当該昇降作業台に、前記メッセンジャーワイヤに対して直角な方向に長さを有するスリットを設け、当該スリットに固定ボルトを通して前記融着機を固定自在とし、前記作業基台の、前記光ケーブル方向の両側に把持アームを夫々立設し、当該各把持アームの先端部に前記光ケ-ブルを把持自在な把持手段を設けた、電柱間の光ケーブル接続用作業台とした。
【0012】
また、請求項3の発明は、
前記袋体は、メッセンジャーワイヤに対して直角な底部の両端が、一方が高く、他方が低い、断面略三角形形状である、請求項1又は2に記載の電柱間の光ケーブル接続用作業台とした。
【0013】
また、請求項4の発明は、
請求項1〜3のいずれかの作業台を用いた接続工法であって、メッセンジャーワイヤに二つのクランプを介して4本の線条体により作業台を吊り下げ、各線条体の長さを調整して、メッセンジャーワイヤに支持された光ケーブルの接続する光ファイバー芯線と昇降作業台との距離を接近させ、融着機を前記スリットに固定ボルトを通して固定した後、当該融着機と光ファイバー芯線との距離が一定となるよう前記昇降作業台の高さを微調整し、これと同時に当該昇降作業台を水平にしてから、光ケーブルを接続する、電柱間の光ケーブル接続工法とした。
【0014】
また、請求項5の発明は、
前記昇降作業台の高さを微調整し、これと同時に水平バランスをとるバランス手段により、当該昇降作業台を水平に吊り下げる、請求項4に記載の電柱間の光ケーブル接続工法とした。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、作業基台の光ケーブルに対する高さを四本の線条体の長さを長さ調整手段で調整して、昇降作業台の位置を、光ケーブルに接近させ、さらに昇降作業台の高さを微調整できる。また、昇降作業台のスリットの長さ方向の位置を考慮して、当該昇降作業台に固定する融着機の位置を決めることができる。このようにして、現場において、作業台に固定する融着機の位置を選ぶことができ、融着機の位置を光ケーブルの光ファイバー芯線に精度よく接近させ、接続作業を容易にすることができる。
【0018】
また、この発明によれば、バランス手段を設けることにより、融着機の位置を昇降作業台の上でずらしても、当該バランス手段により常に作業台を水平に保つことができ、より接続作業がしやすい。
【0019】
また、この発明によれば、電柱間の光ケーブルの接続作業において、工具類や切削物等の作業くずが、袋体に捕集され、作業現場の下方に落下せず、安全に作業ができる。また、袋体に工具類や錘を入れて、前記バランス手段とすることができ、別途、バランス手段を設ける必要がない。
【0020】
また、請求項2の発明によれば、二つの把持アームで光ケーブルに作業台を固定するため、強風等で作業台のみが揺れて、光ケーブルとの間隔が変化するなど、不安定になることがなく、常にメッセンジャーワイヤ及び光ケーブルと作業台との位置関係が変化せず、安定した接続作業を行うことができる。
【0021】
また、
請求項3の発明によれば、袋体の断面が、前記枠体を基辺にした逆三角形形状であるため、袋体の浅い側に融着機を固定した場合、袋体の深い方に工具類や錘を入れて、作業台の水平バランスを容易かつ安定してとることができる。その際、袋体の一側が深くなっているため、工具類や錘がずれたりすることがない。また、前記融着機の固定がメッセンジャーワイヤに対してどちらの側に来るかによって、前記袋体、又はこれと一体な枠体の取り付け向きを予め変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】この発明の実施例1の作業台をメッセンジャーワイヤに吊るした斜視図である。
【
図2】この発明の実施例1の作業台をメッセンジャーワイヤに吊るした平面図である。
【
図3】この発明の実施例1の作業台をメッセンジャーワイヤに吊るした側面図である。
【
図4】この発明の実施例1の作業台の昇降可能な昇降手段を示す拡大説明図である。
【
図5】この発明の実施例1の作業台の各線条体の長さ調整手段の斜視図である。
【
図6】この発明の実施例1の作業台への融着機の固定構造を示す側面断面図である。
【
図7】この発明の実施例1の作業台の使用状態を示す正面図である。
【
図8】この発明の実施例2の作業台をメッセンジャーワイヤに吊るした側面断面図である。
【
図9】この発明の実施例3の作業台をメッセンジャーワイヤに吊るした側面図である。
【
図10】この発明の実施例3の作業台をメッセンジャーワイヤに吊るした平面図である。
【
図11】この発明の実施例3の作業台の使用状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
この発明は、メッセンジャーワイヤに吊り下げ、上面に融着機を載置可能な光ケーブル接続用作業台において、作業基台の四隅に設けた線条体によりクランプを介してメッセンジャーワイヤに吊り下げ、当該各線条体の長さを調整可能な長さ調整手段を設け、前記作業基台の上に、高さ調整自在な昇降作業台を設け、当該昇降作業台に、前記メッセンジャーワイヤに対して直角な方向の長さを有するスリットを設け、当該スリットに固定ボルトを通して前記融着機を固定自在とした、電柱間の光ケーブル接続用作業台である。
【0024】
これにより、融着機と光ケーブルの光ファイバー芯線との距離が精度よく一定となるよう接近させることができるので、極めて細くて短い芯線を、確実に接続することができる。
【実施例1】
【0025】
以下、この発明の実施例1を図に基づいて説明する。
図1に示すように、長方形の平面を有する枠体1の中央部に略板状で、前後端に折り曲げ縁を有する作業基台2を取り付け、前記枠体1の前後左右の両側に、半環状係止具3aを有する管体3をそれぞれ被せて固定し、当該作業台を吊るすメッセンジャーワイヤWに、一定間隔をあけて固定する各クランプ4の前後面にそれぞれ一端を固定した各チェーン5の他端を前記各管体3の半環状係止具3aに引っ掛けて前記作業基台2をメッセンジャーワイヤWに吊るすものである。
【0026】
また、前記作業基台2の前後端の折り曲げ縁は内外二重の折り曲げ縁となっており、これらの内外の二重折り曲げ縁の間に枠体1を嵌め入れる構成となっており、枠体1からむやみに作業基台2が外れないようになっている。
【0027】
また、これらの各チェーン5は長さ調整手段を設けている。この長さ調整手段は、
図5に示すように、各チェーン5の他端を前記半環状係止具3aに通して折り返し、当該各他端に設けたフック5aをチェーン5のいずれかの任意の環体にそれぞれ係止しており、当該フック5aを掛ける環体を選択することによりチェーン5の長さを調整可能である。また、当該チェーン5は、これに限らず、ベルト、針金、ロープ、その他の線条体でも良い。
【0028】
また、前記作業基台2の上に、昇降自在な昇降作業台6を設けている。この昇降作業台6は、前後端に折り曲げ脚6aを有し、各折り曲げ脚6aは作業基台2に載っている。また、当該昇降作業台6の昇降構造は、昇降作業台6の裏面の三箇所であって、略三角形の頂点となる位置に、
図4に示すように、下部外周がネジとなったネジ棒7の上端を回転自在に支持し、前記作業基台2の相応する位置に設けた各貫通ネジ孔2aに前記各ネジ棒7を螺着し、各ネジ棒7の中央部に操作フランジ8を固定して設けている。
【0029】
また、各操作フランジ8は、
図2に示すように外周の一部が昇降作業台6から突出している。そこで、作業者は各操作フランジ8を回転させることにより、昇降作業台6は作業基台2に対して昇降自在となっている。従って、昇降作業台6は、上方に上がると前記折り曲げ脚6aは作業基台2の上面から離れ、ネジ棒7の長さだけ上がる構造になっている。また、前記昇降作業台6の上面には水準器11が設けられている。
【0030】
また、当該作業台をメッセンジャーワイヤWに吊した際、光ケーブルCの位置により、最適な箇所に融着機Mを載置、固定しなければならない。また、融着機Mの底面には、従来からネジ孔M1が設けられ、
図6に示すように、昇降作業台6の透孔(スリット)を通して下から固定ボルト12を前記ネジ孔M1に螺着することにより、融着機Mを作業台(昇降作業台6)に固定する構成となっている。
【0031】
そこでこの発明では、当該固定ボルト12を通すスリットとして、前記昇降作業台6の中央部に、前記メッセンジャーワイヤWに直角に長さを有し、上下を貫通する第1スリット9を穿ち、また、当該第1スリット9の両端の外側に、当該第1スリット9に略直角に長さを有する、2つの第2スリット10を穿っている。これにより、融着機Mの昇降作業台6の上の固定位置を自由に選べる構成にしている。
【0032】
また、前記枠体1の周縁には、袋体13の上端開口縁が取り付けられ、枠体1に吊り下げられている。この袋体13は光ケーブルCの接続作業の際、工具類や作業くずを捕集する役目を担っており、この袋体13を設けることにより、前記工具類等の落下を防止できる。
【0033】
また、この袋体13は、
図3に示すように、メッセンジャーワイヤWに直角方向の断面が、逆三角形となり、一側の底が深く、他側の底が浅くなっている。これにより、前記融着機Mの昇降作業台6への取付け位置が、片方にずれている場合、融着機Mと反対側に当該袋体13の底の深い側を持ってきて、当該底の深い側に工具類又は錘を入れることにより、作業台を水平に維持できる。この場合、前記水準器11を見ながら工具類や錘の重さを調整する。
【0034】
なお、当該袋体13は枠体1に取り付けられているため、予め現場で、融着機Mが昇降作業台6のどちらの側に来るかを予測判断し、袋体13の底の深い側が融着機Mと反対側に来るように枠体1の向きを決めておく必要がある。また、この様に袋体13を逆三角形にすれば、工具類や錘を底の深い側に入れれば、むやみに袋体13内で動かず、水平バランスがとりやすい。しかしながら、袋体13は、必ずしもこのような形状に限らない。直方体形状でも良い。また、上記袋体13は、布に限らず、合成樹脂シート、メッシュ、金網等、種々の素材のもので良い。
【0035】
以下、上記作業基台2を使用して光ケーブルを接続する作業について説明する。
【0036】
メッセンジャーワイヤに吊り下げられた光ケーブルCの一定幅のシースを剥ぎ取る。光ケーブルの芯線は、極めて細く、これを確実に接続するためには、
図7に示すように、融着機Mを接続作業がし易く、かつ、メッセンジャーワイヤWの近い位置に設定する。
【0037】
そのために、まずは、メッセンジャーワイヤWに二つのクランプ4を介して4本のチェーン5により作業基台2を吊り下げ、各チェーン5の長さを調整して、メッセンジャーワイヤWに支持された光ケーブルCの接続する光ファイバー芯線Hと昇降作業台6との距離を接近させ、さらに、融着機Mを前記第1スリット9又は2つの第2スリット10のいずれかに固定ボルト12を通して融着機Mを固定して位置を調整する。
【0038】
次ぎに、この融着機MとメッセンジャーワイヤWの距離が一定となるよう保持してから、当該融着機Mが水平となるように前記昇降作業台6の昇降を操作フランジ4により調節する。水平は、前記昇降作業台6の上面の水準器11によって確認する。
【0039】
そして、光ファイバー芯線Hを引き出して切断し、当該光ファイバー芯線Hの被覆及びこれと接続する光ファイバー芯線Hの被覆をも剥ぎ取り、これらの光ファイバー芯線Hの端部を前記融着機Mに載せ、クランプアーム(図示省略)でこれらを固定して、融着する。
【0040】
この際、光ファイバー芯線Hは、
図7に示すように、少しの長さしか引き出せないが、融着機Mと光ケーブルCとの距離を、精度よく一定に接近させることが出来るため、接続作業は確実となる。
【0041】
なお、上記実施例1では、昇降作業台6に第1スリット9及び第2スリット10を設けたが、第2スリット10は必ずしも設けなくても良い。その場合、枠体1の上で作業基台2をメッセンジャーワイヤW方向にずらせば良い。さらに、メッセンジャーワイヤWの方向に大きくずらす場合は、枠体1ごとずらすこともできる。
【実施例2】
【0042】
図8に示すものは、この発明の実施例2を示す。この実施例2の作業台は、前記枠体1の前後の両側、即ち、メッセンジャーワイヤWに対して直角な方向の両側に渡した第1横棒14及び枠体1の左右の両側、即ち、メッセンジャーワイヤWの略真下に沿った方向の枠体1の両側に渡した第2横棒15に夫々摺動又は固定自在な錘16を設けたもので、前記融着機Mの昇降作業台6上の位置によって、第1横棒14又は第2横棒15に沿って各錘16の位置をずらし、作業台の水平バランスを取ることが出来るものである。他の構成は実施例1と同じである。
【0043】
これらの第1横棒14、第2横棒15及びこれらに吊り下げられた錘16は全て袋体13の中にあり、作業の邪魔にならない。
【実施例3】
【0044】
図9、〜
図11に示すものは、この発明の実施例3を示す。この実施例3の作業台は、前記作業基台2の左右の両端上面に把持アーム17を夫々立設し、当該各把持アーム17の上端側部に、前記光ケーブルCを把持自在な把持部17aを設けたものである。他の構成は実施例1と同じである。
【0045】
この実施例3の場合、光ケーブルCを一定間隔を開けて把持アーム17で把持しているため、チェーン5のみでメッセンジャーワイヤWに吊り下げられたものと異なり、光ケーブルCに作業台が固定されるため、風で揺れてもメッセンジャーワイヤW及び光ケーブルCと一体に揺れるため、融着機Mと光ケーブルCとの間隔が変わらず、接続作業を容易かつ確実に行うことが出来る。
【0046】
上記実施例2〜3の場合の作業台を使用する場合にも、上記したように、まず、融着機MとメッセンジャーワイヤWの距離を一定に保持してから、当該融着機Mが水平となるように調整することは、実施例1と同様である。
【0047】
なお、上記各実施例では、平面視、四辺形の枠体1の上に作業基台2を設け、前記枠体1の四隅でチェーン5によりメッセンジャーワイヤWに吊るしているが、枠体1を設けず、作業基台2の四隅に線条体を設け、これらの線条体をメッセンジャーワイヤWに吊るしても良い。また、枠体1の上に作業基台2を取り付けているが、当該枠体1に袋体13を吊り下げていない場合もある。
【符号の説明】
【0048】
W メッセンジャーワイヤ M 融着機
M1 ネジ孔 C 光ケーブル
H 光ファイバー芯線
1 枠体 2 作業基台
3 管体 3a 半環状係止具
4 クランプ 5 チェーン
5a フック 6 昇降作業台
6a 折り曲げ脚 7 ネジ棒
8 操作フランジ 9 第1スリット
10 第2スリット 11 水準器
12 固定ボルト 13 袋体
14 第1横棒 15 第2横棒
16 錘 17 把持アーム
17a 把持部