特許第5986780号(P5986780)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5986780-抗ウイルス材 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5986780
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】抗ウイルス材
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/06 20060101AFI20160823BHJP
   D01F 9/08 20060101ALI20160823BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   A61K33/06
   D01F9/08 D
   A61P31/12
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-82799(P2012-82799)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-212997(P2013-212997A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2015年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】391018341
【氏名又は名称】株式会社NBCメッシュテック
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100067541
【弁理士】
【氏名又は名称】岸田 正行
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(72)【発明者】
【氏名】福井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】藤森 良枝
(72)【発明者】
【氏名】中山 鶴雄
【審査官】 磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−024566(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/026730(WO,A1)
【文献】 特開2010−168578(JP,A)
【文献】 特開2011−021014(JP,A)
【文献】 特開2008−188082(JP,A)
【文献】 特開2011−178720(JP,A)
【文献】 特開2011−072692(JP,A)
【文献】 特表2009−526828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 33/06
A61P 31/12
D01F 9/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅と銅の酸化物で構成されるナノファイバーからなる抗ウイルス材であって、前記ナノファイバーの中心部が銅であり、少なくとも前記ナノファイバーの表面部に一価の酸化銅があることを特徴とする抗ウイルス材。
【請求項2】
前記ナノファイバーの繊維径が、10nm以上、100nm以下であり、かつ、繊維長が、100nm以上、100μm以下で、アスペクト比が10以上であることを特徴とする請求項1に記載の抗ウイルス材。
【請求項3】
多孔質体の細孔内に銅を析出させた後、該多孔質体を除去することで得られる表面に自然酸化皮膜が形成された銅ナノファイバーを、還元剤を含む水溶液に浸漬し、銅ナノファイバーの少なくとも表面の一部を抗ウイルス効果を有する一価の銅化合物に還元することを特徴とする抗ウイルス材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンベロープの有無に関わらず、様々なウイルスに高い効果を発揮する抗ウイルス性を有するナノファイバーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、SARS(重症急性呼吸器症候群)やノロウイルス、鳥インフルエンザなどウイルス感染による死者が報告されている。特に、2009年、交通の発達やウイルスの突然変異によって、世界中にウイルス感染が広がる「パンデミック(感染爆発)」の危機に直面し、さらに口蹄疫などのウイルスによる大きな被害も出てきており、緊急の対策が必要とされている。このような事態に対応するために、ワクチンによる抗ウイルス剤の開発も急がれているが、ワクチンの場合、その特異性により、感染を防ぐことができるのは特定のウイルスに限定される。したがって、様々なウイルスに抗ウイルス効果を発揮することができる抗ウイルス剤の開発が強く望まれている。
【0003】
ここで、抗ウイルス性を有する繊維としては、レーヨンビスコースに銅酸化物の粒子を添加し、押し出し成型により作成された抗ウイルス性レーヨン繊維や(特許文献1)、繊維中にウイルスに対して不活化効果を有する金属及び金属化合物が分散した抗ウイルス性繊維などがある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2010−522833号公報
【特許文献2】国際公開第2005/083171号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のように、繊維中に抗ウイルス性粒子を添加、分散させる方法では、抗ウイルス性粒子を微粒子化する必要があり、微粒子設計が困難である。また、抗ウイルス性微粒子の粒径を小さくする場合、無機微粒子同士が凝集するため効率が悪くなったり、凝集体と基材との密着性が低下し剥離したりするなどの問題がある。さらに、抗ウイルス性微粒子の粒子径により、繊維径が制限される問題もある。また、特許文献2のように、繊維樹脂内で抗ウイルス性を有する金属微粒子を還元法などで析出する場合、金属微粒子の粒径は小さくなるが、析出量には限界があり、抗ウイルス性を向上させるために析出量を増やすと繊維物性が悪くなるなどの問題が起きる。
【0006】
本発明は、使用目的に応じた繊維径、繊維長に自由に制御でき、かつ、ナノファイバー自身が抗ウイルス性を持つ、抗ウイルス性を有するナノファイバーを提供することを目的とする。なお、本明細書において、ウイルス不活化性と抗ウイルス性とは、同一の作用を称している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、銅と銅の酸化物で構成されるナノファイバーからなる抗ウイルス材であって、少なくとも前記ナノファイバーの表面部に一価の酸化銅があることを特徴とする抗ウイルス材である。
【0008】
第2の発明は、前記第1の発明において、抗ウイルス性ナノファイバーが、直径10nm以上、100nm以下であり、かつ、繊維長が、100nm以上、100μm以下で、アスペクト比が10以上であることを特徴とする抗ウイルス性を有するナノファイバーである。
【0009】
第3の発明は、多孔質体の細孔内に銅を析出させた後、該多孔質体を除去することで得られた銅ナノファイバーを、還元剤を含む水溶液に浸漬し、銅ナノファイバーの少なくとも表面の一部を抗ウイルス効果を有する一価の銅化合物に還元することを特徴とする抗ウイルス性を有するナノファイバーの製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、形状をファイバー状にすることで、微粒子で用いるよりも効果的に抗ウイルス性を発現する抗ウイルス性を有するナノファイバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態の抗ウイルス性を有するナノファイバーの繊維断面の模式図である。
図2】実施形態の抗ウイルス性を有するナノファイバーのSEM写真である。
図3】実施形態の抗ウイルス性を有するナノファイバーの広角X線回折装置による分析結果である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、抗ウイルス性を有するナノファイバーの実施形態について、図を用いて説明する。
【0013】
図1は、本実施形態である抗ウイルス性を有するナノファイバー100の断面の一部を模式的に表した図である。抗ウイルス性を有するナノファイバー100は、表面に少なくとも一価の銅化合物10を含んで構成される。
【0014】
抗ウイルス性を有するナノファイバー100のウイルスの不活化機構については現在のところ必ずしも明確ではないが、抗ウイルス性ナノファイバー100に含まれる一価の銅化合物10が、空気中あるいは飛沫中の水分と接触すると、その一部が、酸化還元反応したり、活性種を発生させ、このことにより、ウイルスに何らかのダメージを与え、ウイルスを不活化させるものと考えられる。
【0015】
本実施形態である抗ウイルス性を有するナノファイバー100が不活性化できるウイルスについては特に限定されず、ゲノムの種類や、エンベロープの有無等に係ることなく、様々なウイルスを不活化することができる。例えば、ライノウイルス、ポリオウイルス、ロタウイルス、口蹄疫ウイルス、ノロウイルス、エンテロウイルス、ヘパトウイルス、アストロウイルス、サポウイルス、E型肝炎ウイルス、A型、B型、C型インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス(おたふくかぜ)、麻疹ウイルス、ヒトメタニューモウイルス、RSウイルス、ニパウイルス、ヘンドラウイルス、黄熱ウイルス、デングウイルス、日本脳炎ウイルス、ウエストナイルウイルス、B型、C型肝炎ウイルス、東部および西部馬脳炎ウイルス、オニョンニョンウイルス、風疹ウイルス、ラッサウイルス、フニンウイルス、マチュポウイルス、グアナリトウイルス、サビアウイルス、クリミアコンゴ出血熱ウイルス、スナバエ熱ウイルス、ハンタウイルス、シンノンブレウイルス、狂犬病ウイルス、エボラウイルス、マーブルグウイルス、コウモリリッサウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、ヒトコロナウイルス、SARSコロナウイルス、ヒトポルボウイルス、ポリオーマウイルス、ヒトパピローマウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、EBウイルス、サイトメガロウイルス、天然痘ウイルス、サル痘ウイルス、牛痘ウイルス、モラシポックスウイルス、パラポックスウイルスなどを挙げることができる。
【0016】
本実施形態の抗ウイルス性を有するナノファイバー100の繊維径は、使用環境により特に制限されるものではないが、10nm以上、100nm以下が好ましい。これは10nm未満は作成が困難であるからであり、100nmより太い場合は、鋳型となる多孔質は作成できるものの、鋳型への銅の析出が困難となるからである。また、繊維長は、100nm以上、100μm以下であることが好ましい。これは、100nm未満であると、鋳型からの分離回収が困難であるからであり、100μmより長くなると、鋳型の作成に時間がかかり、工業的に不向きであるからである。
【0017】
なお、本実施形態においてナノファイバー100の繊維径は繊維径の平均値(平均繊維径)であり、繊維長は繊維長の平均値(平均繊維長)である。平均繊維径と平均繊維長は、本実施形態のナノファイバー100を顕微鏡により画像観察することで求められる。具体的には、ナノファイバー100を電子顕微鏡などで観察し、得られた画像においてランダムにナノファイバー100を選択し、画像処理ソフトによって各ナノファイバー100の繊維径あるいは繊維長を測定して、それらの数平均値により求めたものである。
【0018】
また、ナノファイバー100のアスペクト比が10以上であることが好ましい。ここで、ナノファイバー100のアスペクト比とは、繊維の長さをL、繊維長さ方向に直交する断面における直径をDとしたときにL/Dで表される値である。
【0019】
上記抗ウイルス性を有するナノファイバー100のうち、100nm〜500nm程度の短繊維の抗ウイルス性ナノファイバー100は、樹脂などの高分子材料へ充填、混錬することにより、抗ウイルス性を付与した高分子材料を得ることができる。さらに、ファイバー状であるという特性から、高分子へ充填することで高強度の高分子材料を得ることができると共に、本発明は、容易にナノ形態が作成できるため、従来技術のように粒子を高分子に充填する際に粒子が凝集してしまい、うまく充填できないという問題も起きないため、高分子材料に対してナノファイバー100の少量の添加で効率よく抗ウイルス効果を発現することができる高分子材料を提供できる。また、1μm〜100μm程度の長繊維の抗ウイルス性を有するナノファイバー100は、一般的な不織布や織物、或いは、編物からなる繊維構造体に固定したり、ナノファイバー100自身を不織布形態にすることにより、抗ウイルス性を有するフィルターを得ることができる。
【0020】
ここで、本実施形態の抗ウイルス性を有するナノファイバー100は、表面に少なくとも一価の酸化銅10が存在しているナノファイバーであることを特徴としている。ナノファイバー100の中心部20は特に限定されないが、二価の酸化銅や金属銅であってもよい。特に中心部20に金属銅を用いた場合は、二価の酸化銅を用いた場合に比べ展延性に優れるため、抗ウイルス性を有するナノファイバー100で不織布を形成するような場合に特に好適である。
【0021】
以上のように、本実施形態の抗ウイルス性を有するナノファイバー100は、それ自身を繊維として用いて不織布の形態に加工したり、混抄紙などの紙類の形態に加工するなどして使用することが可能であるため、空気清浄機やエアコン、車両用空調機、換気扇、電気掃除機、扇風機などのフィルターの他、マスク、キャップ、シューズカバー、医療用ドレープ、防護服などの不織布製品または紙製品として用いることができる。
【0022】
また、バインダー等を用い、本実施形態の抗ウイルス性を有するナノファイバー100を他の繊維に担持させてもよい。繊維としては、繊維形成能を有すれば、特に限定されるものではなく、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ナイロン、アクリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン四フッ化エチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルアルコール、ケブラー(登録商標)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、レーヨン、キュプラ、テンセル(登録商標)、ポリノジック、アセテート、トリアセテートなどの高分子材料を用いることができる。
【0023】
ナノファイバー100を担持させたこれらの繊維は、衣類、寝具、寝装材、マスク、ハンカチ、タオル、絨毯、カーテンなどの織物、編物製品や、空気清浄機やエアコン、換気扇、電気掃除機、扇風機、車両用空調機などのフィルター、生簀や定置網などの漁網、水処理用のフィルター、飲料水用フィルター、バラスト水処理用のフィルター、防護衣類、防護ネット、防虫網など、様々な製品に使用することができる。また、ナノファイバー100を担持させた繊維によって不織布形態に加工してもよい。
【0024】
また、本実施形態のナノファイバー100は、上述のように、樹脂等に練りこむことができる。ナノファイバー100を練り込む樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、EVA樹脂、SBC樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアクリル酸メチル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂などの熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレンエラストマーなどのスチレン系エラストマー、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマーなどのオレフィン系エラストマー、ポリウレタンエラストマーなどのポリウレタン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ナイロン系エラストマーなどの熱可塑性エラストマーが挙げられる。
【0025】
これらの樹脂部材は、ハウス用フィルム、トンネルハウス用フィルムなどのフィルム状の農業資材、クリアフォルダ、ラベルテープなどの文房具、キーボード、マウスなどのパソコン周辺機器や電子機器シート、椅子、ソファーなどの家具、外壁材、サッシ、ドア、ブラインド、天井板、床板、窓などの建装材、壁紙、カーペット、樹脂タイルなどの内装材、手すり、つり革などの施設設備、バス、トイレ、浄化槽などの住宅設備機器、車両用内装材、等へ応用ができる。
【0026】
また、本実施形態のナノファイバー100は、塗料に混合することができる。塗料に混合して用いることで、塗膜の表面にファイバー形態で抗ウイルス材を存在させることができ、塗膜表面において効率よくウイルスに作用させて、抗ウイルス効果を発揮することができる。塗料としては、特に限定されないが、例えば、塗膜形成剤と必要に応じた溶剤とを含有する塗料とすることができる。具体的には、油性塗料、酒精塗料、セルロース塗料、合成樹脂塗料、水性塗料、ゴム系塗料などが挙げられる。
【0027】
これらの塗料は、繊維構造体、フィルムやシート状、パネル状、成形体などの様々な形態の対象物の表面に塗布できる。また、その対象物の材料は、高分子、樹脂、金属、金属化合物等が挙げられる。
【0028】
以上に説明した本実施形態のナノファイバー100は、粉末状のウイルス不活化粒子に比べて凝集しにくく分散性に優れるため、繊維や樹脂などの担体に担持させる場合にも、少量で効果的に抗ウイルス効果を付与することができる。また、繊維状であるため、ナノファイバー100単独でも、不織布などの繊維構造体に加工して用いることができるという優れた効果が得られる。
【0029】
さらに、本実施形態のナノファイバー100は、たとえば同量のCuO粉末によって得られる抗ウイルス効果に比べて、きわめて高いウイルス不活化効果が得られるという、顕著な効果が得られる。
【0030】
続いて、本実施形態の抗ウイルス性を有するナノファイバー100の製造方法について、より具体的に説明する。
【0031】
本実施形態の抗ウイルス性ナノファイバー100の製造方法としては、表面に一価の酸化銅10が形成されたナノファイバーを形成できれば特に限定されないが、一例として、多孔質体を鋳型としてナノファイバー100を製造する方法を説明する。具体的には、まず、鋳型となる細孔を有する無機物や有機物からなる多孔質体の細孔に、金属銅を還元剤による処理や電気化学的な処理によって析出させた後、鋳型である多孔質体を除去し、得られた銅ナノファイバーを還元剤により還元処理することで表面に一価の酸化銅10を形成して、本実施形態のナノファイバー100を製造する方法である。以下、多孔質体を利用したナノファイバー100の製造方法を詳細に説明する。
【0032】
なお、中心部20を二価の酸化銅で構成するような場合は、鋳型となる細孔を有する無機物や有機物からなる多孔質体の細孔に、金属銅を還元剤による処理や電気化学的な処理により析出させた後、鋳型である多孔質体を除去し、得られた銅ナノファイバーを酸化剤により酸化させてナノファイバー全体を二価の酸化銅にした後、還元剤により還元処理して表面に一価の酸化銅層を形成してもよい。
【0033】
まず、鋳型となる多孔質体としては、陽極酸化皮膜が好適に用いられる。陽極酸化皮膜を形成できる材料としては、アルミニウムやチタニウム、及びそれらの合金が用いられる。好ましくは、アルミニウムまたはアルミニウムの合金である。アルミニウムまたはアルミニウムの合金を用いた場合、ナノスケールの構造を有する構造体を自己組織的に簡易に形成することができ、更には光や電子線を利用した露光技術などを上回る微細でシリンダー状のナノ構造を実現できるためである。
【0034】
基体となるアルミニウム(またはアルミニウムの合金、チタニウム、チタニウムの合金)を、硫酸や、燐酸、クロム酸や、フッ酸などの無機酸を含む水溶液や、シュウ酸、マレイン酸などのカルボン酸や、スルホフタル酸、スルホマレイン酸、スルホサリチル酸などのスルホン酸と少量の硫酸を含む水溶液中で陽極酸化することにより、シリンダー構造を有する多孔質酸化皮膜が形成される。この時、より良い垂直性、直線性、独立性を示す孔を有する多孔質皮膜を得るために、陽極酸化を行って形成した多孔質皮膜を、クロム酸などを使用したウェットエッチングで一旦除去した後に再び陽極酸化を行う、二段階陽極酸化を行ってもよいし、所望のパターンに高度に規則化して配列した孔を形成するために、突起を有したスタンパーをアルミニウム基板表面に押し付けて、スタンパーの突起をアルミニウム基板表面に窪みとして転写することで、陽極酸化の孔形成開始点を形成してもよい。
【0035】
上記の方法で多孔質酸化被膜を形成した後、銅イオンを含む水溶液中で交流や直流の電位を印加することで、多孔質酸化皮膜の細孔に銅を析出させる。または、多孔質酸化皮膜を形成したアルミニウムやチタニウムの細孔中に予めパラジウムまたはパラジウムコロイドなどの触媒を吸着させ、その後、還元剤と銅イオンを含む水溶液中で多孔質酸化皮膜の細孔に銅を析出させてもよい。
【0036】
そして、多孔質酸化皮膜を物理的、化学的に除去することで、銅ナノファイバーが得られるが、たとえば、多孔質酸化皮膜の除去方法としては、水酸化ナトリウム水溶液に多孔質酸化被膜を浸漬することで多孔質酸化皮膜を除去する方法が好ましい。なお、この銅ナノファイバーは、銅ナノファイバーとして分離後に、ファイバー表面に自然酸化皮膜(二価の酸化銅)が形成される。
【0037】
次に、得られた銅ナノファイバーの表面に一価の酸化銅10の層を形成する。一価の酸化銅10の層を形成する方法は、自然酸化皮膜を還元処理して一価の酸化銅の層を形成する方法や、銅ナノファイバーを二価の銅酸化物まで酸化し、二価の銅酸化物のナノファイバーの表面を還元処理して一価の銅酸化物の層を形成する方法などが挙げられる。
【0038】
得られた銅ナノファイバーを酸化して二価の酸化銅のナノファイバーを作成する場合は、例えば、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸カリウム、過硫酸カリウム、過塩素酸カリウム等の酸化剤と水酸化ナトリウムを含む水溶液に、銅ナノファイバーを浸漬して酸化処理を施すことで二価の酸化銅のナノファイバーを形成することができる。
【0039】
自然酸化皮膜または二価の銅酸化物の還元処理工程は、抗ウイルス性ナノファイバーの表面に、少なくとも一価の酸化銅を形成することを目的とする。用いる還元剤は、水素化ホウ素ナトリウムや、次亜燐酸ナトリウムや、ヒドラジンや、2価の錫化合物や、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、アスコルビン酸などのオキシカルボン酸や、それらの塩などが挙げられる。また、還元糖であるアロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、フルクトース、マルトースなどでもよい。また、糖アルコール類として、例えば、ソルビトールなどでもよい。また、アルコール類として、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどでもよい。還元処理は、これらの還元剤を含む水溶液に、表面に自然酸化皮膜が形成されている銅ナノファイバーあるいは二価の酸化銅のナノファイバーを浸漬すればよく、その後、洗浄、乾燥することで、抗ウイルス性を有するナノファイバー100が得られる。
【0040】
以上が本実施形態のナノファイバー100の製造方法の一例である。以上説明した本実施形態のナノファイバー100の製造法によれば、鋳型となる多孔質体の孔径や厚みを制御することで、細孔内部に析出させる銅ナノファイバーの繊維径や繊維長を簡単に制御できると共に、得られた銅ナノファイバーの表面の自然酸化皮膜を還元処理することにより、抗ウイルス性を有する一価の銅化合物をナノファイバーの表面部に効率よく析出させることができるので、優れた抗ウイルス性を発現するナノファイバーを安定的に効率よく製造することができる。
【実施例】
【0041】
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(抗ウイルス性を有するナノファイバーの作製)
アルミニウム板材(JISH1050材)を50℃に加温した5%水酸化ナトリウム水溶液に60秒浸漬した後、5%硝酸水溶液に浸漬してアルカリ分を中和し除去した。次に、1.5mol/Lの硫酸を含む20℃の電解液中で、対極に白金電極を用い、1.5A/dm2の電流密度で20分間陽極酸化することで、アルミニウム板材表面に厚さ約8μmの多孔質の陽極酸化被膜を形成した。
【0042】
次に、厚さ約8μmの多孔質の陽極酸化被膜を形成したアルミニウム板材を、硫酸銅40g/L、ホウ酸10g/Lを含む水溶液に浸漬し、対極に白金電極を用いて10Vの交流電圧を、10分間、印加することにより銅を陽極酸化被膜の細孔に析出させた。
【0043】
その後、40℃に加温した1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に銅を析出した陽極酸化皮膜を2分間浸漬させることにより、陽極酸化皮膜から銅ナノファイバーを分離した。0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液とメタノールが体積比で1:1の溶液に10分間浸漬後、メタノールで吸引濾過を行いながら洗浄を行い、銅ナノファイバーを得た。
【0044】
その後、銅ナノファイバー20mgを還元剤としてのメタノール20ml中で、超音波をかけながら還元処理を10分間行った後、遠心分離により上清を取り除き、沈殿物を真空乾燥により乾燥し、抗ウイルス性を有するナノファイバーを作成した。この抗ウイルス性を有するナノファイバーの繊維径は13nmで、繊維長は3μmであった。得られた抗ウイルスを有するナノファイバーの走査型電子顕微鏡画像を図2に示す
(実施例2)
実施例1において、還元処理を60分間行った以外は、実施例1と同様の方法で抗ウイルス性を有するナノファイバーを作成した。
(実施例3)
実施例1において、0.05mol/Lクエン酸水溶液で還元処理を行った以外は、実施例1と同様の方法で抗ウイルス性を有するナノファイバーを作成した。
(実施例4)
実施例3において、還元処理を60分間行った以外は、実施例3と同様の方法で抗ウイルス性を有するナノファイバーを作成した。
(実施例5)
実施例1において、pH12に調整した0.1mol/Lグルコース水溶液で還元処理を行った以外は、実施例1と同様の方法で抗ウイルス性を有するナノファイバーを作成した。
(実施例6)
実施例5において、還元処理を60分間行った以外は、実施例5と同様の方法で抗ウイルス性を有するナノファイバーを作成した。
(実施例7)
アルミニウム板材(JISH1050材)を50℃に加温した5%水酸化ナトリウム水溶液に60秒浸漬した後、5%硝酸水溶液に浸漬してアルカリ分を中和し除去した。次に、1.5mol/Lの硫酸を含む20℃の電解液中で、対極に白金電極を用い、1.5A/dm2の電流密度で120分間陽極酸化することで、アルミニウム板材表面に厚さ約50μmの多孔質の陽極酸化被膜を形成した。
【0045】
次に、厚さ約50μmの多孔質の陽極酸化被膜を形成したアルミニウム板材を、硫酸銅40g/L、ホウ酸10g/Lを含む水溶液に浸漬し、対極に白金電極を用いて10Vの交流電圧を90分間印加することにより銅を陽極酸化被膜の細孔に析出させた。
【0046】
その後、40℃に加温した1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に銅を析出した陽極酸化皮膜を6分間浸漬させることにより、陽極酸化皮膜から銅ナノファイバーを分離した。0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液とメタノールが体積比で1:1の溶液に10分間浸漬後、メタノールで吸引濾過を行いながら洗浄を行い、銅ナノファイバーを得た。
その後、銅ナノファイバー20mgを還元剤としてのメタノール20ml中で、超音波をかけながら還元処理を60分間行った後、遠心分離により上清を取り除き、沈殿物を真空乾燥により乾燥し、抗ウイルス性を有するナノファイバーを作成した。このナノファイバーの繊維径は13nm、繊維長は30μmであった。
(実施例8)
アルミニウム板材(JISH1050材)を50℃に加温した5%水酸化ナトリウム水溶液に60秒浸漬した後、5%硝酸水溶液に浸漬してアルカリ分を中和し除去した。次に、1.5mol/Lの硫酸を含む20℃の電解液中で、対極に白金電極を用い、1.5A/dm2の電流密度で20分間陽極酸化することで、アルミニウム板材表面に厚さ約8μmの多孔質の陽極酸化被膜を形成した。
【0047】
次に、厚さ約8μmの多孔質の陽極酸化被膜を形成したアルミニウム板材を、硫酸銅40g/L、ホウ酸10g/Lを含む水溶液に浸漬し、対極に白金電極を用いて10Vの交流電圧を1分間印加することにより銅を陽極酸化被膜の細孔に析出させた。
【0048】
その後、40℃に加温した1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に銅を析出した陽極酸化皮膜を1分間浸漬させることにより、陽極酸化皮膜から銅ナノファイバーを分離した。0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液とメタノールが体積比で1:1の溶液に10分間浸漬後、メタノールで吸引濾過を行いながら洗浄を行い、銅ナノファイバーを得た。
その後、銅ナノファイバー20mgを還元剤としてのメタノール20ml中で、超音波をかけながら還元処理を60分間行った後、遠心分離により上清を取り除き、沈殿物を真空乾燥により乾燥し、抗ウイルス性を有するナノファイバーを作成した。このナノファイバーの繊維径は約13nm、繊維長は約0.2μmであった。
(実施例9)
アルミニウム板材(JISH1050材)を50℃に加温した5%水酸化ナトリウム水溶液に60秒浸漬した後、5%硝酸水溶液に浸漬してアルカリ分を中和し除去した。次に、3wt%のシュウ酸を含む20℃の電解液中で、対極に白金電極を用い、1.5A/dm2の電流密度で120分間陽極酸化することで、アルミニウム板材表面に厚さ約50μmの多孔質の陽極酸化被膜を形成した。
【0049】
次に、1wt/vol%リン酸と4wt/vol%アミド硫酸を含む30℃の混合溶液に1時間浸漬させることにより、細孔径100nmの陽極酸化被膜を得た。その後、リン酸とアミド硫酸により一部溶解したバリア層(アルミナ部分)を再度形成するために、1.5mol/Lの硫酸を含む20℃の電解液中で、対極に白金電極を用い、1.5A/dm2の電流密度で3分間陽極酸化を行った。
【0050】
次に、厚さ約50μmの多孔質の陽極酸化被膜を形成したアルミニウム板材を、硫酸銅40g/L、ホウ酸10g/Lを含む水溶液に浸漬し、対極に白金電極を用いて10Vの交流電圧を90分間印加することにより銅を陽極酸化被膜の細孔に析出させた。
【0051】
その後、40℃に加温した1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に銅を析出した陽極酸化皮膜を6分間浸漬させることにより、陽極酸化皮膜から銅ナノファイバーを分離した。0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液とメタノールが体積比で1:1の溶液に10分間浸漬後、メタノールで吸引濾過を行いながら洗浄を行い、銅ナノファイバーを得た。
その後、銅ナノファイバー20mgを還元剤としてのメタノール20ml中で、超音波をかけながら還元処理を60分間行った後、遠心分離により上清を取り除き、沈殿物を真空乾燥により乾燥し、抗ウイルス性を有するナノファイバーを作成した。このナノファイバーの繊維径は100nm、繊維長は30μmであった。
(実施例10)
アルミニウム板材(JISH1050材)を50℃に加温した5%水酸化ナトリウム水溶液に60秒浸漬した後、5%硝酸水溶液に浸漬してアルカリ分を中和し除去した。次に、3wt%のシュウ酸を含む20℃の電解液中で、対極に白金電極を用い、1.5A/dm2の電流密度で20分間陽極酸化することで、アルミニウム板材表面に厚さ約8μmの多孔質の陽極酸化被膜を形成した。
【0052】
次に、1wt/vol%リン酸と4wt/vol%アミド硫酸を含む30℃の混合溶液に1時間浸漬させることにより、細孔径100nmの陽極酸化被膜を得た。その後、1.5mol/Lの硫酸を含む20℃の電解液中で、対極に白金電極を用い、1.5A/dm2の電流密度で3分間陽極酸化を行った。
【0053】
次に、厚さ約8μmの多孔質の陽極酸化被膜を形成したアルミニウム板材を、硫酸銅40g/L、ホウ酸10g/Lを含む水溶液に浸漬し、対極に白金電極を用いて10Vの交流電圧を3分間印加することにより銅を陽極酸化被膜の細孔に析出させた。
【0054】
その後、40℃に加温した1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に銅を析出した陽極酸化皮膜を1分間浸漬させることにより、陽極酸化皮膜から銅ナノファイバーを分離した。0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液とメタノールが体積比で1:1の溶液に10分間浸漬後、メタノールで吸引濾過を行いながら洗浄を行い、銅ナノファイバーを得た。
その後、銅ナノファイバー20mgを還元剤としてのメタノール20ml中で、超音波をかけながら還元処理を60分間行った後、遠心分離により上清を取り除き、沈殿物を真空乾燥により乾燥し、抗ウイルス性を有するナノファイバーを作成した。このナノファイバーの繊維径は約100nm、繊維長は約1μmであった。
(比較例1)
ナノファイバーの比較としてCu2O粉末(和光純薬工業株式会社製)(粒子径(d50):2.6μm)を用いた。
(走査型電子顕微鏡による抗ウイルス性を有するナノファイバーの観察)
実施例1の抗ウイルス性を有するナノファイバーを走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)により、観察した。得られたSEM画像を図2に示した。この結果より、実施例1で得られた抗ウイルス性を有するナノファイバーは、繊維径が約13nm、繊維長が約3μmであることが確認できた。
(広角X線回折による抗ウイルス性を有するナノファイバーの分析)
実施例1で得られた抗ウイルス性を有するナノファイバーを広角X線回折装置(PANalytical社製)により、ナノファイバー全体の物質について分析した。その結果を図3に示した。図3の回析パターンより、実施例1で得られた抗ウイルス性を有するナノファイバーには、CuとCuOとCuOが存在することが確認できた。
(X線光電子分光装置による抗ウイルス性ナノファイバーの分析)
実施例1で得られた抗ウイルス性を有するナノファイバーを、X線光電子分光装置(ULVAC-PHI製)により、ナノファイバー表面の物質(元素)について分析した結果、酸素と銅の元素濃度比は38.7:61.3であった。これらの結果より、表面にはCuOとCu2Oは約1:2の割合で存在していることが確認できた。
X線光電子分光装置は表面数ナノの分析であることから、抗ウイルス性を有するナノファイバーは、少なくとも表面の一部にCu2Oが含まれていることが確認された。以上の結果より、抗ウイルス性を有するナノファイバーは、内部に金属Cu、少なくともその表面の一部にCu2Oが含まれていることが確認された。
(抗ウイルス性評価方法)
作成した抗ウイルス性を有するナノファイバーの実施例および比較例のウイルス不活化性の測定は、エンベロープウイルスとしてインフルエンザウイルス(influenza A/北九州/159/93(H3N2))を、非エンベロープウイルスとして、ノロウイルスの代替として一般的に使用されているネコカリシウイルス(feline calicivirus(F9株))を用いて実施した。用いた対象ウイルスは、インフルエンザウイルス((influenza A/北九州/159/93(H3N2))には、MDCK細胞にて培養し、ネコカリシウイルス(feline calicivirus(F9株))には、CrFK細胞を用いて培養した。
【0055】
各サンプル1mgをPBS(Phosphate buffered saline)1mlに分散させた分散液100μlとウイルス液100μlを滅菌済みの1.5mlチューブに入れ、室温で攪拌させながら、60分間感作させた。60分間の感作後、界面活性剤入り水溶液(レシチン・ポリソルベート80添加 ソイビーン・カゼインダイジェスト(SCDLP))800μlを添加し、ボルテックスによりウイルスを洗い出した。その後、遠心分離によりナノファイバーを分離後、上清を10-2〜10-5になるまでMEM希釈液にて希釈を行った(10倍段階希釈)。シャーレに培養したMDCK細胞、又はCrFK細胞にサンプル液100μLを接種した。60分間静置しウイルスを細胞へ吸着させた後、0.7%寒天培地を重層し、48時間、34℃、5%CO2インキュベータにて培養後、ホルマリン固定、メチレンブルー染色を行い、形成されたプラーク数をカウントして、ウイルスの感染価(PFU/0.1ml,Log10);(PFU:plaque-forming units)を算出した。コントロールには実施例のサンプルを用いずウイルス液を加えた場合の値を用いた。各実施例、比較例の形態についておよびウイルス評価の結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
上記の結果より、実施例ではいずれもウイルスのエンベロープの有無に関わらず、感染価が低下していることが確認された。その不活性率は、インフルエンザウイルスに対しては、ウイルス感作時間60分で、効果の高いもので99.9998%以上(検出限界値以下)、低いものでも99.9%以上という高い不活性化率であった。特に、ネコカリシウイルスに対しては、全ての実施例において99.9998%以上(検出限界値以下)という非常に効果の高い不活化率であった。一方、比較例1は、ナノファイバーに比べてウイルス不活化性能がインフルエンザウイルスに対して90%以上、ネコカリシウイルスに対して97.5%以上と、低かった。
【符号の説明】
【0058】
10: 一価の酸化銅
20: 中心部
100: 本実施形態の抗ウイルス性を有するナノファイバー
図3
図1
図2