(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る成形装置の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
成形装置は、
図1に示すように、発泡成形体を成形するための成形機100と、該成形機の内部を減圧して放冷するための放冷機200とを備えている。
【0015】
成形機100は、
図1及び
図2に示すように、一対(1組)の第1成形部1Aと第2成形部1Bとを備え、
図1の左側に位置する第1成形部1Aと、
図1の右側に位置する第2成形部1Bとを前面側で合わせた状態で発泡成形体を成形するように構成されている。
図1及び
図2に示す成形機100は、一対の成形部1A,1Bを左右方向(水平方向)に開閉させる横型の成形機である。ここでは、横型の成形機を示しているが、上下方向に開閉させる縦型の成形機であってもよい。
【0016】
第1成形部1Aは、雌型の金型2と、金型2を保持する成形保持手段H1とを備えている。成形保持手段H1は、雌型の金型2が取り付けられる第1フレーム4と、第1フレーム4の後面側の開口部4Kを閉じる第1バックプレート5とを備えている。
【0017】
また、第2成形部1Bは、雄型の金型3と、金型3を保持する成形保持手段H2とを備えている。成形保持手段H2は、雄型の金型3が取り付けられる第2フレーム7と、第2フレーム7の後面側の開口部7Kを閉じる第2バックプレート8とを備えている。
【0018】
また、第1成形部1Aは、固定部(図示せず)に固定された固定型に構成され、第2成形部1Bは、図示していないアクチュエータにより水平方向に移動できる可動型に構成され、第1成形部1Aに対して第2成形部1Bを接近させた成形位置と、成形後に第1成形部1Aに対して第2成形部1Bを離間させて成形された成形品を取り出す取出位置とに位置変更可能になっている。
【0019】
雌型の金型2は、前面側端(
図2では右側端)が開口された凹部を備えた本体部2Aと、この本体部2Aの開口端から外周方向に突出形成された環状の鍔部2Bとを備えている。また、雄型の金型3は、雌型の金型2の凹部内に入り込んで発泡性合成樹脂粒子を充填するための成形空間Sを形成する前面側に突出する凸部を備えた本体部3Aと、この本体部3Aの突出側とは反対側(後面側)端から径方向外側に突出する環状の鍔部3Bとを備えている。
【0020】
各本体部2A又は3Aには、後述する蒸気室6,10に供給される蒸気が通過可能な貫通孔2a又は3aが多数形成されている。尚、これら貫通孔2a又は3aには、コアベントが嵌め込まれている場合が多い。これらのコアベントは、図示していないが、一端が円板部により閉じられた円筒状体からなり、その円板部に多数のキリ孔が形成されたキリ孔タイプのものや、円板部に多数のスリット孔(長孔)が平行に形成されたスリット孔タイプのものがある。これらコアベントのキリ孔やスリット孔を蒸気孔とし、該蒸気孔を通して加熱工程で供給される蒸気を成形空間S内に取り入れて発泡性合成樹脂粒子を加熱膨張させて互いに熱融着させる。
【0021】
第1フレーム4は、正面視が矩形状の環状枠体に形成されるとともに、金型2の後面側に配置され、金型2の鍔部2Bの外周縁を支持している。第1バックプレート5は、矩形状の板状材からなり、第1フレーム4の後面側の開口部4Kを閉じるように第1フレーム4の後面に取り付けられている。このように第1フレーム4と第1バックプレート5により金型2の後面を囲うことにより一方の金型2の蒸気室6が形成されている。
【0022】
また、第1フレーム4は、上下に配置された上側の壁部4A及び下側の壁部4Bと、これら上側の壁部4A及び下側の壁部4Bの同一端同士を連結するべく、横側に平行に配置された縦向きの一対の横壁部4C,4C(
図2では一方の壁部のみ図示している)とを備えている。そして、上側の壁部4Aには、貫通孔(図示せず)が形成され、その貫通孔から蒸気室6へ蒸気を供給するための蒸気配管9が接続されている。尚、
図1に示すように、蒸気配管9には、図示していない蒸気発生装置からの蒸気を蒸気室6へ供給する状態と供給しない状態とに切り替えるための蒸気弁9Vが設けられている。また、蒸気配管9の途中には、水冷用の冷却水(水冷水)を供給するための冷却水供給管12が接続され、冷却水供給管12の途中に水冷用の冷却水を供給する状態と供給しない状態とに切り替えるための冷却水弁12Vが設けられている。
【0023】
第2フレーム7は、第1フレーム4と同様に、正面視が矩形状の環状枠体に形成されるとともに、金型3の後面側に配置され、金型3の鍔部3Bの外周縁を支持している。また、第2バックプレート8は、第2フレーム7の後面側の開口部7Kを閉じるように第2フレーム7の後面に取り付けられている。このように第2フレーム7と第2バックプレート8とで金型3の後面を囲うことにより他方の金型3の蒸気室10が形成されている。
【0024】
また、第2フレーム7は、第1フレーム4と同様に、上下に配置された上側の壁部7A及び下側の壁部7Bと、これら上側の壁部7A及び下側の壁部7Bの同一端同士を連結するべく、横側に平行に配置された縦向きの一対の横壁部7C,7C(
図2では一方の壁部の示している)とを備えている。そして、上側の壁部7Aには、貫通孔(図示せず)が形成され、その貫通孔から蒸気室10へ蒸気を供給するための蒸気配管11が接続されている。尚、
図1に示すように、蒸気配管11には、図示していない蒸気発生装置からの蒸気を蒸気室10へ供給する状態と供給しない状態とに切り替えるための蒸気弁11Vが設けられている。また、蒸気配管11の途中には、水冷用の冷却水(水冷水)を供給するための冷却水供給管13が接続され、冷却水供給管13の途中に水冷用の冷却水を供給する状態と供給しない状態とに切り替えるための冷却水弁13Vが設けられている。
【0025】
2本の冷却水供給管12,13は、後述する第2水貯留タンク29からの冷却水を案内する一本の送水管14に接続されており、送水管14からの冷却水を冷却水弁12V,13Vにより蒸気配管9,11に供給する状態と供給しない状態とに切り替えることができる。
【0026】
さらに、第1フレーム4の下側の壁部4B及び第2フレーム7の下側の壁部7Bのそれぞれには、排水口(図示せず)を備え、これら排水口に、ドレン管15,16が接続されている。これらドレン管15,16により、成形部1A,1B内に供給された蒸気や冷却水を成形部1A,1B外へ排出することができる。尚、ドレン管15,16の途中には、蒸気や冷却水を成形部1A,1B外へ排出する状態と排出しない状態とに切り替えるためのドレン弁15V,16Vが接続されている。
【0027】
放冷機200は、
図1及び
図6に示すように、前記冷却水供給管12,13からの水冷用の冷却水の供給終了後に残留水の除去(蒸発)を促進するために前記成形部1A,1B内を真空引きして放冷する放冷手段Zを備えており、放冷手段Zは、成形部1A,1B内を真空引きする真空ポンプ17と、真空ポンプ17による真空引きによって成形部1A,1Bから引き寄せられた蒸気を凝縮させる蒸気凝縮器18と、蒸気凝縮器18内に放冷用の冷却水を供給する冷却水供給手段19とを備えている。また、放冷機200には、冷却水供給手段19による放冷用の冷却水の供給が終了した後に真空ポンプを停止する停止制御手段20を備えている
【0028】
真空ポンプ17は、水封式の真空ポンプであり、この水封式の真空ポンプ17は、図示していない円形のケーシングとケーシングの中心から偏芯した回転軸を有する羽根車(図示せず)とを備える。そして、ケーシング内に水を入れることによって羽根車が回転して、吸入、圧縮、排気を行って成形部1A,1B内を真空引きすることができる。この真空引きによって減圧された成形部1A,1B内では、蒸気室6,10を構成する金型2,3の表面及び成形品の表面に付着している残留水が周囲のエネルギーを吸収することによって蒸発する。この残留水が蒸発する際の蒸発熱(気化熱)によって、金型2,3の表面及び成形品の表面が冷却される。
【0029】
真空ポンプ17から排出された排気は、配管21を介して排気塔22に送られ、排気塔22で水と空気とに分離され、分離された空気は、消音器(サイレンサー)23を介して外部へ排出される。また、分離された水は、排気塔22の下端に設けられた排出口(図示せず)に接続された配管24を通して後述の第2水貯留タンク29へ案内される。
【0030】
蒸気凝縮器18は、有底円筒状の金属製パイプから構成されている。蒸気凝縮器18の上端には、冷却水供給手段19が接続され、冷却水供給手段19からの放冷用の冷却水を蒸気凝縮器18内で拡散噴射させるための複数(
図6では3個)のノズル18Nを備えた配管18Pの上端が冷却水供給手段19を構成する後述の水供給管37に接続されている。従って、冷却水供給手段19からの放冷用の冷却水が蒸気凝縮器18内にノズル18Nを介して拡散噴射されることにより、真空ポンプ17による真空引きによって成形部1A,1Bから引き寄せられた蒸気を凝縮させることができる。このことによって、真空ポンプ17への吸気(吸入空気)が蒸気を除去した状態になるため、真空ポンプ17の排気容量が増大し、その分真空ポンプ17の運転能力をアップさせることができる。しかも、真空ポンプ17へ入る空気も蒸気凝縮器18内への冷却水により冷却されていることから、真空ポンプ17の効率を更に高めることができる。
【0031】
図1及び
図6に示すように、蒸気凝縮器18の下端には、前記供給された冷却水及び凝縮された水を排出するための排出口18Aが形成され、排出口18Aから排出された水を一時的に貯留しておくための第1水貯留タンク25が配管26を介して接続されている。第1水貯留タンク25内に貯留された水を排出するための排出管27の途中に排出弁28を設けている。排出管27の排出側終端には、排出された水及び排気塔22から排出される水を貯留しておくための大型の第2水貯留タンク29を更に設けている。この第2水貯留タンク29に貯留された水は、前記冷却水供給管12,13へ送水管14を介して供給され、成形部1A,1Bへの冷却水として再利用される。
【0032】
また、蒸気凝縮器18の下端よりも少し上側に位置する下側部分には、ドレン管15,16から分岐した2本の配管30,31が合流する一本の配管32が接続されている。また、配管30,31の途中に、配管内を開閉するための開閉弁33,34を設けている。また、蒸気凝縮器18の上部には、蒸気凝縮器18内に溜まった空気を排出するための配管35の一端が接続され、配管35の他端が真空ポンプ17に接続されている。尚、配管35の途中には、配管内の圧力が所定圧以上になったときに、大気に開放して配管内の圧力を下げるための安全弁36が設けられている。
【0033】
冷却水供給手段19は、放冷用の冷却水(放冷水)を蒸気凝縮器18へ供給するための水供給管37と、水供給管37の途中から分岐させて真空ポンプ17へ真空作動用の水を供給するための分岐管38と、水供給管37の水供給側の始端から分岐管38の接続部38Aまでの間に設けられ、真空ポンプ17及び蒸気凝縮器18に水を供給する状態と供給しない状態とに切り替える第1水供給弁39と、水供給管37の分岐管38の接続部38Aから蒸気凝縮器18までの間に設けられ、蒸気凝縮器18に水を供給する状態と供給しない状態とに切り替える第2水供給弁40とを備えている。尚、分岐管38の途中には、手動弁41が設けられている。ここでは、冷却水供給手段19が、蒸気凝縮器18への放冷用の冷却水の供給と、真空ポンプ17への真空作動用の水の供給の2つの供給を行う手段になっているが、蒸気凝縮器18への放冷用の冷却水の供給のみを行う手段であってもよい。
【0034】
前記構成の成形装置は、発泡成形体を成形するための制御部(図示せず)を備えている。この制御部は、充填手段、予備加熱手段、一方加熱手段、逆一方加熱手段、両面加熱手段、保熱手段などの加熱手段の他、冷却手段、放冷手段Z、離型手段を備えており、次に、それら手段を成形品の成形過程に基づいて説明する。
【0035】
まず、成形部1A,1Bの金型2,3の前面側の合わせ面同士を合わせるために両成形部1A,1Bを閉じる(型閉工程)。ここでは、一方の可動型の第2成形部1Bのみを移動させて閉じているが、両方の成形部1A,1Bを移動させる構成であってもよい。充填手段は、成形部1A,1Bを閉じることにより形成された成形空間Sに発泡性合成樹脂粒子を
図1で示す充填装置Gにより充填するように制御する(充填工程)。次に、予備加熱手段は、2つの蒸気弁9V,11Vを開放状態にするとともに2つのドレン弁15V,16Vを開放状態にするように制御する。これにより、2つの蒸気室6,10に蒸気が供給され、供給された蒸気はドレン管15,16を介して成形部(金型)外へ排出される。この予備加熱手段により予備加熱を行うことによって、成形部(金型)内に溜まっている空気を成形部(金型)外に押し出すことができる。続いて、一方加熱手段は、第1成形部1Aの蒸気弁9V及び第2成形部1Bのドレン弁16Vを開放状態にしたまま、第2成形部1Bの蒸気弁11V及び第1成形部1Aのドレン弁15Vを閉じるように制御する。これによって、蒸気弁9Vから供給される蒸気は両成形部1A,1B内に入った後、ドレン管16を通って外部に排出される。
【0036】
次に、前記一方加熱手段によって成形された成形品の表面の伸びのバランスを取るために、逆一方加熱手段による逆一方加熱制御を行う工程に移行する。この逆一方加熱手段は、閉じていた第2成形部1Bの蒸気弁11V及び第1成形部1Aのドレン弁15Vを開放するとともに、開放していた第1成形部1Aの蒸気弁9V及び第2成形部1Bのドレン弁16Vを閉じるように制御する。これによって、蒸気弁11Vから供給される蒸気が成形部1A,1B内に入った後、ドレン管15を通って外部に排出される。引き続いて、発泡圧を上げることで、成形品の表面を伸ばすとともに成形品の内部の融着を促進するための両面加熱手段による制御を行う工程に移行する。両面加熱手段は、逆一方加熱の状態から、閉じられていた蒸気弁9Vを開放して両蒸気弁9V,11Vを開放状態にするとともに、開放されていたドレン弁15Vを閉じて両ドレン弁15V,16Vを閉じ状態にするように制御する。これによって、2つの蒸気弁9V,11Vから供給される蒸気が両成形部1A,1B内に入り、両成形部1A,1Bを加熱する。この後、2つの蒸気弁9V,11Vを閉じることによって、蒸気の出入りを遮断した保熱手段による制御に移行し、加熱手段による加熱工程(加熱作業)が終了する。尚、予備加熱時間、一方加熱時間、逆一方加熱時間、両面加熱時間、保熱時間は、成形品や使用条件等に応じて設定する。
【0037】
加熱工程が終了すると、
図1に示すように、冷却水弁12V,13Vを開放状態にするとともに両ドレン弁15V,16Vを開放状態にすることによって、蒸気室6,10に水冷用の冷却水を供給しつつ、両成形部1A,1Bを冷却した後の水をドレン弁15V,16Vを介して外部へ排出する。水冷用の冷却水による冷却工程が終了した後は、真空(減圧)による放冷手段Zによる制御に移る。この放冷手段Zは、蒸気室6,10内を真空にする(減圧する)ことにより蒸気室内の残存水分や成形された発泡成形体に付着もしくは成形部内に溜まっている水分を蒸発させるとともに蒸発熱を利用して冷却を促進させるように制御する。
【0038】
具体的には、
図3に示すように、水冷用の冷却水による冷却終了により冷却水弁12V,13V及びドレン弁15V,16Vを閉じる。これらの弁の閉じ動作と同時に又は弁を閉じた後に、開閉弁33,34及び水供給弁39,40を開き、それと同時に真空ポンプ17を駆動する。これによって蒸気室6,10内の空気及び蒸気が、管15,16,30,31,32を通って蒸気凝縮器18内へ引き寄せられる。蒸気凝縮器18内に移動した空気及び蒸気に、放冷用の冷却水(放冷水)が水供給管37を通して配管18Pに案内され拡散噴射されて、蒸気が凝縮される。空気は、真空ポンプ17から排気塔22、消音器23を通して外部へ排出され、蒸気室6,10内が真空状態になる。この真空状態で蒸気室6,10を構成する金型2,3の表面及び成形品の表面に付着している残留水の沸点が下がり、この残留水が周囲のエネルギーを吸収して沸点を越えることによって蒸発する。この残留水が蒸発する際の蒸発熱(気化熱)によって、金型2,3の表面及び成形品の表面が冷却される。減圧開始から所定時間経過したことが例えばタイマーにより検出されると、
図4に示すように、第2水供給弁40を閉じて蒸気凝縮器18内への放冷用の冷却水の供給を停止する。第1水供給弁39は、引き続き開いているため、第1水供給弁39を通して真空ポンプ17へ冷却水を供給して、真空引きを継続して行う。蒸気凝縮器18内への冷却水の供給停止から所定時間経過したことが例えばタイマーにより検出されると、真空ポンプ17を停止するとともに、
図5に示すように第1水供給弁39を閉じることにより真空ポンプ17への冷却水の供給を停止して、放冷手段による制御を終了する。終了と同時又は終了後に、
図5に示すように、開閉弁33,34を閉じるとともに排出弁28を開放して、第1水貯留タンク25内に溜まった水を第2水貯留タンク29へ排出する。放冷手段による制御が終了した後は、離型手段が、第2成形部1Bを離間移動させて両成形部1A,1Bを開いて成形された成形品を金型2,3から取り出す(離型工程)。ここでは、冷却水供給手段19が、真空ポンプ17による真空引きの開始と同時に放冷用の冷却水を供給する手段であるが、真空ポンプ17による真空引きの前、又は後に放冷用の冷却水を供給する手段であってもよい。
【0039】
前記冷却水供給手段19による冷却水の供給終了時点は、第1水貯留タンク25に溜まった冷却水の全量が次の放冷手段Zによる放冷が開始されるまでに排出できるように設定されている。具体的には、排出弁28を開放して単位時間当たりに流れる流量に、真空ポンプ17を停止した時点から次の放冷手段Zによる放冷が開始されるまでの時間を掛けることにより排出量を算出する。その排出量に一致する又は該排出量よりも少ない排出量になるように、例えばタイマーにより冷却水供給手段19による冷却水の供給時間(第2水供給弁40を開放して閉じるまでの時間)を設定することになる。
【0040】
前記のように冷却水供給手段19による蒸気凝縮器18内への放冷用の冷却水の供給が開始されることによって、真空ポンプ17への吸気温度を下げることで真空ポンプ17の能力をアップさせることができる。そして、冷却水供給手段19による蒸気凝縮器18内への冷却水の供給が真空ポンプ17の停止よりも先に停止されても、真空ポンプ17への吸気温度が下がっていることから、能力が大きく低下することなく真空ポンプ17による真空引きを継続して良好に維持することができる。そして、冷却水供給手段19による蒸気凝縮器18内への冷却水の供給を終了した後に真空ポンプ17を停止することによって、蒸気凝縮器18内への冷却水の供給量を減らすことができる。また、第1水貯留タンク25に溜まった冷却水の全量が真空ポンプ17を停止した時点から次の放冷手段Zによる放冷が開始されるまでの間に排出できるように、冷却水供給手段19による冷却水の供給終了時点を設定しておけば、成形サイクルの短縮化を図ることができる。
【0041】
また、前記のように真空ポンプ17により真空引きされて蒸気凝縮器内へ移動してきた蒸気は、蒸気凝縮器内で冷却水に当って水に凝縮され、この凝縮により蒸気から放出される熱によって冷却水が所定温度以上に加熱される。このように所定温度以上に加熱された冷却水を冷却水供給管12,13を通して成形部1A,1B内に供給することによって、成形部1A,1B内の温度が急激に下がることがないようにしている。具体的には、成形部内の温度が120℃である場合には、所定温度以上に加熱しない冷却水を(水道水をそのまま)用いると、成形部内の温度が40℃〜50℃まで下がるのに対して、所定温度以上に加熱した冷却水を用いると、成形部内の温度が60℃〜70℃までしか下がらない。このように冷却水を所定温度以上に加熱することによって、成形部1A,1B内を真空ポンプ17により真空引きして放冷する際に、成形部1A,1B内に残っている残留水を蒸発させるのに必要となる蒸発熱のエネルギーを十分に確保することができ、残留水の蒸発の効率化を図ることができる。前記蒸気凝縮器18は、成形部1A,1B内に供給する冷却水を所定温度以上に加熱する冷却水加熱手段を兼用構成している。前記蒸気凝縮器18に供給される冷却水の温度が、10℃〜30℃であれば、蒸気凝縮器18により熱交換されて排出される冷却水の温度が所定温度の30℃〜50℃となるが、この温度は、気温(室温)や放冷時間などによって多少前後する。ここでは、冷却水の温度を20℃上昇させるようにしているが、10℃から30℃の任意の温度になるように設定してもよい。
【0042】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0043】
前記実施形態では、成形部1A,1Bへの蒸気又は冷却水の供給を、共通配管9,11を介して行っていたが、蒸気を供給する配管と冷却水を供給する配管とを成形部1A,1Bにそれぞれ接続して成形部1A,1Bへの蒸気の供給と冷却水の供給とを別々の配管で行う構成であってもよい。
【0044】
また、前記実施形態では、水封式の真空ポンプを用いたが、油回転式、メカニカルブースター式、油拡散式、ドライ式、ターボ分子式などを用いることができる。
【0045】
また、前記実施形態では、蒸気凝縮器18から排出された水を、成形部1A,1Bへの冷却水として再利用したが、冷却水専用に設けた専用配管からの水を成形部1A,1Bへ供給するようにしてもよい。この場合、専用配管からの水を所定温度以上に加熱する冷却水加熱手段を設けて実施することになる。
【0046】
また、前記実施形態では、蒸気凝縮器18内に放冷用の冷却水を噴射して蒸気凝縮器18内に案内された蒸気を凝縮する構成であったが、蒸気凝縮器18内に放冷用の冷却水を通すための配管を設けて間接的に蒸気を凝縮させる構成であってもよい。この場合、蒸気凝縮器18内で凝縮された凝縮水及び配管内で加熱されて温まった冷却水をタンクに貯留し、その貯留水を冷却水供給管に供給してもよい。また、前記実施形態では、排気塔22から排出される水も冷却水供給管に供給する構成としているが、排気塔22から排出される水は、外部へ排出する構成であってもよい。