(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
高圧の複数の回路を同軸に配置してなる高圧同軸複合導電路と、該高圧同軸複合導電路を収容する外装部材と、前記高圧の複数の回路のうち外側の回路に接続される外側回路用端子金具とを含み、
該外側回路用端子金具は前記高圧同軸複合導電路に対し同軸となる筒状部分を有し、該筒状部分は接続対象になる前記外側の回路の導電路と前記外側の回路よりも内側の絶縁体との間に挿入状態で配置される外側回路接続筒部であり、さらに、前記外側回路用端子金具は前記導電路を加締めにて前記外側回路接続筒部に接続する加締め用筒部と、前記外側回路接続筒部に一体化する外部接続用のターミナル部とを有するとともに、前記導電路を加締めにて前記外側回路接続筒部に接続した位置の状態では該外側回路接続筒部の内面と前記絶縁体の外面との間に中子による空間が生じる
ことを特徴とするワイヤハーネス。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記高圧導電路にあっては、駆動系の電力の送電を担うことから太物の電線となる。このため、上記金属パイプをワイヤハーネスにおける外装部材として採用する場合には、外装部材内に太物の電線が二本並んだ状態で収容されることから、径の大きな外装部材になってしまうという問題点を有している。外装部材の径が大きくなってしまうと、例えばワイヤハーネスの配索が自動車の床下であれば、ワイヤハーネスは地面に対し距離を稼いだ配索にすることができず、損傷等を起こしかねないという問題点に繋がってしまう。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、外装部材の小径化を図ることが可能なワイヤハーネスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の本発明のワイヤハーネスは、高圧の複数の回路を同軸に配置してなる高圧同軸複合導電路と、該高圧同軸複合導電路を収容する外装部材と、前記高圧の複数の回路のうち外側の回路に接続される外側回路用端子金具とを含み、該外側回路用端子金具は前記高圧同軸複合導電路に対し同軸となる筒状部分を有し、該筒状部分は接続対象になる前記外側の回路の導電路と
前記外側の回路よりも内側の絶縁体との間に挿入状態で配置される
外側回路接続筒部であり、さらに、前記外側回路用端子金具は前記導電路を加締めにて前記外側回路接続筒部に接続する加締め用筒部と、前記外側回路接続筒部に一体化する外部接続用のターミナル部とを有するとともに、前記導電路を加締めにて前記外側回路接続筒部に接続した位置の状態では該外側回路接続筒部の内面と前記絶縁体の外面との間に中子による空間が生じることを特徴とする。
【0008】
このような特徴を有する本発明によれば、複数の回路を同軸に配置してなる高圧同軸複合導電路の幅と、例えば太物の導電路を複数本並べた状態の幅、又は複数本束ねた状態の幅とを比べると、高圧同軸複合導電路の方が幅狭になる。すなわち、高圧同軸複合導電路を採用すれば複数の回路を有していても小径化を図ることができる。これにより、小径の高圧同軸複合導電路を収容する外装部材の小径化も図ることができる。
また、本発明によれば、高圧同軸複合導電路における外側の回路に接続される外側回路用端子金具を更に含むワイヤハーネスになる。外側回路用端子金具は、高圧同軸複合導電路に対し同軸となる筒状部分を有することから、外側の回路に対する接続構造を極力小さくすることができる。
また、本発明によれば、外側の回路に対する接続構造を極力小さくする外側回路用端子金具の構成を提供することができる。
【0009】
請求項2に記載の本発明のワイヤハーネスは、請求項1に記載のワイヤハーネスに係り、前記高圧同軸複合導電路は、前記高圧の複数の回路よりも外側に、該高圧の複数の回路と同軸のシールド部材を更に含むことを特徴とする。
【0010】
このような特徴を有する本発明によれば、シールド部材を更に含む高圧同軸複合導電路であることから、自身でシールド機能を発揮させることができる。高圧同軸複合導電路にシールド機能を持たせることにより、シールド専用の部品を別に設ける場合と比べて小径化に有効である。尚、本発明では、高圧同軸複合導電路を収容することに変わりがないことから、外装部材は小径であり、ワイヤハーネスも小径である。
【0011】
請求項3に記載の本発明のワイヤハーネスは、請求項1又は2に記載のワイヤハーネスに係り、前記外装部材は、前記高圧同軸複合導電路を覆う金属管体からなる、又は、前記高圧同軸複合導電路を覆う樹脂管体からなることを特徴とする。
【0012】
このような特徴を有する本発明によれば、金属管体又は樹脂管体からなる外装部材であり、外装部材が金属管体の場合は、高圧同軸複合導電路に対する保護機能を高めることができる。また、外装部材が金属管体の場合は、外装部材の方でシールド機能を発揮させることもできる。一方、外装部材が樹脂管体の場合は、必要十分な強度を確保しつつ金属管体の場合と比べて軽量化を図ることができる。
【0013】
外装部材が金属管体で尚かつ高圧同軸複合導電路にシールド機能を持たせない場合、外装部材は高圧同軸複合導電路を収容して保護するだけのものでなく、シールド部材としても兼用することができる。外装部材にシールド機能を持たせることにより、シールド専用の部品を別に設ける場合と比べて、ワイヤハーネスの径方向のサイズを小さくすることができる。
【0014】
また、外装部材が金属管体で尚かつ高圧同軸複合導電路にシールド機能を持たせる場合、外装部材は高圧同軸複合導電路を収容することに変わりがないことから、外装部材は小径であり、ワイヤハーネスも小径である。
【0015】
また、外装部材が樹脂管体の場合は、高圧同軸複合導電路にシールド機能を持たせたり、高圧同軸複合導電路と外装部材との間に薄いシールド部材を配設することが有効である。
【0016】
請求項4に記載の本発明のワイヤハーネスは、請求項3に記載のワイヤハーネスに係り、前記外装部材は、経路配索時に曲げ部分となる曲げ管部と、該曲げ管部に連続し前記経路配索時に曲げない部分となる非曲げ管部とを有することを特徴とする。
【0017】
このような特徴を有する本発明によれば、曲げ管部と非曲げ管部とを有する外装部材であり、曲げ部は経路配索時に曲げ部分となるとともに、非曲げ部は経路配索時に曲げない部分となることから、ワイヤハーネスを所望の経路で配索することができる。
【0018】
請求項5に記載の本発明のワイヤハーネスは、請求項1、2、3又は4に記載のワイヤハーネスにおいて、前記高圧同軸複合導電路における前記高圧の複数の回路のうち
前記外側の回路
の前記導電路は、導電性の複数の素線からなり、且つ、該複数の素線を編み込まずに前記外側の回路の内側に位置する
前記絶縁体の外面に対しスパイラル状に捻り配置してなることを特徴とする。
【0019】
このような特徴を有する本発明によれば、高圧同軸複合導電路は高圧の複数の回路を有し、この複数の回路のうち外側の回路は導電性の複数の素線からなる。すなわち、径の小さな素線を用いることから、外側の回路の厚みをなくして径を小さくすることができる。また、本発明によれば、複数の素線を編み込まずに用いることから、編み込みによる素線同士の積み上げをなくすことができ、結果、外側の回路の厚みをなくして径を小さくすることができる。さらに、本発明によれば、複数の素線からなる外側の回路とするとともに、複数の素線を絶縁体の外面に対しスパイラル状に捻り配置することから、このような回路であれば導電路としての屈曲性を向上させることができるとともに、複数の素線をバラケ難くして例えば端末処理をし易くすることができる。
【0020】
尚、上記の屈曲性向上に関しもう少し詳しく説明をすると、導電路の軸方向に沿って真っ直ぐに複数の素線を配置した場合と、本発明のようにスパイラル状に捻り配置した場合とでは、高圧同軸複合導電路を曲げた時の素線の曲げRが異なるとともに、導電路の曲げ部分内側位置及び外側位置での素線への圧縮力、引っ張り力の作用の仕方も異なることから、曲げ易さに違いが出てくる。すなわち、上記真っ直ぐに複数の素線を配置した場合に、素線は導電路の曲げに応じた曲げRになる。また、素線軸に沿って圧縮力、引っ張り力が作用することになり、素線への力が逃げ難い状態にある。一方、本発明の場合は、素線の曲げRに関し上記よりも大きな曲げRになる。また、素線の側部に対し斜めに圧縮力、引っ張り力が作用することになり、素線への力が逃げ易い状態にある。従って、曲げの力を比べると、本発明の方が小さくなることが分かる。本発明のようにスパイラル状に捻り配置した方が曲げ易さにおいて有利であると言える。
【発明の効果】
【0025】
請求項1に記載された本発明によれば、複数の回路を同軸に配置して導電路とすることにより、導電路自体の小径化を図ることができるという効果を奏する。また、導電路の小径化を図ることにより、このような小径の導電路、すなわち高圧同軸複合導電路を収容する外装部材の小径化も図ることができるという効果を奏する。本発明によれば、例えば自動車の床下にワイヤハーネスを配索する場合、地面に対して距離を稼いだ配索にすることができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、高圧同軸複合導電路における外側の回路に対し端子金具を同軸で接続することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、外側回路用端子金具にて外側の回路に対する接続構造を極力小さくすることができるという効果を奏する。本発明によれば、より良い接続構造を提供することができるという効果を奏する。
【0026】
請求項2に記載された本発明によれば、請求項1の効果に加え次のような効果を奏する。すなわち、高圧同軸複合導電路自身にシールド機能を持たせてこれを発揮させることができるという効果を奏する。
【0027】
請求項3に記載された本発明によれば、請求項1又は2の効果に加え次のような効果を奏する。すなわち、外装部材が金属管体の場合は、高圧同軸複合導電路に対する保護機能を高めることができるという効果を奏する。また、外装部材の方でシールド機能を発揮させることもできるという効果を奏する。一方、外装部材が樹脂管体の場合は、必要十分な強度を確保しつつ金属管体の場合と比べて軽量化を図ることができるという効果を奏する。
【0028】
請求項4に記載された本発明によれば、請求項3の効果に加え次のような効果を奏する。すなわち、経路配索に好適な部分を有する外装部材にすることができるという効果を奏する。
【0029】
請求項5に記載された本発明によれば、請求項1、2、3又は4の効果に加え次のような効果を奏する。すなわち、導電路自体の小径化を図ることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、導電路の屈曲性を向上させたり、端末処理をし易くしたりすることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
ワイヤハーネスは、複数の回路を同軸で一本にした高圧同軸複合導電路と、この高圧同軸複合導電路を収容する外装部材とを含む。高圧同軸複合導電路は、二系統の回路(二つの回路)、三系統の回路(三つの回路)、四系統の回路(四つの回路)、…n系統の回路(n個の回路)を同軸で一本に構成することによりなる。具体的には、第一導電路及び第一絶縁体を中心にして、この外側に第二導電路及び第二絶縁体を設ける。これにより二系統の回路となる。さらに外側に第三導電路及び第三絶縁体を設けると三系統の回路、更に外側に第四導電路及び第四絶縁体を設けると四系統の回路、…さらに外側に第n導電路及び第n絶縁体を設けるとn系統の回路となり、同軸で一本構成の高圧同軸複合導電路が得られる。
【実施例1】
【0034】
以下、図面を参照しながら実施例1を説明する。
図1は本発明のワイヤハーネスに係る図であり、
図1(a)はワイヤハーネスの配索状態を示す概略図、
図1(b)はワイヤハーネスの構成図である。また、
図2(a)は
図1のワイヤハーネスの構成図、
図2(b)は
図1のワイヤハーネスの断面図、
図2(c)は比較例となるワイヤハーネスの断面図である。
【0035】
本実施例においては、ハイブリッド自動車(電気自動車や一般的な自動車であってもよいものとする)に本発明のワイヤハーネスを採用する例を挙げて説明するものとする。
【0036】
図1において、引用符号1はハイブリッド自動車を示している。ハイブリッド自動車1は、エンジン2及びモータユニット3の二つの動力をミックスして駆動する車両であって、モータユニット3にはインバータユニット4を介してバッテリー5(電池パック)からの電力が供給されるようになっている。エンジン2、モータユニット3、及びインバータユニット4は、本実施例において前輪等がある位置のエンジンルーム6に搭載されている。また、バッテリー5は、後輪等がある自動車後部7に搭載されている(エンジンルーム6の後方に存在する自動車室内に搭載してもよいものとする)。
【0037】
モータユニット3とインバータユニット4は、公知の高圧ワイヤハーネス8により接続されている。また、バッテリー5とインバータユニット4は、本発明のワイヤハーネス9(自動車用高圧ワイヤハーネス)により接続されている。ワイヤハーネス9は、高圧用のものとして構成されている。ワイヤハーネス9は、この中間部10が車体床下11の地面側に配索されている。また、車体床下11に沿って略平行に配索されている。車体床下11は、公知のボディであるとともに所謂パネル部材であって、所定位置には貫通孔(符号省略)が形成されている。この貫通孔には、ワイヤハーネス9が挿通されている。
【0038】
ワイヤハーネス9とバッテリー5は、このバッテリー5に設けられるジャンクションブロック12を介して接続されている。ジャンクションブロック12には、ワイヤハーネス9の後端13が公知の方法で電気的に接続されている。ワイヤハーネス9の前端14側は、インバータユニット4に対し公知の方法で電気的に接続されている。
【0039】
モータユニット3は、モータ及びジェネレータを構成に含んでいるものとする。また、インバータユニット4は、インバータ及びコンバータを構成に含んでいるものとする。モータユニット3は、シールドケースを含むモータアッセンブリとして形成されるものとする。また、インバータユニット4もシールドケースを含むインバータアッセンブリとして形成されるものとする。バッテリー5は、Ni−MH系やLi−ion系のものであって、モジュール化してなるものとする。尚、例えばキャパシタのような蓄電装置を使用することも可能であるものとする。バッテリー5は、ハイブリッド自動車1や電気自動車に使用可能であれば特に限定されないものとする。
【0040】
先ず、ワイヤハーネス9の構成及び構造について説明をする。ワイヤハーネス9は、上記の如くインバータユニット4とバッテリー5とを電気的に接続するための高圧の部材であって、高圧同軸複合導電路15と、外装部材16と、電磁シールド部材17とを含んで構成されている。
【0041】
尚、本実施例において、電磁シールド部材17は、外装部材16がシールド機能を有さない場合に、インバータユニット4からバッテリー5にかけて長くのびるように形成され、外装部材16がシールド機能を有する場合には、例えば外装部材16の両端末に接続されるように形成されるものとする。また、外装部材16がシールド機能を有さない場合には、高圧同軸複合導電路15と外装部材16との間に電磁シールド部材17を介在させたり、導電路の構成に含ませたりするものとする(
図4〜
図6を参照しながら後述する)。電磁シールド部材17としては、公知の編組や金属箔単体、或いは金属箔を含むシールド部材が採用されるものとする。この他の例としては、外装部材16の例えば内面に金属箔を設けたり、外装部材16を導電材料で製造したりして、導電性を有する部分に該当させることが挙げられるものとする。電磁シールド部材17は、図示しないコネクタを介して、又は直接インバータユニット4のシールドケース等に接続されている。
【0042】
図1及び
図2において、高圧同軸複合導電路15は、この一本でプラス回路及びマイナス回路を有するように構成されている。すなわち、二系統の回路を有するように構成されている。具体的には、高圧同軸複合導電路15の中心に位置する断面円形状の第一導電路18と、この第一導電路18の外周を所定厚さで被覆する第一絶縁体19と、第一絶縁体19の外側に設けられる第二導電路20と、この第二導電路20の外周を所定厚さで被覆する第二絶縁体21とを含んで構成されている。
【0043】
高圧同軸複合導電路15の構成において、第一導電路18は、プラス極導体及びマイナス極導体のいずれか一方に相当するものとする。また、第二導電路20は、プラス極導体及びマイナス極導体のいずれか他方に相当するものとする。
【0044】
上記第一導電路18は、銅や銅合金、又はアルミニウムやアルミニウム合金により製造されている。第一導電路18に関しては、素線を撚り合わせてなる導体構造のものや、例えば断面丸形となる棒状の導体構造(例えば丸単心となる導体構造)のもののいずれであってもよいものとする。
【0045】
第一絶縁体19は、第一導電路18に対する被覆であって、公知の樹脂材料を押し出し成形することにより形成されている。
【0046】
第二導電路20は、銅や銅合金、又はアルミニウムやアルミニウム合金により製造されている。第二導電路20は、プラス極導体及びマイナス極導体の上記いずれか他方に相当する機能を発揮することができれば、特に構造は限定されないものとする。
【0047】
第二導電路20の一例としては、導電性を有する素線を筒状に編んでなる編組導体が挙げられるものとする。また、導電性を有する金属箔を筒状にしてなる金属箔導体が挙げられるものとする。また、導電性を有する金属線材を螺旋状に巻回することにより形成されるスパイラル導体が挙げられるものとする。スパイラル導体の金属線材に関しては、断面円形や矩形の金属線材、帯板状の金属線材、裸電線からなる金属線材などが挙げられるものとする。
【0048】
また、第二導電路20の一例としては、導電性を有する金属パイプからなるパイプ導体が挙げられるものとする。金属パイプは、押し出しにより製造されたり、金属板をパイプ状に丸めて製造されたりするものとする。また、第二導電路20の一例としては、導電性を有する素線を多数第一絶縁体19の周囲に配置してなる、又は、裸電線をほぐして第一絶縁体19の周囲に配置してなる素線導体が挙げられるものとする。また、第二導電路20の一例としては、導電性を有する金属テープを用いるテープ導体が挙げられるものとする。
【0049】
第二導電路20の導体断面積(導体として機能する部分の断面積)は、第一導電路18の導体断面積に合うように設定されている。尚、第二導電路20が編組導体やスパイラル導体、或いは素線導体などであれば、導体としての長さが第一導電路18よりも長くなる可能性があることから、このような場合には、第二導電路20の方の導体断面積を若干大きめにして導体長の差を吸収するようにすることが有効であるものとする。
【0050】
上記導体断面積に関し、第二導電路20の導体断面積を若干大きくするのは、芯線となる第一導電路18に流れる電流値に対し丁度となるように導体断面積(や導体径)を設定している場合であり、丁度でなく余裕を持たせているのであれば、第二導電路20の導体断面積を大きくせずに第一導電路18と同じ(同等)導体断面積にしてもよいものとする。また、余裕を持たせているのであれば、第二導電路20の導体断面積を若干小さくしたりしてもよいものとする。
【0051】
第二導電路20の導体断面積を若干大きくすると、この場合は例えば第二導電路20が素線導体であれば極細の素線の本数が若干増える程度であり、高圧同軸複合導電路15の径に影響することはない。一方、第一導電路18に流れる電流値に対し余裕を持たせて導体断面積を設定している場合は、第二導電路20の導体断面積を若干小さくすることが高圧同軸複合導電路15の小径化に有効であるものとする。
【0052】
第一導電路18に流れる電流値に対し余裕を持たせて導体断面積を設定している場合であっても、余裕を持たせた分の導体断面積は極僅かであり、高圧同軸複合導電路15の径に影響することはない。
【0053】
この他、第二導電路20の導体断面積を第一導電路18の導体断面積に応じて設定していることから、第二導電路20が例えば金属パイプからなるパイプ導体などであっても、この厚み(肉厚)は大きくならず、従来より外装部材として用いられる金属パイプと比べると、格段に薄肉で小径になるのは勿論である。
【0054】
第二絶縁体21は、第二導電路20に対する被覆であって、公知の樹脂材料を押し出し成形することにより形成されている。第二絶縁体21は、第二導電路20を保護する部分として形成される他、シールド機能を発揮させる部材と第二導電路20とを絶縁する部分としても形成されている。
【0055】
外装部材16は、金属製の管体、すなわち金属管体であって、高圧同軸複合導電路15を収容するのに必要な長さを有するように形成されている(金属製の管体に限らず、樹脂製やエラストマー製の管体であってもよいものとする)。外装部材16は、本実施例において断面円形状に形成されている(断面形状は一例であるものとする。楕円形状や長円形状、矩形状であってもよいものとする)。このような外装部材16は、配索経路に合わせて曲げ加工が施されている。引用符号22は曲げ部を示している。
【0056】
外装部材16は、本実施例において断面円形状のアルミニウムパイプ(一例であるものとする)が用いられている。外装部材16は、高圧同軸複合導電路15を収容することができる程度の内径寸法にて形成されている。外装部材16は、保護機能を発揮させることができる厚みを有しており、収容するものが高圧同軸複合導電路15であることから、外径寸法D1は比較的小さく設定されている。
【0057】
外径寸法D1が比較的小さくなるのは、高圧同軸複合導電路15が複数の回路を同軸に配置してなる一本構成のものであるからであり、外装部材16はこのような高圧同軸複合導電路15を収容することができる程度の寸法で形成されればよいからである。以下、比較例を説明しながら、外装部材16が比較例よりも小径になることについて説明をする。
【0058】
図2(b)において、外装部材16には、上記構成の高圧同軸複合導電路15が収容されている。外装部材16と高圧同軸複合導電路15との間には、高圧同軸複合導電路15を挿通する際に最低限必要となる隙間S1が設けられている。隙間S1は便宜上、高圧同軸複合導電路15の周囲に均等に存在するように図示されている(実際には自重によって外装部材16の内面に接触したりするようになる)。外装部材16の外径寸法はD1であるものとする。
【0059】
図2(c)において、比較例となるワイヤハーネス101は、二本の高圧電線102、103と、外装部材104とを備えて構成されている。高圧電線102はプラス回路として、また、高圧電線103はマイナス回路として備えられている。高圧電線102、103は共に同じ導電路であって、高圧同軸複合導電路15を構成する第一導電路18及び第一絶縁体19と同じサイズのものが用いられている。高圧電線102、103は、導体105及び絶縁体106を備えて構成されている。高圧電線102、103は、並んで配置されている。
【0060】
並んだ状態の高圧電線102、103と、外装部材104との間には、隙間S2aと大きな隙間S2bとが設けられている。
【0061】
外装部材104は、円形のパイプ形状に形成されている。外装部材104は、この厚みが高圧同軸複合導電路15を構成する外装部材16の厚みと同じになるように設定されている。また、外装部材104は、隙間S2aが高圧同軸複合導電路15と外装部材16との間の隙間S1と同じになるようにサイズが設定されている。すなわち、外装部材104は、隙間S1と同じ隙間S2aが設けられ、また、外装部材16と同じ厚みに形成されている。外装部材104は、この外径寸法がD2になっている。
【0062】
図2(b)及び(c)において、高圧同軸複合導電路15及び外装部材16と、二本並んだ高圧電線102、103及び外装部材104とを見て分かるように、高圧同軸複合導電路15は二本並んだ高圧電線102、103よりも幅が狭く、また、外装部材16も外装部材104と比べて幅が狭く(D1<D2)なっていることが分かる。すなわち、小径化されていることが分かる。
【0063】
従って、複数の回路を同軸に配置して高圧同軸複合導電路15とすることにより、この小径化を図ることができる。また、高圧同軸複合導電路15の小径化を図ることにより、このような小径の高圧同軸複合導電路15を収容する外装部材16の小径化も図ることができる。
【0064】
以上のように小径であることから、ワイヤハーネス9はこれをハイブリッド自動車1の所定位置に配索すると、地面に対して距離を稼いだ配索にすることができる。
【0065】
高圧同軸複合導電路15及び外装部材16に関し、
図2(b)から分かるように、これらの間に生じる隙間S1の占有率は小さくなっている(空気層が小さい)。従って、高圧同軸複合導電路15での発熱が仮に大きくても、熱がこもるスペースは小さく、こもる前に外装部材16にて冷却されるという効果を有している。また、高圧同軸複合導電路15は、自重や余長などにより外装部材16の内面に対し比較的大きく接触するようになっている。従って、高圧同軸複合導電路15での発熱は外装部材16に伝わり易く、冷却機能が高いという効果を有している。
【0066】
一方、
図2(c)の比較例の場合、二本並んだ高圧電線102、103と外装部材104との間に生じる隙間S2a、S2bの占有率が大きくなっている(空気層が格段に大きい)。従って、熱がこもるスペースが大きく、外装部材104による冷却だけでは間に合わなくなってしまうという虞を有している。また、外装部材104の内面に対する接触が小さいことから、冷却機能が低くなってしまうという虞を有している。
【0067】
ワイヤハーネス9は、比較例と比べ、放熱効果が高いということが分かる。つまり、本発明によれば、放熱性の良いワイヤハーネス9を提供することもできる。
【0068】
ところで、比較例となるワイヤハーネス101は、二本の高圧電線102、103の各端末に端子金具を設けるようになっている。この端子金具の位置は、機器(インバータユニットやバッテリー)の所定位置に配設された接続部に合うように揃える必要がある。ワイヤハーネス101は、配索経路が全長方向において全て真っ直ぐになることはなく、中間の各所で曲げられて配索されるのが通常である。従って、端子金具の位置を揃えるにあたり、次のような問題点を有している。
【0069】
すなわち、二本の高圧電線102、103を外装部材104(金属パイプとする)に挿通した状態にし、そして、外装部材104に対し曲げを施すと、曲げ箇所の内側と外側で内部の高圧電線102、103の曲げ状態が異なることになり(それぞれ曲げ半径が異なるようになる)、これが曲げ箇所の数分だけ異なってくることから、ワイヤハーネス101の端末部分においては、高圧電線102、103の端部位置が揃わずに比較的大きなズレが生じてしまうという問題点を有している。これにより、機器との接続に支障を来す虞があることから、端子金具を組み付ける前に電線の端末加工(トリミング)をしなければならず、工数が増大してしまうという問題点を有している。また、外装部材104に対し曲げを施してからでないと、トリミングや端子金具の組み付けをすることができず、作業性が悪いという問題点を有している。
【0070】
以上のような問題点に対し、本発明に係るワイヤハーネス9にあっては、複数の回路を同軸に配置してなる高圧同軸複合導電路15を用い、この高圧同軸複合導電路15を外装部材16に収容してなるものであることから、外装部材16に曲げを施しても一本構成の高圧同軸複合導電路15では端部位置が揃わないという不具合がない。すなわち、トリミングをする必要がなくなり、これによって外装部材16に対する曲げを施す前に端子金具を組み付けすることも可能になる。曲げを施す前に端子金具の組み付けをすることが可能になると、曲げを最終工程に変更することができる。例えばワイヤハーネス9をハイブリッド自動車1に配索する際のライン近傍にベンダー機を置けば、ここまでの製品搬送は真っ直ぐな状態で行うことができる。すなわち、曲げた状態での搬送は多くのスペースを必要とするという問題点があるが、真っ直ぐでの搬送であれば省スペース化を図ることができる。搬送時における省スペース化は、コスト低減にも有効である。
【0071】
この他、上記の如く一本構成の高圧同軸複合導電路15にすると、この端部位置が揃わないという不具合はないことから、仮に曲げ位置の変更があっても短納期で対応することができる。
【0072】
図1及び
図2を参照しながら説明してきたように、本発明に係るワイヤハーネス9は外装部材16の小径化を図ることができる。また、比較例となるワイヤハーネス101と比べても格段に有用なものにすることができる。
【実施例2】
【0073】
以下、図面を参照しながら実施例2を説明する。
図3(a)は他の例となるワイヤハーネスの構成図、
図3(b)は(a)のワイヤハーネスの断面図、
図3(c)は比較例となるワイヤハーネスの断面図である。
【0074】
図3において、ワイヤハーネス31は、高圧の部材であって、高圧同軸複合導電路32と、外装部材33とを含んで構成されている(特に図示しないが、電磁シールド部材に関しては例えば実施例1と同じであるものとする)。
【0075】
高圧同軸複合導電路32は、この一本で三つの回路(三系統の回路)を有するように構成されている。具体的には、高圧同軸複合導電路32の中心に位置する断面円形状の第一導電路34と、この第一導電路34の外周を所定厚さで被覆する第一絶縁体35と、第一絶縁体35の外側に設けられる第二導電路36と、この第二導電路36の外周を所定厚さで被覆する第二絶縁体37と、第二絶縁体37の外側に設けられる第三導電路38と、この第三導電路38の外周を所定厚さで被覆する第三絶縁体39とを含んで構成されている。
【0076】
高圧同軸複合導電路32の構成において、例えばモータに接続するものであるとすると、第一導電路34、第二導電路36、第三導電路38は、三相交流用の三本の導電路(三つの回路)に相当するものとする。
【0077】
上記第一導電路34は、銅や銅合金、又はアルミニウムやアルミニウム合金により製造されている。第一導電路34に関しては、素線を撚り合わせてなる導体構造のものや、例えば断面丸形となる棒状の導体構造(例えば丸単心となる導体構造)のもののいずれであってもよいものとする。
【0078】
第一絶縁体35は、第一導電路34に対する被覆であって、公知の樹脂材料を押し出し成形することにより形成されている。
【0079】
第二導電路36は、銅や銅合金、又はアルミニウムやアルミニウム合金により製造されている。第二導電路36は、実施例1の第二導電路20と同じであり、ここでの説明は省略するものとする。
【0080】
第二絶縁体37は、第二導電路36に対する被覆であって、公知の樹脂材料を押し出し成形することにより形成されている。
【0081】
第三導電路38は、銅や銅合金、又はアルミニウムやアルミニウム合金により製造されている。第三導電路38は、第二導電路36や実施例1の第二導電路20と同じであり、ここでの説明は省略するものとする。
【0082】
第三絶縁体39は、第三導電路38に対する被覆であって、公知の樹脂材料を押し出し成形することにより形成されている。第三絶縁体39は、第三導電路38を保護する部分として形成される他、シールド機能を発揮させる部材と第三導電路38とを絶縁する部分としても形成されている。
【0083】
外装部材33は、サイズが異なるものの実施例1の外装部材16と基本的に同じに構成されている。外装部材33の外径寸法D3は収容するものが高圧同軸複合導電路32であることから、比較的小さく設定されている。
【0084】
外径寸法D3が比較的小さくなるのは、高圧同軸複合導電路32が複数の回路を同軸に配置してなる一本構成のものであるからであり、外装部材33はこのような高圧同軸複合導電路32を収容する程度の寸法で形成されればよいからである。以下、比較例を説明しながら、外装部材33が比較例よりも小径になることについて説明をする。
【0085】
図3(b)において、外装部材33には、上記構成の高圧同軸複合導電路32が収容されている。外装部材33と高圧同軸複合導電路32との間には、高圧同軸複合導電路32を挿通する際に最低限必要となる隙間S3が設けられている。隙間S3は、実施例1の隙間S1と同じであるものとする。外装部材33の外径寸法はD3であるものとする。
【0086】
図3(c)において、比較例となるワイヤハーネス151は、三本の高圧電線152、153、154と、外装部材155とを備えて構成されている。高圧電線152、153、154は共に同じ導電路であって、高圧同軸複合導電路32を構成する第一導電路34及び第一絶縁体35と同じサイズのものが用いられている。高圧電線152、153、154は、導体156及び絶縁体157を備えて構成されている。高圧電線152、153、154は、三角形状に束ねられた状態に配置されている。
【0087】
三角形状に束ねられた状態の高圧電線152、153、154と、外装部材155との間には、隙間S4aと大きな隙間S4bとが設けられている。外装部材155は、円形のパイプ形状に形成されている。外装部材155は、サイズが異なるものの上記外装部材104(
図2(c)参照)と基本的に同じに構成されている。外装部材155は、この外径寸法がD4になっている。
【0088】
図3(b)及び(c)において、高圧同軸複合導電路32及び外装部材33と、三角形状に束ねられた状態の高圧電線152、153、154及び外装部材155とを見て分かるように、高圧同軸複合導電路32は三角形状に束ねられた状態の高圧電線152、153、154の図示しない外接円よりも幅が狭く、また、外装部材33も外装部材155と比べて幅が狭く(D3<D4)なっていることが分かる。すなわち、小径化されていることが分かる。
【0089】
従って、複数の回路を同軸に配置して高圧同軸複合導電路32とすることにより、この小径化を図ることができる。また、高圧同軸複合導電路32の小径化を図ることにより、このような小径の高圧同軸複合導電路32を収容する外装部材33の小径化も図ることができる。
【0090】
以上のように小径であることから、ワイヤハーネス31はこれをハイブリッド自動車1(
図1参照)の所定位置に配索すると、地面に対して距離を稼いだ配索にすることができる。ワイヤハーネス31に関する効果は、実施例1と同じであるものとする。
【実施例3】
【0091】
以下、図面を参照しながら実施例3を説明する。
図4(a)〜(c)は他の例となるワイヤハーネスの構成図である。
【0092】
図4(a)において、ワイヤハーネス51は、高圧の部材であって、電磁シールド部材17と、高圧同軸複合導電路52と、外装部材53とを含んで構成されている。
【0093】
高圧同軸複合導電路52は、この一本で二つの回路(二系統の回路)を有するように構成されている。また、上記二つの回路よりも外側にこの二つの回路と同軸の電磁シールド部材17を有するようにも構成されている。具体的には、高圧同軸複合導電路52の中心に位置する断面円形状の第一導電路18と、この第一導電路18の外周を所定厚さで被覆する第一絶縁体19と、第一絶縁体19の外側に設けられる第二導電路20と、この第二導電路20の外周を所定厚さで被覆する第二絶縁体21と、第二絶縁体21の外面に密着するように設けられる電磁シールド部材17とを有して構成されている(実施例1と同じ部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略するものとする。以下同様)。
【0094】
図4(a)の電磁シールド部材17は、公知の編組や金属箔等からなり、例えばシート状の状態から巻き付けることにより第二絶縁体21の外面に密着するようになっている(巻き付け状態等を維持する固定手段は適宜選定されるものとする)。電磁シールド部材17は、柔軟性を有しており、例えば第二導電路20よりも薄く形成されている。
図4(a)の電磁シールド部材17は、第二絶縁体21の外面に密着することから、恰も高圧同軸複合導電路52の一構成となっている。
【0095】
外装部材53は、樹脂製の管体、すなわち樹脂管体であって、高圧同軸複合導電路52の収容に必要な長さ、及び保護に必要な厚みを有するように形成されている。外装部材53は、断面円形状に形成されている(断面形状は一例であるものとする。楕円形状や長円形状、矩形状であってもよいものとする)。
図4(a)における外装部材53は、経路配索時に曲げない部分となる非曲げ管部54と、経路配索時に曲げ部分となる曲げ管部56との組み合わせからなる図示形状に形成されている。非曲げ管部54と曲げ管部56は連成されており、本実施例の曲げ管部56は周方向の凹凸55を有し且つ屈曲性(可撓性)を有する蛇腹管形状に形成されている。尚、曲げ管部56の形状は、蛇腹管形状に限定されないものとする。屈曲性(可撓性)を有し経路配索時に曲げ部分となれば他の形状であってもよいものとする。外装部材53は、本実施例において、部分的にコルゲートチューブが存在するような形状に形成されている。
【0096】
非曲げ管部54は、曲げを規制する部分や、配索時のクランプ(固定部材)の取り付け部分として形成されている。非曲げ管部54は、図示の如く直管形状であることから、「直管部」と呼ぶこともできるものとする。
【0097】
外装部材53は、上記の如くコルゲートチューブの部分を有することから、「コルチューブ」や「部分形成コルゲートチューブ」などと呼ぶこともできるものとする。
【0098】
以上、
図4(a)に示すワイヤハーネス51は、実施例1と同様の効果を奏するのは勿論のこと、高圧同軸複合導電路52自身でシールド機能を発揮させることもできる。また、ワイヤハーネス51は、外装部材53を樹脂管体とすることから、必要十分な強度を確保しつつ軽量化を図ることもできる。
【0099】
図4(b)において、ワイヤハーネス57は、上記同様に高圧の部材であって、電磁シールド部材17を備える高圧同軸複合導電路58と、上記非曲げ管部54及び曲げ管部56を有する外装部材53とを含んで構成されている。
【0100】
高圧同軸複合導電路58は、この一本で二つの回路(二系統の回路)を有するように構成されている。また、上記二つの回路よりも外側にこの二つの回路と同軸の電磁シールド部材17を有するようにも構成されている。具体的には、高圧同軸複合導電路58の中心に位置する断面円形状の第一導電路18と、この第一導電路18の外周を所定厚さで被覆する第一絶縁体19と、第一絶縁体19の外側に設けられる第二導電路20と、この第二導電路20の外周を所定厚さで被覆する第二絶縁体21と、第二絶縁体21の外側に設けられる電磁シールド部材17と、この電磁シールド部材17の外周を所定厚さで被覆するシース59とを備えて構成されている。
【0101】
図4(b)の電磁シールド部材17は、高圧同軸複合導電路58の構成に含まれている。高圧同軸複合導電路58は、
図4(a)の高圧同軸複合導電路52に対しシース59を付加した構成になっている。
【0102】
従って、
図4(b)に示すワイヤハーネス57も上記同様の効果を奏するのは勿論である。
【0103】
図4(c)において、ワイヤハーネス60は、上記同様に高圧の部材であって、実施例1と同様の高圧同軸複合導電路15と、上記非曲げ管部54及び曲げ管部56を有する外装部材53と、これらの間に介在する筒状の電磁シールド部材17とを含んで構成されている。電磁シールド部材17は、公知の編組や金属箔等からなり、
図4(c)においては高圧同軸複合導電路15の構成に含まれず、別体の部材として設けられている。
図4(c)の電磁シールド部材17は、
図4(a)が第二絶縁体21の外面に密着するのに対し、多少ブカブカの状態となるように形成されている。
図4(c)の電磁シールド部材17は、筒状に形成されており、高圧同軸複合導電路15の回路と同軸に配置されている。
【0104】
従って、
図4(c)に示すワイヤハーネス60も上記同様の効果を奏するのは勿論である。
【実施例4】
【0105】
以下、図面を参照しながら実施例4を説明する。
図5(a)〜(c)は
図4の変形例となるワイヤハーネスの構成図である。
【0106】
図5(a)において、ワイヤハーネス71は、実施例3のワイヤハーネス51に対し外装部材を変更したものである。すなわち、ワイヤハーネス71は、電磁シールド部材17が第二絶縁体21の外面に密着する高圧同軸複合導電路52と、外装部材72とを含んで構成されている。
【0107】
外装部材72は、樹脂製の管体、すなわち樹脂管体であって、高圧同軸複合導電路52の収容に必要な長さ、及び保護に必要な厚みを有するように形成されている。外装部材72は、断面円形状に形成されている(断面形状は一例であるものとする。楕円形状や長円形状、矩形状であってもよいものとする)。
図5(a)における外装部材72は、本実施例において、周方向の凹凸55が有り且つ屈曲性を有する蛇腹管形状にて全体が形成されている(一例であるものとする)。外装部材72は、経路配索時に曲げない部分となる非曲げ管部73と、経路配索時に曲げ部分となる曲げ管部56との組み合わせからなっている。本実施例の外装部材72は、公知のコルゲートチューブと同様なものが採用されている。
【0108】
図5(b)において、ワイヤハーネス73は、実施例3のワイヤハーネス57に対し外装部材を
図5(a)と同様に変更したものである。すなわち、ワイヤハーネス73は、電磁シールド部材17を備える高圧同軸複合導電路58と、上記外装部材72とを含んで構成されている。
【0109】
図5(c)において、ワイヤハーネス74は、実施例3のワイヤハーネス60に対し外装部材を
図5(a)と同様に変更したものである。すなわち、ワイヤハーネス74は、高圧同軸複合導電路15と、上記外装部材72と、これらの間に介在する筒状の電磁シールド部材17とを含んで構成されている。
【0110】
以上、実施例4は実施例3の変形例であり、実施例4を採用しても有用であるのは勿論である。
【実施例5】
【0111】
以下、図面を参照しながら実施例5を説明する。
図6(a)〜(c)は
図4の変形例となるワイヤハーネスの構成図である。
【0112】
図6(a)において、ワイヤハーネス81は、実施例3のワイヤハーネス51に対し外装部材を変更したものである。すなわち、ワイヤハーネス81は、電磁シールド部材17が第二絶縁体21の外面に密着する高圧同軸複合導電路52と、外装部材82とを含んで構成されている。
【0113】
外装部材82は、樹脂製の管体、すなわち樹脂管体であって、高圧同軸複合導電路52の収容に必要な長さ、及び保護に必要な厚みを有するように形成されている。外装部材82は、断面円形状に形成されている(断面形状は一例であるものとする。楕円形状や長円形状、矩形状であってもよいものとする)。
図6(a)における外装部材82は、非曲げ管部54と曲げ管部83とを有しており、周方向の凹凸がない形状にて全体が形成されている。曲げ管部83は、本実施例において、熱等をかけて曲げ形成される曲げ部分として形成されている。尚、外装部材82は樹脂管体であるが、金属管体とした場合も同様の外観形状になるのは勿論である。
【0114】
図6(b)において、ワイヤハーネス84は、実施例3のワイヤハーネス57に対し外装部材を
図6(a)と同様に変更したものである。すなわち、ワイヤハーネス84は、電磁シールド部材17を備える高圧同軸複合導電路58と、上記外装部材82とを含んで構成されている。
【0115】
図6(c)において、ワイヤハーネス85は、実施例3のワイヤハーネス60に対し外装部材を
図6(a)と同様に変更したものである。すなわち、ワイヤハーネス85は、高圧同軸複合導電路15と、上記外装部材82と、これらの間に介在する筒状の電磁シールド部材17とを含んで構成されている。
【0116】
以上、実施例5は実施例3の変形例であり、実施例5を採用しても有用であるのは勿論である。
【実施例6】
【0117】
以下、図面を参照しながら実施例6を説明する。
図7はワイヤハーネスの接続構造を示す斜視図である。また、
図8は
図7の接続構造の分解斜視図、
図9は
図7の接続構造の断面図である。
【0118】
図7ないし
図9において、実施例6では上記実施例3の高圧同軸複合導電路58を用いてワイヤハーネス57の接続構造を説明するものとする。
【0119】
高圧同軸複合導電路58における第二導電路20は、特許請求の範囲に記載された外側の回路であって、本実施例においては第一導電路18と同じ材質(アルミニウム又はアルミニウム合金製)となる導電性の複数の素線20aから構成されている。複数の素線20aは、公知の編組のように編み込まれずに用いられ、そして、第一絶縁体19の外面に対し所定の状態で配置されている。具体的には、第一絶縁体19の外面に対しスパイラル状に捻って配置されている。本実施例においては、4本の素線20aを1組にして、これを5組、第一絶縁体19の外面に対しスパイラル状に捻って配置されている(素線20aの本数や組数は一例であるものとする)。
【0120】
尚、内側の第一導電路18は、本実施例において19本の素線からなる撚り線導体にて構成されている(図示省略。本数は一例であるものとする)。
【0121】
第二導電路20は、複数の素線20aを捻って配置されていることから、導体としての長さが第一導電路18よりも長くなっている。そのため素線20aを第一導電路18よりも1本多くして導体断面積を若干大きめにし、導体長の差を吸収するようになっている。
【0122】
高圧同軸複合導電路58の端末は、各構成部分が所定長さで露出するように加工されている。第二導電路20の端末には、外側回路用端子金具91が接続されており、これがワイヤハーネス57の接続構造の一例となっている。
【0123】
外側回路用端子金具91は、高圧同軸複合導電路58に対し同軸となる筒状部分を有している。具体的には、第一絶縁体19の外面と第二導電路20との間に挿入される外側回路接続筒部92(筒状部分)を有している。また、外側回路用端子金具91は、外側回路接続筒部92の他に、ターミナル部93と、加締め用筒部94とを有している。
【0124】
外側回路接続筒部92は、この内面92aと、第一絶縁体19の外面との間に所定の大きさの空間95が生じるようなサイズに形成されている。空間95には、後述する加締めの際に中子(図示省略)が挿入されるようになっている。
【0125】
ターミナル部93は、外側回路接続筒部92に一体化するタブ状の電気接触部分であって、外部との電気的な接続ができるように形成されている。本実施例においては、ボルト挿通孔93aが貫通形成されている。
【0126】
加締め用筒部94は、第二導電路20を加締めにて外側回路接続筒部92に接続するための筒状部材であって、予め高圧同軸複合導電路58に挿通されるようになっている。また、外側回路接続筒部92が挿入された後には、スライドさせて第二導電路20の外側に配置されるようになっている。加締め用筒部94に対し公知の方法で加締めを施すと、加締め用筒部94は縮径して第二導電路20を外側回路接続筒部92に対し押し付けることができるようになっている。すなわち、電気的な接続を完了させることができるようになっている。
【0127】
尚、加締め用筒部94は、本実施例において潰し代96(
図7参照)の分だけ縮径するようなサイズに形成されている。
【0128】
以上のような第二導電路20や接続構造を採用することは有効である。
【0129】
この他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【0130】
上記高圧同軸複合導電路15は、二系統の回路(二つの回路)を同軸で一本に構成したものであり、また、上記高圧同軸複合導電路32は、三系統の回路(三つの回路)を同軸で一本に構成したものであるが、これらに限らずn系統の回路(n個の回路)を同軸で一本に構成してもよいものとする。
【0131】
尚、例えば高圧同軸複合導電路15と外装部材16との間の隙間S1を利用して、低圧の細い導電路(低圧電線)を一緒に収容してもよいものとする。