【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 第46回スーパーマーケット・トレードショー2012 東京ビッグサイト 2012年2月1日〜2012年2月3日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、キャノピーの前端部に下面に設けられた照明装置自体が、客の視界に入るのは好ましくない。装置類が目に入ると、店舗の雰囲気を損なったり、本来、棚板上の商品に光を当てて、客の商品購買意欲を高めようという、照明効果が損なわれるからである。
そこでなされた本発明の目的は、照明装置が客の視界に入るのを防ぎつつ、高い照明効果を得ることのできるショーケースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明のショーケースは、床面上に設置される基部と、基部から上方に立ち上がる背面壁と、背面壁の前面に支持され、一段以上設けられた棚板と、背面壁の上端部から前方に延び、棚板の上方を覆うキャノピー部と、キャノピー部の前縁部に設けられ、棚板に向けて光を照らす照明部と、を備え、照明部は、キャノピー部の前縁部に沿って連続する線状の照明装置本体と、前記キャノピー部の前記前縁部において、前記照明装置本体の下方に形成され、前記照明装置本体
の鉛直下方
を含む前方側の半分の部分を覆
い、前記照明装置本体の後方側半分の部分を後方に露出させるカバー部と、前記カバー部に形成され、前記キャノピー部の前記前縁部に沿って形成された開口部と、を備え
、前記照明装置本体で発する光の一部が前記開口部を通して前記棚板に向けて照射され、前記照明装置本体の後方側半分の残部で発する光が、前記棚板に向けて直接照射されることを特徴とする。
このような構成によれば、照明装置本体の少なくとも一部の鉛直下方がカバー部に覆われることで、照明装置本体で発する光は、カバー部に形成された開口部を通して棚板に向けて照射される。これにより、棚板以外に向けて光が不用意に拡散するのを防ぐことができる。
【0007】
そして、開口部を通した光だけでなく、照明装置本体からの光を直接棚板に向けて照射することで、棚板上の商品を、より効果的に照明することができる。
【0008】
また、キャノピー部は、いかなる形状としても良いが、例えば、キャノピー部の天面から、前方に向けて漸次下降し、下端部が照明装置本体より下方に位置するフロントカバー部と、フロントカバー部の下端部から、後方の背面壁側に向けて延びるよう形成されたツバ部と、を有し、開口部は、ツバ部に形成されていることを特徴とすることができる。
ここで、ツバ部は、フロントカバー部の下端部から、後方の背面壁側に向けて漸次高くなるよう形成するのが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、照明装置本体の少なくとも一部の鉛直下方がカバー部に覆われることで、棚板以外に向けて光が不用意に拡散するのを防ぐことができ、照明装置本体が客から視認しにくくなる。これにより、店舗の雰囲気を損なうこともなく、棚板上の商品に光を確実に当てて、客の商品購買意欲を高めるという照明効果を高めることができる。
【0010】
また、照明装置本体からの光を、開口部を通して照射するだけでなく、直接棚板に向けて照射することで、棚板上の商品を、より効果的に照明することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明のショーケースを実施するための最良の形態を説明する。しかし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態にかかるショーケース10の全体構成を示す図である。
この
図1に示すように、ショーケース10は、床面上に設置される基台(基部)20と、基台20の上面から上方に立ち上がる背面壁30と、背面壁30に上下に一段以上(本実施形態では例えば4段)設けられた棚板40,40,…と、背面壁30の上端部に設けられ、複数段の棚板40の上方を覆うように設けられたキャノピー部50と、を有している。
ショーケース10は、
図1の紙面に直交する方向を幅方向とし、これらの基台20、背面壁30、棚板40、キャノピー部50は、それぞれ、
図1の紙面に直交する方向に一定長が連続するよう形成されている。また、基台20上には、背面壁30、棚板40、キャノピー部50の幅方向の端部に、サイド壁部11を設けることもできる。
本実施形態におけるショーケース10は、背面壁30の一方の側と他方の側とに、それぞれ複数段の棚板40を備えるものとしたが、背面壁30の一方の側のみに棚板40を備える構成としても良い。
また、本実施形態においては、各棚板40において、背面壁30側となる側を後方、その反対側、つまりショーケース10に対面して客が位置する側を前方として説明を行う。
【0014】
基台20内には、冷媒を冷却する冷凍機21と、冷凍機21で冷却された冷媒により周囲雰囲気と熱交換する冷却コイル22と、が備えられている。
【0015】
基台20には、略水平面内に位置するよう設けられたベース板23が設けられている。ベース板23の外周部には、上方に立ち上がる側壁部24が一体に形成されている。
【0016】
ベース板23の上方には、略水平面内に位置する隔壁25が設けられており、これによって、ベース板23と隔壁25との間には、空間26が形成されている。この空間26内には、前記の冷却コイル22が収容されている。隔壁25において、側壁部24に近い側である前方の端部25aと、側壁部24との間には空隙が設けられており、この空隙が、空間26に連通する開口部27とされている。また、ベース板23上において、背面壁30の鉛直下方には、上方に立ち上がる立ち上がり壁28が設けられている。隔壁25において、立ち上がり壁28に近い側である後方の端部25bと立ち上がり壁28との間には空隙が設けられており、この空隙が、空間26に連通する開口部29とされている。
【0017】
冷却コイル22は、開口部27から空気を空間26内に吸込み、開口部29から送り出すためのファン22fを備えている。
【0018】
背面壁30は、二枚一対の壁板31,31が互いに水平方向に所定間隔を空けて配置された構成を有している。
各壁板31は、隔壁25において、後方の端部25b上に支持されており、これによって、これら二枚一対の壁板31,31間に形成された空間32は、開口部29,29を通じて空間26に連通している。
また、壁板31には、上下方向に等間隔で複数段の棚板係止孔33が形成されている。
【0019】
各棚板40は、背面壁30から前方に向けて延びるよう設けられ、壁板31に沿う鉛直部41aと鉛直部41aの上端部から前方の水平方向に延びる水平部41bとを有した略L字状の支持ブラケット41と、支持ブラケット41の水平部41b上に設けられた平板状の棚板本体42と、を有している。
支持ブラケット41の鉛直部41aには、上下方向に所定間隔を空けて二つの係止爪43,43が形成されている。これらの係止爪43,43を、背面壁30の棚板係止孔33,33に係止させることによって、棚板40が壁板31に固定されている。
【0020】
キャノピー部50は、壁板31,31の上端部から、水平方向に延びる下部プレート51と、下部プレート51の上方に所定間隔を空けて配置された断熱材からなる上部プレート52と、上部プレート52上に設けられた天板53と、を有している。
下部プレート51と上部プレート52との間の空間54は、背面壁30の壁板31,31間の空間32に連通するよう形成されている。
【0021】
図1、
図2に示すように、上部プレート52の前縁部には、前方に延出するブラケット52aが、下部プレート51の先端部51aよりも前方に張り出すよう形成されている。そして、上部プレート52のブラケット52aには、下方に向けて延びる垂下壁55が形成され、垂下壁55と下部プレート51の先端部51aとの間の空隙には、多数の孔を有したハニカム構造の整流部材57が設けられている。整流部材57は、孔57aの軸線57bが、基台20の開口部27に向くよう形成されている。
【0022】
冷却コイル22のファン22fを作動させると、開口部27から外部の空気が空間26に導入される。導入された空気は、冷凍機21で冷却された冷媒により冷却される。冷却された空気は、冷却コイル22のファン22fにより、開口部29,29、二枚一対の壁板31,31間の空間32、下部プレート51と上部プレート52との間の空間54を経て、整流部材57から下方に吹き出され、各棚板40上の商品を冷却する。また、整流部材57から吹き出された空気の一部は、開口部27にそのまま流れこみ、いわゆるエアカーテンとして機能する。
【0023】
さて、天板53において、背面壁30の上端部から前方に離間した側の前端部には、フード部(フロントカバー部)58が設けられている。
このフード部58は、天板(天面)53側から、天板53から離間した側の前方に向けて、その高さが漸次低くなるよう形成されている。
フード部58の前端部58aには、前端部58aから後方の背面壁30側に向けて斜め下方に延びる端部壁58bが連続して形成されている。この端部壁58bの下端部は、照明装置本体61よりも下方に位置する。
さらに、端部壁58bの下端部には、後方の背面壁30側に向けて漸次高くなるよう、斜め上方に向けて折り返された折り返し部(カバー部、ツバ部)59が連続して形成されている。
【0024】
キャノピー部50の前縁部に位置するフード部58には、棚板40に向けて光を照らす照明装置(照明部)60Aが備えられている。すなわち、照明装置60Aは、キャノピー部50の前縁部に設けられている。
照明装置60Aは、照明装置本体61と、バックプレート62と、を有する。
【0025】
照明装置本体61は、
図2の紙面に直交する方向、つまりキャノピー部50の前縁部に沿って連続して延びる棒状(線状)で、その一面が発光面61aとされている。発光面61aは、照明装置本体61の長手方向に複数のLED(Light Emitting Diode)発光素子が所定間隔で並んで設けられることで形成されている。
【0026】
バックプレート62は、整流部材57とフード部58との間に設けられており、整流部材57の下端部から鉛直上方に立ち上がる鉛直壁62aと、鉛直壁62aの上端部から前方のフード部58側に向けて水平方向に延びる水平壁62bと、水平壁62bの前方の端部からフード部58の下端部、より具体的にはフード部58の端部壁58bと折り返し部59との境界部に向けて鉛直下方に向けて延びる垂下壁62cとを有している。このバックプレート62の鉛直壁62a、水平壁62b、垂下壁62cは、例えば白色に塗装されており、照明装置本体61からの光を効率良く反射するようになっている。
【0027】
本実施形態において、照明装置本体61は、バックプレート62の水平壁62bの下面に固定されている。さらに、この照明装置本体61の下方には折り返し部59が設けられ、この折り返し部59により、照明装置本体61の一部の鉛直下方が覆われている。具体的には、照明装置本体61は、前後方向において、その一部の、前方側のほぼ半分の部分61dが折り返し部59によって鉛直下方が覆われ、その残部の、後方側の残る半分程度の部分61eが、折り返し部59よりも後方に露出するよう設けられている。
【0028】
また、
図3に示すように、折り返し部59には、照明装置本体61が連続する方向(キャノピー部50の前縁部に沿った方向:
図2においてはその紙面に直交する方向)に、複数の長孔状のスリット(開口部)64が所定間隔を空けて配列されている。各スリット64は、キャノピー部50の前縁部に沿った方向に長軸方向を有している。
【0029】
このような構成の照明装置60Aにおいては、照明装置本体61は、その一部(部分61d)の鉛直下方のみが、折り返し部59によって覆われているので、発光面61aから発する光は、スリット64を通って下方の棚板40上の商品に照射される。
また、照明装置本体61は、その残部(部分61e)が、折り返し部59の鉛直上方位置よりも後方に露出するよう設けられているので、発光面61aから発する光は、折り返し部59に遮られることなく、下方の棚板40上の商品に直接照射される。
【0030】
上述したような構成によれば、照明装置60Aの照明装置本体61の一部の鉛直下方が、フード部58に形成された折り返し部59によって覆われているので、客の視界に照明装置本体61自体が入りにくくなる。また、照明装置本体61からの光がショーケース10よりも前方に漏れてしまうのを防ぐこともできる。そして、照明装置本体61からの光は、折り返し部59のスリット64を通して棚板40に向けて照射される。これにより、店舗の雰囲気を損なったり、本来、棚板40上の商品に光を当てて、客の商品購買意欲を高めようという照明効果が損なわれるのを防ぐことができる。
【0031】
さらに、折り返し部59は、端部壁58bの下端部から後方の斜め上方に向けて折り返されて形成されているため、照明装置本体61からの光が通るスリット64も客の視界に入りにくく、この点においても上記効果は一層顕著なものとなる。
【0032】
加えて、照明装置本体61の残部(部分61e)からの光は、下方の棚板40上の商品に直接照射されるため、スリット64を通して照射される光と合わせて、商品を効果的に浮きだたせるよう照明することができる。
【0033】
(第2の実施形態)
次に、本発明に係るショーケースの第2の実施形態について説明する。
ここで、以下に示す第2の実施形態は、照明装置(照明部)60Bの構成が上記第1の実施形態と異なるのみであり、他の、ショーケース10全体の構成は上記第1の実施形態と同様である。そこで、上記第1の実施形態と共通する構成については同符号を付し、その説明を省略する。
図4に示すように、本実施形態に係る照明装置60Bは、照明装置本体61が、バックプレート62の垂下壁62cに固定され、その発光面61aが鉛直壁62a側に対向するよう設けられている。この照明装置本体61は、その全体が、折り返し部59の上方に位置するよう設けられている。
【0034】
このような構成の照明装置60Bにおいては、照明装置本体61は、その全部が、折り返し部59により鉛直下方が覆われるよう設けられ、発光面61aから照射された光は、スリット64を通って下方の棚板40上の商品に照射される。
【0035】
上述したような構成によれば、照明装置本体61の全体の鉛直下方が、フード部58に形成された折り返し部59により覆われているので、客の視界に照明装置本体61自体が入りにくくなる。これにより、店舗の雰囲気を損なったり、本来、棚板40上の商品に光を当てて、客の商品購買意欲を高めようという照明効果が損なわれるのを防ぐことができる。
【0036】
(第3の実施形態)
次に、本発明に係るショーケースの第3の実施形態について説明する。
ここで、以下に示す第3の実施形態は、照明装置(照明部)60Cの構成が上記第1の実施形態と異なるのみであり、他の、ショーケース10全体の構成は上記第1の実施形態と同様である。そこで、上記第1の実施形態と共通する構成については同符号を付し、その説明を省略する。
図5に示すように、本実施形態に係る照明装置60Cは、照明装置本体61が、図示しないブラケット等を介して、少なくとも折り返し部59の上方に、発光面61aが鉛直下方を向くよう固定されている。より具体的には、照明装置本体61は、折り返し部59と、フード部58の端部壁58bとの上方に跨るように設けられている。
【0037】
このような構成の照明装置60Cにおいては、照明装置本体61は、その全部の鉛直下方が、フード部58の端部壁58bと折り返し部59とによって覆われ、発光面61aから照射された光は、スリット64を通って下方の棚板40上の商品に照射される。
【0038】
上述したような構成によれば、照明装置60Cの照明装置本体61の全体が、フード部58に形成された折り返し部59によって鉛直下方が覆われているので、客の視界に照明装置本体61自体が入りにくくなる。これにより、店舗の雰囲気を損なったり、本来、棚板40上の商品に光を当てて、客の商品購買意欲を高めようという照明効果が損なわれるのを防ぐことができる。
【0039】
(その他の実施形態)
なお、本発明のショーケースは、図面を参照して説明した上述の各実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、ショーケース10において、照明装置60A,60B,60C以外の構成については何ら限定するものではなく、他のいかなる構成としても良い。また、棚板40は、背面壁30の両面側に設けるようにしたが、棚板40を、背面壁30の一面側から他面側に略U字状に連続させるようにしても良い。その場合、照明装置60A、60B、60Cやキャノピー部50も、同様に平面視略U字状に設けることとなる。
また、上記各実施形態では、開口部として複数のスリット64を所定間隔を空けて配列する構成としたが、その形状や設置間隔については何ら限定するものではない。また、スリット64を、照明装置本体61の長手方向に連続する一文字状とすることも可能である。
さらに、折り返し部59は、端部壁58bの下端部に、後方の背面壁30側に向けて漸次高くなるよう、斜め上方に向けて折り返して形成したが、端部壁58bの下端部から後方の背面壁30に向けて、水平方向、または斜め下方に向けて形成しても良い。
加えて、照明装置本体61は、キャノピー部50の前縁部に沿って連続して延びる棒状(線状)としたが、これに限るものではなく、キャノピー部50の前縁部に沿って、照明装置本体61を複数個並べて設けても良い。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。