(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5986830
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】コンバインのDPF設置構造
(51)【国際特許分類】
A01D 41/12 20060101AFI20160823BHJP
【FI】
A01D41/12 E
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-151654(P2012-151654)
(22)【出願日】2012年7月5日
(65)【公開番号】特開2014-14278(P2014-14278A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2015年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山根 達也
【審査官】
中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−084542(JP,A)
【文献】
特開2008−000014(JP,A)
【文献】
特開2008−206439(JP,A)
【文献】
実開昭58−059425(JP,U)
【文献】
特開平10−210841(JP,A)
【文献】
実開平02−072319(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 41/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部に前処理部(5)を備える走行機台(4)の左側に脱穀部(6)を、右側に運転部(7)及びエンジンカバー(10)で囲われるエンジン(11)並びにグレンタンク(8)を配置したコンバイン(1)のエンジン(11)の左側上部に排気ガスに含まれる粒状物質を除去するDPF(26)を設け、該DPF(26)から排気ガスを排気パイプ(27)を介して後方下部に向けて排出するコンバインのDPF設置構造において、
前記排気パイプ(27)を脱穀部(6)とグレンタンク(8)との間に形成される空間部を通し走行機台(4)の後部に排気口(27a)を位置させて排気ガスを排出させるに、前記脱穀部(6)の側壁(6b)の前側下部に開口されてエンジン(11)側から吸気し脱穀部(6)内に選別風を送風する送風ファン(30)の吸気口(31)に対し排気パイプ(27)の走行機台(4)上に位置する中途部を側面視で重なるように対向させて臨ませると共に、吸気カバー(28)を、吸気口(31)と排気パイプ(27)の中途部を上方から覆う上カバー部(28b)と、上カバー部(28b)から一体的に走行機体(4)まで延長されて吸気口(31)と排気パイプ(27)の中途部を側方から覆う横カバー部(28a)とで構成し、吸気口(31)と排気パイプ(27)の中途部とを、前記吸気カバー(28)によって脱穀部(6)との間で、前部と下部に開放されて吸気口(31)に通ずる吸気路(31a)を形成して側方から覆うことを特徴とするコンバインのDPF設置構造。
【請求項2】
吸気口(31)に臨ませる排気パイプ(27)の中途部を、DPF(26)から吸気口(31)の前方に位置させて上下方向に垂設させる縦排気パイプ部(27b)と、該縦排気パイプ部(27b)の下端を後方に向けて屈曲させることにより、吸気口(31)の下部に臨ませて延長される横排気パイプ部(27c)とによって形成する請求項1記載のコンバインのDPF設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインのDPF設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前処理部の後方で走行機台上に脱穀部と、運転部及びエンジンカバーで囲われるエンジン並びにグレンタンクを左右に配置したコンバインは、エンジンの左側上部に取付けたPFによって、エンジンから排出される排気ガスに含まれる粒状物質を除去し、浄化処理された高温状態の排気ガスを排気パイプを介し、脱穀部とグレンタンクとの間に形成される空間部の下部に向けて排出するようにDPF装置を設置したものが既に公知である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−216336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で示されるコンバインのDPF設置構造は、エンジンの左側上部のDPFによって排気ガスを浄化処理したのちの高温の処理排気ガスを排気パイプを介して、後方下部に配置されている唐箕ファン(送風ファン)の下方を通して後方に排出するので、加熱された高温の排気パイプにより脱穀部の選別風等を加温し、湿材の収穫作業性を向上させる利点がある。然しながら、このDPF設置構造では脱穀部とグレンタンクとの間で、排気パイプを露出させたままで延長させるものであるため、前記空間部に上方から落下して入り込んだ藁屑や塵埃等の落下物が、高温状態で加熱されている排気パイプに接触したり堆積付着し排気パイプによって高温加熱される欠点がある。また排気パイプは周囲が広く開放したままで唐箕ファンの近傍を通しているため、唐箕ファンが吸引する外気によって排気パイプを効率よく冷却し低温化させ難いものであると共に、唐箕ファンが吸引する選別風を十分に加温し得ない等の課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明は、第1に、前部に前処理部5を備える走行機台4の左側に脱穀部6を、右側に運転部7及びエンジンカバー10で囲われるエンジン11並びにグレンタンク8を配置したコンバイン1
のエンジン11の左側上部に排気ガスに含まれる粒状物質を除去するDPF26を設け、該DPF26から排気ガスを排気パイプ27を介して後方下部に向けて排出するコンバインのDPF設置構造において、
前記排気パイプ27を脱穀部6とグレンタンク8との間に形成される空間部を通し走行機台4の後部に排気口27aを位置させて排気ガスを排出させるに、前記脱穀部6の側壁6bの前側下部に開口されてエンジン11側から吸気し脱穀部6内に選別風を送風する送風ファン30の吸気口31に対し排気パイプ27の
走行機台4上に位置する中途部を
側面視で重なるように対向させて臨ませると共に、
吸気カバー28を、吸気口31と排気パイプ27の中途部を上方から覆う上カバー部28bと、上カバー部28bから一体的に走行機体4まで延長されて吸気口31と排気パイプ27の中途部を側方から覆う横カバー部28aとで構成し、吸気口31と排気パイプ27の中途部とを、
前記吸気カバー28によって脱穀部6との間で、前部と下部に開放されて吸気口31に通ずる吸気路31aを形成して側方から覆うことを特徴としている。
第2に、吸気口31に臨ませる排気パイプ27の中途部を、DPF26から吸気口31の前方に位置させて上下方向に垂設させる縦排気パイプ部27bと、該縦排気パイプ部27bの下端を後方に向けて屈曲させることにより、吸気口31の下部に臨ませて延長される横排気パイプ部27cとによって形成することを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、
前部に前処理部を備える走行機台の左側に脱穀部を、右側に運転部及びエンジンカバーで囲われるエンジン並びにグレンタンクを配置したコンバインのエンジンの左側上部に排気ガスに含まれる粒状物質を除去するDPFを設け、該DPFから排気ガスを排気パイプを介して後方下部に向けて排出するコンバインのDPF設置構造において、前記排気パイプを脱穀部とグレンタンクとの間に形成される空間部を通し走行機台の後部に排気口を位置させて排気ガスを排出させるに、前記脱穀部の側壁の前側下部に開口されてエンジン側から吸気し脱穀部内に選別風を送風する送風ファンの吸気口に対し排気パイプの
走行機台上に位置する中途部を
側面視で重なるように対向させて臨ませると共に、
吸気カバーを、吸気口と排気パイプの中途部を上方から覆う上カバー部と、上カバー部から一体的に走行機体まで延長されて吸気口と排気パイプの中途部を側方から覆う横カバー部とで構成し、吸気口と排気パイプの中途部とを、
前記吸気カバーによって脱穀部との間で、前部と下部に開放されて吸気口に通ずる吸気路を形成して側方から覆うことにより、吸気カバーは吸気口と排気パイプの中途部を覆い、カバー内で外気を排気パイプによって効率よく加温しながら、送風ファンにより吸気口から加熱空気を吸い込み加温選別風として脱穀部内に供給するので、湿材に対する収穫作業性をより向上させることができる。また吸気カバーは、塵埃等の落下物と排気パイプとの接触を防止すると共に、吸気口に対向して臨む排気パイプの中途部を外気によって効率よく冷却し、排気下流側の後部排気パイプを低温状態に維持させることができる。
請求項2の発明によれば、吸気口に臨ませる排気パイプの中途部を、DPFから吸気口の前方に位置させて上下方向に垂設させる縦排気パイプ部と、該縦排気パイプ部の下端を後方に向けて屈曲させることにより、吸気口の下部に臨ませて延長される横排気パイプ部とによって形成することにより、吸気カバー内で排気パイプの排気上流側でのパイプ長を長くすることができるため、外気との接触をより促進させることができてパイプ冷却効率及び選別風の加温効率を高めることができる。また吸気カバーから走行機台の後部まで露出状態で長く配管される後部排気パイプの低温化を図りながら、走行機台の後部の排気口から十分に降温させた排気ガスを排出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】コンバインのDPF設置構造の要部を示す側面図である。
【
図3】コンバインのDPF設置構造の背面図である。
【
図4】コンバインのDPF設置構造を一部破断をして示す斜視図である。
【
図5】コンバインの走行装置に設置される転輪の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1,
図2において符号1は本発明に係わるDPF装置2の設置構造(以下単にDPF設置構造と言う)を備えたコンバインである。このコンバイン1は、クローラ式の走行装置3を有する走行機台4に、従来のものと同様に前処理部5と脱穀部6等の作業部を前後方向に配置し、脱穀部6の右側に運転部7とグレンタンク8を配置している。上記運転部7の運転座席9は走行機台4に箱枠状に構成されるエンジンカバー10上に設置している。エンジンカバー10は、走行機台4から立設されるカバーフレーム10aに対し、冷却風路を形成し走行機台4に搭載されるエンジン11を囲うように取付けられている。
【0009】
尚、上記走行装置3は
図5に示すように、走行フレーム3aの下部側の前後方向に沿って配設される左右一対の各転輪3bを、該転輪3bを両端に着脱自在に備える転輪軸3cを回転自在に軸支する軸筒3dを介し、給油等のメンテナンス作業を容易に行うことができるようにしている。即ち、軸筒3dは外周断面を4角又は6角形状の角パイプとしており、左右のメタル部に対して潤滑油を給油する給油口3eを穿設している。また走行フレーム3aの転輪取付け位置には、軸筒3dを合致させて挿入自在とする角孔を有する角パイプ3fを設けている。これにより走行装置3の軸筒3dへの給油を行う際には、
図5で示す一方の転輪3bを取外すことにより、軸筒3dを角パイプ3fから他側に向けて簡単に抜き出すことができる。これにより給油口3eを介してメタル部に給油をしたのち、逆順の動作によって上記軸筒3dを角パイプ3fに挿入して、外された転輪3bを転輪軸3cに取付けて、軸筒3dの回り止めをした状態で位置決めし、一連のメンテナンス作業を能率よく簡単に行うことができる。
【0010】
上記構成からなるコンバイン1は、前処理部5で刈り取った穀稈を脱穀部6に供給し、脱穀部6によって脱穀選別された穀粒を、図示しない揚穀筒によって上部からグレンタンク8内に供給し充填収容する。次いでグレンタンク8に収容した穀粒を、穀粒排出オーガ13の操作作動によって機外に排出し、一連のコンバイン作業を遂行することができる。このコンバイン1の運転部7は、運転部フロア7aの前側で横方向に立設される前部運転パネル部7bと、該前部運転パネル部7bに連なり運転部フロア7a及び運転座席9の左側で前後方向に立設される側部運転パネル部7cとを平面視でL字状に構成している。そして、運転座席9の後方に、穀粒排出オーガ13等を操作する排出オーガ操作部15を配置している。
【0011】
穀粒排出オーガ13は、グレンタンク8の後部で略グレンタンク高さとなし走行機台4に立設する縦オーガ16と、該縦オーガ16の上部に旋回傾動機構17を介して連結される横オーガ19とからなる。そして、前記排出オーガ操作部15の操作に基づき旋回傾動機構17を介して横オーガ19を旋回及び傾動作動させることができ、所望位置での穀粒排出を各内装される螺旋体の回転によって行なう。
グレンタンク8は平面視方形状の箱型タンクであり、機体奥側(左側)の傾斜底壁20(
図3参照)と右側のタンク傾斜底壁20aとによって漏斗状に集束形成しており、グレンタンク底部内に沿って穀粒搬送オーガ21を軸装している。この穀粒搬送オーガ21は軸後端を縦オーガ16の基部に接続しており、軸前端に備える従動プーリをテンションクラッチ等を備えるベルト伝動装置によって伝動切換え可能に接続している。
【0012】
またグレンタンク8は、後壁23側を縦オーガ16に縦軸回動可能に取付けており、グレンタンク8を空にした状態で穀粒収容作業位置から、前記ベルト伝動装置とのベルト接続を解除した状態で、縦オーガ16を中心に側方(右側)開動させ、脱穀部6の右側を大きく解放させたメンテナンス作業位置に変更することができる。このメンテナンス作業位置においてグレンタンク8は、前部側が縦オーガ16を支点に側方回動して脱穀部6及びエンジンカバー10から離間するので、脱穀部6及び各種伝動機構6a並びにDPF装置2を露出させ、その点検修理或いは掃除等のメンテナンス作業に十分な作業スペースを形成する。また上記空間部には、脱穀部6の前部下方に設置される後述する送風ファン30の吸気口31を、側壁(右側脱穀部機壁)6bに開口して臨ませていると共に、該側壁6bに沿わせて上記伝動機構6aを配設している。伝動機構6aは送風ファン30の回転ファン30aをベルト伝動によりファンプーリ30bを介して回転させる他、脱穀部6及びグレンタンク8等の図示しない各部の回転軸を伝動自在にしている。
【0013】
上記コンバイン1の構成において、前記DPF装置2は
図2〜
図4で示すように、エンジン11及びグレンタンク8と脱穀部6との隙間の下方に形成される空間部に設置している。このDPF装置2は、エンジン11のエギゾーストマニホールド25に接続されるDPF26と、該DPF26の排気口に接続される排気パイプ27と、該排気パイプ27の中途部を覆う箱状の吸気カバー28等からなる。即ち、本実施形態で使用されるDPF26は、トラックやトラクタ等で用いられる市販のディーゼル微粒子除去装置と同様のフィルタ構造等からなり、在来のエンジン用マフラに代えて、エギゾーストマニホールド25に接続され、且つ支持部材11aを介してエンジン11の上部で左側方に装着され、排気ガスに含まれる粒子状物質を内部のフィルタに付着させながら燃焼し、クリーンな排気ガスを排出させることができる。
【0014】
またDPF26は、側面視において脱穀部6の前部に位置させた取付け状態で、走行機台4からエンジン11を囲うように立設されているカバーフレーム10aに取付けられるエンジンカバー10によって、上方及び側方が覆われている。尚、コンバイン1の運転部7には、エンジン11を随時操作によって強制的に高回転させる再生モードスイッチ(不図示)を有しており、エンジン11がアイドリング中である場合に、上記再生モードスイッチを操作することによりエンジン11を定格回転に制御するので、高温の排気ガスによってDPF26内の温度を上げてフィルタに付着する粒子状物質を随時燃やし、フィルタの目詰まりを防止し排気ガスの浄化処理性能を保持するようにしている。
【0015】
排気パイプ27は、DPF26から後方下部に向けて延設され、その排気口27aを走行機台4の後部で左右の走行装置3の中央部に設置するに当たり、排気上流側にDPF26から走行機台4に向けて側面視において鉛直状となる縦排気パイプ部27bと、該縦排気パイプ部27bの下部を後方に向けて屈曲させることにより、走行機台4上で略平行状をなすように沿わせる横排気パイプ部27cとを形成している。この際に、横排気パイプ部27cは
図2〜
図4に示すように、前記脱穀部6の側壁6bに開口する吸気口31の側方下部に対し、伝動機構6aの右側側方に配設している。このため排気パイプ27は、背面視(
図3)において縦排気パイプ部27bをDPF26から下部を右側に向けて傾斜させており、横排気パイプ部27cから後方の排気口27aに至る後部排気パイプ27dは、横排気パイプ部27cの終端から左側下方に向けて屈曲させて形成している。
【0016】
上記排気パイプ27の構成において吸気カバー28は、吸気口31と横排気パイプ部27cの側方及び吸気口31を覆う横カバー部28aと、該横カバー部28aから一体的に延長されて前記側壁6bに近接させる上カバー部28bとからなるカバー本体を形成している。また該カバー本体の前部には、縦排気パイプ部27bを後方から覆う前カバー部28cを上方に向けて立設形成した構成を付加している。この吸気カバー28は横カバー部28aの下部を走行機台4に着脱自在に取付けており、グレンタンク8のメンテナンス作業姿勢において簡単に取外すことができる。従って、吸気カバー28を取外すことにより、DPF26の後方及び吸気口31並びに伝動機構6aの側方を広く開放することができる。
【0017】
この構成により吸気カバー28は、横排気パイプ部27及び吸気口31を覆う大きさでカバースペース(吸気スペース)を形成して、少なくとも両者の側方及び上方を覆うと共に、下方及び前方を開放させている。これによりコンバイン作業時に、送風ファン30の回転に伴う吸気口31への吸気を、塵埃の吸込みを懸念することなく走行機台4の中腹部の下方と前方から十分に行うことができ、且つ上方及び後方並びに側方を閉鎖して吸気を規制させるため、この部に落下したり浮遊する藁屑や塵埃等の吸い込みを防止することができる。また脱穀部6とグレンタンク8との隙間から侵入して落下する塵埃等がある場合に、当該塵埃は吸気カバー28に沿って滑落し機外に排出させる。また上カバー部28bは、横排気パイプ部27cから吸気口31を隔てた上方で十分に離間して冷却される位置にあるため、例え塵埃が上カバー部28bに載ったとしても高温で加熱されることがない等の特徴がある。
【0018】
以上のように構成されるDPF装置2を備えたコンバイン1は、エンジン11を高回転域の定格回転によって刈取りと脱穀を同時に行なってコンバイン作業を遂行する。この場合にコンバイン1は、DPF装置2をエンジン11の左側上部に設置していると共に、DPF26から排気パイプ27を脱穀部6とグレンタンク8との間に形成される空間部を通して走行機台4の後部に位置する排気口27aから排気ガスを排出する。このときDPF26はエンジン11からエギゾーストマニホールド25を介し高温の排気ガスが直接的に供給されるため、粒子状物質を高温で効率よく燃焼処理することができ、浄化した排気ガスを排気パイプ27に送り排出する。
【0019】
そして、排気パイプ27の中途部を送風ファン30の吸気口31に臨ませた状態で、脱穀部6との間で吸気カバー28によって、前部と下部に開放されて吸気口31に通ずる吸気路31aを形成して側方から覆っていることにより、送風ファン30は吸気路31aを介してエンジン11側と機腹部下方からエンジン冷却風及び塵埃の混入のない外気(空気)を吸込むことができ、また脱穀部6とグレンタンク8との隙間から落下してくる藁屑等の塵埃に支障されることがない。
【0020】
即ち、吸気カバー28は上記隙間から落下してくる塵埃をカバー面で受け滑落させて吸気口31への混入を防止し落下物の付着を防止すると共に、カバー内で吸気口31の側方に排気パイプ27の中途部を臨ませて配管することができる。これにより吸気カバー28はその内部で、高温で加熱された排気パイプ27の中途部によって、吸気路31aから導入される外気を効率よく加熱するため、送風ファン30は吸気口31から加熱空気を吸い込み加温選別風として脱穀部6内に供給することができる。この加熱選別風は、脱穀物に接触して直接的な乾燥を行なう他、脱穀部6の内部全体を加熱し高温雰囲気を保持するため、藁屑と籾の分離を促進すると共に、藁屑や塵埃等の内部付着を抑制して脱穀性能を向上させる。
【0021】
また吸気カバー28内において、吸気口31に対向して臨む排気パイプ27の中途部は、吸気路31aから一定方向に流れる外気によって強制的に効率よく冷却されるため、排気下流側の後部排気パイプ27dを低温状態に維持させる。さらに、排気パイプ27は図示例のように、排気パイプ27の中途部を吸気口31に臨ませるに、DPF26から上下方向に垂設させる縦排気パイプ部27bを吸気口31の前方に位置させ、且つ下部を後方に向けて屈曲させて横排気パイプ部27を形成し、該横排気パイプ部27を吸気口31の下部に臨ませて後方に延長させることが望ましいものである。
【0022】
即ち、この場合には、吸気カバー28内で排気パイプ27の排気上流側でのパイプ長を長くすることができるため、外気との接触をより促進させてパイプ冷却効率を高めることができる。従って、吸気カバー28から走行機台4の後部まで露出状態で長く配管される後部排気パイプ27dの低温化を図ることができると共に、長く配管させる後部排気パイプ27dによっても排気ガスの低温化を促進し200℃程度に降温させた排気ガスを排気口27aから排出させることができる。また送風ファン30に吸引させる空気の高温化も同時に図ることができるので、湿材に対する収穫作業性をより向上させることができる等の特徴がある。
【符号の説明】
【0023】
1 コンバイン
2 DPF装置
5 前処理部
4 走行機台
6 脱穀部
6b 側壁
7 運転部
8 グレンタンク
10 エンジンカバー
11 エンジン
26 DPF
27 排気パイプ
27a 排気口
27b 縦排気パイプ部
27c 横排気パイプ部
28 吸気カバー
30 送風ファン
31 吸気口
31a 吸気路