(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記流体供給通路は、流体燃料を前記混合室に供給する複数の第2流体燃料供給通路と、微粒化流体を前記混合室に供給する複数の第2微粒化流体供給通路とを有し、前記第1流体燃料供給通路と前記第2微粒化流体供給通路が前記チップ本体の径方向に対向して配置され、前記第1微粒化流体供給通路と前記第2流体燃料供給通路が前記チップ本体の径方向に対向して配置されることを特徴とする請求項1または2に記載のバーナチップ。
前記チップ本体は、基端部に流体燃料が供給される流体燃料チャンバと微粒化流体が供給される微粒化流体チャンバが設けられ、前記流体燃料チャンバから前記混合室に向けて前記複数の第1流体燃料供給通路が延出され、前記微粒化流体チャンバから前記混合室に向けて前記複数の第1微粒化流体供給通路が延出されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載のバーナチップ。
前記チップ本体は、スプレイプレートとバックプレートとが連結されて構成され、前記スプレイプレート及びバックプレートにわたって前記混合室が形成され、前記スプレイプレートに前記複数の混合流体噴出孔が形成され、前記バックプレートに前記第1流体燃料供給通路と前記第1微粒化流体供給通路と前記流体供給通路が形成されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載のバーナチップ。
前記バックプレートは、第1バックプレートと第2バックプレートとを有し、前記第1バックプレートと前記第2バックプレートの間に流体燃料中間チャンバが設けられ、前記第1流体燃料供給通路または前記流体供給通路が前記流体燃料中間チャンバを挟んで分割形成されることを特徴とする請求項6に記載のバーナチップ。
前記バックプレートは、第1バックプレートと第2バックプレートとを有し、前記第1バックプレートと前記第2バックプレートの間に微粒化流体中間チャンバが設けられ、前記第1微粒化流体供給通路または前記流体供給通路が前記微粒化流体中間チャンバを挟んで分割形成されることを特徴とする請求項6に記載のバーナチップ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
バーナチップとしては、上述した特許文献1に記載されたバーナチップのように、混合体噴出孔の中途部に燃料噴出孔を連結することで、噴霧媒体に対して液体燃料を混合してから噴出するものがある。一方で、噴霧媒体と液体燃料を内部に設けた混合室で混合した後、噴出孔から噴出する内部混合型のバーナチップがある。この内部混合型のバーナチップにあっても、上述したバーナチップのように、混合体噴出孔を半径方向及び周方向に所定間隙で複数配列することで、液体燃料の微粒化を向上させた上で、混合体の噴流同士の干渉を防ぎ、燃焼性を向上させることができる。しかし、混合室を有する内部混合型のバーナチップの場合、この混合室での噴霧媒体による液体燃料の拡散が不十分である。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、流体燃料の微粒化を促進することで燃焼性を向上させることが可能なバーナチップ及び燃焼バーナ並びにボイラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明のバーナチップは、チップ本体と、前記チップ本体の内部に設けられる混合室と、基端部が前記混合室に連通すると共に先端部が前記チップ本体の先端に開口して前記チップ本体の周方向に所定間隔で配置される複数の混合流体噴出孔と、前記チップ本体の基端側に長手方向に沿って設けられて流体燃料を前記混合室に供給する複数の第1流体燃料供給通路と、前記チップ本体の基端側に長手方向に沿って設けられて微粒化流体を前記混合室に供給する複数の第1微粒化流体供給通路と、前記チップ本体における前記第1流体燃料供給通路及び前記第1微粒化流体供給通路より外周側に設けられて流体燃料または微粒化流体を前記混合室にその外周側から供給する流体供給通路と、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
従って、第1流体燃料供給通路と第1微粒化流体供給通路がチップ本体の長手方向に沿って設けられていることから、第1流体燃料供給通路から混合室に供給される流体燃料と、第1微粒化流体供給通路から混合室に供給される微粒化流体とが、この混合室で効率良く混合することとなり、流体燃料の微粒化を促進することで燃焼性を向上させることができる。
【0010】
本発明のバーナチップでは、前記第1流体燃料供給通路と前記第1微粒化流体供給通路は、前記チップ本体の周方向に隣接して配置されることを特徴としている。
【0011】
従って、第1流体燃料供給通路から混合室に供給される流体燃料と、第1微粒化流体供給通路から混合室に供給される微粒化流体とが、この混合室で隣接することで効率良く混合することとなり、流体燃料の微粒化を促進することができる。
【0012】
本発明のバーナチップでは、前記第1流体燃料供給通路と前記第1微粒化流体供給通路は、前記チップ本体の周方向に交互に配置されることを特徴としている。
【0013】
従って、第1流体燃料供給通路から混合室に供給される流体燃料と、第1微粒化流体供給通路から混合室に供給される微粒化流体とが、この混合室で周方向に交互に位置することで効率良く混合することとなり、流体燃料の微粒化を促進することができる。
【0014】
本発明のバーナチップでは、前記流体供給通路は、流体燃料を前記混合室に供給する複数の第2流体燃料供給通路と、微粒化流体を前記混合室に供給する複数の第2微粒化流体供給通路とを有し、前記第1流体燃料供給通路と前記第2微粒化流体供給通路が前記チップ本体の径方向に対向して配置され、前記第1微粒化流体供給通路と前記第2流体燃料供給通路が前記チップ本体の径方向に対向して配置されることを特徴としている。
【0015】
従って、流体燃料が第1流体燃料供給通路から混合室に供給されると共に、微粒化流体が第1微粒化流体供給通路から混合室に供給されるとき、混合室の流体燃料に対して第2微粒化流体供給通路から微粒化流体が供給されると共に、混合室の微粒化流体に対して第2流体燃料供給通路から流体燃料が供給されることとなり、混合室で流体燃料と微粒化流体とが効率良く混合することとなり、流体燃料の微粒化を促進することができる。
【0016】
本発明のバーナチップでは、前記第1流体燃料供給通路は前記チップ本体の周方向に沿って配置されると共に、前記第1微粒化流体供給通路は前記チップ本体の周方向に沿って配置され、前記第1流体燃料供給通路と前記第1微粒化流体供給通路は、前記チップ本体の径方向に隣接して配置されることを特徴としている。
【0017】
従って、第1流体燃料供給通路から混合室に供給される流体燃料と、第1微粒化流体供給通路から混合室に供給される微粒化流体とが、この混合室で隣接することで効率良く混合することとなり、流体燃料の微粒化を促進することができる。
【0018】
本発明のバーナチップでは、前記第1流体燃料供給通路は前記第1微粒化流体供給通路より前記チップ本体の径方向の外側に配置され、前記流体供給通路は、微粒化流体を前記混合室に供給する複数の第2微粒化流体供給通路を有し、前記第1流体燃料供給通路と前記第2微粒化流体供給通路が前記チップ本体の径方向に対向して配置されることを特徴としている。
【0019】
従って、混合室の流体燃料に対して、第1微粒化流体供給通路から微粒化流体が供給されると共に、第2微粒化流体供給通路から微粒化流体が供給されることとなり、混合室で流体燃料と微粒化流体とが効率良く混合することとなり、流体燃料の微粒化を促進することができる。
【0020】
本発明のバーナチップでは、前記チップ本体は、基端部に流体燃料が供給される流体燃料チャンバと微粒化流体が供給される微粒化流体チャンバが設けられ、前記流体燃料チャンバから前記混合室に向けて前記複数の第1流体燃料供給通路が延出され、前記微粒化流体チャンバから前記混合室に向けて前記複数の第1微粒化流体供給通路が延出されることを特徴としている。
【0021】
従って、流体燃料チャンバと微粒化流体チャンバを設けることで、流体燃料と微粒化流体を複数の各供給通路から混合室に適正に供給することができる。
【0022】
本発明のバーナチップでは、前記チップ本体は、スプレイプレートとバックプレートとが連結されて構成され、前記スプレイプレート及びバックプレートにわたって前記混合室が形成され、前記スプレイプレートに前記複数の混合流体噴出孔が形成され、前記バックプレートに前記第1流体燃料供給通路と前記第1微粒化流体供給通路と前記流体供給通路が形成されることを特徴としている。
【0023】
従って、チップ本体をスプレイプレートとバックプレートとから構成することで、混合室、混合流体噴出孔、各供給通路を容易に形成することが可能となり、製造コストを低減することができる。
【0024】
本発明のバーナチップでは、前記バックプレートは、第1バックプレートと第2バックプレートとを有し、前記第1バックプレートと前記第2バックプレートの間に流体燃料中間チャンバが設けられ、前記第1流体燃料供給通路または前記流体供給通路が前記流体燃料中間チャンバを挟んで分割形成されることを特徴としている。
【0025】
従って、バックプレートを第1バックプレートと第2バックプレートとから構成することで、各供給通路を容易に形成することが可能となり、製造コストを低減することができ、また、各バックプレートの間に流体燃料中間チャンバを設けることで、流体燃料を複数の各供給通路から混合室に適正に供給することができる。
【0026】
本発明のバーナチップでは、前記バックプレートは、第1バックプレートと第2バックプレートとを有し、前記第1バックプレートと前記第2バックプレートの間に微粒化流体中間チャンバが設けられ、前記第1微粒化流体供給通路または前記流体供給通路が前記微粒化流体中間チャンバを挟んで分割形成されることを特徴としている。
【0027】
従って、バックプレートを第1バックプレートと第2バックプレートとから構成することで、各供給通路を容易に形成することが可能となり、製造コストを低減することができ、また、各バックプレートの間に微粒化流体中間チャンバを設けることで、微粒化流体を複数の各供給通路から混合室に適正に供給することができる。
【0028】
また、本発明の燃焼バーナは、流体燃料を供給可能な流体燃料供給配管と、微粒化流体を供給可能な微粒化流体供給配管と、前記流体燃料供給配管及び前記微粒化流体供給配管の先端部に設けられるチップ本体と、前記チップ本体の内部に設けられる混合室と、基端部が前記混合室に連通すると共に先端部が前記チップ本体の先端に開口して前記チップ本体の周方向に所定間隔で配置される複数の混合流体噴出孔と、前記チップ本体の基端側に長手方向に沿って設けられて前記流体燃料供給配管の流体燃料を前記混合室に供給する複数の第1流体燃料供給通路と、前記チップ本体の基端側に長手方向に沿って設けられて前記微粒化流体供給配管の微粒化流体を前記混合室に供給する複数の第1微粒化流体供給通路と、前記チップ本体における前記第1流体燃料供給通路及び前記第1微粒化流体供給通路より外周側に設けられて流体燃料または微粒化流体を前記混合室にその外周側から供給する流体供給通路と、を備えることを特徴とするものである。
【0029】
従って、第1流体燃料供給通路から混合室に供給される流体燃料と、第1微粒化流体供給通路から混合室に供給される微粒化流体とが、この混合室で効率良く混合することとなり、流体燃料の微粒化を促進することで燃焼性を向上させることができる。
【0030】
また、本発明のボイラは、中空形状をなす火炉内で燃料と空気を燃焼させると共に、前記火炉内で熱交換を行って熱を回収するボイラにおいて、前記火炉壁に前記燃焼バーナが配置されることを特徴とするものである。
【0031】
従って、混合室で流体燃料と微粒化流体を効率良く混合することとなり、流体燃料の微粒化を促進することで燃焼性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明のバーナチップ及び燃焼バーナ並びにボイラによれば、チップ本体の長手方向に沿って複数の第1流体燃料供給通路と複数の第1微粒化流体供給通路を設けるので、混合室で流体燃料と微粒化流体を効率良く混合することとなり、流体燃料の微粒化を促進することで燃焼性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に添付図面を参照して、本発明のバーナチップ及び燃焼バーナ並びにボイラの好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
【実施例1】
【0035】
図1は、本発明の実施例1に係るバーナチップを有する燃焼バーナの断面図、
図2は、実施例1の燃焼バーナの平面図、
図3は、実施例1の燃焼バーナにおける
図1のIII−IIIの断面図、
図4は、実施例1に係るボイラとしての油焚きボイラを表す概略構成図である。
【0036】
実施例1の油焚きボイラは、流体燃料としての重油(または、軽油、石炭のスラリーなど)を燃料として用い、この重油を燃焼バーナ(バーナチップ)により微粒化流体としての蒸気(または、高圧空気、高圧ガス、可燃性ガスなど)により微粒化させて噴霧し、火炉内で燃焼させ、この燃焼により発生した熱を回収することが可能なボイラである。
【0037】
実施例1において、
図4に示すように、油焚きボイラ10は、コンベンショナルボイラであって、火炉11と燃焼装置12とを有している。火炉11は、四角筒の中空形状をなして鉛直方向に沿って設置され、この火炉11を構成する火炉壁の下部に燃焼装置12が設けられている。
【0038】
燃焼装置12は、火炉壁に装着された複数の燃焼バーナ21を有している。実施例1にて、この燃焼バーナ21は、周方向に沿って、例えば、4個均等間隔で配設されたものが1セットとして、鉛直方向に沿って、例えば、3セット、つまり、3段配置されている。なお、燃焼バーナ21の配置場所や個数はこれに限定されるものではない。
【0039】
各燃焼バーナ21は、燃料供給配管22を介して燃料供給源23に連結されており、燃料供給配管22に燃料供給量を調整可能な流量調整弁24が設けられている。また、各燃焼バーナ21は、蒸気供給配管25を介して蒸気供給源26に連結されており、蒸気供給配管25に蒸気供給量を調整可能な流量調整弁27が設けられている。
【0040】
従って、各燃焼バーナ21は、燃料供給源23から燃料供給配管22を通して燃料が供給されると共に、蒸気供給源26から蒸気供給配管25を通して蒸気が供給されることとなり、燃料と蒸気を混合して微粒化した後、混合流体として火炉11内に噴射し、火炎を形成することができる。
【0041】
火炉11は、上部に煙道31が連結されており、この煙道31に、対流伝熱部(熱回収部)として排ガスの熱を回収するための過熱器(スーパーヒータ)32,33、再熱器34,35、節炭器(エコノマイザ)36,37,38が設けられており、火炉11での燃焼で発生した排ガスと水との間で熱交換が行われる。
【0042】
煙道31は、その下流側に熱交換を行った排ガスが排出される排ガス管39が連結されている。この排ガス管39は、図示しないが、脱硝装置、電気集塵機、誘引送風機、脱硫装置が設けられ、下流端部に煙突が設けられている。
【0043】
従って、燃焼装置12に各燃焼バーナ21が燃料と蒸気との混合流体を火炉11内に噴射すると、火炉11では、混合流体と空気とが燃焼して火炎が生じ、この火炉11内の下部で火炎が生じると、燃焼ガス(排ガス)がこの火炉11内を上昇し、煙道31に排出される。
【0044】
このとき、図示しない給水ポンプから供給された水は、節炭器36,37,38によって予熱された後、図示しない蒸気ドラムに供給され火炉壁の各水管(図示せず)に供給される間に加熱されて飽和蒸気となり、図示しない蒸気ドラムに送り込まれる。更に、図示しない蒸気ドラムの飽和蒸気は過熱器32,33に導入され、燃焼ガスによって過熱される。過熱器32,33で生成された過熱蒸気は、図示しない発電プラント(例えば、タービン等)に供給される。また、タービンでの膨張過程の途中で取り出した蒸気は、再熱器34,35に導入され、再度過熱されてタービンに戻される。なお、火炉11をドラム型(蒸気ドラム)として説明したが、この構造に限定されるものではない。
【0045】
その後、煙道31の節炭器36,37,38を通過した排ガスは、排ガス管39にて、図示しない脱硝装置にて、触媒によりNOxなどの有害物質が除去され、電気集塵機で粒子状物質が除去され、脱硫装置により硫黄分が除去された後、煙突から大気中に排出される。
【0046】
ここで、燃焼装置12について詳細に説明するが、この燃焼装置12を構成する各燃焼バーナ21は、ほぼ同様の構成をなしている。
【0047】
燃焼バーナ21は、
図1から
図3に示すように、燃料を供給可能な燃料供給配管(流体燃料供給配管)22と、蒸気を供給可能な蒸気供給配管(微粒化流体供給配管)25と、燃料と蒸気との混合流体を噴出(噴霧)可能なバーナチップ41とを有している。この場合、燃料供給配管22と蒸気供給配管25は2重管であり、燃料供給配管22が内側に位置し、この燃料供給配管22の外側に蒸気供給配管25が配置されることで、燃料供給経路22aと蒸気供給経路25aが形成されている。そして、バーナチップ41は、この2重管(燃料供給配管22、蒸気供給配管25)の先端部に交換可能に取付けられている。
【0048】
バーナチップ41は、チップ本体としてのスプレイプレート42と第1バックプレート43と第2バックプレート44とから構成され、図示しない締付リングにより一体に連結されている。
【0049】
スプレイプレート42は、基端(
図1にて、右方)が開口して先端(
図1にて、左方)が閉塞した円筒形状をなし、基端部に円柱形状をなす第1凹部51が形成されている。また、スプレイプレート42は、先端部に3種類の混合流体噴出孔52,53,54が形成されている。第1混合流体噴出孔52は、基端部が第1凹部51に連通すると共に先端部が外部に開口しており、バーナチップ41の軸心Oを中心として周方向に均等間隔で複数(本実施例では、10個)設けられている。第2混合流体噴出孔53は、基端部が第1凹部51に連通すると共に先端部が外部に開口しており、バーナチップ41の軸心Oを中心として周方向に均等間隔で複数(本実施例では、10個)設けられている。第3混合流体噴出孔54は、基端部が第1凹部51に連通すると共に先端部が外部に開口しており、バーナチップ41の軸心Oを中心として周方向に均等間隔で複数(本実施例では、10個)設けられている。
【0050】
各混合流体噴出孔52,53,54は、バーナチップ41の軸心O上にある第1凹部51内の所定の位置O1を中心として放射状に形成されている。そして、バーナチップ41は、外側から、第1混合流体噴出孔52、第2混合流体噴出孔53、第3混合流体噴出孔54が順に位置し、バーナチップ41の径方向に並んで配置されている。また、各混合流体噴出孔52,53,54は、第1混合流体噴出孔52、第2混合流体噴出孔53、第3混合流体噴出孔54の順に内径が小さくなるように設定されている。
【0051】
第1バックプレート43は、円盤形状をなし、先端部に円柱形状をなす第2凹部55が形成されている。この第1バックプレート43に形成された第2凹部55は、スプレイプレート42に形成された第1凹部51と対向し、且つ、各凹部51,55は、ほぼ同径に設定されている。本実施例では、この第1凹部51と第2凹部55により混合室56が構成されており、各混合流体噴出孔52,53,54は、基端部がこの混合室56に連通することとなる。
【0052】
第1バックプレート43は、第2凹部55(混合室56)の外周側に複数の噴出チャンバ57(57a,57b)が周方向に均等間隔で形成されている。この各複数の噴出チャンバ57(57a,57b)は、扇形状をなす凹部として形成され、連通路58(58a,58b)を介して第2凹部55(混合室56)と連通している。即ち、連通路58(58a,58b)は、第1バックプレート43の径方向(放射方向)に沿って形成され、一端部が噴出チャンバ57(57a,57b)の内周面に連通し、他端部が第2凹部55の外周面に連通している。
【0053】
第2バックプレート44は、円盤形状をなし、基端部に円柱形状をなす燃料チャンバ(流体燃料チャンバ)59が形成されると共に、燃料チャンバ59の外側にリング形状をなす蒸気チャンバ(微粒化流体チャンバ)60が形成されている。燃料チャンバ59は、燃料供給配管22(燃料供給経路22a)が連結されて燃料が供給可能となっており、蒸気チャンバ60は、蒸気供給配管25(蒸気供給経路25a)が連結されて蒸気が供給可能となっている。
【0054】
そして、各バックプレート43,44は、燃料を燃料チャンバ59から混合室56に供給する複数の第1燃料供給通路(第1流体燃料供給通路)61と、蒸気を蒸気チャンバ60から混合室56に供給する複数の第1蒸気供給通路(第1微粒化流体供給通路)62とが設けられている。この各第1燃料供給通路61と各第1蒸気供給通路62は、少なくともその先端部がバーナチップ41の基端側、つまり、第1バックプレート43に長手方向(バーナチップ41の軸心O)に沿って設けられている。
【0055】
即ち、第1燃料供給通路61は、第1バックプレート43側に形成された第1通路61aと第2バックプレート44側に形成された第2通路61bとに分割して構成され、バーナチップ41の軸心Oに沿った直線形状となっており、第1通路61aの先端が混合室56における基端面側に連通している。一方、第1蒸気供給通路62は、第1バックプレート43側に形成された第1通路62aと第2バックプレート44側に形成された第2通路62bとに分割して構成され、第1通路62aの先端が混合室56における基端面側に連通している。そして、第1バックプレート43と第2バックプレート44の間、つまり、第1バックプレート43の基端部に蒸気中間チャンバ(微粒化流体中間チャンバ)62cが設けられ、この蒸気中間チャンバ62cは、第1通路62aの先端部と第2通路62bの基端部が連通している。即ち、第1蒸気供給通路62は、第1通路62aと第2通路62bとが蒸気中間チャンバ62cを挟んだ屈曲形状となっており、第1通路62aが、バーナチップ41の軸心Oに沿った直線形状となっている。ここで、第1燃料供給通路61と第1蒸気供給通路62の第1通路62aとは、バーナチップ41の軸心Oに沿って略平行をなして形成されている。
【0056】
また、各バックプレート43,44は、燃料及び蒸気をチャンバ59,60から混合室56にその外周側から供給する流体供給通路として、複数の第2燃料供給通路(第2流体燃料供給通路)63と複数の第2蒸気供給通路(第2微粒化流体供給通路)64とが設けられている。この各第2燃料供給通路63と各第2蒸気供給通路64は、少なくともその先端部がバーナチップ41の基端側、つまり、第1バックプレート43に長手方向(バーナチップ41の軸心O)に沿って、且つ、各第1燃料供給通路61及び各第1蒸気供給通路62より外周側に設けられている。
【0057】
即ち、第2燃料供給通路63は、第1バックプレート43側に形成された第1通路63aと第2バックプレート44側に形成された第2通路63bとに分割して構成されている。そして、第1バックプレート43と第2バックプレート44の間、つまり、第1バックプレート43の基端部に燃料中間チャンバ(流体燃料中間チャンバ)63cが設けられ、この燃料中間チャンバ63cは、第1通路63aの先端部と第2通路63bの基端部が連通している。即ち、第2燃料供給通路63は、第1通路63aと第2通路63bとが燃料中間チャンバ63cを挟んだ屈曲形状となっており、第1通路63aが、バーナチップ41の軸心Oに沿った直線形状となっている。一方、第2蒸気供給通路64は、第1バックプレート43側に形成された第1通路64aと第2バックプレート44側に形成された第2通路64bとに分割して構成され、バーナチップ41の軸心Oに沿った直線形状となっている。
【0058】
そして、各第2燃料供給通路63は、先端部が噴出チャンバ57aに連結され、各第2蒸気供給通路64は、噴出チャンバ57bに連結されている。ここで、本発明の第2流体燃料供給通路は、第2燃料供給通路63と噴出チャンバ57aと連通路58aにより構成され、第2微粒化流体供給通路は、第2蒸気供給通路64と噴出チャンバ57bと連通路58bにより構成される。また、本発明の流体供給通路は、第2流体燃料供給通路と第2微粒化流体供給通路とにより構成される。
【0059】
また、第1燃料供給通路61と第1蒸気供給通路62とは、バーナチップ41の周方向に隣接して配置されている。具体的に説明すると、第1燃料供給通路61と第1蒸気供給通路62とは、バーナチップ41の周方向に交互に配置されている。そして、第1燃料供給通路61と第2蒸気供給通路64、噴出チャンバ57b、連通路58bとは、バーナチップ41の径方向に対向して配置されている。また、第1蒸気供給通路62と、第2燃料供給通路63、噴出チャンバ57a、連通路58aとは、バーナチップ41の径方向に対向して配置されている。
【0060】
ここで、上述した実施例1の燃焼バーナ21(バーナチップ41)の作用について詳細に説明する。なお、
図1及び
図3にて、燃料の流れを黒塗りの矢印で表し、蒸気の流れを白抜きの矢印で表している。
【0061】
燃料供給配管22を通して燃料がバーナチップ41の燃料チャンバ59に供給されると、この燃料は、複数の第1燃料供給通路61を通して混合室56に供給されると共に、複数の第2燃料供給通路63、噴出チャンバ57a、連通路58aを通して混合室56に外周側から供給される。また、蒸気供給配管25を通して蒸気がバーナチップ41の蒸気チャンバ60に供給されると、この蒸気は、複数の第1蒸気供給通路62を通して混合室56に供給されると共に、複数の第2蒸気供給通路64、噴出チャンバ57b、連通路58bを通して混合室56に外周側から供給される。
【0062】
このとき、複数の第1燃料供給通路61を通して混合室56に供給される燃料と、複数の第1蒸気供給通路62を通して混合室56に供給される蒸気とは、周方向に交互に供給されることから、この燃料と蒸気とが効率良く混合する。そして、複数の第1燃料供給通路61を通して混合室56に供給される燃料に対して、蒸気が複数の第2蒸気供給通路64から噴出チャンバ57bを介して連通路58bを通して混合室56に供給されることから、混合室56へバーナチップ41の軸心O方向に供給される燃料と、混合室56へバーナチップ41の径方向に供給される蒸気とがぶつかり合い、燃料と蒸気とが効率良く混合する。また、複数の第1蒸気供給通路62を通して混合室56に供給される蒸気に対して、燃料が複数の第2燃料供給通路63から噴出チャンバ57aを介して連通路58aを通して混合室56に供給されることから、混合室56へバーナチップ41の軸心O方向に供給される蒸気と、混合室56へバーナチップ41の径方向に供給される燃料とがぶつかり合い、燃料と蒸気とが効率良く混合する。
【0063】
そして、混合室56にて、バーナチップ41の軸心O方向に供給される燃料と蒸気とが隣接し、且つ、バーナチップ41の軸心O方向に供給される燃料と径方向に供給される蒸気とがぶつかり合うと共に、バーナチップ41の軸心O方向に供給される蒸気と径方向に供給される燃料とがぶつかり合うことから、燃料と蒸気とが効率良く混合し、燃料はこの蒸気により微粒化が促進される。そのため、燃料が蒸気により微粒化された混合流体は、混合室56から各混合流体噴出孔52,53,54を通して外部に噴出(噴霧)される。
【0064】
このように実施例1のバーナチップにあっては、内部に設けられる混合室56と、基端部が混合室56に連通すると共に先端部が開口して周方向に所定間隔で配置される複数の混合流体噴出孔52,53,54と、長手方向に沿って設けられて燃料を混合室56に供給する複数の第1燃料供給通路61と、長手方向に沿って設けられて蒸気を混合室56に供給する複数の第1蒸気供給通路62と、第1燃料供給通路61及び第1蒸気供給通路62より外周側に設けられて燃料及び蒸気をそれぞれ混合室56にその外周側から供給する第2燃料供給通路63及び第2蒸気供給通路64とを設けている。
【0065】
従って、第1燃料供給通路61と第1蒸気供給通路62がバーナチップ41の長手方向に沿って設けられていることから、第1燃料供給通路61から混合室56に供給される燃料と、第1蒸気供給通路62から混合室56に供給される蒸気とが、略平行をなし、且つ、接近して混合室56に供給されることとなる。そのため、混合室56にて、燃料と蒸気は効率良く混合することが可能となり、蒸気による燃料の微粒化を促進することで、燃焼性を向上させることができる。
【0066】
実施例1のバーナチップでは、第1燃料供給通路61と第1蒸気供給通路62は、周方向に隣接して配置されている。この場合、第1燃料供給通路61と第1蒸気供給通路62は、周方向に交互に配置されている。従って、第1燃料供給通路61から混合室56に供給される燃料と、第1蒸気供給通路62から混合室56に供給される蒸気とが、この混合室56で互いに隣接して移動することで、両者を効率良く混合することができ、燃料の微粒化を促進することができる。
【0067】
実施例1のバーナチップでは、燃料を混合室56に外周から供給する複数の第2燃料供給通路63と、蒸気を混合室56に外周から供給する複数の第2蒸気供給通路64とを設け、第1燃料供給通路61と第2蒸気供給通路64とを径方向に対向して配置し、第1蒸気供給通路62と第2燃料供給通路63とを径方向に対向して配置している。従って、燃料が第1燃料供給通路61から混合室56に供給されると共に、蒸気が第1蒸気供給通路62から混合室56に供給されるとき、混合室56の燃料に対して第2蒸気供給通路64から蒸気が供給されると共に、混合室56の蒸気に対して第2燃料供給通路63から燃料が供給されることとなる。そのため、混合室56にて、燃料と蒸気が衝突することで効率良く混合することとなり、蒸気による燃料の微粒化を促進することができる。
【0068】
実施例1のバーナチップでは、基端部に燃料が供給される燃料チャンバ59と蒸気が供給される蒸気チャンバ60を設け、燃料チャンバ59から混合室56に向けて複数の第1燃料供給通路61を延出し、蒸気チャンバ60から混合室56に向けて複数の第1蒸気供給通路62を延出している。従って、燃料チャンバ59と蒸気チャンバ60を設けることで、この各チャンバ59,60に供給された燃料や蒸気を複数の第1燃料供給通路61や複数の第1蒸気供給通路62により1つの混合室56に適正に、且つ、均等に供給することができる。
【0069】
実施例1のバーナチップでは、スプレイプレート42とバックプレート43,44とを連結して構成し、スプレイプレート42及び第1バックプレート43にわたって混合室56を形成し、スプレイプレート42に複数の混合流体噴出孔52,53,54を形成し、バックプレート43,44に第1燃料供給通路61と第1蒸気供給通路62と第2燃料供給通路63と第2蒸気供給通路64とを設けている。従って、分割式とすることで、混合流体噴出孔52,53,54、混合室56、各供給通路61,62,63,64を容易に形成することが可能となり、製造コストを低減することができる。
【0070】
実施例1のバーナチップでは、第1バックプレート43と第2バックプレート44の間に燃料中間チャンバ63cを設け、第2燃料供給通路63をこの燃料中間チャンバ63cを挟んで分割形成している。従って、各バックプレート43,44の間に燃料中間チャンバ63cを設けることで、燃料を複数の第2燃料供給通路63から混合室56に適正に供給することができる。
【0071】
実施例1のバーナチップでは、第1バックプレート43と第2バックプレート44の間に蒸気中間チャンバ62cを設け、第1蒸気供給通路62をこの蒸気中間チャンバ62cを挟んで分割形成している。従って、各バックプレート43,44の間に蒸気中間チャンバ62cを設けることで、蒸気を複数の第1蒸気供給通路62から混合室56に適正に供給することができる。
【0072】
また、実施例1の燃焼バーナにあっては、燃料供給配管22と蒸気供給配管25の先端部に上述したバーナチップ41を設けるので、混合室56にて、燃料と蒸気を効率良く混合することが可能となり、蒸気による燃料の微粒化を促進することで、燃焼性を向上させることができる。
【0073】
また、実施例1のボイラにあっては、中空形状をなす火炉11内で燃料と空気を燃焼させると共に、火炉11内で熱交換を行って熱を回収する油焚きボイラ10において、火炉壁に燃焼バーナ21を配置したので、燃料の微粒化を促進することで、燃焼性を向上させることができる。
【実施例2】
【0074】
図5は、本発明の実施例2に係るバーナチップを有する燃焼バーナの断面図、
図6は、実施例2の燃焼バーナにおける
図5のVI−VIの断面図、
図7は、実施例2の燃焼バーナの変形例を表す断面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0075】
実施例2において、
図5及び
図6に示すように、燃焼バーナ101は、燃料を供給可能な燃料供給配管22と、蒸気を供給可能な蒸気供給配管25と、燃料と蒸気との混合流体を噴出(噴霧)可能なバーナチップ102とを有している。バーナチップ102は、スプレイプレート42と第1バックプレート103と第2バックプレート104とから構成され、図示しない締付リングにより一体に連結されている。
【0076】
スプレイプレート42は、第1凹部51が形成されると共に、3種類の混合流体噴出孔52,53,54が形成されている。各混合流体噴出孔52,53,54は、基端部が第1凹部51に連通すると共に先端部が外部に開口しており、周方向に均等間隔で複数設けられている。また、バーナチップ102は、外側から、第1混合流体噴出孔52、第2混合流体噴出孔53、第3混合流体噴出孔54が順に位置し、バーナチップ102の径方向に並んで配置されている。
【0077】
第1バックプレート103は、円盤形状をなし、先端部に円柱形状をなす第2凹部111が形成されている。この第1バックプレート103に形成された第2凹部111は、スプレイプレート42に形成された第1凹部51と対向し、且つ、各凹部51,111は、ほぼ同径に設定されている。本実施例では、この第1凹部51と第2凹部111により混合室112が構成されており、各混合流体噴出孔52,53,54は、基端部がこの混合室112に連通することとなる。
【0078】
第1バックプレート103は、第2凹部111(混合室112)の外周側にリング形状をなす噴出チャンバ113が形成されている。この噴出チャンバ113は、複数の連通路114を介して第2凹部111(混合室112)と連通している。
【0079】
第2バックプレート104は、円盤形状をなし、基端部にリング形状をなす蒸気チャンバ(微粒化流体チャンバ)115が形成されている。第2バックプレート104は、基端部に燃料供給配管22(燃料供給経路22a)が連結されて燃料が供給可能となっており、蒸気チャンバ115は、蒸気供給配管25(蒸気供給経路25a)が連結されて蒸気が供給可能となっている。
【0080】
そして、各バックプレート103,104は、燃料を燃料供給経路22aから混合室112に供給する複数の第1燃料供給通路(第1流体燃料供給通路)121と、蒸気を蒸気チャンバ115から混合室112に供給する複数の第1蒸気供給通路(第1微粒化流体供給通路)122とが設けられている。この各第1燃料供給通路121と各第1蒸気供給通路122は、少なくともその先端部がバーナチップ102の基端側、つまり、第1バックプレート103に長手方向(バーナチップ102の軸心O)に沿って設けられている。
【0081】
即ち、第1燃料供給通路121は、第1バックプレート103側に形成された第1通路121aと第2バックプレート104側に形成された第2通路121bとに分割して構成され、バーナチップ102の軸心Oに沿った直線形状となっている。一方、第1蒸気供給通路122は、第1バックプレート103側に形成された第1通路122aと第2バックプレート104側に形成された第2通路122bとに分割して構成されている。そして、第1バックプレート103と第2バックプレート104の間、つまり、第1バックプレート103の基端部(バーナチップ102の軸心O位置)に蒸気中間チャンバ(微粒化流体中間チャンバ)122cが設けられ、この蒸気中間チャンバ122cは、第1通路122aの先端部と第2通路122bの基端部が連通している。即ち、第1蒸気供給通路122は、第1通路122aと第2通路122bとが蒸気中間チャンバ122cを挟んだ屈曲形状となっており、第1通路122aが、バーナチップ102の軸心Oに沿った直線形状となっている。ここで、第1燃料供給通路121と第1蒸気供給通路122の第1通路122aとは、バーナチップ102の軸心Oに沿って略平行をなして形成されている。
【0082】
また、各バックプレート103,104は、蒸気を蒸気チャンバ115から混合室112にその外周側から供給する流体供給通路として、複数の第2蒸気供給通路(第2微粒化流体供給通路)123が設けられている。この各第2蒸気供給通路123は、少なくともその先端部がバーナチップ102の基端側、つまり、第1バックプレート103に長手方向(バーナチップ102の軸心O)に沿って、且つ、各第1燃料供給通路121及び各第1蒸気供給通路122より外周側に設けられている。
【0083】
即ち、第2蒸気供給通路123は、第1バックプレート103側に形成された第1通路123aと第2バックプレート104側に形成された第2通路123bとに分割して構成され、バーナチップ102の軸心Oに沿った直線形状となっている。
【0084】
そして、各第2蒸気供給通路123は、噴出チャンバ113に連結されている。ここで、本発明の第2微粒化流体供給通路は、第2蒸気供給通路123と噴出チャンバ113と連通路114により構成される。また、本発明の流体供給通路は、第2微粒化流体供給通路により構成される。
【0085】
また、第1燃料供給通路121は、バーナチップ102の周方向に沿って均等間隔で複数配置されると共に、第1蒸気供給通路122は、第1燃料供給通路121よりバーナチップ102の径方向の内側で、バーナチップ102の周方向に沿って均等間隔で複数配置されている。そして、第1燃料供給通路121と第1蒸気供給通路122は同数で、且つ、バーナチップ102の径方向に隣接して配置されている。
【0086】
この場合、複数の第1燃料供給通路121は、複数の第1蒸気供給通路122よりバーナチップ102の径方向の外側に配置されている。そして、第1燃料供給通路121と第2蒸気供給通路123、噴出チャンバ113、連通路114とは、バーナチップ102の径方向に対向して配置されている。
【0087】
ここで、上述した実施例2の燃焼バーナ101(バーナチップ102)の作用について詳細に説明する。なお、
図5及び
図6にて、燃料の流れを黒塗りの矢印で表し、蒸気の流れを白抜きの矢印で表している。
【0088】
燃料供給配管22を通して燃料がバーナチップ102に供給されると、この燃料は、複数の第1燃料供給通路121を通して混合室112に供給される。また、蒸気供給配管25を通して蒸気がバーナチップ102の蒸気チャンバ115に供給されると、この蒸気は、複数の第1蒸気供給通路122を通して混合室112に供給されると共に、複数の第2蒸気供給通路123、噴出チャンバ113、連通路114を通して混合室112に外周側から供給される。
【0089】
このとき、複数の第1燃料供給通路121を通して混合室112に供給される燃料と、複数の第1蒸気供給通路122を通して混合室112に供給される蒸気とは、径方向に隣接して供給されることから、この燃料と蒸気とが効率良く混合する。そして、複数の第1燃料供給通路121を通して混合室112に供給される燃料に対して、蒸気が複数の第2蒸気供給通路123から噴出チャンバ113を介して各連通路114を通して混合室112に供給されることから、混合室112へバーナチップ102の軸心O方向に供給される燃料と、混合室112へバーナチップ102の径方向に供給される蒸気とがぶつかり合い、燃料と蒸気とが効率良く混合する。
【0090】
そして、混合室112にて、バーナチップ102の軸心O方向に供給される燃料と蒸気とが隣接し、且つ、バーナチップ102の軸心O方向に供給される燃料と径方向に供給される蒸気とがぶつかり合うことから、燃料と蒸気とが効率良く混合し、燃料はこの蒸気により微粒化が促進される。そのため、燃料が蒸気により微粒化された混合流体は、混合室112から各混合流体噴出孔52,53,54を通して外部に噴出(噴霧)される。
【0091】
なお、この実施例2では、バーナチップ102にて、燃料を混合室112に供給する複数の第1燃料供給通路121と、蒸気を混合室112に供給する複数の第1蒸気供給通路122を長手方向(バーナチップ102の軸心O)に沿ってそれぞれ設けたが、この構成に限定されるものではない。
【0092】
即ち、
図7に示すように、各バックプレート103,104は、燃料を燃料供給経路22aから混合室112に供給する複数の第1燃料供給通路121と、蒸気を蒸気チャンバ115から混合室112に供給する複数の第1蒸気供給通路122とが設けられている。第1燃料供給通路121は、第1バックプレート103側に形成された第1通路121aと第2バックプレート104側に形成された第2通路121bとに分割して構成され、バーナチップ102の軸心Oに沿った直線形状となっている。一方、第1蒸気供給通路122は、第1バックプレート103側に形成された第1通路122dと第2バックプレート104側に形成された第2通路122bとに分割して構成されている。そして、第1バックプレート103の基端部に蒸気中間チャンバ122cが設けられ、この蒸気中間チャンバ122cは、第1通路122dの先端部と第2通路122bの基端部が連通している。即ち、第1蒸気供給通路122は、第1通路122dと第2通路122bとが蒸気中間チャンバ122cを挟んだ屈曲形状となっており、第1通路122dが、バーナチップ102の軸心Oに沿った直線形状となっている。但し、第1燃料供給通路121と第1蒸気供給通路122の第1通路122dとは、バーナチップ102の軸心Oに沿って略平行をなして形成されてはいない。第1蒸気供給通路122の第1通路122dは、バーナチップ102の軸心Oに対して、先端部がバーナチップ102の径方向の外側に向かうように所定角度傾斜している。
【0093】
従って、バーナチップ102に供給された燃料は、複数の第1燃料供給通路121を通して混合室112に供給され、バーナチップ102に供給された蒸気は、複数の第1蒸気供給通路122を通して混合室112に供給される。このとき、第1蒸気供給通路122から混合室112に供給される蒸気は、第1通路122dが傾斜していることから、第1燃料供給通路121から混合室112に供給された燃料に向かって供給されることとなり、両者がぶつかり合い、燃料と蒸気とが効率良く混合する。
【0094】
このように実施例2のバーナチップにあっては、複数の第1燃料供給通路121を周方向に沿って均等間隔で配置すると共に、第1蒸気供給通路122を周方向に沿って均等間隔で配置し、第1燃料供給通路121と第1蒸気供給通路122を径方向に隣接して配置している。
【0095】
従って、第1燃料供給通路121から混合室112に供給される燃料と、第1蒸気供給通路122から混合室112に供給される蒸気とが、この混合室112で互いに隣接して移動することで、両者を効率良く混合することができ、燃料の微粒化を促進することができる。
【0096】
また、実施例2のバーナチップでは、複数の第1燃料供給通路121を複数の第1蒸気供給通路122より径方向の外側に配置し、第1燃料供給通路121の外側に複数の第2蒸気供給通路123を径方向に対向して配置している。従って、混合室112の燃料に対して、第1蒸気供給通路122から蒸気が供給されると共に、第2蒸気供給通路123から蒸気が供給されることとなり、混合室112での燃料と蒸気とが効率良く混合することとなり、燃料の微粒化を促進することができる。
【0097】
また、実施例2のバーナチップでは、第1蒸気供給通路122の第1通路122dの先端部を、バーナチップ102の軸心Oに対して径方向の外側に向かうように所定角度傾斜させている。従って、第1蒸気供給通路122から混合室112に供給される蒸気が、第1燃料供給通路121から混合室112に供給された燃料に向かって供給されることとなり、両者がぶつかり合い、燃料と蒸気とを効率良く混合することができる。
【実施例3】
【0098】
図8は、本発明の実施例3に係る燃焼バーナの断面図、
図9は、実施例3の燃焼バーナにおける
図8のIX−IXの断面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0099】
実施例3において、
図8及び
図9に示すように、燃焼バーナ131は、燃料を供給可能な燃料供給配管22と、蒸気を供給可能な蒸気供給配管25と、燃料と蒸気との混合流体を噴出(噴霧)可能なバーナチップ132とを有している。バーナチップ132は、スプレイプレート42と第1バックプレート133と第2バックプレート134とから構成され、図示しない締付リングにより一体に連結されている。
【0100】
スプレイプレート42は、第1凹部51が形成されると共に、3種類の混合流体噴出孔52,53,54が形成されている。各混合流体噴出孔52,53,54は、基端部が第1凹部51に連通すると共に先端部が外部に開口しており、周方向に均等間隔で複数設けられている。また、バーナチップ102は、外側から、第1混合流体噴出孔52、第2混合流体噴出孔53、第3混合流体噴出孔54が順に位置し、バーナチップ132の径方向に並んで配置されている。
【0101】
第1バックプレート133は、円盤形状をなし、先端部に円柱形状をなす第2凹部141が形成されている。この第1バックプレート133に形成された第2凹部141は、スプレイプレート42に形成された第1凹部51と対向し、且つ、各凹部51,141は、ほぼ同径に設定されている。本実施例では、この第1凹部51と第2凹部141により混合室142が構成されており、各混合流体噴出孔52,53,54は、基端部がこの混合室142に連通することとなる。
【0102】
第1バックプレート133は、第2凹部141(混合室142)の外周側にリング形状をなす噴出チャンバ143が形成されている。この噴出チャンバ143は、複数の連通路144を介して第2凹部141(混合室142)と連通している。
【0103】
第2バックプレート134は、円盤形状をなし、基端部に円柱形状をなす燃料チャンバ(流体燃料チャンバ)145が形成されると共に、燃料チャンバ145の外側にリング形状をなす蒸気チャンバ(微粒化流体チャンバ)146が形成されている。燃料チャンバ145は、燃料供給配管22(燃料供給経路22a)が連結されて燃料が供給可能となっており、蒸気チャンバ146は、蒸気供給配管25(蒸気供給経路25a)が連結されて蒸気が供給可能となっている。
【0104】
そして、各バックプレート133,134は、蒸気を蒸気チャンバ146から混合室142に供給する複数の蒸気供給通路(第1微粒化流体供給通路)151が設けられている。この各第1蒸気供給通路151は、少なくともその先端部がバーナチップ132の基端側、つまり、第1バックプレート133に長手方向(バーナチップ102の軸心O)に沿って設けられている。即ち、第1蒸気供給通路151は、第1バックプレート133側に形成された第1通路151aと第2バックプレート134側に形成された第2通路151bとに分割して構成されている。そして、第1バックプレート133と第2バックプレート134の間、つまり、第1バックプレート133の基端部(バーナチップ132の軸心O位置)に蒸気中間チャンバ(微粒化流体中間チャンバ)151cが設けられ、この蒸気中間チャンバ151cは、第1通路151aの先端部と第2通路151bの基端部が連通している。即ち、第1蒸気供給通路151は、第1通路151aと第2通路151bとが蒸気中間チャンバ151cを挟んだ屈曲形状となっており、第1通路151aが、バーナチップ132の軸心Oに沿った直線形状となっている。
【0105】
また、各バックプレート133,134は、燃料を燃料チャンバ145から混合室142にその外周側から供給する流体供給通路として、複数の第2燃料供給通路(第2流体燃料供給通路)152が設けられている。この各第2燃料供給通路152は、少なくともその先端部がバーナチップ132の基端側、つまり、第1バックプレート133に長手方向(バーナチップ132の軸心O)に沿って、且つ、各第1蒸気供給通路151より外周側に設けられている。即ち、第2燃料供給通路152は、第1バックプレート133側に形成された第1通路152aと第2バックプレート134側に形成された第2通路152bとに分割して構成されている。そして、第1バックプレート133と第2バックプレート134の間、つまり、第1バックプレート133の基端部(蒸気中間チャンバ151cの外周位置)にリング形状をなす燃料中間チャンバ(流体燃料中間チャンバ)152cが設けられ、この燃料中間チャンバ152cは、第1通路152aの先端部と第2通路152bの基端部が連通している。即ち、第1燃料供給通路152は、第1通路152aと第2通路152bとが燃料中間チャンバ152cを挟んだ屈曲形状となっており、第1通路152aが、バーナチップ132の軸心Oに沿った直線形状となっている。そして、各第2燃料供給通路152は、噴出チャンバ143に連結されている。
【0106】
また、第1蒸気供給通路151は、バーナチップ132の周方向に沿って均等間隔で複数配置されている。また、第1蒸気供給通路151と第2燃料供給通路152、噴出チャンバ143、連通路144とは、バーナチップ132の径方向に対向して配置されている。
【0107】
ここで、上述した実施例3の燃焼バーナ131(バーナチップ132)の作用について詳細に説明する。なお、
図8及び
図9にて、燃料の流れを黒塗りの矢印で表し、蒸気の流れを白抜きの矢印で表している。
【0108】
蒸気供給配管25を通して蒸気がバーナチップ132の蒸気チャンバ146に供給されると、この蒸気は、複数の第1蒸気供給通路151を通して混合室142に供給される。また、燃料供給配管22を通して燃料が燃料チャンバ145に供給されると、この燃料は、複数の第2燃料供給通路152、噴出チャンバ143、連通路144を通して混合室142に外周側から供給される。
【0109】
このとき、複数の第1蒸気供給通路151を通して混合室142に供給される蒸気に対して、燃料が複数の第2燃料供給通路152から噴出チャンバ143を介して各連通路144を通して混合室142に供給されることから、混合室142へバーナチップ132の軸心O方向に供給される蒸気と、混合室142へバーナチップ132の径方向に供給される燃料とがぶつかり合い、燃料と蒸気とが効率良く混合する。
【0110】
そして、混合室142にて、バーナチップ132の軸心O方向に供給される蒸気とバーナチップ132の径方向に供給される燃料とがぶつかり合うことから、燃料と蒸気とが効率良く混合し、燃料はこの蒸気により微粒化が促進される。そのため、燃料が蒸気により微粒化された混合流体は、混合室142から各混合流体噴出孔52,53,54を通して外部に噴出(噴霧)される。
【0111】
このように実施例3のバーナチップにあっては、長手方向に沿って蒸気を混合室142に供給する複数の第1蒸気供給通路151と、第1蒸気供給通路151より外周側に設けられて燃料を混合室142にその外周側から供給する複数の第2燃料供給通路152を設けている。
【0112】
従って、複数の第1蒸気供給通路151から混合室142に供給された蒸気に対して、複数の第2燃料供給通路152により燃料がその外周側から混合室142に供給されることで、混合室142にて、燃料と蒸気を効率良く混合することが可能となり、蒸気による燃料の微粒化を促進することで、燃焼性を向上させることができる。
【0113】
なお、上述した実施例では、バーナチップの長手方向に沿って第1流体燃料供給通路と第1微粒化流体供給通路が平行をなすように設けたが、第1流体燃料供給通路と第1微粒化流体供給通路を平行に設ける必要はなく、第1流体燃料供給通路と第1微粒化流体供給通路は、先端が混合室の基端面側に連通していればよいものである。また、第2流体燃料供給通路と第2微粒化流体供給通路は、先端が混合室の外周面に連通していればよいものである。
【0114】
また、上述した実施例では、第1流体燃料供給通路と第1微粒化流体供給通路を周方向に交互に設けたが、必ずしも交互に設ける必要はなく、少なくとも一部の第1流体燃料供給通路と第1微粒化流体供給通路が隣接して設けられていればよいものである。この場合、第1流体燃料供給通路と第1微粒化流体供給通路とが周方向または径方向に隣接している必要はなく、ランダムに設けてもよいものである。
【0115】
また、上述した実施例では、バーナチップの先端部に3種類の混合流体噴出孔を設けたが、1種類でもよく、2種類、4種類以上としてもよい。