(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
電気事業者の供給する電気の電圧は電気事業法施行規則第44条に標準電圧100Vでは101±6Vと、標準電圧200Vでは202±20Vと定められている。
高圧配電線から柱上変圧器等を介して接続される低圧負荷は電灯用と動力用に大別され、各家庭へは電灯用として単相3線式で標準電圧100Vが供給される。家庭用負荷は各家庭の需要に合わせ絶えず変化しており、それに伴い高圧配電線の電圧も絶えず変動している。三相の高圧配電線から単相負荷への供給が偏ったりすると、配電線間の電圧は不平衡になる。
【0003】
また、近年、家庭用太陽光発電システムの大量導入により、売電による配電線への逆潮流を行う場合が増してきている。家庭用太陽光発電システムは単相のため、売電のために接続されている単相の柱上変圧器の接続相の偏りにより、三相高圧配電線の電圧不平衡が発生する。さらに、電圧が規則に定められた電圧より上昇すると、太陽光発電システムの連系装置の機能が停止し、逆潮流ができなくなり、売電の機会損失を伴う。
【0004】
高圧配電線への送り出しの変電所では三相の電圧変動に対しては、負荷時タップ切換変圧器(LRT)で電圧調整を行い、高圧配電線全体の電圧適正化を行っている。また、高圧配電線のこう長が長い配電線路では、高圧配電線路の途中にステップ式自動電圧調整器(SVR)を施設し、電圧適正化を行っている。LRTやSVRは、三相一括でタップ切換を行うことにより、電圧の適正化を図っている。SVRは、特許文献1に示すY結線の三相変圧器のタップ巻線を三相一括の負荷時タップ切換器の操作により、昇圧したり、降圧したりして三相の高圧配電線の電圧の適正化を図っている。しかし、これらの装置は高圧配電線の電圧不平衡に対しての是正機能を有していない。
【0005】
そのため、三相の高圧配電線の2線より単相の柱上変圧器を介して供給される単相負荷においては、高圧配電線に電圧不平衡が生じている場合には、供給電圧が規則に定められた電圧を逸脱する場合がある。これにより、機器の効率が悪くなったり、最悪電気器具類の故障や動作不良・寿命低下を招いたりすることがある。
【0006】
三相不平衡電圧を是正する電圧調整装置として、特許文献2に示すよう二相間に接続した二次巻線にタップ巻線を有する第一の調整変圧器と、残りの一相と第一の調整変圧器の一次巻線の中間電圧のタップとを接続したタップ巻線を有する単巻構成の第二の調整変圧器により構成される装置がある。第二の調整変圧器のタップ切換を行うことによりUO間の電圧を調整し、第一の調整変圧器の二次巻線のタップ切換を行うことにより、U相の配電線路中に直列に設けた直列変圧器を介して、U相電圧にVW間方向の電圧を重畳することにより三相不平衡電圧を是正する自動電圧不平衡是正装置がある。
【0007】
また、三相不平衡電圧を是正する別の電圧調整装置として、特許文献3に示す二次巻線にタップ巻線を有する△結線の3台の単相変圧器と各相線路中にそれぞれ直列に設けた3台の直列変圧器とを備え、三相の電圧を検出して三相ベクトルを生成し、この三相ベクトルを基準ベクトルと比較してタップ切換器のタップ値を求めて、それぞれ独立したタップ切換器を動作させることにより三相不平衡電圧を低減する電圧不平衡低減装置がある。
【0008】
さらに、非特許文献1に述べられているように、進相コンデンサ,静止型無効電力補償装置(SVCやSTATCOM)等の調相装置を用いた三相不平衡電圧を是正する装置等も提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
高圧配電線は、接続された需要家の負荷変動や系統連系された太陽光発電システムをはじめとする分散型電源の出力により電圧は絶えず変動している、一方、線路電流による配電線の電圧降下もある。そのため、需要家に規則どおりの電圧を供給するためにさまざまな手段が図られている。特に、単相の需要家へ適切な電圧を供給するには、しっかりした電圧管理が望まれている。
【0012】
高圧配電線路の三相電圧の上昇や降下に対し、一般的にLRTやSVRが用いられている。また、三相不平衡電圧の是正手段として、上述した各種手段が提案されている。しかし、不平衡電圧是正装置とSVRとは別々の装置として構成されており、電力供給設備としては施設場所や設備投資の増大を招く。また、無効電力の調整による電圧調整では、大きな電圧変動に対して電圧調整に限界があったり、装置が大型で高価であったりする。なお、特許文献2に挙げた方式は、電圧調整装置の巻線がスコット結線のため、配電系統に零相電圧が発生して、地絡継電器の零相電圧検出値の閾値を超え、継電器が動作することも懸念される。
【0013】
そこで、本発明は三相電圧の不平衡電圧の調整を行うとともに、三相すべての相の電圧が上昇や降下した場合でも適正電圧への電圧調整も行えるY結線により構成した電圧調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、三相の電力系統に接続されたY結線の励磁用変圧器の二相に複数のタップを有する二次巻線およびそれらの切換を行う負荷時タップ切換器を備え、電圧不平衡状態において、間接切換方式により他相の二次巻線より電圧を補償して、線間電圧を是正し、平衡状態に近づけるものである。また、Y結線の励磁用変圧器には、二次巻線に加え三相ともに複数のタップを有する三次巻線およびそれらを三相一括で切換を行う負荷時タップ切換器を備え、三相すべての電圧が上昇したり、下降したりした場合には、三相一括で降圧させたり、昇圧させたりする機能も有するものである。
【0015】
Y結線された励磁用変圧器の二相に二次巻線に複数のタップを有するタップ巻線およびそれらをそれぞれ独立して切り換える第一および第二の負荷時タップ切換器を備え、三相のうちの残りの一相に設けた高圧配電線路中に接続した直列変圧器の二次巻線に前記二相の二次巻線を第一および第二の負荷時タップ切換器を介して直列に接続して、他相より電圧を補償して電圧調整を行う。
【0016】
また、Y結線された励磁用変圧器の二相に二次巻線に複数のタップを有するタップ巻線およびそれらをそれぞれ独立して切り換える第一および第二の負荷時タップ切換器を備え、三相のうちの二相に設けた直列変圧器の二次巻線に前記の二相と異なる相の二次巻線を第一または第二の負荷時タップ切換器を介してそれぞれに直列に接続して、他相より電圧を補償して電圧調整を行う。
【0017】
さらに、配電線路中の各相にそれぞれ3台の直列変圧器を備え、Y結線された二相の励磁用変圧器にはそれぞれ複数のタップを有する二次巻線を設け、それらのタップをそれぞれ独立して切り換える第一および第二の負荷時タップ切換器を備え、Y結線された三相の励磁用変圧器にはそれぞれ複数のタップを有する三次巻線を有し、それらの三次巻線のタップを三相一括で切り換える第三の負荷時タップ切換器を備える。三次巻線のタップ切換を行う第三の負荷時タップ切換器は各相の直列変圧器の二次巻線にそれぞれ接続し、三相一括でタップ切換操作して相電圧の昇圧または降圧のタップ切換を行うとともに、二相の励磁用変圧器の二次巻線のタップを切り換える第一および第二の負荷時タップ切換器は前記三次巻線を接続した第三の負荷時タップ切換器の一相もしくは二相を介して直列変圧器の二次巻線と直列に接続する。励磁用変圧器の二次巻線と直列変圧器の二次巻線の直列の接続方法は、前述のいずれかによる。
なお、負荷時タップ切換器の全部または一部を半導体スイッチで構成してもよい。
【発明の効果】
【0018】
電圧不平衡は、三相の電力系統において単相負荷需要の偏りや単相の分散型電源の系統連系による逆潮流等により生じている。本発明は他相からの電圧補償により三相の配電線路の線間電圧の不平衡を是正する。これにより、単相の需要家への供給電圧が逸脱することを回避できる。また、他相からの電圧補償により配電線路の電流のアンバランスの解消にも寄与する。その結果、配電線路の稼働率の向上につながる効果がある。
また、こう長の長い配電線路の昇圧や降圧による電圧補償に使用されている一般的なY結線のステップ式自動電圧調整器(SVR)の二相に別の複数のタップ巻線およびそれらを切り換える負荷時タップ切換器を付帯することにより、容易に不平衡電圧の是正を行える。そのため、SVRと不平衡電圧是正装置を別々に施設する必要がないため、施設場所の制約や工事費の削減にもなる。
さらに、不平衡電圧の是正や配電線路の昇圧や降圧のタップ切換を高圧配電線路に直列に接続した直列変圧器を介して行うため、タップ切換回路は高圧配電線と絶縁され高圧配電線のサージの影響を受けにくい。また、タップ切換の電圧または電流を任意に選定することができる。そのため、機械的なタップ切換器に代え、半導体スイッチを用いた無接点のタップ切換器でも実現することができ、電圧の急変に対応する高速切換や多頻度切換の要望にも対応できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1および
図2は、本発明の一例を示す結線図および電圧のベクトル図を示す。
図1において、Tuo、Tvo、Twoは電圧調整装置1を構成する配電線のU相,V相,W相にそれぞれ接続されたY結線された励磁用変圧器である。V相およびW相の巻線にはそれぞれ複数(本実施形態では5個)のタップTv1,・・,Tv5およびTw1,・・,Tw5を持つ二次巻線Tsv,Tswを有し、それぞれのタップを独立して切り換える第一の負荷時タップ切換器11および第二の負荷時タップ切換器12を備えている。
U相の線路中には直列変圧器の一次巻線Tusが直列に接続され、電圧調整装置1の出力端子のU′に接続されている。直列変圧器の二次巻線Tussは、V相の二次巻線Tsvの中央タップTv3に接続され、二次巻線Tsvに設けたタップを切り換える第一の負荷時タップ切換器11を介してW相の二次巻線Tswの中央タップTw3に接続され、二次巻線Tswに設けたタップを切り換える第二の負荷時タップ切換器12が接続されている。
【0021】
図1の構成により、
図2の実線で示した三相が不平衡の電圧U−V−WのU相に対して、第二の負荷時タップ切換器12がTw5のタップ選択によりU相にW相の電圧成分△W2の電圧を、さらに第一の負荷時タップ切換器11がTv4のタップ選択によりV相の電圧成分△V1を加える。これにより、U相の電圧はUからU′に電圧調整され、破線で示したほぼ平衡になった三相電圧U′−V′−W′となり、不平衡電圧を是正することができる。
【0022】
図3および
図4は、本発明の別の一例を示す結線図および電圧のベクトル図を示す。
図3において、Tuo、Tvo、Twoは電圧調整装置1を構成する配電線のU相,V相,W相にそれぞれ接続されたY結線された励磁用変圧器である。V相およびW相の巻線にはそれぞれ複数(本実施形態では5個)のタップTv1,・・,Tv5およびTw1,・・,Tw5を持つ二次巻線Tsv,Tswを有し、それぞれのタップを独立して切り換える第一の負荷時タップ切換器11および第二の負荷時タップ切換器12を備えている。
U相の線路中には直列変圧器の一次巻線Tusが直列に、V相の線路中には直列変圧器の一次巻線Tvsが直列に、電圧調整装置1のそれぞれの出力端子U′およびV′に接続されている。
U相に設けた直列変圧器の二次巻線Tussは、V相の二次巻線Tsvの中央タップTv3に接続され、二次巻線Tsvに設けたタップを切り換える第一の負荷時タップ切換器11に接続されている。
V相に設けた直列変圧器の二次巻線Tvssは、W相の二次巻線Tswの中央タップTw3に接続され、二次巻線Tswに設けたタップを切り換える第二の負荷時タップ切換器12に接続されている。
【0023】
図3の構成により、
図4の実線で示した三相が不平衡の電圧U−V−WのUおよびV相に対して、第一の負荷時タップ切換器11がTv2のタップ選択によりU相にV相の電圧成分△V1の電圧を、第二の負荷時タップ切換器12がTw2のタップ選択によりV相にW相の電圧成分△W1を加える。これにより、U相の電圧はUからU′に、V相の電圧はVからV′に電圧調整され、破線で示したほぼ平衡になった三相電圧U′−V′−W′となり、不平衡電圧を是正することができる。
【0024】
図5および
図6は、本発明の三相電圧を一括で昇圧したり、降圧したりすることのできる電圧調整装置の一例の結線図および電圧のベクトル図を示す。
図5において、Tuo、Tvo、Twoは電圧調整装置1を構成する配電線のU相,V相,W相にそれぞれ接続されたY結線された励磁用変圧器である。励磁用変圧器の各相には、複数のタップを有する三次巻線Ttu、Ttv、Ttwを有し、各相のタップを三相一括で切り換える第三の負荷時タップ切換器13を備えている。各相の三次巻線Ttu、Ttv、Ttwの複数(本実施形態では5個)のタップは、Ttu1,・・・,Ttu5、Ttv1,・・・,Ttv5およびTtw1,・・・,Ttw5である。
また、V相およびW相の励磁用変圧器のそれぞれの二次巻線Tsv、Tswには、複数(本実施形態では5個)のタップTsv1,・・・,Tsv5およびTsw1,・・・,Tsw5を有し、それぞれのタップを独立して切り換える第一の負荷時タップ切換器11および第二の負荷時タップ切換器12を備えている。
U,V,Wの各相の線路中には、直列変圧器の一次巻線Tus,Tvs,Twsが直列に接続され電圧調整装置1のそれぞれの出力端子のU′,V′,W′に接続されている。
U相に設けた直列変圧器の二次巻線Tussは、U相の三次巻線Ttuの中間タップTtu3に接続され、第三の負荷時タップ切換器13を介して、V相の二次巻線Tsvの中間タップTsv3に接続され、第一の負荷時タップ切換器11を介して、W相の二次巻線Tswの中間タップTsw3に接続され、第二の負荷時タップ切換器12に接続されている。
V相およびW相にそれぞれ設けた直列変圧器の二次巻線TvssおよびTwssは、それぞれ励磁用変圧器の三次巻線TtvおよびTtwの中間タップTtv3およびTtw3と、第三の負荷時タップ切換器13とに接続されている。
【0025】
配電線路こう長が長いため三相すべての電圧が大きく降下している場合や配電線に連系された分散型電源からの逆潮流やフェランチ現象により三相すべての電圧が大きく上昇している場合には、三相一括で第三の負荷時タップ切換器13でタップを切り換え、三相すべての電圧を一括で昇圧したり、降圧したりして、適正電圧に近づけることができる。
図5においては、第三の負荷時タップ切換器13は、励磁用変圧器の三次巻線Ttu,Ttv,TtwのTtu2,Ttv2,Ttw2のタップ選択により、
図6の実線で示した三相電圧U−V−WはU′−V′−W′になり、三相とも昇圧される。
【0026】
さらに、三相電圧に不平衡が発生している状態においては、U相に第二の負荷時タップ切換器12がTsw5のタップ選択によりW相の電圧成分△W2を、さらに、第一の負荷時タップ切換器11がTsv4のタップ選択によりV相の電圧成分△V1の電圧を加える。これにより、U相の電圧はU′からU″に電圧調整される。
これにより、
図6に実線で示した三相電圧U−V−Wは三相とも昇圧されU′−V′−W′となり、V相成分の電圧△V1およびW相成分の電圧△W2が加えられ、破線で示した三相電圧U″−V′−W′となり、不平衡電圧を是正することができる。
なお、
図5および
図6において、不平衡電圧の是正手段を
図1の結線方式で説明したが、
図3の結線方式で構成しても良い。
【0027】
以上、三相電圧に不平衡が生じている場合の調整用変圧器および直列変圧器の構成について説明した。電圧を是正する方法を説明する回路図を
図7から
図10に示す。
【0028】
図7は、電源側の中性点Oと負荷Za,Zb,Zcの中性点O′が直接接地線で接続されている電力系統である。配電線路の系統電圧として、400V配電や11.4kV配電に一般的に採用されている直接接地の三相4線式の配電方式である。
【0029】
図8は電源側の中性点Oと負荷Za,Zb,Zcの中性点O′が接続されていない電力系統である。配電線路の系統電圧として、6kV配電に一般的に採用されている非接地の三相3線式の配電方式である。
【0030】
三相のそれぞれの電源の相電圧をEa↑,Eb↑,Ec↑で、負荷をZa↑,Zb↑,Zc↑で、相電流をIa↑,Ib↑,Ic↑で、線間電圧をEab↑,Ebc↑,Eca↑で、本発明の電圧調整装置で他相に重畳させるB相の電圧をEbx↑,C相の電圧をEcx↑で、中性点間の電圧差をEo↑で示す。また、電圧調整後の相電圧をEa′↑,Eb′↑,Ec′↑で、線間電圧をEab′↑,Ebc′↑,Eca′↑で示す。なお、矢印↑はベクトルを示す。また、調整用変圧器および直列変圧器の構成は
図1の結線方式で説明する。
【0031】
図7において、中性点OおよびO′が接続されているため、電圧調整装置が接続されていない状態では、それぞれの相電流Ia↑,Ib↑,Ic↑は
図9(a)に示す単相回路を考えればよく、各相の相電流は、(式1a)〜(式1c)で表される。
Ia↑=Ea↑/Za↑ ・・・(式1a)
Ib↑=Eb↑/Zb↑ ・・・(式1b)
Ic↑=Ec↑/Zc↑ ・・・(式1c)
【0032】
本発明の電圧調整装置でA相電圧(Ea↑)にB相およびC相の電圧成分(Ebx↑,Ecx↑)を重畳させると、
図9(b)〜(d)に示す回路となり、各相の相電圧は(式2a)〜(式2c)で表される。
Ea′↑=Ea↑+Ebx↑+Ecx↑ ・・・(式2a)
Eb′↑=Eb↑ ・・・(式2b)
Ec′↑=Ec↑ ・・・(式2c)
つまり、A相はB相およびC相の電圧成分が重畳された電圧になり、B相およびC相の電圧はそのままである。このことにより、Za↑が小さく負荷側の電圧が不平衡の場合には、送り出し電圧をEa↑からEa′↑に昇圧させ、線間電圧Eab′↑,Ebc′↑,Eca′↑の電圧差が小さくなるように電圧を調整することにより、不平衡電圧を是正することができる。
【0033】
図8において、中性点OおよびO′は接続されていないため、それぞれの中性点間には電圧差Eo↑が発生しているとし、本発明の電圧調整装置でA相電圧(Ea↑)にB相およびC相の電圧成分(Ebx↑,Ecx↑)を重畳させると、
図10(b)〜(d)に示す回路となり、各相の相電圧は(式3a)〜(式3c)で、中性点間O−O′の電圧差Eo↑は(式3d)で表される。
Ea′↑=Ea↑+Ebx↑+Ecx↑−Eo↑ ・・・(式3a)
Eb′↑=Eb↑−Eo↑ ・・・(式3b)
Ec′↑=Ec↑−Eo↑ ・・・(式3c)
Eo↑=(Ea↑/Za↑+Eb↑/Zb↑+Ec↑/Zc↑)/(1/Za↑+1/Zb↑+1/Zc↑)
・・・(式3d)
つまり、A相はB相およびC相の電圧成分が重畳された電圧になり、B相およびC相の電圧はそのままである。このことにより、Za↑が小さく負荷側の電圧が不平衡の場合には、送り出し電圧をEa↑からEa′↑に昇圧させ、線間電圧Eab′↑,Ebc′↑,Eca′↑の電圧差が小さくなるように電圧を調整することにより、不平衡電圧を是正することができる。また、他相の巻線より線路電流が大きく電圧降下が大きな相に対して電力を補償することにもなるため、相電流の不平衡の改善にもなる。
【0034】
以上のように、本発明によれば、電圧調整装置の三相の線間電圧により不平衡状態を判定し、他相の電圧成分を重畳することにより、負荷側の不平衡電圧を是正することができる。不平衡電圧および電流の是正により、配電線の稼働率を向上することができ、配電線の線路損失の低減にも寄与する結果となる。
【0035】
上記のような不平衡電圧調整における電圧の制御方法としては、先に挙げた特許文献3を含めていろいろな方法が提案されている。
図11に本発明の電圧調整装置の全体構成の一例を説明する。ここでは電圧調整装置1は
図1に基づく結線方式で説明する。三相電圧の線間電圧を検出するため、出力端子U′,V′,W′の各線間には線間電圧を検出する電圧検出要素21を接続し、計測した線間電圧を電圧変換部で演算できるよう変換し、計測地点の電圧不平衡率kを電圧不平衡率演算部で演算する。演算した電圧不平衡率kと電圧不平衡率設定部で設定した電圧不平衡率の閾値とを電圧不平衡率比較判定部で比較判定し、電圧不平衡を是正すべき条件を満たせば、負荷時タップ切換器切換制御部より、第一および第二の負荷時タップ切換器11,12のタップ切換操作をそれぞれ行い、電圧不平衡を是正する。
なお、三相電圧は、線間電圧の検出に代え、相電圧とそれぞれの位相角を検出して判定しても良い。
【0036】
変成器やコンデンサ分圧等による電圧検出要素21で電力系統の三相の線間電圧を計測し、それらの電圧値より電圧調整装置の電圧計測点での正相電圧V1、逆相電圧V2および電圧不平衡率kを(式4a)〜(式4d)により電圧不平衡率演算部で演算する。演算した電圧不平衡率kと設定した閾値とを比較し、電圧不平衡率kが設定した閾値を一定時間継続して超過すれば、V相およびW相の電圧成分を重畳すべき第一および第二の負荷時タップ切換器11,12でTv1〜Tv5,Tw1〜Tw5(本実施形態では5タップ)まで切り換えた場合の各線間電圧値Eab′,Ebc′,Eca′,正相電圧E1、逆相電圧E2および電圧不平衡率kを計算する。
図12のフローでは、TvxおよびTwy(x=1,2,・・,5およびy=1,2,・・,5)として示す。これらより演算した電圧不平衡率k(x,y)のうち、電圧不平衡率kが最小となるように第一および第二の負荷時タップ切換器切換制御部よりタップ切換指令を出力して、タップ切換動作を行い、電圧不平衡の是正を行う。
なお、電圧不平衡率kが閾値以内であったり、設定した一定時間継続しなかったりした場合には、タップ切換動作を行わない。また、電圧不平衡率kが最小値になるようにタップ切換動作を行っても、電圧不平衡率が非常に大きな場合は、電圧不平衡率の改善はできるが、設定した閾値内に電圧不平衡を是正できないこともある。
【0038】
電圧不平衡率の閾値の基準としては、電気設備基準の解釈第260条では電気鉄道の受電点では3%を限度としている。また、電気鉄道ハンドブックでは、交流電圧不平衡率が5%以下であれば、おおむね製作上の裕度の範囲内とされている。全米電気機器製造業者協会(NEMA)のMG1式では、誘導電動機の正常運転時の最高許容温度に達する三相交流電圧不平衡率の平均値は2.8%以下とし、誘導電動機の長時間の寿命を維持するためには、1%以下が妥当としている。
【0039】
図5で説明した三相一括の電圧調整の制御方法として、定電圧制御,プログラム制御,線路電圧降下補償制御(LDC)などがある。SVRの多くは、LDC方式が一般的には採用されている。LDC方式は従来からの公知の方式であり、その詳細な説明は省略する。しかし、本発明の電圧調整装置の電圧不平衡の是正においても、
図13に示すよう本電圧調整装置の電圧および電流の計測点で線間電圧および相電流を計測し、電圧不平衡状態を是正したい地点までの設定した配電線路の負荷側のインピーダンスに基づき不平衡状態を是正したい地点の電圧不平衡率を演算することにより、第一、第二および第三の負荷時タップ切換器11,12,13のタップ切換により各相電圧を調整して設定した電圧や電圧不平衡率に近い電圧に是正することができる。
【0040】
以上、負荷時タップ切換器による三相の不平衡電圧の電圧調整装置を説明したが、一般的には負荷時タップ切換器としては、油中開閉器や真空スイッチを用いた電流切換器とタップ選択器とを組み合わせた機械的動作のタップ切換器が用いられる。しかし、本電圧調整装置では、直列変圧器を用いた間接式タップ切換のため、半導体スイッチで負荷時タップ切換器を構成したり、半導体スイッチで構成した電流切換器と機械的なタップ選択器とを組み合わせて構成した負荷時タップ切換器でも構成することができる。