特許第5986866号(P5986866)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5986866
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】スタッカー用緩衝装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/26 20060101AFI20160823BHJP
   B31B 1/98 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   B65H31/26
   B31B1/98 301
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-218001(P2012-218001)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-69935(P2014-69935A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年7月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】505440295
【氏名又は名称】北海製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 昌直
【審査官】 西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−119569(JP,U)
【文献】 特開平08−259082(JP,A)
【文献】 特開2006−327714(JP,A)
【文献】 特開昭63−134466(JP,A)
【文献】 特開2010−052356(JP,A)
【文献】 特開2005−014412(JP,A)
【文献】 特開2005−343592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00 − 31/40
B31B 1/00 − 49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送出部から送り出される板状体が衝突する衝突部の衝撃をエアシリンダで吸収するスタッカー用緩衝装置であって、
揺動支点を軸に揺動する揺動部材と、
シリンダ本体部とピストン部とを有するエアシリンダとを備え、
前記衝突部は、前記揺動部材の揺動側の端部に設けられ、
前記エアシリンダのピストン部の先端は、揺動支点と衝突部の間で揺動部材と接触し、
前記揺動支点を支持する支持部が設けられ、
前記エアシリンダを第1エアシリンダとして、該支持部に該第1エアシリンダが固定され、
該支持部は、第2エアシリンダを介して基台に設けられることを特徴とするスタッカー用緩衝装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスタッカー用緩衝装置であって、
前記揺動支点を支持する支持部が設けられ、
前記揺動部材と前記支持部との間に位置させて、前記揺動部材を前記支持部から離隔させる方向に付勢する弾性部材が設けられ、
前記エアシリンダ又は前記第1エアシリンダのピストン部の先端と前記揺動部材とは、前記ピストン部の先端と前記揺動部材との間に隙間が生じるように配置されることを特徴とするスタッカー用緩衝装置。
【請求項3】
送出部から送り出される板状体が衝突する衝突部の衝撃をエアシリンダで吸収するスタッカー用緩衝装置であって、
揺動支点を軸に揺動する揺動部材と、
シリンダ本体部とピストン部とを有するエアシリンダとを備え、
前記衝突部は、前記揺動部材の揺動側の端部に設けられ、
前記エアシリンダのピストン部の先端は、揺動支点と衝突部の間で揺動部材と接触し、
前記揺動支点を支持する支持部が設けられ、
前記揺動部材と前記支持部との間に位置させて、前記揺動部材を前記支持部から離隔させる方向に付勢する弾性部材が設けられ、
前記エアシリンダのピストン部の先端と前記揺動部材とは、前記ピストン部の先端と前記揺動部材との間に隙間が生じるように配置されることを特徴とするスタッカー用緩衝装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか1項に記載のスタッカー用緩衝装置であって、
前記衝突部には、クッション材が設けられることを特徴とするスタッカー用緩衝装置。
【請求項5】
請求項4に記載のスタッカー用緩衝装置であって、
前記クッション材の表面に、金属製の薄板が設けられることを特徴とするスタッカー用緩衝装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送出部から送り出される板状体を積層状態で収容するスタッカーに用いられる緩衝装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ローラ等からなる送出部から送り出される金属製等の板状体を積層状態で収容するスタッカーが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1のスタッカーは、板状体を積層状態で収容する収容部と、収容部の壁面に設けられ、送出部から送り出される板状体が衝突して板状体を収容部内に落とす衝突部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−119565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、生産性を向上させるべく、ローラ等からなる送出部から送り出される板状体の速度が増加しつつある。しかしながら、板状体を送る速度が速すぎると、板状体が衝突部と衝突するときの衝撃により、板状体が変形する等の不具合が生じる虞がある。
【0005】
そこで、受け部にエアシリンダを設け、エアシリンダで板状体が衝突する衝撃を吸収することが考えられる。しかしながら、送出部から送り出される板状体は、受け部に接触するときに、常に一定の場所に接触するとは限らず、エアシリンダの進退方向の軸線上からずれて衝突することもある。板状体と受け部との接触位置がエアシリンダの軸線上からずれていると、エアシリンダで適切に板状体が衝突する衝撃を吸収することは困難である。
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、エアシリンダで適切に板状体が衝突部に衝突する衝撃を吸収することができるスタッカー用緩衝装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]上記目的を達成するため、本発明は、送出部から送り出される板状体が衝突する衝突部の衝撃をエアシリンダで吸収するスタッカー用緩衝装置であって、揺動支点を軸に揺動する揺動部材と、シリンダ本体部とピストン部とを有するエアシリンダとを備え、前記衝突部は、前記揺動部材の揺動側の端部に設けられ、前記エアシリンダのピストン部の先端は、揺動支点と衝突部の間で揺動部材と接触し、前記揺動支点を支持する支持部が設けられ、前記エアシリンダを第1エアシリンダとして、該支持部に該第1エアシリンダが固定され、該支持部は、第2エアシリンダを介して基台に設けられることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、板状体が衝突部に衝突すると、揺動部材が揺動支点を軸に揺動し、エアシリンダを押圧する。従って、板状体が衝突部に衝突する位置が多少異なる場合であっても、エアシリンダに一定の方向の力が加わる。よって、単純にエアシリンダを衝突部に設けた場合と比較して、エアシリンダで適切に板状体が衝突する衝撃を吸収することができる。
【0009】
また、本発明においては、前記エアシリンダを第1エアシリンダとして、揺動支点を支持する支持部に、第1エアシリンダを取付け、支持部を、第2エアシリンダを介して基台に設けている。これによれば、第1エアシリンダで衝撃を吸収しきれない場合であっても、第2エアシリンダで衝撃を吸収することができる。
【0010】
2,3]また、本発明においては、揺動部材と支持部との間に位置させて、揺動部材を支持部から離隔させる方向に付勢する弾性部材が設けられ、エアシリンダ又は第1エアシリンダのピストン部の先端と揺動部材とは、ピストン部の先端と揺動部材との間に隙間が生じるように配置することができる。
【0011】
かかる構成によれば、エアシリンダ又は第1エアシリンダで衝撃を吸収する前に、弾性部材で衝撃を吸収できる。また、エアシリンダ又は第1エアシリンダで衝撃を吸収するときに、弾性部材でも衝撃を吸収できる。エアシリンダ又は第1エアシリンダだけでは吸収しきれない大きさの衝撃であっても、弾性部材で適切に衝撃を吸収することができる。
【0012】
[4]また、本発明においては、衝突部にクッション材を設けることが好ましい。これによれば、クッション材で衝突部と板状体とが衝突する衝撃を和らげることができる。このため、揺動部材自体を柔らかい部材で構成する必要がなく、揺動部材の剛性を高めることができる。
【0013】
[5]また、本発明においては、クッション材の表面に、金属製の薄板を設けることができる。これによれば、板状体が直接クッション材に衝突することにより、クッション材が摩耗等で劣化することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態のスタッカー用緩衝装置を示す説明図。
図2】本実施形態の揺動部材が第1エアシリンダのピストン部の先端に衝突した状態を示す説明図。
図3】本実施形態の第1エアシリンダ及び弾性部材で衝撃を吸収する状態を示す説明図。
図4】本実施形態の第2エアシリンダで衝撃を吸収する状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1から図4を参照して、本発明のスタッカー用緩衝装置の一実施形態を説明する。図1に示すように、本実施形態のスタッカー用緩衝装置は、揺動部材1と、第1エアシリンダ3とを備える。揺動部材1は、上下方向に延びるように配置されている。揺動部材1の上端部は、上下方向に延びて配置される支持部5の上端部で、揺動支点7を軸に揺動自在に連結されて支持されている。支持部5の上端部は、揺動部材1の上端部を揺動支点7で軸支すべく揺動部材1側に張り出すように構成されている。
【0016】
揺動部材1の下端部(揺動側の端部)には、衝突部としてのクッション材9(ゴムスポンジ)が設けられている。クッション材9の表面には、金属製の薄板9aが設けられている。揺動部材1と支持部5との間には、揺動支点7の近傍に位置させて、揺動部材1を支持部5から離隔させる方向に付勢力を働かせる弾性部材11(コイルスプリング)が設けられている。
【0017】
弾性部材11は、支持部5に固定されたボルト11aに支持されている。ボルト11aは、揺動部材1の上端部に設けられた上下方向に延びて貫通する貫通孔(図示省略)に挿通されている。これにより、ボルト11aと貫通孔が接触することによって揺動部材1の揺動運動が阻害されることを防止している。
【0018】
第1エアシリンダ3は、シリンダ本体部3aと、ピストン部3bとで構成される。シリンダ本体部3aは支持部5で支持されている。ピストン部3bの先端は、揺動部材1が弾性部材11の付勢力に抗して揺動するときに、揺動部材1の揺動支点7とクッション材9との間の部分に接触する。また、ピストン部3bの先端と揺動部材1とは、両者の間に間隔を存するように配置されている。
【0019】
支持部5は、基台13にスライド自在に取り付けられている。そして、支持部5は、第2エアシリンダ15により、基台13に対して図示省略した送出部側(揺動部材1側、図面右側)に付勢されている。
【0020】
次に、図2から図4を参照して、本実施形態のスタッカー用緩衝装置の作動について説明する。まず、図示省略した送出部から板状体(図示省略)が送り出されると、板状体が薄板9aに衝突して、クッション材9が撓み、板状体の衝撃が揺動部材1に伝達される。そして、図2に示すように、揺動部材1は、弾性部材11の付勢力に抗して揺動支点7を軸に揺動する。このため、揺動部材1が第1エアシリンダ3に接触する前に、弾性部材11の付勢力で衝撃を和らげることができる。
【0021】
そして、揺動部材1は、揺動支点7とクッション材9との間の部分でピストン部3bの先端に接触し、図3に示すように、第1エアシリンダ3の付勢力に抗して、ピストン部3bをシリンダ本体部3a側に押圧する。このとき、第1エアシリンダ3に加えて弾性部材11もその付勢力に抗するように押し縮められて衝撃を吸収している。
【0022】
そして、板状体がクッション材9に衝突したときの衝撃を第1エアシリンダ3で抑えきれないときは、図4に示すように、第2エアシリンダ15の付勢力に抗して、支持部5が基台13に対して摺動する。これにより、第1エアシリンダ3で吸収しきれなかった衝撃を第2エアシリンダ15で吸収することができる。
【0023】
本実施形態のスタッカー用緩衝装置によれば、板状体が衝突部としてのクッション材9に衝突すると、揺動部材1が揺動支点7を軸に揺動し、弾性部材11で衝撃を吸収しながら、第1エアシリンダ3を押圧する。従って、板状体がクッション材9に衝突する位置が多少異なる場合であっても、第1エアシリンダ3に一定の方向の力が加わる。よって、単純にエアシリンダを衝突部に設けた場合と比較して、第1エアシリンダ3で適切に板状体が衝突する衝撃を吸収することができる。
【0024】
また、第1エアシリンダ3で衝撃を吸収しきれない場合であっても、第2エアシリンダ15で衝撃を吸収することができる。
【0025】
また、衝突部としてゴムスポンジからなるクッション材9を用いているため、揺動部材1に板状体が衝突する衝撃を和らげることができる。
【0026】
また、クッション材9の表面に、金属製の薄板9aを設けているため、板状体が直接クッション材9に衝突することがなく、クッション材9の摩耗等の劣化を防止できる。
【0027】
更に、揺動部材1は、揺動支点7を軸に振り子のように動くため、板状体の衝撃を緩衝した後、弾性部材11の付勢力に加えて自重によっても、元の位置に戻ろうとする力が働く。従って、揺動部材1は、板状体の衝撃を緩衝した後、即座に元の位置に戻ることができ、送出部から送り出される次の板状体の衝撃に備えることができる。
【0028】
なお、揺動部材1は、元の位置に戻る際に、ボルト11aの頭部11bがストッパとして機能し、元の位置よりも送出部(図示省略)側へ移動することを防止している。
【符号の説明】
【0029】
1 揺動部材
3 第1エアシリンダ
3a シリンダ本体部
3b ピストン部
5 支持部
7 揺動支点
9 クッション材(ゴムスポンジ)
9a 薄板
11 弾性部材
11a ボルト
11b 頭部
13 基台
15 第2エアシリンダ
図1
図2
図3
図4