特許第5986869号(P5986869)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5986869
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】空気調和機の室外ユニット
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/36 20110101AFI20160823BHJP
【FI】
   F24F1/36
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-222320(P2012-222320)
(22)【出願日】2012年10月4日
(65)【公開番号】特開2014-74544(P2014-74544A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2015年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(72)【発明者】
【氏名】山口 智充
(72)【発明者】
【氏名】内藤 康弘
(72)【発明者】
【氏名】森 裕典
【審査官】 佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−167877(JP,A)
【文献】 特開2010−281461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース板の周縁から上方に立ち上げられたフランジ部に、操作弁を設けた操作弁ブラケットが側面パネルより外面側に露出されて固定設置され、その外側を覆うサービスカバーが前記側面パネルに着脱自在に設置されている空気調和機の室外ユニットにおいて、
前記サービスカバー内の前記操作弁の設置位置よりも下方部位に、該サービスカバー内で発生したドレン水を収集し、前記ベース板側に排出するドレン排出部が設けられ、
該ドレン排出部と対向して前記操作弁ブラケットの下方部位および下端に、前記ドレン排出部から排出されるドレン水を前記フランジ部よりも内側の前記ベース板上に回収する凹部および切欠き部が設けられていることを特徴とする空気調和機の室外ユニット。
【請求項2】
前記ドレン排出部は、収集したドレン水の排出端として樋状の突出部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室外ユニット。
【請求項3】
前記凹部は、前記操作弁ブラケットの下方端まで延長され、その下端に水平方向に延びるスリット状の前記切欠き部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和機の室外ユニット。
【請求項4】
前記凹部は、前記操作弁ブラケットの下方部位の両側に形成されている前記フランジ部への締結部間に設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の空気調和機の室外ユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室外ユニットのベース板上に操作弁ブラケットが設置され、その外側面側にサービスカバーが設けられている空気調和機の室外ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の室外ユニットにおいては、機械室側の内部に、冷媒配管を接続する操作弁が設けられている操作弁ブラケットが、側面パネルから外部に露出されるように設置されている。この操作弁ブラケットは、特許文献1に示されるように、室外ユニットのベース板の周縁部に鉛直上方に立ち上げられているフランジ部に固定設置されており、操作弁に対して外部からのアクセスを可能とするため、操作弁を側面パネルから外部側に露出させて設置している。
【0003】
操作弁としては、2個のガス側操作弁および液側操作弁が上下に傾斜して配置され、室内ユニットとの間に接続されるガス側冷媒配管および液側冷媒配管が接続可能な構成とされている。この操作弁および操作弁ブラケットの外面側は、室外ユニットの側面パネルに対して着脱自在に設置されるサービスカバー(または側面カバーともいう。)によって覆われている。サービスカバーには、背面側に開口部が設けられており、その開口部を通して室内ユニットとの間に接続される冷媒配管および電力線、通信線等が配管、配線されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−259932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の室外ユニットにおいて、操作弁ブラケットの外面側を覆うサービスカバーには、背面側に配管、配線を通す開口部が設けられているため、内部に雨水が侵入してドレン水が発生する。また、ガス側操作弁および液側操作弁に低圧冷媒が流通した場合、操作弁が冷やされ、その表面で結露水が発生する。これらのドレン水は、サービスカバーの下方部位に設けられているドレン排出部に収集された後、該ドレン排出部から操作弁ブラケットの対向する側面に開口されている穴を介して室外ユニットのベース板上に回収され、処理される構成とされていた。
【0006】
しかるに、操作弁ブラケットに穴を開口した場合、当該穴を通して機械室内で発生した騒音がサービスカバーを経てユニット外部に放出されるので、騒音が外部に放出されないようにする工夫が必要であった。また、騒音の放出を抑制するため、穴の開口面積を小さくしたり、穴に騒音漏出防止手段を設けたりすると、操作弁ブラケットの強度をアップできる反面、サービスカバー内で発生したドレン水をベース板側に回収する際に、ドレン水が外部に飛散あるいは漏出し易くなる等の課題があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、サービスカバー内で発生したドレン水を、操作弁ブラケットを介して確実にベース板側に回収できるとともに、機械室内で発生した騒音の放出を抑制し、室外ユニットの品質を向上することができる空気調和機の室外ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために、本発明の空気調和機の室外ユニットは、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる空気調和機の室外ユニットは、ベース板の周縁から上方に立ち上げられたフランジ部に、操作弁を設けた操作弁ブラケットが側面パネルより外面側に露出されて固定設置され、その外側を覆うサービスカバーが前記側面パネルに着脱自在に設置されている空気調和機の室外ユニットにおいて、前記サービスカバー内の前記操作弁の設置位置よりも下方部位に、該サービスカバー内で発生したドレン水を収集し、前記ベース板側に排出するドレン排出部が設けられ、該ドレン排出部と対向して前記操作弁ブラケットの下方部位および下端に、前記ドレン排出部から排出されるドレン水を前記フランジ部よりも内側の前記ベース板上に回収する凹部および切欠き部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、ベース板周縁のフランジ部に設置されている操作弁ブラケットの外側を覆うサービスカバーが、側面パネルに着脱自在に設置されている空気調和機の室外ユニットにあって、サービスカバー内の操作弁の設置位置よりも下方部位に、該サービスカバー内で発生したドレン水を収集し、ベース板側に排出するドレン排出部が設けられ、該ドレン排出部と対向する操作弁ブラケットの下方部位および下端に、ドレン排出部から排出されるドレン水をフランジ部よりも内側のベース板上に回収する凹部および切欠き部が設けられているため、サービスカバー内で外部からの侵入により発生したドレン水あるいは操作弁の表面で結露によって発生したドレン水等は、サービスカバー内の下方部位に設けられているドレン排出部に収集され、ドレン排出部を介して室外ユニットのベース板上に排出されるが、このドレン排出部から排出されるドレン水を、ドレン排出部と対向して操作弁ブラケットの下方部位に設けられている凹部に沿って流下させ、その下端に設けられている切欠き部を介してフランジ部よりも内側のベース板上に回収し、該ベース板上の特定位置へと流動させることができる。従って、サービスカバー内で発生したドレン水を確実にベース板上に回収して処理し、ドレン水が側面パネル側の不特定位置から外部に飛散あるいは漏出するのを防止することができる。また、従来、ドレン水を回収するために操作弁ブラケットに設けていた開口を不要にすることにより、その開口からのユニット内騒音の漏れをなくし、室外ユニットの品質を向上することができる。
【0010】
さらに、本発明の空気調和機の室外ユニットは、上記の空気調和機の室外ユニットにおいて、前記ドレン排出部は、収集したドレン水の排出端として樋状の突出部を備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、ドレン排出部が、収集したドレン水の排出端として樋状の突出部を備えているため、ドレン排出部に収集されたドレン水を、樋状の突出部とされている排出端から対向する操作弁ブラケットの凹部に向って排出し、該凹部を介してベース板上へと回収することができる。従って、ドレン排出部に収集したドレン水を確実に樋状の突出部を介してベース板側へと導くことができ、不特定位置からのドレン水の外部への飛散あるいは漏出を防止することができる。
【0012】
さらに、本発明の空気調和機の室外ユニットは、上述のいずれかの空気調和機の室外ユニットにおいて、前記凹部は、前記操作弁ブラケットの下方端まで延長され、その下端に水平方向に延びるスリット状の前記切欠き部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、凹部が、操作弁ブラケットの下方端まで延長され、その下端に水平方向に延びるスリット状の切欠き部が設けられているため、サービスカバー内のドレン排出部から操作弁ブラケットの凹部を介してベース板側に回収したドレン水を、凹部の下端に設けられている水平方向に延びるスリット状の切欠き部からベース板上の特定位置へと流動させ、排出処理することができる。従って、不特定の位置からのドレン水の飛散、漏出を防止して適切に処理することができるとともに、スリット状切欠き部からのユニット内騒音の外部への漏れを最小限に抑えることができる。
【0014】
さらに、本発明の空気調和機の室外ユニットは、上述のいずれかの空気調和機の室外ユニットにおいて、前記凹部は、前記操作弁ブラケットの下方部位の両側に形成されている前記フランジ部への締結部間に設けられていることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、凹部が、操作弁ブラケットの下方部位の両側に形成されているフランジ部への締結部間に設けられているため、操作弁ブラケットをその下方部位の両側に形成されている締結部を介してベース板のフランジ部に固定設置した時、その締結部間に凹部を介してドレン水が流下する流路を形成し、サービスカバー側からのドレン水をベース板側に回収することができる。従って、サービスカバー側で発生したドレン水の不特定位置からの外部への飛散、漏出を防止し、確実にベース板側に回収することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、サービスカバー内で外部からの侵入により発生したドレン水あるいは操作弁の表面で結露によって発生したドレン水等は、サービスカバー内の下方部位に設けられているドレン排出部に収集され、ドレン排出部を介して室外ユニットのベース板上に排出されるが、このドレン排出部から排出されるドレン水を、ドレン排出部と対向して操作弁ブラケットの下方部位に設けられている凹部に沿って流下させ、その下端に設けられている切欠き部を介してフランジ部よりも内側のベース板上に回収し、該ベース板上の特定位置へと流動させることができるため、サービスカバー内で発生したドレン水を確実にベース板上に回収して処理し、ドレン水が側面パネル側の不特定位置から外部に飛散あるいは漏出するのを防止することができる。また、従来、ドレン水を回収するために操作弁ブラケットに設けていた開口を不要にすることにより、その開口からのユニット内騒音の漏れをなくし、室外ユニットの品質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る空気調和機の室外ユニットのサービスパネルを取り外した状態の斜視図である。
図2図1に示す室外ユニットのベース板上に操作弁ブラケットを設置した状態の斜視図である。
図3図2に示す操作弁ブラケットの斜視図である。
図4図2に示す操作弁ブラケットの外面側にサービスカバーを設置した状態の縦断面図である。
図5図4におけるA部の拡大断面図である。
図6図4に示すサービスカバーを内面側から見た状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の一実施形態について、図1ないし図6を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る空気調和機の室外ユニットのサービスパネルを取り外した状態の斜視図が示され、図2には、そのベース板上に操作弁ブラケットを設置した状態の斜視図、図3には、操作弁ブラケットの斜視図、図4には、操作弁ブラケットの外側にサービスカバーを設置した状態の縦断面図が示されている。
空気調和機の室外ユニット1は、底面に複数の据え付け脚4が設けられているベース板3と、ベース板3上に設置される吹出しグリル6を設けた前面パネル5、左・右側面パネル7,8および上面パネル9等とから構成される筐体2を備えている。
【0019】
筐体2の背面側は、略開口されており、その開口に面してプレートファンチューブ形の室外熱交換器が設置されている。筐体2の内部は、公知の如く、仕切り板により熱交換器室側と機械室側とに仕切られており、熱交換器室側には、上記室外熱交換器および該室外熱交換器を通して外気を流通させ、吹出しグリル6から前面側に吹出す送風ファン等が配設され、機械室側には、圧縮機、四方切換弁、コントロールボックス、操作弁ブラケット10および電力線、通信線等を接続する端子台11等が設置されている。
【0020】
操作弁ブラケット10および端子台11は、図1に示されるように、側面パネル7から外部側に露出されるように設置されており、その外面側は、室外ユニット1の側面パネル7に対して着脱自在に設置される後述のサービスカバー(側面カバーともいう。)21によって覆われる構成とされている。
【0021】
筐体2のベース板3は、図2に示されるように、横長長方形状の板金製板材であり、室外熱交換器、送風ファン、圧縮機等の設置部が成形されているとともに、周縁部に鉛直上方に立ち上げられた所定高さのフランジ部3Aが設けられた構成とされている。このベース板3の右側辺側のフランジ部3Aには、操作弁ブラケット10がネジ等の締結手段を介して固定設置されている。
【0022】
操作弁ブラケット10は、上下方向に長くされた略長方形状の板金製部品であり、室内ユニットとの間に接続されるガス側冷媒配管および液側冷媒配管が接続可能な構成とされているガス側操作弁12および液側操作弁13の2個の操作弁12,13が上下に傾斜された状態でネジ14等により固定設置されている。このガス側操作弁12および液側操作弁13には、室外ユニット1側の構成機器と接続するための冷媒接続管15,16が設けられている。
【0023】
また、操作弁ブラケット10には、図3に示されるように、操作弁ブラケット10をベース板3のフランジ部3Aに対してネジ等により締結するために、その外側面の下方部両側のフランジ部3Aに対する締結部位に、フランジ部3A側に向け一定寸法突出するように皿出しされた一対の締結部17が所定の間隔で一体成形されている。この一対の締結部17には、ネジによる締結用穴18が設けられている。
【0024】
このように、操作弁ブラケット10のフランジ部3Aに対する締結部位に、フランジ部3A側に向け一定寸法突出された皿出し状の一対の締結部17を設け、操作弁ブラケット10をフランジ部3Aの内側面に固定設置することによって、図2に示されるように、操作弁ブラケット10の外側面とフランジ部3Aの内側面との間に、一定寸法の隙間Sを形成することができ、この隙間Sを介して、操作弁ブラケット10やガス側操作弁12、液側操作弁13等の表面で結露し、操作弁ブラケット10の表面を伝って下方に流下する結露水を、ベース板3内に回収することが可能となる。
【0025】
また、操作弁ブラケット10および端子台11の外面側を覆うように、側面パネル7の外側面にサービスカバー21が着脱自在に設置されている。サービスカバー21は、図6に示されるように、操作弁ブラケット10および操作弁12,13の外側を覆う部分21Aと、端子台11の外側を覆う部分21Bと、その間を繋ぐ配線覆い部分21Cとを備えた縦長形状のカバーであり、操作弁12,13の外側を覆う部分21Aの背面側に、冷媒配管、電力線、通信線等を通す開口部22が設けられている。
【0026】
このサービスカバー21の下方部位には、開口部22を介して外部から雨水が侵入することにより発生したドレン水あるいは操作弁12,13の表面で結露することにより発生したドレン水等を収集し、そのドレン水をベース板3側に排出するドレン排出部23が設けられている。このドレン排出部23は、操作弁12,13から滴下するドレン水を受けるため、操作弁12,13の設置位置より下方部位において、サービスカバー21の内面に中央部が下向きに凹状に設けられている。
【0027】
また、ドレン排出部23の操作弁ブラケット10側の排出端には、収集したドレン水を操作弁ブラケット10の側面に設けられている後述の凹部19に導くための樋状の突出部24が設けられている。なお、サービスカバー21内には、開口部22から侵入した雨水がその内部を上昇し、端子台11の設置部から機械室内のコントロールボックス側に侵入しないように、仕切り壁等が設けられており、雨水の侵入を阻止し一部の外気のみが流通される構成とされている。
【0028】
さらに、ドレン排出部23のドレン水排出端に設けられている樋状の突出部24と対向とする操作弁ブラケット10の下方部位には、図3および図5に示されるように、その側面を内面側に絞った所定の深さ、幅および高さ方向の寸法を有する凹部19が一体成形されている。この凹部19は、樋状の突出部24から排出されるドレン水を確実に受入れることができる大きさの寸法とされている。また、凹部19は、操作弁ブラケット10の下方端まで延長されており、その下端には、ベース板3の上面との間に、水平方向に延びるスリット状の隙間を形成する切欠き部20が設けられている。
【0029】
以上に説明の構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
空気調和機が運転されることにより、ガス側操作弁12および液側操作弁13に低圧冷媒が流通された場合、該操作弁12,13およびそれら操作弁12,13が設置されている操作弁ブラケット10が冷却され、その表面において空気中の水分が結露を発生することがある。この結露水は、ドレン水として操作弁12,13から下方に滴下あるいは操作弁ブラケット10の表面を伝って下方に流下するが、それらを全てベース板3内に回収する必要がある。
【0030】
また、サービスカバー21は、背面側に開口部22が設けられていることから、その開口部22を介して内部に雨水が侵入し、これもドレン水として処理する必要がある。
通常、室外ユニット1は、屋外に設置されるため、室外ユニット1内で発生したドレン水をそのまま屋外に排出しても、殆んど問題になることはないものの、例えば、室外ユニット1をベランダに吊下げ設置する等、その設置の仕方如何によっては、ドレン水が不特定の位置から外部に飛散あるいは漏出する事態を避けなければならない場合があり、一般的にはベース板3の特定位置に排水穴を設け、そこから排出処理するようにしている。
【0031】
しかるに、本実施形態においては、ベース板3周縁のフランジ部3Aと、そのフランジ部3Aに固定設置される操作弁ブラケット10との側面間に、操作弁ブラケット10の外側面から外側に向け突出するように設けられている締結部17の突出寸法に見合った隙間Sを形成し、操作弁ブラケット10をベース板3周縁のフランジ部3Aに固定設置しているため、その隙間Sを介して、ガス側操作弁12および液側操作弁13等で操作弁ブラケット10が冷却されることによりその表面で結露し流下するドレン水を、ベース板3内に回収することができる。従って、操作弁ブラケット10の表面で結露により発生したドレン水を確実にベース板3内に回収することができ、そのドレン水が操作弁12,13側の側面から外部に飛散あるいは漏出する事態を防止することができる。
【0032】
また、外部からの雨水の侵入により、あるいはガス側操作弁12および液側操作弁13の表面で結露し、そのまま下方に滴下することにより、サービスカバー21内で発生したドレン水は、ドレン排出部23に収集される。このドレン水は、ドレン排出部23の排出端である樋状の突出部24から、その突出部24に対向して操作弁ブラケット10の下方部位に設けられている凹部19に向って放出され、その凹部19により形成される流路に沿って下方へと流下する。そして、凹部19の下端に設けられている切欠き部20を介してフランジ部3Aよりも内側のベース板3上に回収し、ベース板3上の特定位置(排水穴位置)へと流動させることができる。
【0033】
このため、サービスカバー21内で発生したドレン水を確実にベース板3上に回収して処理し、ドレン水が側面パネル7側の不特定位置から外部に飛散あるいは漏出するのを防止することができる。また、従来、ドレン水を回収するために操作弁ブラケット10に設けていた開口を不要にすることにより、その開口からの機械室内騒音の漏れをなくし、室外ユニット1の品質を向上することができる。
【0034】
また、ドレン排出部23は、収集したドレン水の排出端として樋状の突出部24を備えており、ドレン排出部23に収集されたドレン水を、樋状の突出部24とされている排出端から対向する操作弁ブラケット10の凹部19に向って排出し、該凹部19を介してベース板3上へと回収することができる。このため、ドレン排出部23に収集したドレン水を樋状の突出部24を介して確実にベース板3側へと導くことができ、不特定位置からのドレン水の外部への飛散あるいは漏出を防止することができる。
【0035】
さらに、凹部19は、操作弁ブラケット10の下方端まで延長され、その下端に水平方向に延びるスリット状の切欠き部20が設けられた構成とされている。このため、サービスカバー21内のドレン排出部23から操作弁ブラケット10の凹部19を介してベース板3側に回収したドレン水を、凹部19の下方端に設けられている水平方向に延びるスリット状の切欠き部20からベース板3上の特定位置へと流動させ、排出処理することができる。従って、不特定位置からのドレン水の飛散、漏出を防止して適切に処理することができるとともに、スリット状切欠き部20からの機械室内騒音の外部への漏れを最小限に抑えることができる。
【0036】
また、上記凹部19は、操作弁ブラケット10の下方部位の両側に形成されているフランジ部3Aへの締結部17間に設けられているため、操作弁ブラケット10をその下方部位の両側に形成されている締結部17を介してベース板3のフランジ部3Aに固定設置した時、その締結部17間に凹部19を介してドレン水が流下する流路を形成し、サービスカバー21側からのドレン水をベース板3側に回収することができる。従って、サービスカバー21側で発生したドレン水の不特定位置からの外部への飛散、漏出を防止し、確実にベース板3側に回収することができる。
【0037】
なお、本発明は、上記実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、上記実施形態では、操作弁ブラケット10をフランジ部3Aに対してネジで固定設置した例について説明したが、必ずしもネジ止めである必要はなく、他の手段、例えば溶接等であってもよい。また、操作弁ブラケット10自体の形状やガス側操作弁12および液側操作弁13の取付け構造については、上記実施形態のものに限らず、様々な変形例を採用することが可能である。
【0038】
さらに、上記実施形態では、操作弁ブラケット10の外側面の下方部位に所定間隔で一対の締結部17を設けた構成としているが、ベース板3のフランジ部3A側に、操作弁ブラケット10側に向けて突出された同様の締結部を設けた構成としてもよく、かかる構成とした場合も、その締結部に操作弁ブラケット10を固定設置することにより、フランジ部3Aと操作弁ブラケット10との側面間に、締結部の突出寸法の大きさに見合った隙間Sを形成し、操作弁ブラケット10の表面で結露した結露水を、その隙間Sよりベース板3内に回収して処理することができる。
【0039】
また、操作弁ブラケット10またはフランジ部3Aに設けられる締結部17に加え、フランジ部3Aにおける操作弁ブラケット10との締結部位の間を、一定寸法外側に膨出する膨出部を設けた構成とし、隙間Sをより大きくするようにしてもよく、このような構成を採用することにより、フランジ部3Aと操作弁ブラケット10との側面間に形成される隙間Sの大きさを、フランジ部3Aの外側への膨出寸法を加えた大きさとすることができることから、操作弁ブラケット10の表面で結露した結露水をベース板3内に導くための隙間Sをより大きくし、結露水をベース板3内に回収し易くすることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 室外ユニット
3 ベース板
3A フランジ部
7 側面パネル
10 操作弁ブラケット
12 ガス側操作弁(操作弁)
13 液側操作弁(操作弁)
17 締結部
19 凹部
20 切欠き部
21 サービスカバー
23 ドレン排出部
24 樋状の突出部


図1
図2
図3
図4
図5
図6