(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記目標距離算出処理は、前記第1特徴位置、前記第2特徴位置を検出した後、第1特徴位置、第2特徴位置を新たに検出した場合、新たに検出した前記第1特徴位置、前記第2特徴位置に基づいて前記目標距離を変更することを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の軌陸車載線支援装置。
【背景技術】
【0002】
鉄道設備の整備、点検等を行うための軌陸車が知られている。この軌陸車は、道路走行時には一般車両と同様、車両タイヤを使用して走行し、線路走行時には、車輪を使用して走行する。軌陸車は、転車台にて軌陸車を持ち上げることで、道路から線路へ、あるいは、線路から道路へ走行路を変更することが可能である。特に、道路から線路へ軌道を変更する載線工程では、線路走行用の車輪とレールの位置合わせする必要がある。
【0003】
図1には、従来の軌陸車の載線工程を説明するための図が示されている。
図1は軌陸車1が線路Rに載線されるときの工程を(a)〜(c)にて順を追って示した図である。線路上の作業場所に向かう軌陸車1にはドライバーU1と同乗者U2が搭乗している。踏切等、線路Rに載線可能な位置に差し掛かった場合、同乗者U2は、一旦、軌陸車1から下車し、ドライバーU1に対して載線可能な位置、すなわち、軌陸車1の転車台中心Gが、レール中心Rcに位置するようにドライバーU1に指示を出す。
【0004】
図1(b)のように転車台中心Gとレール中心Rcが一致した位置で、軌陸車を停止させる。その後、転車台を使用して、軌陸車1を持ち上げ、線路Rに平行となるように軌陸車1を回転させる。そして、線路走行用の車輪を使用可能な状態にして、転車台を収納することで、軌陸車1の車輪はレールR1、R2上に載置される。同乗者U2は、軌陸車1がレールR1、R2上に載置されたことを確認して、軌陸車1に再搭乗して作業場所に向かうこととなる。
【0005】
このように従来の軌陸車の載線工程は、ドライバー以外に載線工程を支援する同乗者を必要としており、一人で行うことは困難であった。また、軌陸車の載線工程は、周囲が暗い夜間等に行われることが多く、転車台中心をレール中心に位置合わせすることは困難を伴うと共に時間のかかる作業となっていた。
【0006】
このような軌陸車における載線工程を支援するため各種提案が行われている。特許文献1には、旋回台(転車台)の旋回中心から下方に光ビームを投射し、光ビームの照射点が目印線に一致したときを軌陸車の停止位置とすることが開示されている。
【0007】
特許文献2には、踏切等、軌陸車の載線場所に予め地上マークを設置しておき、軌陸車に設けた地上マーク検出センサにて、この地上マークを検出することで軌陸車の停止位置を検出することが開示されている。
【0008】
特許文献3には、軌陸車の旋回中心から等距離に下方を撮影する一対のカメラを設けておき、これらカメラで撮影された映像をモニタ上で重ね、両カメラで撮影されたレールが重なった位置を軌陸車の停止位置として検出することが開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
では、本発明の実施形態に係る軌陸車載線支援装置について図を用いて説明する。
図2は、本発明の実施形態に係る軌陸車、軌陸車載線支援装置の構成を示す図である。この軌陸車1は、一般車両と同様、道路Lを走行するための前輪タイヤ3F、後輪タイヤ3Rを有している。また、従来の軌陸車と同様、線路(レールR)を走行するための軌道走行用前輪4F、軌道走行用後輪4R、並びに転車台5を有している。
【0019】
道路Lから線路に走行路を変更する工程(載線工程)には、まず、転車台中心Gと二本のレール中心位置を合わせて軌陸車1を停車させる。次に、転車台5を破線で示す5’のように下方に伸張することで、軌陸車1を持ち上げた状態にする。そして、軌陸車1を持ち上げた状態で転車台5を回転させるとともに、軌道走行用車輪4F、4Rを破線で示す位置に降下させる。最後に、転車台5を元の状態に戻すことで、軌陸車1が降下し、軌道走行用車輪4F、4RがレールR上に位置し、軌陸車1は線路上を走行可能な状態となる。
【0020】
前述したように、この軌陸車1の載線工程においては、軌陸車1を的確に線路に載線するため、転車台中心Gとレール中心位置の位置合わせを行うことが重要である。本実施形態の軌陸車載線支援装置は、載線工程における位置合わせを支援するものである。
【0021】
では、軌陸車載線支援装置の構成について、
図2、
図3を用いて説明する。
図3には本実施形態の軌陸車載線支援装置の制御構成が示されている。本実施形態の軌陸車載線支援装置は、制御部11、レーザー式距離センサ14(路面変位測定部)、ゴムローラ13とエンコーダ12(移動距離計測部)を含んで構成されている。
【0022】
制御部11は、CPU、メモリなどの記憶手段を備えて構成され、軌陸車載線支援装置を統括して制御する手段である。また、制御部11は、外部構成としてのタッチパネルモニタ15、スピーカ16等が接続可能となっている。
【0023】
タッチパネルモニタ15は、表示部15a、表示部15aの表もしくは裏側に配設されたタッチパネル15b(入力部)を有して構成されている。制御部11は、表示部15aに対して各種表示を行うとともに、タッチパネル15bによるユーザのタッチ入力により各種指示、入力を行うことが可能となっている。このようにタッチパネル15bは、軌陸車載線支援装置に対する入力部として機能するが、入力部としてはタッチパネル15b以外のスイッチ等を使用することも可能である。
【0024】
スピーカ16は、制御部11が出力する聴覚情報をユーザに対して報知する報知部Tとして機能する。報知部としては前述した表示部15aもユーザに対して視覚情報を提供する報知部Tとして機能するものである。
【0025】
本実施形態の軌陸車載線支援装置は、外部からの情報を得るため路面変位測定部、移動距離計測部を備えている。本実施形態の路面変位測定部は、レーザー式距離センサ14を有して構成されている。このレーザー式距離センサ14は、軌陸車1の前方に配設され、配設された位置から道路Lの路面までの距離(路面距離)を計測するセンサである。本実施形態の計測方式は、光(レーザ光、赤外光など)を使用し、路面での反射に基づき非接触で路面距離を検出する形態を使用している。この他、音(超音波、可聴音)を利用して非接触で路面距離を検出する形態など、各種形態を採用することが可能である。
【0026】
なお、軌陸車1が直進する方向におけるレーザー式距離センサ14と転車台中心Gとの間の距離は、予め計測されており距離Bとして、制御部11に記憶されている。
【0027】
一方、本実施形態の移動距離計測部は、ゴムローラ13、エンコーダ12を有して構成されている。載線工程時、ゴムローラ13を後輪タイヤ3Rの表面(移動面)と接触させることで、ゴムローラ13は後輪タイヤ3Rの回転に伴って回転する。なお、移動距離の計測対象は、後輪タイヤ3Rではなく、他の車両タイヤとすることとしてもよい。あるいは、複数の車両タイヤにて計測し、その平均をとることとしてもよい。ゴムローラ13の回転量は、それに接続されたエンコーダ12に伝達され、制御部11にて軌陸車1の移動距離に変換される。本実施形態では、後輪タイヤ3Rの移動量を検出するため、ゴムローラ13を使用しているが、ローラの素材にはゴムの他、金属、シリコンなど各種素材を使用することが考えられる。
【0028】
このように本実施形態では、ゴムローラ13にて後輪タイヤ3Rの移動量を直接、検出することで、実際の軌陸車1の移動距離に極めて近い値を取得することが可能となっている。例えば、降雪時のようにタイヤ表面に雪が付着している場合のように、タイヤの実効半径が変化した場合においても正確に移動距離を取得することが可能である。
【0029】
なお、移動距離計測部は、このような形態に限らず、軌陸車1の移動距離を計測可能な各種形態を採用することが考えられる。例えば、軌陸車1の各種駆動系を接触、あるいは、非接触で検知することで移動距離を計測することが考えられる。
【0030】
図4には、本発明の実施形態に係る移動距離計測部(第1実施形態)の構成が示されている。第1実施形態の移動距離計測部は、軌陸車1に対して着脱可能な構成となっている。
図4(a)は、移動距離計測部を取り外したときの状態が、
図4(b)には移動距離計測部を取り付けたときの状態が示されている。
図4(a)に示されるように軌陸車1の車両側フレーム1Fには、移動距離計測部を取り付けるための取付ステー21が設けられている。一方、
図4(b)に示されるように移動距離計測部は、ゴムローラ13、エンコーダ12、取付部22を有して構成されている。移動距離計測部側の取付部22を、取付ステー21に勘合させることで、移動距離計測部取り付けされる。
【0031】
また、移動距離計測部は、軌陸車1に取り付けた際、図に矢印で示されるように取付ステー21上を上下方向に摺動可能となっている。そして、移動距離計測部の取付時、ゴムローラ13は、後輪タイヤ3Rの上側で接触する配置となっている。このような構成、配置によって、移動距離計測部は、自重にてゴムローラ13を後輪タイヤ3Rに接触させることとなる。したがって、路面の形状などにより、後輪タイヤ3Rの位置が変動した場合においても、ゴムローラ13は後輪タイヤ3Rの回転に追従することが可能となっている。
【0032】
図5には、本発明の実施形態に係る移動距離計測部(第2実施形態)の構成を示す図が示されている。この第2実施形態では、ゴムローラ13を後輪タイヤ3Rから離間させた
第2の状態(
図5(a))と、ゴムローラ13を後輪タイヤ3Rに接触させた第1の状態(
図5(b))に変更可能な構成を有している。
【0033】
そのため第2実施形態に係る移動距離計測部は、ゴムローラ13、エンコーダ12、筐体24、固定部23、ヒンジ部25a、25b、スプリング26を備えて構成されている。固定部23は、軌陸車1側の車両側フレーム1Fに固定される。筐体24は固定部23に対してヒンジ部25a、25bを介して左右方向に移動可能となっている。この筐体24の後輪タイヤ3R側には、ゴムローラ13、エンコーダ12が設けられている。
【0034】
また筐体24と固定部23は、弾性部材としてのスプリング26で接続されており、両者間を引き寄せる方向に力が作用する状態となっている。このようなスプリング26の作用により、筐体24は、
図5(a)に示すように、筐体24を右側に移動させることでゴムローラ13を離間させた状態(収納時)と、
図5(b)に示すように、筐体24を左側に移動させることでゴムローラ13を後輪タイヤ3Rに接触させた状態(使用時)に変更することが可能となっている。特に、ゴムローラ13を後輪タイヤ3Rに接触させたときには、後輪タイヤ3Rの位置が変動した場合においても、ゴムローラ13は後輪タイヤ3Rの回転に追従し、後輪タイヤ3Rの移動量を正確に捉えることが可能となっている。
【0035】
この第2実施形態では、
図5(a)、
図5(b)の状態変更は、筐体24に設けられたハンドル24aを左右に操作することで手動で行うこととしている。このような手動による状態変更に変え、各種駆動機構を設け、運転席側からの指示に応じて状態変更を行うこととしてもよい。さらには、制御部11が、後述する載線処理の実行時において、この駆動機構に対して
図5(b)の状態となるように制御することとしてもよい。
【0036】
ゴムローラ13を後輪タイヤ3Rに接触させた状態で通常走行(載線工程以外の場所での走行)を行うことは、移動距離計測部を破損させる可能性があるとともに、軌陸車1の走行の妨げになる場合がある。前述したように、載線処理の実行に応じて駆動機構を制御することとすればよいが、駆動機構を有さない、あるいは、
図4の脱着機構の場合には、ゴムローラ13を後輪タイヤ3Rに接触させたまま通常走行を行う可能性がある。そのため、ゴムローラ13を後輪タイヤ3Rに接触させている状態である場合、制御部11はそれを検知することで、報知部Tに対して警告を報知させることが好ましい。
【0037】
例えば、
図4の場合では、移動距離計測部が取付状態にあることを検知するセンサを設けておき、載線処理の実行時以外で、移動距離計測部が取付状態となっている場合、表示部15a、スピーカ16等の報知部Tに対して警告を報知させることとなる。一方、
図5の場合では、移動距離計測部が
図5(b)の状態にあることを検知するセンサを設けておくことで、同様に警告を報知させることが可能となる。
【0038】
本実施形態の軌陸車載線支援装置は、線路の特徴的な断面形状を利用して、レール中心位置を割り出すこととしている。
図6は、踏切など軌陸車1の載線場所における線路の断面図を示したものである。線路は2本の第1レールR1、第2レールR2を有している。なお、ここでは軌陸車1が最初に通過するレールを第1レールR1、第1レールR1の次に通過するレールを第2レールR2と定義している。
図6の場合、軌陸車1は左から右側に通過することとなる。
【0039】
載線場所となる踏切などでは、車両走行時の衝撃を緩和するため、レール近傍の段差を抑えた構成が採用されている。具体的には
図6に示されるように第1レールR1と第2レールR2間に、第1ガードG1と第2ガードG2を有して構成されたレール高さと略同程度の高さを有する平坦な領域、並びに、第1レールR1、第2レールR2の外側に設けられたレール高さと略同程度の高さを有する領域が設けられている。本実施形態では、第1
レールR1と第1ガードG1の間に形成された凹み(第1凹み)、第2レールR2と第2ガードG2の間に形成された凹み(第2凹み)の形状を認識することで、第1レール内側位置P1、第2レール内側位置P2を特定し、レール中心位置Rcを検出することとしている。凹みの認識は、軌陸車1の移動に伴いレーザー式距離センサ14が移動することで行われる。いわば、レーザー式距離センサ14のセンサ計測位置14cをスキャンにより、凹みを含む路面形状が認識される。第1凹み、第2凹みの底部には、それぞれゴム製の第1凹みパッドB1、第2凹みパッドB2が敷設されている。
【0040】
本実施形態では、第1凹み、第2凹みの形状は、どちらも略同一形状であるため、凹みの幅H、凹みの深さDについて共通の条件で認識を行っている。
図6において軌陸車1は左側から右側にむかって進入してくることとなるが、レーザー式距離センサ14が計測する路面距離、移動距離計測部が計測する移動距離に基づき第1凹部が認識される。すなわち、軌陸車1の進行に伴い、制御部11は、第1レールR1の上面から第1凹部の底部までの立ち下がり変位(第1凹み深さD1に相当)を検出する。さらに、軌陸車1が進行すると第1凹みの底部から第1ガードG1までの立ち上がり変位(第1凹み深さに相当)を検出する。また、各変位間の走行距離によって第1凹み幅H1が検出される。
【0041】
検出された第1凹み深さD1、第1凹み幅H1が所定の条件を満足していた場合、この部分を第1凹みとして認識し、立ち下がり位置を第1レールR1の特徴位置である第1レール内側端位置P1として決定する。
【0042】
一方、第2ガードG2と第2レール間に位置する第2凹みについても同様であり、路面距離と移動距離に基づいて第2凹みが認識される。この場合、第2凹みの立ち上がり位置を第2レールR2の特徴位置である第2レール内側端位置P4として決定する。なお、第1凹み深さD1、第2凹み深さD2の検出条件は30mm以上であること、第1凹み幅H1、第2凹み幅H2の検出条件には60mm以上であることとしている。凹みを検出する条件は、後で説明する設定画面にて適宜変更することが可能である。
【0043】
第1レール内側位置端P1と第2レール内側端位置P4が検出されることで、この間の距離A、そして、その中間位置であるレール中心位置Rcが取得される。本実施形態は、このように各レール内側端位置を特徴位置として検出し、レール中心位置Rcが検出される。したがって、
図1のように線路が道路に対して傾斜して進入する場合や、線路がカーブしている場合、あるいは、線路種が異なる場合などのように第1レール内側位置端P1と第2レール内側端位置P4間の距離Aが異なる場合においても、柔軟にレール中心位置Rcを取得することが可能となっている。
【0044】
では、本発明の実施形態に係る軌陸車載線支援装置の載線工程を図を用いて説明する。
図7には、本発明の実施形態に係る載線工程を示す側面図が、
図8には本発明の実施形態に係る載線工程を示す上面図が順を追って示されている。各図において(a)〜(c)は軌陸車1が同じ位置での図となっている。ここでは
図7、
図8の符号(a)〜(c)を用いて説明する。
【0045】
図9は、本発明の実施形態に係る軌陸車載線支援装置の載線処理を示すフロー図である。踏切など軌陸車1の載線場所に近づいた場合、ドライバなどのユーザは、タッチパネル15bなどの入力部を操作して、載線処理を開始させる。
図12には、タッチパネルモニタ15の表示画面が示されているが、画面中に表示されている「スタート」ボタンを操作することで載線処理が開始される。このとき、前述したように移動距離計測部のゴムローラ13を後輪タイヤ3Rに接触状態とさせ、移動距離計測部にて移動距離を計測可能な状態にしておく。
【0046】
載線処理が開始されるとレーザー式距離センサ14が路面距離の計測を開始する(S101)。そして、ゴムローラ13を含む移動距離計測部が軌陸車1の移動距離を計測開始する(S102)。計測された路面距離、移動距離は対応付けられ、制御部11内の記憶部に順次、記憶されていく。制御部11は、軌陸車1が所定の移動距離を移動する毎(例えば、1mm刻み)に、レーザー式距離センサ14から路面距離を取得して記憶する。なお、軌陸車1が後退した場合、記憶している移動距離、路面距離を更新することとしてもよい。
【0047】
次に、転車台中心Gをレール中心位置Rcに位置させる移動距離(目標距離)を算出するための目標距離算出処理(S200)が実行される。
図10には、この目標距離算出処理のフロー図が示されている。この目標距離算出処理では、軌陸車1の進行に伴って、第1レールR1側の第1凹みの検出が開始される(S201)。
図12(a)には、第1凹みを探索中の表示部15aの表示画面が示されている。
【0048】
図7(a)、
図8(a)には、制御部11にて第1凹みを検出し始めたたときの状態、すなわち、レーザー式距離センサ14にて第1凹みの立ち下がり位置を計測している状態が示されている。制御部11は、予め設定されている凹み幅H、凹み深さD等に基づいて、第1凹みの立ち下がり位置であるP1と立ち上がり位置であるP2を検出する(S202)ことで第1凹みを認識し、第1凹みの立ち下がり位置を第1レール内側端位置P1として検出する。
【0049】
第1凹みの検出後、第2レールR2の内側に位置する第2凹みの検出が開始される(S203)。
図7(b)、
図8(b)には、レーザー式距離センサ14にて第2凹みの立ち上がり位置を計測している状態が示されている。制御部11は、予め設定されている凹み幅H、凹み深さD等に基づいて、第2凹みの立ち下がり位置であるP3と立ち上がり位置であるP4を検出する(S204)ことで第2凹みを認識し、第2凹みの立ち上がり位置を第2レール内側端位置P4として検出する。なお、第2凹みを探索する際、タッチパネルモニタ15には、
図12(a)と同様の画面において「第2レール探索中」の文字が表示されることとなる。
【0050】
第1レール内側端位置P1、第2レール内側位置端P4の検出に基づいて、レール間の内側距離Aが算出される(S205)。距離Aは、軌陸車1の進行方向に対するレール間の距離であるため、
図8に示されるように軌陸車1が線路に対して傾斜して侵入する場合においてもレール中心位置Rcを特定することが可能である。
【0051】
取得されたレール間の内側距離A、そして、予め分かっているレーザー式距離センサ14の計測位置14cと転車台中心G間の距離Bに基づいて目標距離Dが算出される(S206)。本実施形態では、この目標距離Dの起点を
図7(b)に示す第2レール内側端位置P4としているが、目標距離Dの起点を第1レール内側端位置P1に設定するなど、適宜箇所としてもよい。本実施形態の目標距離Dは、転車台中心Gをレール中心位置Rcに位置させるため、
図7(b)に示される位置から軌陸車1を進行(前進)させた距離となる。
【0052】
図7(c)、
図8(c)には、転車台中心Gとレール位置中心Rcが一致したときの状態が示されている。本実施形態のように目標距離Dの起点を第2レール内側端位置P4とした場合、目標距離Dは、計算式 D=B−A/2 にて算出される。ここで、レールの内側距離Aは
図7(b)、
図8(b)の段階で取得済みであるとともに、距離Bは予め制御部11にて設定された値である。
【0053】
目標距離算出処理(S200)によって目標距離Dが算出されると、この目標距離Dを
使用した転車台軸合わせ処理(S300)が実行される。
図11には本実施形態の転車台軸合わせ処理のフロー図が示されている。
【0054】
転車台軸合わせ処理が開始されると、移動距離計測部は、センサ計測値14cが第2レール内側端位置P4に位置したときからの移動距離Cの計測を行う(S301)。
図12(b)には、|C−D|が40cm以上のときのタッチパネルモニタ15の画面が示されている。画面中、右側には、目標距離Dまでの距離が数値で報知されている。
【0055】
一方、|C−D|が40cmよりも小さい場合には、S303〜S310に示される視覚的、聴覚的に報知を行う処理が実行される。本実施形態では、|C−D|が40cmよりも小さい場合(S301)において、タッチパネルモニタ15に矢印を表示(S302)させ、ユーザに対して視覚的に目標距離Dまでの距離が報知される。
図12(c)には、|
C−D|が40cmより小さいときのタッチパネルモニタ15の画面が示されている。画
面中、距離を横軸に目盛ったメータ中に、目標距離Dまでの距離が下向きの矢印で示されている。図の例では、目標距離Dに達するまで22.4cm前進させる必要があることが報知されている。更に、同時にスピーカ16から第1警報音を鳴らす聴覚的な報知が実行される(S303)。本実施形態では第1警報音に間欠的に鳴動するブザー音を使用している。
【0056】
|C−D|が20cmに接近した際(S304)には、スピーカ16から第2報知音を鳴らす聴覚的な報知が実行される(S305)。本実施形態では第1報知音よりも間欠間隔の短いブザー音を使用している。
【0057】
|C−D|が1.5cmに接近した際(S306)には、転車台中心Gとレール中心Rcの位置合わせが完了したことを知らせる第3報知音が鳴動される(S307)。軌陸車1の載線工程は、誤差約3cm以内であれば、軌陸車1をレール上に乗せることが可能であるため、本実施形態では、誤差1.5cm以内であれば位置合わせが完了したこととしている。また、本実施形態では、第3報知音に連続的なブザー音を使用している。そして、本実施形態では、|C−D|が1.5cmよりも小さい時間が継続した場合(S308)、第3報知音の鳴動を停止させることとしている(S309)。
【0058】
以上、本実施形態に係る軌陸車載線支援装置を使用した載線処理について説明したが、本実施形態の載線処理によれば、簡易な構成の軌陸車載線支援装置にて、軌陸車1の転車台中心Gとレール中心Rcの位置合わせを容易に行うことが可能である。
【0059】
位置合わせの完了後、ユーザは転車台5を下降させて軌陸車1を持ち上げた状態とし、転車台5を回転させることで、軌道走行用車輪とレールを位置合わせする。その後、転車台5を上昇させて、軌陸車1をレール上に載置する。この載線工程が終了後、移動距離計測部のゴムローラ13は、後輪タイヤ3Rから離間した状態とされ、一連の作業工程が終了する。
【0060】
図7、
図8で説明した載線工程においては、載線場所となる踏切などにおいて、最初に跨ぐ線路を想定していたが、実際の載線場所では複線、複々線のように複数の線路が設置されていることが想定される。このような載線場所における載線工程は、軌陸車1が2番目以降に跨ぐ線路に対して軌陸車1を載線することが考えられる。
【0061】
このような場合、前述した実施形態の軌陸車載線支援装置では、最初に渡る線路に対しても載線処理を実行することとなるが、以下のような構成とすることで2番目以降に渡る線路に対しても載線処理を行うことが可能となる。
【0062】
具体的には、
図9に示される載線処理において、目標距離算出処理S200を終えた後、さらに、軌陸車1が前進し、新たな第1凹みと第2凹みを検出した場合、新たな第1凹みと第2凹みに基づいて目標距離Dを算出し、最初の線路に対して算出した目標距離Dに代えて、転車台軸合わせ処理S300を実行することとなる。このような処理を行うことで、新たに通過した線路に対して載線工程を実施することが可能となる。軌陸車1を運転するドライバーは、どの線路に対して載線するか、予め分かっているため、載線対象となる線路を目視で確認し、通過することで、当該線路に対して載線工程を実施することが可能となる。
【0063】
本実施形態の軌陸車載線支援装置では、タッチパネルモニタ15にて各種設定を行うことが可能となっている。この軌陸車載線支援装置における各種設定項目について、図を用いて説明しておく。
【0064】
図13(a)(第1の設定画面)に示す設定画面では、使用する移動距離計測部について、「ローラ外径(直径)」、「ローラ周のパルス数」の各項目について設定可能となっている。「ローラ外径(直径)」は、使用するゴムローラ13(ローラ)の直径である。また、「ローラ周のパルス数」は、使用するエンコーダ12が一周回転する毎に出力するパルス数である。これらの設定は、移動距離計測部の変更などに応じて設定され、移動距離の検出に使用される。なお、各設定項目は、数値枠をタッチ操作することで、タッチパネルモニタ15に表示されるテンキーパネルを介して数値入力することが可能である。「ローラ外し忘れ検出速度」は、移動距離計測部のゴムローラ13を後輪タイヤ3Rに接触させたまま通常走行することを防止するための設定項目である。軌陸車1が、ゴムローラ13を後輪タイヤ3Rに接触させたまま、ローラ外し忘れ検出速度を超過して走行した場合、軌陸車1のドライバーに対して聴覚的もしくは視覚的な警告が報知される。
【0065】
図13(b)(第2の設定画面)は、「オートパワーオフ時間」、「ブザーON時間」、「第2ブザーオフ設定」、「第1ブザーオフ設定」を設定可能としている。「オートパワーオフ時間」は、軌陸車載線支援装置を起動してから、電源オフもしくは休止状態とするまでの時間である。「ブザーON時間」は、第3報知音のブザー鳴動時間であり、「第2ブザーオフ設定」は、第1報知音のブザー鳴動時間であり、「第1ブザーオフ設定」は、第2報知音のブザー鳴動時間である。
【0066】
図13(c)(第3の設定画面)に示す設定画面では、「載線位置ブザー時間」、「凹み深さ」、「凹み幅」、「凹み検出終了位置」を設定可能としている。「載線位置ブザー時間」は、
図11中、S309の判定に使用される所定時間であり、第3報知音(載線位置ブザー)を鳴動させる時間を設定可能としている。「凹み深さ」は、
図6で説明した、第1及び第2凹みの深さD1、D2を設定可能としている。本実施形態では、第1凹み、第2凹みを同じ凹みとして認識するため、D1、D2は共通の値として設定される。「凹み幅」は、
図6で説明した、第1、第2凹み幅H1、H2を設定可能としている。凹み深さと同様、H1、H2は共通の値として設定される。「凹み検出終了位置」は、第1凹みを検出してから第2凹みを検出するまでの最大移動距離を設定可能としている。
【0067】
図13(d)(第4の設定画面)に示す設定画面では、「センサ−転車台距離」、「第2載線位置接近距離」、「第1載線位置接近距離」、「載線位置OK幅」を設定可能としている。「センサ−転車台距離」は、
図7、
図8で説明した軌陸車1が直進する方向における距離センサ14と転車台中心Gとの間の距離Bである。「第2載線位置接近距離」、「第1載線位置接近距離」、「載線位置OK幅」は、報知を行う判定距離を設定する項目であり、順番に、
図11中、S301(40cm)、S304(20cm)、S306(1.5cm)における判定距離を設定可能としている。
【0068】
以上、
図13(a)〜(d)に示される設定画面にて、軌陸車載線支援装置、及び、その載線処理に関する各種設定を変更することが可能となっている。
【0069】
なお、本発明はこれらの実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。