(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る止水部材引延治具を示す斜視図である(その1)。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る止水部材引延治具を示す斜視図である(その2)。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る止水部材引延治具を示す斜視図である(その3)。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る止水部材引延治具の動きを示す斜視図である(その1)。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る止水部材引延治具の動きを示す斜視図である(その2)。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る止水部材引延治具の動きを示す斜視図である(その3)。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係る止水部材引延治具を示す斜視図である(その1)。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る止水部材引延治具を示す斜視図である(その2)。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る止水部材引延治具を示す斜視図である(その3)。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る止水部材引延治具の動きを示す斜視図である(その1)。
【
図11】
図11は、第2実施形態に係る止水部材引延治具の動きを示す斜視図である(その2)。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係る止水部材引延治具の動きを示す斜視図である(その3)。
【
図13】
図13は、第2実施形態に係る止水部材引延治具の動きを示す斜視図である(その4)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明に係る止水部材引延治具の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0016】
[第1実施形態]
(止水部材引延治具の構成)
まず、第1実施形態に係る止水部材引延治具1の構成について、図面を参照しながら説明する。
図1〜
図3は、第1実施形態に係る止水部材引延治具1を示す斜視図である。
【0017】
図1〜
図3に示すように、止水部材引延治具1は、複数本の電線束(以下、ワイヤハーネスWH(
図4〜
図6参照))の外周に巻き付けられて粘性が高く且つ押圧力によって塑性変形する止水部材(以下、ブチルゴムシートB(
図4〜
図6参照))をワイヤハーネスWHの長手方向LDに引き延ばすものである。
【0018】
この止水部材引延治具1は、回転支持部としての枢軸30によって回転自在に支持される一対の操作ロット10,20を備えている。なお、枢軸30は、操作ロット10,20の長手方向の中央よりも後述する挟持押圧部11,21側(先端側)へずれた位置に設けられている。
【0019】
操作ロット10,20は、長尺板状に形成されている。操作ロット10,20は、枢軸30の一方側(先端側)に設けられ、ワイヤハーネスWHの外周形状に沿った形状の押圧面11A,21Aを有する挟持押圧部11,21と、枢軸30の他方側(後端側)に設けられた把持部12,22とを備えている。
【0020】
挟持押圧部11,21は、操作ロット10,20に取り付けられた回転軸13,23を中心に回転するローラ14,24によって構成されている。ローラ14,24の外周面は、回転軸13,23側にへこんだ湾曲状に形成されており、上述した押圧面11A,21Aを構成している。
【0021】
この押圧面11A,21Aは、ワイヤハーネスWHを互いに対向して挟むことが可能なように、互いに対向した位置となるように配置されている。つまり、ローラ14は、
図2及び
図3に示すように、操作ロット10に接した状態で配置されており、一方、ローラ24は、操作ロット10の厚み分、操作ロット20から離間した状態で配置されている。
【0022】
ここで、操作ロット10,20の枢軸30よりも挟持押圧部11,21側(押圧部側領域)は、操作ロット10,20の枢軸30よりも把持部12,22側(把持部側領域)に対して所定角度α,β(
図2及び
図3参照)で屈曲している。
【0023】
把持部12,22は、作業者が把持する部分となっており、作業者により互いの間隔を狭める方向或いは広がる方向に移動可能である。
【0024】
一方の把持部12には、他方の把持部22に向かって突出し、把持部22の一部(後述する間隔過小防止部40)に当接する当接部分12Aが設けられている。
【0025】
他方の把持部22には、操作ロット20の長手方向の直交方向に沿って突出した突出部分22Aが設けられている。この突出部分22Aには、操作ロット20の直交方向に沿った長孔22Bが形成されている。長孔22Bには、当接部分12Aと当接する間隔過小防止部40が取り付けられている。間隔過小防止部40は、ボルトやナットなどの締結部材によって構成されている。
【0026】
間隔過小防止部40は、挟持押圧部11,21が互いの間隔が狭くなる方向に移動し過ぎることを防止するために、一対の操作ロット10,20の回転を規制している。なお、間隔過小防止部40の長孔22Bに対する位置は、ワイヤハーネスWHの径(いわゆる、外周サイズ)によって調整できる。
【0027】
(止水部材引延治具の動き)
次に、上述した止水部材引延治具1の動きについて、図面を参照しながら説明する。
図4〜
図6は、第1実施形態に係る止水部材引延治具1の動きを示す斜視図である。
【0028】
まず、
図4に示すように、作業者は、ワイヤハーネスWHの外周に巻き付けられたブチルゴムシートBに止水部材引延治具1の一対のローラ14,24側を近づける。そして、
図5及び
図6に示すように、作業者は、止水部材引延治具1の一対のローラ14,24間に、ブチルゴムシートBが巻き付けられたワイヤハーネスWHを挿入する。
【0029】
次いで、作業者が把持部12,22を握って互いの間隔を狭める方向に移動させると、枢軸30を中心に各操作ロット10,20が揺動し、ローラ14,24が互いの間隔を狭める方向に移動する。これにより、ローラ14,24がブチルゴムシートBを挟持することによって、押圧面11A,21A(すなわち、ローラ14,24の外周)でブチルゴムシートBを押圧する。
【0030】
次いで、作業者は、押圧面11A,21AによりブチルゴムシートBを押圧した状態で、ワイヤハーネスWHの長手方向LD(
図6参照)に沿って止水部材引延治具1を移動させ、ワイヤハーネスWHの外周にブチルゴムシートBを引き延ばす。このとき、把持部12の当接部分12Aと把持部22の長孔22Bに取り付けられた間隔過小防止部40とが当接することによって、ブチルゴムシートBを押圧し過ぎることを防止できる。
【0031】
(作用・効果)
以上説明した第1実施形態では、一対の把持部12,22が互いの間隔を狭める方向に移動すると、一対の把持部12,22が互いの間隔を狭める方向に移動し、一対の押圧面11A,21AがブチルゴムシートBを押圧する。これにより、作業者は、ブチルゴムシートBに直接触れることなく、止水部材引延治具1をワイヤハーネスWHの長手方向LDに移動するだけで、ブチルゴムシートBをワイヤハーネスWHの長手方向LDに容易に引き延ばすことができる。
【0032】
また、ブチルゴムシートの硬度が高い場合であっても、このような止水部材引延治具1を用いることで、手作業と比較して、作業効率が向上する。その上、作業者がブチルゴムシートBに直接触れずに済み、作業者の手が汚れ難くなるとともに、ブチルゴムシートBへ汚れ等が付着することをも防止できる。
【0033】
第1実施形態では、枢軸30が操作ロット10,20の長手方向の中央よりも挟持押圧部11,21側へずれた位置に設けられている。すなわち、止水部材引延治具1は、てこの原理を利用している。これにより、枢軸30が操作ロット10,20の長手方向の中央に設けられる場合と比較して、作業者が少ない力で押圧面11A,21AによりブチルゴムシートBを押圧したり引き延ばしたりすることができる。
【0034】
第1実施形態では、各挟持押圧部11,21がローラ14,24によって構成されている。これにより、より簡単な構成で、コスト高を招くことなく、上述した効果を実現できる。特に、押圧面11A,21Aが回転軸13,23側にへこんだ湾曲状のローラ14,24の外周面であることで、ローラ14,24の外周面が単に平面状に形成される場合と比較して、ブチルゴムシートBをより均一に引き延ばすことができる。
【0035】
第1実施形態では、把持部12の当接部分12Aと、把持部22の長孔22Bに取り付けられた間隔過小防止部40とが当接する。これにより、押圧面11A,21AがブチルゴムシートBを押圧し過ぎることを防止でき、ブチルゴムシートBの径が最小以下のサイズになることを防止できる。
【0036】
第1実施形態では、操作ロット10,20の枢軸30よりも挟持押圧部11,21側(押圧部側領域)は、操作ロット10,20の枢軸30よりも把持部12,22側(把持部側領域)に対して屈曲している。これにより、押圧面11A,21AによりブチルゴムシートBを押圧している際、把持部12,22(すなわち、作業者の手)がワイヤハーネスWHに接触してしまうことを防止できる。
【0037】
[第2実施形態]
(止水部材引延治具の構成)
まず、第2実施形態に係る止水部材引延治具2の構成について、図面を参照しながら説明する。
図7〜
図9は、第2実施形態に係る止水部材引延治具2を示す斜視図である。なお、上述した第1実施形態に係る止水部材引延治具1と同一部分には同一の符号を付して、相違する部分を主として説明する。
【0038】
第2実施形態に係る止水部材引延治具2は、上述した第1実施形態に係る止水部材引延治具1の操作ロット10,20の形状や、挟持押圧部11,21及び把持部12,22の構成が異なっている。
【0039】
具体的には、
図7〜
図9に示すように、止水部材引延治具2は、枢軸30によって回転自在に支持される一対の操作ロット10,20を備えている。なお、第2実施形態では、操作ロット10(10A,10B),20は、長尺板状に形成されている。
【0040】
具体的には、一方の操作ロット10は、2つの操作ロット10A,10Bによって構成されており、これらの操作ロット10A,10B間に他方の操作ロット20が挿入されるようになっている。
【0041】
これらの操作ロット10(10A,10B),20は、枢軸30の一方側(先端側)に設けられ、ワイヤハーネスWHの外周形状に沿った形状の押圧面11B,21Bを有する挟持押圧部11,21と、枢軸30の他方側(後端側)に設けられた把持部12,22とを備えている。
【0042】
挟持押圧部11,21は、ワイヤハーネスWHの外周に沿った湾曲状に形成された押圧爪15,25によって構成されている。押圧爪15,25には、上述した押圧面11B,21Bが一体に形成されている。押圧面11B,21Bは、各押圧爪15,25の中間部位に形成されており、一対の押圧爪15間の隙間(スリット)に、押圧爪25が挿入可能となっている。
【0043】
一方の把持部12には、他方の把持部22から離れた方向に突出する突出部分12Bが設けられている。この突出部分12Bには、操作ロット20の直交方向に沿った長孔12Cが形成されている。長孔12Cには、間隔過小防止部40が取り付けられている。
【0044】
間隔過小防止部40の周囲には、操作ロット10A,10B間に配置されたスペーサ60が設けられている。このスペーサ60は、操作ロット10A,10Bの一対の把持部12を離間させた状態で支持し、一対の把持部12間に挿入された把持部22と当接可能となっている。
【0045】
ここで、第2実施形態では、操作ロット20の挟持押圧部21側には、操作ロット10(10A,10B)の側縁と当接する間隔過大防止部50が設けられている。間隔過大防止部50は、ボルトやナットなどの締結部材によって構成されている。間隔過小防止部40は、間隔過小防止部40とは逆に、挟持押圧部11,21が互いの間隔が広がる方向に移動し過ぎることを防止するために、一対の操作ロット10,20の回転を規制している。
【0046】
(止水部材引延治具の動き)
次に、上述した止水部材引延治具2の動きについて、図面を参照しながら説明する。
図10〜
図13は、第2実施形態に係る止水部材引延治具2の動きを示す斜視図である。
【0047】
まず、
図10に示すように、作業者は、ワイヤハーネスWHの外周に巻き付けられたブチルゴムシートBに止水部材引延治具2の一対の押圧爪15,25側を近づける。そして、
図11に示すように、押圧爪25をブチルゴムシートBに引っ掛ける。
【0048】
次いで、
図12及び
図13に示すように、作業者が把持部12,22を握って互いの間隔を狭める方向に移動させると、枢軸30を中心に各操作ロット10,20が揺動し、押圧爪15,25が互いの間隔を狭める方向に移動する。これにより、押圧爪15,25がブチルゴムシートBを挟持することによって、押圧面11B,21BでブチルゴムシートBを押圧する。
【0049】
次いで、作業者は、押圧爪15,25や押圧面11B,21BのブチルゴムシートBへの押圧を多少緩めり(
図12参照)しながら、ワイヤハーネスWHの長手方向LDに沿って止水部材引延治具2を移動させ、ワイヤハーネスWHの外周にブチルゴムシートBを引き延ばす。
【0050】
このとき、把持部22の側縁と把持部12の間隔過小防止部40の周囲を覆うスペーサ60とが当接することによって、ブチルゴムシートBを押圧し過ぎることを防止できる。
【0051】
(作用・効果)
以上説明した第2実施形態では、上述した第1実施形態の作用効果と同様に、作業者は、ブチルゴムシートBに直接触れることなく、止水部材引延治具2をワイヤハーネスWHの長手方向LDに操作移動するだけで、ブチルゴムシートBをワイヤハーネスWHの長手方向LDに容易に引き延ばすことができる。
【0052】
第2実施形態では、挟持押圧部11,21が押圧爪15,25によって構成されている。これにより、より簡単な構成で、コスト高を招くことなく、上述した効果を実現できる。特に、押圧面11B,21Bが押圧爪15,25と一体に形成されていることで、ブチルゴムシートBをより均一に引き延ばすことができる。
【0053】
第2実施形態では、把持部22の側縁と把持部12の間隔過小防止部40の周囲を覆うスペーサ60とが当接する。これにより、これにより、押圧面11B,21BがブチルゴムシートBを押圧し過ぎることを防止でき、ブチルゴムシートBの径が最小以下のサイズになることを防止できる。なお、把持部22は、必ずしもスペーサ60に当接する必要はなく、スペーサ60がない場合には間隔過小防止部40に直接当接してもよい。
【0054】
第2実施形態では、操作ロット20の挟持押圧部21側には、間隔過大防止部50が設けられている。これにより、挟持押圧部11,21が互いの間隔が広がる方向に移動し過ぎる(広がり過ぎる)ことを防止できる。
【0055】
[その他の実施形態]
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0056】
例えば、本発明の実施形態は、次のように変更することができる。具体的には、ワイヤハーネスWHに巻き付けられる止水部材としては、ブチルゴムシートBであるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、粘性が高く且つ押圧力によって塑性変形する材料であればよい。
【0057】
また、枢軸30は、操作ロット10,20の長手方向の中央よりも挟持押圧部11,21側(先端側)へずれた位置に設けられるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、互いの中間位置(挟持押圧部11,21と把持部12,22との間)に設けられていればよく、例えば、操作ロット10,20の長手方向のほぼ中間に設けられていてもよい。
【0058】
また、操作ロット10,20には、間隔過小防止部40や間隔過大防止部50が設けられているものとして説明したが、これに限定されるものではなく、間隔過小防止部40や間隔過大防止部50が設けられていなくてもよい。
【0059】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められる。