特許第5986904号(P5986904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5986904
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】半導体発光素子アレイおよび車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/08 20100101AFI20160823BHJP
   F21S 8/10 20060101ALI20160823BHJP
   F21W 101/10 20060101ALN20160823BHJP
   F21Y 115/00 20160101ALN20160823BHJP
【FI】
   H01L33/08
   F21S8/10 150
   F21W101:10
   F21Y115:00
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-254922(P2012-254922)
(22)【出願日】2012年11月21日
(65)【公開番号】特開2014-103288(P2014-103288A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2015年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 敬四郎
(74)【代理人】
【識別番号】100141302
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 伸一
(72)【発明者】
【氏名】千野根 崇子
(72)【発明者】
【氏名】宮地 護
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 竜舞
(72)【発明者】
【氏名】赤木 孝信
(72)【発明者】
【氏名】河合 良介
【審査官】 林 祥恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−227230(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/125311(WO,A1)
【文献】 特開2005−064412(JP,A)
【文献】 特開2010−153814(JP,A)
【文献】 特開2010−157716(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0297972(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板、および、該支持基板上に配列され、相互に隣接する第1および第2の半導体発光素子を含む複数の半導体発光素子、を備える半導体発光素子アレイであって、
前記支持基板の表面は、
第1の導電領域と、
前記第1の導電領域と間隔を空けて設けられる第2の導電領域と、
前記第1の導電領域と前記第2の導電領域との間に設けられ、該第1の導電領域とは電気的に導通し、該第2の導電領域とは絶縁領域を介して形成される第3の導電領域と、
を含み、
前記第1の半導体発光素子は、
前記第1の導電領域上に配置され、該第1の導電領域と電気的に導通する第1の下側電極と、
前記第1の下側電極上に配置される第1の光半導体積層と、
前記第1の光半導体積層上に選択的に配置される第1の上側電極と、
を含み、
前記第2の半導体発光素子は、
前記第2の導電領域上に配置され、該第2の導電領域と電気的に導通する第2の下側電極と、
前記第2の下側電極上に配置され、前記支持基板の第3の導電領域上方に張り出す張り出し部、および、該張り出し部を貫通し、前記第3の導電領域を覗く穴部を有する第2の光半導体積層と、
前記第2の光半導体積層上に選択的に配置され、前記穴部を通って、前記支持基板の第3の導電領域と電気的に接続する第2の上側電極と、
を含む、
半導体発光素子アレイ。
【請求項2】
前記第2の半導体発光素子は、さらに、前記張り出し部と前記第3の導電領域との間に配置される電気絶縁層と、を含み、
前記第2の光半導体積層の穴部は、前記張り出し部および前記電気絶縁層を貫通するように形成されている請求項1記載の半導体発光素子アレイ。
【請求項3】
前記穴部は、前記支持基板に向かって徐々に、開口面積が小さくなるように形成されている請求項2記載の半導体発光素子アレイ。
【請求項4】
前記第2の半導体発光素子は、さらに、前記穴部の内側面を覆う絶縁性保護膜と、を含み、
前記第2の上側電極は、前記絶縁性保護膜の表面を覆うように形成されて、前記第3の導電領域と電気的に接続する請求項3記載の半導体発光素子アレイ。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか1項記載の半導体発光素子アレイと、
前記半導体発光素子アレイの照射像を所定の配光形状で照射する光学系と、
を有する車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子アレイ、およびそれを用いた車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
GaN(ガリウム・窒素)等の窒化物半導体を用いた半導体発光素子(LED)は、紫外光ないし青色光を発光することができ、さらに蛍光体を利用することにより白色光を発光することができる。このような半導体発光素子は、たとえば照明などに用いられる。高い光出力が求められる照明、たとえば車両用灯具に半導体発光素子を用いる場合、発熱の抑制ないし輝度ムラの均一化の観点から、一般的に、複数の半導体発光素子を電気的に直列に接続して用いる(直列接続型半導体発光素子アレイ)。
【0003】
直列接続型半導体発光素子アレイは、支持基板上に複数の半導体発光素子が配列した構成を備える。半導体発光素子は、少なくともp型半導体層、発光のための活性層(発光層)、および、n型半導体層が積層する構成を備える。複数の半導体発光素子各々は、たとえばp型半導体層が支持基板側(下面)になり、n型半導体層が支持基板とは反対側(上面)になるように形成される。また、相互に隣接する半導体発光素子において、一方の半導体発光素子の上面(n型半導体層)と、他方の半導体発光素子の下面(p型半導体層)と、を電気的に接続する配線層が形成される。
【0004】
隣接する半導体発光素子間を電気的に接続する配線層は、たとえば、一方の半導体発光素子の側方、および、隣接する半導体発光素子との間から覗く支持基板の上方を這うように形成される。配線層が形成される領域には、一般に凹凸構造が存在しうる(たとえば特許文献1)。この凹凸構造は、配線層の断線を誘引し、半導体発光素子アレイの信頼性を低下させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7985970号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来よりも信頼性が高く、また、発光分布が均一な半導体発光素子アレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の主な観点によれば、支持基板、および、該支持基板上に配列され、相互に隣接する第1および第2の半導体発光素子、を含む半導体発光素子アレイであって、前記支持基板の表面は、第1の導電領域と、前記第1の導電領域と間隔を空けて設けられる第2の導電領域と、前記第1の導電領域と前記第2の導電領域との間に設けられ、該第1の導電領域とは電気的に導通し、該第2の導電領域とは絶縁領域を介して形成される第3の導電領域と、を含み、前記第1の半導体発光素子は、前記第1の導電領域上に配置され、該第1の導電領域と電気的に導通する第1の下側電極と、前記第1の下側電極上に配置される第1の光半導体積層と、前記第1の光半導体積層上に選択的に配置される第1の上側電極と、を含み、前記第2の半導体発光素子は、前記第2の導電領域上に配置され、該第2の導電領域と電気的に導通する第2の下側電極と、前記第2の下側電極上に配置され、前記支持基板の第3の導電領域上方に張り出す張り出し部、および、該張り出し部を貫通し、前記第3の導電領域を覗く穴部を有する第2の光半導体積層と、前記第2の光半導体積層上に選択的に配置され、前記穴部を通って、前記支持基板の第3の導電領域と電気的に接続する第2の上側電極と、を含む、半導体発光素子アレイ、が提供される。
【発明の効果】
【0008】
従来よりも信頼性が高く、また、発光分布が均一な半導体発光素子アレイを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1A図1Cは、第1の参考例による半導体発光素子アレイを示す平面図および断面図である。
図2図2Aおよび図2Bは、第2の参考例による半導体発光素子アレイを示す平面図および断面図である。
図3-1】および、
図3-2】図3A図3Dは、第3の参考例による半導体発光素子アレイを示す平面図および断面図である。
図4図4A図4Cは、実施例による半導体発光素子アレイを示す平面図および断面図である。
図5-1】、
図5-2】、
図5-3】および、
図5-4】図5A図5Nは、実施例による半導体発光素子アレイを製造する様子を示す断面図である。
図6図6A図6Cは、実施例による半導体発光素子アレイの変形例を示す平面図および断面図である。
図7図7Aおよび図7Bは、実施例による半導体発光素子アレイを組み込んだ車両用灯具(ヘッドランプ)の構成を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1Aは、第1の参考例による半導体発光素子アレイ(LEDアレイ)200を示す概略平面図である。なお、図中に示す各構成の相対的なサイズは、実際のものとは異なっている。
【0011】
第1の参考例によるLEDアレイ200は、支持基板210と、支持基板210上に配列する、たとえば4つの半導体発光素子(LED素子)201とを含む構成である。LEDアレイ200は、たとえば、LED素子が配列する方向の幅が6000μm、その方向と直交する方向の幅が1000μmの矩形状である。
【0012】
個々のLED素子201は、n型およびp型のGaN系半導体を含む光半導体積層202を含み、光半導体積層202のn型半導体が第1電極208と電気的に接続し、光半導体積層202のp型半導体が第2電極211と電気的に接続する。所定のLED素子201の第1電極208は、その隣接するLED素子の第2電極211と電気的に接続する。これにより、複数のLED素子201は、電気的に直列に接続される。直列接続する複数のLED素子201には、支持基板210の両端部に配置された給電パッド215,216を介して、電力が供給される。
【0013】
図1Bおよび図1Cは、LEDアレイ200の一部を示す拡大平面図、および、図1Bに示すLEDアレイ200のIB−IB断面を示す断面図である。以下では、支持基板210上に配列する複数のLED素子のうち、所定のLED素子(第1のLED素子201a)、および、それに隣接するLED素子(第2のLED素子201b)の構成について説明する。ただし、第1および第2のLED素子以外のLED素子についても、同様の構成を有しているものとする。
【0014】
第1および第2のLED素子201a,201bは、図1Bに示すように、たとえば、複数のLED素子が配列する方向に延在する矩形状の平面形状を有している。LED素子の寸法は、たとえば、複数のLED素子が配列する方向の幅が1400μmであり、その方向と直交する方向の幅が900μmである。第1電極208は、たとえば、複数のLED素子が配列する方向に延在し、その方向と直交する方向に複数配列する構成を有する。
【0015】
第1および第2のLED素子201a,201b各々は、図1Cに示すように、p型GaN層224,活性層223およびn型GaN層222からなるGaN系光半導体積層202と、光半導体積層202の裏面(p型GaN層224側、支持基板210側ないし図面下側)に形成されたp側電極203と、p側電極203と同一平面上に並んで形成されたエッチストップ層204と、光半導体積層202の表面(n型GaN層222側、支持基板210の反対側ないし図面上側)に選択的に形成されたn側電極(第1電極)208と、を有している。なお、図中において、第2のLED素子201bの各構成の符号は、便宜的に省略している。
【0016】
エッチストップ層204は、LED素子(ないしLEDアレイ)の製造工程において、エッチストッパとして機能する層である。エッチストップ層204は、電気絶縁性を有する。
【0017】
第1および第2のLED素子201a,201b(ないし光半導体積層202)は、それらの側面が支持基板210に向かって徐々に、隣接するLED素子に近づくような断面形状を有している。このような形状を、順テーパ形状と呼ぶこととする。
【0018】
第1および第2のLED素子201a,201b各々は、表面に絶縁膜209が形成された支持基板210上に、第1の接着層205および第2の接着層206からなる融着層212を介して、支持される。融着層212は、電気伝導性を有し、p側電極203と電気的に導通する。
【0019】
ここで、第1のLED素子201aと支持基板210とを融着し、第1のLED素子201aを支持する融着層212の領域を、第1の導電領域212aと呼ぶこととする。また、第2のLED素子201aと支持基板210とを融着し、第2のLED素子201bを支持する融着層212の領域を、第2の導電領域212bと呼ぶこととする。第1の導電領域212aと、第2の導電領域212bとの間には溝領域213が形成されており、第1および第2の導電領域212a,212bは、直接的には電気的に絶縁されている。第1の導電領域212aは、平面視において、第2のLED素子201b側に、第1のLED素子201aからはみ出す露出領域(第2電極)211を有している。
【0020】
第1および第2のLED素子201a,201bの側面(ないしそれらの光半導体積層202およびエッチストップ層204の側面)、第1および第2の導電領域212a,212bの側面、および、溝領域213の底面(ないし第1および第2の導電領域212a,212bの間に露出する支持基板210の表面)には、露出領域211を除いて、電気絶縁性を有する保護膜207が形成されている。さらに、保護膜207の表面には、配線電極214が形成されている。配線電極214は、溝領域213を跨いで、第2のLED素子201bのn側電極208と、第1の導電領域212aの露出領域211(つまり、第1のLED素子201aのp側電極203)と、を電気的に接続する。これにより、第1および第2のLED素子201a,201bは、電気的に直列に接続される。
【0021】
第1および第2のLED素子201a,201b(それらの光半導体積層202およびエッチストップ層204)および融着層12の側面(第1および第2の導電領域212a,212bの側面ないし溝部213の内側面)において、それらを構成する各層の境界には段差が形成されうる。保護膜207を介して、第1および第2のLED素子201a,201bおよび融着層212の側面を伝う配線電極214は、各層の境界に形成されうる段差で生じるストレスなどにより、破断・断線を引き起こす可能性がある。このため、配線電極214が形成される領域には、できるだけ段差が少なくなるよう設計することが望ましい。より言えば、配線電極214が、溝領域213を跨がずに、第2のLED素子201bのn側電極208と第1のLED素子201aのp側電極とを電気的に接続する構造であることが好ましい。また、配線電極214の配線距離が長い場合、配線電極214の抵抗成分が大きくなり、配線電極214による電圧降下が大きくなるという問題も生じうる。このため、配線電極214の配線距離は、できるだけ短くなるよう設計することが望ましい。
【0022】
図2Aおよび図2Bは、第2の参考例によるLEDアレイ300の一部を示す概略平面図、および、図2Aに示すLEDアレイ300のIIB−IIB断面を示す断面図である。以下、図2Aおよび図2Bを参照しながら、第2の参考例によるLEDアレイの構成について、第1の参考例によるLEDアレイとの差異を主に説明する。
【0023】
第2の参考例によるLEDアレイ300は、第1の参考例によるLEDアレイと同様に、相互に隣接する第1および第2のLED素子301a,301bを含む複数のLED素子が、表面に絶縁膜309が形成された支持基板310上に配列した構成を有する。第1および第2のLED素子301a,301b各々は、支持基板310上に、第1および第2の接着層305,306からなる融着層312を介して、支持される。また、第1および第2のLED素子301a,301b各々も、第1の参考例によるLED素子と同様に、p型GaN層324、活性層323、およびn型GaN層322からなる光半導体積層302と、p側電極303と、エッチストップ層304と、n側電極308と、を含む構成である。
【0024】
ここで、第1のLED素子301aを支持し、かつ、そのp側電極303と電気的に導通する融着層312の領域を、第1の導電領域312aと定義し、第2のLED素子301bを支持し、かつ、そのp側電極303と電気的に導通する融着層312の領域を、第2の導電領域312bと定義する。さらに、融着層312において、第1および第2の導電領域312a,312bの間に位置する領域を、第3の導電領域312cと定義する。第1の導電領域312aと第3の導電領域312cとは連続的に形成されており、第1および第3の導電領域312a,312cは電気的に導通する。また、第2の導電領域312bと第3の導電領域312cとの間には、溝領域313が当該2つの領域を完全に分断し、直に接続する部分がないよう配置されている。そのため、溝領域313が絶縁領域として機能し、第2および第3の導電領域312b,312cは、直接的には電気的に絶縁されている。第1および第2の導電領域312a,312bは、平面視において、それぞれ第1および第2のLED素子301a,301bと重なる部分を有している。第3の導電領域312cは、平面視において、第1および第2のLED素子301a,301bから露出する部分を有している。
【0025】
第1のLED素子301aのp側電極303は、第1の導電領域312a上に配置されており、第1の導電領域312aおよび第3の導電領域312cと電気的に導通している。
【0026】
第2のLED素子301bのp側電極303は、第2の導電領域312b上に配置されており、第2の導電領域312bと電気的に導通している。ただし、第3の導電領域312c(ないし第1の導電領域312a)とは、溝領域313および電気絶縁性を有するエッチストップ層304により、直接的には電気的に絶縁されている。
【0027】
第2のLED素子301bにおいて、光半導体積層302は、p側電極303上に配置される。また、その光半導体積層302は、溝領域313および第3の導電領域312c上方に張り出す張り出し部302cを有している。光半導体積層302の張り出し部302cは、電気絶縁性を有するエッチストップ層304を介して、融着層312の第3の導電領域312cに支持される。光半導体積層302、特にそのp型GaN層324は、第3の導電領域312cと直接的には導通していない。
【0028】
第2のLED素子301bの張り出し部302cの側面は、支持基板310に向かって徐々に第1のLED素子301aに近づくように傾いて形成されている。配線電極314は、張り出し部302cの側面に形成される絶縁性保護膜307表面を伝って第3の導電領域312cと接触し、第2のLED素子301bのn側電極308と第3の導電領域312cとを電気的に接続する。つまり、第2の導電領域312b、ならびに、第2のLED素子301bのp側電極303および光半導体積層302は、配線電極314を介して間接的に第3の導電領域312と電気的に接続することになる。これにより、第1および第2のLED素子301a,301bが、電気的に直列に接続される。
【0029】
第2の参考例によるLEDアレイ300は、第2のLED素子301bにおける光半導体積層302の張り出し部302c下方に、溝領域313が配置される。そして、配線電極314は、溝領域313を跨がずに、第1の導電領域312aと連続する第3の導電領域312cに電気的に接続する。つまり、第1の参考例によるLEDアレイと比較して、配線電極が形成される領域に形成されうる段差を低減させることができる。これにより、第1の参考例によるLEDアレイよりも信頼性が向上する。加えて、第1の参考例によるLEDアレイと比較して、配線電極314の配線距離を、溝領域313を跨ぐために必要な配線距離程度、短くすることができる。
【0030】
図3Aに、第3の参考例によるLEDアレイ350の概略平面図を示す。また、図3Bに、LEDアレイ350の融着層312の平面形状を示す。なお、図3Bでは、融着層312上方に配置される光半導体積層302を点線により示している。さらに、図3Cおよび図3Dに、それぞれ図3Aに示すLEDアレイ350のIIIC−IIIC断面およびIIID−IIID断面を示す。なお、第3の参考例によるLEDアレイ350は、第2の参考例によるLEDアレイ300(図2参照)の変形例である。
【0031】
第3の参考例によるLED素子301a,301bのn側電極308は、図3Aに示すように、複数のLED素子が配列する方向に延在し、光半導体積層302(n型GaN層322)表面の一端側に配置される共通部308aと、共通部308aが延在する方向と直交する方向に延在し、一端側において共通部308aと電気的に接続する櫛歯部308bと、を含む櫛歯状の平面形状を有している。
【0032】
第3の導電領域312cは、平面視において、共通部308aの延長線上にのみ形成されており、第1および第2のLED素子301a,301bの間から露出している。配線電極314は、n側電極308の共通部308aと、第3の導電領域312cとを電気的に接続する。これにより、第1および第2のLED素子301a,301bは、電気的に直列に接続される。
【0033】
なお、LEDアレイ350における融着層312の平面形状は、図3Bに示すように、矩形状の一角が隣接するLED素子の張り出し部302cの直下に出っ張り(第3の導電領域312c)、他の一角が隣接する融着層312の突出した部分から逃げるように凹んだ形状となる。また、溝領域313は、図3B図3Dに示すように、配線電極314と第3の導電領域312cとが接続する領域(図3C)では、第2の導電領域312bと第3の導電領域312cとを分断するように配置され、配線電極314と第3の導電領域312cとが接続する領域以外の領域(図3D)では、第1の導電領域312aと第2の導電領域312bとを分断するように配置される。これにより、第2の参考例によるLEDアレイと同様に、第2の導電領域312c、ならびに、第2のLED素子3101bのp側電極303および光半導体積層302は、配線電極314を介して、間接的に第3の導電領域312c(ないし第1の導電領域312a)と電気的に接続することになる。
【0034】
また、第3の参考例によるLEDアレイ350は、図3Aに示すように、n側電極308の共通部308aが形成される一端側においてのみ第3の導電領域312cが露出し、n側電極308の共通部308aと連続する配線電極314が、第3の導電領域312cと電気的に接続している。配線電極314と第3の導電領域312cとが接続する領域以外の領域(図3D)では、第3の導電領域312cを第1および第2のLED素子301a,301bの間から露出させ、また、第2のLED素子301bの側面および第3の導電領域312c上面に、配線電極314を形成する必要がないため、その分、第1のLED素子301aの光半導体積層302を大きく形成することができる(拡張部302d)。これにより、第2の参考例によるLEDアレイ300(図2参照)よりも発光量が向上する。
【0035】
第3の参考例によるLEDアレイ350において、配線電極314と第3の導電領域312cとが接続する領域以外の領域は、光半導体積層2を拡張して形成することができる(拡張部302d)。これにより、光半導体積層302の全体的平面形状は、矩形状の角部を切り欠いたような形状となる。この光半導体積層302の角部(切り欠き部302e)は発光に貢献しない。
【0036】
また、光半導体積層302の拡張部302dには、n側電極308の共通部308aから延在する櫛歯部308bを形成することが困難であり、したがって、この領域に電流を拡散させることが困難である。したがって、拡張部302d以外の領域の発光強度と比べて、拡張部302dの発光強度は低減してしまう可能性がある。
【0037】
以上より、第3の参考例によるLEDアレイ350は、第2の参考例によるLEDアレイ300(図2参照)よりも発光量の向上が期待されるものの、第1および第2のLED素子301a,301bの間の領域で発光ムラ(発光分布)が顕著になることが懸念される。
【0038】
図4Aおよび図4Bは、本発明の実施例によるLEDアレイ100の一部を示す概略平面図、および、図4Aに示すLEDアレイ100のIVB−IVB断面を示す断面図である。また、図4Cに、LEDアレイ100の融着層12の平面形状を示す。なお、図4Bでは、融着層12上方に配置される光半導体積層2を点線により示している。以下、図4A図4Cを参照しながら、本発明の実施例によるLEDアレイの構成について、第3の参考例によるLEDアレイとの差異を主に説明する。
【0039】
図4Aに示すように、実施例によるLEDアレイ100は、第3の参考例によるLEDアレイと同様に、相互に隣接する第1および第2のLED素子101a,101bを含む複数のLED素子が、表面に絶縁膜9が形成された支持基板10上に配列した構成を有する。
【0040】
また、図4Bに示すように、第1および第2のLED素子101a,101b各々は、支持基板10上に、第1および第2の接着層5,6からなる融着層12を介して、支持される。なお、第1および第2のLED素子101a,101b各々も、第3の参考例によるLED素子と同様に、p型GaN層24、活性層23、およびn型GaN層22からなる光半導体積層2と、p側電極3と、エッチストップ層4と、n側電極8と、を含む構成である。
【0041】
第1のLED素子101aを支持し、かつ、そのp側電極3と電気的に導通する融着層12の領域は、第1の導電領域12aである。また、第2のLED素子101bを支持し、かつ、そのp側電極3と電気的に導通する融着層12の領域は、第2の導電領域12bである。さらに、融着層12において、第1および第2の導電領域12a,12bの間に位置する領域は、第3の導電領域12cである。第2の導電領域12bと第3の導電領域との間には、絶縁領域としての溝領域13が配置されている。
【0042】
第2のLED素子101bにおいて、光半導体積層2は、溝領域13および第3の導電領域12c上方に張り出す張り出し部2cを有している。光半導体積層2の張り出し部2cは、電気絶縁性を有するエッチストップ層4を介して、融着層12の第3の導電領域12cに支持される。
【0043】
さらに、光半導体積層2の張り出し部2cおよびそれを支持するエッチストップ層4には、第3の導電領域12cを覗く穴部2hが設けられている。穴部2hは、たとえば、支持基板10に向かって徐々に開口面積が小さくなる四角錐状である。なお、穴部2hは、たとえば、支持基板10に向かって徐々に開口面積が小さくなる円錐状であってもかまわない。穴部2hの内側面には、保護膜7を介して、配線電極14が形成されている。
【0044】
なお、図4Cに示すように、融着層12の平面形状は、第3の参考例による融着層と同様に、矩形状の一角が隣接するLED素子の張り出し部2cの直下に出っ張り、他の一角が隣接する融着層2の突出した部分から逃げるように凹んだ形状となる。また、溝領域13も、第3の参考例による融着層と同様に、第2の導電領域12bと、第1および第3の導電領域12a,12cと、を分断するように連続して設けられている。これにより、第2の導電領域12bと、第1および第3の導電領域12a,12cとが直に接続する領域はないことになる。
【0045】
実施例によるLEDアレイ100は、配線電極14が光半導体積層2の張り出し部2cに設けられた穴部2hを通って、n側電極8と第3の導電領域12cとを電気的に接続する。このため、第1および第2のLED素子の間に配線電極を形成する領域を設ける必要がなく、光半導体積層の切り欠き部(図3参照)を設ける必要がない。つまり、光半導体積層2の平面形状を、図4Aに示すように、矩形状にすることができる。また、光半導体積層2表面の縁部にまで、n側電極8の共通部8aから延在する櫛歯部8bを形成することができる。したがって、第1および第2のLED素子101a,101bの間の領域における発光ムラが抑制される。
【0046】
第3の参考例によるLEDアレイ350は、配線電極314が光半導体積層302(張り出し部302c)の一側面に形成される(図3参照)。光半導体積層302の側面で配線電極314が破断・断線した場合、n側電極308と第3の導電領域312cとは電気的に導通しなくなる。
【0047】
これに対し、実施例によるLEDアレイ100は、配線電極14が四角錐状の穴部2hの内側面(四側面)に形成される。穴部2hに形成された配線電極の四側面のうちいずれかの側面に破断・断線が生じた場合でも、その他の側面で電気的に導通していれば、n側電極8と第3の導電領域12cとは電気的に導通する。したがって、実施例によるLEDアレイ100は、第3の参考例によるLEDアレイ350よりも信頼性が向上するものと考えられる。なお、穴部2hが円錐状である場合も同様に、穴部2hの内側面すべてに配線電極14が形成されることにより、部分的な破断・断線が生じてもその他の部分で電気的に導通していれば、n側電極8と第3の導電領域12cとの電気的導通を確保することができる。
【0048】
以下、図5A図5Nを参照して、実施例によるLEDアレイ100の製造方法について、n側電極と第3の導電領域とが電気的に接続する領域、つまり、光半導体積層の穴部近傍を中心に説明する。なお、図中に示す各構成の相対的なサイズは、実際のものとは異なっている。
【0049】
まず、図5Aに示すように、サファイアからなる成長基板1を準備し、有機金属化学気相成長(MOCVD)法を用いて窒化物系半導体からなる光半導体積層2を形成する。具体的には、例えば、サファイア基板1をMOCVD装置に投入後、サーマルクリーニングを行い、GaNバッファ層20及びアンドープのGaN層21を成長した後に、Si等をドープした膜厚5μm程度のn型GaN層22、InGaN量子井戸層を含む多重量子井戸発光層(活性層)23、Mg等をドープした膜厚0.5μm程度のp型GaN層24を順次成長させる。成長基板1は、GaNのエピタキシャル成長が可能な格子定数を有する単結晶基板であり、後工程においてレーザーリフトオフによる基板剥離を可能にするよう、GaNの吸収端波長である362nmの光に対して透明なものから選択される。サファイア以外に、スピネル、SiC、ZnO等を用いても良い。
【0050】
その後、光半導体積層2表面(p型GaN層24表面)に、電子ビーム蒸着法により膜厚200nmのAg層を形成し、リフトオフ法等によりパターニングして、所定形状のp側電極3を形成する。p側電極3を反射電極として機能させるためには、p側電極3として、Ag、Pt、Ni、Al、Pd及びこれらの合金ないし積層構造を用いることが好ましい。また、p側電極3と光半導体積層2との間には、ITO(インジウム錫酸化物)などのオーミック接合層を挟んでもよい。オーミック接合層を挟む場合には、オーミック接合層の側面を反射電極としてのp側電極3で覆うなどしてもよい。
【0051】
次に、図5Bに示すように、p側電極3の周辺の光半導体積層2上(p型GaN層24上)に、スパッタ法を用いてp側電極3と同じ膜厚のSiOからなるエッチストップ層4を形成する。エッチストップ層4は、図5Lを参照して後述するエッチング工程においてエッチストッパとして機能する。さらに、エッチストップ層4は、前述したように、最終的に製造されるLEDアレイにおいて、p側電極3ないし光半導体積層2(特にその張り出し部2C,図4B参照)と第3の導電領域12cとを直接的には電気的に絶縁しつつ、光半導体積層2(特にその張り出し部)を支持する機能を果たす。
【0052】
次に、図5Cに示すように、p側電極3及びエッチストップ層4を含む領域に、スパッタ法を用いて膜厚200nmのAuを形成し、リフトオフ法等によりパターニングして、所定形状の第1の接着層5を形成する。ここで、第1の接着層5は、エッチストップ層4の一部に、間隙5zが設けられるようにパターニングされる。
【0053】
なお、p側電極3及びエッチストップ層4を含む領域に、拡散防止層等を形成してから第1の接着層5を形成するようにしても良い。拡散防止層はp側電極3に用いた材質の拡散を防止するためのもので、p側電極3にAgを含む場合には、Ti、W、Pt、Pd、Mo、Ru、Ir、Au及びこれらの合金を用いることができる。
【0054】
次に、図5Dに示すように、レジストマスク及び塩素ガスを用いたドライエッチング法を用いることにより、光半導体積層2を複数の素子に分割する。分割された光半導体積層2の側面は、成長基板1に対して順テーパ形状となる。
【0055】
次に、図5Eに示すように、Siからなる支持基板10を用意し、熱酸化処理を行い表面に絶縁膜(熱酸化SiO2膜)9を形成する。支持基板10は熱膨張係数がサファイア(7.5×10−6/K)やGaN(5.6×10−6/K)に近く、熱伝導率が高い材料が好ましい。例えば、Si、AlN、Mo、W、CuW等を用いることができる。絶縁膜9の膜厚は、絶縁性を確保する目的を達成できる厚さであればよい。
【0056】
次に、絶縁膜9上に抵抗加熱蒸着法を用いて膜厚1μmのAuSn(Sn:20wt%)からなる第2の接着層6を形成する。第1の接着層5(図5C参照)の材質と第2の接着層6の材質は、融着接合が可能な、Au−Sn、Au−In、Pd−In、Cu−In、Cu−Sn、Ag−Sn、Ag−In、Ni−Sn等を含む金属や、拡散接合が可能なAuを含む金属を用いることができる。
【0057】
図5F及び図5Gに示すように、第2の接着層6は、例えば、リフトオフ法を用いて形成することができる。まず、フォトレジスト(例えば、Clariant Co.製フォトレジストAZ5200)を熱酸化処理した支持基板10(絶縁膜9を表面に形成した支持基板10)の全面に塗布し、90℃以上に設定したホットプレートを用い、大気中で90秒間程度のプリベークを行う。次いで、紫外光(UV光)を用い、ファースト露光量17mJとして、フォトレジストにパターンを露光する。露光後のフォトレジストを120℃の大気中で90秒間程度のリバーサルベーク処理を行い、露光部を熱架橋させる。次に、反転露光量600mJとして、UV光を支持基板10全面に照射する。さらに、現像液中に130秒間浸漬し、現像処理を行うことにより所望の(第2の接着層6となる部分以外に)フォトレジストパターンPR1を形成する。このように形成されたフォトレジストパターンPR1は、周縁部が支持基板10に対して逆テーパ形状となる。なお、使用するレジスト及びフォトリソグラフィの条件は、適宜変更可能である。
【0058】
次に、抵抗加熱蒸着法を用いて、Ti(150nm)/Ni(50nm)/Au(100nm)/Pt(200nm)/AuSn(1000nm、Sn:20wt%)からなる金属積層6を成膜し、その後、リフトオフによって、図3Gに示すような端部が支持基板10に対して順テーパ形状となる第2の接着層6を形成する。フォトレジストパターンPR1が形成されていた領域は、間隙6zとなる。なお、第2の接着層6は、リフトオフ法以外にも、ドライエッチング法、ないし、ウエットエッチング法などを用いても形成することができる。
【0059】
次に、図5Hに示すように、第1の接着層5と第2の接着層6とを、第1の接着層5の間隙5zと第2の接着層6の間隙6zが重なるように接触させ、圧力3MPaで加圧した状態で300℃に加熱して10分間保持する。その後、室温まで冷却することにより融着接合を行う。この融着接合により融着層12が形成される。また、第1の接客層5の間隙5zと第2の接着層6の間隙6zが一体化して、溝領域13が形成される。
【0060】
その後、図5Iに示すように、UVエキシマレーザの光をサファイア基板1の裏面側から照射し、バッファ層20を加熱分解することで、レーザーリフトオフによるサファイア基板1の剥離を行う。なお、基板1の剥離あるいは除去は、エッチング等の別の手法を用いてもよい。
【0061】
次に、図5Jに示すように、レーザーリフトオフにより発生したGaを熱水などで除去し、その後塩酸で表面処理する。これにより、n型Gan層22が露出する。表面処理には窒化物半導体をエッチングできるものであればよく、リン酸、硫酸、KOH、NaOHなどの酸やアルカリなどの薬剤も用いることができる。また、表面処理はArプラズマや塩素系プラズマを用いたドライエッチングや、研磨などで行ってもよい。さらに、n型GaN層22の表面をRIE等のドライエッチング装置を用いたCl、Ar処理又は、CMP研磨装置を用いて平滑化を行いレーザー痕やレーザーダメージ層を除去する。なお、光取り出し効率を向上させる為に露出したn型GaN層22表面には、凹凸加工を施す(光取り出し構造、ないしマイクロコーン構造を形成する)ようにしても良い。
【0062】
次に、図5Kに示すように、光半導体積層2上に所定パターンのフォトレジストPR2を形成する。その後、塩素ガスを用いたドライエッチング法により、フォトレジストPR2から露出した光半導体積層2の端部(張り出し部の一部)をエッチストップ層4が露出するまでエッチングする。これにより、図5Lに示すように、光半導体積層2の張り出し部2cに、支持基板10に向かって徐々に開口面積が小さくなり、周囲が光半導体積層2に囲まれる穴部2hが形成される。なお、光半導体積層2表面における穴部2hの形状は、一辺約30μmの正方形状である。
【0063】
次に、上述した工程で形成した素子の上面全体に、化学気相堆積(CVD)等によりSiOからなる保護膜7を形成する。その後、CF/Ar混合ガスを用いたドライエッチング法により、光半導体積層2上に形成された保護膜7の一部、ならびに、光半導体積層2の穴部2h底面の保護膜7およびエッチストップ層4の一部をエッチングする。これにより、図5Mに示すように、穴部2hは、光半導体積層2の張り出し部2c、さらにはエッチストップ層4をも貫通し、第3の導電領域12cを覗くようになる。なお、保護膜7およびエッチストップ層4のエッチングには、BHFなどを用いたウエットエッチング法を用いてもよい。
【0064】
次に、図5Nに示すように、電子ビーム蒸着法により、膜厚1nmのTi層、膜厚200nmのAl層、膜厚100nmのTi層、膜厚2μmのAu層をこの順序で積層し、リフトオフによってパターニングすることにより、n型GaN層22とオーミック接続するn側電極8、および、n側電極8と第3の導電領域12cとを接続する配線電極14を形成する。n側電極8および配線電極14は、光半導体積層2(n型GaN層22)の表面から連続して、穴部2cの内側面に、保護膜7を介して形成されている。
【0065】
その後、支持基板10をレーザースクライブ又は、ダイシングにより分割する。以上により、第1および第2のLED素子101a,101bを含む複数のLED素子を含むLEDアレイが完成する。なお、青色GaNの発光素子を白色化する場合には、発光素子を封止充填する樹脂に蛍光体(例えば、黄色発光)を入れる。
【0066】
図6Aは実施例によるLEDアレイの変形例を示す概略平面図であり、図6BはそのLEDアレイの融着層を示す平面図であり、図6C図6Aに示すLEDアレイのVIB−VIB断面を示す断面図である。
【0067】
光半導体積層2に設けられる穴部2hは1つに限らず、図6Aに示すように、2つ以上設けてもかまわない。n側電極8と第3の導電領域12cとを電気的に接続する領域を複数設ける構成は、信頼性向上の観点からより好ましいであろう。
【0068】
図6Aでは、第2のLED素子101bにおいて、第1のLED素子101aに近い縁側の角部2箇所に穴部2hが設けられている。この場合、図6Bに示すように、融着層12の第3の導電領域12cは、穴部2hが形成されている張り出し部2c各々の直下に突出するように設けられ、第2の導電領域12bは、その第3の導電領域12cから逃げるように凹んだ形状となる。また、溝領域13は、第2の導電領域12bと、第1の導電領域12aおよび2つの第3の導電領域12cと、を分断するように連続して設けられている。これにより、第2の導電領域12bと、第1の導電領域12aおよび2つの第3の導電領域12cとが直に接続する領域はないことになる。
【0069】
なお、図6Cに示すように、溝領域13に絶縁部材13aを充填し、これを絶縁領域としてもかまわない。つまり、第2の導電領域312bと第3の導電領域312cとが、直接的には電気的に導通しない構成であれよい。また、p側電極3は、エッチストップ層4と接触して形成されていてもかまわない。
【0070】
図7Aおよび図7Bは、本発明の実施例によるLEDアレイ100を組み込んだ車両用灯具(ヘッドランプ)50の構成を表す概念図である。
【0071】
図7Aは、照射用光学系51として、照射レンズ105を使用した例である。照射レンズ105は、LEDアレイ100の光源像106が、車両前端部に正対した仮想鉛直スクリーン(照射面)107上に投影されるように設定されている。
【0072】
照射光学系51は、図7Bに示すようにマルチリフレクタ(反射面)103と照射レンズ105を用いても良い。図7Bに示すヘッドランプ50は、LEDアレイ100の発光面を覆うように配置された蛍光体層(波長変換層)108からなる光源102と、複数の小反射領域に区画されたマルチリフレクタである反射面103、シェード104及び照射レンズ105を含む照射光学系51とを含んで構成される。
【0073】
図7Bに示すように、光源102は、照射方向(発光面)が上向きとなるように配置され、反射面103は、第1焦点が光源102近傍に設定され、第2焦点がシェード104の上端縁近傍に設定された回転楕円形の反射面であり、光源102からの光が入射するように、光源102の側方から前方にかけての範囲を覆うように配置されている。
【0074】
反射面103は、図7Bに示すように、光源102のLEDアレイ100の光源像106を所定の配光形状で車両前方に照射し、車両前端部に正対した仮想鉛直スクリーン(照射面)107上に、LEDアレイ100の光源像106が投影されるように構成されている。
【0075】
シェード104は、反射面103からの反射光の一部を遮光してヘッドランプに適したカットオフラインを形成するための遮光部材であり、上端縁を照射レンズ105の焦点近傍に位置させた状態で照射レンズ105と光源102の間に配置されている。
【0076】
照射レンズ105は、車両前方側に配置され、反射面103からの反射光を照射面107上に照射する。
【0077】
以上、実施例、及び変形例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者には自明であろう。
【符号の説明】
【0078】
1…成長基板、2…光半導体積層(GaN系発光部)、3…p側電極(反射電極)、4…エッチストップ層、5…第1の接着層、6…第2の接着層、7…保護膜、8…n側電極、9…絶縁層、10…支持基板、12…融着層、12a〜12c…第1〜第3の導電領域、13…溝領域、14…配線電極、20…バッファ層、21…アンドープGaN層、22…n型GaN層、23…活性層(発光層)、24…p型GaN層、50…車両用灯具(ヘッドランプ)、51…投射光学系、100…LEDアレイ(実施例)、101…LED素子、108…蛍光体層(波長変換層)、102…光源、103…反射面、104…シェード、105…照射レンズ、106…光源像、107…照射面、200…LEDアレイ(第1の参考例)、300…LEDアレイ(第2の参考例)、350…LEDアレイ(第3の参考例)。
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図4
図5-1】
図5-2】
図5-3】
図5-4】
図6
図7