(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(6)前記(1)のステップの前に、口語のオーディオストリームを転写してレポートを製作し、前記レポートは前記口語のオーディオストリームの内容を表すステップを、
さらに含む、請求項1に記載の方法。
前記電子記録が複数の前記個別のデータ構成要素を含み、前記(2)のステップが、前記複数の個別のデータ構成要素の中から前記個別のデータ構成要素を識別するステップを含む、
請求項14に記載のコンピュータ可読な媒体。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態は、迅速、正確、および最小の人間の労力での電子医療記録(EMR)をアップデートする技術を述べる。例えば、
図1は、本発明の1つの実施形態による、転写の内容に基いてEMRを自動的にアップデートするシステム100のデータフロー図を示す。
図2は、本発明の1つの実施形態による、
図1のシステム100により実行される方法のフローチャートを示す。
【0012】
図1のシステム100で、EMRデータベース102は複数のEMR104a〜cを有し、これらのそれぞれが異なる患者に対応してもよい。説明を容易にするため、EMR104aの内容のみを
図1に示す。しかし、EMR104bおよび104cは、EMR104aに示されるのと同一または類似のフォーマットを有するデータを含んでもよい。
【0013】
より具体的にいうと、EMR106は個別のデータ構成要素106およびテキスト114の両方を含む。個別のデータ構成要素106は、例えば、問題リスト108、薬剤リスト110、および現在の薬剤リスト112を有してもよい。問題リスト108は、システム100が既知である、対応する患者の現在の医療問題を示すデータを有してもよい。薬剤リスト110は、システム100が既知である、患者が現在服用中または過去に服用した全ての薬剤を示すデータを有してもよい。現在の薬剤リスト112は、システム100が既知である、患者が現在服用中の全ての薬剤を示すデータを有してもよい。この個別のデータ構成要素106のセットは、単に例示の目的で示され、本発明を限定しない。本発明の実施形態は、あらゆる個別のデータ構成要素とともに使用してもよい。
【0014】
データ構成要素106は、コンピュータがそれらの意味を理解可能および処理可能とするフォーマットでそれらをエンコードするという意味で「個別」である。例えば、問題リスト108は、問題リスト108内のデータが対応する患者の現在の問題を示すことをコンピュータが理解するのを可能にする方法でエンコードしてもよい。結果として、コンピュータは、患者の現在の問題の問い合わせに、問題リスト108の内容を示す出力を提供することで応答してもよい。問題リスト108内のデータは個別なので、そのようなデータを問題リスト108の解析または問題リスト108への自然言語処理の適用なしに処理してもよい。
【0015】
EMR104aはまた、テキスト114も含んでよい。
図1に示された例で、テキスト114は、テキスト140、118、および120の分離したユニットを有するものとして示されている。そのようなテキストは、対応する患者に関するあらゆるテキストを有してもよい。例えば、そのようなテキストは、EMR104aに対応する患者について医師が口述したレポートのトランスクリプトを有してもよい。テキスト140は問題リスト108に関するテキストであってもよく、テキスト118は薬剤リスト110に関するテキストであってもよく、テキスト120は現在の薬剤リスト112に関するテキストであってもよい。テキスト114は、対応する患者の現在の状態に関するテキスト、および/または対応する患者の過去の状態に関するテキストを有してもよい。例えば、患者が病院を訪れ患者の医師が患者についてのレポートを口述するたび、レポートをその日付の表示とともにテキスト114へ転写し追加してもよい。
【0016】
テキスト114は、本明細書で使用されるような「個別の」データではない。代わりに、テキスト114は、「フリーフォーム」データである。例えば、テキスト114は、コンピュータがテキストの解析なしにテキスト114の意味を理解するのに必要な、コーディングまたは他の情報を欠いているかもしれない。例えば、テキスト114が医師が話した完全な文章の転写を有する場合、後に詳述するように、最初にテキスト114への第1の自然言語処理(NLP)または他の処理の適用なしに、そのようなテキスト114から個別のデータを抽出可能でないかもしれない。例えば、個別のデータ構成要素106がXMLベースのエンコーディングを用いてエンコードされている場合、テキスト114をプレーンテキストフォーマットまたはXMLタグがない他のフォーマットで格納してもよい。
【0017】
EMR104aの問題リスト108が、対応する患者が現在、高血圧、双極性障害、および左大腿骨の骨折を有することを示す目的の例を示す。さらに、EMR104aの現在の薬剤リスト112が、対応する患者が現在ラシックスおよびb.i.d(すなわち1日に2回)20mgのセレクサを服用中であることを示す例の目的を仮定する。
【0018】
医師がこの患者を訪問し、患者の大腿骨骨折が治癒し、患者が5月に薬剤セレクサの服用を中止したことを観察したと仮定する。
図1のユーザ130として表わされる医師は、そのときデジタル音声レコーダに以下を口述するかもしれない(
図2、動作202)。「訪問日2008年6月1日・・・彼の骨折は良好に治癒した。また前回の訪問よりかなり具合がよくセレクサの服用を5月頃中止した。現在の薬剤は疼痛時必要に応じタイレノール。」
【0019】
本発明の実施形態を、(リアルタイムであろうとレポートのオーディオ録音に基くものであろうと)医師の口述した音声132に含まれる情報に基き、医師130または他の誰かが画面フォームまたは他の非音声インタフェースを使用して手動でそのような情報をEMR104aへ入力する必要なしに、患者のEMR104aを自動的にアップデートするのに使用してもよい。
【0020】
そのような患者のEMR104aの自動アップデートは、以下のように実行してもよい。医師の音声132は、転写システム134により転写され、音声132のトランスクリプト136が製作される(
図2、動作204)。音声132はいかなるフォームを取る口語のオーディオストリームであってもよいことに留意されたい。例えば、音声132は(電話またはIP接続によるような)直接または間接的に受信された生のオーディオストリーム、またはあらゆる媒体にあらゆるフォーマットで記録されたオーディオストリームであってもよい。
【0021】
転写システム134は、例えば、自動音声認識装置、または自動音声認識装置および人間の転写者の併用を用いて、トランスクリプト136を製作してもよい。転写システム134は、例えば、米国特許第7,584,103号、2009年9月1日発行の「意味コンテンツの自動抽出および音声からの構造化された文書の作成(Automated Extraction of Semantic Content and Generation of Structured document from Speech)。」に開示されたいずれの技術を用いてトランスクリプト136を製作してもよい
その中に記載のように、トランスクリプト136は、音声132のリテラル(逐語)トランスクリプトか非リテラルトランスクリプトかどちらかであるテキスト140を有してもよい。さらにその中に記載のように、トランスクリプト136はプレーンテキストドキュメントであってもよいが、トランスクリプト136はまた、例えば、文書セクションおよび他の種類のドキュメント構造を記述するXMLドキュメントのような、全体または部分が構造化されたドキュメントであってもよい。構造化ドキュメントをエンコーディングし、構造化テキストの部分を何らかの方法で構造化テキストに関連する個別のファクト(データ)で注釈を付ける、種々の規格が存在する。医療ドキュメントのエンコーディングの既存の技術の例は、HL7 CDA v2 XML規格(2005年5月からANSI承認)、SNOMED CT、LOINC、CPT、ICD−9およびICD−10、およびUMLSを含む。
【0022】
図1に示されるように、トランスクリプト136は1つまたは複数のコーディング138a〜bを有してもよく、コーディングのそれぞれは音声132から抽出される「コンセプト」をエンコードする。「コンセプト」の語は、本明細書では、前述の米国特許第7,584,103号で定義されたものを使用する。参照番号138は、本明細書では、通常トランスクリプト136内の全てのコーディングを言及するのに用いる。
図1では138aおよび138bと付けた2つのコーディングのみが示されるが、トランスクリプト136はいずれの数のコーディングを有してもよい。
【0023】
医療レポートのコンテキストで、コーディング 138のそれぞれは、例えばアレルギー、処方、診断、または予後をエンコードしてもよい。一般に、コーディング138のそれぞれは、コードおよび対応するデータを有する。例えば、コーディング138aは、コード144aおよび対応するデータ146aを有する。同様に、コーディング138bは、コード144bおよび対応するデータ146bを有する。
【0024】
コード144aは、例えば(コーディング138aが処方よりむしろアレルギーを表すかどうかのような)コーディングのタイプを示してもよく、一方でデータ146aは、(「アレルギー」タイプのコーディングに対し「ペニシリン」のような)コーディング138aの値を示してもよい。音声からコーディング138を作成するのに使用してもよい技術の例を、前述の米国特許第7,584,103号に見出してもよい。
【0025】
転写システム134は、単に音声132のみに依存してトランスクリプト136を製作してもよい。代わりに、例えば、転写システム134は、音声132および現在患者のEMR104a内に格納されたデータの両方を使用して、トランスクリプト136を生成してもよい。患者のEMR104a内の現在のデータは、例えば、転写システム134がコンテキスト情報として使用して音声132を解釈し、それによって結果として生じるトランスクリプト136の正確性を上げてもよい。
【0026】
ファクト抽出装置150は、米国特許第7,716,040号、2010年5月11日発行の「抽出データの照合(Verification of Extracted Data)」に開示された技術を用いるなどして、トランスクリプト136から自動的に1つまたは複数のファクト152を抽出してもよい(
図2、動作206)。自動的に抽出してもよいファクトの例は、患者の骨折が治癒し患者がセレクサの服用を中止したファクトである。抽出されたファクトは、例えば、トランスクリプト136からのコーディング138a〜bのうちの1つであってもよく、そうでなければ、トランスクリプトのコーディング138a〜bと同一の構造を有してもよい(すなわち、抽出されたファクトはコード、データ(値)、およびリンクを有してもよい)。代わりにまたは追加で、抽出されたファクトはコーディング138a〜b内に含まれない情報を有してもよい。
【0027】
調整モジュールは、それから、抽出されたファクト152を、EMR104a内の対応するファクトで調整してもよい(
図2、動作208)。そのような調整は、抽出されたファクト152に関連するコンセプトの、EMR104a内の個別のデータ構成要素106に関連するコンセプトとのマッチングを含んでもよい。例えば、抽出されたファクト152のうちの特定の1つに対し、調整モジュール154は、特定の抽出されたファクトが関連する1つまたは複数のコンセプトを識別してもよい。調整モジュール152は、それから、特定の抽出されたファクトと同一のコンセプトに関連する1つまたは複数の個別のデータ構成要素106を識別する。(例えば、調整モジュール152は、全ての個別のデータ構成要素106の中から、特定の抽出されたファクトと同一のコンセプトに関連する1つの個別のデータ構成要素を識別してもよい。)
【0028】
その結果、調整モジュール154は、抽出されたファクト152のうちの1つを含むペアリング、および個別のデータ構成要素106のうちの1つの対応するものを識別し、この両方が互いに同一のコンセプトに関する。調整モジュール154は、そのようなペアリングで、抽出されたファクトと個別のデータ構成要素の両方の現在の値を識別してもよい。
【0029】
調整208の一部として、調整モジュール154は、抽出されたファクトおよび対応する個別のデータ構成要素を分析し、EMR104aの格納用に調整されたファクトを提案してもよい。提案された調整されたファクトは、例えば、抽出されたファクトの部分または全て(例えば抽出されたファクトの値)、対応する個別のデータ構成要素の部分または全て(例えば個別のデータ構成要素の現在の値)、または抽出されたファクトおよび/または個別のデータ構成要素から得られた他のファクトであってもよい。例えば、調整モジュール154が、抽出されたファクトの値が正しく、対応する個別のデータ構成要素の値が正しくないと結論する場合、調整モジュール154は個別のデータ構成要素の値を抽出されたファクトの値で置き換えることを提案してもよい。逆に、調整モジュール154が、個別のデータ構成要素の値が正しく、対応する抽出されたファクトの値が正しくないと結論する場合、調整モジュール154は、個別のデータ構成要素の値をEMR104a内で変更されないままにすることを提案してもよい。
【0030】
例えば、個別のデータ構成要素が患者が糖尿病であることを示し、対応する抽出されたファクトが患者がコントロールされていないII型糖尿病であることを示す場合、抽出されたファクトの値が個別のデータ構成要素の値よりさらに特定されているので、調整モジュール154はこれらの2つのファクトを調整し、個別のデータ構成要素の値(糖尿病)を抽出されたファクトの値(コントロールされていないII型糖尿病)で置換することを提案してもよい。
【0031】
他の例として、個別のデータ構成要素が患者が未知の薬剤アレルギーを持つことを示し、対応する抽出されたファクトが患者がペニシリンに対しアレルギーを持つことを示す場合、調整モジュール154はこれらの2つのファクトを調整し、抽出されたファクトの値が個別のデータ構成要素の値と一貫性がなく、抽出されたファクトが個別のデータ構成要素よりも最新であるので、個別のデータ構成要素の値(未知の薬剤アレルギー)を抽出されたファクトの値(ペニシリンに対するアレルギー)で置換することを提案してもよい。調整モジュール154は、従って、個別のデータ構成要素の値と対応する抽出されたファクトの値の間の不一致を、個別のデータ構成要素の値の対応する抽出されたファクトの値での置換を提案することで解決してもよい。
【0032】
さらに他の例として、調整モジュール154は、個別のデータ構成要素からの情報を対応する抽出されたファクトからの情報と(置換するよりむしろ)併合することを提案してもよい。例えば、個別のデータ構成要素が「ペニシリンが蕁麻疹を起こす」ことを明確に述べ、対応する抽出されたファクトが、患者が「最後に観察されたのは2年前のペニシリンに対するアレルギー」を有することを示す場合、調整モジュール154はこれらの2つのファクトを調整し、個別のデータ構成要素をアップデートして、患者が「ペニシリンアレルギー、副作用:蕁麻疹、最後に観察されたのは2年前」を有することを示すように、それらの併合を提案してもよい。
【0033】
前述の例で、1つの抽出されたファクトは1つの個別のデータ構成要素と調整されるが、これは単に例であり、本発明を限定しない。むしろ、一般に調整208は2つのデータの状態を併合するプロセスであり、そこでは、データの状態は、同時に患者について既知の、トランスクリプト136内の全てのファクトの合計を含む、いずれのおよび全てのファクトを有してもよい。調整208は、単一の抽出されたファクトに対する単一の個別のデータ構成要素の1対1の調整だけでなく、あらゆる数の抽出されたファクトに対するあらゆる数の個別のデータ構成要素の調整を含んでもよい。この1つの理由は、どちらかのデータの状態におけるファクトの欠如がそれ自体重要であり、調整208のプロセスに影響し、およびそのようなファクトの欠如が単に1対1の調整の実行によっては識別不可能であることである。
【0034】
調整モジュール154により提案された調整は、それから照合される(
図2、動作210)。そのような照合は、例えば、前述の特許「抽出データの照合(Verification of Extracted Data)」に開示された照合技術のいずれかを用いて実行してもよい。そのような照合は、例えば、人間の操作者(ユーザ130であろうと他のユーザであろうと)への、調整プロセス208から提案された調整を表す出力の提供を含んでもよい。出力は、例えば、調整モジュール154がEMR104aにするよう提案した修正を示してもよい。出力はまた、例えば、個別のデータ構成要素の現在の値および/または抽出されたファクトの現在の値を表してもよい。結果として、人間の操作者は、EMR104aに提案された修正だけでなく、提案された修正を得た源のデータも再検討する機会を有してもよい。
【0035】
照合210はまた、操作者が提案された調整に合意するかどうか(すなわち提案された調整を承認するか拒絶するか)を示す、ユーザ130または他の人間の操作者からの入力の受信を含んでもよい。操作者が提案された調整を承認しない場合、操作者はさらに実行されるべき代替的な調整を示す入力をしてもよい。例えば、操作者が調整モジュール154によって提案された調整を承認しない場合、操作者は、例えば提案された調整を編集すること、または操作者が提案する調整として個別のデータ構成要素の現在の値または抽出されたファクトの値を選択することで、代替的な調整を提案してもよい。
【0036】
照合210はまた、トランスクリプト140内のコーディング138a〜bおよび/またはテキスト140の正確性の照合を含んでもよい。ユーザ130または他の操作者がテキスト140の部分が正しくないと考える場合、操作者はそのようなテキストを修正するため入力してもよい。同様に、ユーザ130または他の操作者がコーディング138a〜bのいずれかが正しくないと考える場合、操作者はそのようなコーディングを修正するため入力してもよい。
【0037】
動作210で実行される照合は、例えば、レポート132および/またはトランスクリプト136の法規認証の実行を含んでもよい。結果として、トランスクリプト136は法規認証されたトランスクリプトであってもよい。
【0038】
システム100は、それから、調整208および照合210の結果を反映するため患者のEMR104aを自動的にアップデートしてもよい(
図2、動作212)。例えば、人間のレビュー担当者が調整モジュール154が提案した調整を承認する場合、アップデート212は調整モジュール154が提案した調整を反映するためのEMR104aのアップデートを含んでもよい。人間のレビュー担当者が調整モジュール154が提案した調整を変更した場合、アップデート212は、人間のレビュー担当者が行った修正を反映するためのEMR104aのアップデートを含んでもよい。一般に、アップデート212は、人間のレビュー担当者が承認したように調整を反映するため、EMR104a内のデータをアップデートする。
【0039】
より一般的に、そのような自動アップデートは、(1)EMR104a内の1つまたは複数の個別のデータ構成要素106の自動アップデート(
図2、動作214)、(2)トランスクリプト136内のテキスト140を反映するためのテキスト114の自動アップデート、および(3)1つまたは複数の個別のデータ構成要素106とそれらの個別のデータ構成要素を得た源の対応するテキスト114のユニットの間のリンクの生成、のうち1つまたは複数を含んでもよい。例えば、問題リスト108内の特定の問題がテキスト116から得られた場合、動作208で実行されるアップデートは、問題リスト108内の特定の問題と対応するテキスト116の間のリンクの生成を含んでもよい。
【0040】
いずれの特定の抽出されたファクトが、特定のコンセプトに関連してもよい。例えば、抽出されたファクト152のうちの1つが、患者の左大腿骨の骨折に関連してもよく、これはコンセプトの例である。抽出されたファクトのうちの他の1つが、患者が現在服用中の特定の薬剤に関連してもよく、これはコンセプトの他の例である。これらの例が示すように、異なる抽出されたファクト152は、EMR104a内に示される複数の異なるコンセプトに関連してもよい。1つのEMR104aが、複数の異なるコンセプトに関連する個別のデータ構成要素106を有してもよい。
【0041】
この例で、個別のデータ構成要素106のアップデート(
図2、動作214)は、EMR104a内の患者の問題リスト108からデータエンコーディング「左大腿骨の骨折」の削除、およびEMR104a内の患者の薬剤リスト112からデータエンコーディングのセレクサの削除を含んでもよい。
【0042】
削除以外の動作を、動作214の個別のデータ構成要素106のアップデートの一部として、個別のデータ構成要素106に実行してもよい。例えば、個別のデータ構成要素の既存の値が、患者が急性の問題を有し、急性の問題がEMR104aに記録されてレポート132が口述された時間以来かなりの時間が経過した(例えば1ヶ月、6ヶ月、または1年のようなある予め定められた閾値を超える時間)ことを示す場合、および、口述されたレポート132が問題の現在のステータスを明確に示していない場合、調整モジュール154は、(調整208で)問題が現在急性でなく慢性であると結論してもよい。この結論が照合210の間に人間のレビュー担当者によって照合される(承認される)場合、調整モジュール154は、動作214の部分として、問題のステータスを急性から慢性へ変更してもよい。
【0043】
他の例として、いずれかの限定なしに問題リスト108に記録された問題を検討する。例えば、問題リスト108に問題「糖尿病」が記録されたと仮定する。レポート132が患者がII型糖尿病を有することを示す場合、調整モジュール154は、動作214の部分として、患者の糖尿病がII型であることをさらに明確に述べるため、問題リスト108内の記録をアップデートしてもよい(この変更が照合210の間に人間のレビュー担当者によって承認されたと仮定する)。
【0044】
テキスト114のアップデート(
図2、動作216)は、(1)トランスクリプト136からEMR104aのテキスト114内へテキスト140の一部または全ての格納、(2)トランスクリプト136からテキスト140に基きEMR104a内の既存のテキスト114の一部または全ての変更、および(3)EMR104aの既存のテキスト114の一部または全ての削除、のうち1つまたは複数を含んでもよい。
【0045】
口述されたレポート136からのファクト152のそのような自動識別、およびその後のそれらのファクト152を反映するための患者のEMR104aの自動アップデートにより、医師130、またはいずれの他の人が口述してEMR104aを直接編集する別のステップに関与する必要がなくなる。代わりに、音声132の口述行為、EMR104a内のデータでの音声132の調整,および抽出されたファクト152の正確性の照合が、個別のデータ構成要素106をアップデートするためのいずれの分離した手動動作の必要なく、EMR104a内の個別のデータ構成要素106とテキスト114の両方の自動アップデートを引き起こし、および可能にする。言い換えれば、EMR104a内のテキスト114を自動的に追加するために用いられる同一の口述行為はまた、EMR104a内の個別のデータ構成要素106を自動的にアップデートするためにも使用してよい。
【0046】
そのようなシステムの1つの利点は、レポートを口述する内科医および他の人が、EMR内の最新の個別のデータ構成要素を有する利点を失うことなく、口述を用い続けてデータをそれらのEMR内へ入力するのを可能にすることである。多くの医師は、そのような訪問のレポートの口述により、彼らの患者訪問の記録を作成することを好む。本発明の実施形態は、患者EMR内の個別のデータ構成要素が、医師にそのような個別の構成要素へ手動でデータを入力するか、そうでなければデータ入力の好ましい様式である口述の変更を必要とすることなく、自動的にアップデートされることを可能にする。
【0047】
より具体的にいうと、調整モジュール154は、抽出されたファクト152を使用してアップデートされた患者情報を示すメッセージを生成してもよい。そのようなメッセージは、例えば、患者のEMR104aの既存の(または最後に既知の)状態へなされる1つまたは複数の変更を明確に述べてもよい。メッセージは、それから、患者のEMR104aへの特定の変更のそれぞれを自動的に行うため処理してもよい。
【0048】
本明細書で総称的にアップデートメッセージと呼ぶこのメッセージは、さまざまな方法のいずれで作成してもよい。一般に、状態アップデートメッセージは、(1)トランスクリプト136および/または抽出されたファクト152と、(2)患者のEMR104a内に含まれる既存のデータ(すなわち音声132の口述の前に患者のEMR104a内に存在するデータ)を調整することにより作成してもよい。
【0049】
例えば、EMR104a内の個別のデータ構成要素106を、SNOMEDのようなフォーマットでエンコードしてもよい。トランスクリプト136内のコーディング138a〜b、およびトランスクリプト136から抽出されたファクト152もまた、個別のデータ構成要素106のエンコードに使用したものと同一または異なるフォーマットでエンコードしてもよい。調整モジュール154は、エンコードされ抽出されたファクト152および/またはコーディング138a〜bを、エンコードされた個別のデータ構成要素106と比較することにより調整を実行してもよい。調整は、データの両方のセットがエンコードされたフォームであるファクト(潜在的に互いに同一のエンコードされたフォーム)によって容易になる。調整は、(患者のEMR104aから)患者について既知のもの、および抽出されたファクト152により示される新しい知識に対するオントロジーベースの推論を適用してもよい。
【0050】
例えば、患者の既存の問題リスト108が、患者が以下の問題、高血圧、双極性障害、および左大腿骨骨折を有することが最新の既知であることを示すケースを検討してみる。さらに、患者の既存の現在の薬剤リスト112が、患者が2007年12月12日から1日2回20mgのセレクサを服用中であることが最新の既知であること、および患者が2008年1月1日からラシックスを服用中であることが最新の既知であることを示すと仮定する。
【0051】
ここで、患者を訪問した後、医師130が以下のレポートを口述すると仮定する。「訪問日2008年6月1日・・・彼の骨折は良好に治癒した。また前回の訪問よりかなり具合がよくセレクサの服用を5月頃中止した。現在の薬剤は疼痛時必要に応じタイレノール。」 前述に開示された技術を、この口述から以下のファクト152を抽出するのに使用してもよい。(1)解決された問題:骨折、(2)中止した薬剤:セレクサ、終了日2008年5月、(3)現在の薬剤:タイレノール。
【0052】
この例で、システム100は、抽出されたファクト152を自動的にエンコードし、患者のEMR104a内の情報(個別のデータ構成要素106および/またはテキスト114)をアップデートすることによって、(照合210の間に人間のレビュー担当者がそのような変更を承認すると)抽出されたファクトから得られた知識をあてはめて抽出されたファクト152を反映してもよい。例えば、システム100は、
・患者の問題リスト108から、患者が左大腿骨骨折を有する表示を削除(または患者の問題リスト108内の「左大腿骨骨折」のステータスから「解決済」に変更することにより)
・患者の現在の薬剤リスト112からセレクサを削除(および患者の薬剤リスト110内にセレクサに関連する終了日が2008年5月であることを示す)
・患者の現在の薬剤リスト112にタイレノールを追加(および患者の現在の薬剤リスト112内にタイレノールに関連する開始日がおよそ2008年6月1日であることを示す)
ことによりEMR104aをアップデートし、抽出されたファクト152を反映してもよい。
【0053】
EMR104a内の個別のデータ構成要素106および/またはテキスト114のアップデートは、(調整208および照合210の両方の後で)EMR104aに抽出されたファクト152を反映させるためEMR104aになされる必要があるアップデートを示す、EMRアップデートメッセージ156を生成する調整モジュール154により実現してもよい。EMRアップデートメッセージ156は、個別のデータアップデートメッセージ164(1つまたは複数の個別のデータ構成要素106のアップデートを示す)および/またはテキストアップデートメッセージ166(1つまたは複数のテキスト構成要素114のアップデートを示す)を有してもよい。EMRアップデートモジュール158は、それから、EMRアップデートメッセージ156により特定されたアップデートをEMR104aに行ってもよい。
【0054】
前述の例が示すように、本発明の実施形態は、EMRSのアップデートの従来の技術に関連する種々の問題に対処し、除去する。特に、前述の実施形態は、内科医130が、EMR104a内の個別のデータ構成要素106およびテキスト114の両方を、単にレポート132を口述することによりアップデートすることを可能にする。内科医130は、レポート132を口述する方法を変える、またはEMR104a内へデータを入力するため、グラフィカルまたはテキストユーザ・インタフェースを使用する必要がない。さらに、内科医130は、アップデートされる個別のデータ構成要素を指定する必要がない。代わりに、システム100は、口述されたレポート132からのファクト152の抽出、EMR104a内のそれらのファクトに対応する個別のデータ構成要素106の識別、およびEMR104a内のそれらのファクトを適切に変更し、音声132から抽出されたファクト152を反映する負荷を負う。結果として、EMR104aを、自動的におよび医師130または他のスタッフにいずれの付加的な負荷を課すことなくアップデートしてもよい。
【0055】
さらに、システム100は、EMR104a内の個別のデータ構成要素106およびテキスト114の両方を、内科医130が口述した1つのオーディオストリーム132に基きアップデートしてもよい。例えば、オーディオストリーム132はトランスクリプト136内へ(例えば自動音声認識装置により)転写してもよく、抽出されたファクト152を自動的に作成し、よってEMR104a内の個別のデータ構成要素106をアップデートするため使用される同一のトランスクリプト136は、EMR104a内のテキスト114を自動的に追加するために使用してもよい。これは、個別のデータ構成要素106およびテキスト114をアップデートする、分離した、たぶん手動のステップを行う必要をなくす。さらに、このプロセスは、不一致がEMR104a内の個別のデータ構成要素106とテキスト114の間に存在する可能性を減少させる。
【0056】
同様に、調整プロセスは、抽出されたファクト152を反映するためのトランスクリプト136のアップデート(
図2、動作218)を含んでもよい。例えば、ファクト152が患者が現在薬剤を服用中であることを示し、トランスクリプト136が患者が現在その薬剤を服用中であるかどうかについて矛盾した情報を含む場合、(内科医130からの照合および承認で)トランスクリプト136が患者が現在その薬剤を服用中であることを示す一致した情報を有するよう、トランスクリプト136をアップデートしてもよい。トランスクリプト136のアップデートを、調整モジュール154が、トランスクリプト136に抽出されたファクト152を反映させるためトランスクリプト136になされる必要があるアップデートを示す、トランスクリプトアップデートメッセージ160を生成することにより実現してもよい。トランスクリプトアップデートモジュール162は、それから、トランスクリプトアップデートメッセージ160により特定されたアップデートを、トランスクリプト136に行ってもよい。
【0057】
図3の方法300で示されるように、トランスクリプト136を自動的にアップデートしてもよい方法の他の例は以下のようである。口述されたレポート132が、明確にEMR104a内に格納された特定のファクトを変更せずに残すべきことを述べているケースを検討する。この例は、レポート132が「アレルギー変化せず」という語句を有することであろう。調整モジュール154は、そのような記述がEMR104a内に示されるファクトを述べること、およびそのような記述がEMR104a内に示されるファクトが有効状態で変更されない状態を保つことを認識する(
図3、動作302)。これに応え、調整モジュール154は、適切なトランスクリプトアップデートメッセージ160をトランスクリプトアップデータ162に送信することにより、EMR104a内に格納された対応するファクトの内容(例えばこの例では患者のアレルギーリスト)をトランスクリプト136内にコピーしてもよい(
図3、動作304)。この機能は、内科医130が迅速および容易に、既存の患者状態情報を、そのような状態情報を口頭で述べることにより現在のレポート136内へコピーすることを可能にし、それによってそのような情報を再び口述するのに必要な時間および労力を抑え、そのような情報が再び口述される、またはそうでなければ、不正確に再入力される可能性をなくす。
【0058】
前述の例で、ラシックスが現在、患者の現在の薬剤リスト112にあり、さらに医師の口述されたレポート132がラシックスに言及していないことを考える。従って、医師のレポート132に基くと、患者がもうラシックスを服用していないから医師がラシックスをレポート132から省いたのか、患者のラシックスの使用に変化がないからか、または他の理由のためかは不明である。
【0059】
これは、レポート132内に存在するかもしれない曖昧性の1つの例である。一般に、患者のEMR104a内にエンコードされたファクトが、口述されたレポート132から抽出されたファクト152内に明確に示されていないとき、曖昧性が存在する。例えば、ファクト152が、問題リスト108内の問題、薬剤リスト110内の薬剤、または現在の薬剤リスト112内の薬剤の現在のステータスを示さない場合、曖昧性が存在する。
【0060】
EMR104a内の特定のファクトが変更されない状態を保つべきであれば、EMRアップデートメッセージ156は、そのようなファクトが変更されない状態を保つべきであることを明確に示してもよい。例えば、レポート132に「患者のラシックス使用に変化なし」とあれば、EMRアップデートメッセージ156は、現在の薬剤リスト112内のラシックスの記録に「変化なし」状態アップデートを示してもよい。そのような明確な「変化なし」メッセージに応じ、EMR104a内のファクトの「最後の再検討」日を、現在の日付と等しくなるよう変更してもよい。そのような明確な「変化なし」メッセージが使用されれば、EMRアップデートメッセージ156がファクトにそのような「変化なし」メッセージを含まない場合、EMR104a内の特定のファクトに関して曖昧性が存在するかもしれない。
【0061】
システム100は、
図4のシステム400および
図5の方法500で示されるように、前述のような曖昧性を自動的に識別してもよい。
図1のシステム100のある構成要素は、説明を容易にするため
図4に示されないが、
図4のシステム400は、
図4に示された構成要素に加え、
図1のシステム100のいずれのおよび全ての構成要素を有してもよい。
【0062】
EMR104a内の特定のファクトに関連する1つまたは複数の抽出されたファクト152の曖昧性の識別(
図5、動作502)に応え、システム400は、EMR104a内のファクトに、曖昧性に照らして口述する内科医130による患者の現在のラシックス使用の手動の再検討を表すフラグを立ててもよい。システム400は、そのような再検討を実行するよう、内科医130に指示402を出してもよい(
図5、動作504)。そのような指示に応え、内科医130は患者の現在の薬剤としてラシックスのステータスを示す手動入力404をしてもよい(
図5、動作506)。そのような入力404は、例えば、患者がもはやラシックスを服用していない、以前に処方したように患者がなおラシックスを服用中、または患者が新しい投与量でラシックスを服用中(このケースではEMR104a内の投与量を内科医の入力に基きアップデートしてもよい)ことを示す。システム400が内科医130にそのような手動入力404をするよう促すケースで、システム400は、内科医130が文書のレポート136を終了する前に、そのような入力をするよう要求してもよい。どのケースでも、EMR104a内に内科医の入力404の記録を格納することにより、またはEMR104a内の1つまたは複数の個別のデータ構成要素106を内科医の入力404に基きアップデートすることによるなどで、システム400はEMR104aをアップデートして内科医の入力404を反映してもよい(
図5、動作508)。
【0063】
システム400は、システム400により検出された全ての曖昧性に応えてユーザ130を促す必要がない。むしろ、例えば、システム400はある予め定められた基準を満たす曖昧性に応えてユーザ130を促すのみでもよい。例えば、問題リスト108上の問題は、急性または慢性のどちらか、および/または活性または不活性のどちらかであるかもしれない。例えば、問題リスト108上の特定の問題は、急性かつ活性、または急性かつ不活性、または慢性かつ活性、または慢性かつ不活性であるかもしれない。システム400を、例えば、活性の問題に関連する曖昧性のみ、または急性かつ活性の問題に関連する曖昧性のみをユーザ130に再検討を促すよう構成してもよい。結果として、システム400は、不活性の問題に関連する曖昧性、または急性かつ不活性の問題に関連する曖昧性、慢性かつ活性、または慢性かつ不活性の問題をユーザ130に再検討を促さないかもしれない。慢性−急性および活性−不活性の両方は、その語が本明細書で使用されるような、「ステータス」のタイプの例である。従って、一般にシステム400を、予め定められた基準を満たす個別のデータ構成要素ステータスに関する曖昧性と関連してユーザ130を促すのみであるよう構成してもよい。
【0064】
システム400はまた、EMR104aの現在の状態および医師の口述130に基きシステム400が識別する、他の種類の曖昧性に応えて処置してもよい。例えば、前述の状況で、医師130が「彼の骨折は良好に治癒した。」と述べた この記述は、「彼の骨折」が患者のEMR104a内に現在特定された左大腿骨骨折を述べているのか、または患者のEMR104a内に現在特定されていない異なる骨折を述べているのか完全に明白ではないので、曖昧である。システム400は、そのような曖昧性をさまざまな方法で自動的に識別してもよい。例えば、EMR104a内で示される状況または他のファクトが、「左」または「右」、発生日または観察日、さらに(問題「糖尿病」についてII型のような)特定の詳細、(症状−診断関係のような)原因−結果の関係、または(前述の例で「骨折」の対象である「左大腿骨」のような)対象のような限定詞を表すデータを含み、口述されたレポート132から抽出された対応するファクト152が、EMR104a内に格納された全ての限定詞を欠く場合、システム400は、抽出されたファクト152がEMR104a内に格納されたファクトに対して曖昧であると結論してもよい。
【0065】
そのような曖昧性の識別に応え、システム400は、前述の特許「抽出データの照合(Verification of Extracted Data)。」に開示されたあらゆる方法のような、前述で開示されたあらゆる方法で、内科医130によるその後の再検討および承認について曖昧性のフラグを立ててもよい 内科医130が曖昧性を解決すると、システム400は、内科医130にEMR104aを手動で編集するよう要求することなく、内科医130によりなされた付加的な入力404に基き患者のEMR104aをアップデートしてもよい。
【0066】
内科医130または他の人による手動の再検討を含むこれらおよびあらゆる他の段階の間、システム400は、再検討プロセスを補助するためユーザ130にさまざまな情報を表示してもよい。例えば、システム400は、トランスクリプト136(構造化されたまたは構造化されないフォームで)および/またはEMR104aの全体または部分を表示してもよい。システム400はトランスクリプト136およびEMR104aの要約の両方を表示してもよく、トランスクリプト136およびEMR104aからの情報が互いにインタリーブされ、視覚表示が(異なる色またはフォントを用いることによるような)どの情報がトランスクリプト136に属しどの情報がEMR104aに属するかを示す、並列した表示、または単一の表示される、(要約がEMR104a内の個別のデータ構成要素106のサブセットであってもよい、またはそうでなければ個別のデータ構成要素106から得てもよい場合)。視覚表示はまた、異なる色、フォント、またはテキストフォーマッティング(例えば、ボールド体、下線、イタリック体、取り消し線)の使用によるなどで、現在の情報、提案された情報の変更、承認された情報の変更を区別してもよい。
【0067】
前述で開示されたプロセスは完全に自動的に実行してもよいが、そのようなプロセスはその部分が手動介入に関与するときでもなお有用である。例えば、医師の口述に曖昧性がない場合でさえ、患者のEMR104aに適用することを意図する結果として生じた変更を、患者のEMR104aへの適用前の再検討および承認のため、最初に医師130または他の人に示してもよい。これは、一部分において、人がEMRフォームへの手動データ入力を実行する必要をなくしまたは減少させるので、なお、当業界の現在の状態を越える改良を示す。例えば、システム100は「マーク「左大腿骨骨折」は「解決済」?」と表示するような、医師130に提案された変更を示してもよく、それによって医師がそのような変更を、EMRデータベースシステム内で手動データ入力動作を実行するよりむしろ、単に「Y」をタイプまたは1つのボタンをクリックすることで承認することを可能にする。一部のケースで、医師130が現在の薬剤名のようないくぶんかの情報をシステム100へタイプするのが望ましかったり、必要があるが、これさえも、システム100が自動的に医師の応答をEMR104a内の適切なフィールドに入力し、それによって医師の時間を節約して医師130が誤ったフィールドにデータを入力する可能性をなくすので、当業界の現在の状態を越える改良を示すだろう。
【0068】
内科医130が調整プロセスで示された変更を終了すると、システム100は、アップデートされたテキスト114およびアップデートされた個別のデータ構成要素106の出力表示を含む、アップデートされたEMR104aの出力表示をしてもよい。
【0069】
本発明を特定の実施形態に関して前述したが、前述の実施形態は一例としてのみ提供したものであり、本発明の範囲を限定または定義するものではないことを理解すべきである。後述のものを含むが、それらに限定されない種々の他の実施形態もまた、請求項の範囲内である。例えば、本明細書に記載された構成要素および部材を、さらに付加的な部材に分割、またはともに結合して同一の機能を実行するより少ない部材を形成してもよい。
【0070】
本明細書中に開示される技術は、いずれの特定のEMRシステムと関連した、またはいずれの特定のEMRデータと関連した使用に限定されない。本明細書中に開示される特定のEMRデータ構成要素は、単に例であって本発明を限定しない。他のEMRデータ構成要素は、現在および過去の薬剤リスト、アレルギー、および現在および過去の医療問題を含むが、これらに限定されない。
【0071】
本明細書中に開示される技術は、EMRシステムおよび/またはEMRシステムと通信する作業に統合してもよい。後者のケースで、データは、例えばASTM診療経過記録(CCR)またはHL7 CDA治療経過文書(CCD)を用いて、EMRシステムから本明細書中に開示される技術を実施するシステムに移動してもよい。
【0072】
さらに、本明細書中に開示されるいくつかの例でEMRは音声に基き自動的にアップデートされるが、本明細書中に開示される技術を、音声のみでなくテキストおよび他の構造化されないデータに適用してもよい。例えば、本明細書中に開示される技術を、データを手動でデータベースフォームに入力する必要なしに、文体で記入された記入医療レポートからファクトを抽出、およびその抽出されたファクトを用いてEMRを自動的にアップデートするのに使用してもよい。
【0073】
前述の技術を、例えば、ハードウェア、コンピュータ可読な媒体、ファームウェア、またはそれらのあらゆる組み合わせで明白に実現されたハードウェア、ソフトウェアで実施してもよい。前述の技術を、プロセッサ、プロセッサが可読な記憶媒体(例えば揮発性および不揮発性メモリ、および/または記憶構成要素を含む)、少なくとも1つの入力装置、および少なくとも1つの出力装置を有するプログラム可能なコンピュータで実行する1つまたは複数のコンピュータプログラムで実施してもよい。プログラムコードを、入力装置を用いて入力される入力に適用し、記載された機能を実行して出力を作成してもよい。出力を、1つまたは複数の出力装置に提供してもよい。
【0074】
後述の請求項の範囲内のそれぞれのコンピュータプログラムは、アセンブリ言語、機械言語、高レベル手続き型プログラミング言語、またはオブジェクト指向プログラミング言語のような、いずれのプログラミング言語で実施してもよい。プログラミング言語は、例えば、コンパイルされたまたは解釈されたプログラミング言語であってもよい。
【0075】
そのようなコンピュータプログラムのそれぞれを、コンピュータプロセッサによる実行のため、機械可読な記憶装置の非一過性信号で明白に具体化されたコンピュータプログラム製品で実施してもよい。本発明の方法ステップを、コンピュータ可読な媒体で明白に具体化されたプログラムを実行するコンピュータプロセッサにより実行し、本発明の機能を入力の操作および出力の作成により実行してもよい。適切なプロセッサは、例示の目的で、汎用および特殊用途マイクロプロセッサを含む。通常、プロセッサは読み出し専用メモリおよび/またはランダムアクセスメモリから指示およびデータを受信する。コンピュータプログラム指示を明白に具体化する適切な記憶装置は、例えば、EPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリ装置を含む半導体メモリ装置のような全ての形の不揮発性メモリ、内部のハードディスクおよびリムーバブルディスクのような磁気ディスク、光磁気ディスク、およびCD−ROMを含む。前述のいずれも、特別に設計されたASIC(特定用途内蔵回路)またはFPGA(フィールドプログラム可能なゲートアレイ)が補助し、または内蔵してもよい。コンピュータもまた、通常、内部のディスク(図示せず)またはリムーバブルディスクのような記憶媒体からプログラムおよびデータを受信可能である。これらの構成要素はまた、従来のデスクトップまたはワークステーションコンピュータ、ならびに本明細書に記載された方法を実施するコンピュータプログラムの実行に適切な他のコンピュータにも見出され、あらゆるデジタルプリントエンジンまたはマーキングエンジン、ディスプレイモニタ、または紙、フィルム、ディスプレイ画面、または他の出力媒体にカラーまたはグレイスケールピクセルを生成可能なラスタ出力装置と併せて使用してもよい。