(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5986937
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】浸透したメッシュを使用して接着剤結合線の品質を制御する
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20160823BHJP
B41J 2/16 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
B41J2/14 301
B41J2/14 613
B41J2/16 503
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-21335(P2013-21335)
(22)【出願日】2013年2月6日
(65)【公開番号】特開2013-173360(P2013-173360A)
(43)【公開日】2013年9月5日
【審査請求日】2016年2月4日
(31)【優先権主張番号】13/404,426
(32)【優先日】2012年2月24日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ジェイ・ニストロム
(72)【発明者】
【氏名】ヤンジア・ズオ
【審査官】
下村 輝秋
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−178893(JP,A)
【文献】
特開2006−070198(JP,A)
【文献】
特開2006−291167(JP,A)
【文献】
特開昭60−082356(JP,A)
【文献】
特開平11−010873(JP,A)
【文献】
特開2007−008971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一緒に積み重ねた複数の機能性プレートと、
前記機能性プレート間の結合を提供するために隣接する機能性プレートの間に配置される接着剤塗布メッシュ基板を構成する接着剤及びメッシュ基板を有すると共に、前記接着剤がしみ込まされ、前記接着剤が接合部から押し出されるのを制限する接着剤閉じ込め構造と、を含み、
前記接着剤は、UVインクにさらされたときでも接着剤の性質を維持し、前記メッシュ基板は、セルロース、ナイロン、ポリエステルのうちの少なくとも一つからなり、
前記接着剤閉じ込め構造が、前記接着剤が入れられる複数の開口部を含み、前記各開口部が、略矩形の形状を有し、各開口部は、前記接着剤閉じ込め構造の長さ方向及び幅方向の縁から間隔をおいて位置しており、
前記接着剤閉じ込め構造上に前記接着剤をローラで延ばすことにより、余分な前記接着剤が押し出されることが可能である、印字ヘッドアセンブリ。
【請求項2】
前記接着剤閉じ込め構造が、約100〜325mmの長さと、約10〜約50mmの幅とを有している、請求項1に記載の印字ヘッドアセンブリ。
【請求項3】
前記接着剤閉じ込め構造が、約70mmの長さと約4mmの幅とを有する複数の前記開口部を含み、前記複数の開口部同士の間は約1mm〜約2mm離れている、請求項1に記載の印字ヘッドアセンブリ。
【請求項4】
前記接着剤閉じ込め構造が複数の前記開口部を含み、前記各開口部は約25μm〜約700μmの大きさを有しており、約300μm〜約600μmの間隔があいている、請求項1に記載の印字ヘッドアセンブリ。
【請求項5】
前記接着剤閉じ込め構造が複数の前記開口部を含み、前記各開口部は約5μm〜約25μmの大きさを有している、請求項1に記載の印字ヘッドアセンブリ。
【請求項6】
前記接着剤が、高分子、架橋性アクリル接着剤、エポキシ樹脂、または熱可塑性ポリイミドを含む、請求項1に記載の印字ヘッドアセンブリ。
【請求項7】
前記複数の機能性プレートは、金属、セラミック、及びプラスチック材料のうちの一つから構成される第1機能性プレートと、金属、セラミック、及びプラスチック材料のうちの他の一つから構成される第2機能性プレートとを備える、請求項1に記載の印字ヘッドアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、印字ヘッドアセンブリに関し、特に、印字ヘッドアセンブリの部分の中の水分を制御するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体インクジェット印刷機が、インクで満たされた1つ以上の流路を含む印字ヘッドを含み、この流路の一方の端部はインク供給チャンバまたは容器と連通しており、反対側の端部には一般にノズルと呼ばれるオリフィスを有している。この流路の中のノズル付近には圧力パルスを生成するために圧電変換器などのエネルギー発生器がある。サーマルインクジェットまたはバブルジェット(登録商標)として知られている他の種類のシステムでは、ノズル付近の発熱抵抗により高速の液滴を生成する。デジタル情報を表す印刷信号が、各インク通路の中のオリフィスまたはノズル付近の抵抗層内に電流パルスを引き起こして、すぐ近くのインクを、ほぼ瞬間的に蒸発させて、気泡を生成させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
インクジェット印字ヘッドは、その製造の一環として、材料の複数の層を通常必要とする。従来の方法は、光化学的にエッチングされ、ロバスト構造を形成するために一緒にろう付けされた形状を有する、金めっきされたステンレス製の金属薄板層を使用する。しかしながら、コストおよび性能の改善に向けての継続的な流れが、今までのものに代わる材料と結合プロセスの使用を求めている。高分子層が、特定の金属薄板構成要素に取って代わることができ、固体インク印字ヘッドのコストを下げるために使用できるが、これらの高分子の大部分は、これらの材料または界面を劣化させる可能性があるUVインクと一緒に使用した場合、うまく働かない。必要なのは、従来の設計に関連する問題を克服する改善された印字ヘッド設計である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書のいくつかの態様により、印字ヘッドアセンブリを開示する。印字ヘッドアセンブリは、一緒に積み重ねた複数の機能性プレートと、機能性プレート間の結合を提供するために隣接する機能性プレートの間に配置された接着剤塗布メッシュ基板を含む接着剤閉じ込め構造と、を含むことができる。
【0005】
いくつかの態様では、接着剤閉じ込め構造が約102mmの長さと約37mmの幅とを有することができる。いくつかの態様では、接着剤閉じ込め構造が、約70mmの長さと約4mmの幅とを有する複数の開口部を含むことができ、複数の開口部同士の間は約1mm〜約2mm離れている。いくつかの態様では、接着剤閉じ込め構造が複数の開口部を含むことができ、各開口部は約25μm〜約700μmの大きさを有しており、約300μm〜約600μmの間隔があいている。いくつかの態様では、複数の開口部が約5μm〜約25μmの大きさを有することができる。いくつかの態様では、接着剤閉じ込め構造が、約100〜325mmの長さと、約10〜約50mmの幅とを有することができる。
【0006】
いくつかの態様では、接着剤が、架橋性アクリル接着剤、エポキシ樹脂、および/または熱可塑性ポリイミドを含むことができる。いくつかの態様では、機能性プレートが金属、セラミック、および/またはプラスチック材料から形成できる。
【0007】
本明細書のいくつかの態様により、印字ヘッドが一緒に積み重ねた複数の機能性プレートを含む、印字ヘッドアセンブリを製作する方法を開示する。この方法は、接着剤閉じ込め構造に接着剤を塗布することと、接着剤閉じ込め構造を、隣接する機能性プレートの間に配置することと、結合された機能性プレートで印字ヘッドアセンブリを形成することと、を含むことができる。
【0008】
上述の概説および下記の詳述は、あくまで例を示して説明したに過ぎず、特許請求をする本明細書を限定するものではないことを理解されたい。
【0009】
本明細書に組み込まれるとともに本明細書の一部を構成している添付図面が、本明細書のいくつかの実施形態を示しており、描写とともに本明細書の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本明細書の態様によるインクジェット印刷機用の印字ヘッドアセンブリの横断面図例を示している。
【
図2】
図2は、本明細書の態様による接着剤閉じ込め構造例を示す図である。
【
図3】
図3は、本明細書の態様による他の接着剤閉じ込め構造例を示す図である。
【
図4】
図4は、本明細書の態様による印字ヘッドアセンブリを形成するための方法例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで明細書のさまざまな例示的実施形態が詳細に参照する。添付図面では、これらの実施形態の実施例を示している。可能な限り、同じかまたは類似の部分を示すためには図面全体を通して同じ参照番号を使用する。
【0012】
一般に、本明細書の態様は、さまざまなインク種類との適合と、制御された押し出しとを可能にするために、レーザパターン形成またはダイス切断などでパターン形成され、液体エポキシ樹脂または接着剤を含浸したメッシュ/繊維膜を使用することを含んでいる。パターン/メッシュ/繊維材料は、押し出しの制御と、紫外線(UV)硬化性インクおよび他のインクとの適合性と、を支援する。すぐれた耐薬品性を有する一方で、容易には膜にならない接着剤および/またはエポキシ樹脂が、複雑な流体通路を備えた印字ヘッド積層板の製造に使用できる。場合により網形にプレカットされたポリエステル系繊維からなる編まれたメッシュと同様の材料をもってきて、その材料に液体接着剤を染み込ませて、それを印字ヘッドの層の間に貼り付けることにより、強固な結合を形成できる。このメッシュは、キャプチャ層が接合部から液体材料を完全に押し出すのを防止することにより、材料からの押し出しを制限できる。部分は、材料に対する推奨スケジュールが許すどんな方法を用いてでも、固定して硬化させることができる。
【0013】
図1は、インクジェット印刷機用の印字ヘッドアセンブリ100の横断面図例を示している。アセンブリ100は、アセンブリを通り過ぎる被印刷物上に、溶けたインクを制御しながら分配するための、属するものとされた機能を、そのそれぞれが行う、ひと続きの機能性プレートを含むことができる。特定の実施形態では、印字ヘッドアセンブリ100が、インクの流れの入り口経路102と、層のスタックアップ(積層)を通り抜けるインクの流れの出口経路103と、を含むことができ、この層のスタックアップは、(図の上端から下端までの層)フレックス回路材料から構成されたフレキシブル回路層105(厚さ約0.003インチ)と、柔軟な熱硬化接着剤および柔軟な導電性エポキシ樹脂115から構成されたスタンドオフ層110(厚さ約0.001インチ)を含む層と、ポリイミド材料および圧電材料125から構成されたスペーサ層120(厚さ約0.002インチ)を含む層と、ステンレス鋼から構成されたダイヤフラム層130(厚さ約0.0008インチ)と、例えば、DuPontが提供する熱可塑性ポリイミド膜ELJなどを含むポリイミド基膜から構成されたダイヤフラム接着剤層135(厚さ約0.001インチ)と、ステンレス鋼から構成された本体層140(厚さ約0.003インチ)と、ステンレス鋼から構成された本体出口A142(厚さ約0.006インチ)と、ステンレス鋼から構成された本体出口B150(厚さ約0.010インチ)と、DuPontの粘着性ELJ層145a、ポリイミド層145b、およびDuPontの粘着性ELJ層145cを含む高分子層145と、ステンレス鋼層150(厚さ約0.010インチ)と、ポリイミド材料から構成された開口層155(厚さ約0.001インチ)と、を含んでいる。ステンレスの任意の組み合わせを結合するために、アルミニウムまたはポリイミド層が、DuPont社が提供する市販の熱硬化性ポリイミド膜であるELJのような薄膜接着剤、または柔軟な熱硬化接着剤を必要とする。印字ヘッドアセンブリ100のそれぞれの接着剤および/またはエポキシ樹脂層は、
図2および
図3に示す後述の閉じ込め構造を含むことができる。
【0014】
図2および
図3は、本明細書の態様の接着剤閉じ込め構造例を示している。両方の図では、この構造の外形寸法が約102mmの長さと約37mmの幅とを有することができる。特に、
図2は、より大きな形状で使用できる接着剤閉じ込め構造200を示している。接着剤閉じ込め構造は、約70mmの長さと約4mmの幅とを有する複数の開口部205を含んでいる。複数の開口部205同士の間は約1mm〜約2mm離れることができる。
図3は、穴部305が約50〜200μmの大きさであり、約300〜約600μmのピッチ間隔を有する可能性があるような、より小さい形状で使用できる閉じ込め構造300を示している。いくつかの態様では、微細な形状の小さい方は約25μm以下、大きい方は約600または約700μmである可能性がある。
【0015】
接着剤はR1500、DuPont ELJ、日立KS6600、または他の同様の材料を含むことができ、厚さは約1ミルである可能性がある。これらの材料は良好な耐薬品性を有し、印字ヘッド設計、特にUVインクを用いる印字ヘッド設計に適した強力な結合をもたらす傾向がある。また、これらの材料はレーザまたは同様の方法でパターン形成するのに適しており、最終局面の中で切削される小さい形状および通路に対して厳格な精度を保持する。
【0016】
接着剤閉じ込め構造は、従来技術を用いて切削できる合成材料から構成できる。例えば、ARLONが、レーザであけるマイクロビアプリント基板用の、ポリイミド回路基板積層板と、アラミド繊維を含むプリプレグ(85NT)とを製造している。メッシュ状接着剤閉じ込め構造上に接着剤を、例えば、浸し塗りする、ローラで延ばす、および/または分配することを含むさまざまな技術を用いて、閉じ込め構造に接着剤を塗布し、被覆し、および/または染み込ませることができる。例えば、接着剤閉じ込め構造上に接着剤をローラで延ばすことにより、余分な接着剤を押し出すことができる。適切な厚さを選択することにより、最終的な結合線の厚さを直接制御できる。望ましい最終特性に応じて、接着剤閉じ込め構造として他の材料、例えば、金属メッシュまたは金属スクリーン、ナイロン、セルロースなどを選択できる。
【0017】
いくつかの態様では、布材料に接着剤/エポキシ樹脂を塗布し、接着剤をBステージ化し、または接着剤を乾燥させることにより直接に、プリプレグ型の材料を形成できる。同じ利点(制御された押し出し)が当てはまるであろうが、この材料は、他の膜の原料が現在取り扱われているように取り扱われる可能性がある。
【0018】
図4は、本明細書の態様の印字ヘッドアセンブリを形成するためのフローチャート例を示している。405で、接着剤閉じ込め構造に接着剤を塗布することから方法が始まる。410で、接着剤閉じ込め構造を、隣接する機能性プレートの間に配置することで方法が継続する。415で、結合された機能性プレートで印字ヘッドアセンブリを形成することで方法が終了する。
【0019】
本明細書および添付クレームのために、特に断りのない限り、本明細書およびクレームで使用する数量、百分率または比率、および他の数値を表現するすべての数字は、すべての場合に、用語「約」により変更されるものと理解すべきである。したがって、反対の指摘のない限り、明細書および添付クレームに記載する数値パラメータは、本明細書を用いて取得しようとする望ましい特性に応じて変化する可能性がある近似値である。最低でも、および均等論の適用をクレームの範囲に限定しようとするためではなく、各数値パラメータは、報告された有効桁数を考慮するとともに、通常の丸め法を適用することにより、少なくとも解釈すべきである。