特許第5986941号(P5986941)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5986941
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】レベリングバルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 11/04 20060101AFI20160823BHJP
   F16K 31/48 20060101ALI20160823BHJP
   B60G 17/056 20060101ALI20160823BHJP
   B60G 11/26 20060101ALI20160823BHJP
   B61F 5/10 20060101ALI20160823BHJP
   B61F 5/22 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   F16K11/04 Z
   F16K31/48
   B60G17/056
   B60G11/26
   B61F5/10 D
   B61F5/22 E
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-38978(P2013-38978)
(22)【出願日】2013年2月28日
(65)【公開番号】特開2014-167319(P2014-167319A)
(43)【公開日】2014年9月11日
【審査請求日】2015年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(74)【代理人】
【識別番号】100137604
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 淳
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 努
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 祐介
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 実開平7−23605(JP,U)
【文献】 特開平9−20123(JP,A)
【文献】 特開昭49−62865(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第931547(GB,A)
【文献】 特開平6−156041(JP,A)
【文献】 特公昭48−35964(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 11/04
F16K 31/48
B60G 11/26
B60G 17/056
B61F 5/10
B61F 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車体と台車の間に設けられる空気バネの高さを調整するレベリングバルブであって、
前記空気バネと圧縮空気源またはドレンに連通する流路を画成するシート部と、
前記台車に対する前記車体の相対変位に応じて軸方向に移動するバルブと、
前記バルブを前記シート部に当接する閉じ側に付勢するスプリングと、
前記スプリングの一端を支持するとともに、ハウジング内壁面に対して摺動自在に挿入されるバルブガイドと、
前記ハウジング内壁面に開口する連通ポートと、を備え、
前記バルブガイドが移動する移動領域は、前記連通ポートに対して軸方向についてオフセットされた位置に設定されることを特徴とするレベリングバルブ。
【請求項2】
前記バルブの前記シート部に当接する弁体部と前記バルブガイドを前記バルブが移動する軸方向に離間させるバルブガイド離間手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のレベリングバルブ。
【請求項3】
前記バルブガイド離間手段として前記バルブと前記バルブガイドの間に介装されるキャップを備え、
閉弁位置において前記連通ポートは、前記キャップの外周に対向するように配置されることを特徴とする請求項2に記載のレベリングバルブ。
【請求項4】
前記キャップは、
前記バルブに連結される連結筒部と、
前記バルブガイドに連結される連結軸部と、
前記連結筒部及び前記連結軸部の間で前記バルブガイドに当接する段部と、を有することを特徴とする請求項3に記載のレベリングバルブ。
【請求項5】
前記バルブは、前記バルブガイド離間手段として前記弁体部から軸方向に延びてバルブガイドを支持する支持部を有し、
閉弁位置において前記連通ポートは、前記支持部の外周に対向するように配置されることを特徴とする請求項2に記載のレベリングバルブ。
【請求項6】
前記バルブガイドは、前記バルブガイド離間手段として軸方向に延びて前記バルブに連結される脚部を有し、
閉弁位置において前記連通ポートが前記脚部の外周に対向するように配置されることを特徴とする請求項2に記載のレベリングバルブ。
【請求項7】
前記シート部は軸方向に延びる環状に形成され、
閉弁位置において前記連通ポートは、前記バルブの外周及び前記シート部の外周に対向するように配置されることを特徴とする請求項1に記載のレベリングバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に用いられる空気ばねの高さを調整するレベリングバルブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、台車に対する車体の相対変位に応じて回転するレバーと、レバーの回転によって選択的に開閉作動する給気弁及び排気弁からなるレベリングバルブと、を備える鉄道車両が開示されている。
【0003】
上記のレベリングバルブでは、車体が台車に対して所定の高さにある場合には、レバーが中立位置にあり、給気弁と排気弁が共に閉弁して、空気バネがコンプレッサ及びドレンから遮断される。車体の荷重が増加して車体が台車に対して沈み込むと、レバーの回転に応じて給気弁が開弁作動し、コンプレッサから空気バネに圧縮空気を供給して車体を上昇させる。一方、車体の荷重が減少して車体が台車から浮き上がると、レバーの回転に応じて排気弁が開弁作動し、空気バネの圧縮空気を大気中に排出して車体を下降させる。
【0004】
従来のレベリングバルブはレバーの回転に応じて軸方向に移動する弁体と、弁体を閉じ側に付勢するスプリングと、弁体に連結されスプリングの一端を支持するバルブガイドと、これらを収容するハウジングと、備える。
【0005】
ハウジングにはバルブガイドが摺動するハウジング内壁部(ガイド壁)が形成され、ハウジング内壁部にはコンプレッサに連通する連通ポートが開口している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−076480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような従来のレベリングバルブでは、弁体とバルブガイドが軸方向に移動する開閉作動時に、ハウジング内壁部に摺接するバルブガイドの外周部が連通ポートの開口端に干渉し、弁体の開閉作動が円滑に行われないことがある。
【0008】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、弁体の開閉作動が円滑に行われるレベリングバルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、車両の車体と台車の間に設けられる空気バネの高さを調整するレベリングバルブであって、空気バネと圧縮空気源またはドレンに連通する流路を画成するシート部と、台車に対する車体の相対変位に応じて軸方向に移動するバルブと、バルブをシート部に当接する閉じ側に付勢するスプリングと、スプリングの一端を支持するとともに、ハウジング内壁面に対して摺動自在に挿入されるバルブガイドと、ハウジング内壁面に開口する連通ポートと、を備え、バルブガイドが移動する移動領域は、連通ポートに対して軸方向についてオフセットされた位置に設定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、バルブガイドが移動する移動領域が連通ポートに対して軸方向についてオフセットされているため、レベリングバルブの開閉作動時に、ハウジング内壁部に摺接するバルブガイドの外周部が連通ポートの開口端に干渉することが回避され、レベリングバルブの開閉作動が円滑に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係るレベリングバルブの取付図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るレベリングバルブの断面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る排気弁の断面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る排気弁の一部を拡大した断面図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る図4のA−A線に沿う断面図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る排気弁の断面図である。
図7】本発明の第3実施形態に係る排気弁の断面図である。
図8】本発明の第3実施形態に係るバルブガイドの側面図である。
図9】本発明の第4実施形態に係る排気弁の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
(第1実施形態)
まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係るレベリングバルブ100の概要について説明する。
【0014】
レベリングバルブ100は、鉄道車両の車体1と台車2の間に設けられる空気バネ3の高さを調整して、車体1を一定の高さに維持する機能を有するものである。
【0015】
レベリングバルブ100は、車体1と台車2の間にわたって装着される。レベリングバルブ100は、車体1に取り付けられ、レバー4と連結棒5を介して台車2に連結される。車体1の荷重変化により空気バネ3が伸縮して車体1の高さが変化すると、この変化が連結棒5及びレバー4を介してレベリングバルブ100に伝えられる。
【0016】
車体1が台車2に対して所定の高さにある場合には、レバー4が中立位置にあり、レベリングバルブ100では、給気弁31(図2参照)と排気弁32(図2参照)が共に閉弁する。これにより、空気バネ3に連通する空気バネ通路6は、コンプレッサ(圧縮空気源)7及びドレン(外部)から遮断され、空気バネ3が一定の高さに保たれる。
【0017】
車体荷重が増加して空気バネ3が撓んだ場合には、レバー4が中立位置から上方に押し上げられて図1中矢印A方向への回転し、それに伴ってレベリングバルブ100の給気弁31(図2参照)が開弁する。これにより、空気バネ通路6とコンプレッサ7が連通し、コンプレッサ7からの圧縮空気が空気バネ3へ供給される。空気バネ3が一定の高さに復元すると、レバー4が中立位置に戻ってレベリングバルブ100の給気弁31が閉弁し、圧縮空気の供給が遮断される。
【0018】
一方、車体荷重が減少して空気バネ3が伸びた場合には、レバー4が中立位置から下方に引き下げられて図1中矢印B方向への回転し、それに伴ってレベリングバルブ100の排気弁32(図2参照)が開弁する。これにより、空気バネ通路6と排気通路8が連通し、空気バネ3の圧縮空気は大気へ排出される。空気バネ3が一定の高さに復元すると、レバー4が中立位置に戻ってレベリングバルブ100の排気弁32が閉弁し、圧縮空気の排出が遮断される。
【0019】
このように、レベリングバルブ100は、車体1と台車2の間に生じた相対変位を自動的に調節して、車体1を一定の高さに維持する。
【0020】
次に、主に図2〜5を参照して、レベリングバルブ100について詳しく説明する。
【0021】
図2に示すように、レベリングバルブ100は、中央部に配置される緩衝バネ部20と、上部に配置される給気弁31及び排気弁32と、下部に配置されるダンパー25とを備える。
【0022】
緩衝バネ部20は、軸21に固定されるスイングアーム(図示せず)と、軸21に対して回転自由な作動アーム22と、軸21に同心に初期荷重が与えられた状態で組み込まれスイングアームと作動アーム22に同時に接触して配置された緩衝バネ23とを備える。レバー4の回転は、スイングアーム及び緩衝バネ23を介して作動アーム22に伝達される。つまり、作動アーム22はレバー4の回転に伴って回転する。
【0023】
給気弁31と排気弁32は、作動アーム22の先端側を中心として対称に配置され、バルブケース11(図1参照)内に納められる。レベリングバルブ100は、空気バネ3に対する圧縮空気の給排が禁止される不感帯を設けるために、作動アーム22が中立位置から回転しても給気弁31及び排気弁32が直ぐには開弁されないように、作動アーム22と給気弁31、排気弁32との間に隙間を有している。これにより、作動アーム22の所定角度未満の回転に対して、空気バネ3に対する圧縮空気の給排が行われないため、給気弁31及び排気弁32のハンチングを防止することができる。
【0024】
ダンパー25は、作動アーム22の基端側に連結され作動アーム22の回転に伴って移動するピストン(図示省略)を備える。ピストンは、バルブケース11内に形成された油室12中に浸漬して配置され、作動アーム22が中立位置から回転する際には作動アーム22の回転動作に抵抗を付与する一方、作動アーム22が中立位置に戻る際には作動アーム22に抵抗をほとんど付与しない。
【0025】
次に、給気弁31及び排気弁32について説明する。
【0026】
給気弁31と排気弁32の構造及び形状は同じであるため、以下では主に排気弁32について説明する。なお、給気弁31と排気弁32における同一の構成には同一の符号を付す。
【0027】
排気弁32は、バルブケース11に取り付けられる円筒状のハウジング33と、ハウジング33の内部に設けられる流路を画成するシート部36と、作動アーム22の回転に伴って軸方向に移動するロッド38と、ロッド38に連結されるバルブ34と、バルブ34をシート部36に当接する閉じ側に付勢するスプリング39と、バルブ34に連結されスプリング39の一端を支持するバルブガイド51と、スプリング39の他端を支持するバネ受け部材41とを備える。
【0028】
図2〜4において、Oはハウジング33及びバルブ34の中心軸である。なお、「径方向」は中心軸Oを中心とする放射方向を意味し、「軸方向」は中心軸Oが延在する方向を意味し、「内側」は径方向での内方を意味する。
【0029】
ハウジング33の外周面の一部には、おねじ部33F(図3参照)が形成される。このおねじ部33Fをバルブケース11に形成されためねじ部(図示省略)に螺合させることによって、ハウジング33はバルブケース11に締結される。また、ハウジング33の外周には、径方向に延びる鍔部33G(図3参照)が形成される。この鍔部33Gがバルブケース11の端面にワッシャ15を介して当接することによって、ハウジング33はバルブケース11に位置決めされる。
【0030】
ハウジング33とバルブケース11の間には、Oリング17〜19が介装され、後述する各通路6、8、10が密封される。
【0031】
ハウジング33におけるバルブケース11からの突出部の外周には、ねじ部33Hが形成される。排気弁32のねじ部33Hには、空気バネ通路6の配管6A(図1参照)が締結される。給気弁31のねじ部33H(図3参照)には、コンプレッサ7に連通する供給通路9の配管9A(図1参照)が締結される。
【0032】
図3に示すように、ハウジング33の内部には、油室12側から順に、第1穴33A、第1穴33Aと比較して小径の第2穴33B、第2穴33Bと比較して大径の第3穴33C、第3穴33Cと比較して大径の第4穴33D、及び第4穴33Dと比較して大径の第5穴33Eが中心軸Oを中心として直列に並んで形成される。
【0033】
ハウジング33の第2穴33Bの内周面には、ロッド38が摺動自在に挿入される。これにより、ロッド38が中心軸Oと同心上に位置するように案内される。
【0034】
ロッド38は、その先端部が油室12中に突出している。バルブ34がシート部36に当接した状態では、ロッド38の先端部が作動アーム22と所定の隙間を有して対峙する。作動アーム22が中立位置から所定角度以上回転した場合には、作動アーム22がロッド38の先端部に当接する。そして、バルブ34は、作動アーム22の回転に伴ってコイルスプリング39の付勢力に抗して移動してバルブ34がシート部36から離間することによって開弁する。
【0035】
ハウジング33の第1穴33Aと第2穴33Bの境界部には、Oリング14が介装される。Oリング14によって第2穴33Bの内周面とロッド38の間が密封される。
【0036】
ハウジング33の第1穴33Aには、リング状のプラグ16が螺合して締結される。プラグ16によってOリング14の抜け止めが行われる。
【0037】
ハウジング33内には、第3穴33Cとロッド38とバルブ34とで区画された第1気室45と、第4穴33Dとバルブ34とキャップ60とバルブガイド51とで区画された第2気室46と、第4穴33Dとバルブガイド51とバネ受け部材41とで区画された第3気室47と、第5穴33Eに介装されたスリーブ42等で区画された第4気室48と、が設けられる。
【0038】
第2気室46と第3気室47と第4気室48は、空気バネ通路6を通じて空気バネ3と常時連通している。
【0039】
ハウジング33には、第1気室45に開口するドレンポート52が形成される。ドレンポート52は、バルブケース11に形成される排気通路8を通じて外部(ドレン)に常時連通している。
【0040】
ハウジング33には、第2気室46に開口する連通ポート53が形成される。連通ポート53は、バルブケース11に形成される環状溝58と連絡通路10を通じて給気弁31のハウジング33に形成される供給ポート54(図2参照)に常時連通している。
【0041】
一方、給気弁31では、第2気室46と第3気室47と第4気室48が供給通路9を通じてコンプレッサ7と常時連通している。給気弁31のハウジング33に形成された連通ポート53は、バルブケース11によって閉塞されている。
【0042】
給気弁31の開弁時には、コンプレッサ7から供給される圧縮空気が供給ポート54から連絡通路10とバルブケース11の環状溝58を通じて排気弁32の連通ポート53に導かれる。連絡通路10の途中には、給気弁31の供給ポート54から排気弁32の連通ポート53への圧縮空気の流れのみを許容する逆止弁(図示せず)が設けられる。
【0043】
連通ポート53は、ハウジング33の第4穴33Dの内周面に開口されるが、ハウジング33のおねじ部33Fを避けて形成する必要がある。同様にバルブケース11の内壁に開口する環状溝58もおねじ部33Fに螺合するめねじ部(図示省略)を避けて形成する必要がある。このため、連通ポート53は、図2〜4においておねじ部33Fの内側に設けられる第3気室47に開口させることができず、第2気室48にてバルブ34の近傍に開口させなければならない。
【0044】
シート部36は、ハウジング33の第4穴33Dの底部(段部)33Iから軸方向に環状に突出する。シート部36の内周面は、第3穴33Cの内周面と段差なく連続している。
【0045】
ロッド38は、円柱状の大径部38Aと、大径部38Aより細い円柱状の小径部38Bと、を有する。大径部38Aは、ハウジング33の第2穴33Bに沿って摺動する。小径部38Bは、バルブ34に結合される。
【0046】
図4に示すように、バルブ34は、ロッド38の小径部38Bに連結される円筒状の連結部34Bと、シート部36に当接したり離間する円盤状の弁体部34Aと、を有する。
【0047】
バルブ34の連結部34Bは、その内周がロッド38の小径部38Bに嵌合する。連結部34Bの一端はロッド38の段部38Cに当接し、連結部34Bの他端はロッド38の基端カシメ部38Dによってカシメ固定される。
【0048】
なお、上述した構成に限らず、ロッド38とバルブ34を一体で形成してもよい。
【0049】
弁体部34Aには、環状のパッキン13が介装される。パッキン13がシート部36に当接することにより、両者間の密封性が確保される。
【0050】
なお、上述した構成に限らず、パッキン13を廃止し、弁体部34Aの端面がシート部36に当接するようにしてもよい。
【0051】
リング状のバネ受け部材41は、ハウジング33の第4穴33Dと第5穴33E(図3参照)の境界に形成された段部33Jに係合して設けられる。バネ受け部材41は、スリーブ42、多孔プレート43、止め輪44を介して固定される。
【0052】
バネ受け部材41とバルブ34に連結されたバルブガイド51との間には、コイル状のスプリング39が圧縮された状態で介装される。スプリング39は、バルブ34をシート部36に当接する閉弁方向に付勢する付勢部材として機能する。バルブガイド51は、スプリング39のバネ力をバルブ34に伝達する伝達部材として機能する。
【0053】
バルブガイド51は、平板をリング状に打ち抜いて形成される。図5に示すように、バルブガイド51は、後述するキャップ60の連結軸部60Bに嵌合する連結穴51Aと、ハウジング33の第4穴33Dに沿って摺動する外周部51Bと、外周部51Bに開口する複数の切り欠き51Cと、を有する。切り欠き51Cとハウジング33の第4穴33Dの間には、空気バネ3に給排される空気が流れる流路が画成される。
【0054】
ハウジング33の第4穴33Dには、バルブガイド51が摺動自在に挿入される。第4穴33Dは、その内径がバルブガイド51の外径より大きく形成され、バルブガイド51の外周部51Bとの間に所定の隙間を持つ。これにより、第4穴33Dの内周面は、バルブガイド51が軸方向に移動するように案内するハウジング内壁部(ガイド壁)として機能する。
【0055】
排気弁32の開閉作動時に、バルブガイド51は、その外周部51Bが第4穴33Dに摺接して軸方向に移動する。これにより、バルブガイド51は、バルブ34を中心軸Oと同心上に位置するように支持する支持部材として機能する。
【0056】
図4において、閉弁位置にあるバルブガイド51を実線で示し、開弁位置にあるバルブガイド51を2点鎖線で示している。バルブガイド51の外周部51Bは、第4穴33Dの内周面に対して移動領域Sの範囲で移動する。
【0057】
第4穴33Dの内周面に摺接するバルブガイド51の外周部51Bが連通ポート53に干渉することを避けるために、バルブ34の弁体部34Aとバルブガイド51を軸方向に離間させるバルブガイド離間手段が設けられ、移動領域Sが連通ポート53に対して軸方向についてオフセットされた位置に設定される。
【0058】
バルブガイド離間手段として、バルブ34とバルブガイド51の間に介装されるキャップ60が設けられる。
【0059】
バルブ34とバルブガイド51の間にキャップ60が介装されることにより、バルブガイド51の位置がシート部36と反対側(図2〜4において右側)に離される。キャップ60における連結筒部60Aの軸方向の長さを任意に設定することにより、バルブガイド51の外周部51Bが移動する移動領域Sは、連通ポート53の開口端に対して軸方向に離される。
【0060】
バルブ34がシート部36に当接した閉弁位置において、連通ポート53は、バルブ34の弁体部34Aの外周及びキャップ60の外周に対向するように設けられる。
【0061】
キャップ60は、バルブ34に連結される連結筒部60Aと、バルブガイド51に連結される連結軸部60Bと、連結筒部60A及び連結軸部60Bの間でバルブガイド51に当接する環状の段部60Cと、を有する。
【0062】
キャップ60は、連結筒部60Aの内周がバルブ34の連結部34Bの外周に嵌合するとともに、連結筒部60Aの端面がバルブ34の段部34Cに当接することにより、バルブ34に連結される。
【0063】
バルブガイド51は、前述したとおりキャップ60を介してバルブ34に連結される。バルブガイド51は、スプリング39のバネ力によってその端面がキャップ60の段部60Cに当接している。
【0064】
バルブ34の連結部34Bとキャップ60の連結軸部60Bは、それぞれの外径が互いに等しくなるように形成される。これにより、排気弁32の仕様に応じて、キャップ60が廃止される場合に、バルブガイド51をバルブ34の連結部34Bに直接連結することができる。
【0065】
以上の第1実施形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
【0066】
〔1〕レベリングバルブ100では、バルブガイド51が摺動自在に挿入されるハウジング内壁部(第4穴33Dの内周面)に対してバルブガイド51の外周部51Bが移動する移動領域Sが連通ポート53に対して軸方向についてオフセットされた位置に設定される。そのため、開閉作動時にハウジング内壁面(第4穴33Dの内周面)に摺接するバルブガイド51の外周部51Bが連通ポート53に干渉することが回避され、レベリングバルブ100の開閉作動が円滑に行われる。
【0067】
〔2〕バルブ34の弁体部34Aとバルブガイド51をバルブ34が移動する軸方向に離間させるバルブガイド離間手段を備える。そのため、連通ポート53の開口位置を変更することなく、移動領域Sを連通ポート53に対して軸方向についてオフセットすることができる。
【0068】
〔3〕レベリングバルブ100では、バルブガイド離間手段としてバルブ34とバルブガイド51の間に介装されるキャップ60を備え、閉弁位置において連通ポート53がキャップ60の外周に対向するように配置される。そのため、バルブ34及びバルブガイド51の形状を変更することなく、移動領域Sを連通ポート53に対して軸方向についてオフセットすることができる。
【0069】
〔4〕キャップ60は、バルブ34に連結される連結筒部60Aと、バルブガイド51に連結される連結軸部60Bと、連結筒部60A及び連結軸部60Bの間でバルブガイド51に当接する環状の段部60Cと、を有する。そのため、連結筒部60Aの軸方向の長さに応じて移動領域Sの連通ポート53に対するオフセット量を設定できる。
【0070】
(第2実施形態)
次に、図6を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。以下では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、上記第1実施形態のレベリングバルブ100と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0071】
上記第1実施形態に係るレベリングバルブ100では、バルブガイド離間手段として、バルブ34とバルブガイド51の間に介装されるキャップ60が設けられる構成であった。第2実施形態に係るレベリングバルブ200では、バルブガイド離間手段として、キャップ60を用いずに、バルブ74にバルブガイド51を弁体部74Aから離して支持する支持部74Dが設けられる。
【0072】
バルブ74は、シート部36に当接する円盤状の弁体部74Aと、バルブガイド51が連結される円筒状の連結部74Bと、弁体部74Aと連結部74Bの間に設けられる円筒状の支持部74Dと、を有し、これらが一体で形成される。
【0073】
バルブガイド51の一方の端面は、スプリング39のバネ力によって他方の端面がバルブ74の支持部74Dの端部(段部74C)に当接する。
【0074】
バルブ74の中程に支持部74Dが設けられることにより、バルブガイド51の位置がシート部36と反対側(図6において右側)に離される。支持部74Dの軸方向の長さを任意に設定することにより、バルブガイド51の外周部51Bが移動する移動領域Sは、連通ポート53の開口端に対して軸方向に離されてオフセットされる。
【0075】
バルブ74がシート部36に当接した閉弁位置において、連通ポート53は、バルブ74は、シート部36に当接する円盤状の弁体部74Aの外周及び支持部74Dの外周に対向するように設けられる。
【0076】
以上の第2実施形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
【0077】
〔5〕レベリングバルブ200では、バルブ74はシート部36に当接する弁体部74Aと、弁体部74Aから軸方向に延びてバルブガイド51を支持する支持部74Dと、を有し、閉弁位置において連通ポート53は支持部74Dの外周に対向するように配置される。そのため、バルブガイド51の形状を変更することなく、移動領域Sを連通ポート53に対して軸方向についてオフセットすることができる。
【0078】
(第3実施形態)
次に、図7、8を参照して、本発明の第3実施形態に係るレベリングバルブ300を説明する。以下では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、上記第1実施形態のレベリングバルブ100と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0079】
レベリングバルブ300では、バルブガイド離間手段として、バルブガイド81に外周部81Bをバルブ34の弁体部34Aから離して支持する脚部81Dが設けられる構成が相違する。
【0080】
図8は、図7において矢印B方向から見たバルブガイド81の側面図である。これに示すように、バルブガイド81は、軸方向に延びる円筒状の脚部81Dと、脚部81Dの内側に開口してバルブ34に連結される連結穴81Bと、脚部81Dから径方向に拡がる鍔部81Eと、ハウジング33の第4穴33Dに沿って摺動する鍔部81Eの外周部81Aと、外周部81Aに開口する複数の切り欠き81Cと、を有し、これらが一体で形成される。
【0081】
バルブガイド81は、連結穴81Bの内周がバルブ34の連結部34Bの外周に嵌合する。バルブガイド81の脚部81Dの端面は、鍔部81Eの端面に受けるスプリング39のバネ力によってバルブ34の段部34C(弁体部34Aの背面)に当接する。
【0082】
バルブ34の弁体部34Aとバルブガイド81の外周部81Aの間に軸方向に延びる脚部81Dが設けられることにより、バルブガイド81の外周部81Aの位置がシート部36と反対側(図7において右側)に離される。脚部81Dの軸方向の長さを任意に設定することにより、バルブガイド81の外周部81Aが移動する移動領域Sは、連通ポート53の開口端に対して軸方向に離されてオフセットされる。
【0083】
バルブ34がシート部36に当接した閉弁位置において、連通ポート53は、バルブ34の弁体部34A及び脚部81Dの外周に対向するように設けられる。
【0084】
以上の第3実施形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
【0085】
〔6〕レベリングバルブ300では、バルブガイド81はバルブガイド離間手段として軸方向に延びてバルブ34に連結される脚部81Dを有し、閉弁位置において連通ポート53が脚部81Dの外周に対向するように配置される。そのため、バルブ34の形状を変更することなく、移動領域Sを連通ポート53に対して軸方向についてオフセットすることができる。
【0086】
(第4実施形態)
次に、図9を参照して、本発明の第4実施形態に係るレベリングバルブ400を説明する。以下では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、上記第1実施形態のレベリングバルブ100と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0087】
レベリングバルブ400では、バルブ34がシート部36に当接した閉弁位置において、連通ポート53は、バルブ34の弁体部34A及びシート部36の外周に対向するように配置される構成が相違する。
【0088】
シート部36の第4穴33Dの底部33Iに対する軸方向の突出高さが任意に設定されることにより、バルブガイド81の外周部81Bが移動する移動領域Sは、連通ポート53の開口端に対して軸方向に離されてオフセットされる。
【0089】
バルブ34がシート部36に当接した閉弁位置において、連通ポート53は、シート部36及びバルブ34の弁体部34Aの外周に対向するように設けられる。
【0090】
以上の第4実施形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
【0091】
〔7〕レベリングバルブ400では、シート部36が軸方向に延びる環状に形成され、連通ポート53がバルブ34の外周及びシート部36の外周に対向するように配置される。そのため、バルブ34及びバルブガイド81の形状を変更することなく、移動領域Sを連通ポート53に対して軸方向についてオフセットすることができる。
【0092】
本発明は上記の実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明のレベリングバルブは、車両の車体を一定の高さに維持する車高調整装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0094】
1 車体
2 台車
3 空気バネ
33 ハウジング
33D 第4穴(ハウジング内壁面)
34、74 バルブ
34A 弁体部
36 シート部
39 スプリング
51、81 バルブガイド
51B 外周部
53 連通ポート
60 キャップ(バルブガイド離間手段)
60A 連結筒部
60B 連結軸部
60C 段部
74D 支持部(バルブガイド離間手段)
81D 脚部(バルブガイド離間手段)
100、200、300、400 レベリングバルブ
S バルブガイドの移動領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9