(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
本体はモジュラージャックに被せられた状態で並設面から前方へ突出し、狭口部は本体の前部に配置されている請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載のモジュラージャック用カバー。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の接続防護キャップは帯状に形成され、モジュラージャックの前側に隙間を介して配置されるものである。このように帯状の接続防護キャップをモジュラージャックの前側に隙間を介して配置するので、モジュラージャックに手指を接触させ易く、悪戯などによって接続防護キャップが変形させられたり、損傷させられたりし易く、そうなると使用されていないモジュラージャックが不正に使用され易く、電子機器のセキュリティ性の向上が実現できない。
【0006】
そこで本発明は、モジュラージャックを備えた電子機器のセキュリティ性を向上させ得るモジュラージャック用カバーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数のモジュラージャックが並べて配置された並設面を備えた電子機器に
取付構造を介して取付けられるモジュラージャック用カバーであって内空状に形成されており、並設面から突出する箱形状の本体を備え、本体には狭口部が形成され、狭口部はモジュラージャックに装着されるモジュラープラグごとに接続されたコードを挿通可能とし、且つモジュラープラグを挿通不可能とする大きさに設定され、本体は、狭口部を分割する複数の分割部材の組合せにより構成され、複数のモジュラージャックのうちの少なくとも1個に被せられるよう、電子機器に取付けられることを特徴とする。また、本発明のモジュラージャック用カバーは、分割部材どうしを組合せた状態として電子機器に取付けられることで、分割部材どうしが組付けられる構成を採用できる。
【0008】
上記構成のモジュラージャック用カバーは、箱形状の本体がモジュラージャックに被せられるもので、狭口部はモジュラープラグに接続されたコードを挿通可能とし、且つモジュラープラグを挿通不可能とする大きさに設定されているから、使用していないモジュラージャックにアクセスできず、使用していないモジュラージャックにモジュラープラグを挿し込んで使用するということができない。
【0009】
また、上記構成のモジュラージャック用カバーは、電子機器のモジュラージャックにモジュラープラグを挿し込んだ状態で、モジュラージャックに被せるよう電子機器に取付けられる。すなわち、分割部材どうしを組合せていない状態で、モジュラージャックに挿し込まれたモジュラープラグに接続されたコードを、分割部材における狭口部の相当部分に位置合わせたうえで、狭口部が形成されるよう分割部材どうしを組合せて本体とし、これを電子機器に取付ける。
【0010】
本発明のモジュラージャック用カバーでは、本体は電子機器に備えられた複数のモジュラージャックの全部に被せられる構成を採用できる。この構成によれば、モジュラープラグが挿し込まれて使用されているモジュラージャックから、そのモジュラープラグが抜き取られないし、使用していないモジュラージャックにモジュラープラグを挿し込むこともできない。
【0011】
本発明のモジュラージャック用カバーでは、本体はモジュラージャックに被せられた状態で並設面から前方へ突出し、狭口部は本体の前部に配置されている構成を採用できる。この構成によれば、本体が並設面から前方へ突出している分だけ、狭口部からモジュラージャックまでの距離が遠くなるから、使用していないモジュラージャックにアクセスがしにくい。
【0012】
本発明のモジュラージャック用カバーでは、本体は狭口部に近い程すぼめられている構成を採用できる。この構成によれば、モジュラージャック用カバー全体の大型化を抑制できるとともに、製造のための材料の使用量を抑えて製造コストの高騰を抑えられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のモジュラージャック用カバーによれば、モジュラージャックに被せられるものは箱形状の本体であり、狭口部はモジュラープラグに接続されたコードを挿通可能とし、且つモジュラープラグを挿通不可能とする大きさに設定されているから、使用していないモジュラージャックにアクセスできず、モジュラープラグを挿し込んで使用するということができないから、電子機器のセキュリティ性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明のモジュラージャック用カバーについて説明する。まず、
図1ないし
図7を参照しつつ、本発明の第一の実施形態に係るモジュラージャック用カバー(以下、単に「カバー」と称する)1を説明する。
図1に示すように、カバー1は、並設された複数のモジュラージャック2A,2B,2C,2D,2E,2F,2G,2Hを備える電子機器(この場合は「ハブ」)3において、全てのモジュラージャック2A〜2H(モジュラージャック部分)に被せるようにして、電子機器3に取付けられる(固定される)。カバー1は、モジュラージャック2A〜2Hに被せるようにして、電子機器3において使用していないモジュラージャック2A〜2Hを不正に使用できないようにするためのものである。
【0016】
本実施形態では、電子機器3は、直方体形状に形成されている。電子機器3はモジュラージャック2A〜2Hを並設した並設面3Aを備える。並設面3Aは、モジュラージャック2A〜2Hを並設した前面であることから、並設面3Aを以下では前面3Aと称する。この前面3Aは、正面視して矩形に形成されている。モジュラージャック2A〜2Hは、電子機器3の前面3Aの一方側寄りにまとめて配置されている。本実施形態では、モジュラージャック2A〜2Hは、前面3Aに8個、横並びに並設されている。
【0017】
カバー1は、モジュラージャック2A〜2Hの全部に被せられるよう構成されている。カバー1は本体を備え、本体は装着部4と、延長部5とを備えている。カバー1は全体として箱状に形成されている。具体的に、カバー1は内空の四角錐台形状に形成されている。カバー1は、硬質の合成樹脂により形成されている。
【0018】
図1および
図6に示すように、装着部4は、電子機器3(この場合、前面3A)に直接的に接触(当接)して装着される部分である。装着部4は、前面3Aの縁形状に応じた形状とされている。この場合では、
図1および
図2に示すように、装着部4は、上枠部、下枠部、および左右一対の横枠部から、全体として矩形枠状に形成されている。装着部4において、上枠部、下枠部、および左右一対の横枠部のそれぞれの外面は平坦面に形成されている。
【0019】
装着部4の上下高さは、電子機器3の前面3Aの上下高さに略等しく設定されている。装着部4の左右幅は、少なくともモジュラージャック2A〜2Hの全部を包含する幅に設定されている。換言すれば、装着部4の左右幅は、モジュラージャック2A〜2Hが形成された領域部分の左右幅を包含するよう設定されている。この場合、装着部4の左右幅は、電子機器3の前面3Aにおいて、一方寄りにある電源ジャック(図示せず)は覆わないよう設定されている。
【0020】
図1,2,5に示すように、延長部5は、装着部4から延長して形成されている。具体的に延長部5は、装着部4から前方に向けて(モジュラージャック2A〜2Hに対して前方に離れる方向に向けて)延長され、四角錐台形状に形成されている。延長部5は、平板状の上壁6、下壁7、左右の側壁8,9を備えている。延長部5は、前壁10をさらに備えている。
【0021】
上壁6は、前方ほど下方に向けて傾斜して形成されている。下壁7は、前方ほど上方に向けて傾斜して形成されている。側壁8,9どうしは前方ほど互いに接近するよう傾斜して形成されている。前壁10は、上壁6、下壁7、および側壁8,9の前端部で四方を囲繞されている。前壁10は、カバー1が電子機器3に取付けられた状態で電子機器3の前面3Aに平行となる。これらの壁により、延長部5は、先端ほどすぼめられた四角錐台形状に形成されている。
【0022】
図1,3,4に示すように、前壁10には、狭口部13が形成されている。狭口部13は、モジュラープラグ11に接続されたコード12を挿通可能で、モジュラープラグ11を挿通不可能(ユーザーの手指の挿通も防止する)大きさに設定されている。また、モジュラープラグ11の方向如何にかかわらず、狭口部13にモジュラープラグ11は挿通不可能である。狭口部13は、前壁10の全部ではなく、前壁10の一部を穿つようにして形成されている。
【0023】
本実施形態では、狭口部13は前壁10の左右に振り分けられており、それぞれ左右方向を長径とする細長い楕円形状に形成されている。狭口部13の間は、前壁10の分離部14とされている。各狭口部13の側部および上下部は、前壁10の縁部15とされている。
図2,4,5に示すように、分離部14の裏側に対応する位置に、補強リブ16が形成されている。
【0024】
図2,3,4,6に示すように、側壁8,9には、取付具であるねじ17を挿通するねじ孔18と、ねじ17をねじ孔18に案内する案内路19が形成されている。側壁8,9の内面にねじ孔形成用のボス部20が形成され、ねじ孔18は、ボス部20に形成されている。ねじ孔18は、側壁8,9に、その前後方向に沿うよう形成されている。案内路19は側壁8,9の表面に形成されている。側壁8,9は傾斜していることで、ねじ17が挿通される実質的な距離を短くできている。
【0025】
図7に示すように、前記本体は、複数の分割部材を組合せる(組付ける)ことで構成されている。本実施形態では、二分割された一方の分割部材および他方の分割部材を組合せることで一体的に形成されている。この場合、分割部材は上分割部材21と下分割部材22とを備える。
図1、
図7に示すように、上分割部材21および下分割部材22の分割面23,24,25は、装着部4、側壁8,9、および前壁10に亘って連続して形成されている。
【0026】
装着部4の分割面23は、前後に配置した水平面どうしを垂直面で連続させた段付面形状である。
図2,4,7に示すように、装着部4の背面において、ボス部20に後方から当接するよう重ねられて、ねじ孔18(18a)の一部を構成する当接部26が形成されている。当接部26の背面は、装着部4の背面と面一にある(当接部26の背面は、装着部4の背面の一部である)。装着部4の分割面23は、当接部26の側面形状に倣って形成されている。
【0027】
側壁8,9の分割面24は、前後方向の水平面である。この分割面24は、装着部4の分割面23のうち前方の水平面に連続しているため、側壁8,9の下寄りの位置に形成されている。前壁10の縁部15における分割面25は、左右に配置した水平面と、該水平面どうしを連続する垂直面との組合わせで形成されている。前壁10の分離部14における分割面25は、上下方向の中心に配置された水平面とされている。狭口部13は、前壁10の上下方向中心位置に配置されている。すなわち、分割面25は狭口部13を上下方向中心位置で分割する面でもある。
【0028】
図4および
図5に示すように、補強リブ16は、上分割部材21に形成された上リブ27と、下分割部材22に形成された下リブ28の組合わせから構成されている。補強リブ16は、カバー1の左右方向中心に位置付けられている。上リブ27は、上リブ本体29および嵌合部である凸起30を一体的に備えている。上リブ本体29は、上分割部材21の上壁6の裏面(内面)に、該裏面の傾斜方向に沿う前後方向に亘って、下方に突出する壁状に形成されている。但し、上リブ本体29は装着部4には至らない。凸起30は、前壁10の裏面の下方寄りにあって、該裏面から後方へ突出して形成されている。凸起30は円柱状に形成されている。
【0029】
下リブ28は、下リブ本体31、および凸起30に嵌合する被嵌合部である孔部を一体的に備えている。下リブ本体31は、下分割部材22の下壁7の裏面(内面)に、該裏面の傾斜方向に沿う前後方向に亘って、上方に突出する壁状に形成されている。但し、下リブ本体31は装着部4には至らない。
【0030】
上壁6の裏面からの上リブ本体29の高さと、下壁7の裏面からの下リブ本体31の高さとでは、下リブ本体31のほうが高く設定されている。孔部は、前壁10の裏面にあって、下リブ本体31の上方への延長部分33と、延長部分33からさらに上方に延長されて凸起30に嵌合する嵌合孔34が形成された有孔片35とを備える。有孔片35は、凸起30に後方から嵌合する部分である。なお、嵌合孔34の前後方向長さは、凸起30の前後方向長さに比べて長く設定されている。
【0031】
図1および
図6に示すように、カバー1と電子機器3とは、取付構造を介して互いに取付けられる。取付構造は、カバー1側と電子機器3側に振り分けて設けられている。具体的には、取付構造は、カバー1側のねじ孔18と、ねじ孔18に前方から後方へ向けて挿入されるねじ17と、電子機器3側の取付孔36とを備える。
【0032】
取付孔36は、左右外側端のモジュラージャック2A,2Hのさらに外側に形成されている。取付孔36は前面3Aの上下方向略中央に配置され、取付孔36の左右方向の離間距離は、ねじ孔18の離間距離に等しく設定されている。このように、電子機器3はカバー1の取付構造としての取付孔36を備えたものである。
【0033】
上記構成の電子機器3およびカバー1は、好ましくは、セット品として量販店等の店頭で販売され、あるいは通信販売等に供される。
図1に示すように、上記構成のカバー1は、電子機器3のモジュラージャック2A〜2H(例えば使用するモジュラージャック2A)に、モジュラープラグ11を挿し込んだ状態で、モジュラージャック2A〜2Hに被せるようにして電子機器3に取付けられる。
【0034】
すなわち、
図7に示すように、上分割部材21、下分割部材22どうしをまだ組付けていない状態で、モジュラージャック2Aに挿し込まれたモジュラープラグ11に接続されたコード12を、上分割部材21、下分割部材22における狭口部13の相当部分(符号13A参照)に位置合わせしたうえで、狭口部13が形成されるよう上分割部材21、下分割部材22どうしを組付けて、これが電子機器3に取付けられる。
【0035】
さらに具体的に、モジュラージャック2Aに、モジュラープラグ11を挿し込んだ状態で、コード12を、上分割部材21、下分割部材22における狭口部13の相当部分13Aに位置合わせし、上分割部材21の分割面と下分割部材22の分割面とが当接するように、且つ下分割部材22の当接部26が上分割部材21のボス部20に後方から当接してねじ孔18(18a)どうしが連通するよう、さらに、上分割部材21の凸起30に、下分割部材22の有孔片35の嵌合孔34が嵌合するよう、上分割部材21に対してその後方から下分割部材22を組付ける。
【0036】
凸起30と嵌合孔34とが嵌合することにより、上分割部材21および下分割部材22が組付けられて、カバー1として構成される。上分割部材21および下分割部材22が組付けられてカバー1となると、カバー1の前壁10に、狭口部13が形成され、コード12のみが狭口部13に挿通した状態となる。
【0037】
カバー1は、電子機器3の前面3Aに取付構造を用いて電子機器3に取付けられる。具体的には、カバー1側のねじ孔18にその前方から後方へ向けてねじ17を挿入してこれを電子機器3側の取付孔36に螺合することで、カバー1を電子機器3の前面3Aに、隙間なく密に、強固に取付けることができる(固定することができる)。すなわち、カバー1はねじ17を緩めることでのみ、電子機器3の前面3Aから取外すことができる状態となる。
【0038】
装着部4の上下高さは、電子機器3の前面3Aの上下高さに略等しく設定されている。装着部4の左右幅は、モジュラージャック2A〜2Hの全部を包含し、モジュラージャック2A〜2Hが形成された領域部分の左右幅を包含するよう設定されている。このため、カバー1を電子機器3の前面3Aに取付けると、全てのモジュラージャック2A〜2Hにカバー1が被せられた状態となる。
【0039】
モジュラージャック2Aにのみモジュラープラグ11が挿し込まれており、他のモジュラージャック2B〜2Hには、モジュラープラグ11は挿し込まれていない状態では、モジュラージャック2B〜2Hに、他のモジュラープラグ11が装着される可能性がある。
【0040】
しかしながら、カバー1は全てのモジュラージャック2A〜2Hを覆っており、狭口部13は、モジュラープラグ11に接続されたコード12を挿通可能で、モジュラープラグ11を挿通不可能な(ユーザーの手指の挿通も防止する)大きさに設定されている。このため、モジュラープラグ11が挿し込まれていないモジュラージャック2B〜2Hが存在しても、モジュラージャック2B〜2Hにモジュラープラグ11を挿し込むことはできない。よって、モジュラージャック2B〜2Hにモジュラープラグ11が挿し込まれて不正に使用されるのを防止することができる。
【0041】
カバー1は硬質の合成樹脂により箱状に形成されていて、分離部14の裏側に対応する位置に補強リブ16が形成されている。さらにカバー1は、カバー1側のねじ孔18にその前方から後方へ向けてねじ17を挿入してこれを電子機器3側の取付孔36に螺合することで、電子機器3の前面3Aに隙間なく密に、強固に取付けられている。
【0042】
このような構成によれば、カバー1そのものは外力に充分に抵抗できるから破壊や損傷がされにくく、しかもカバー1を電子機器3から取外すことも容易ではない。したがって、モジュラープラグ11が挿し込まれていないモジュラージャック2B〜2Hが存在しても、カバー1を破壊したり取外したりしてモジュラージャック2B〜2Hにモジュラープラグ11を挿し込むことはできない。よって、モジュラージャック2B〜2Hにモジュラープラグ11が挿し込まれて不正に使用されるのを抑制することができる。
【0043】
しかも、本体は並設面3Aから前方へ突出している分だけ、狭口部13からモジュラージャック2B〜2Hまでの距離が遠くなる。このため、使用していないモジュラージャック2B〜2Hにアクセスがしにくい。
【0044】
また、カバー1の前壁10に形成された狭口部13は、人の手指の挿通を防止する大きさである。このため、既にモジュラージャック2Aに挿し込まれているモジュラープラグ11を、モジュラージャック2Aから抜くこともできない。
【0045】
延長部5は、角錐台形状に形成されて先側がすぼんでおり、その分だけ前壁10の面積は装着部4に比べて小さく、狭口部13の周囲は縁部15とされる。このような形態では、面積と厚みの関係から(面積と厚みの比が近いため)、縁部15は非常に強固になる。このため狭口部13を広くするようこじ開けることは難しく、この点においても、モジュラージャック2B〜2Hにモジュラープラグ11が挿し込まれて不正に使用されるのを抑制することができる。
【0046】
本実施形態のカバー1では、コード12は狭口部13に挿通された状態で、狭口部13(狭口部13の縁)で保持される。そして、狭口部13は延長部5の先端部にある。すなわち、コード12はモジュラープラグ11からカバー1のほぼ前後幅だけ離れた位置で保持されるとともに、コード12の上下左右方向の可動範囲は、狭口部13の領域(範囲)となる。したがって、コード12におけるモジュラープラグ11との接続部分が大きく折曲げられる(極端に折曲げられる)状態を回避できるため、コード12、特にモジュラープラグ11との接続部分を損傷から保護できる。
【0047】
さらに、カバー1は、モジュラージャック2A〜2Hに被せるようにして電子機器3に取付けられる。このため、モジュラージャック2A〜2H(特に使用していないモジュラージャック)に周囲の塵芥が付着するのを防止することができる。
【0048】
上記したカバー1の使用方法では、モジュラージャック2Aにのみモジュラープラグ11を挿し込み、そのコード12を狭口部13に挿通して保持するという例を説明した。しかしながら、モジュラージャック2A〜2Hのうちの複数に、それぞれモジュラープラグ11を挿し込み、これらモジュラープラグ11のコード12(複数本のコード12)を狭口部13に挿通して保持するというカバー1の使用方法も可能である。このような場合、モジュラープラグ11は、各狭口部13に振り分けて挿通するようにできる。
【0049】
本実施形態によるカバー1を取付けることなく、複数のモジュラージャック2A〜2Hにモジュラープラグ11を挿し込むと、それらのコード12が乱雑になり易い。しかしながら、本実施形態におけるカバー1では、狭口部13という限られた領域内にコード12がまとめられることになる。このため、複数本のコード12が乱雑な状態になるのを防止することができる。
【0050】
次に、
図8および
図9を参照して、本発明の第二の実施形態に係るカバー1を説明する。第二の実施形態に係るカバー1が第一の実施形態に係るカバー1と異なる部分は、狭口部13の形状、カバー1全体の高さ、および補強リブ16である。他の部分の構成については、第一の実施形態と同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0051】
第二の実施形態のカバー1に形成された狭口部13は左右に振り分けられ、それぞれ正面視して縁が左右方向を長手方向とするジグザグ状に形成されている。狭口部13の間には、分離部14が形成され、狭口部13の周囲には縁部15が形成されている。各狭口部13は、コード12は挿通可能で、モジュラープラグ11は挿通不可能な広さに設定されている。また、各狭口部13の上縁、下縁には、複数個の尖端部13aが所定間隔置きに形成されている。縁が左右方向を長手方向とするジグザグ状に形成されていても、モジュラープラグ11の方向如何にかかわらず、狭口部13にはモジュラープラグ11は挿通不可能である。
【0052】
第二の実施形態におけるカバー1の高さは、第一の実施形態におけるカバー1の高さに比べて高く設定されている。これは、第二の実施形態におけるカバー1を取付ける電子機器3の高さが、第一の実施形態における電子機器3の高さに比べて高いからである。
【0053】
第一の実施形態では、補強リブ16における上リブ27の上リブ本体29の高さと、下リブ28の下リブ本体31の高さとでは、下リブ本体31のほうが上リブ本体29よりも高く設定されている。これに対し、第二の実施形態では、
図9に示すように、補強リブ16における上リブ27の上リブ本体29の高さと、下リブ28の下リブ本体31の高さとが略等しく設定されている。これは、第二の実施形態におけるカバー1の高さが、第一の実施形態におけるカバー1の高さに比べて高く設定されているからである。そして、凸起30を備えていても、カバー1の高さが高くなった分だけ、上リブ本体29の高さを高くすることができている。上リブ本体29の高さが高くなった分だけ、カバー1全体の強度を確保することができる。
【0054】
第二の実施形態におけるカバー1の狭口部13は、横長のジグザグ状に形成されているから、仮に狭口部13に手指を挿入しようとすると、狭口部13の尖端部13aに手指が当たって狭口部13にはいっそう手指を挿入しにくく、モジュラージャック2B〜2Hにモジュラープラグ11が挿し込まれて不正に使用されるのを抑制することができる。
【0055】
次に、
図10ないし
図12を参照して、本発明の第三の実施形態に係るカバー1を説明する。第三の実施形態に係るカバー1が第一の実施形態のカバー1と異なる部分は、カバー1全体の左右幅、狭口部13、および補強リブ16の構成である。このため、他の構成部分については同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0056】
第三の実施形態におけるカバー1の左右幅は、第一のカバー1全体の左右幅に比べて長く設定されている。これは、第三の実施形態におけるカバー1を取付ける電子機器3の左右幅が、第一の実施形態における電子機器3の左右幅に比べて長いからである。具体的には、本実施形態における電子機器3の前面3Aには、図示しないが、左右方向に12個並べられたモジュラージャックが、上下二段で配置されることで、合計24個のモジュラージャックを備えている。
【0057】
図10および
図11に示すように、狭口部13は、前壁10に振り分けて3個形成されている。一つ一つの狭口部13の形状は第二の実施形態のカバー1における狭口部13と同様であるので、同一の符号を付してその説明を繰り返さない。各狭口部13の間には分離部14が形成され、狭口部13の周囲には縁部15が形成されている。
【0058】
第三の実施形態におけるカバー1では、
図11に示すように、補強リブ16が2個形成されている。これら補強リブ16は、カバー1の左右幅を略三等分する位置に配置されている。各補強リブ16の基本的な構成は第一の実施形態と同様であるが、
図12に示すように、断面形状においては、第二の実施形態と同様に、上リブ27の上リブ本体29の高さと、下リブ28の下リブ本体31の高さとが略等しく設定されている。
【0059】
本発明は上記各実施形態に限定されず、本発明の範囲内で種々変更が可能である。例えば、上記各実施形態ではカバー1は先端側ほどすぼむような角錐台形状に形成された例を示した。しかしながら、
図13および
図14に示すように、延長部5は装着部4から前方に突出する直方体形状の箱型に形成されていてもよい。この場合、狭口部13は、コード12を挿通可能で、モジュラープラグ11および手指は挿通不可能な大きさに設定される。
【0060】
カバー1と電子機器3の取付構造についても、特に限定されるものではない。
図13および
図14に示すカバー1では、装着部4は延長部5の基端部分に、延長部5の外側に突出する矩形枠状に形成されており、ねじ17は装着部4に形成されたねじ孔18を挿通させて、電子機器3の前面3Aに形成された取付孔(図示せず)に螺合させるようにしてもよい。また、図示しないが取付構造として、ねじ17、ねじ孔18の代わりに、凸部とこれが嵌合する嵌合孔であってもよい。
【0061】
さらに他の実施形態として、取付孔を、電子機器の前面ではなく電子機器の上面、下面に形成し、ねじ孔を、カバーの側壁ではなく装着部の上下部を上面、下面に至るよう後方に延長してその延長部分に形成し、ねじ孔および取付孔にねじを挿通螺合するようにして、カバーを電子機器に取付けることもできる。この場合でも、カバーは、電子機器の並設面(モジュラージャック)に被されるが、カバーの直接的な装着面は電子機器の上面、下面となる。すなわちカバーは、使用していない1個または複数個(全部を含む)のモジュラージャックに被せることを条件として、電子機器の他の面に取付けるよう構成されていてもよい。
【0062】
上記各実施形態では、カバー(本体)は電子機器の前面から前方に向けて突出する箱状に形成した。しかしながら、図示しないが、カバーは先端側(狭口部側)が上方や側方に向けて延長された箱形状に形成されていてもよい。上記各実施形態では、狭口部は延長部の先端側に形成したが、例えば狭口部は、延長部の前後方向途中部分(例えば、上壁や下壁)に形成することもできる。カバー1は、狭口部13を横方向で分割する分割部材の組合わせに限定されず、狭口部13を縦方向で分割する分割部材の組合わせによって構成してもよい。
【0063】
電子機器は、直方体形状に限定されず、例えばその前面が湾曲面であるような電子機器にも適用可能である。この場合、装着部も湾曲面に倣う形状にするなどすれば、上記各実施形態と同様の作用効果を奏し得る。そしてこのような電子機器は、ハブに限定されず、複数個並設されたモジュラージャックを備えた電子機器であれば、本発明のカバーを適用することができる。
【0064】
また、狭口部を開閉自在に覆うようにした被覆部材を設けることもできる。具体的に、被覆部材を、合成ゴム等の変形自在な材料により形成し、コードを狭口部に通すと、コードによって押されることで被覆部材が弾性変形して狭口部を一部開放し、他の部分は閉じているように構成することもできる。この構成によれば、狭口部のほとんどが閉じられるから、モジュラージャックに塵芥が付着するのを効果的に抑制できる。