(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述のように、貯蔵ピット3の底面3bに対して核燃料貯蔵用ラックAを摺動可能に構成する場合、大地震が発生すると、核燃料貯蔵用ラックAは、地震で生じる水平力を前述の摺動によって吸収する一方で、その運動方向は定まらなくなる(例えば、水平方向への直線・回転移動や、水平力に起因した転倒モーメントによるロッキング(揺動)等)。
図33に示すように、このように核燃料貯蔵用ラックAの運動方向が定まらなくなると、隣り合う核燃料貯蔵用ラックAのラック本体6(鉛直セル1)同士が衝突したり、該ラック本体6と貯蔵ピット3の側壁3aとが衝突したりする可能性がある。ラック本体6がこのような衝突により衝撃を受け、損傷したり変形したりすることは好ましくない。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、核燃料貯蔵用ラックが貯蔵ピットの底面に対して摺動可能とされていても、該核燃料貯蔵用ラックのラック本体が隣り合う他の核燃料貯蔵用ラックや貯蔵ピットの側壁に衝突することを防止できる核燃料貯蔵用ラック及び核燃料貯蔵用ラック群を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
すなわち本発明は
、核燃料集合体を収納した状態で貯蔵ピット内に整列配置して貯蔵される核燃料貯蔵用ラックであって、前記核燃料集合体を収納する直方体状のラック本体と、前記貯蔵ピットの底面に対して摺動可能に前記ラック本体を支持する支持脚部と、前記ラック本体の側面の左右縁部に配設され、該側面から突出する衝突部材と、を備え、前記衝突部材は、スポンジ状構造を有する金属体からなり、前記側面の左右縁部に配設された一対の衝突部材同士は、互いに剛性が異なるように設定されていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る核燃料貯蔵用ラックは、ラック本体を支持する支持脚部が貯蔵ピットの底面に対して摺動可能とされていることにより、該底面に対して相対移動可能とされた、所謂フリースタンディングラックである。この場合、大地震の発生時には、核燃料貯蔵用ラックは前記底面に対して摺動(滑動)するように移動して、地震により生じる水平力を吸収することができるが、その一方で、運動方向は定まらなくなる(例えば、水平方向への直線・回転移動、ロッキング等)。本発明の核燃料貯蔵用ラックによれば、ラック本体の側面の左右縁部に、衝突部材が突出して設けられているので、前述のように核燃料貯蔵用ラックの運動方向が定まらない場合であっても、隣り合う核燃料貯蔵用ラック同士(又は核燃料貯蔵用ラックと貯蔵ピットの側壁)の間に配された衝突部材が、ラック本体同士(又はラック本体と前記側壁)の直接的な衝突を防止する。
【0011】
詳しくは、核燃料貯蔵用ラックが前記底面に対して水平方向へ直線的に移動した場合は勿論のこと、回転移動した場合であっても、該核燃料貯蔵用ラックの衝突部材が、隣り合う他の核燃料貯蔵用ラックや貯蔵ピットの側壁に衝突することとなり、この核燃料貯蔵用ラックのラック本体が衝突することを防止する。また、核燃料貯蔵用ラックがロッキングした場合であっても、該核燃料貯蔵用ラックの衝突部材が、隣り合う他の核燃料貯蔵用ラックや貯蔵ピットの側壁に衝突することになる。
【0012】
このように、核燃料貯蔵用ラックにおける衝突箇所が衝突部材に特定されることから、該核燃料貯蔵用ラックのラック本体の衝突が確実に防止されるのである。従って、ラック本体及びこのラック本体に収納される核燃料集合体への衝撃が十分に緩和されて、これらが保護されることとなる。
また、衝突部材が、スポンジ状構造を有する金属体からなるので、衝突による衝撃で確実に塑性変形可能とされつつも、ある程度の剛性を確保することができ、衝突によって衝突部材が容易に破損、圧潰するようなことが防止される。
そして
、ラック本体の側面の左右縁部に配設された一対の衝突部材同士が、互いに剛性が異なるように設定されていると、隣り合う核燃料貯蔵用ラック同士が、互いの前記側面同士を対向させるとともに、剛性の高い衝突部材と剛性の低い衝突部材とを互いに対向させる。従って、地震発生時において、互いに剛性の異なる衝突部材同士が衝突することになり、剛性の低い衝突部材が確実に塑性変形する。これにより、衝突部材による衝撃吸収効果が確実に得られる。
【0013】
また、本発明に係る核燃料貯蔵用ラックにおいて、前記衝突部材は、衝突に応じて変形して、衝撃吸収可能に構成されていることとしてもよい。
【0014】
本発明に係る核燃料貯蔵用ラックによれば、衝突部材は、衝突に応じて変形するとともに、衝撃を吸収可能に構成されている。従って、衝突部材が前述の衝突により衝撃を受けたときに、ラック本体に対してより衝撃が伝わりにくくなる。
【0015】
また、本発明に係る核燃料貯蔵用ラックにおいて、前記衝突部材は、塑性変形により衝撃を吸収する構成であることとしてもよい。
【0016】
本発明に係る核燃料貯蔵用ラックによれば、衝突部材を簡単な構造とすることができる。この場合、衝突部材を作製するコストが削減される。また、目視によって衝突部材の性能(衝撃吸収能力)を容易に確認できる。
【0021】
また、本発明に係る核燃料貯蔵用ラックにおいて、前記衝突部材は、弾性変形により衝撃を吸収する構成であることとしてもよい。
【0022】
この衝突部材は弾性変形するので、衝突の衝撃により変形しても、形状が復元して、衝撃を繰り返し緩和することができる。従って、地震が繰り返し発生した場合であっても、安定して前述の効果を奏することとなる。
【0023】
また、本発明に係る核燃料貯蔵用ラックにおいて、前記衝突部材は、隣り合う他の核燃料貯蔵用ラックの衝突部材及び前記側面のいずれかに接着されることとしてもよい。
【0024】
本発明に係る核燃料貯蔵用ラックによれば、衝突部材が、隣り合う他の核燃料貯蔵用ラックの衝突部材及び前記側面のいずれかに接着されているので、これら核燃料貯蔵用ラックは、互いの側面間に位置する衝突部材を介して一体とされている。この場合、核燃料貯蔵用ラック同士の配置間隔が狭められるとともに、これら核燃料貯蔵用ラックは貯蔵ピット内に敷き詰められるように配列することになる。これにより、地震発生時において、核燃料貯蔵用ラックが揺れる振幅の大きさが抑制されることから、衝突部材の衝突荷重が低減される。
【0025】
またこの場合、衝突部材が接着されることにより一体とされた隣り合う核燃料貯蔵用ラック同士は、互いに離間する方向に揺れることも抑制されている。従って、例えば、核燃料貯蔵用ラックの側方に比較的大きな空間が設けられていたとしても、この核燃料貯蔵用ラックが前記空間側へ向けて転倒するようなことが防止される。
【0026】
また、本発明に係る核燃料貯蔵用ラックにおいて、整列配置された核燃料貯蔵用ラックのうち、最も外側に位置する核燃料貯蔵用ラックは、前記側面のうち前記貯蔵ピットの側壁に対向する側面に配設された前記衝突部材が該側壁に接近して配置され、前記衝突部材と前記側壁との間には、これら核燃料貯蔵用ラックの熱膨張を見込んで所定の隙間が設けられることとしてもよい。
【0027】
本発明に係る核燃料貯蔵用ラックによれば、整列配置された核燃料貯蔵用ラックのうち、最も外側に位置する核燃料貯蔵用ラックにおいて貯蔵ピットの側壁側を向く衝突部材が、該側壁に接近して配置されている。これにより、地震発生時には、この衝突部材が前記側壁に当接することになるとともに、核燃料貯蔵用ラックが該側壁側へ向けて転倒するようなことが確実に防止される。
【0028】
そして、この衝突部材と前記側壁との間には、整列配置された複数の核燃料貯蔵用ラックの熱膨張を見込んで設定された隙間(所定の隙間)が設けられている。これにより、核燃料貯蔵用ラックが敷き詰められるように整列配置された状態であっても、これら核燃料貯蔵用ラックの熱膨張分を前記隙間で吸収できる。従って、このような熱膨張によって、核燃料貯蔵用ラックに熱応力が発生することがない。また、前記隙間が設けられることによって、核燃料貯蔵用ラックを貯蔵ピットに設置する作業に支障が生じることもない。
【0029】
また、本発明に係る核燃料貯蔵用ラックにおいて、整列配置された核燃料貯蔵用ラックは、前記貯蔵ピットの側壁に囲繞される領域に互いに接近して密集するように収容されるとともに、最も外側に位置する核燃料貯蔵用ラックは、前記側面のうち前記貯蔵ピットの側壁に対向する側面に配設された前記衝突部材が該側壁に接近して配置されることとしてもよい。
【0030】
本発明に係る核燃料貯蔵用ラックによれば、地震発生時における核燃料貯蔵用ラックの転倒が確実に防止される。
【0031】
また、本発明に係る核燃料貯蔵用ラックにおいて、前記支持脚部は、前記ラック本体の下面における四隅に配設されており、前記側面の左右方向に隣り合う一対の前記支持脚部同士の間隔は、前記ラック本体の転倒を防止可能に設定されることとしてもよい。
【0032】
本発明に係る核燃料貯蔵用ラックによれば、地震発生時や運送時における核燃料貯蔵用ラックのロッキングが防止されるとともに、転倒が防止される。
【0033】
また、本発明に係る核燃料貯蔵用ラックにおいて、陸上輸送用コンテナに収容可能な外形に設定されることとしてもよい。
【0034】
本発明に係る核燃料貯蔵用ラックによれば、内陸部への輸送が可能となるとともに、輸送費が大幅に削減される。
【0038】
また本発明は、核燃料集合体を収納した状態で貯蔵ピット内に貯蔵される核燃料貯蔵用ラックを整列配置してなる核燃料貯蔵用ラック群であって、前記核燃料貯蔵用ラックは、前記核燃料集合体を収納する直方体状のラック本体と、前記貯蔵ピットの底面に対して摺動可能に前記ラック本体を支持する支持脚部と、前記ラック本体の側面における左右縁部に配設され、該側面から突出する衝突部材と、を備え、前記衝突部材は、スポンジ状構造を有する金属体からなり、前記側面の左右縁部に配設された一対の衝突部材同士は、互いに剛性が異なるように設定され、隣り合う前記核燃料貯蔵用ラック同士が、剛性の高い衝突部材と剛性の低い衝突部材とを互いに対向させて配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0039】
本発明に係る核燃料貯蔵用ラック及び核燃料貯蔵用ラック群によれば、核燃料貯蔵用ラックが貯蔵ピットの底面に対して摺動可能とされていても、該核燃料貯蔵用ラックのラック本体が隣り合う他の核燃料貯蔵用ラックや貯蔵ピットの側壁に衝突することを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
(第1参考例)
図30に示すように、本発明は、例えば原子力発電所で生じた使用済み核燃料(使用済み核燃料棒)を収納した状態で、核燃料貯蔵施設2の貯蔵ピット3内に整列配置して貯蔵される核燃料貯蔵用ラック及び核燃料貯蔵用ラック群に関するものである。また、貯蔵ピット3内には水が貯留されており、核燃料貯蔵用ラック(核燃料貯蔵ラック群)は、水中に貯蔵され、保管される。
【0042】
図1、
図2に示すように、本発明の前提となる基本技術を有する第1参考例に係る核燃料貯蔵用ラックBは、複数の使用済み核燃料(核燃料集合体)を収納する直方体状のラック本体6と、貯蔵ピット3の底面3bに対して摺動可能にラック本体6を支持する支持脚部5と、ラック本体6の側面7の左右縁部(水平方向の両縁部)に配設され、該側面7から突出する衝突部材8と、を備えている。
【0043】
すなわち、この核燃料貯蔵用ラックBは、自立型ラックであり、ラック本体6を支持する支持脚部5が貯蔵ピット3の底面3bに対して摺動可能とされていることにより、該底面3bに対して相対移動可能とされた、所謂フリースタンディングラックである。
【0044】
ラック本体6は、上方が開口された直方体箱状をなしており、内部が格子状に区画されているとともに、複数の使用済み核燃料を収納可能に形成されている。
支持脚部5は、多段円柱状をなしており、ラック本体6の底部から下方へ向けて複数突設されているとともに、これらが互いに間隔をあけて配置されている。詳しくは、これら支持脚部5は、前記底部の隅部に配置されており、その下端部が上端部よりも拡径して形成されている。
【0045】
また、ラック本体6の側面7は、該ラック本体6の側方(水平方向)を向く外周面に矩形状に形成された4つの面であって、
図31、
図32において説明した支柱6a、横材6b、斜材6c、外周板6d、及び、ベースプレート4の外面をすべて含む概念である。
【0046】
また、衝突部材8は、例えば金属材料等からなる剛体とされており、直方体状等の多角形柱状、円柱状、又は、棒状に形成されている。図示の例では、衝突部材8は、直方体状に形成されている。また、衝突部材8は、側面7の左右縁部にそれぞれ設けられており、この左右の対を一対として、上下に離間して複数対(図示では二対)設けられている。詳しくは、衝突部材8は、側面7の左右縁部及び上下縁部にそれぞれ配設されているとともに、該側面7の隅部に対応して4つ設けられている。尚、
図1、
図2では記載を省略しているが、衝突部材8は、2つ以上の側面7にそれぞれ設けられている。
【0047】
また、隣り合う核燃料貯蔵用ラックB、B同士は、互いの衝突部材8、8を対向配置した状態で、貯蔵ピット3内に配列されている。詳しくは、これら衝突部材8、8同士の間には、若干の間隙が設けられている。この間隙は、地震発生時において、図中に矢印で示すように核燃料貯蔵用ラックBが底面3bに対して水平方向に直線・回転移動したりロッキングしたりして、これら核燃料貯蔵用ラックB、B同士が接近したときに、互いの衝突部材8、8同士が衝突する範囲内となるように小さく設定されている。
【0048】
以上説明したように、本参考例の核燃料貯蔵用ラックBは、ラック本体6を支持する支持脚部5が貯蔵ピット3の底面3bに対して摺動可能とされていることにより、該底面3bに対して相対移動可能とされた、所謂フリースタンディングラックである。この場合、大地震の発生時には、核燃料貯蔵用ラックBは底面3bに対して摺動(滑動)するように移動して、地震により生じる水平力を吸収することができるが、その一方で、運動方向は定まらなくなる(図中に矢印で示す水平方向への直線・回転移動や、水平力に起因した転倒モーメントによるロッキング、及び、図示しないこれらの複合的な運動)。本参考例の核燃料貯蔵用ラックBによれば、ラック本体6の側面7の左右縁部に、衝突部材8が突出して設けられているので、前述のように核燃料貯蔵用ラックBの運動方向が定まらない場合であっても、隣り合う核燃料貯蔵用ラックB、B同士(又は核燃料貯蔵用ラックBと貯蔵ピット3の側壁3a)の間に配された衝突部材8が、ラック本体6、6同士(又はラック本体6と側壁3a)の直接的な衝突を防止する。
【0049】
詳しくは、核燃料貯蔵用ラックBが底面3bに対して水平方向へ直線的に移動した場合は勿論のこと、回転移動した場合であっても、該核燃料貯蔵用ラックBの衝突部材8が、隣り合う他の核燃料貯蔵用ラックBや貯蔵ピット3の側壁3aに衝突することとなり、この核燃料貯蔵用ラックBのラック本体6が衝突することを防止する。また、核燃料貯蔵用ラックBがロッキングした場合であっても、該核燃料貯蔵用ラックBの衝突部材8が、隣り合う他の核燃料貯蔵用ラックBや貯蔵ピット3の側壁3aに衝突することになる。
【0050】
このように、核燃料貯蔵用ラックBにおける衝突箇所が衝突部材8に特定されることから、該核燃料貯蔵用ラックBのラック本体6の衝突が確実に防止されるのである。従って、ラック本体6及びこのラック本体6に収納される核燃料集合体への衝撃が十分に緩和されて、これらが保護されることとなる。
【0051】
尚、前述の説明では、衝突部材8が略直方体状に形成されているとしたが、これに限定されるものではない。また、衝突部材8は、側面7の左右縁部において、上下に離間して複数対設けられているとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、前記左右縁部における上端部に一対のみ設けられていてもよい。また、前記左右縁部における上下方向の中央部又は/及び下端部に設けられていてもよい。ただし、衝突部材8が前記上端部に配設された場合は、大地震が発生した際、核燃料貯蔵用ラックBが大きくロッキングする以前に衝突部材8が衝突することになり、該核燃料貯蔵用ラックBが揺れる振幅の大きさを抑制できることから、好ましい。
【0052】
また、衝突部材8は、側面7の左右縁部において上下端部間に延在する柱状又は棒状に形成されていてもよい。また、衝突部材8は、側面7の左右縁部の間(中央部など)にも、配設されていても構わない。
また、支持脚部5は、多段円柱状をなしており、ラック本体6の底部から下方へ向けて複数突設されているとしたが、支持脚部5は、貯蔵ピット3の底面3bに対して摺動可能にラック本体6を支持するものであればよいことから、その形状や数は限定されない。
【0053】
(第2参考例)
次に、本発明の第2参考例に係る核燃料貯蔵用ラックC及びこれを複数用いて整列配置した核燃料貯蔵用ラック群Dについて、
図3及び
図4を参照して説明する。尚、前述の参考例と同一部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0054】
第2参考例の核燃料貯蔵用ラックC及び核燃料貯蔵用ラック群Dは、側面7における衝突部材8の配置が、前述した参考例とは異なっている。
【0055】
すなわち、衝突部材8が、ラック本体6の側面7における左右縁部のいずれかに配設されて、該側面7から突出している。そして、隣り合う核燃料貯蔵用ラックC、Cのうち、一方の核燃料貯蔵用ラックCの衝突部材8は、他方の核燃料貯蔵用ラックCの側面7に対向配置されている。
【0056】
つまり、本参考例では、同一の核燃料貯蔵用ラックCを複数用いて核燃料貯蔵用ラック群Dを構成しており、隣り合う核燃料貯蔵用ラックC、C同士は、互いの衝突部材8と側面7とを対向させるように設置されているのである。
【0057】
本参考例に係る核燃料貯蔵用ラックC及びこれを用いた核燃料貯蔵用ラック群Dによれば、核燃料貯蔵用ラックCは、ラック本体6の側面7における左右縁部のいずれかに衝突部材8を突設している。衝突部材8は、この核燃料貯蔵用ラック(一方の核燃料貯蔵用ラック)Cに隣り合う他の核燃料貯蔵用ラック(他方の核燃料貯蔵用ラック)Cの側面7に対向配置されている。このような構成によれば、大地震が発生した際、核燃料貯蔵用ラックCの運動方向が定まらない場合であっても、隣り合う核燃料貯蔵用ラックC、C同士の間に配された衝突部材8が、ラック本体6、6同士の直接的な衝突を防止する。
【0058】
すなわち、隣り合う核燃料貯蔵用ラックC、C同士は、衝突部材8を介して互いに衝突することになるので、これら核燃料貯蔵用ラックCのラック本体6への衝撃が確実に緩和されて、ラック本体6及び該ラック本体6に収納される核燃料集合体が保護される。
【0059】
またこの場合、隣り合う核燃料貯蔵用ラックC、Cの対向する側面7、7同士の間隔を比較的小さく設定できるとともに、核燃料貯蔵用ラックCを密集するように整列配置できる。従って、貯蔵ピット3内のスペースを有効に利用できる。
【0060】
尚、前述の説明では、同一の核燃料貯蔵用ラックCを複数用いて核燃料貯蔵用ラック群Dを構成するとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、一方の核燃料貯蔵用ラックCの衝突部材8が、他方の核燃料貯蔵用ラックCの側面7に対向配置されていればよいことから、例えば、互いに異なる形状の衝突部材8を備えた核燃料貯蔵用ラックC、Cが配列されて核燃料貯蔵用ラック群Dを構成していてもよい。
【0061】
(第3参考例)
次に、本発明の第3参考例に係る核燃料貯蔵用ラックEについて、
図5〜
図7を参照して説明する。尚、前述の参考例と同一部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0062】
第3参考例の核燃料貯蔵用ラックEにおいては、衝突部材9が、衝突に応じて変形して、衝撃吸収可能に構成されている。
詳しくは、前述した剛体からなる衝突部材8の代わりに、本参考例では、塑性変形により衝撃を吸収する構成とされた衝突部材9を用いている。
【0063】
図5に示すように、衝突部材9は、上下に延在する角筒状をなしており、その延在方向に垂直な断面が矩形枠状とされている。この衝突部材9は、ラック本体6の側面7から立設された板状の支持体9Aと、該支持体9Aにおける側面7とは反対側の端部に連結されて、該側面7に平行となるように形成された板状の衝突体9Bと、を備えている。
【0064】
詳しくは、衝突部材9において、支持体9Aは、側面7の左右方向(
図5における上下方向)に互いに離間して一対設けられており、衝突体9Bは、これら支持体9Aの前記端部同士を連結するように架け渡されている。
【0065】
また、この衝突部材9は、ラック本体6の側面7に着脱可能に配設されている。すなわち、ラック本体6に装着された衝突部材9を側面7から取り外して、別の衝突部材9に交換可能とされている。
【0066】
本参考例に係る核燃料貯蔵用ラックEによれば、衝突部材9は、衝突に応じて変形するとともに、衝撃を吸収可能に構成されている。従って、衝突部材9が前述したような衝突の衝撃を受けたときに、ラック本体6に対してより衝撃が伝わりにくくなる。
【0067】
衝突部材9の前述の変形は、具体的には塑性変形であるので、例えば、塑性変形しやすい金属板等を用いて、衝突部材9を簡単な構造とすることができる。従って、衝突部材9を作製するコストが削減される。また、目視によって衝突部材9の性能(衝撃吸収能力)を容易に確認できる。すなわち、地震等により一度塑性変形して潰れてしまった衝突部材9は、次に地震等が発生したときに十分に性能を発揮できない可能性があるが、このような衝突部材9を目視で認識しやすい。
【0068】
そして、この衝突部材9は、側面7から立設された板状の支持体9Aと、該支持体9Aの前記端部に連結された板状の衝突体9Bと、を備えている。この構成により、地震発生時において、ラック本体6の側面7に平行となるように形成された衝突体9Bが、衝突の衝撃を確実に受けるとともに、該衝突体9Bを支持する支持体9A及びこれらの連結部分がより塑性変形しやすくされている。従って、衝突部材9による衝撃吸収効果が確実に得られる。
【0069】
また、衝突部材9が、衝撃を吸収することにより塑性変形して潰れてしまっても、別の新しい衝突部材9に交換できる。従って、地震等が繰り返し発生したとしても、塑性変形した衝突部材9を新しいものに交換することにより、前述の効果が繰り返し得られる。
【0070】
尚、前述の説明では、衝突部材9が角筒状をなしているとしたが、これに限定されるものではない。
図6、
図7は、本参考例の変形例を示している。
【0071】
図6に示す衝突部材9は、水平方向に沿う断面がL字状をなしている。この衝突部材9においても、前述した衝突部材9と同様に、ラック本体6の側面7から立設された板状の支持体9Aと、該支持体9Aにおける側面7とは反対側の端部に連結されて、該側面7に平行となるように形成された板状の衝突体9Bと、を備えている。ただしこの例では、衝突体9Bは支持体9Aに片持ち状態で支持されており、これらの連結部分や支持体9Aが、より塑性変形しやすくされている。よって、前述の効果がより確実に得られる。
【0072】
尚、
図6においては、衝突体9Bが、支持体9Aの前記端部から側面7における左右方向の内側(
図6における上側)へ向かって延設されるように形成されているが、これとは反対に、左右方向の外側(
図6における下側)へ向かって延設されていても構わない。
【0073】
また、
図7に示す衝突部材9では、隣り合う核燃料貯蔵用ラックE、Eの対向する衝突部材9、9同士において、衝突体9Bの延設される方向が互いに異なって設定されている。すなわち、隣り合う核燃料貯蔵用ラックE、Eのうち、一方の核燃料貯蔵用ラックE1における衝突部材9は、衝突体9Bが支持体9Aの前記端部から側面7における左右方向の外側へ向けて延設されている。また、他方の核燃料貯蔵用ラックE2における衝突部材9は、衝突体9Bが支持体9Aの前記端部から側面7における左右方向の内側へ向けて延設されている。
【0074】
そして、衝突体9Bは、隣り合う他の核燃料貯蔵用ラックEにおける側面7と、この側面7に配設された衝突部材9の衝突体9Bと、の間に配置されている。すなわち、一方(他方)の核燃料貯蔵用ラックE1(E2)の衝突部材9の衝突体9Bは、他方(一方)の核燃料貯蔵用ラックE2(E1)の側面7と、この側面7に設けられた衝突部材9の衝突体9Bと、の間に配置されている。
【0075】
この場合、核燃料貯蔵用ラックEの衝突部材9は、隣り合う他の核燃料貯蔵用ラックEの側面7に衝突して塑性変形し衝撃を吸収するのみならず、隣り合う核燃料貯蔵用ラックE、E同士が互いに離間する方向に相対移動した際に、下記のような効果を奏することとなる。すなわち、前記相対移動の際、隣り合う核燃料貯蔵用ラックE、Eの衝突体9B、9B同士が係合して、核燃料貯蔵用ラックE、E同士が、それ以上に互いに離間することを規制する。これにより、これら核燃料貯蔵用ラックE、E同士が再び接近して衝突部材9が衝突するようなことがあっても、その衝撃が抑制される。また、衝突体9B、9B同士が係合する際の衝撃に着目すると、これら衝突体9Bやその支持体9Aとの連結部分が塑性変形しやすくされていることから、この係合時の衝撃も緩和される。
【0076】
このように、対向する衝突部材9、9同士が、互いに噛み合うように係合可能に配設されているので、地震が発生した際、核燃料貯蔵用ラックEが予期せぬ方向へ向かって移動、ロッキングしても、これら衝突部材9、9同士が噛み合って(係合して)、この核燃料貯蔵用ラックEが揺れる振幅の大きさを確実に抑制できるとともに、衝突部材9の衝突の衝撃を緩和できる。
【0077】
さらに、
図7の上面視において、対向する衝突部材9、9同士に囲繞されるようにして、断面略矩形状の領域Sが画成されている。領域Sは、対向する衝突体9B、9B同士、及び、対向する支持体9A、9A同士に挟まれるように形成されている。この領域Sには水が存在しており、地震が発生した際に、下記のような効果を奏する。
【0078】
すなわち、隣り合う核燃料貯蔵用ラックE、E同士が、互いに接近する向き(互いの衝突体9B、9B間の間隔を広げる向き)に相対移動すると、領域Sに負圧が生じる(流体抵抗が大きくなる)ことから、前記相対移動が抑制される。また、隣り合う核燃料貯蔵用ラックE、E同士が、互いに離間する向き(互いの衝突体9B、9B間の間隔を縮める向き)に相対移動すると、領域Sに正圧が生じる(流体抵抗が大きくなる)ことから、前記相対移動が抑制される。
【0079】
このように、領域Sに存在する水の流体付加減衰効果により、核燃料貯蔵用ラックEの移動、ロッキングが確実に抑制されるのである。尚、この衝突部材9が、側面7の上下方向に延在して設けられた場合には、前述の効果がより顕著に得られることとなる。
【0080】
また、隣り合う核燃料貯蔵用ラックE、Eの対向する側面7、7同士の間隔を比較的小さく設定できるとともに、核燃料貯蔵用ラックEを密集するように整列配置できる。従って、貯蔵ピット3内のスペースを有効に利用できる。
【0081】
(第4参考例)
次に、本発明の第4参考例に係る核燃料貯蔵用ラックFについて、
図8〜
図12を参照して説明する。尚、前述の参考例と同一部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0082】
第4参考例の核燃料貯蔵用ラックFは、前述した核燃料貯蔵用ラックEとは、衝突部材9の支持体9Aの形状が異なっている。
この核燃料貯蔵用ラックFの衝突部材9における支持体9Aは、ラック本体6の側面7から離間するに従い漸次該側面7の面方向のうちいずれかの方向に向かって傾斜して形成されている。詳しくは、支持体9Aは、側面7から離間するに従い漸次該側面7の左右方向のいずれかに向かって傾斜して形成されている。
【0083】
衝突部材9は、側面7の左右縁部において上下に延在して設けられており、
図8に示すように、その延在方向に垂直な断面が略C字状をなしている。この衝突部材9の支持体9Aは、側面7の左右方向(
図8では上下方向)に互いに離間して一対設けられており、衝突体9Bは、これら支持体9Aの側面7とは反対側の端部同士を連結するように架け渡されている。そして、一対の支持体9A、9Aは、側面7から離間するに従い漸次互いに接近するように傾斜して形成されている。
【0084】
本参考例に係る核燃料貯蔵用ラックFによれば、前述の参考例と同様の効果が得られるとともに、下記のような効果を奏する。すなわち、支持体9Aが、ラック本体6の側面7から傾斜して立設されているので、衝突の衝撃によって、衝突部材9がより塑性変形しやすくなる。従って、ラック本体6に伝わる衝撃を緩和する効果がさらに高められる。
【0085】
尚、前述の説明では、衝突部材9が、断面C字状をなしているとしたが、これに限定されるものではない。
図9〜
図12は、本参考例の変形例を示している。
【0086】
図9に示す衝突部材9は、その水平方向に沿う断面が、鈍角に開くL字状をなすように形成されている。この例では、衝突体9Bは支持体9Aに片持ち状態で支持されており、これらの連結部分や支持体9Aが、より塑性変形しやすくされている。
【0087】
尚、
図9においては、衝突体9Bが、支持体9Aの前記端部から側面7における左右方向の内側(
図9における上側)へ向かって延設されるように形成されているが、これとは反対に、左右方向の外側(
図9における下側)へ向かって延設されていても構わない。
【0088】
また、
図10に示す衝突部材9では、隣り合う核燃料貯蔵用ラックF、Fの対向する衝突部材9、9同士において、衝突体9Bの延設される方向が互いに異なって設定されている。そして、一方(他方)の核燃料貯蔵用ラックF1(F2)の衝突部材9の衝突体9Bは、他方(一方)の核燃料貯蔵用ラックF2(F1)の側面7と、この側面7に設けられた衝突部材9の衝突体9Bと、の間に配置されている。
【0089】
また、
図10の上面視において、対向する衝突部材9、9同士に囲繞されるようにして、断面略平行四辺形状の領域Sが画成されている。また、
図11に示すように、この衝突部材9は、側面7の上下方向に延在して形成されている。また、この衝突部材9を備えた核燃料貯蔵用ラックFは、貯蔵ピット3内において、例えば、
図12の上面視に示すような核燃料貯蔵用ラック群として整列配置される。
このような構成によれば、前述した効果が確実に得られる。
【0090】
(本発明の実施形態)
次に、本発明の実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックG及びこれを複数用いて整列配置した核燃料貯蔵用ラック群Hについて、
図13、
図14を参照して説明する。尚、前述の参考例と同一部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0091】
本実施形態の核燃料貯蔵用ラックG及び核燃料貯蔵用ラック群Hは、前述の参考例とは衝突部材10が異なっている。この衝突部材10は、スポンジ状構造を有する金属体からなる。詳しくは、衝突部材10は、内部に気孔を有する多孔質状の金属材料からなり、例えばステンレス製のスポンジ様クッション材により形成されている。
【0092】
衝突部材10は、例えば直方体状等の多角形柱状、円柱状、又は、棒状をなしており、ラック本体6の側面7の左右縁部のうち少なくともいずれかに配設されて、該側面7から突出している。
【0093】
図13に示す例では、衝突部材10は、ラック本体6の側面7における左右縁部のいずれかに配設されて、該側面7から突出している。また、衝突部材10は、前記左右縁部に配設されるもの以外に、側面7において左右方向に間隔をあけて複数配設されている。そして、隣り合う核燃料貯蔵用ラックG、G(核燃料貯蔵用ラック群H)のうち、一方の核燃料貯蔵用ラックGの衝突部材10は、他方の核燃料貯蔵用ラックGの側面7に対向配置されている。
【0094】
また、
図14に示す例では、衝突部材10は、ラック本体6の側面7における左右両縁部に配設されて、該側面7から突出している。そして、隣り合う核燃料貯蔵用ラックG、G同士は、互いの衝突部材10、10を対向配置した状態で配列されている。また、対向する衝突部材10、10同士の間には、若干の間隙が設けられている。
【0095】
また、この衝突部材10は、ラック本体6の側面7に着脱可能に配設されている。すなわち、ラック本体6に装着された衝突部材10を側面7から取り外して、別の衝突部材10に交換可能とされている。
【0096】
本実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックG及び核燃料貯蔵用ラック群Hによれば、前述の参考例と同様の効果が得られるとともに、下記のような効果を奏する。すなわち、衝突部材10が、スポンジ状構造を有する金属体からなるので、衝突による衝撃で確実に塑性変形可能とされつつも、ある程度の剛性を確保することができ、衝突によって衝突部材10が容易に破損、圧潰するようなことが防止される。
【0097】
(第5参考例)
次に、本発明の第5参考例に係る核燃料貯蔵用ラックIについて、
図15を参照して説明する。尚、前述の参考例及び実施形態と同一部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0098】
図15に示すように、第5参考例の核燃料貯蔵用ラックIにおいては、衝突部材がラック本体6の側面7における左右縁部に一対配設されており、これら衝突部材11、12同士は、互いに剛性が異なるように設定されている。すなわち、一対の衝突部材11、12のうち、一方の衝突部材11が、他方の衝突部材12よりも剛性が低く設定されているとともに、塑性変形して衝撃を吸収するように構成されている。そして、隣り合う核燃料貯蔵用ラックI、I同士が、互いの側面7、7同士を対向させるとともに、剛性の高い衝突部材12と剛性の低い衝突部材11とを互いに対向させている。
【0099】
衝突部材11は、例えば角筒状をなしており、水平方向に沿う断面が矩形枠状とされている。この衝突部材11は、ラック本体6の側面7から立設された板状の支持体11Aと、該支持体11Aにおける側面7とは反対側の端部に連結されて、該側面7に平行となるように形成された板状の衝突体11Bと、を備えている。
【0100】
詳しくは、衝突部材11において、支持体11Aは、側面7の左右方向に互いに離間して一対設けられており、衝突体11Bは、これら支持体11Aの前記端部同士を連結するように架け渡されている。尚、図示の例では、衝突体11Bは、支持体11Aよりも厚さが薄く設定されているとともに、変形しやすくされている。
【0101】
また、衝突部材12は、例えば半球状の剛体からなり、水平方向に沿う断面が半円状とされている。衝突部材12は、側面7とは反対側を向く面が凸球面状(凸曲面状)とされており、該側板7から離間するように最も突出する突出部12Aが、隣り合う他の核燃料貯蔵用ラックIにおける衝突部材11の衝突体11Bに対向配置されている。
【0102】
また、これら衝突部材11、12は、ラック本体6の側面7に着脱可能に配設されている。すなわち、ラック本体6に装着された衝突部材11、12を側面7から取り外して、別の衝突部材11、12に交換可能とされている。
【0103】
本参考例に係る核燃料貯蔵用ラックIによれば、前述した参考例及び実施形態と同様の効果が得られるとともに、下記の効果を奏する。すなわち、地震発生時において、互いに剛性の異なる衝突部材11、12同士が衝突することになり、剛性の低い衝突部材11が確実に塑性変形する。従って、これら衝突部材11、12による衝撃吸収効果が確実に得られるのである。
【0104】
尚、前述の説明では、衝突部材12が半球状に形成されているとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、衝突部材12は、丸棒を軸線に沿って半割りしたように形成された断面半円状の棒材からなるとともに、これが側面7の上下方向に延在して配設されていてもよい。また、衝突部材12は、突出部12Aを有する断面三角形状に形成されていてもよい。或いは、衝突部材12は、衝突部材11よりも剛性の高い直方体状や角筒状等に形成されていても構わない。
【0105】
(第6参考例)
次に、本発明の第6参考例に係る核燃料貯蔵用ラックJについて、
図16を参照して説明する。尚、前述の参考例及び実施形態と同一部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0106】
図16に示すように、第6参考例の核燃料貯蔵用ラックJでは、衝突部材13が、ラック本体6の側面7A(7)から立設された支持体13Aと、該側面7Aに対して接近離間する方向に摺動可能とされて該支持体13Aに支持される衝突体13Bと、支持体13Aと衝突体13Bとの間に介在して該衝突体13Bの該側面7Aに対する接近移動に抗うように作用する中間部13Cと、を備えて構成されている。
【0107】
衝突体13Bにおいて、側面7Aとは反対側を向く端面は、隣り合う核燃料貯蔵用ラックJの側面7B(7)に接近(又は当接)した状態で対向配置されている。また、中間部13Cとしては、例えば、貯蔵ピット3内に貯留された水やそれ以外の流体、或いは、圧縮コイルばね(弾性体)等が用いられる。
【0108】
本参考例に係る核燃料貯蔵用ラックJによれば、衝突部材13は、衝突体13Bが衝突して衝撃を受けた際、ダンパ機構のように作用して、その衝撃を十分に緩和してラック本体6に伝えることとなる。すなわち、衝突体13Bが、隣り合う核燃料貯蔵用ラックJの側面7Bに衝突して衝撃を受けると、該衝突体13Bは、側面7A側へ接近する方向へ向けて支持体13Aに対して摺動するが、この際、中間部13Cがこの摺動に抗うように作用することから、衝突体13Bの摺動する勢いが抑制される。これにより、衝突部材13による衝撃吸収効果が十分に得られる。
【0109】
尚、前述の説明では、衝突部材13は、その衝突体13Bが側面7Bに対向配置されているとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、側面7Aにおける衝突部材13の衝突体13Bが、側面7Bに設けられた他の衝突部材13の衝突体13に接近して対向配置されていても構わない。
【0110】
(第7参考例)
次に、本発明の第7参考例に係る核燃料貯蔵用ラックK及びこれを複数用いて整列配置した核燃料貯蔵用ラック群Lについて、
図17〜
図22を参照して説明する。尚、前述の参考例及び実施形態と同一部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0111】
第7参考例の核燃料貯蔵用ラックK及び核燃料貯蔵用ラック群Lにおいては、衝突部材14が、弾性変形により衝撃を吸収する構成とされている。
図17、
図18に示すように、この衝突部材14は、側面7から突出する凸状の衝突部14Aを備えている。
【0112】
詳しくは、衝突部材14は、矩形板状又は帯板状の弾性変形可能な板ばね材を、弓状に湾曲させるように形成されている。
図17に示すように、衝突部材14は、側面7において上下方向に延在するように形成されており、その延在方向の両端部が側面7に固定されている。また、衝突部材14は、その上下方向に沿う中央部付近が側面7から最も離間するように膨出して形成されているとともに、この中央部付近が衝突部14Aとされている。衝突部14Aは、側面7から離間する向きに突出する凸曲面状をなしている。
【0113】
図18に示すように、衝突部材14は、ラック本体6の側面7における左右縁部のいずれかに配設されて、該側面7から突出している。また、衝突部材14は、前記左右縁部に配設されるもの以外に、側面7において左右方向に間隔をあけて複数配設されている。そして、隣り合う核燃料貯蔵用ラックK、K(核燃料貯蔵用ラック群L)のうち、一方の核燃料貯蔵用ラックKの衝突部材14は、他方の核燃料貯蔵用ラックKの側面7に対向配置されている。
【0114】
また、この衝突部材14は、ラック本体6の側面7に着脱可能に配設されている。すなわち、ラック本体6に装着された衝突部材14を側面7から取り外して、別の衝突部材14に交換可能とされている。
【0115】
本参考例に係る核燃料貯蔵用ラックK及び核燃料貯蔵用ラック群Lによれば、衝突部材14は弾性変形するので、衝突の衝撃により変形しても、形状が復元して、衝撃を繰り返し緩和することができる。従って、地震が繰り返し発生した場合であっても、安定して前述の効果を奏することとなる。
【0116】
また、衝突部材14が、ラック本体6の側面7から突出する凸状の衝突部14Aを備えている。このように、衝突部14Aが突出して形成されていることから、衝突部材14は、該衝突部14Aから確実に衝突の衝撃を受けることになる。そして、衝突部14Aが弾性変形することにより、衝撃を確実に吸収する。
【0117】
また、隣り合う核燃料貯蔵用ラックK、K(核燃料貯蔵用ラック群L)のうち、一方の核燃料貯蔵用ラックKの衝突部材14が、他方の核燃料貯蔵用ラックKの側面7に対向配置されている。これにより、これら核燃料貯蔵用ラックK、Kの対向する側面7、7同士の間隔を比較的小さく設定できるとともに、核燃料貯蔵用ラックKを密集するように整列配置できる。従って、貯蔵ピット3内のスペースを有効に利用できる。
【0118】
尚、前述の説明では、隣り合う核燃料貯蔵用ラックK、K(核燃料貯蔵用ラック群L)のうち、一方の核燃料貯蔵用ラックKの衝突部材14は、他方の核燃料貯蔵用ラックKの側面7に対向配置されているとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、隣り合う核燃料貯蔵用ラックK、K同士は、互いの対向する側面7、7の衝突部材14、14同士を対向配置していることとしてもよい。
【0119】
また、衝突部材14は、矩形板状又は帯板状の板ばね材を、弓状に湾曲させるようにして形成されているとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、衝突部材14が、球体を分割(分断)して形成したような略半球状の球ばね材とされているとともに、その衝突部14Aが凸球面状をなしていることとしてもよい。この場合、衝突部材14は側面7に対して、該衝突部材14の外周縁部において周方向に間隔をあけて複数個所で固定されることが好ましい。
【0120】
また、
図19〜
図22は、本参考例の変形例を示している。
図19に示すように、衝突部材14は、側面7において上下方向に離間して複数設けられていてもよい。この例では、
図20(a)に示すように、衝突部材14の上下両端部が側面7に固定されている。
【0121】
また、
図20(b)に示すように、衝突部材14は、上下端部のうち一方の端部が側面7に固定されているとともに、他方の端部が側面7上を摺動可能とされていてもよい。この場合、衝突部材14が衝突して衝撃を受けたときに、その衝撃力が上下方向にも分散されて、該衝突部材14の衝撃吸収能力がより高められる。
【0122】
また、
図21(a)に示すように、衝突部材14が断面略台形状をなし、衝突部14Aがその上底部分とされているとともに、該衝突部14Aの先端面が側面7に略平行な平面とされていてもよい。この場合、衝突部14Aが外力(衝突の衝撃)により弾性変形しやすくなる。また、この例では、衝突部材14は、上下端部のうち一方の端部が側面7に固定されているとともに、他方の端部が側面7との間に若干の間隔をあけて配置されている。これにより、この衝突部材14は、衝突の衝撃力を上下方向により分散させやすくなり、衝撃吸収能力が高められる。
【0123】
また、
図21(b)に示される衝突部材14では、
図20(b)で説明した衝突部材14と対比して、前記他方の端部が側面7との間に若干の間隔をあけて配置されている点で異なる。この場合も、衝撃力を上下方向に分散させる効果がより高められる。
【0124】
また、
図22の例では、衝突部材14は、側面7において左右方向(
図22における上下方向)に離間して複数配設されており、それぞれの衝突部材14は、左右方向に延在するように形成されている。そして、隣り合う核燃料貯蔵用ラックK、Kの衝突部材14、14同士が対向配置されている。すなわち、衝突部材14が側面7上に配設される向き(延在する方向)は、限定されるものではない。
【0125】
(第8参考例)
次に、本発明の第8参考例に係る核燃料貯蔵用ラックM及びこれを複数用いて整列配置した核燃料貯蔵用ラック群Nについて、
図23〜
図26を参照して説明する。尚、前述の参考例及び実施形態と同一部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0126】
図23及び
図24に示すように、第8参考例の核燃料貯蔵用ラックM及び核燃料貯蔵用ラック群Nにおいては、衝突部材15が、弾性変形可能な波板状の板ばね材で形成されている。図示する例では、この衝突部材15は、側面7において上下方向に延びているとともに、該側面7に接近離間する向きに交互に蛇行するように形成されて、全体として波板状をなしている。
【0127】
詳しくは、衝突部材15は、側面7から突出する凸状の複数の衝突部15Aと、隣り合う衝突部15A、15A同士の間に位置してこれら衝突部15Aを連結するとともに、側面7に当接して該衝突部15Aを支持する凹状の支持部15Bと、を備えている。また、衝突部材15の上下端部のうち少なくともいずれかの端部は、側面7に固定されている。衝突部15Aは、側面7から離間する向きに突出する凸曲面状をなしている。また、支持部15Bは、側面7に接近する向きに窪む凹曲面状をなしている。
【0128】
図24に示すように、衝突部材15は、ラック本体6の側面7における左右縁部のいずれかに配設されて、該側面7から突出している。また、衝突部材15は、前記左右縁部に配設されるもの以外に、側面7において左右方向に間隔をあけて複数配設されている。そして、隣り合う核燃料貯蔵用ラックM、M(核燃料貯蔵用ラック群N)のうち、一方の核燃料貯蔵用ラックMの衝突部材15は、他方の核燃料貯蔵用ラックMの側面7に対向配置されている。
【0129】
また、この衝突部材15は、ラック本体6の側面7に着脱可能に配設されている。すなわち、ラック本体6に装着された衝突部材15を側面7から取り外して、別の衝突部材15に交換可能とされている。
【0130】
本参考例に係る核燃料貯蔵用ラックM及び核燃料貯蔵用ラック群Nによれば、前述した参考例及び実施形態と同様の効果が得られるとともに、下記の効果を奏する。すなわち、衝突部材15は、ラック本体6の側面7から突出する複数の衝突部15Aから広範囲に衝突の衝撃を受けることになるとともに、これら衝突部15Aが弾性変形し、かつ、これら衝突部15Aを支持する支持部15Bが弾性変形して、衝撃を確実に緩和する。
【0131】
尚、前述の説明では、隣り合う核燃料貯蔵用ラックM、M(核燃料貯蔵用ラック群N)のうち、一方の核燃料貯蔵用ラックMの衝突部材15は、他方の核燃料貯蔵用ラックMの側面7に対向配置されているとしたが、これに限定されるものではない。
図25は、本参考例の変形例を示している。図示するように、隣り合う核燃料貯蔵用ラックM、M同士は、互いの対向する側面7、7の衝突部材15、15同士を対向配置していることとしてもよい。
【0132】
また、
図25に示す例では、隣り合う核燃料貯蔵用ラックM、Mの対向する衝突部材15、15同士は、環状をなす連結体16により互いに連結されている。詳しくは、連結体16は、側面7と衝突部15Aとの間に挿入されて、該衝突部15Aに当接可能な係止部16Aと、隣り合う核燃料貯蔵用ラックM、Mにそれぞれ配された係止部16A、16A同士を連結する連結部16Bと、を備えて構成されている。連結体16は、環のうち少なくとも一部を取り外すことにより衝突部材15に着脱可能とされている。
【0133】
詳しくは、連結体16は、軸状をなし互いに略平行に延びる一対の係止部16Aと、軸状をなし、これら係止部16Aの端部同士を連結するように略平行に延びる一対の連結部16Bと、を備えている。図示の例では、これら係止部16A及び連結部16Bは、水平方向にそれぞれ延在している。尚、連結部16Bを一対設けずに、1つ用いて係止部16A同士を連結させても構わない。この場合、連結体16は、略コ字状に形成される。
【0134】
図25の例に示す構成を用いた場合、隣り合う核燃料貯蔵用ラックM、Mにそれぞれ配された係止部16A、16A同士が、連結部16Bで連結されているので、これら核燃料貯蔵用ラックM、M同士が互いに離間する方向に相対移動したときに、係止部16Aが衝突部15Aに側面7側から(内側から)当接して、核燃料貯蔵用ラックM、M同士がそれ以上に互いに離間することを規制する。これにより、これら核燃料貯蔵用ラックM、M同士が再び接近して衝突部15Aが衝突することがあっても、その衝撃が抑制される。また、係止部16Aが衝突部15Aに当接する際の衝撃に着目すると、該衝突部15Aは弾性変形可能であることから、この当接時の衝撃も緩和されている。
【0135】
また、
図26に示す本参考例の変形例では、波板状の衝突部材15が、側面7において水平方向に延在して設けられている。そして、少なくとも側面7の左右縁部に対応する衝突部材15の両端部には、衝突部15Aがそれぞれ形成されている。図示する例では、連結体16を略コ字状として、衝突部材15に対して上方から下方へ向けて差し入れることにより、該衝突部材15への装着が行える。
【0136】
(第9参考例)
次に、本発明の第9参考例に係る核燃料貯蔵用ラックO及びこれを複数用いて整列配置した核燃料貯蔵用ラック群Pについて、
図27〜
図29を参照して説明する。尚、前述の参考例及び実施形態と同一部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0137】
第9参考例の核燃料貯蔵用ラックO及び核燃料貯蔵用ラック群Pにおいては、衝突部材17が、隣り合う他の核燃料貯蔵用ラックOの衝突部材17及び側面7のいずれかに接着される。
【0138】
図27及び
図28に示す例では、隣り合う核燃料貯蔵用ラックO、O同士は、互いの衝突部材17、17同士を対向配置させているとともに、これら衝突部材17、17同士が互いに当接した状態で、接着剤等により接着されている。そして、
図29に示すように、核燃料貯蔵用ラック群Pは、複数の核燃料貯蔵用ラックOを貯蔵ピット3内に敷き詰めるように密集して整列配置することにより構成される。
【0139】
尚、特に図示しないが、衝突部材17は、隣り合う他の核燃料貯蔵用ラックOの側面7に当接した状態で、接着剤等により該側面7に接着されていてもよい。この場合、核燃料貯蔵用ラック群Pがよりコンパクトに構成される。
【0140】
本参考例に係る核燃料貯蔵用ラックO及び核燃料貯蔵用ラック群Pによれば、衝突部材17が、隣り合う他の核燃料貯蔵用ラックOの衝突部材17及び側面7のいずれかに接着されているので、これら核燃料貯蔵用ラックOは、互いの側面7、7間に位置する衝突部材17を介して一体とされている。この場合、核燃料貯蔵用ラックO、O同士の配置間隔が狭められるとともに、これら核燃料貯蔵用ラックOは貯蔵ピット3内に敷き詰められるように配列することになる。これにより、地震発生時において、核燃料貯蔵用ラックOが揺れる振幅の大きさが抑制されることから、衝突部材17の衝突荷重が低減される。
【0141】
またこの場合、衝突部材17が接着されることにより一体とされた隣り合う核燃料貯蔵用ラックO、O同士は、互いに離間する方向に揺れることも抑制されている。従って、例えば、核燃料貯蔵用ラックOの側方に比較的大きな空間が設けられていたとしても、この核燃料貯蔵用ラックOが前記空間側へ向けて転倒するようなことが防止される。
【0142】
また、
図29に示すように、整列配置された核燃料貯蔵用ラックO(核燃料貯蔵用ラック群P)のうち、最も外側に位置する核燃料貯蔵用ラックO1は、側面7のうち貯蔵ピット3の側壁3aに対向する側面7に配設された衝突部材17が該側壁3aに接近して配置され、衝突部材17と側壁3aとの間には、これら核燃料貯蔵用ラックOの熱膨張を見込んで所定の隙間αが設けられている。
【0143】
詳しくは、隙間αは、例えば核燃料貯蔵用ラックOの熱膨張による伸びを1mあたり0.7mm程度見込んで設定されている。すなわち、貯蔵ピット3が、上面視において15m×15mの広さに設定されている場合には、0.7mm×15m=11mm程度の隙間αが設定される。
【0144】
このように、整列配置された核燃料貯蔵用ラックOのうち、最も外側に位置する核燃料貯蔵用ラックO1において貯蔵ピット3の側壁3a側を向く衝突部材17が、該側壁3aに接近して配置されていることにより、地震発生時には、この衝突部材17が側壁3aに当接することになるとともに、核燃料貯蔵用ラックO1が該側壁3a側へ向けて転倒するようなことが確実に防止される。
【0145】
そして、この衝突部材17と側壁3aとの間には、整列配置された複数の核燃料貯蔵用ラックOの熱膨張を見込んで設定された隙間(所定の隙間)αが設けられている。これにより、核燃料貯蔵用ラックOが敷き詰められるように整列配置された状態であっても、これら核燃料貯蔵用ラックOの熱膨張分を隙間αで吸収できる。従って、このような熱膨張によって、核燃料貯蔵用ラックOに熱応力が発生することがない。また、隙間αが設けられることによって、核燃料貯蔵用ラックOを貯蔵ピット3に設置する作業に支障が生じることもない。
【0146】
尚、特に図示しないが、最も外側に位置する核燃料貯蔵用ラックO1においては、ラック本体6の鉛直セル(ラックセル)1のうち側壁3aに接近して配置された鉛直セル1に、使用済み燃料を保管する代わりに、新燃料、十分に冷却され尽くした使用済み燃料、制御棒、バーナブルポイズン等の燃料内装物を保管することが好ましい。これにより、地震発生時に、核燃料貯蔵用ラックO1が移動、ロッキングして側壁3aに衝突した場合であっても、該側壁3aの損傷が防止される。
【0147】
以上、第1〜第9参考例及び本発明の実施形態について説明したが、これら参考例及び実施形態で説明した核燃料貯蔵用ラック(群)B〜Pは、貯蔵ピット3内への設置以前においては、互いに分割された構造であり、それぞれが陸上輸送可能な外形寸法に設定されている。詳しくは、各核燃料貯蔵用ラックは、陸上輸送に用いられる輸送コンテナと同等又は僅かに小さく収容可能な外形寸法とされていて、陸上輸送及び海上輸送のいずれかで輸送可能とされている。尚、前記輸送コンテナとは、公知の一般的なものを差している。このように、核燃料貯蔵用ラックが陸上輸送可能な外形寸法に設定された場合、内陸部への輸送が可能となるとともに、輸送費が大幅に削減される。詳しくは、一般に、海上輸送費と陸上輸送費とでは、10(海上):1(陸上)程度のコスト差(若しくは10以上:1のコスト差)が生じることから、核燃料貯蔵用ラックは、前述のように陸上輸送可能とされていることが好ましい。
【0148】
また、核燃料貯蔵用ラックの転倒を防止するには、ラック本体6の水平面方向の広さを広く設定するか、若しくは、陸上輸送可能な大きさに設定した上で、これら核燃料貯蔵用ラック同士を接続すればよい。
すなわち、核燃料貯蔵用ラックは、陸上輸送用コンテナに収容可能な外形に設定されることとしてもよい。
また、支持脚部5は、ラック本体6の下面における四隅に配設されており、側面7の左右方向に隣り合う一対の支持脚部5、5同士の間隔(軸間距離)は、ラック本体6の転倒を防止可能に設定されることとしてもよい。
【0149】
また、第1〜第8参考例及び本発明の実施形態において、複数の核燃料貯蔵用ラックを整列配置してなる核燃料貯蔵用ラック群が、貯蔵ピット3内の全域に配設されているとともに、これら核燃料貯蔵用ラックのうち、最も外側に位置する核燃料貯蔵用ラックにおいて貯蔵ピット3の側壁3a側を向く衝突部材が、該側壁3aに接近して配置されていることとしてもよい。この場合、第9参考例のように、隣り合う核燃料貯蔵用ラックにおいて対向する衝突部材同士が接着されている構成以外であっても、地震発生時において、核燃料貯蔵用ラックが該側壁3a側へ向けて転倒するようなことが防止される。
【0150】
すなわち、整列配置された核燃料貯蔵用ラックは、貯蔵ピット3の側壁3aに囲繞される領域において互いに接近して密集するように収容されるとともに、最も外側に位置する核燃料貯蔵用ラックは、側面7のうち貯蔵ピット3の側壁3aに対向する側面7に配設された衝突部材が該側壁3aに接近して配置されることとしてもよい。
【0151】
その他、前述した参考例及び実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また本発明の主旨を逸脱しない範囲で、前記構成要素を適宜組み合わせてもよい。