特許第5987048号(P5987048)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5987048
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】洗浄ノズル
(51)【国際特許分類】
   B08B 9/049 20060101AFI20160823BHJP
   B08B 9/032 20060101ALI20160823BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20160823BHJP
   B05B 1/16 20060101ALI20160823BHJP
   B05B 13/06 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   B08B9/049 495
   B08B9/032 321
   B08B3/02 G
   B05B1/16
   B05B13/06
【請求項の数】16
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-257978(P2014-257978)
(22)【出願日】2014年12月19日
(65)【公開番号】特開2016-117015(P2016-117015A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2016年4月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000192073
【氏名又は名称】株式会社モリタホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100106611
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 幸史
(74)【代理人】
【識別番号】100116241
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 一郎
(72)【発明者】
【氏名】廖 赤虹
【審査官】 村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平7−163959(JP,A)
【文献】 特開昭62−241588(JP,A)
【文献】 特開2006−314943(JP,A)
【文献】 特開昭64−80483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 9/049
B05B 1/16
B05B 13/06
B08B 3/02
B08B 9/032
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧洗浄流体を供給する洗浄用ホースの先端に取り付けられ、前記高圧洗浄流体の噴射によって管の内部を移動するとともに前記管の内部を洗浄する洗浄ノズルであって、
前記管の内周面に対する前記高圧洗浄流体の噴射角度を異ならせた第1噴射孔群と第2噴射孔群とを有し、
前記洗浄用ホースからの前記高圧洗浄流体の供給停止と再供給とによって、前記高圧洗浄流体を、前記第1噴射孔群からの噴射と前記第2噴射孔群からの噴射とに切り替える噴射切替機構を備えた
ことを特徴とする洗浄ノズル。
【請求項2】
前記噴射切替機構が、
筒部材と、
前記筒部材内に配置される円柱部材と、
前記筒部材または前記円柱部材に形成した突起部と、
前記突起部の移動を規制するガイド部と
で構成され、
供給停止によって、前記円柱部材が前記筒部材の一方に移動し、前記突起部が前記ガイド部に当接して摺動することで、前記円柱部材は前記筒部材に対して所定角度回動する第1動作を行い、
再供給によって、前記円柱部材が前記筒部材の他方に移動し、前記突起部が前記ガイド部に当接して摺動することで、前記円柱部材は前記筒部材に対して所定角度回動する第2動作を行い、
前記洗浄用ホースからの前記高圧洗浄流体の供給停止と再供給とによって、前記第1動作と前記第2動作を繰り返し、
前記第1動作の後の前記第2動作による前記円柱部材の停止位置と、前記第1動作の前の前記第2動作による前記円柱部材の停止位置とを異ならせることで、前記第1噴射孔群からの噴射と前記第2噴射孔群からの噴射とに切り替える
ことを特徴とする請求項1に記載の洗浄ノズル。
【請求項3】
前記円柱部材を前記筒部材の一方に付勢する弾性部材を有し、前記弾性部材の付勢によって前記第1動作が行われることを特徴とする請求項2に記載の洗浄ノズル。
【請求項4】
前記円柱部材の一端に前記高圧洗浄流体を作用させ、前記円柱部材の他端に前記弾性部材を配置したことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の洗浄ノズル。
【請求項5】
前記突起部を前記筒部材に形成し、前記ガイド部を前記円柱部材に形成したことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の洗浄ノズル。
【請求項6】
前記円柱部材の他端に、前記筒部材と当接する第1当接部と第2当接部とを形成し、
前記第1当接部が前記筒部材に当接することで、前記第1動作の後の前記第2動作による前記円柱部材の前記停止位置となり、
前記第2当接部が前記筒部材に当接することで、前記第1動作の前の前記第2動作による前記円柱部材の前記停止位置となる
ことを特徴とする請求項2から請求項5のいずれかに記載の洗浄ノズル。
【請求項7】
前記筒部材の外周にはノズル取付部材を有し、
前記ノズル取付部材には、前記第1噴射孔群と前記第2噴射孔群とを形成し、
前記筒部材には、前記第1噴射孔群と連通する筒側第1貫通孔群と、前記第2噴射孔群と連通する筒側第2貫通孔群とを形成し、
前記円柱部材には、円柱側貫通孔群を形成し、
前記第1当接部が前記筒部材に当接することで、前記円柱側貫通孔群が前記筒側第1貫通孔群と連通し、
前記第2当接部が前記筒部材に当接することで、前記円柱側貫通孔群が前記筒側第2貫通孔群と連通する
ことを特徴とする請求項6に記載の洗浄ノズル。
【請求項8】
前記ガイド部が、傾斜方向の異なる第1ガイド部と第2ガイド部とからなり、
前記第1ガイド部は、前記円柱部材が前記筒部材の一方に移動するときに、前記突起部が当接して摺動し、
前記第2ガイド部は、前記円柱部材が前記筒部材の他方に移動するときに、前記突起部が当接して摺動し、
前記第1ガイド部における前記突起部の第1ガイド部開始位置と第1ガイド部終了位置とを結ぶ第1ガイド部仮想傾斜角が、前記円柱部材の仮想軸線に対して0度より大きく90度より小さい傾斜角とし、
前記第2ガイド部における前記突起部の第2ガイド部開始位置と第2ガイド部終了位置とを結ぶ第2ガイド部仮想傾斜角が、前記円柱部材の前記仮想軸線に対して90度より大きく180度より小さい傾斜角とし、
前記第1ガイド部と前記第2ガイド部とを交互に、前記筒部材または前記円柱部材に環状に形成し、
前記第1動作および前記第2動作では前記円柱部材は前記筒部材に対して同じ方向に回動する
ことを特徴とする請求項2から請求項7のいずれかに記載の洗浄ノズル。
【請求項9】
前記第1ガイド部終了位置を、前記第2ガイド部開始位置より所定角度進んだ位置とし、
前記第2ガイド部終了位置を、前記第1ガイド部開始位置より所定角度進んだ位置とした
ことを特徴とする請求項8に記載の洗浄ノズル。
【請求項10】
前記第1ガイド部と前記第2ガイド部とを、連続した溝の側壁で形成したことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の洗浄ノズル。
【請求項11】
前記第1ガイド部または前記第2ガイド部を直線状に形成したことを特徴とする請求項8から請求項10のいずれかに記載の洗浄ノズル。
【請求項12】
前記第1ガイド部または前記第2ガイド部を曲線状に形成したことを特徴とする請求項8から請求項10のいずれかに記載の洗浄ノズル。
【請求項13】
前記溝の断面形状を、矩形または台形としたことを特徴とする請求項8から請求項12のいずれかに記載の洗浄ノズル。
【請求項14】
前記突起部を、円柱状または円錐台状としたことを特徴とする請求項2から請求項13のいずれかに記載の洗浄ノズル。
【請求項15】
前記第1噴射孔群の前記噴射角度を前記第2噴射孔群の前記噴射角度よりも小さくし、前記第1噴射孔群からの噴射によって前記管の内部を移動し、
前記第2噴射孔群からの噴射によって前記管の内部を洗浄する
ことを特徴とする請求項1から請求項14のいずれかに記載の洗浄ノズル。
【請求項16】
前記洗浄用ホースから前記高圧洗浄流体を供給する供給動力を同じとした場合に、前記第1噴射孔群からの噴射総流量と、前記第2噴射孔群からの噴射総流量とを異ならせた
ことを特徴とする請求項1から請求項15のいずれかに記載の洗浄ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば高圧洗浄車に備えられる洗浄ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
下水道や排水溝などは社会インフラの一部であり、都市機能の維持に重要な役割を果たしている。下水道や排水溝などは、定期的な清掃が欠かせない。その清掃に高圧洗浄車が使用されている。
高圧洗浄車による下水管洗浄は、以下の方法により行われる。
路面に埋設された下水管マンホールの付近に高圧洗浄車を停車させる。
図12(a)に示すように、マンホール101の蓋102を開け、車両に装備したホースリールから洗浄用ホース103を引出し、先端に洗浄ノズル104を取り付け、マンホール101から下水管105内に洗浄ノズル104を挿入する。
油圧でホースリールを回転させ、洗浄用ホース103を送出する(推進過程)と同時に、洗浄ノズル104から高圧水を噴射し、水噴射の反動力を利用して洗浄ノズル104を次のマンホール106まで推進させる。
図12(b)に示すように、洗浄ノズル104を次のマンホール106まで到達させた後、図12(c)に示すように、高圧水を噴射しつつ洗浄用ホース103をホースリールに巻き取る。
高圧水の圧力と水量によって、下水管105内に堆積した汚泥107をマンホール101に引き寄せる(管内清掃過程)。
マンホール101まで引き寄せた汚泥107を、地上に配置した吸引車で吸引・回収する。
このように、下水管の高圧洗浄は、洗浄ノズルと洗浄用ホースを所定の場所に送る推進過程と、それを巻き戻して洗浄する管内清掃過程との2つの過程がある。
【0003】
高圧洗浄車は、このような下水管清掃の他に、路面側溝の清掃、ビル排水管の清掃などにも活用される。
高圧洗浄車に積載できる水量には、車両総重量などの制約によって限界があるため、水を節約し効率よく作業を行なう必要がある。
図13に洗浄ノズルの水噴射角度と下水管直径との関係を示す。水噴射角度は水噴射方向と洗浄ノズルの推進方向、すなわち下水管の軸方向との交角を指す。図13に示すように、一定の太さの下水管に対して、洗浄ノズルの水噴射角度が垂直に近ければ、管壁までの距離が短くなり、当る力が大きくなる。
図14は水噴射の反動力とノズル推進力との関係を示す説明図、図15は水噴射角度による推進力対反動力の変化を示す説明図である。
洗浄ノズルの水噴射角度が水平(0°)に近づくほど、洗浄ノズルの推進力が高く、逆に洗浄ノズルの水噴射角度が垂直に近ければ、洗浄ノズルの推進力が小さくなる。
【0004】
図12(a)に示す推進過程において、同じ高圧水流量でより高い推進力を得るには、噴射角度が小さいほうがよい。つまり、この過程において、小さい噴射角度の洗浄ノズルを使用すれば、より短時間で洗浄ノズルと洗浄用ホースを所定の場所まで送ることができ、推進過程の消費水量が少なくなる。
一方、洗浄ノズルを巻き戻す管内清掃過程において、噴射水が管壁に当たりやすい噴射角度の大きい洗浄ノズルを使用したほうが、よりきれいに管壁を洗浄できる。
すなわち、積載された水を効率的に使用するには、洗浄ノズルの推進過程に噴射角度小、洗浄ノズルを巻き戻す管内清掃過程に噴射角度大、というように噴射角度を変更できる洗浄ノズルの使用が望ましい。
特許文献1では、洗浄ノズルの軸線に対して、90度の噴射角度と30度の噴射角度で噴射孔を備えている(図7、実施例3)。
特許文献2も同様に、洗浄ノズルの軸線に対して、90度の噴射角度と30度の噴射角度で噴射孔を備えている(図1、段落番号(0013))。
特許文献3では、洗浄ノズルの先端側の噴射角度を、洗浄ノズルの後端側の噴射角度と同じか、大きくすることが記載されている(図2、段落番号(0017))。
特許文献4では、3つの異なる噴射角度を持つ洗浄ノズルが記載されている(図2、段落番号(0016)(0017))。
また、特許文献5から特許文献10についても、噴射角度の異なる複数の噴射孔を備えた洗浄ノズルを提案している。
なお、特許文献9では、供給する水圧によって部材間にスリットが形成され、このスリットから水を噴射させることが記載されている。
また、特許文献10では、ねじ部を有しており、ねじによって部材を軸方向に移動させることで噴射方向を変更できる構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−273998号公報
【特許文献2】特開平6−193129号公報
【特許文献3】特開2013−103191号公報
【特許文献4】特開2006−21175号公報
【特許文献5】実願昭59−53888号(実開昭60−165583号)のマイクロフィルム
【特許文献6】実願昭49−154661号(実開昭51−79166号)のマイクロフィルム
【特許文献7】実願昭47−147036号(実開昭49−101560号)のマイクロフィルム
【特許文献8】特開昭58−49457号公報
【特許文献9】実公昭42−14545号公報
【特許文献10】実願昭57−177661号(実開昭59−81995号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1から特許文献9に記載された洗浄ノズルは、噴出方向を選択的に切り替えるものではない。
特許文献10に記載された洗浄ノズルは、洗浄作業を行えるとともに通常のホースと同様にストレートな水流を得られることを目的としたものであり、遠隔操作によって噴射方向を切り替えるものではない。
なお、下水管という過酷な条件で用いられ、寸法の制約も厳しい洗浄ノズルは、電磁弁などの電気制御や機械による遠隔操作は困難である。
【0007】
そこで本発明は、洗浄のために供給される高圧水の圧力を利用して、選択的に異なる噴射角度で噴射できる洗浄ノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の本発明の洗浄ノズルは、高圧洗浄流体を供給する洗浄用ホースの先端に取り付けられ、前記高圧洗浄流体の噴射によって管の内部を移動するとともに前記管の内部を洗浄する洗浄ノズルであって、前記管の内周面に対する前記高圧洗浄流体の噴射角度を異ならせた第1噴射孔群と第2噴射孔群とを有し、前記洗浄用ホースからの前記高圧洗浄流体の供給停止と再供給とによって、前記高圧洗浄流体を、前記第1噴射孔群からの噴射と前記第2噴射孔群からの噴射とに切り替える噴射切替機構を備えたことを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の洗浄ノズルにおいて、前記噴射切替機構が、筒部材と、前記筒部材内に配置される円柱部材と、前記筒部材または前記円柱部材に形成した突起部と、前記突起部の移動を規制するガイド部とで構成され、前記供給停止によって、前記円柱部材が前記筒部材の一方に移動し、前記突起部が前記ガイド部に当接して摺動することで、前記円柱部材は前記筒部材に対して所定角度回動する第1動作を行い、前記再供給によって、前記円柱部材が前記筒部材の他方に移動し、前記突起部が前記ガイド部に当接して摺動することで、前記円柱部材は前記筒部材に対して所定角度回動する第2動作を行い、前記洗浄用ホースからの前記高圧洗浄流体の供給停止と再供給とによって、前記第1動作と前記第2動作を繰り返し、前記第1動作の後の前記第2動作による前記円柱部材の停止位置と、前記第1動作の前の前記第2動作による前記円柱部材の停止位置とを異ならせることで、前記第1噴射孔群からの噴射と前記第2噴射孔群からの噴射とに切り替えることを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項2に記載の洗浄ノズルにおいて、前記円柱部材を前記筒部材の一方に付勢する弾性部材を有し、前記弾性部材の付勢によって前記第1動作が行われることを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項2または請求項3に記載の洗浄ノズルにおいて、前記円柱部材の一端に前記高圧洗浄流体を作用させ、前記円柱部材の他端に前記弾性部材を配置したことを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項2から請求項4のいずれかに記載の洗浄ノズルにおいて、前記突起部を前記筒部材に形成し、前記ガイド部を前記円柱部材に形成したことを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項2から請求項5のいずれかに記載の洗浄ノズルにおいて、前記円柱部材の他端に、前記筒部材と当接する第1当接部と第2当接部とを形成し、前記第1当接部が前記筒部材に当接することで、前記第1動作の後の前記第2動作による前記円柱部材の前記停止位置となり、前記第2当接部が前記筒部材に当接することで、前記第1動作の前の前記第2動作による前記円柱部材の停止位置となることを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項6に記載の洗浄ノズルにおいて、前記筒部材の外周にはノズル取付部材を有し、前記ノズル取付部材には、前記第1噴射孔群と前記第2噴射孔群とを形成し、前記筒部材には、前記第1噴射孔群と連通する筒側第1貫通孔群と、前記第2噴射孔群と連通する筒側第2貫通孔群とを形成し、前記円柱部材には、円柱側貫通孔群を形成し、前記第1当接部が前記筒部材に当接することで、前記円柱側貫通孔群が前記筒側第1貫通孔群と連通し、前記第2当接部が前記筒部材に当接することで、前記円柱側貫通孔群が前記筒側第2貫通孔群と連通することを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、請求項2から請求項7のいずれかに記載の洗浄ノズルにおいて、前記ガイド部が、傾斜方向の異なる第1ガイド部と第2ガイド部とからなり、前記第1ガイド部は、前記円柱部材が前記筒部材の一方に移動するときに、前記突起部が当接して摺動し、前記第2ガイド部は、前記円柱部材が前記筒部材の他方に移動するときに、前記突起部が当接して摺動し、前記第1ガイド部における前記突起部の第1ガイド部開始位置と第1ガイド部終了位置とを結ぶ第1ガイド部仮想傾斜角が、前記円柱部材の仮想軸線に対して0度より大きく90度より小さい傾斜角とし、前記第2ガイド部における前記突起部の第2ガイド部開始位置と第2ガイド部終了位置とを結ぶ第2ガイド部仮想傾斜角が、前記円柱部材の仮想軸線に対して90度より大きく180度より小さい傾斜角とし、前記第1ガイド部と前記第2ガイド部とを交互に、前記筒部材または前記円柱部材に環状に形成し、前記第1動作および前記第2動作では前記円柱部材は前記筒部材に対して同じ方向に回動することを特徴とする。
請求項9記載の本発明は、請求項8に記載の洗浄ノズルにおいて、前記第1ガイド部終了位置を、前記第2ガイド部開始位置より所定角度進んだ位置とし、前記第2ガイド部終了位置を、前記第1ガイド部開始位置より所定角度進んだ位置としたことを特徴とする。
請求項10記載の本発明は、請求項8または請求項9に記載の洗浄ノズルにおいて、前記第1ガイド部と前記第2ガイド部とを、連続した溝の側壁で形成したことを特徴とする。
請求項11記載の本発明は、請求項8から請求項10のいずれかに記載の洗浄ノズルにおいて、前記第1ガイド部または前記第2ガイド部を直線状に形成したことを特徴とする。
請求項12記載の本発明は、請求項8から請求項10のいずれかに記載の洗浄ノズルにおいて、前記第1ガイド部または前記第2ガイド部を曲線状に形成したことを特徴とする。
請求項13記載の本発明は、請求項8から請求項12のいずれかに記載の洗浄ノズルにおいて、前記溝の断面形状を、矩形または台形としたことを特徴とする。
請求項14記載の本発明は、請求項2から請求項13のいずれかに記載の洗浄ノズルにおいて、前記突起部を、円柱状または円錐台状としたことを特徴とする。
請求項15記載の本発明は、請求項1から請求項14のいずれかに記載の洗浄ノズルにおいて、前記第1噴射孔群の前記噴射角度を前記第2噴射孔群の前記噴射角度よりも小さくし、前記第1噴射孔群からの噴射によって前記管の内部を移動し、前記第2噴射孔群からの噴射によって前記管の内部を洗浄することを特徴とする。
請求項16記載の本発明は、請求項1から請求項15のいずれかに記載の洗浄ノズルにおいて、前記洗浄用ホースから前記高圧洗浄流体を供給する供給動力が同じ場合に、前記第1噴射孔群からの噴射総流量と、前記第2噴射孔群からの噴射総流量とを異ならせたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の洗浄ノズルによれば、噴射角度を異ならせた第1噴射孔群からの噴射と第2噴射孔群からの噴射とを、洗浄用ホースからの高圧洗浄流体の供給停止と再供給とによって切り替えることができる。
また、本発明の洗浄ノズルによれば、洗浄用ホースからの高圧洗浄流体の供給停止と再供給とによって、水の噴射角度を変えられるため、洗浄ノズルの推進過程と管内清掃過程において、それぞれ最適の噴射角度を利用でき、少ない水消費量で効率的な洗浄ノズルの移動作業と洗浄作業を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施例による洗浄ノズルの外観斜視図
図2】同洗浄ノズルの断面図
図3】同洗浄ノズルの断面図
図4】同洗浄ノズルに用いる円柱部材の側面図
図5】同洗浄ノズルに用いる筒部材の側面断面図
図6】同洗浄ノズルに用いる噴射切替機構を示す図
図7】同洗浄ノズルの要部側断面図
図8】同洗浄ノズルの要部側断面図
図9】同洗浄ノズルの要部側断面図
図10】同洗浄ノズルの側断面図
図11】本発明の他の実施例による洗浄ノズルの説明図
図12】従来の洗浄ノズルの説明図
図13】洗浄ノズルの水噴射角度と下水管直径との関係を示す説明図
図14】水噴射の反動力とノズル推進力との関係を示す説明図
図15】水噴射角度による推進力対反動力の変化を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第1の実施の形態による洗浄ノズルは、管の内周面に対する高圧洗浄流体の噴射角度を異ならせた第1噴射孔群と第2噴射孔群とを有し、洗浄用ホースからの高圧洗浄流体の供給停止と再供給とによって、高圧洗浄流体を、第1噴射孔群からの噴射と第2噴射孔群からの噴射とに切り替える噴射切替機構を備えたものである。本実施の形態によれば、高圧洗浄流体の噴射角度を異ならせた第1噴射孔群からの噴射と第2噴射孔群からの噴射とを、洗浄用ホースからの高圧洗浄流体の供給停止と再供給とによって切り替えることができる。
【0012】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による洗浄ノズルにおいて、噴射切替機構が、筒部材と、筒部材内に配置される円柱部材と、筒部材または円柱部材に形成した突起部と、突起部の移動を規制するガイド部とで構成され、供給停止によって、円柱部材が筒部材の一方に移動し、突起部がガイド部に当接して摺動することで、円柱部材は筒部材に対して所定角度回動する第1動作を行い、再供給によって、円柱部材が筒部材の他方に移動し、突起部がガイド部に当接して摺動することで、円柱部材は筒部材に対して所定角度回動する第2動作を行い、洗浄用ホースからの高圧洗浄流体の供給停止と再供給とによって、第1動作と第2動作を繰り返し、第1動作の後の第2動作による円柱部材の停止位置と、第1動作の前の第2動作による円柱部材の停止位置とを異ならせることで、第1噴射孔群からの噴射と第2噴射孔群からの噴射とに切り替えるものである。本実施の形態によれば、供給停止によって円柱部材を筒部材の一方に移動させ、再供給によって円柱部材を筒部材の他方に移動させることで、第1噴射孔群からの噴射と第2噴射孔群からの噴射とに切り替えることができる。
【0013】
本発明の第3の実施の形態は、第2の実施の形態による洗浄ノズルにおいて、円柱部材を筒部材の一方に付勢する弾性部材を有し、弾性部材の付勢によって第1動作が行われるものである。本実施の形態によれば、弾性部材の付勢力を利用して第1動作を行わせることができる。
【0014】
本発明の第4の実施の形態は、第2または第3の実施の形態による洗浄ノズルにおいて、円柱部材の一端に高圧洗浄流体を作用させ、円柱部材の他端に弾性部材を配置したものである。本実施の形態によれば、弾性部材の付勢力と高圧洗浄流体による付勢力とのバランスによって円柱部材を筒部材に対して移動させることができる。
【0015】
本発明の第5の実施の形態は、第2から第4のいずれかの実施の形態による洗浄ノズルにおいて、突起部を筒部材に形成し、ガイド部を円柱部材に形成したものである。本実施の形態によれば、筒部材内面よりも円柱部材の外面が成形しやすいため、ガイド部を成形しやすい。
【0016】
本発明の第6の実施の形態は、第2から第5のいずれかの実施の形態による洗浄ノズルにおいて、円柱部材の他端に、筒部材と当接する第1当接部と第2当接部とを形成し、
第1当接部が筒部材に当接することで、第1動作の後の第2動作による円柱部材の停止位置となり、第2当接部が筒部材に当接することで、第1動作の前の第2動作による円柱部材の停止位置となるものである。本実施の形態によれば、円柱部材の停止位置を円柱部材の他端に形成した第1当接部と第2当接部とで規制することで、高圧洗浄流体による圧力に対して十分な強度を持たせることができる。
【0017】
本発明の第7の実施の形態は、第6の実施の形態による洗浄ノズルにおいて、筒部材の外周にはノズル取付部材を有し、ノズル取付部材には、第1噴射孔群と第2噴射孔群とを形成し、筒部材には、第1噴射孔群と連通する筒側第1貫通孔群と、第2噴射孔群と連通する筒側第2貫通孔群とを形成し、円柱部材には、円柱側貫通孔群を形成し、第1当接部が筒部材に当接することで、円柱側貫通孔群が筒側第1貫通孔群と連通し、第2当接部が筒部材に当接することで、円柱側貫通孔群が筒側第2貫通孔群と連通するものである。本実施の形態によれば、第1噴射孔群からの噴射と第2噴射孔群からの噴射との切り替えを、円柱側貫通孔群によって行うことができる。
【0018】
本発明の第8の実施の形態は、第2から第7のいずれかの実施の形態による洗浄ノズルにおいて、ガイド部が、傾斜方向の異なる第1ガイド部と第2ガイド部とからなり、第1ガイド部は、円柱部材が筒部材の一方に移動するときに、突起部が当接して摺動し、第2ガイド部は、円柱部材が筒部材の他方に移動するときに、突起部が当接して摺動し、第1ガイド部における突起部の第1ガイド部開始位置と第1ガイド部終了位置とを結ぶ第1ガイド部仮想傾斜角が、円柱部材の仮想軸線に対して0度より大きく90度より小さい傾斜角とし、第2ガイド部における突起部の第2ガイド部開始位置と第2ガイド部終了位置とを結ぶ第2ガイド部仮想傾斜角が、円柱部材の仮想軸線に対して90度より大きく180度より小さい傾斜角とし、第1ガイド部と第2ガイド部とを交互に、筒部材または円柱部材に環状に形成し、第1動作および第2動作では円柱部材は筒部材に対して同じ方向に回動するものである。本実施の形態によれば、円柱部材が筒部材に対して一方向に回動することで第1動作と第2動作を繰り返すことができる。
【0019】
本発明の第9の実施の形態は、第8の実施の形態による洗浄ノズルにおいて、第1ガイド部終了位置を、第2ガイド部開始位置より、所定角度進んだ位置とし、第2ガイド部終了位置を、第1ガイド部開始位置より、所定角度進んだ位置としたものである。本実施の形態によれば、第1動作と第2動作を安定して行うことができる。
【0020】
本発明の第10の実施の形態は、第8または第9の実施の形態による洗浄ノズルにおいて、第1ガイド部と第2ガイド部とを、連続した溝の側壁で形成したものである。本実施の形態によれば、連続した溝の側壁で第1ガイド部と第2ガイド部とを形成することで、ガイド部の強度を高めることができるとともに製作が容易である。
【0021】
本発明の第11の実施の形態は、第8から第10のいずれかの実施の形態による洗浄ノズルにおいて、第1ガイド部または第2ガイド部を直線状に形成したものである。本実施の形態によれば、高圧洗浄流体の付勢による周方向動作および軸方向動作を一定速さとすることができる。
【0022】
本発明の第12の実施の形態は、第8から第10のいずれかの実施の形態による洗浄ノズルにおいて、第1ガイド部または第2ガイド部を曲線状に形成したものである。本実施の形態によれば、高圧洗浄流体の付勢による周方向動作および軸方向動作の速さに変化を持たせることができる。
【0023】
本発明の第13の実施の形態は、第8から第12のいずれかの実施の形態による洗浄ノズルにおいて、溝の断面形状を、矩形または台形としたものである。本実施の形態によれば、突起部を溝に沿って摺動させやすい。
【0024】
本発明の第14の実施の形態は、第2から第13のいずれかの実施の形態による洗浄ノズルにおいて、突起部を、円柱状または円錐台状としたものである。本実施の形態によれば、突起部の当接面を小さくできるため突起部を溝に沿って摺動させやすい。
【0025】
本発明の第15の実施の形態は、第1から第14のいずれかの実施の形態による洗浄ノズルにおいて、第1噴射孔群の噴射角度を第2噴射孔群の噴射角度よりも小さくし、第1噴射孔群からの噴射によって管の内部を移動し、第2噴射孔群からの噴射によって管の内部を洗浄するものである。本実施の形態によれば、管の内部での移動のための噴射と、管の内部洗浄のための噴射とを切り替えることで、高圧洗浄流体を有効に利用でき、特に限られた流体量での洗浄作業を効率的に行うことができる。
【0026】
本発明の第16の実施の形態は、第1から第15のいずれかの実施の形態による洗浄ノズルにおいて、洗浄用ホースから高圧洗浄流体を供給する供給動力が同じ場合に、第1噴射孔群からの噴射総流量と、第2噴射孔群からの噴射総流量とを異ならせたものである。本実施の形態によれば、第1噴射孔群からの噴射総流量と、第2噴射孔群からの噴射総流量とを異ならせることで、高圧洗浄流体を供給する洗浄用ホース内の圧力、または流量、または高圧洗浄流体の供給源での負荷、またはそれらの相互関係を検出することで、切り替え状態を把握することができる。
【実施例】
【0027】
以下本発明の一実施例による洗浄ノズルについて説明する。
図1は本実施例による洗浄ノズルの外観斜視図である。
本実施例による洗浄ノズルは、高圧洗浄流体を供給する洗浄用ホース(図示せず)の先端に取り付けられ、高圧洗浄流体の噴射によって、下水管や排水管などの管の内部を移動して管の内部を洗浄する。
本実施例による洗浄ノズルは、筒部材10の外周にはノズル取付部材20を有し、ノズル取付部材20には、第1噴射孔群21と第2噴射孔群22とを形成している。
ノズル取付部材20は先端が窄まった砲弾状に形成され、後端面に第1噴射孔群21を、凹状溝部に第2噴射孔群22を形成している。
第1噴射孔群21と第2噴射孔群22とは、洗浄ノズルの仮想軸線に対する、すなわち洗浄対象となる管の内周面に対する高圧洗浄流体の噴射角度を異ならせている。
第1噴射孔群21の噴射角度は、第2噴射孔群22の噴射角度よりも小さくし、第1噴射孔群21からの噴射によって管の内部を移動し、第2噴射孔群22からの噴射によって管の内部を洗浄する。このように、管の内部での移動のための噴射と、管の内部洗浄のための噴射とを切り替えることで、高圧洗浄流体を有効に利用でき、特に限られた流体量での洗浄作業を効率的に行うことができる。
【0028】
図2および図3は本実施例による洗浄ノズルの断面図であり、図2は第1噴射孔群からの噴射状態を示し、図3は第2噴射孔群からの噴射状態を示している。
筒部材10内には、円柱部材30が移動可能に配置されている。
筒部材10には、第1噴射孔群21と連通する筒側第1貫通孔群11と、第2噴射孔群22と連通する筒側第2貫通孔群12とを形成している。円柱部材30には、円柱側貫通孔群31を形成している。
筒部材10には突起部40を形成し、円柱部材30にはガイド部を形成する溝50を形成している。突起部40は筒部材10に設けた孔に圧入またはねじ込んで形成している。突起部40は、溝50の側壁によって形成されるガイド部によって移動が規制される。
円柱部材30の他端には、筒部材10と当接する第1当接部30bと第2当接部30cとを形成している。円柱部材30の他端には弾性部材60を配置する。弾性部材60には、コイルバネおよび圧縮気体の少なくとも一方を用いることができる。また、弾性部材60としては、竹の子バネ、皿バネ、ウレタンゴム、樹脂スプリングを、それぞれ単独で、または組み合わせて用いることができる。
洗浄用ホースは、筒部材10の一端10aに接続される。洗浄用ホースからの高圧洗浄流体は、筒部材10の一端から円柱部材30までの間に形成された流体流路13と、円柱部材30内に形成された流体流路32に導入される。円柱部材30の一端からは、高圧洗浄流体による圧力が作用する。
【0029】
図2および図3は、洗浄用ホースからの高圧洗浄流体が供給されている状態である。
図2では、第1当接部30bが筒部材10に当接することで、円柱側貫通孔群31が筒側第1貫通孔群11と連通する。従って、洗浄用ホースからの高圧洗浄流体は、流体流路13から流体流路32に至り、流体流路32から、円柱側貫通孔群31および第1貫通孔群11を通り、第1噴射孔群21から噴射する。
図3では、第2当接部30cが筒部材10に当接することで、円柱側貫通孔群31が筒側第2貫通孔群12と連通する。従って、洗浄用ホースからの高圧洗浄流体は、流体流路13から流体流路32に至り、流体流路32から、円柱側貫通孔群31および第2貫通孔群12を通り、第2噴射孔群22から噴射する。
本実施例によれば、第1噴射孔群21からの噴射と第2噴射孔群22からの噴射との切り替えを、円柱側貫通孔群31によって行うことができる。
【0030】
図4は本実施例による洗浄ノズルに用いる円柱部材の側面図である。
円柱部材30の一端30aには流体流路32が形成されている。円柱側貫通孔群31は流体流路32と連通している。
円柱側貫通孔群31は、円柱部材30の最外周面に対してリング状に設けた凹部溝33に形成している。
凹部溝33の両側にはシール溝34、35を形成している。シール溝35と溝50との間にもシール溝36を形成している。更に円柱部材30の一端30aにもシール溝37を形成している。
溝50には、突起部40が停止する2つの停止位置を有しており、この2つの停止位置は距離Hだけ離れている。
【0031】
図5は本実施例による洗浄ノズルに用いる筒部材の側面断面図である。
筒部材10の一端10aにはホース接続部が形成されている。筒部材10の内部空間の一端10a側は流体流路13を形成する。
筒側第1貫通孔群11は、筒部材10の最外周面に対してリング状に設けた凹部溝14に形成し、筒側第2貫通孔群12は、筒部材10の最外周面に対してリング状に設けた凹部溝15に形成している。筒側第1貫通孔群11と筒側第2貫通孔群12とは距離Hだけ離れた位置に設けている。
凹部溝14と凹部溝15との間には、シール溝16を形成している。
【0032】
図6は本実施例による洗浄ノズルに用いる噴射切替機構を示す図であり、円柱部を展開した状態を示している。
円柱部材30の外周面に形成した連続した溝50の側壁によって、傾斜方向の異なる第1ガイド部51と第2ガイド部52とを形成している。
第1ガイド部51は、円柱部材30が筒部材10の一方に移動するときに、突起部40が当接して摺動する。第2ガイド部52は、円柱部材30が筒部材10の他方に移動するときに、突起部40が当接して摺動する。
第1ガイド部51における突起部40の第1ガイド部開始位置51aと第1ガイド部終了位置51bとを結ぶ第1ガイド部仮想傾斜角αが、円柱部材30の仮想軸線Xに対して0度より大きく90度より小さい傾斜角としている。
第2ガイド部52における突起部40の第2ガイド部開始位置52aと第2ガイド部終了位置52bとを結ぶ第2ガイド部仮想傾斜角βが、円柱部材30の仮想軸線Xに対して90度より大きく180度より小さい傾斜角としている。
第1ガイド部51と第2ガイド部52とは交互に形成している。
第1ガイド部終了位置51bは、第2ガイド部開始位置52aより、所定角度(図ではLで表示)進んだ位置とし、第2ガイド部終了位置52bは、第1ガイド部開始位置51aより、所定角度(図ではLで表示)進んだ位置としている。
【0033】
噴射切替機構は、筒部材10と、円柱部材30と、突起部40と、ガイド部を形成する溝50とで構成される。
図7から図9は本実施例による洗浄ノズルの要部側断面図であり、図7は高圧洗浄流体の供給を停止している状態、図8は第1噴射孔群からの噴射状態、図9は第2噴射孔群からの噴射状態を示している。
以下に図6から図9を用いて動作を説明する。
洗浄用ホースから供給さる高圧洗浄流体の供給を停止すると、円柱部材30を筒部材10の一方に付勢する弾性部材60の付勢によって、円柱部材30は筒部材10の一方(一端10aの方向)に移動する。この移動によって、突起部40は、第2停止位置40aから第1ガイド部51に当接して摺動することで流体供給停止位置40bに移動する。
この移動(第1動作)では、突起部40が第2停止位置40aから流体供給停止位置40bに移動することで、周方向に長さM1だけ、円柱部材30は筒部材10に対して所定角度回動する。
図7はこの第1動作終了時の状態であり、突起部40は流体供給停止位置40bにある。
【0034】
洗浄用ホースから高圧洗浄流体を再供給することによって、円柱部材30が筒部材10の他方(一端10aと逆方向)に移動する。この移動によって、突起部40は、流体供給停止位置40bから第2ガイド部52に当接して摺動することで第1停止位置40cに移動する。
この移動(第2動作)では、突起部40が流体供給停止位置40bから第1停止位置40cに移動することで、周方向に長さM2だけ、円柱部材30は筒部材10に対して所定角度回動する。第1停止位置40cでは、第1当接部30bが筒部材10に当接している。
図8はこの第2動作終了時の状態であり、突起部40は第1停止位置40cにある。この状態では、円柱側貫通孔群31は筒側第1貫通孔群11と連通するため、第1噴射孔群21から高圧洗浄流体を噴出することができる。
【0035】
再び、洗浄用ホースから供給される高圧洗浄流体の供給を停止すると、円柱部材30を筒部材10の一方に付勢する弾性部材60の付勢によって、円柱部材30は筒部材10の一方(一端10aの方向)に移動する。この移動によって、突起部40は、第1停止位置40cから第1ガイド部51に当接して摺動することで流体供給停止位置40dに移動する。
この移動(第1動作)では、突起部40が第1停止位置40cから流体供給停止位置40dに移動することで、周方向に長さM3だけ、円柱部材30は筒部材10に対して所定角度回動する。
図7はこの第1動作終了時の状態であり、突起部40は流体供給停止位置40dにある。
【0036】
更に、洗浄用ホースから高圧洗浄流体を再供給することによって、円柱部材30が筒部材10の他方(一端10aと逆方向)に移動する。この移動によって、突起部40は、流体供給停止位置40dから第2ガイド部52に当接して摺動することで第2停止位置40aに移動する。
この移動(第2動作)では、突起部40が流体供給停止位置40dから第2停止位置40aに移動することで、周方向に長さM4だけ、円柱部材30は筒部材10に対して所定角度回動する。第2停止位置40aでは、第2当接部30cが筒部材10に当接している。
図9はこの第2動作終了時の状態であり、突起部40は第2停止位置40aにある。この状態では、円柱側貫通孔群31は筒側第2貫通孔群12と連通するため、第2噴射孔群22から高圧洗浄流体を噴出することができる。
【0037】
以上のように、洗浄用ホースからの高圧洗浄流体の供給停止と再供給とによって、第1動作と第2動作を繰り返す。第1動作および第2動作では円柱部材30は筒部材10に対して同じ方向に回動し、第1動作および第2動作の繰り返しによって円柱部材30は筒部材10に対して360度回転する。このように、円柱部材30が筒部材10に対して一方向に回動することで第1動作と第2動作を繰り返すことができる。
【0038】
第1動作の後の第2動作による円柱部材30の停止位置(第1停止位置40c)と、第1動作の前の第2動作による円柱部材の停止位置(第2停止位置40a)とを、仮想軸方向に対して異なる位置(距離Hだけ離れた位置)とすることで、第1噴射孔群21からの噴射と第2噴射孔群22からの噴射とに切り替える。
このように、洗浄用ホースからの高圧洗浄流体の供給停止によって円柱部材30を筒部材10の一方に移動させ、再供給によって円柱部材30を筒部材10の他方に移動させることで、第1噴射孔群21からの噴射と第2噴射孔群22からの噴射とに切り替えることができる。
【0039】
図10は本実施例による洗浄ノズルの側断面図である。
円柱部材30の一端には高圧洗浄流体を作用させ、円柱部材30の他端には弾性部材60を配置している。
洗浄用ホースからの高圧洗浄流体の供給停止によって、円柱部材30は弾性部材60の付勢力によって一方へ移動し、洗浄用ホースからの高圧洗浄流体の再供給によって、弾性部材60の付勢力よりも大きな圧力を加えることで円柱部材30は他方へ移動する。
本実施例による噴射切替機構は、洗浄用ホースからの高圧洗浄流体の供給停止と再供給とによって、高圧洗浄流体を、第1噴射孔群11からの噴射と第2噴射孔群12からの噴射とに切り替える。なお、図10では第2噴射孔群12からの噴射状態を示している。
本実施例では、突起部40を筒部材10に形成し、ガイド部を形成する溝50を円柱部材30に形成したが、溝50を筒部材10に形成し、突起部40を円柱部材30に形成してもよい。
また本実施例における溝50の断面形状は、矩形または台形とすることで、突起部40を溝50に沿って摺動させやすい。また突起部40は、円柱状または円錐台状とすることで、突起部40の当接面を小さくできるため突起部40を溝50に沿って摺動させやすい。
【0040】
図11は、本発明の他の実施例による洗浄ノズルを説明する図であり、図6相当図である。なお、同一機能には同一符号を付して説明を省略する。
図11に示す実施例は、溝を設けることなく第1ガイド部51と第2ガイド部52とを円柱部材30に形成したものである。本実施例に示すように、第1ガイド部51および第2ガイド部52は、溝を設けることなく形成することができる。
【0041】
以上のように本発明によれば、噴射角度を異ならせた第1噴射孔群11からの噴射と第2噴射孔群12からの噴射とを、洗浄用ホースからの高圧洗浄流体の供給停止と再供給とによって切り替えることができる。
なお、上記実施例では、第1ガイド部51および第2ガイド部52を直線状に形成したが、第1ガイド部51および第2ガイド部52を曲線状に形成してもよい。第1ガイド部51または第2ガイド部52を直線状に形成することで、高圧洗浄流体の付勢による周方向動作および軸方向動作を一定速さとすることができる。また、第1ガイド部51または第2ガイド部52を曲線状に形成することで、高圧洗浄流体の付勢による周方向動作および軸方向動作の速さに変化を持たせることができる。
また、洗浄用ホースから高圧洗浄流体を供給する供給動力が同じ場合に、第1噴射孔群11からの噴射総流量と、第2噴射孔群12からの噴射総流量とを異ならせることが好ましい。第1噴射孔群11からの噴射総流量と、第2噴射孔群12からの噴射総流量とを異ならせることで、高圧洗浄流体を供給する洗浄用ホース内の圧力、または流量、または高圧洗浄流体の供給源での負荷、またはそれらの相互関係を検出することで、切り替え状態を把握することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の洗浄ノズルは、下水管や排水管などの管の他、ケーブル管など、各種の管内部の洗浄ノズルとして適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
10 筒部材
10a 一端
11 筒側第1貫通孔群
12 筒側第2貫通孔群
13 流体流路
20 ノズル取付部材
21 第1噴射孔群
22 第2噴射孔群
30 円柱部材
30b 第1当接部
30c 第2当接部
31 円柱側貫通孔群
32 流体流路
40 突起部
50 溝
51 第1ガイド部
51a 第1ガイド部開始位置
51b 第1ガイド部終了位置
52 第2ガイド部
52a 第2ガイド部開始位置
52b 第2ガイド部終了位置
60 弾性部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15