【実施例】
【0027】
以下本発明の一実施例による洗浄ノズルについて説明する。
図1は本実施例による洗浄ノズルの外観斜視図である。
本実施例による洗浄ノズルは、高圧洗浄流体を供給する洗浄用ホース(図示せず)の先端に取り付けられ、高圧洗浄流体の噴射によって、下水管や排水管などの管の内部を移動して管の内部を洗浄する。
本実施例による洗浄ノズルは、筒部材10の外周にはノズル取付部材20を有し、ノズル取付部材20には、第1噴射孔群21と第2噴射孔群22とを形成している。
ノズル取付部材20は先端が窄まった砲弾状に形成され、後端面に第1噴射孔群21を、凹状溝部に第2噴射孔群22を形成している。
第1噴射孔群21と第2噴射孔群22とは、洗浄ノズルの仮想軸線に対する、すなわち洗浄対象となる管の内周面に対する高圧洗浄流体の噴射角度を異ならせている。
第1噴射孔群21の噴射角度は、第2噴射孔群22の噴射角度よりも小さくし、第1噴射孔群21からの噴射によって管の内部を移動し、第2噴射孔群22からの噴射によって管の内部を洗浄する。このように、管の内部での移動のための噴射と、管の内部洗浄のための噴射とを切り替えることで、高圧洗浄流体を有効に利用でき、特に限られた流体量での洗浄作業を効率的に行うことができる。
【0028】
図2および
図3は本実施例による洗浄ノズルの断面図であり、
図2は第1噴射孔群からの噴射状態を示し、
図3は第2噴射孔群からの噴射状態を示している。
筒部材10内には、円柱部材30が移動可能に配置されている。
筒部材10には、第1噴射孔群21と連通する筒側第1貫通孔群11と、第2噴射孔群22と連通する筒側第2貫通孔群12とを形成している。円柱部材30には、円柱側貫通孔群31を形成している。
筒部材10には突起部40を形成し、円柱部材30にはガイド部を形成する溝50を形成している。突起部40は筒部材10に設けた孔に圧入またはねじ込んで形成している。突起部40は、溝50の側壁によって形成されるガイド部によって移動が規制される。
円柱部材30の他端には、筒部材10と当接する第1当接部30bと第2当接部30cとを形成している。円柱部材30の他端には弾性部材60を配置する。弾性部材60には、コイルバネおよび圧縮気体の少なくとも一方を用いることができる。また、弾性部材60としては、竹の子バネ、皿バネ、ウレタンゴム、樹脂スプリングを、それぞれ単独で、または組み合わせて用いることができる。
洗浄用ホースは、筒部材10の一端10aに接続される。洗浄用ホースからの高圧洗浄流体は、筒部材10の一端から円柱部材30までの間に形成された流体流路13と、円柱部材30内に形成された流体流路32に導入される。円柱部材30の一端からは、高圧洗浄流体による圧力が作用する。
【0029】
図2および
図3は、洗浄用ホースからの高圧洗浄流体が供給されている状態である。
図2では、第1当接部30bが筒部材10に当接することで、円柱側貫通孔群31が筒側第1貫通孔群11と連通する。従って、洗浄用ホースからの高圧洗浄流体は、流体流路13から流体流路32に至り、流体流路32から、円柱側貫通孔群31および第1貫通孔群11を通り、第1噴射孔群21から噴射する。
図3では、第2当接部30cが筒部材10に当接することで、円柱側貫通孔群31が筒側第2貫通孔群12と連通する。従って、洗浄用ホースからの高圧洗浄流体は、流体流路13から流体流路32に至り、流体流路32から、円柱側貫通孔群31および第2貫通孔群12を通り、第2噴射孔群22から噴射する。
本実施例によれば、第1噴射孔群21からの噴射と第2噴射孔群22からの噴射との切り替えを、円柱側貫通孔群31によって行うことができる。
【0030】
図4は本実施例による洗浄ノズルに用いる円柱部材の側面図である。
円柱部材30の一端30aには流体流路32が形成されている。円柱側貫通孔群31は流体流路32と連通している。
円柱側貫通孔群31は、円柱部材30の最外周面に対してリング状に設けた凹部溝33に形成している。
凹部溝33の両側にはシール溝34、35を形成している。シール溝35と溝50との間にもシール溝36を形成している。更に円柱部材30の一端30aにもシール溝37を形成している。
溝50には、突起部40が停止する2つの停止位置を有しており、この2つの停止位置は距離Hだけ離れている。
【0031】
図5は本実施例による洗浄ノズルに用いる筒部材の側面断面図である。
筒部材10の一端10aにはホース接続部が形成されている。筒部材10の内部空間の一端10a側は流体流路13を形成する。
筒側第1貫通孔群11は、筒部材10の最外周面に対してリング状に設けた凹部溝14に形成し、筒側第2貫通孔群12は、筒部材10の最外周面に対してリング状に設けた凹部溝15に形成している。筒側第1貫通孔群11と筒側第2貫通孔群12とは距離Hだけ離れた位置に設けている。
凹部溝14と凹部溝15との間には、シール溝16を形成している。
【0032】
図6は本実施例による洗浄ノズルに用いる噴射切替機構を示す図であり、円柱部を展開した状態を示している。
円柱部材30の外周面に形成した連続した溝50の側壁によって、傾斜方向の異なる第1ガイド部51と第2ガイド部52とを形成している。
第1ガイド部51は、円柱部材30が筒部材10の一方に移動するときに、突起部40が当接して摺動する。第2ガイド部52は、円柱部材30が筒部材10の他方に移動するときに、突起部40が当接して摺動する。
第1ガイド部51における突起部40の第1ガイド部開始位置51aと第1ガイド部終了位置51bとを結ぶ第1ガイド部仮想傾斜角αが、円柱部材30の仮想軸線Xに対して0度より大きく90度より小さい傾斜角としている。
第2ガイド部52における突起部40の第2ガイド部開始位置52aと第2ガイド部終了位置52bとを結ぶ第2ガイド部仮想傾斜角βが、円柱部材30の仮想軸線Xに対して90度より大きく180度より小さい傾斜角としている。
第1ガイド部51と第2ガイド部52とは交互に形成している。
第1ガイド部終了位置51bは、第2ガイド部開始位置52aより、所定角度(図ではLで表示)進んだ位置とし、第2ガイド部終了位置52bは、第1ガイド部開始位置51aより、所定角度(図ではLで表示)進んだ位置としている。
【0033】
噴射切替機構は、筒部材10と、円柱部材30と、突起部40と、ガイド部を形成する溝50とで構成される。
図7から
図9は本実施例による洗浄ノズルの要部側断面図であり、
図7は高圧洗浄流体の供給を停止している状態、
図8は第1噴射孔群からの噴射状態、
図9は第2噴射孔群からの噴射状態を示している。
以下に
図6から
図9を用いて動作を説明する。
洗浄用ホースから供給さる高圧洗浄流体の供給を停止すると、円柱部材30を筒部材10の一方に付勢する弾性部材60の付勢によって、円柱部材30は筒部材10の一方(一端10aの方向)に移動する。この移動によって、突起部40は、第2停止位置40aから第1ガイド部51に当接して摺動することで流体供給停止位置40bに移動する。
この移動(第1動作)では、突起部40が第2停止位置40aから流体供給停止位置40bに移動することで、周方向に長さM1だけ、円柱部材30は筒部材10に対して所定角度回動する。
図7はこの第1動作終了時の状態であり、突起部40は流体供給停止位置40bにある。
【0034】
洗浄用ホースから高圧洗浄流体を再供給することによって、円柱部材30が筒部材10の他方(一端10aと逆方向)に移動する。この移動によって、突起部40は、流体供給停止位置40bから第2ガイド部52に当接して摺動することで第1停止位置40cに移動する。
この移動(第2動作)では、突起部40が流体供給停止位置40bから第1停止位置40cに移動することで、周方向に長さM2だけ、円柱部材30は筒部材10に対して所定角度回動する。第1停止位置40cでは、第1当接部30bが筒部材10に当接している。
図8はこの第2動作終了時の状態であり、突起部40は第1停止位置40cにある。この状態では、円柱側貫通孔群31は筒側第1貫通孔群11と連通するため、第1噴射孔群21から高圧洗浄流体を噴出することができる。
【0035】
再び、洗浄用ホースから供給される高圧洗浄流体の供給を停止すると、円柱部材30を筒部材10の一方に付勢する弾性部材60の付勢によって、円柱部材30は筒部材10の一方(一端10aの方向)に移動する。この移動によって、突起部40は、第1停止位置40cから第1ガイド部51に当接して摺動することで流体供給停止位置40dに移動する。
この移動(第1動作)では、突起部40が第1停止位置40cから流体供給停止位置40dに移動することで、周方向に長さM3だけ、円柱部材30は筒部材10に対して所定角度回動する。
図7はこの第1動作終了時の状態であり、突起部40は流体供給停止位置40dにある。
【0036】
更に、洗浄用ホースから高圧洗浄流体を再供給することによって、円柱部材30が筒部材10の他方(一端10aと逆方向)に移動する。この移動によって、突起部40は、流体供給停止位置40dから第2ガイド部52に当接して摺動することで第2停止位置40aに移動する。
この移動(第2動作)では、突起部40が流体供給停止位置40dから第2停止位置40aに移動することで、周方向に長さM4だけ、円柱部材30は筒部材10に対して所定角度回動する。第2停止位置40aでは、第2当接部30cが筒部材10に当接している。
図9はこの第2動作終了時の状態であり、突起部40は第2停止位置40aにある。この状態では、円柱側貫通孔群31は筒側第2貫通孔群12と連通するため、第2噴射孔群22から高圧洗浄流体を噴出することができる。
【0037】
以上のように、洗浄用ホースからの高圧洗浄流体の供給停止と再供給とによって、第1動作と第2動作を繰り返す。第1動作および第2動作では円柱部材30は筒部材10に対して同じ方向に回動し、第1動作および第2動作の繰り返しによって円柱部材30は筒部材10に対して360度回転する。このように、円柱部材30が筒部材10に対して一方向に回動することで第1動作と第2動作を繰り返すことができる。
【0038】
第1動作の後の第2動作による円柱部材30の停止位置(第1停止位置40c)と、第1動作の前の第2動作による円柱部材の停止位置(第2停止位置40a)とを、仮想軸方向に対して異なる位置(距離Hだけ離れた位置)とすることで、第1噴射孔群21からの噴射と第2噴射孔群22からの噴射とに切り替える。
このように、洗浄用ホースからの高圧洗浄流体の供給停止によって円柱部材30を筒部材10の一方に移動させ、再供給によって円柱部材30を筒部材10の他方に移動させることで、第1噴射孔群21からの噴射と第2噴射孔群22からの噴射とに切り替えることができる。
【0039】
図10は本実施例による洗浄ノズルの側断面図である。
円柱部材30の一端には高圧洗浄流体を作用させ、円柱部材30の他端には弾性部材60を配置している。
洗浄用ホースからの高圧洗浄流体の供給停止によって、円柱部材30は弾性部材60の付勢力によって一方へ移動し、洗浄用ホースからの高圧洗浄流体の再供給によって、弾性部材60の付勢力よりも大きな圧力を加えることで円柱部材30は他方へ移動する。
本実施例による噴射切替機構は、洗浄用ホースからの高圧洗浄流体の供給停止と再供給とによって、高圧洗浄流体を、第1噴射孔群11からの噴射と第2噴射孔群12からの噴射とに切り替える。なお、
図10では第2噴射孔群12からの噴射状態を示している。
本実施例では、突起部40を筒部材10に形成し、ガイド部を形成する溝50を円柱部材30に形成したが、溝50を筒部材10に形成し、突起部40を円柱部材30に形成してもよい。
また本実施例における溝50の断面形状は、矩形または台形とすることで、突起部40を溝50に沿って摺動させやすい。また突起部40は、円柱状または円錐台状とすることで、突起部40の当接面を小さくできるため突起部40を溝50に沿って摺動させやすい。
【0040】
図11は、本発明の他の実施例による洗浄ノズルを説明する図であり、
図6相当図である。なお、同一機能には同一符号を付して説明を省略する。
図11に示す実施例は、溝を設けることなく第1ガイド部51と第2ガイド部52とを円柱部材30に形成したものである。本実施例に示すように、第1ガイド部51および第2ガイド部52は、溝を設けることなく形成することができる。
【0041】
以上のように本発明によれば、噴射角度を異ならせた第1噴射孔群11からの噴射と第2噴射孔群12からの噴射とを、洗浄用ホースからの高圧洗浄流体の供給停止と再供給とによって切り替えることができる。
なお、上記実施例では、第1ガイド部51および第2ガイド部52を直線状に形成したが、第1ガイド部51および第2ガイド部52を曲線状に形成してもよい。第1ガイド部51または第2ガイド部52を直線状に形成することで、高圧洗浄流体の付勢による周方向動作および軸方向動作を一定速さとすることができる。また、第1ガイド部51または第2ガイド部52を曲線状に形成することで、高圧洗浄流体の付勢による周方向動作および軸方向動作の速さに変化を持たせることができる。
また、洗浄用ホースから高圧洗浄流体を供給する供給動力が同じ場合に、第1噴射孔群11からの噴射総流量と、第2噴射孔群12からの噴射総流量とを異ならせることが好ましい。第1噴射孔群11からの噴射総流量と、第2噴射孔群12からの噴射総流量とを異ならせることで、高圧洗浄流体を供給する洗浄用ホース内の圧力、または流量、または高圧洗浄流体の供給源での負荷、またはそれらの相互関係を検出することで、切り替え状態を把握することができる。