特許第5987052号(P5987052)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5987052表示入力装置及びこれを備えた画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5987052
(24)【登録日】2016年8月12日
(45)【発行日】2016年9月6日
(54)【発明の名称】表示入力装置及びこれを備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0482 20130101AFI20160823BHJP
   G06F 3/0488 20130101ALI20160823BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20160823BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20160823BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20160823BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20160823BHJP
【FI】
   G06F3/0482
   G06F3/0488
   G03G21/00 386
   G03G21/00 396
   B41J29/42 F
   B41J29/38 Z
   H04N1/00 C
【請求項の数】5
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-264534(P2014-264534)
(22)【出願日】2014年12月26日
(65)【公開番号】特開2016-126403(P2016-126403A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2016年6月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 千草
【審査官】 萩島 豪
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−224523(JP,A)
【文献】 特開2009−303024(JP,A)
【文献】 特開2007−196461(JP,A)
【文献】 特開2013−240969(JP,A)
【文献】 特開2009−187161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00−29/18
29/20−29/38
29/40−29/70
G03G 15/00
15/36
21/00−21/02
21/14
21/20
G06F 3/01
3/048−3/0489
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示を行う表示部と、
使用者による入力を受け付ける入力部と、
それぞれの設定項目の現在の設定値を示す現在値データと、それぞれの設定項目の設定値のデフォルト値を定めたデフォルト値データと、呼び出すことにより設定状態を再現するためのデータであって、それぞれの設定項目の登録時の設定値が定義されるとともに、それぞれの設定値が登録時のデフォルト値から変更された設定値であるか否かを示すデータを含む設定保存データとを記憶する記憶部と、
前記設定保存データを呼び出す操作が前記入力部になされたとき、呼び出された前記設定保存データの設定値のうち、前記設定保存データの登録時にデフォルト値から変更されずに登録された設定値であって現在のデフォルト値と異なる設定値を抽出し、設定値を抽出できなかったとき、前記設定保存データに定義されたそれぞれの設定値を前記現在値データに書き込むことにより前記設定保存データの登録時の設定状態を再現し、設定値を抽出できたとき、抽出された設定値である抽出設定値の登録時の値と現在のデフォルト値を前記表示部に表示させ、前記抽出設定値の登録時の値と現在のデフォルト値のうち前記入力部への操作により使用者に選択された値と、前記抽出設定値以外の設定値については前記設定保存データに定義された設定値とを、前記現在値データに書き込む制御部と、を含むことを特徴とする表示入力装置。
【請求項2】
前記入力部は、通信可能に接続されたサーバーに記憶された前記設定保存データを呼び出す操作を受け付け、
前記制御部は、前記サーバーから得られた前記設定保存データの設定値のうち、設けられていない設定項目の設定値である使用不可設定値を抽出し、抽出された前記使用不可設定値がないとき、前記サーバーから得られた前記設定保存データに定義されたそれぞれの設定値を前記現在値データに書き込むことにより前記設定保存データの登録時の設定状態を再現し、前記使用不可設定値を抽出したとき、抽出された前記使用不可設定値を前記表示部に表示させ、続けて、前記使用不可設定値を無効とする入力が前記入力部になされたとき、前記設定保存データのうち、前記使用不可設定値以外の設定値を前記現在値データに書き込むことを特徴とする請求項1に記載の表示入力装置。
【請求項3】
前記入力部は、設定項目を選択する入力と、選択した設定項目の設定値を設定する入力と、前記設定保存データを新たに登録する旨の登録入力を受け付け、
前記制御部は、前記入力部が前記登録入力を受け付けたとき、前記現在値データを前記設定保存データとして前記記憶部に記憶させることを特徴とする請求項1に記載の表示入力装置。
【請求項4】
前記入力部は、設定項目を選択する入力と、選択した設定項目のデフォルト値を変更する入力を受け付け、
前記制御部は、デフォルト値を変更する入力がなされたとき、変更後の値となるようにデフォルト値データを前記記憶部に更新させることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の表示入力装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の表示入力装置を含むことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種設定値の設定を受け付ける表示入力装置に関する。また、この表示入力装置を含む画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機、複写機、ファクシミリ装置、プリンターのような画像形成装置には、ジョブの種類(機能)の選択、設定項目の選択、設定値設定のため、表示入力装置が設けられることがある。そして、設定する頻度が高い設定値があるとき、簡単な操作で設定できれば、便利で有る。特に、複数の設定値を組み合わせて設定する頻度が高いとき、簡単な操作で複数の設定値の組合せを一気に設定できれば、非常に便利である。そこで、使用頻度の高い設定値が設定された状態(条件)を登録できるようにすることがある。これにより、登録した条件を呼び出すだけで、登録時の設定状態が再現される。
【0003】
このような画像形成条件を登録できる画像形成装置の一例が特許文献1に記載されている。具体的に、特許文献1には、ジョブメモリにジョブ(画像形成条件)を登録し、登録されたジョブを表示部にアイコン表示し、ジョブが登録された場合、表示手段は、表示指令に従って登録されたジョブのアイコンを自動的に表示する画像形成装置が記載されている。この構成により、必要な登録を可能とするとともに、登録ジョブの選択を迅速に行えるようにしようとする(特許文献1:請求項8、請求項9、段落[0093])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−223079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像形成装置に装着される表示入力装置では、設定項目のそれぞれにデフォルトの設定値が予め定められる。
【0006】
一方、上述のように、画像形成装置の表示入力装置では、使用者により設定値が設定された状態(条件)を登録できるようにすることがある(「プログラム機能」と称される場合がある)。使用者は、設定項目の選択と所望の設定値を定める操作を繰り返し、表示入力装置を、所望の出力が得られるように設定値が設定されている状態とする。そして、使用者は、登録指示を行う。これにより、設定状態が登録される。例えば、印刷でのトナー使用量を通常よりも減らすエコプリントと、複数ページの内容をまとめて1ページ内に印刷する集約印刷と、を行う結果が得られる設定状態を登録したいとき、使用者は、「エコプリント」の設定値を「ON」とし、集約印刷の設定値を「2in1」または「4in1」とし、その後、登録をする。
【0007】
設定状態の登録では、使用者が設定した設定値だけではなく、設定していない設定項目のそれぞれの設定値もあわせて記憶する場合がある。具体的には、使用者の操作によってデフォルト値から変更された設定項目は使用者により設定された設定値を、デフォルト値から変更されていない設定項目についてはデフォルト値を記憶するようにして、設定状態(設定保存データ)を記憶することがある。使用者は、所望する出力が得られるように設定状態を作り上げ、それから登録する。そのため、使用者は、デフォルト値に関しては登録した感覚がない、又は、極めて薄い。
【0008】
そして、設定状態の登録後、デフォルト値が変更されたことにより、登録した設定状態を呼び出してジョブを実行しても、使用者の所望の結果が得ることができない場合があるという問題がある。
【0009】
例えば、コピーに関し、設定状態の登録時、両面印刷の設定項目のデフォルト値が「両面印刷しない(OFF)」であったとする。そして、会社の方針のような事情で、両面印刷のデフォルト値が「両面印刷する(ON)」に変更された後、設定状態を呼び出してコピーを実行した場合、記憶された全設定項目のそれぞれの設定値に基づき設定状態が再現されるので、呼び出し後、そのまま印刷を実行すると、両面印刷されていない印刷物が出力される。現在のデフォルト値どおりに、両面印刷された印刷物を得たかった使用者にとっては、意図しない(所望しない)出力がなされる結果となる。使用者は、デフォルト値で登録された設定項目について設定したという感覚がない。そのため、設定状態の呼び出し後、デフォルト値が変更された設定項目を確認すべきことに気がつかない。一方で、変更前のデフォルト値が適用された出力を得たい場合もあり、デフォルト値で登録された設定項目について現在のデフォルト値を一律に適用することも好ましくない。
【0010】
尚、特許文献1記載の技術では、登録ジョブ(設定状態)でデフォルトから設定値が変更された設定項目を示すアイコンを表示して、登録ジョブの内容を理解しやすくし、使用者が呼び出したい登録ジョブを見つけやすくするわかりやすくする。しかし、登録ジョブを登録するときに何を記憶するか、設定状態の登録後にデフォルト値の変更がなされたときどのように対応するかの記載がない。従って、上記の問題を解決できない。
【0011】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、設定状態(保存したそれぞれの設定値のデータ)の登録後のデフォルト値の変更があっても、設定保存データを呼び出して実行したジョブの出力が、使用者の所望する出力となるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題解決のため、請求項1に係る画像形成装置は、表示を行う表示部と、使用者による入力を受け付ける入力部と、それぞれの設定項目の現在の設定値を示す現在値データと、それぞれの設定項目の設定値のデフォルト値を定めたデフォルト値データと、呼び出すことにより設定状態を再現するためのデータであって、それぞれの設定項目の登録時の設定値が定義されるとともに、それぞれの設定値が登録時のデフォルト値から変更された設定値であるか否かを示すデータを含む設定保存データとを記憶する記憶部と、前記設定保存データを呼び出す操作が前記入力部になされたとき、呼び出された前記設定保存データの設定値のうち、前記設定保存データの登録時にデフォルト値から変更されずに登録された設定値であって現在のデフォルト値と異なる設定値を抽出し、設定値を抽出できなかったとき、前記設定保存データに定義されたそれぞれの設定値を前記現在値データに書き込むことにより前記設定保存データの登録時の設定状態を再現し、設定値を抽出できたとき、抽出された設定値である抽出設定値の登録時の値と現在のデフォルト値を前記表示部に表示させ、前記抽出設定値の登録時の値と現在のデフォルト値のうち前記入力部への操作により使用者に選択された値と、前記抽出設定値以外の設定値については前記設定保存データに定義された設定値とを、前記現在値データに書き込む制御部と、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、設定状態(設定保存データ)の登録後、デフォルト値の変更があっても、設定保存データを呼び出して実行したジョブの出力結果は、使用者が所望するものとなるような表示入力装置、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る複合機の一例を示す図である。
図2】実施形態に係る複合機の構成の一例を示す図である。
図3】実施形態に係るメインメニュー画面の一例を示す図である。
図4】コピーをジョブとして選択したときに最初に表示されるコピー設定画面の一例を示す図ある。
図5】実施形態に係るデフォルト値データの一例を示す図である。
図6】コピージョブに関し、設定後の状態の一例を示す図である。
図7】実施形態に係るプログラム呼出画面の一例を示す図である。
図8】実施形態に係る設定保存データの登録の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】実施形態に係る設定保存データの一例を示す図である。
図10】実施形態に係る設定保存データの呼出の流れの一例を示すフローチャートである。
図11】実施形態に係る設定値確認画面の一例を示す図である。
図12】各画像形成装置の設定保存データをサーバーに記憶させる場合の一例を示す図である。
図13】他の画像形成装置で登録された設定保存データの呼出の流れの一例を示すフローチャートである。
図14】実施形態に係る設定値確認画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1図14を用いて本発明の実施形態を説明する。以下の説明では、表示入力装置1を含む複合機100(画像形成装置に相当)を例に挙げて説明する。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
【0016】
(画像形成装置の概略)
次に、図1に基づき、実施形態に係る複合機100の概略を説明する。図1は、実施形態に係る複合機100の一例を示す図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の複合機100は、複合機100の前面に操作パネル22(破線で図示)が設けられる。又、上部に原稿搬送部3aと画像読取部3bが設けられる。又、複合機100の内部には、印刷を行う印刷部4(第1給紙部4a、第2給紙部4b、搬送部4c、画像形成部4d、定着部4e、両面搬送部4f)が設けられる。
【0018】
操作パネル2は、複合機100の状態や各種メッセージや各種設定画面を表示する表示部21を備える。また、表示部21の上面にタッチパネル部22(入力部に相当)が設けられる。タッチパネル部22は、表示部21で押された部分の位置、座標を検知するためのものである。タッチパネル部22の出力に基づき、押された(操作された)ボタンやキー(ソフトキー)が認識される。また、操作パネル2には、スタートキーやテンキーのような複数のハードキー23(入力部に相当)も設けられる。
【0019】
原稿搬送部3aは、セットされた原稿を1枚ずつ送り読取用コンタクトガラス(読み取り位置、不図示)に向けて連続的、自動的に搬送する。画像読取部3bは、送り読取用コンタクトガラスを通過する原稿や、載置読取用コンタクトガラス(不図示)にセットされた原稿を読み取り、画像データを生成する。
【0020】
第1給紙部4a、第2給紙部4bは、複数の用紙を収容する。印刷ジョブを実行するとき、第1給紙部4aと第2給紙部4bの何れかが用紙を、1枚ずつ搬送部4cに送り込む。搬送部4cは、第1給紙部4a又は第2給紙部4bから供給された用紙を搬送する。画像形成部4dは、画像データに基づきトナー像を形成し、搬送される用紙にトナー像を転写する。定着部4eは、用紙に転写されたトナー像を定着させる。トナー定着後の用紙は、排出トレイ4gに排出される。両面搬送部4fは、両面印刷のとき、片面印刷済の用紙を画像形成部4dの上流側に戻るように、片面印刷済の用紙を搬送する。
【0021】
(複合機100のハードウェア構成)
次に、図2に基づき、実施形態に係る複合機100のハードウェア構成の一例を説明する。図2は実施形態に係る複合機100の構成の一例を示す図である。
【0022】
複合機100内に、制御部5が設けられる。制御部5は、画像形成装置の動作を制御する。制御部5は、CPU5a、画像処理部5bのような回路を含む。尚、全体制御や画像処理を行うメイン制御部や、画像形成や各種回転体を回転させるモータ等のON/OFF等を制御するエンジン制御部のように機能単位で制御を行う部分を分割してもよい。
【0023】
CPU5aは、中央演算処理装置である。CPU5aは、記憶部6に記憶されるプログラム、データに基づき画像形成装置の各部の制御や、各種の演算処理を行う。画像処理部5bは、画像データに関する処理を行う。例えば、画像処理部5bは、濃度変換や拡大、縮小等、印刷を行う画像データへの画像処理や、画像読取部3bで読み取られた画像データの形式変換などの処理を行える。処理後の画像データは、画像形成部4dでのトナー像形成や、送信に用いられる。
【0024】
記憶部6は、不揮発性と揮発性の記憶装置を組み合わせて構成される。具体的に、記憶部6はROM61、RAM62、HDD63を含む。記憶部6は、複合機100の制御用の各種のプログラムやデータ、設定データ、画像データのような各種データを記憶する。
【0025】
また、制御部5は、操作パネル2での表示を制御し、タッチパネル部22やハードキー23の出力に基づき、操作パネル2での入力内容(操作されたキーやタブ)を認識する。そして、制御部5は、操作パネル2で設定された設定値を認識する。制御部5、記憶部6は、操作パネル2の動作にも関係する。そのため、実施形態に係る表示入力装置1は、表示部21、タッチパネル部22、ハードキー23、記憶部6、制御部5で構成される(通信部51、サーバー200も含むといえる場合がある)。
【0026】
なお、操作パネル2内に使用者の設定操作を認識し、設定操作に応じて画面を表示部21に切り替えさせるパネル制御部を設けるようにしてもよい。パネル制御部を設ける場合、制御部5は、パネル制御部から使用者が行った設定の内容を意味するデータを受け取り、動作や表示すべき画面の指示をパネル制御部に与える。
【0027】
更に、制御部5は、各種コネクタ、ソケット、通信制御用のチップを備えた通信部51と接続される。通信部51は、ネットワークや公衆回線やケーブルを介し、サーバー200やPC300と通信可能に接続される。通信部51は、コンピューターと各種データのやり取りを行える。
【0028】
又、制御部5は、操作パネル2、原稿搬送部3a、画像読取部3b、印刷部4、通信部51のような各部とバスや信号線で接続される。制御部5は、各部、各装置の存在を認識する。そして、制御部5は、各部を制御することにより、スキャン動作や印刷動作のような複合機100の動作を制御する。
【0029】
(操作パネル2での設定)
次に、図3図5を用いて、実施形態に係る複合機100での設定の一例を説明する。図3は、実施形態に係るメインメニュー画面S1の一例を示す図である。図4は、コピーをジョブとして選択したときに最初に表示されるコピー設定画面S2の一例を示す図ある。
【0030】
操作パネル2の表示部21は、各種設定画面を表示する。制御部5は、設定画面内のソフトキーや操作パネル2に配されたハードキー23に対する操作に応じ、画面を表示部21に切り替えさせる。
【0031】
図3に示すメインメニュー画面S1は、階層上、最上位の画面である。メインメニュー画面S1は、実行しようとするジョブの種類や設定のカテゴリーを選択するための画面である。メインメニュー画面S1の上方に、選択可能なジョブの種類を示すアイコン(画像)が付されたジョブ選択キーK1が7つ配される。何れかのジョブ選択キーK1の表示位置をタッチすることで、コピー、スキャン送信のようなジョブの種類を選択することができる。そして、制御部5は、タッチパネル部22の出力に基づき、タッチされたジョブ選択キーK1に対応する設定画面を表示部21に表示させる。なお、プログラムキーK2を操作したときの詳細は後述する。また、メインメニュー画面S1の下方には、システム設定(複合機100の動作全般に係わる設定、ジョブの実行を伴わない設定)に関するシステム関連キー群が配される。
【0032】
次に、図4を用いて、ジョブの種類の選択に応じて表示される設定画面の一例を説明する。図4は、ジョブの種類としてコピーが選択されたとき(コピーのジョブ選択キーK1が操作されたとき)に最初に表示されるコピー設定画面S2である。コピー設定画面S2は、コピーに関する設定画面のうちの1つである。尚、他種のジョブにも、それぞれ設定画面が用意されるが、コピー以外のジョブの設定画面の説明は割愛する。
【0033】
コピー設定画面S2は、最初、簡単設定タブT1(「Quick Setup」の文字列を含むタブ)が選択された状態で表示される。簡単設定タブT1が選択されている状態では、制御部5は、よく用いるとしてデフォルトで設定された、あるいは、使用者が選択した設定キーを表示部21に表示させる。図4では、簡単設定タブT1が選択された状態では、「用紙サイズ選択」、「拡大/縮小」、「印刷濃度」、「両面印刷」、「集約印刷」の設定項目に対応する項目選択キーK3、K4、K5、K6、K7が配されている例を示している。
【0034】
そして、項目選択キーK3〜K7の何れかの表示位置がタッチされると、制御部5は、タッチにより選択された設定項目の設定値を設定するための画面を表示部21に表示させる。例えば、「集約印刷」の設定項目が選択されたとき、「2in1」、「4in1」といった1ページ内に集約するページ数の設定値を設定するための設定画面が表示される。
【0035】
又、コピー設定画面S2に表示されない設定項目(例えば、枠消し、余白設定、読取解像度設定、原稿サイズ設定など多数)を設定するには、簡単設定タブT1に並ぶ原稿/用紙/仕上げタブT2や、カラー/画質タブT3や、レイアウト編集タブT4や、応用/その他タブT5が表示されている位置をタッチする。それぞれの設定項目は、タブT2〜T5のいずれかのタブに関連づけられる。制御部5は、表示位置がタッチされたタブに関連づけられた設定項目を一覧的に表示し、設定項目を選ぶための画面を表示部21に表示させる。
【0036】
例えば、原稿/用紙/仕上げタブT2の表示位置がタッチされたとき、制御部5は、原稿サイズや用紙サイズや、原稿や用紙の向きや、給紙元のような原稿や用紙に関する設定項目を選択するための画面を表示部21に表示させる。尚、他のタブにつていの説明は省略する。従って、コピー設定画面S2で操作することにより、設定項目を選ぶための画面や、選んだ設定項目の設定値を設定する画面を表示させることができる。使用者は、操作パネル2を操作することにより、所望の結果が得られるように設定値を設定する。
【0037】
(デフォルト値)
次に、図3図5を用いて、各設定項目の設定値のデフォルト値を説明する。図5は、実施形態に係るデフォルト値データD1の一例を示す図である。
【0038】
本実施形態の操作パネル2で設定可能な設定項目のそれぞれについて、デフォルト値(初期値)が予め定められる。例えば、ジョブの種類(機能)としてコピーを選択し、コピー設定画面S2が最初に表示されとき、各設定項目の設定値は、デフォルト値とされる。各設定項目の設定値のデフォルト値が定義されたデフォルト値データD1は、記憶部6のROM61やHDD63に不揮発的に記憶される。
【0039】
図5は、コピーの設定項目のデフォルト値を定めたデフォルト値データD1の一例を示す。ON/OFF(設定項目を用いるか否か)で設定値を定めることができるような設定項目では、デフォルト値は、OFFとされることが多い。また、濃度や倍率のように、単純にON/OFFでは定められず、複数段階のうち1つを選択して設定値を定めるような設定項目では、経験上、最もよく用いられる設定値がデフォルト値とされることが多い。例えば、コピー機能のうち、濃度の設定項目は、「標準」がデフォルト値とされ、倍率の設定項目は、「100%」がデフォルト値とされる。
【0040】
設定値を何ら変更しないままスタートキーが押されると、制御部5は、全ての設定項目の設定値がデフォルト値であると扱い、印刷部4、画像読取部3b、通信部51のようなジョブを実行する部分にジョブを実行させる。
【0041】
制御部5は、各設定項目の現在の設定値を格納した現在値データD2(図2参照)を記憶部6に記憶させる。現在値データD2は、RAM62内の所定の記憶領域に格納される。用いるジョブが選択され、選択したジョブの設定画面を最初に表示するとき、制御部5は、デフォルト値データD1をROM61やHDD63からRAM62に読み出す。そして、制御部5は、デフォルト値を現在値データD2に書き込む。例えば、コピーが選択され、最初にコピー設定画面S2が表示させるとき、制御部5は、コピーの各設定項目のデフォルト値データD1を現在値データD2に書き込む(初期では、現在値データD2=デフォルト値データD1)。
【0042】
使用者が設定値をデフォルト値から変更する操作を行ったとき、制御部5は、現在値データD2のうち変更された設定項目の設定値を、デフォルト値から変更後の値となるように、記憶部6に現在値データD2を更新させる。倍率、濃度、両面印刷のような設定項目の設定値が変更されるごとに、制御部5は、現在値データD2中の変更された設定項目に対応する値を、設定された値に変更する。ジョブの実行指示がなされたとき(スタートキーが押されたとき)、制御部5は、現在値データD2に記された各設定項目の設定値に基づき、印刷部4、画像読取部3b、通信部51のようなジョブを実行する部分にジョブを実行させる。
【0043】
なお、本実施形態の操作パネル2では、各設定項目のデフォルト値を変更することができる。デフォルト値を変更するには、メインメニュー画面S1のシステムメニューキーK8を操作する。その結果、制御部5は、システムメニュー画面(不図示)を表示部21に表示させる。システムメニュー画面でジョブの種類の選択と、デフォルト値を変更する設定項目の選択と、変更後のデフォルト値の入力を行うことにより、選んだ設定項目のデフォルト値を変更することができる。タッチパネル部22が変更後のデフォルト値を定める入力を受け付けたとき、制御部5は、デフォルト値データD1のうち、対応する設定項目のデフォルト値を記憶部6に更新させる。
【0044】
(設定保存データD3の登録)
次に、図6図9を用いて、設定保存データD3の登録を説明する。図6は、コピージョブに関し、設定後の状態の一例を示す図である。図7は、実施形態に係るプログラム呼出画面S3の一例を示す図である。図8は、実施形態に係る設定保存データD3の登録の流れの一例を示すフローチャートである。図9は、実施形態に係る設定保存データD3の一例を示す図である。
【0045】
本実施形態の操作パネル2、複合機100では、使用者は、実行しようとするジョブの種類に対し設けられた設定項目を選択し、所望の結果が得られるように、設定値を設定することができる。
【0046】
図6は、使用者が設定を行った後のコピー設定画面S2の一例を示す。図4と比較して、図6は、用紙サイズについては「Auto」から「A4」に、両面印刷については「Off」から「On」に、集約印刷については「Off」から「2in1」に、それぞれ設定値が変更された状態を示している。
【0047】
図6に示すような設定値を設定してコピージョブを実行することが多いとき、設定状態を保存(登録)しておき、保存した設定状態を呼び出すだけで、登録時の設定状態を再現できれば便利である。使用者は、コピージョブを実行するたびに、いつもの設定項目を選択し、いつもの設定値を設定する手間が無くなる。
【0048】
そこで、本実施形態の操作パネル2、複合機100では、設定状態を設定保存データD3として登録することができる。なお、設定保存データD3は「プログラム」と、設定状態を登録する機能は、「プログラム機能」と称されることがある。
【0049】
設定状態を登録するには、所望の設定値を設定したのち、各設定画面に表示されるプログラムタブT6(図4図7参照)をタッチする。タッチパネル部22の出力に基づき、プログラムタブT6への操作を認識すると、制御部5は、プログラム呼出画面S3(図7参照)を表示部21に表示させる。プログラム呼出画面S3は、設定状態(設定保存データD3)の登録と呼出に用いられる。
【0050】
プログラム呼出画面S3には、新規登録キーK9と編集キーK10が表示される。新規登録キーK9は、新たに設定状態を登録するときに操作される。なお、編集キーK10は、登録済みの設定状態(設定保存データD3)の内容を編集するときに操作される。
【0051】
タッチパネル部22の出力に基づき新規登録キーK9への操作を認識したとき、制御部5は、設定保存データD3の登録処理を開始する。以下、図8図9を用いて、設定保存データD3の登録処理の流れを説明する。
【0052】
図8のフローチャートのスタートは、新規登録キーK9が操作された時点である。この時点で、使用者は操作パネル2を、登録したい設定値が設定されている状態としている。
【0053】
まず、制御部5は、現在値データD2に基づき、デフォルト値と変更されている設定値を確認する(ステップ♯11)。続いて、制御部5は、現在値データD2とステップ♯11での確認に基づき、ジョブの種類に対して設けられた全設定項目のそれぞれの設定値が含まれ、それぞれの設定項目の設定値がデフォルト値から変更されたか否かを示すデータを含む設定保存データD3を生成する(ステップ♯12)。
【0054】
現在値データD2は各設定項目の現在設定されている設定値を示す。そこで、現在の設定状態を保存するため、制御部5は、現在値データD2をコピーして設定保存データD3の一部を生成する。現在値データD2を用いるので、設定保存データD3は、実行しようと選択しているジョブの種類に対して設けられた全設定項目のそれぞれの設定値を含む。設定保存データD3では、デフォルト値から変更のあった設定項目については変更後の設定値が、デフォルト値から変更のなかった設定項目についてはデフォルト値が、設定値として定義される。更に、制御部5は、設定項目ごとにデフォルト値から変更された設定値であるか否かを示すデータを設定保存データD3に含める。
【0055】
続いて、制御部5は、登録しようとする設定保存データD3(プログラム)の名前の入力を認識する(ステップ♯13)。このとき、制御部5は、名前入力用の画面を表示させ、タッチパネル部22の出力に基づき入力された名前を認識する。
【0056】
名前入力用の画面での名前入力が完了すると、制御部5は、記憶部6のHDD63やROM61のような不揮発的な記憶領域に、名前を付した設定保存データD3を記憶させる(ステップ♯14→エンド)。これにより、設定保存データD3が生成され、プログラムとして登録される。なお、制御部5は、設定保存データD3を記憶部6に記憶させるとともに、生成した設定保存データD3を後述のサーバー200に向けて通信部51に送信させてもよい。これにより、生成された設定保存データD3をサーバー200にも記憶させることができる。
【0057】
図9は、登録された設定保存データD3の一例を示す。登録された設定保存データD3では、各設定項目に対し、設定値とデフォルト値からの変更の有無を示すデータが付される。そして、コピー機能ならばコピーの全設定項目、送信機能ならば送信の全設定項目の設定値を含む設定保存データD3が登録される。
【0058】
(設定保存データD3の呼出)
次に、図7図10図11を用いて、設定保存データD3の呼出について説明する。図10は、実施形態に係る設定保存データD3の呼出の流れの一例を示すフローチャートである。図11は、実施形態に係る設定値確認画面S4の一例を示す図である。
【0059】
本実施形態の操作パネル2、複合機100では、登録した設定保存データD3(プログラム)を呼び出す操作を行うだけで、保存した設定状態を再現できる。設定保存データD3を呼び出すには、プログラム呼出画面S3(図7参照)を表示させる必要がある。上述のように、使用者は、ジョブの種類を選択した後、コピー設定画面S2のような設定画面に表示されるプログラムタブT6を操作することにより、プログラム呼出画面S3を表示させることができる。また、メインメニュー画面S1(図3参照)に配されたプログラムキーK2を操作しても、プログラム呼出画面S3を表示させることができる。
【0060】
プログラム呼出画面S3には、複数の呼出キーK11が配される。それぞれの呼出キーK11には、通し番号が付される。図7の例では、対応する設定保存データD3が存在している呼出キーK11に対してのみ符号を付す。制御部5は、呼出キーK11の内側に対応する設定保存データD3(プログラム)の名前を表示部21に表示させる。新規登録された設定保存データD3は、空白(名前が入っていない)の呼出キーK11と対応付けられる。新規登録された設定保存データD3の名前が空白であった呼出キーK11の内側に表示されるようになる。
【0061】
使用者は、呼び出したい設定保存データD3に対応する呼出キーK11を操作する。制御部5は、タッチパネル部22の出力に基づき操作された呼出キーK11を認識し、呼出キーK11に対応する設定保存データD3を呼び出しがなされたと認識する。
【0062】
続いて、図10を用いて、設定保存データD3が呼び出されたときの処理の流れの一例を説明する。図10のスタートは、制御部5がタッチパネル部22の出力に基づき、設定保存データD3の呼び出し入力がなされたと認識した時点である。
【0063】
まず、制御部5は、呼び出された設定保存データD3の各設定値のうち、デフォルト値から変更されないで登録された設定値を確認する(ステップ♯21)。そして、制御部5は、デフォルト値から変更されないで登録されたそれぞれの設定値のうち、現在のデフォルト値と異なる設定値を抽出する(ステップ♯22)。
【0064】
そして、制御部5は、ステップ♯21とステップ♯22に基づき、設定値を抽出できたか否かを確認する(ステップ♯23)。抽出できなかったとき(ステップ♯21とステップ♯22の両方の条件に合致する設定値がなかったとき、ステップ23のNo)、制御部5は、設定保存データD3に定義されたそれぞれの設定値を現在値データD2に書き込むことにより、設定保存データD3の登録時の設定状態を再現する(ステップ♯24→エンド)。
【0065】
一方、設定値を抽出したとき(ステップ♯21とステップ♯22の両方の条件に合致する抽出設定値があったとき、ステップ23のYes)、制御部5は、抽出設定値と現在のデフォルト値を含む設定値確認画面S4を表示部21に表示させる(ステップ♯25)。複数、抽出設定値があるとき、制御部5は、何れか1つの抽出設定値と、これに対応する現在のデフォルト値を表示部21に表示させる。
【0066】
図11は、コピージョブに関する設定保存データD3が呼び出されたときに表示される設定値確認画面S4の一例を示す。図11に示すように、制御部5は、抽出設定値の設定項目と、抽出設定値と、現在のデフォルト値が含まれるように、設定値確認画面S4を表示部21に表示させる。図11では、設定保存データD3の登録時、集約印刷に関してはデフォルト値からの変更がなかったため、「Off(集約印刷しない)」の設定値で登録されており、現在のデフォルト値が2in1である例を示している。
【0067】
例えば、使用者は、集約印刷のデフォルト値である「Off」を変更せずに設定保存データD3の登録を行ったとする。全ての設定項目の設定値について設定保存データD3が登録されるので、集約印刷はデフォルト値の「Off」で登録される。設定保存データD3の登録後、「できるだけ用紙やトナーの消費を減らす」との社内方針のために、管理者が操作パネル2に入力を行って、集約印刷のデフォルト値の「2in1」への変更がなされることがある。
【0068】
従来、デフォルト値の変更後、設定保存データD3を呼び出してコピージョブを行うと、設定保存データD3の各設定値がそのまま適用される。その結果、集約印刷されていない(1ページ内に複数分の内容が収められていない)印刷物が得られる。集約印刷された印刷物を得たいと思っていた使用者にとっては、意図しない出力結果となる。
【0069】
デフォルト値の変更があったとき、所望の出力を得るには、設定保存データD3を呼び出した後、デフォルト値の変更があった設定項目の再設定が必要となる場合がある。しかし、使用者は、デフォルトから変更した設定値についてはよく記憶しているが、デフォルトから変更しなかった設定項目についての意識は薄い。そのため、設定のやり直しをしないままジョブを実行しやすい。一方、変更前のデフォルト値を適用したジョブの出力を得たい場合もあり、変更後のデフォルト値にのみ置き換えるようにすることも好ましくない。そこで、本実施形態の操作パネル2、複合機100では、設定値確認画面S4を表示させる。
【0070】
そして、設定値確認画面S4には、不変更キーK12と、デフォルト値適用キーK13が配される。抽出設定値に対応する設定項目に、設定保存データD3で定められた設定値を用いるとき、使用者は、不変更キーK12を操作する。一方、使用者は、抽出設定値に対応する設定項目に、現在のデフォルト値を用いるとき、デフォルト値適用キーK13を操作する。
【0071】
制御部5は、不変更キーK12が操作されたか否かを確認する(ステップ♯26)。タッチパネル部22の出力に基づき不変更キーK12が操作されたと認識したとき(ステップ♯26のYes)、制御部5は、設定保存データD3の設定値が選択されたと認識する(ステップ♯27)。一方、デフォルト値適用キーK13が操作されたとき(ステップ♯26のNo)、制御部5は、現在のデフォルト値が選択されたと認識する(ステップ♯28)。
【0072】
そして、制御部5は、全ての抽出設定値に対する値の選択がなされたか否かを確認する(ステップ♯29)。全ての抽出設定値に対する値の選択がなされていないとき(ステップ♯29のNo)、制御部5は、まだ値の選択がなされていない抽出設定値のうちの1つと、表示する抽出設定値の現在のデフォルト値を含む別の設定値確認画面S4を表示部21に表示させる(ステップ♯210)。
【0073】
全ての抽出設定値に対する値が選択済のとき(ステップ♯29のYes)、制御部5は、操作パネル2の設定状態を、抽出設定値については選択された設定値が設定された状態とし、抽出設定値以外の設定値については設定保存データD3の設定値が設定された状態とする(ステップ♯211→エンド)。言い換えると、制御部5は、抽出設定値については選択された設定値を、抽出設定値以外の設定値については設定保存データD3の設定値を現在値データD2に書き込む。
【0074】
(他の画像形成装置で登録された設定保存データD3の呼出)
次に、図12図14を用いて、他の画像形成装置で登録された設定保存データD3の呼出について説明する。図12は、各画像形成装置の設定保存データD3をサーバー200に記憶させる場合の一例を示す図である。図13は、他の画像形成装置で登録された設定保存データD3の呼出の流れの一例を示すフローチャートである。図14は、実施形態に係る設定値確認画面S5の一例を示す図である。
【0075】
設定保存データD3を呼び出す操作だけで、複数の設定項目の設定値を所望の設定値にできる。設定保存データD3は複合機100(表示入力装置1)に登録することができる。しかし、設定保存データD3を各画像形成装置で共用できれば、各画像形成装置で同じ内容の設定保存データD3を登録する手間を省くことができる。そこで、各画像形成装置がアクセス可能なサーバー200(ローカルネットワーク内に設けられたデータサーバー)にも、各画像形成装置で登録された設定保存データD3を記憶させることがある。
【0076】
サーバー200は、HDD63のような大容量で不揮発性の記憶装置201を含む(図12参照)。そして、サーバー200は、本実施形態の複合機100の通信部51や、他の画像形成装置とネットワークを介し、通信可能に接続される。図12に示すように、サーバー200は、各画像形成装置で登録された設定保存データD3(設定状態、プログラム)を、各画像形成装置から受信する。サーバー200の記憶装置201は、受信した設定保存データD3を記憶する。これにより、サーバー200にアクセスし、他の画像形成装置で登録された設定保存データD3を取得することができる。言い換えると、他の画像形成装置で登録された設定保存データD3を自機で呼び出すことができる。
【0077】
しかし、他の画像形成装置と自機(複合機100)の機種が同じであるとは限らない。他の画像形成装置で登録された設定保存データD3であるので、呼び出した画像形成装置には設けられていない設定項目について設定値が定められている場合がある。このような場合、従来では、設定保存データD3の形式不一致のエラーとして処理されていた。そのため、他の画像形成装置で登録された設定保存データD3を利用できない場合があった。
【0078】
例えば、カラー印刷対応の画像形成装置で、カラー印刷の設定項目の設定値がONの設定保存データD3がサーバー200に登録されたとする。使用者は、カラー印刷をONする設定をしなくても、デフォルト値がカラー印刷ONであるとき、カラー印刷の設定値がONの設定保存データD3がサーバー200に登録される。
【0079】
そして、白黒印刷のみ可能な画像形成装置(カラー非対応の画像形成装置)がサーバー200にアクセスし、カラー印刷ONの設定値の設定保存データD3を呼び出したとき、呼び出した側のモノクロの画像形成装置では、カラー印刷の設定項目自体がない。また、カラー印刷対応機種では、各色のバランス、色相調整、彩度調整といった設定項目が設けられることもあり、カラー印刷に関する設定項目が複数設けられることがある。モノクロの画像形成装置では、カラー印刷に関する設定項目の設定値を適用できない。そのため、モノクロの画像形成装置では、カラー印刷に関する設定項目の設定値を含む設定保存データD3を利用した出力を行えなかった。
【0080】
そこで、本実施形態の操作パネル2、複合機100では、他の画像形成装置で登録された設定保存データD3をより活用できるようにする。そこで、図13を用いて、サーバー200に記憶された設定保存データD3の呼出の流れの一例を説明する。
【0081】
まず、操作パネル2では、サーバー200へのアクセスを指示することができる。タッチパネル部22の出力に基づき、サーバー200へのアクセス指示を認識すると、制御部5は、サーバー200へのアクセスを通信部51に行わせる。サーバー200は、名前や登録した画像形成装置名のような記憶装置201に記憶される各設定保存データD3の出所を示す情報を記憶している。制御部5は、サーバー200から、各設定保存データD3の出所を示す情報を通信部51に取得させる。そして、制御部5は、取得した情報に基づき、サーバー200に記憶されている設定保存データD3の一覧を表示部21に表示させる。
【0082】
そして、表示された設定保存データD3のうち1つを指定する操作が、サーバー200に記憶された設定保存データD3を呼び出す操作として受け付けられる。図13のスタートは、サーバー200に記憶された設定保存データD3を呼び出す操作がなされた時点である。
【0083】
まず、制御部5は、サーバー200との通信を通信部51に行わせ、指定された設定保存データD3を通信部51に取得させる(ステップ♯31)。次に、制御部5は、取得した設定保存データD3のうち、使用できない設定値(使用不可設定値)を抽出する(ステップ♯32)。具体的に、制御部5は、取得した設定保存データD3のうち、設けられていない設定項目の設定値を抽出する。
【0084】
そして、制御部5は、使用不可設定値を抽出できたか否かを確認する(ステップ♯33)。使用不可設定値がなかったとき(ステップ33のNo)、制御部5は、取得した設定保存データD3に定義されたそれぞれの設定値を現在値データD2に書き込むことにより、サーバー200に記憶された設定保存データD3の登録時の設定状態を再現する(ステップ♯34→エンド)。
【0085】
一方、使用不可設定値があったとき(ステップ33のYes)、制御部5は、使用不可設定値を含む設定値確認画面S5を表示部21に表示させる(ステップ♯35)。複数、使用不可設定値があるとき、制御部5は、何れか1つの使用不可設定値を表示部21に表示させる。
【0086】
まず、本実施形態の複合機100は、モノクロ機である。そして、図14は、ステップ♯33でYesのときに表示される設定値確認画面S5の一例を示す。図14は、コピージョブに関する設定保存データD3であって、カラー印刷可能な画像形成装置で登録された設定保存データD3がサーバー200から呼び出されたときに表示される設定値確認画面S5の一例である。図14に示すように、制御部5は、使用不可設定値を設定値確認画面S5内に表示させる。図14では、呼び出したサーバー200の設定保存データD3では、カラー印刷を行う設定値となっている例を示している。
【0087】
そして、設定値確認画面S5には、キャンセルキーK14と、無効化キーK15が配される。呼び出した設定保存データD3を用いないとき、使用者は、キャンセルキーK14を操作する。一方、使用者は、使用不可設定値を無効化して使わないようにするとき、無効化キーK15を操作する。
【0088】
制御部5は、キャンセルキーK14が操作されたか否かを確認する(ステップ♯36)。タッチパネル部22の出力に基づきキャンセルキーK14が操作されたと認識したとき(ステップ♯36のYes)、本フローは終了すればよい(エンド)。一方、無効化キーK15が操作されたとき(ステップ♯36のNo)、制御部5は、使用不可設定値を無効化する選択がなされたと認識する(ステップ♯37)。
【0089】
そして、制御部5は、全ての使用不可設定値に対し、設定値を無効化する選択がなされたか否かを確認する(ステップ♯38)。全ての使用不可設定値が、無効化されていないとき(ステップ♯38のNo)、制御部5は、まだ無効化されていない使用不可設定値を含む設定値確認画面S5を表示部21に表示させる(ステップ♯39)。
【0090】
全ての使用不可設定値が無効化されたとき(ステップ♯38のYes)、制御部5は、操作パネル2の設定状態を、使用不可設定値以外の設定値については設定保存データD3の設定値が設定された状態とする(ステップ♯310→エンド)。言い換えると、制御部5は、使用不可設定値を用いず、使用不可設定値以外の設定値については設定保存データD3の設定値を現在値データD2に書き込む。
【0091】
尚、モノクロ機でカラー設定は適用できないが、使用不可設定値は、他の値で代用できる場合がある。関連する設定項目があるが、設定できる設定値が完全に対応していない場合がある。例えば、同系統の機種であるが、上位クラス(高価格帯)の画像形成装置で設定できる設定値の一部が下位クラス(低価格帯)の画像形成装置では、選択できなくなっている場合がある。
【0092】
使用不可設定値を他の設定値で代用できる場合もあるので、制御部5は、使用不可設定値を用いない場合に代用する設定値(代用値)を設定値確認画面S5内に表示させるようにしてもよい。代用値を設定値確認画面S5内に表示するようにする場合、記憶部6は、どの使用不可設定値をどの代用値に置き換えるかを定めた代用値データD4を記憶する。代用値データD4は、サーバー200に記憶させておき、サーバー200から代用値データD4を取得するようにしてもよい。
【0093】
制御部5は、代用値データD4を用いて、使用不可設定値を用いない場合に代用される設定値を表示部21に表示させる。この場合、制御部5は、表示された代用値を用いる選択を受け付けるためのキーを設定値確認画面S5内に表示する。そして、制御部5は、タッチパネル部22の出力に基づき代用値を用いる選択を認識したとき、制御部5は、使用不可設定値の設定項目の設定値として、代用値を現在値データD2に書き込む。また、制御部5は、使用不可設定値以外の設定値については設定保存データD3の設定値を現在値データD2に書き込む。これにより、操作パネル2では、設定保存データD3に定められた内容をほぼ反映した設定値が設定された状態となる。
【0094】
このようにして、実施形態に係る表示入力装置1は、表示部21、入力部、記憶部6、制御部5を含む。表示部21は、表示を行う。入力部(タッチパネル部22、ハードキー23)は、使用者による入力を受け付ける。記憶部6(サーバー200を含む)は、それぞれの設定項目の現在の設定値を示す現在値データD2と、それぞれの設定項目の設定値のデフォルト値を定めたデフォルト値データD1と、呼び出すことにより設定状態を再現するためのデータであって、それぞれの設定項目の登録時の設定値が定義されるとともに、それぞれの設定値が登録時のデフォルト値から変更された設定値であるか否かを示すデータを含む設定保存データD3とを記憶する。
制御部5は、設定保存データD3を呼び出す操作が入力部になされたとき、呼び出された設定保存データD3の設定値のうち、設定保存データD3の登録時にデフォルト値から変更されずに登録された設定値であって現在のデフォルト値と異なる設定値を抽出し、設定値を抽出できなかったとき、設定保存データD3に定義されたそれぞれの設定値を現在値データD2に書き込むことにより設定保存データD3の登録時の設定状態を再現し、設定値を抽出できたとき、抽出された設定値である抽出設定値の登録時の値と現在のデフォルト値を表示部21に表示させ、抽出設定値の登録時の値と現在のデフォルト値のうち入力部への操作により使用者に選択された値と、抽出設定値以外の設定値については設定保存データD3に定義された設定値とを、現在値データD2に書き込む。
【0095】
これにより、設定保存データD3の登録後、デフォルト値が変更されたとき、設定保存データD3で定められた設定値のうち、現在のデフォルト値と異なるものが自動的に抽出される。そして、抽出結果が表示される。従って、確認すべき設定値が使用者に示される。また、抽出設定値の設定項目について、変更後のデフォルト値を用いるか、設定保存データD3に定められた設定値を用いるかを選択することができる。従って、使用者の意図しない内容の出力はなされなくなる。また、登録した設定状態(設定保存データD3)を呼び出して利用する機能を使いやすくすることができる。
【0096】
設定保存データD3は、外部の記憶部6(サーバー200を含む)としてのサーバー200に記憶される場合がある。そして、設定保存データD3の共用の観点から、サーバー200に、各表示入力装置1(各画像形成装置(複合機100))で登録された設定保存データD3をまとめて記憶させる場合がある。これにより、使用中の表示入力装置1で、他の表示入力装置1で登録された設定保存データD3を呼び出すことが可能となる。しかし、他の表示入力装置1で登録された設定保存データD3には、自機に搭載されていない設定項目の設定値が含まれる場合がある。この場合、従来、形式不適合としてエラーとして扱われていた。
【0097】
そこで、入力部(タッチパネル部22、ハードキー23)は、通信可能に接続されたサーバー200に記憶された設定保存データD3を呼び出す操作を受け付ける。制御部5は、サーバー200から得られた設定保存データD3の設定値のうち、設けられていない設定項目の設定値である使用不可設定値を抽出し、抽出された使用不可設定値がないとき、サーバー200から得られた設定保存データD3に定義されたそれぞれの設定値を現在値データD2に書き込むことにより設定保存データD3の登録時の設定状態を再現し、使用不可設定値を抽出したとき、抽出された使用不可設定値を表示部21に表示させ、続けて、使用不可設定値を無効とする入力が入力部になされたとき、設定保存データD3のうち、使用不可設定値以外の設定値を現在値データD2に書き込む。
【0098】
これにより、サーバー200から取得した設定保存データD3に自機に搭載されていない設定項目の設定値が含まれていても、エラー扱いしなくて済むようになる。そして、使用者は、サーバー200から取得した設定保存データD3の内容をほぼ反映したジョブを実行させ得る。
【0099】
また、入力部(タッチパネル部22、ハードキー23)は、設定項目を選択する入力と、選択した設定項目の設定値を設定する入力と、設定保存データD3を新たに登録する旨の登録入力を受け付ける。制御部5は、入力部が登録入力を受け付けたとき、現在値データD2を設定保存データD3として記憶部6(サーバー200を含む)に記憶させる。これにより、使用者は、所望する結果(出力)が得られるように設定値を定めた状態を設定保存データD3として登録できる。
【0100】
社内の方針や必要性の観点から、予め定められた各設定項目のデフォルトの設定値を変えたい場合がある。そこで、入力部(タッチパネル部22、ハードキー23)は、設定項目を選択する入力と、選択した設定項目のデフォルト値を変更する入力を受け付ける。制御部5は、デフォルト値を変更する入力がなされたとき、変更後の値となるようにデフォルト値データD1を記憶部6に更新させる。これにより、任意に設定項目を選択し、選択した設定項目のデフォルトの設定値を所望の値に変更することができる。
【0101】
また、実施形態ら係る画像形成装置(複合機100)は、上述の表示入力装置1を含む。これにより、表示入力装置1での設定状態を登録することができ、登録した設定保存データD3を呼び出してジョブを実行しても、使用者が意図しない出力がなされない画像形成装置(複合機100)を提供することができる。
【0102】
本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、表示部やタッチパネル部を含む表示入力装置、画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0104】
100 複合機(画像形成装置) 1 表示入力装置
21 表示部 22 タッチパネル部(入力部)
23 ハードキー(入力部) 5 制御部
6 記憶部 200 サーバー
D1 デフォルト値データ D2 現在値データ
D3 設定保存データ(プログラム)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14