【文献】
X YU,IMMUNOGLOBULIN HEAVY CHAIN,PARTIAL [HOMO SAPIENS],HOMO SAPIENS (HUMAN) [ONLINE],2010年10月27日,URL,http://www.ncbi.nlm.nih.gov/protein/ABY48864.2?report=genpept&log$=seqview
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
消化された抗体サンプルを親和性捕捉媒体又はクロマトグラフィーの吸着剤と接触させ、濃縮された消化された抗体サンプルを溶出させることを更に含む、請求項1に記載の方法。
生物学的サンプルを親和性捕捉媒体又はクロマトグラフィーの吸着剤と接触させ、濃縮された消化された生物学的サンプルを溶出させ、次いで濃縮された生物学的サンプルを消化酵素で処置することを更に含む、請求項1に記載の方法。
ヒト又はヒト化抗体が、トラスツズマブ、オクレリズマブ、ペルツズマブ、抗PDL1、抗ニューロピリン−1、抗MUC16、リツキシマブ、抗メソテリン、及び抗LY6Eから選択される、請求項1に記載の方法。
薬物部分が、メイタンシノイド、ドラスタチン、アウリスタチン、カリケアマイシン、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)、PNU−159682、アントラサイクリン、デュオカルマイシン、ビンカアルカロイド、タキサン、トリコテセン、CC1065、デュオカルマイシン、カンプトテシン、エリナフィド、及びそれらの立体異性体、アイソスター、類似体又は誘導体から選択される、請求項11に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施態様の詳細な説明
特に定義しない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般に理解されているのと同じ意味を有し、Singleton et al, (1994) “Dictionary of Microbiology and Molecular Biology", 2nd Ed., J. Wiley & Sons, New York, NY;及びJaneway, et al (2001) “Immunobiology", 5th Ed., Garland Publishing, New Yorkと一致している。商品名が本明細書で使用される場合、商品名の製品製剤、ジェネリック医薬品、および商品名製品の活性医薬成分(複数可)も含まれる。
【0016】
定義
用語「生物学的サンプル」は動物から由来又は分離された任意の成分であり、血液、血漿、血清、細胞、尿、脳脊髄液(CSF)、ミルク、気管支洗浄液、骨髄、羊水、唾液、胆汁、硝子体、涙、又は組織を含む。
【0017】
用語「消化酵素」とは、特定又は一般的、ランダムな方法のいずれかで、ペプチド又はタンパク質を断片に切断するか又は加水分解することができる酵素である。消化酵素は、抗体が生物学的サンプルの成分である抗体から、消化された抗体サンプルを形成することができる。消化酵素は、トリプシン、パパイン、エンドプロテアーゼLysC、エンドプロテアーゼArgC、黄色ブドウ球菌V8、キモトリプシン、Asp−N、Asn−C、ペプシン、及びエンドプロテアーゼGluCなどのプロテアーゼが含まれる。
【0018】
用語「抗体」は最も広い意味で用いられ、様々な抗体構造を包含し、限定されないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、及び、所望の抗原結合活性を示す限り、抗体断片を含む。
【0019】
「抗体断片」は、インタクトな抗体が結合する抗原を結合するインタクトな抗体の一部を含むインタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例としては、限定されないが、Fv、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)
2、ダイアボディ、直鎖状抗体、単鎖抗体分子(例えばscFv)、及び抗体断片から形成される多重特異性抗体を含む。
【0020】
ある実施態様において、本明細書で提供される抗体は、抗体断片である。抗体断片は、限定されないが、Fab、Fab’、Fab’−SH,F(ab’)
2、Fv、及びscFv断片、及び下記の他の断片を含む。所定の抗体断片の総説については、 Hudson et al. Nat. Med. 9:129-134 (2003)を参照。scFv断片の総説については、例えば、Pluckthuen, in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., (Springer-Verlag, New York), pp. 269-315 (1994)を参照;また、国際公開第93/16185号;及び米国特許第5571894号;米国特許第5587458号も参照。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、かつインビボ半減期を増加させたFab及びF(ab’)
2断片の議論については、米国特許第5869046号を参照のこと。
【0021】
ダイアボディは二価又は二重特異性であり得る2つの抗原結合部位を有する抗体断片である(欧州特許第404097号;国際公開第1993/01161号;Hudson et al. (2003) Nat. Med. 9:129-134; Hollinger et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448)。トリアボディ及びテトラボディもまたHudson et al. (2003) Nat. Med. 9:129-134に記載されている。
【0022】
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全て又は一部、又は軽鎖可変ドメインの全て又は一部を含む抗体断片である。ある実施態様において、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(米国特許第6248516号)。
【0023】
抗体断片は様々な技術で作成することができ、限定されないが、本明細書に記載するように、インタクトな抗体の分解、並びに組換え宿主細胞(例えば、大腸菌やファージ)による生産を含む。
【0024】
用語「キメラ」抗体は、重鎖及び/又は軽鎖の一部分が特定の起源又は種から由来し、一方重鎖及び/又は軽鎖の残りが異なる起源又は種から由来する抗体を指す。
【0025】
用語「Fc領域」は、定常領域の少なくとも一部を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。その用語は、天然配列Fc領域と変異体Fc領域を含む。一実施態様において、ヒトIgG重鎖Fc領域はCys226又はPro230から重鎖のカルボキシル末端まで伸長する。しかし、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は存在しているか、又は存在していない場合がある。本明細書に明記されていない限り、Fc領域又は定常領域内のアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD, 1991に記載されるように、EUインデックスとも呼ばれるEU番号付けシステムに従う。
【0026】
「フレームワーク」又は「FR」は、超可変領域(HVR)残基以外の定常ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは、一般的に4つのFRのドメインで構成される:FR1、FR2、FR3、及びFR4。従っ従って、HVR及びFR配列は一般にVH(又はVL)の以下の配列に現れる:FR1−H1(L1)−FR2−H2(L2)−FR3−H3(L3)−FR4。
【0027】
用語「完全長抗体」、「インタクトな抗体」及び「全抗体」は、本明細書中で互換的に使用され、天然型抗体構造と実質的に類似の構造を有するか、又は本明細書で定義されるFc領域を含む重鎖を有する抗体を指す。
【0028】
「ヒト抗体」は、ヒト又はヒト細胞により産生されるか、又はヒト抗体のレパートリー又は他のヒト抗体をコードする配列を利用した非ヒト起源に由来する抗体のそれに対応するアミノ酸配列を有するものである。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特に除外する。
【0029】
「ヒトコンセンサスフレームワーク」とは、ヒト免疫グロブリンVL又はVHフレームワーク配列の選択において最も一般的に存在するアミノ酸残基を表す抗体のフレームワーク領域である。一般的には、ヒト免疫グロブリンVL又はVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループからのものである。一般的には、配列のサブグループは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, NIH Publication 91-3242, Bethesda MD (1991), vols. 1-3にあるサブグループである。一実施態様において、VLについて、サブグループは上掲のKabatらにあるサブグループカッパIである。一実施態様において、VHについて、サブグループは上掲のKabatらにあるサブグループIIIである。
【0030】
「ヒト化」抗体は、非ヒトHVR由来のアミノ酸残基、及びヒトFR由来アミノ酸残基を含むキメラ抗体を指す。所定の実施態様において、ヒト化抗体は、少なくとも一つ、典型的には2つの可変ドメインの全てを実質的に含み、HVR(例えば、CDR)の全て又は実質的に全てが、非ヒト抗体のものに対応し、全て又は実質的にFRの全てが、ヒト抗体のものに対応する。ヒト化抗体は、任意で、ヒト抗体由来の抗体定常領域の少なくとも一部を含んでもよい。抗体の「ヒト化型」、例えば、非ヒト抗体は、ヒト化を遂げた抗体を指す。
【0031】
一例において、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、又はサル等の非ヒト霊長類由来の可変領域)及びヒト定常領域を含む(米国特許第4816567号; Morrison et al. (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855)。更なる例において、キメラ抗体は、クラス又はサブクラスが親抗体のものから変更された「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体は、その抗原結合断片を含む。
【0032】
所定の実施態様において、キメラ抗体は、ヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体は、ヒトに対する免疫原性を低減するために、親の非ヒト抗体の特異性と親和性を保持したまま、ヒト化されている。一般に、ヒト化抗体は、HVR、例えば、CDR(又はその一部)が、非ヒト抗体から由来し、FR(又はその一部)がヒト抗体配列に由来する、一以上の可変ドメインを含む。ヒト化抗体はまた、任意で、ヒト定常領域の少なくとも一部をも含む。所定の実施態様において、ヒト化抗体の幾つかのFR残基は、例えば抗体特異性又は親和性を回復もしくは改善するめに、非ヒト抗体(例えば、HVR残基が由来する抗体)由来の対応する残基で置換されている。
【0033】
ヒト化抗体およびそれらの製造方法は、例えば、Almagro and Fransson, Front. Biosci. 13:1619-1633 (2008)に総説され、更に、 Riechmann et al., Nature 332:323-329 (1988); Queen et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 86:10029-10033 (1989); US 5821337; US 7527791; US 6982321; US 7087409; Kashmiri et al. (2005) Methods 36:25-34 ((SDR(a−CDR)グラフティングを記述); Padlan, (1991) Mol. Immunol. 28:489-498 (「リサーフェイシング」を記述); Dall'Acqua et al. (2005) Methods 36:43-60 (「FRシャッフリング」を記述);及び Osbourn et al, (2005) Methods 36:61-68; Klimka et al. (2000) Br. J. Cancer 83:252-260 (FRのシャッフリングへの「誘導選択」アプローチを記述)に記載されている。
【0034】
ヒト化に用いられ得るヒトフレームワーク領域は、限定されないが、「ベストフィット」法を用いて選択されるフレームワーク領域(例えば、Sims et al. J. Immunol. 151:2296 (1993));軽鎖又は重鎖の可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列由来のフレームワーク領域(Carter et al. (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285; Presta et al. (1993) J. Immunol., 151:2623);ヒト成熟(体細胞変異)フレームワーク領域又はヒト生殖細胞系フレームワーク領域(Almagro and Fransson, (2008) Front. Biosci. 13:1619-1633); 及びFRライブラリスクリーニング由来のフレームワーク領域(例えば、Baca et al. (1997) J. Biol. Chem. 272:10678-10684; 及びRosok et al. (1996) J. Biol. Chem. 271:22611-22618を参照)を含む。
【0035】
ヒト抗体は、当技術分野で公知の様々な技術を用いて生産することができる。ヒト抗体は一般的にvan Dijk and van de Winkel, (2001) Curr. Opin. Pharmacol. 5: 368-74; Lonberg, Curr. Opin. Immunol. 20:450-459 (2008)に記載されている。
【0036】
ヒト抗体は、抗原チャレンジに応答して、インタクトなヒト抗体又はヒト可変領域を持つ又はインタクトな抗体を産生するように改変されたトランスジェニック動物に、免疫原を投与することにより調製することができる。このような動物は、典型的には、内因性免疫グロブリン遺伝子座を置換するか、又は染色体外に存在するかもしくは動物の染色体にランダムに組み込まれている、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全て又は一部を含む。このようなトランスジェニックマウスでは、内因性免疫グロブリン遺伝子座は、一般的に不活性化される。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法の総説については、Lonberg, Nat. Biotech. 23:1117-1125 (2005)を参照。また、例えば、XENOMOUSE
TM技術を記載している、米国特許第6,075,181号及び第6,150,584号;HuMab(登録商標)技術を記載している米国特許第5770429号;K−M MOUSE(登録商標)技術を記載している米国特許第7041870号及び、VelociMouse(登録商標)技術を記載している米国特許出願公開第2007/0061900号)を参照。このような動物で生成されたインタクトな抗体由来のヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることにより、更に改変される可能性がある。
【0037】
ヒト抗体は、ハイブリドーマベース法によって作成することができる。ヒトモノクローナル抗体の産生のためのヒト骨髄腫及びマウス−ヒトヘテロ細胞株が記載されている。(例えばKozbor J. Immunol., 133: 3001 (1984); Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp. 51-63 (Marcel Dekker, Inc., New York, 1987);及びBoerner et al., (1991) J. Immunol., 147: 86を参照。)ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成されたヒト抗体はまた、Li et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103:3557-3562 (2006)に記載されている。更なる方法は、例えば、米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞株からのモノクローナルヒトIgM抗体の産生を記載している)及びNi, (2006) Xiandai Mianyixue, 26(4):265-268(ヒト−ヒトハイブリドーマを記載している)に記載されたものを含む。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)もまた、Vollmers and Brandlein, (2005) Histology and Histopathology, 20(3):927-937及びVollmers and Brandlein, (2005) Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology, 27(3):185-91に記載される。
【0038】
ヒト抗体はまた、ヒト由来のファージディスプレイライブラリーから選択されたFvクローン可変ドメイン配列を単離することによって生成され得る。このような可変ドメイン配列は、次に所望のヒト定常ドメインと組み合わせてもよい。抗体ライブラリーからヒト抗体を選択するための技術が、以下に説明される。
【0039】
本発明の抗体は、所望の活性又は活性(複数)を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることによって単離することができる。例えば、様々な方法が、ファージディスプレイライブラリーを生成し、所望の結合特性を有する抗体についてのライブラリーをスクリーニングするために、当該技術分野で知られている。そのような方法は、例えば、Hoogenboom et al. in Methods in Molecular Biology 178:1-37 (O'Brien et al., ed., Human Press, Totowa, NJ, 2001)に総説され、更に、例えば、McCafferty et al., Nature 348:552-554; Clackson et al., Nature 352: 624-628 (1991); Marks et al. (1992) J. Mol. Biol. 222: 581-597; Marks and Bradbury, Methods in Molecular Biology 248:161-175 (Lo, ed., Human Press, Totowa, NJ, 2003); Sidhu et al. (2004) J. Mol. Biol. 338(2): 299-310; Lee et al. (2004) J. Mol. Biol. 340(5): 1073-1093; Fellouse, (2004) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101(34): 12467-12472;及びLee et al. (2004) J. Immunol. Methods 284(1-2): 119-132に記載されている。
【0040】
所定のファージディスプレイ法において、VH及びVL遺伝子のレパートリーがポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により個別にクローニングされ、ファージライブラリーにランダムに再結合され、その後、Winter et al., Ann. Rev. Immunol., 12: 433-455 (1994)に記載されるように、抗原結合ファージについてスクリーニングすることができる。ファージは、通常、抗体断片を、単鎖Fv(scFv)断片、又はFab断片のいずれかとして提示する。免疫された起源からのライブラリーは、ハイブリドーマを構築する必要性なしで免疫原に高親和性抗体を提供する。あるいは、ナイーブレパートリーを(例えばヒトから)クローニングして、Griffiths等,EMBO J, 12: 725-734(1993)に記載のように如何なる免疫化もせずに、幅広い非自己抗原及び自己抗原に対するヒト抗体の単一源を提供することが可能である。最終的には、ナイーブライブラリーは、また、Hoogenboom及びWinter, J. Mol. Biol. 227: 381-388(1992)に記載のように、幹細胞からの再配列されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、ランダム配列を含むPCRプライマーを利用して高度可変CDR3領域をコードせしめ、インビトロでの再配列を達成させることによって合成的に作製することができる。ヒト抗体ファージライブラリーは、米国特許第5750373;米国特許出願公開第2005/0079574号;米国特許出願公開第2005/0119455号;米国特許出願公開第2005/0266000号;米国特許出願公開第2007/0117126号;米国特許出願公開第2007/0160598号;米国特許出願公開第2007/0237764号;米国特許出願公開第2007/0292936号;米国特許出願公開第2009/0002360号に記載されているヒト抗体ライブラリーから単離された抗体又は抗体断片は、本明細書でヒト抗体又はヒト抗体の断片とみなされる。
【0041】
ある実施態様において、抗体は、多重特異性抗体、例えば二重特異性抗体である。多重特異性抗体は、少なくとも二つの異なる部位に対して結合特異性を有するモノクローナル抗体である。所定の実施態様において、結合特異性の一つは第一抗原に対してであり、他は第二抗原に対してである。所定の実施態様において、二重特異性抗体は、同一抗原の2つの異なるエピトープに結合することができる。二重特異性抗体はまた、抗原を発現する細胞に細胞傷害性薬物を局所化するために用いることができる。二重特異性抗体は、全長抗体又は抗体断片として調製することができる。
【0042】
多重特異性抗体を作製するための技術は、限定されないが、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖対の組換え共発現(Milstein and Cuello, Nature 305: 537 (1983))、国際公開第93/08829号、及びTraunecker et al., EMBO J. 10: 3655 (1991)を参照)及び“knob-in-hole"エンジニアリング(米国特許第5731168号)を含む。多重特異抗体はまた、抗体のFc−ヘテロ2量体分子を作成するための静電ステアリング効果を操作すること(国際公開第2009/089004A1号)、2つ以上の抗体又は断片を架橋すること(例えば米国特許第4,676,980号、及びBrennan et al., Science, 229: 81 (1985)を参照)、2重特異性抗体を生成するためにロイシンジッパーを使用すること(例えば、Kostelny et al., J. Immunol., 148(5):1547-1553 (1992)を参照)、二重特異性抗体断片を作製するため、「ダイアボディ」技術を使用すること(例えば、Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)を参照)、単鎖Fv(sFv)ダイマーを使用すること(例えば、Gruber et al., J. Immunol., 152:5368 (1994)を参照)、及び、例えばTutt et al. J. Immunol. 147: 60 (1991)に記載されているように、三重特異性抗体を調製することによって作成することができる。
【0043】
「オクトパス抗体」を含む、3つ以上の機能性抗原結合部位を持つ改変抗体もまた本明細書に含まれる(例えば、米国特許出願公開第2006/0025576A1号を参照)。
【0044】
本明細書中の抗体又は断片はまた、抗原並びにその他の異なる抗原(例えば米国特許出願公開第2008/0069820号参照)に結合する抗原結合部位を含んでなる「2重作用(Dual Acting)FAb」又は「DAF」を含む。
【0045】
抗体変異体
ある実施態様において、本明細書で提供される抗体のアミノ酸配列変異体が企図される。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善することが望まれ得る。抗体のアミノ酸配列変異体は、抗体をコードするヌクレオチド配列に適切な改変を導入することにより、又はペプチド合成によって調製することができる。このような改変は、例えば、抗体のアミノ酸配列内における、残基の欠失、及び/又は挿入及び/又は置換を含む。最終コンストラクトが所望の特性、例えば、抗原結合を有していることを条件として、欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせが、最終コンストラクトに到達させるために作成され得る。
【0046】
抗体は、抗体及びタンパク質、薬剤部分、標識、又は他の基を含む融合タンパク質を含む。融合タンパク質は、薬物動態などの特性を最適化するために、組換え技術、コンジュゲーション、又はペプチド合成によって作製することができる。本発明のヒト又はヒト化抗体はまた、アルブミン結合性ペプチド(ABP)配列を含む融合タンパク質であり得る(Dennis et al. (2002) “Albumin Binding As A General Strategy For Improving The Pharmacokinetics Of Proteins" J Biol Chem. 277:35035-35043;国際公開第01/45746号)。本発明の抗体は、(i)Dennis et al (2002) J Biol Chem. 277:35035-35043の表III及びIV,頁35038;(ii)米国特許出願公開第2004/0001827号の[0076];及び(iii)国際公開第01/45746号の頁12−13(これらの全ては参照により本明細書に援用される)によって教示されるABP配列との融合タンパク質を含む。
【0047】
置換、挿入、および欠失変異体
ある実施態様において、一つ以上のアミノ酸置換を有する抗体変異体が提供される。置換型変異誘発の対象となる部位は、HVRとFRを含む。保存的置換は、表1の「保存的置換」の見出しの下に示されている。より実質的な変更が、表1の「典型的な置換」の見出しの下に与えられ、アミノ酸側鎖のクラスを参照して以下に更に説明される。アミノ酸置換は、目的の抗体に導入することができ、その産物は、所望の活性、例えば、抗原結合の保持/改善、免疫原性の減少、又はADCC又はCDCの改善についてスクリーニングされた。
【0049】
アミノ酸は共通の側鎖特性に基づいてグループに分けることができる:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性の親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響する残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe.
【0050】
非保存的置換は、これらの分類の一つのメンバーを他の分類に交換することを必要とするであろう。
【0051】
置換型変異体の一つのタイプは、親抗体(例えば、ヒト化又はヒト抗体など)の一以上の高頻度可変領域残基の置換を含む。一般的には、更なる研究のために選択され得られた変異体は、親抗体と比較して、特定の生物学的特性の改変(例えば、改善)(例えば、親和性の増加、免疫原性を減少)を有し、及び/又は親抗体の特定の生物学的特性を実質的に保持しているであろう。典型的な置換型変異体は、親和性成熟抗体であり、例えば、本明細書に記載されるファージディスプレイに基づく親和性成熟技術を用いて、簡便に生成され得る。簡潔に言えば、一つ以上のHVR残基が変異し、変異体抗体は、ファージ上に表示され、特定の生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。
【0052】
変更(例えば、置換)は、例えば抗体の親和性を向上させるために、HVRで行うことができる。このような変更は、HVRの「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟過程中に高頻度で変異を受けるコドンにコードされた残基で(例えばChowdhury, Methods Mol. Biol. 207:179-196 (2008)を参照)、及び/又はSDR(a−CDR)で行うことができ、得られた変異体VH又はVLが結合親和性について試験される。二次ライブラリから構築し選択し直すことによる親和性成熟が、例えばHoogenboom et al. in Methods in Molecular Biology 178:1-37 (O'Brien et al., ed., Human Press, Totowa, NJ, (2001)に記載されている。親和性成熟の幾つかの実施態様において、多様性が、種々の方法(例えば、変異性PCR、鎖シャッフリング、又はオリゴヌクレオチド指定突然変異誘発)の何れかにより、成熟のために選択された可変遺伝子中に導入される。次いで、二次ライブラリーが作成される。次いで、ライブラリーは、所望の親和性を持つ抗体変異体を同定するためにスクリーニングされる。多様性を導入するするもう一つの方法は、いくつかのHVR残基(例えば、一度に4から6残基)がランダム化されたHVR指向のアプローチを伴う。抗原結合に関与するHVR残基は、例えばアラニンスキャニング突然変異誘発、又はモデリングを用いて、特異的に同定され得る。CDR−H3及びCDR−L3がしばしば標的にされる。
【0053】
所定の実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、そのような改変が抗原に結合する抗体の能力を実質的に低下させない限りにおいて、一以上のHVR内で発生する可能性がある。例えば、実質的に結合親和性を低下させない保存的改変(例えば本明細書で与えられる保存的置換)をHVR内で行うことができる。このような改変は、HVR「ホットスポット」又はSDRの外側であってもよい。上記に与えられた変異体VH又はVL配列の所定の実施態様において、各HVRは不変であるか、又はわずか1個、2個又は3個のアミノ酸置換が含まれているかの何れかである。
【0054】
突然変異誘発のために標的とすることができる抗体の残基又は領域を同定するための有用な方法は、Cunningham and Wells (1989) Science, 244:1081-1085により説明されるように、「アラニンスキャニング変異誘発」と呼ばれる。この方法では、標的残基の残基又はグループ(例えば、arg、asp、his、lys及びgluなどの荷電残基)が同定され、抗原と抗体との相互作用が影響を受けるかどうかを判断するために、中性又は負に荷電したアミノ酸(例えば、アラニン又はポリアラニン)に置換される。更なる置換が、最初の置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸の位置に導入され得る。代わりに、又は更に、抗原抗体複合体の結晶構造が、抗体と抗原との接触点を同定する。そのような接触残基及び隣接残基が、置換の候補として標的とされるか又は排除され得る。変異体はそれらが所望の特性を含むかどうかを決定するためにスクリーニングされ得る。
【0055】
アミノ酸配列挿入は、一残基から百以上の残基を含有するポリペプチド長にわたるアミノ及び/又はカルボキシル末端融合、並びに単一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。末端挿入の例としては、N末端メチオニン残基を有する抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入変異体は、酵素に対する抗体のN末端又はC末端への融合(例えばADEPTの場合)、又は抗体の血清半減期を増加させるポリペプチドへの融合を含む。
【0056】
グリコシル化変異体
所定の実施態様において、本明細書で提供される抗体は抗体がグリコシル化される程度を増加又は減少するように改変される。抗体へのグリコシル化部位の付加又は欠失は、一以上のグリコシル化部位が作成又は削除されるようにアミノ酸配列を変えることによって簡便に達成することができる。
【0057】
抗体がFc領域を含む場合には、それに付着する糖を変えることができる。哺乳動物細胞によって生成された天然型抗体は、典型的には、Fc領域のCH2ドメインのAsn297にN−結合により一般的に付着した分岐鎖、二分岐オリゴ糖を含んでいる(Wright et al. (1997) TIBTECH 15:26-32)。オリゴ糖は、様々な炭水化物、例えば、二分岐糖鎖構造の「幹」のGlcNAcに結合した、マンノース、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、シアル酸、並びにフコースを含み得る。幾つかの実施態様において、本発明の抗体におけるオリゴ糖の改変は一定の改善された特性を有する抗体変異型を作成するために行われ得る。
【0058】
一実施態様において、抗体変異体は、Fc領域に(直接又は間接的に)付着されたフコースを欠いた糖鎖構造を有して提供される。例えば、このような抗体のフコース量は、1%から80%、1%から65%、5%から65%、又は20%から40%であり得る。フコースの量は、例えば、国際公開第2008/077546号に記載されているように、MALDI−TOF質量分析法によって測定されるAsn297に付着しているすべての糖構造の合計(例えば、コンプレックス、ハイブリッド及び高マンノース構造)に対して、Asn297の糖鎖中のフコースの平均量を計算することによって決定される。Asn297は、Fc領域(Fc領域残基のEU番号付け)でおよそ297の位置に位置するアスパラギン残基を指し、しかし、Asn297もまた位置297の上流又は下流のおよそ±3アミノ酸に、すなわち抗体の軽微な配列変異に起因して、位置294と300の間に配置され得る。このようなフコシル化変異体はADCC機能を改善し得る(米国特許出願公開第2003/0157108号;米国特許出願公開第2004/0093621号)。「非フコシル化」又は「フコース欠損」抗体変異体に関連した出版物の例としては、米国特許出願公開第2003/0157108号、国際公開第2000/61739号、国際公開第2001/29246号、米国特許出願公開第2003/0115614号、米国特許出願公開第2002/0164328号、米国特許出願公開第2004/0093621号、米国特許出願公開第2004/0132140号、米国特許出願公開第2004/0110704号、米国特許出願公開第2004/0110282号、米国特許出願公開第2004/0109865号、国際公開第2003/085119号、国際公開第2003/084570号、国際公開第2005/035586号、国際公開第2005/035778号、国際公開第2005/053742号、国際公開第2002/031140号、Okazaki et al. J. Mol. Biol. 336:1239-1249 (2004); Yamane-Ohnuki et al. (2004) Biotech. Bioeng. 87:614が含まれる。非フコシル化抗体を産生する能力を有する細胞株の例としては、タンパク質フコシル化を欠損しているLec13 CHO細胞(Ripka et al. Arch. Biochem. Biophys. 249:533-545 (1986);米国特許出願公開第2003/0157108号, Presta, L;及び国際公開第2004/056312号, Adamsら、特に実施例11)、及びノックアウト細胞株、例えばアルファ−1、6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞(Yamane-Ohnuki et al (2004) Biotech. Bioeng. 87:614; Kanda, Y. et al. (2006) Biotechnol. Bioeng., 94(4):680-688;国際公開第2003/085107号)を含む。
【0059】
抗体変異体が、例えば、抗体のFc領域に結合した二分岐オリゴ糖がGlcNAcによって二分されている二分オリゴ糖とともに更に与えられる。このような抗体変異体はフコシル化を減少させ、及び/又はADCC機能を改善している可能性がある。そのような抗体変異体の例は、例えば、国際公開第2003/011878号(Jean−Mairettら);米国特許第6,602,684号(Umanaら);及び米国特許出願公開第2005/0123546号(Umanaら)に記載されている。Fc領域に結合したオリゴ糖内に少なくとも1つのガラクトース残基を持つ抗体変異体も提供される。このような抗体変異体はCDC機能を改善させた可能性がある。このような抗体変異体は記述されている(国際公開第1997/30087号;国際公開第1998/58964号;国際公開第1999/22764号)。
【0060】
Fc領域変異体
ある実施態様において、1つ又は複数のアミノ酸改変を、本明細書で提供される抗体のFc領域に導入することができ、それによってFc領域変異体を生成する。Fc領域の変異体は、1つ又は複数のアミノ酸位置においてアミノ酸修飾(例えば置換)を含むヒトFc領域の配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4のFc領域)を含んでもよい。
【0061】
ある実施態様において、本発明は、インビボにおける抗体の半減期が重要であるが、ある種のエフェクター機能(例えば補体およびADCCなど)が不要又は有害である用途のための望ましい候補とならしめる、全てではないが一部のエフェクター機能を有する抗体変異体を意図している。インビトロ及び/又はインビボでの細胞毒性アッセイを、CDC活性及び/又はADCC活性の減少/枯渇を確認するために行うことができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイは、抗体がFcγR結合を欠くが(それゆえ、おそらくADCC活性を欠く)、FcRn結合能力を保持していることを確認するために行うことができる。ADCC、NK細胞を媒介する初代細胞は、FcγRIIIのみを発現するが、単球はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血細胞におけるFcRの発現は、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol. 9:457-492 (1991)の464頁の表3に要約されている。目的の分子のADCC活性を評価するためのインビトロでのアッセイの非限定的な例が、米国特許第5500362号; Hellstrom, I. et al. (1986) Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 83:7059-7063); Hellstrom, I et al. (1985) Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 82:1499-1502; US 5821337; Bruggemann, M. et al. (1987) J. Exp. Med. 166:1351-1361)に記載されている。あるいは、非放射性アッセイ法を用いることができる(例えば、フローサイトメトリー用のACTI
TM非放射性細胞傷害性アッセイ (CellTechnology, Inc. Mountain View, CA;及びCytoTox96(登録商標)非放射性細胞毒性アッセイ(Promega, Madison, WI)。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。あるいは、又はさらに、目的の分子のADCC活性は、Clynes et al. (1998) Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 95:652-656に開示されるように、インビボで、例えば動物モデルにおいて評価することができるC1q結合アッセイはまた、抗体が体C1qを結合することができないこと、したがって、CDC活性を欠いていることを確認するために行うことができる。例えば、国際公開第2006/029879号及び国際公開第2005/100402号のC1qおよびC3c結合ELISAを参照。補体活性化を評価するために、CDCアッセイを行うことができる(Gazzano-Santoro et al. (1996), J. Immunol. Methods 202:163; Cragg, M.S. et al. (2003) Blood 101:1045-1052; Cragg, M.S. and M.J. Glennie, (2004) Blood 103:2738-2743))。FcRn結合、及びインビボでのクリアランス/半減期の測定はまた、当該分野で公知の方法を用いて行うことができる(Petkova, S.B. et al. (2006) Int'l. Immunol. 18(12):1759-1769)。
【0062】
エフェクター機能が減少した抗体は、Fc領域の残基238、265、269、270、297、327、及び329の一つ以上の置換を有するものが含まれる(米国特許第6737056号)。そのようなFc変異体は、残基265及び297のアラニンへの置換を有する、いわゆる「DANA」Fc変異体を含む、アミノ酸位置265、269、270、297及び327の二つ以上の置換を有するFc変異体を含む(米国特許第7332581号)。
【0063】
FcRへの結合を改善又は減少させた特定の抗体変異体が記載されている。(米国特許第6737056号;国際公開第2004/056312号; Shields et al. (2001) J. Biol. Chem. 9(2): 6591-6604)。
【0064】
所定の実施態様において、抗体変異体はADCCを改善する1つ又は複数のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の位置298、333、及び/又は334における置換(EUの残基番号付け)を含む。
【0065】
幾つかの実施態様において、改変された(すなわち改善されたか減少した)C1q結合及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)を生じる、Fc領域における改変がなされ、例えば、米国特許第6,194,551号、国際公開第99/51642号、及びIdusogie et al. (2000) J. Immunol. 164: 4178-4184に説明される。
【0066】
増加した半減期を持ち、胎仔への母性IgGの移送を担う、新生児Fc受容体(FcRn)への結合が改善された抗体(Guyer et al., J. Immunol. 117:587 (1976)及びKim et al., J. Immunol. 24:249 (1994))が、米国特許出願公開第2005/0014934A1号(Hintonら)に記載されている。これらの抗体は、FcRnへのFc領域の結合を改善する一つ又は複数の置換を有するFc領域を含む。このようなFc変異体は、Fc領域の残基:238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424又は434の一以上の置換、例えば、Fc領域の残基434の置換を有するものが含まれる(米国特許第7,371,826号)。Duncan & Winter, Nature 322:738-40 (1988);米国特許第5648260号;米国特許第5624821号;及び、Fc領域の変異体の他の例に関しては国際公開第94/29351号も参照のこと。
【0067】
システイン操作抗体変異体
ある実施態様において、抗体の1つ以上の残基がシステイン残基で置換されている、システイン操作抗体、例えば、「thioMAbs」を作成することが望まれ得る。特定の実施態様において、置換された残基は、抗体のアクセス可能な部位で起きる。それらの残基をシステインで置換することにより、反応性チオール基は、それによって抗体のアクセス可能な部位に配置され、本明細書中でさらに記載されるように、イムノコンジュゲーとの呼ばれる抗体−薬物コンジュゲート(ADC)を作成するために、例えば薬物部分又はリンカー−薬剤部分などの他の部分に抗体をコンジュゲートするために使用することができる。ある実施態様において、一以上の以下の残基がシステインで置換され得る:軽鎖のV205(Kabatの番号付け);重鎖のA118(EU番号付け);及び重鎖Fc領域のS400(EU番号付け)。システイン操作抗体は、例えば、米国特許第7521541号に記載のように生成され得る。
【0068】
抗体誘導体
ある実施態様において、本明細書で提供される抗体は、当技術分野で知られ、容易に入手される追加の非タンパク質部分を含むように更に改変することができる。抗体の誘導体化に適した部分としては、限定されないが、水溶性ポリマーを含む。水溶性ポリマーの非限定的な例は、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールの共重合体、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキソラン、エチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリアミノ酸(単独重合体又はランダム共重合体の何れか)及びデキストラン又はポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコール単独重合体、プロピレンオキシド/エチレンオキシド共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール(例えばグリセロール)、ポリビニルアルコール及びこれらの混合物を包含する。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドはその水中での安定性に起因して製造における利点を有し得る。ポリマーは何れかの分子量のものであってよく、そして分枝鎖又は未分枝鎖であってよい。抗体に結合するポリマーの数は変動してよく、そして、一以上の重合体が結合する場合は、それらは同じか又は異なる分子であることができる。一般的に、誘導体化に使用するポリマーの数及び/又は種類は、限定されないが、向上させるべき抗体の特定の特性又は機能、抗体誘導体が特定の条件下で治療に使用されるのか等を考慮しながら決定することができる。
【0069】
別の実施態様において、放射線への曝露によって選択的に加熱され得る抗体と非タンパク質部分とのコンジュゲートが提供される。一実施態様において、非タンパク質部分はカーボンナノチューブである(Kam et al. (2005) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102:11600-11605)。放射線は、任意の波長であって良いが、限定されないものの、通常の細胞に害を与えないが、抗体−非タンパク質部分の近位細胞が死滅される温度に非タンパク質部分を加熱する波長が含まれる。
【0070】
本明細書で使用される用語「超可変領域」又は「HVR」は、配列が超可変であるか、及び/又は構造的に定義されたループ(「超可変ループ」)を形成する抗体可変ドメインの各領域を指す。一般的に、天然型4鎖抗体は、VH(H1、H2、H3)に3つ、及びVL(L1、L2、L3)に3つの6つのHVRを含む。HVRは、一般的に超可変ループ由来及び/又は「相補性決定領域」(CDR)由来のアミノ酸残基を含み、後者は、最高の配列可変性であり、及び/又は抗原認識に関与している。典型的な超可変ループはアミノ酸残基26−32(L1)、50−52(L2)、91−96(L3)、26−32(H1)、53−55(H2)、及び96−101(H3)で生じる(Chothia and Lesk, (1987) J. Mol. Biol. 196:901-917)。典型的なCDR(CDR−L1、CDR−L2、CDR−L3、CDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3)は、アミノ酸残基L1の24−34、L2の50−56、L3の89−97、H1の31−35B、H2の50−65、及びH3の95−102に生じる(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991))。VHのCDR1の例外を除いて、CDRは一般的に超可変ループを形成するアミノ酸残基を含む。CDRは、抗原に接触する残基である「特異性決定残基」又は「SDR」を含む。SDRは、略称(abbreviated−)CDR、又はa−CDRと呼ばれる、CDRの領域内に含まれている。典型的なa−CDR(a−CDR−L1、a−CDR−L2、a−CDR−L3、a−CDR−H1、a−CDR−H2、及びa−CDR−H3)は、アミノ酸残基L1の31−34、L2の50−55、L3の89−96、H1の31−35B、H2の50−58、及びH3の95−102に生じる(Almagro and Fransson, (2008) Front. Biosci. 13:1619-1633)。特に断らない限り、可変ドメイン内のHVR残基及び他の残基(例えば、FR残基)は、上掲のKabatらに従い、本明細書において番号が付けられる。
【0071】
「単離された」抗体は、その自然環境の成分から分離されたものである。幾つかの実施態様において、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS−PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)又はクロマトグラフィー(例えば、イオン交換又は逆相HPLC)により決定されるように、95%以上又は99%の純度に精製される。抗体純度の評価法の総説としては、例えば Flatman et al. (2007) J. Chromatogr. B 848:79-87を参照のこと。
【0072】
本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」とは、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を意味し、すなわち、例えば、天然に生じる変異を含み、又はモノクローナル抗体製剤の製造時に発生し、一般的に少量で存在している変異体などの、可能性のある変異体抗体を除き、集団を構成する個々の抗体は同一であり、及び/又は同じエピトープに結合する。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を一般的に含む、ポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。従って、修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするものとして解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、限定されないが、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含むトランスジェニック動物を利用する方法を含む様々な技術によって作成され、モノクローナル抗体を作製するためのそのような方法及び他の例示的な方法は、本明細書に記載されている。
【0073】
「ネイキッド抗体」とは、異種の部分(例えば、細胞傷害性部分)又は放射性標識にコンジュゲートしていない抗体を指す。ネイキッド抗体は薬学的製剤中に存在してもよい。
【0074】
「天然型抗体」は、天然に生じる様々な構造をとる免疫グロブリン分子を指す。例えば、天然型IgG抗体は、ジスルフィド結合している2つの同一の軽鎖と2つの同一の重鎖から成る約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端に、各重鎖は、可変重鎖ドメイン又は重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)を有し、3つの定常ドメイン(CH1、CH2およびCH3)が続く。同様に、N末端からC末端に、各軽鎖は、可変軽鎖ドメイン又は軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)を有し、定常軽鎖(CL)ドメインが続く。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)とラムダ(λ)と呼ばれる、2つのタイプのいずれかに割り当てることができる。
【0075】
参照ポリペプチド配列に関する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば間隙を導入した後、如何なる保存的置換も配列同一性の一部と考えないとした、参照ポリペプチドのアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当業者の技量の範囲にある種々の方法、例えばBLAST、BLAST−2、ALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアのような公に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用することにより達成可能である。当業者であれば、比較される配列の完全長に対して最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列をアラインするための適切なパラメータを決定することができる。しかし、ここでの目的のためには、%アミノ酸配列同一性の値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN−2を使用することによって生成される。ALIGN−2配列比較コンピュータプログラムはジェネンテック社によって作製され、ソースコードは米国著作権庁、ワシントンD.C.,20559に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登録番号TXU510087の下で登録されている。ALIGN−2もまた、ジェネンテック社、サウスサンフランシスコ、カリフォルニアから公的に入手可能であり、又はそのソースコードからコンパイルすることができる。ALIGN−2プログラムは、デジタルUNIXのV4.0Dを含む、UNIXオペレーティングシステム上での使用のためにコンパイルされるべきである。全ての配列比較パラメータは、ALIGN−2プログラムによって設定され変動しない。
【0076】
アミノ酸配列比較にALIGN−2が用いられる状況では、与えられたアミノ酸配列Aの、与えられたアミノ酸配列Bとの、又はそれに対する%アミノ酸配列同一性(或いは、与えられたアミノ酸配列Bと、又はそれに対して所定の%アミノ酸配列同一性を持つ又は含む与えられたアミノ酸配列Aと言うこともできる)は次のように計算される:分率X/Yの100倍、ここで、Xは配列アラインメントプログラムALIGN−2により、AとBのそのプログラムのアラインメントにおいて同一と一致したスコアのアミノ酸残基の数であり、YはBの全アミノ酸残基数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと異なる場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性とは異なることは理解されるであろう。特に断らない限り、本明細書で使用されるすべての%アミノ酸配列同一性値が、ALIGN−2コンピュータプログラムを使用し、直前の段落で説明したように得られる。
【0077】
用語「可変領域」又は「可変ドメイン」は、抗体の抗原への結合に関与する抗体の重鎖又は軽鎖のドメインを指す。天然型抗体の可変重鎖ドメイン及び軽鎖(それぞれVHおよびVL)は、4つの保存されたフレームワーク領域(FR)と3つの超可変領域(HVR)を含む各ドメインを持ち、一般的に似たような構造を有する。例えば、Kindtら、Kuby Immunology,第6版, W.H. Freeman and Co.,頁91 (2007)。単一のVH又はVLドメインは、抗原結合特異性を付与するのに十分であり得る。更に更に、特定の抗原に結合する抗体は、相補的なVL又はVHドメインのそれぞれのライブラリーをスクリーニングするために、抗原に特異的に結合する抗体由来のVH又はVLドメインを用いて単離することができる(Portolano et al. (1993) J. Immunol. 150:880-887; Clarkson et al. (1991) Nature 352:624-628)。
【0078】
「腫瘍関連抗原」(TAA)は当該技術分野で知られており、当該技術分野で良く知られる方法及び情報を使用して、ヒト又はヒト化抗体の生成に使用のために調製することができる。癌の診断及び治療のための効果的な細胞標的を発見する試みにおいて、研究者は、一以上の正常な非癌性細胞上と比較して、一又は複数の特定の型の癌細胞の表面上に発現される膜貫通ペプチド又はそうでなければ腫瘍関連ペプチドを特定しようとしてきた。しばしば、このような腫瘍関連ポリペプチドは、非癌細胞の表面上と比較して癌細胞の表面でより豊富に発現される。このような腫瘍関連細胞の表面抗原ポリペプチドの同定は、抗体ベースの治療を介した破壊のために癌細胞を特異的に標的とする能力を生みだしている。
【0079】
TAAの例としては、限定されないが、以下に一覧されるTAA(1)−(36)が挙げられる。便宜のために、これらの抗原に関連する情報は、その全てが当技術分野で知られており、以下に一覧され、全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)の核酸とタンパク質配列同定規則に従う名称、別称、Genbank受託番号及び主要な参考文献(複数可)を含む。TAA(1)−(36)に対応する核酸及びタンパク質の配列は、GenBankなどの公共データベースで利用可能である。抗体によって標的化される腫瘍関連抗原は、引用した参考文献に同定される配列に対する配列同一性が少なくとも約70%、80%、85%、90%、又は95%を有するか、あるいは引用した参考文献に見出される配列を有するTAAと同一の生物学的特性又は特徴を実質的に示す全てのアミノ酸配列変異体及びアイソフォームを含む。例えば、変異体配列を有するTAAは、一般的に、一覧されている対応する配列を持つTAAに特異的に結合する抗体に特異的に結合することができる。本明細書に具体的に列挙される参考文献における配列及び開示は、参照により明確に援用される。
【0080】
腫瘍関連抗原(1)−(36):
(1)BMPR1B(骨形成タンパク質レセプターIB型,Genbank受託番号NM_001203)ten Dijke,P., et al Science 264 (5155):101-104 (1994), Oncogene 14 (11):1377-1382 (1997));国際公開第2004/063362号(請求項2);国際公開第2003/042661号(請求項12);米国特許出願公開第2003/134790−A1号(頁38−39);国際公開第2002/102235号(請求項13;頁296);国際公開第2003/055443号(頁91−92);国際公開第2002/99122号(実施例2;頁528−530);国際公開第2003/029421号(請求項6);国際公開第2003/024392号(請求項2;
図112);国際公開第2002/98358号(請求項1;頁183);国際公開第2002/54940号(頁100−101);国際公開第2002/59377号(頁349−350);国際公開第2002/30268号(請求項27;頁376);国際公開第2001/48204号(実施例;
図4);NP_001194骨形成タンパク質レセプター,タイプIB/pid=NP_001194.1.相互参照:MIM:603248;NP_001194.1;AY065994
【0081】
(2)E16(LAT1,SLC7A5,Genbank受託番号NM_003486)Biochem. Biophys. Res. Commun. 255 (2), 283-288 (1999), Nature 395 (6699):288-291 (1998), Gaugitsch, H.W., et al (1992) J. Biol. Chem. 267 (16):11267-11273);国際公開第2004/048938号(実施例2);国際公開第2004/032842号(実施例IV);国際公開第2003/042661号(請求項12);国際公開第2003/016475号(請求項1);国際公開第2002/78524号(実施例2);国際公開第2002/99074号(請求項19;頁127−129);国際公開第2002/86443号(請求項27;頁222,393);国際公開第2003/003906号(請求項10;頁293);国際公開第2002/64798号(請求項33;頁93−95);国際公開第2000/14228号(請求項5;頁133−136);米国特許出願公開第2003/224454号(
図3);国際公開第2003/025138号(請求項12;頁150);NP_003477溶質担体ファミリー7(カチオン性アミノ酸輸送体,y+システム),メンバー5/pid=NP_003477.3−ホモサピエンス;相互参照:MIM:600182;NP_003477.3;NM_015923;NM_003486_1
【0082】
(3)STEAP1(前立腺の6回膜貫通型上皮抗原,Genbank受託番号NM_012449);Cancer Res. 61 (15), 5857-5860 (2001), Hubert, R.S., et al (1999) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 96 (25):14523-14528);国際公開第2004/065577号(請求項6);国際公開第2004/027049号(
図1L);欧州特許第1394274号(実施例11);国際公開第2004/016225号(請求項2);国際公開第2003/042661号(請求項12);米国特許出願公開第2003/157089号(実施例5);米国特許出願公開第2003/185830号(実施例5);米国特許出願公開第2003/064397号(
図2);国際公開第2002/89747号(実施例5;頁618−619);国際公開第2003/022995号(実施例9;
図13A,実施例53;頁173,実施例2;
図2A);NP_036581前立腺の6回膜貫通型上皮抗原相互参照:MIM:604415;NP_036581.1;NM_012449_1
【0083】
(4)0772P(CA125,MUC16,Genbank受託番号AF361486);J. Biol. Chem. 276 (29):27371-27375 (2001));国際公開第2004/045553号(請求項14);国際公開第2002/92836号(請求項6;
図12);国際公開第2002/83866号(請求項15;頁116−121);米国特許出願公開第2003/124140号(実施例16);相互参照:GI:34501467;AAK74120.3;AF361486_1
【0084】
(5)MPF(MPF,MSLN,SMR,巨核球増強因子、メソテリン,Genbank受託番号NM_005823)Yamaguchi, N., et al Biol. Chem. 269 (2), 805-808 (1994), Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 96 (20):11531-11536 (1999), Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 93 (1):136-140 (1996), J. Biol. Chem. 270 (37):21984-21990 (1995));国際公開第2003/101283号(請求項14);(国際公開第2002/102235号(請求項13;頁287−288);国際公開第2002/101075号(請求項4;頁308−309);国際公開第2002/71928号(頁320−321);国際公開第9410312号(頁52−57);相互参照:MIM:601051;NP_005814.2;NM_005823_1
【0085】
(6)Napi3b(NAPI−3B,NPTIIb,SLC34A2,溶質輸送体ファミリー34(リン酸ナトリウム),メンバー2,II型ナトリウム依存性リン酸トランスポーター3b,Genbank受託番号NM_006424)J. Biol. Chem. 277 (22):19665-19672 (2002), Genomics 62 (2):281-284 (1999), Feild, J.A., et al (1999) Biochem. Biophys. Res. Commun. 258 (3):578-582);国際公開第2004/022778号(請求項2);欧州特許第1394274号(実施例11);国際公開第2002/102235号(請求項13;頁326);欧州特許第0875569号(請求項1;頁17−19);国際公開第2001/57188号(請求項20;頁329);国際公開第2004/032842号(実施例IV);国際公開第2001/75177号(請求項24;頁139−140);相互参照:MIM:604217;NP_006415.1;NM_006424_1
【0086】
(7)Sema5b(FLJ10372,KIAA1445,Mm.42015,SEMA5B,SEMAG,セマフォリン 5b Hlog,セマドメイン(sema domain),7回トロンボスポンジン反復(1型及び1型様),膜貫通ドメイン(TM)及び短い細胞質ドメイン(セマフォリン)5B,Genbank受託番号AB040878);Nagase T., et al (2000) DNA Res. 7 (2):143-150);国際公開第2004/000997号(請求項1);国際公開第2003/003984号(請求項1);国際公開第2002/06339号(請求項1;頁50);国際公開第2001/88133号(請求項1;頁41−43,48−58);国際公開第2003/054152号(請求項20);国際公開第2003/101400号(請求項11);受託番号:Q9P283;EMBL;AB040878;BAA95969.1.Genew;HGNC:10737
【0087】
(8)PSCA hlg(2700050C12Rik,C530008O16Rik,RIKEN cDNA 2700050C12,RIKEN cDNA 2700050C12遺伝子,Genbank受託番号AY358628);Ross et al (2002) Cancer Res. 62:2546-2553;米国特許出願公開第2003/129192号(請求項2);米国特許出願公開第2004/044180号(請求項12);米国特許出願公開第2004/044179号(請求項11);米国特許出願公開第2003/096961号(請求項11);米国特許出願公開第2003/232056号(実施例5);国際公開第2003/105758号(請求項12);米国特許出願公開第2003/206918号(実施例5);欧州特許第1347046号(請求項1);国際公開第2003/025148号(請求項20);相互参照:GI:37182378;AAQ88991.1;AY358628_1
【0088】
(9)ETBR(エンドセリンタイプBレセプター,Genbank受託番号AY275463);Nakamuta M., et al Biochem. Biophys. Res. Commun. 177, 34-39, 1991; Ogawa Y., et al Biochem. Biophys. Res. Commun. 178, 248-255, 1991; Arai H., et al Jpn. Circ. J. 56, 1303-1307, 1992; Arai H., et al J. Biol. Chem. 268, 3463-3470, 1993; Sakamoto A., Yanagisawa M., et al Biochem. Biophys. Res. Commun. 178, 656-663, 1991; Elshourbagy N.A., et al J. Biol. Chem. 268, 3873-3879, 1993; Haendler B., et al J. Cardiovasc. Pharmacol. 20, s1-S4, 1992; Tsutsumi M., et al Gene 228, 43-49, 1999; Strausberg R.L., et al Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 99, 16899-16903, 2002; Bourgeois C., et al J. Clin. Endocrinol. Metab. 82, 3116-3123, 1997; Okamoto Y., et al Biol. Chem. 272, 21589-21596, 1997; Verheij J.B., et al Am. J. Med. Genet. 108, 223-225, 2002; Hofstra R.M.W., et al Eur. J. Hum. Genet. 5, 180-185, 1997; Puffenberger E.G., et al Cell 79, 1257-1266, 1994; Attie T., et al, Hum. Mol. Genet. 4, 2407-2409, 1995; Auricchio A., et al Hum. Mol. Genet. 5:351-354, 1996; Amiel J., et al Hum. Mol. Genet. 5, 355-357, 1996; Hofstra R.M.W., et al Nat. Genet. 12, 445-447, 1996; Svensson P.J., et al Hum. Genet. 103, 145-148, 1998; Fuchs S., et al Mol. Med. 7, 115-124, 2001; Pingault V., et al (2002) Hum. Genet. 111, 198-206;国際公開第2004/045516号(請求項1);国際公開第2004/048938号(実施例2);国際公開第2004/040000号(請求項151);国際公開第2003/087768号(請求項1);国際公開第2003/016475号(請求項1);国際公開第2003/016475号(請求項1);国際公開第2002/61087号(
図1);国際公開第2003/016494号(
図6);国際公開第2003/025138号(請求項12;頁144);国際公開第2001/98351号(請求項1;頁124−125);欧州特許第0522868号(請求項8;
図2);国際公開第2001/77172号(請求項1;頁297−299);米国特許出願公開第2003/109676号;米国特許第6518404号(
図3);米国特許第5773223号(請求項1a;Col 31−34);国際公開第2004/001004号
【0089】
(10)MSG783(RNF124,推定タンパク質FLJ20315,Genbank受託番号NM_017763);国際公開第2003/104275号(請求項1);国際公開第2004/046342号(実施例2);国際公開第2003/042661号(請求項12);国際公開第2003/083074号(請求項14;頁61);国際公開第2003/018621号(請求項1);国際公開第2003/024392号(請求項2;
図93);国際公開第2001/66689号(実施例6);相互参照:遺伝子座番号:54894;NP_060233.2;NM_017763_1
【0090】
(11)STEAP2(HGNC_8639,IPCA−1,PCANAP1,STAMP1,STEAP2,STMP,前立腺癌関連遺伝子1,前立腺癌関連タンパク質1,前立腺の6回膜貫通型上皮抗原2,6回膜貫通型前立腺タンパク質,Genbank受託番号AF455138)Lab. Invest. 82 (11):1573-1582 (2002));国際公開第2003/087306号;米国特許出願公開第2003/064397号(請求項1;
図1);国際公開第2002/72596号(請求項13;頁54−55);国際公開第2001/72962号(請求項1;
図4B);国際公開第2003/104270号(請求項11);国際公開第2003/104270号(請求項16);米国特許出願公開第2004/005598号(請求項22);国際公開第2003/042661号(請求項12);米国特許出願公開第2003/060612号(請求項12;
図10);国際公開第2002/26822号(請求項23;
図2);国際公開第2002/16429号(請求項12;
図10);相互参照:GI:22655488;AAN04080.1;AF455138_1
【0091】
(12)TrpM4(BR22450,FLJ20041,TRPM4,TRPM4B,一過性レセプター電位カチオンチャネル,サブファミリーM,メンバー4,Genbank受託番号NM_017636)Xu, X.Z., et al Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 98 (19):10692-10697 (2001), Cell 109 (3):397-407 (2002), J. Biol. Chem. 278 (33):30813-30820 (2003));米国特許出願公開第2003/143557号(請求項4);国際公開第2000/40614号(請求項14;頁100−103);国際公開第2002/10382号(請求項1;
図9A);国際公開第2003/042661号(請求項12);国際公開第2002/30268号(請求項27;頁391);米国特許出願公開第2003/219806号(請求項4);国際公開第2001/62794号(請求項14;
図1A−D);相互参照:MIM:606936;NP_060106.2;NM_017636_1
【0092】
(13)CRIPTO(CR,CR1,CRGF,CRIPTO,TDGF1,奇形癌腫由来増殖因子,Genbank受託番号NP_003203又はNM_003212)Ciccodicola, A., et al EMBO J. 8 (7):1987-1991 (1989), Am. J. Hum. Genet. 49 (3):555-565 (1991));米国特許出願公開第2003/224411号(請求項1);国際公開第2003/083041号(実施例1);国際公開第2003/034984号(請求項12);国際公開第2002/88170号(請求項2;頁52−53);国際公開第2003/024392号(請求項2;
図58);国際公開第2002/16413号(請求項1;頁94−95,105);国際公開第2002/22808号(請求項2;
図1);米国特許第5854399号(実施例2;Col 17−18);米国特許第5792616号(
図2);相互参照:MIM:187395;NP_003203.1;NM_003212_1
【0093】
(14)CD21(CR2(補体レセプター2)又はC3DR(C3d/エプスタインバーウイルスレセプター)又はHs.73792 Genbank受託番号M26004)Fujisaku et al (1989) J. Biol. Chem. 264 (4):2118-2125); Weis J.J., et al J. Exp. Med. 167, 1047-1066, 1988; Moore M., et al Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 84, 9194-9198, 1987; Barel M., et al Mol. Immunol. 35, 1025-1031, 1998; Weis J.J., et al Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 83, 5639-5643, 1986; Sinha S.K., et al (1993) J. Immunol. 150, 5311-5320;国際公開第2004/045520号(実施例4);米国特許出願公開第2004/005538号(実施例1);国際公開第2003/062401号(請求項9);国際公開第2004/045520号(実施例4);国際公開第9102536号(
図9.1−9.9);国際公開第2004/020595号(請求項1);受託番号:P20023;Q13866;Q14212;EMBL;M26004;AAA35786.1.
【0094】
(15)CD79b(CD79B,CD79β,IGb(免疫グロブリン関連β(immunoglobulin-associated beta)),B29,Genbank受託番号NM_000626又は11038674);Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. (2003) 100 (7):4126-4131, Blood (2002) 100 (9):3068-3076, Muller et al (1992) Eur. J. Immunol. 22 (6):1621-1625);国際公開第2004/016225号(請求項2,
図140);国際公開第2003/087768号,米国特許出願公開第2004/101874号(請求項1,頁102);国際公開第2003/062401号(請求項9);国際公開第2002/78524号(実施例2);米国特許出願公開第2002/150573号(請求項5,頁15);米国特許第5644033号;国際公開第2003/048202号(請求項1,頁306及び309);国際公開第99/558658号,米国特許第6534482号(請求項13,
図17A/B);国際公開第2000/55351号(請求項11,頁1145−1146);相互参照:MIM:147245;NP_000617.1;NM_000626_1
【0095】
(16)FcRH2(IFGP4,IRTA4,SPAP1A(SH2ドメイン含有ホスファターゼアンカータンパク質1a),SPAP1B,SPAP1C,Genbank受託番号NM_030764,AY358130);Genome Res. 13 (10):2265-2270 (2003), Immunogenetics 54 (2):87-95 (2002), Blood 99 (8):2662-2669 (2002), Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 98 (17):9772-9777 (2001), Xu, M.J., et al (2001) Biochem. Biophys. Res. Commun. 280 (3):768-775;国際公開第2004016225号(請求項2);国際公開第2003077836;国際公開第2001/38490号(請求項5;
図18D−1−18D−2);国際公開第2003/097803号(請求項12);国際公開第2003/089624号(請求項25);相互参照:MIM:606509;NP_110391.2;NM_030764_1
【0096】
(17)HER2(ErbB2,Genbank受託番号M11730);Coussens L., et al Science (1985) 230(4730):1132-1139); Yamamoto T., et al Nature 319, 230-234, 1986; Semba K., et al Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 82, 6497-6501, 1985; Swiercz J.M., et al J. Cell Biol. 165, 869-880, 2004; Kuhns J.J., et al J. Biol. Chem. 274, 36422-36427, 1999; Cho H.-S., et al Nature 421, 756-760, 2003; Ehsani A., et al (1993) Genomics 15, 426-429;国際公開第2004/048938号(実施例2);国際公開第2004/027049号(
図1I);国際公開第2004/009622;国際公開第2003/081210;国際公開第2003/089904号(請求項9);国際公開第2003/016475号(請求項1);米国特許出願公開第2003/118592号;国際公開第2003/008537号(請求項1);国際公開第2003/055439号(請求項29;
図1A−B);国際公開第2003/025228号(請求項37;
図5C);国際公開第2002/22636号(実施例13;頁95−107);国際公開第2002/12341号(請求項68;
図7);国際公開第2002/13847号(頁71−74);国際公開第2002/14503号(頁114−117);国際公開第2001/53463号(請求項2;頁41−46);国際公開第2001/41787号(頁15);国際公開第2000/44899号(請求項52;
図7);国際公開第2000/20579号(請求項3;
図2);米国特許第5869445号(請求項3;Col 31−38);国際公開第9630514号(請求項2;頁56−61);欧州特許第1439393号(請求項7);国際公開第2004/043361号(請求項7);国際公開第2004/022709号;国際公開第2001/00244号(実施例3;
図4);受託番号:P04626;EMBL;M11767;AAA35808.1.EMBL;M11761;AAA35808.1
【0097】
(18)NCA(CEACAM6,Genbank受託番号M18728);Barnett T., et al Genomics 3, 59-66, 1988; Tawaragi Y., et al Biochem. Biophys. Res. Commun. 150, 89-96, 1988; Strausberg R.L., et al Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 99:16899-16903, 2002;国際公開第2004/063709;欧州特許第1439393号(請求項7);国際公開第2004/044178号(実施例4);国際公開第2004/031238号;国際公開第2003/042661号(請求項12);国際公開第2002/78524号(実施例2);国際公開第2002/86443号(請求項27;頁427);国際公開第2002/60317号(請求項2);受託番号:P40199;Q14920;EMBL;M29541;AAA59915.1.EMBL;M18728
【0098】
(19)MDP(DPEP1,Genbank受託番号BC017023);Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 99 (26):16899-16903 (2002));国際公開第2003/016475号(請求項1);国際公開第2002/64798号(請求項33;頁85−87);特公平5−003790号公報(
図6−8);国際公開第9946284号(
図9);相互参照:MIM:179780;AAH17023.1;BC017023_1
【0099】
(20)IL20Rα(IL20Rα,ZCYTOR7,Genbank受託番号AF184971);Clark H.F., et al Genome Res. 13, 2265-2270, 2003; Mungall A.J., et al Nature 425, 805-811, 2003; Blumberg H., et al Cell 104, 9-19, 2001; Dumoutier L., et al J. Immunol. 167, 3545-3549, 2001; Parrish-Novak J., et al J. Biol. Chem. 277, 47517-47523, 2002; Pletnev S., et al (2003) Biochemistry 42:12617-12624; Sheikh F., et al (2004) J. Immunol. 172, 2006-2010;欧州特許第1394274号(実施例11);米国特許出願公開第2004/005320号(実施例5);国際公開第2003/029262号(頁74−75);国際公開第2003/002717号(請求項2;頁63);国際公開第2002/22153号(頁45−47);米国特許出願公開第2002/042366号(頁20−21);国際公開第2001/46261号(頁57−59);国際公開第2001/46232号(頁63−65);国際公開第98/37193号(請求項1;頁55−59);受託番号:Q9UHF4;Q6UWA9;Q96SH8;EMBL;AF184971;AAF01320.1.
【0100】
(21)ブレビカン(BCAN,BEHAB,Genbank受託番号AF229053);Gary S.C., et al Gene 256, 139-147, 2000; Clark H.F., et al Genome Res. 13, 2265-2270, 2003; Strausberg R.L., et al Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 99, 16899-16903, 2002;米国特許出願公開第2003/186372号(請求項11);米国特許出願公開第2003/186373号(請求項11);米国特許出願公開第2003/119131号(請求項1;
図52);米国特許出願公開第2003/119122号(請求項1;
図52);米国特許出願公開第2003/119126号(請求項1);米国特許出願公開第2003/119121号(請求項1;
図52);米国特許出願公開第2003/119129号(請求項1);米国特許出願公開第2003/119130号(請求項1);米国特許出願公開第2003/119128号(請求項1;
図52);米国特許出願公開第2003/119125号(請求項1);国際公開第2003/016475号(請求項1);国際公開第2002/02634号(請求項1)
【0101】
(22)EphB2R(DRT,ERK,Hek5,EPHT3,Tyro5,Genbank受託番号NM_004442);Chan,J. and Watt, V.M., Oncogene 6 (6), 1057-1061 (1991) Oncogene 10 (5):897-905 (1995), Annu. Rev. Neurosci. 21:309-345 (1998), Int. Rev. Cytol. 196:177-244 (2000));国際公開第2003/042661号(請求項12);国際公開第2000/53216号(請求項1;頁41);国際公開第2004/065576号(請求項1);国際公開第2004/020583号(請求項9);国際公開第2003/004529号(頁128−132);国際公開第2000/53216号(請求項1;頁42);相互参照:MIM:600997;NP_004433.2;NM_004442_1
【0102】
(23)ASLG659(B7h,Genbank受託番号AX092328);米国特許出願公開第2004/0101899号(請求項2);国際公開第2003/104399号(請求項11);国際公開第2004/000221号(
図3);米国特許出願公開第2003/165504号(請求項1);米国特許出願公開第2003/124140号(実施例2);米国特許出願公開第2003/065143号(
図60);国際公開第2002/102235号(請求項13;頁299);米国特許出願公開第2003/091580号(実施例2);国際公開第2002/10187号(請求項6;
図10);国際公開第2001/94641号(請求項12;
図7b);国際公開第2002/02624号(請求項13;
図1A−1B);米国特許出願公開第2002/034749号(請求項54;頁45−46);国際公開第2002/06317号(実施例2;頁320−321,請求項34;頁321−322);国際公開第2002/71928号(頁468−469);国際公開第2002/02587号(実施例1;
図1);国際公開第2001/40269号(実施例3;頁190−192);国際公開第2000/36107号(実施例2;頁205−207);国際公開第2004/053079号(請求項12);国際公開第2003/004989号(請求項1);国際公開第2002/71928号(頁233−234,452−453);国際公開第01/16318号
【0103】
(24)PSCA(前立腺幹細胞抗原前駆体,Genbank受託番号AJ297436);Reiter R.E., et al Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 95, 1735-1740, 1998; Gu Z., et al Oncogene 19, 1288-1296, 2000; Biochem. Biophys. Res. Commun. (2000) 275(3):783-788;国際公開第2004/022709号;欧州特許第1394274号(実施例11);米国特許出願公開第2004/018553号(請求項17);国際公開第2003/008537号(請求項1);国際公開第2002/81646号(請求項1;頁164);国際公開第2003/003906号(請求項10;頁288);国際公開第2001/40309号(実施例1;
図17);米国特許出願公開第2001/055751号(実施例1;
図1b);国際公開第2000/32752号(請求項18;
図1);国際公開第98/51805号(請求項17;頁97);国際公開第98/51824号(請求項10;頁94);国際公開第98/40403号(請求項2;
図1B);受託番号:O43653;EMBL;AF043498;AAC39607.1
【0104】
(25)GEDA(Genbank受託番号AY260763);AAP14954脂肪腫HMGIC融合パートナー様タンパク質(fusion−partner−like protein)/pid=AAP14954.1−ホモ・サピエンス種:ホモサピエンス(ヒト);国際公開第2003/054152号(請求項20);国際公開第2003/000842号(請求項1);国際公開第2003/023013号(実施例3,請求項20);米国特許出願公開第2003/194704号(請求項45);相互参照:GI:30102449;AAP14954.1;AY260763_1
【0105】
(26)BAFF−R(B細胞活性化因子レセプター,BLySレセプター3,BR3,Genbank受託番号AF116456);BAFFレセプター/pid=NP_443177.1−ホモサピエンス Thompson, J.S., et al Science 293 (5537), 2108-2111 (2001);国際公開第2004/058309号;国際公開第2004/011611;国際公開第2003/045422号(実施例;頁32−33);国際公開第2003/014294号(請求項35;
図6B);国際公開第2003/035846号(請求項70;頁615−616);国際公開第2002/94852号(Col 136−137);国際公開第2002/38766号(請求項3;頁133);国際公開第2002/24909号(実施例3;
図3);相互参照:MIM:606269;NP_443177.1;NM_052945_1;AF132600
【0106】
(27)CD22(B細胞レセプターCD22−Bアイソフォーム,BL−CAM,Lyb−8,Lyb8,SIGLEC−2,FLJ22814,Genbank受託番号AK026467);Wilson et al (1991) J. Exp. Med. 173:137-146;国際公開第2003/072036号(請求項1;
図1);相互参照:MIM:107266;NP_001762.1;NM_001771_1
【0107】
(28)CD79a(CD79A,CD79α,免疫グロブリン関連α(immunoglobulin-associated alpha),免疫グロブリンベータ(CD79B)と共有結合性に相互作用し、IgM分子と表面上で複合体を形成し、B細胞分化に関与するシグナルを伝達するB細胞特異的タンパク質),等電点:4.84,分子量:25028 TM:2[P]遺伝子染色体:19q13.2,Genbank受託番号NP_001774.10);国際公開第2003/088808号,米国特許出願公開第2003/0228319号;国際公開第2003/062401号(請求項9);米国特許出願公開第2002/150573号(請求項4,頁13−14);国際公開第99/58658号(請求項13,
図16);国際公開第92/07574号(
図1);米国特許第5644033号;Ha et al (1992) J. Immunol. 148(5):1526-1531; Mueller et al (1992) Eur. J. Immunol. 22:1621-1625; Hashimoto et al (1994) Immunogenetics 40(4):287-295; Preud'homme et al (1992) Clin. Exp. Immunol. 90(1):141-146; Yu et al (1992) J. Immunol. 148(2) 633-637; Sakaguchi et al (1988) EMBO J. 7(11):3457-3464
【0108】
(29)CXCR5(バーキットリンパ腫レセプター1は、CXCL13ケモカインによって活性化され、リンパ球遊走及び体液性防御において機能し、HIV−2感染、おそらくエイズ、リンパ腫、骨髄腫、及び白血病の発症において役割を果たす、Gタンパク質共役型受容体);372アミノ酸,等電点:8.54 分子量:41959 TM:7[P]遺伝子染色体:11q23.3,Genbank受託番号NP_001707.1);国際公開第2004/040000号;国際公開第2004/015426号;米国特許出願公開第2003/105292号(実施例2);米国特許第6555339号(実施例2);国際公開第2002/61087号(
図1);国際公開第2001/57188号(請求項20,頁269);国際公開第2001/72830号(頁12−13);国際公開第2000/22129号(実施例1,頁152−153,実施例2,頁254−256);国際公開第99/28468号(請求項1,頁38);米国特許第5440021号(実施例2,col
49−52);国際公開第94/28931号(頁56−58);国際公開第92/17497号(請求項7,
図5);Dobner et al (1992) Eur. J. Immunol. 22:2795-2799; Barella et al (1995) Biochem. J. 309:773-779
【0109】
(30)HLA−DOB(ペプチドを結合しそれらをCD4+Tリンパ球に提示するMHCクラスII分子(Ia抗原)のβサブユニット);273アミノ酸,等電点:6.56、分子量:30820.TM:1[P]遺伝子染色体:6p21.3,Genbank受託番号NP_002111.1);Tonnelle et al (1985) EMBO J. 4(11):2839-2847; Jonsson et al (1989) Immunogenetics 29(6):411-413; Beck et al (1992) J. Mol. Biol. 228:433-441; Strausberg et al (2002) Proc. Natl. Acad. Sci USA 99:16899-16903; Servenius et al (1987) J. Biol. Chem. 262:8759-8766; Beck et al (1996) J. Mol. Biol. 255:1-13; Naruse et al (2002) Tissue Antigens 59:512-519;国際公開第99/58658号(請求項13,
図15);米国特許第6153408号(Col 35−38);米国特許第5976551号(col 168−170);米国特許第6011146号(col 145−146);Kasahara et al (1989) Immunogenetics 30(1):66-68; Larhammar et al (1985) J. Biol. Chem. 260(26):14111-14119
【0110】
(31)P2X5(プリンレセプターP2Xリガンド開口型イオンチャネル5は、細胞外ATPにより開閉されるイオンチャネルであり、シナプス伝達及び神経発生に関与する可能性があり、欠乏は、特発性排尿筋不安定性の病態生理の一因となり得る;422アミノ酸),等電点:7.63,分子量:47206 TM:1[P]遺伝子染色体:17p13.3,Genbank受託番号NP_002552.2);Le et al (1997) FEBS Lett. 418(1-2):195-199;国際公開第2004/047749号;国際公開第2003/072035号(請求項10);Touchman et al (2000) Genome Res. 10:165-173;国際公開第2002/22660号(請求項20);国際公開第2003/093444号(請求項1);国際公開第2003/087768号(請求項1);国際公開第2003/029277号(頁82)
【0111】
(32)CD72(B細胞分化抗原CD72,Lyb−2);359アミノ酸,等電点:8.66,分子量:40225 TM:1[P]遺伝子染色体:9p13.3,Genbank受託番号NP_001773.1);国際公開第2004/042346号(請求項65);国際公開第2003/026493号(頁51−52,57−58);国際公開第2000/75655号(頁105−106);Von Hoegen et al (1990) J. Immunol. 144(12):4870-4877; Strausberg et al (2002) Proc. Natl. Acad. Sci USA 99:16899-16903
【0112】
(33)LY64(リンパ球抗原64(RP105),ロイシンリッチリピート(LRR)ファミリーのI型膜タンパク質であり、B細胞の活性化及びアポトーシスを制御し、機能喪失は全身性エリテマトーデスの患者における疾患活性の上昇に関連する);661アミノ酸,等電点:6.20,分子量:74147 TM:1[P]遺伝子染色体:5q12,Genbank受託番号NP_005573.1)米国特許出願公開第2002/193567号;国際公開第97/07198号(請求項11,頁39−42);Miura et al (1996) Genomics 38(3):299-304; Miura et al (1998) Blood 92:2815-2822;国際公開第2003/083047号;国際公開第97/44452号(請求項8,頁57−61);国際公開第2000/12130号(頁24−26)
【0113】
(34)FcRH1(Fcレセプター様タンパク質1,C2タイプIg様ドメイン及びITAMドメインを含む免疫グロブリンFcドメインについての推定上のレセプターであり、B−リンパ球分化において役割を有し得る);429アミノ酸,等電点:5.28,分子量:46925 TM:1[P]遺伝子染色体:1q21−1q22,Genbank受託番号NP_443170.1);国際公開第2003/077836号;国際公開第2001/38490号(請求項6,
図18E−1−18−E−2);Davis et al (2001) Proc. Natl. Acad. Sci USA 98(17):9772-9777;国際公開第2003/089624号(請求項8);欧州特許第1347046号(請求項1);国際公開第2003/089624号(請求項7)
【0114】
(35)IRTA2(FcRH5,免疫グロブリンスーパーファミリーレセプタートランスロケーション関連2(Immunoglobulin superfamily receptor translocation associated 2)、B細胞発生及びリンパ腫形成において役割を有し得る推定上の免疫レセプター;一部のB細胞悪性腫瘍においてトランスロケーションによる遺伝子の調節解除が発生する);977アミノ酸,等電点:6.88、分子量:106468、TM:1[P]遺伝子染色体:1q21,Genbank受託番号Human:AF343662,AF343663,AF343664,AF343665,AF369794,AF397453,AK090423,AK090475,AL834187,AY358085;Mouse:AK089756,AY158090,AY506558;NP_112571.1;国際公開第2003/024392号(請求項2,
図97); Nakayama et al (2000) Biochem. Biophys. Res. Commun. 277(1):124-127;国際公開第2003/077836号;国際公開第2001/38490号(請求項3,
図18B−1−18B−2)
【0115】
(36)TENB2(TMEFF2,tomoregulin,TPEF,HPP1,TR,増殖因子のEGF/ヘレグリンファミリー及びフォリスタチンに関連する推定上の膜貫通型プロテオグリカン);374アミノ酸,NCBI受託番号:AAD55776,AAF91397,AAG49451,NCBI RefSeq:NP_057276;NCBI Gene:23671;OMIM:605734;SwissProt Q9UIK5;Genbank受託番号AF179274;AY358907,CAF85723,CQ782436;国際公開第2004/074320号(配列番号810);特開2004−113151号公報;国際公開第2003/042661号;国際公開第2003/009814号;欧州特許第1295944号(頁69−70);国際公開第2002/30268号(頁329);国際公開第2001/90304号;米国特許出願公開第2004/249130号;米国特許出願公開第2004/022727号;国際公開第2004/063355号;米国特許出願公開第2004/197325号;米国特許出願公開第2003/232350号;米国特許出願公開第2004/005563号;米国特許出願公開第2003/124579号;Horie et al (2000) Genomics 67:146-152; Uchida et al (1999) Biochem. Biophys. Res. Commun. 266:593-602; Liang et al (2000) Cancer Res. 60:4907-12; Glynne-Jones et al (2001) Int J Cancer. Oct 15;94(2):178-84
【0116】
組換え方法及び組成物
抗体は、例えば米国特許第4816567号で説明したように、組換えの方法および組成物を用いて製造することができる。一実施態様において、本明細書に記載される抗体をコードする単離された核酸が提供される。このような核酸は、抗体のVLを含むアミノ酸配列、及び/又は抗体のVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖及び/又は重鎖)をコードし得る。更なる実施態様において、そのような核酸を含む1つ以上のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。更なる実施態様において、そのような核酸を含む宿主細胞が提供される。一実施態様において、宿主細胞は以下を含む(例えば、以下で形質転換される):(1)抗体のVLを含むアミノ酸配列、及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、又は(2)抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第一ベクター、及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第ニベクター。一実施態様において、宿主細胞は、真核生物、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又はリンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。一実施態様において、抗体を作成する方法が提供され、その方法は、上記のように、抗体の発現に適した条件下で、抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を培養することを含み、および必要に応じて、宿主細胞(又は宿主細胞培養培地)から抗体を回収することを含む。
【0117】
抗体の組換え生産のために、例えば上述したように、抗体をコードする核酸が単離され、宿主細胞内でのさらなるクローニング及び/又は発現のために1つ以上のベクターに挿入される。このような核酸は、容易に単離され、従来の手順を用いて(例えば、抗体の重鎖と軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)配列決定することができる。
【0118】
抗体をコードするベクターのクローニング又は発現に適切な宿主細胞は、本明細書に記載の原核細胞又は真核細胞を含む。例えば、特に、グリコシル化およびFcエフェクター機能が必要ない場合には、抗体は、細菌で産生することができる。細菌における抗体断片及びポリペプチドの発現については、例えば米国特許第5648237号;米国特許第5789199号;米国特許第5840523号; Charlton, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B.K.C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, NJ, (2003),頁245-254(大腸菌における抗体断片の発現を記述している))を参照。発現の後、抗体は可溶性画分において細菌の細胞ペーストから単離され得、さらに精製することができる。
【0119】
原核生物に加えて、糸状菌又は酵母菌のような真核微生物は、菌類や酵母菌株を含む抗体をコードするベクターのための、適切なクローニング宿主又は発現宿主であり、そのグリコシル化経路が、「ヒト化」されており、部分的又は完全なヒトのグリコシル化パターンを有する抗体の生成をもたらす(Gerngross, (2004) Nat. Biotech. 22:1409-1414; Li et al. (2006) Nat. Biotech. 24:210-215)。
【0120】
グリコシル化抗体の発現に適した宿主細胞はまた、多細胞生物(無脊椎動物と脊椎動物)から派生している。無脊椎動物細胞の例としては、植物および昆虫細胞が挙げられる。多数のバキュロウイルス株が同定され、これらは特にSpodoptera frugiperda細胞のトランスフェクションのために、昆虫細胞と組み合わせて使用することができる。
【0121】
植物細胞培養物もまた宿主として利用することができる(米国特許第5959177号、米国特許第6040498号、米国特許第6420548号、米国特許第7125978号、米国特許第6417429号、トランスジェニック植物において抗体を産生するためのPLANTIBODIES
TM技術を記載している)。
【0122】
脊椎動物細胞もまた宿主として用いることができる。例えば、懸濁液中で増殖するように適合されている哺乳動物細胞株は有用であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40(COS−7)で形質転換されたサル腎臓CV1株;ヒト胚腎臓株(Graham et al. (1977, J. Gen Virol. 36:59)に記載された293細胞又は293細胞;ベビーハムスター腎臓細胞(BHK);マウスのセルトリ細胞(Mather, (1980) Biol. Reprod. 23:243-251に記載されるTM4細胞);サル腎細胞(CV1);アフリカミドリザル腎細胞(VERO−76);ヒト子宮頚癌細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK;バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝細胞(Hep 2);ウス乳腺腫瘍(MMT060562);例えばMather et al. (1982) Annals N.Y. Acad. Sci. 383:44-68に記載されるTRI細胞;MRC5細胞;及びFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株は、DHFR
− CHO細胞(Urlaub et al. (1980) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216)を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、及びY0、NS0およびSp2/0などの骨髄腫細胞株を含む。抗体産生に適した特定の哺乳動物宿主細胞系の総説については、例えば、Yazaki and Wu, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B.K.C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, NJ), pp. 255-268 (2003)を参照。
【0123】
アッセイ
抗体は、同定され、当技術分野で公知の様々なアッセイによってその物理的/化学的性質及び/又は生物学的活性についてスクリーニングされ、又は特徴づけることができる。一態様において、本発明の抗体は、例えばELISA、ウェスタンブロット法などの公知の方法によってその抗原結合活性について試験される。別の態様では、競合アッセイは、抗原に対する結合について別の既知の抗体と競合する抗体を同定するために使用されてもよい。所定の実施態様において、このような競合する抗体は、既知の抗体により結合される同一のエピトープ(例えば、直鎖状又は立体構造エピトープ)に結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングするための詳細な典型的な方法が、Morris (1996) “Epitope Mapping Protocols," in Methods in Molecular Biology vol. 66 (Humana Press, Totowa, NJ)に提供されている。
【0124】
典型的な競合アッセイにおいて、固定化抗原は、抗原に結合する第一の標識された抗体(例えばHER2又はCD20)、及び抗原へ結合について第一の抗体と競合する能力について試験された第二の未標識抗体を含む溶液中でインキュベートされる。第二抗体はハイブリドーマ上清中に存在してもよい。コントロールとして、固定化抗原が、第二の未標識の抗体でなく、第一の標識された抗体を含む溶液中でインキュベートされる。第一の抗体の抗原への結合を許容する条件下でインキュベートした後、過剰の未結合の抗体が除去され、固定化された抗原に結合した標識の量が測定される。もし、固定化抗原に結合した標識の量が、コントロールサンプルと比較して試験サンプル中で実質的に減少している場合、それは、第二抗体が抗原への結合に対して、第一の抗体と競合していることを示している。Harlow and Lane (1988) Antibodies: A Laboratory Manual ch.14 (Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY)を参照。
【0125】
一態様において、アッセイは、生物学的活性を有するそれらの抗体を同定するために与えられる。生物学的活性は、例えば、腫瘍の阻害を含み得る。
【0126】
ある実施態様において、本発明の方法の抗体は、生物学的サンプル中の抗原の存在を検出するのに有用である。本明細書で使用する「検出」という用語は、定量的又は定性的検出を包含する。ある実施態様において、生物学的サンプルは、血液、血漿、血清、細胞、尿、硝子体、涙、又は組織を含む。特定の実施態様において、本方法は、抗体の抗原への結合を許容する条件下で、本明細書に記載のように抗体と生物学的サンプルを接触させること、及び複合体が抗体と抗原との間に形成されているかどうかを検出することを含む。そのような方法は、インビトロ又はインビボでの方法であり得る。一実施態様において、例えば発現された抗原タンパク質が患者の選択のためのバイオマーカーであるなど、抗体が抗体による治療にふさわしい被検体を選択するために使用される。本発明の抗体を用いて診断され得る典型的な障害は、癌及び免疫疾患を含む。
【0127】
標識されコンジュゲートされた抗体が、本発明の方法の特定の実施態様において利用される。標識は、限定されるものではないが、(例えば、蛍光標識、発色団標識、高電子密度標識、化学発光標識、放射性標識など)直接検出される標識又は部分、並びに、例えば、酵素反応又は分子間相互作用を介して間接的に検出される酵素又はリガンドのような部分が含まれる。このような標識の例には、ラジオアイソトープの
32P、
14C、
125I、
3H、及び
131I、フルオロフォア、例えば希土類キレート又はフルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシェフェラーゼ、例えばホタルルシェフェラーゼ及び細菌ルシェフェラーゼ(米国特許第4737456号)、ルシェフェリン、2,3−ジヒドロフタルジネジオン、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリフォスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖オキシダーゼ、例えばグルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘテロサイクリックオキシダーゼ、例えばウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼ、色素前駆体、例えばHRP、ラクトペルオキシダーゼ、又はマイクロペルオキシダーゼ、ビオチン/アビジン、スピンラベル、バクテリオファージラベル、安定な遊離ラジカルなどを酸化する過酸化水素を利用する酵素とカップリングさせたもの、などが含まれる。
【0128】
細胞死滅を生じさせる薬物部分は、リンカーユニットを介して抗体に共有結合され、標的とされた細胞死滅治療効果のための抗体−薬物コンジュゲートを形成することができる。抗体−薬物コンジュゲート(ADC)化合物を含む典型的な実施態様は、腫瘍細胞を標的とする抗体(Ab)、及び細胞毒性又は細胞分裂阻害薬部分(D)、及びDにAbを結合するリンカー部分(L)を含む。抗体は、例えばリジン及びシステインなどの一又は複数のアミノ酸残基を介して、リンカー部分(L)によりDに結合され;その組成物は式Iを有し:
ここでpは1から約20、又は約2から約5である。反応性のリンカー部分を介して抗体分子にコンジュゲートすることができる薬物部分の数は、本明細書に記載される方法によって導入される遊離システイン残基の数によって制限され得る。
【0129】
抗体−薬物コンジュゲート(ADC)の薬物部分(D)は、細胞毒性又は細胞増殖抑制効果を有する任意の化合物、部分又は基が含まれる。薬物部分は、限定されないが、チューブリン結合、DNA結合又はインターカレーション、及びRNAポリメラーゼ、タンパク質合成、及びトポイソメラーゼの阻害を含むメカニズムによってそれらの細胞毒性及び細胞増殖抑制効果を与え得る。ある種の細胞障害性剤は、大きな抗体又はタンパク質レセプターリガンドにコンジュゲートした場合に、不活性又は活性が低減する傾向がある。例示的な薬物部分としては、限定されないが、メイタンシノイド、ドラスタチン、アウリスタチン、カリケアマイシン、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)、PNU−159682、アントラサイクリン、デュオカルマイシン、ビンカアルカロイド、タキサン、トリコテセン、CC1065、デュオカルマイシン、カンプトテシン、エリナフィド(elinafide)、及びそれらの立体異性体、アイソスター、類似体又は誘導体などを含み、かつ細胞毒性活性を有するこれら薬物の誘導体を含む。
【0130】
抗体−薬物コンジュゲート(ADC)は、従来の小分子及び抗体癌化学療法と比較して非特異的な毒性を低減しかつ有効性を高めるように設計された抗癌治療薬を標的とする。これらは、非常に強力な、コンジュゲートした小分子治療薬を癌細胞に特異的に送達するためのモノクローナル抗体の強力な標的化能力を使用する。これらの抗体−薬物コンジュゲートの薬物動態及び毒性などの特性を評価するために、血漿、尿及び他の生物学的サンプルからそれらを特徴付けて定量化できることが有用である。免疫親和性膜(IAM)捕捉及び質量分析によって抗体−薬物コンジュゲートを検出しそしてスクリーニングする方法は、ビーズベースの親和性捕捉法(米国特許出願公開第2009/0286258号)を含み、開示されている(米国特許出願公開第2005/0232929号)。
【0131】
生物学的サンプル中のヒト抗体及びヒト化抗体を測定する方法
本発明の一態様は、前臨床研究由来の、カニクイザル及びラット血漿及び組織サンプル、及び潜在的に他の非ヒト種において、一般的な抗体の骨格構造を持つ様々なヒトモノクローナル抗体(MAb)及びヒト化モノクローナル抗体治療薬の定量化のための再現性のある効率的かつ経済的で一般的なLC−MS/MSに基づいた方法である。抗体の消化は、投与されたヒト又はヒト化治療用抗体にユニークであり、サルとラットの内因性タンパク質には見られない保存されたフレームワーク領域に由来するペプチドを与える。
【0132】
図9は、一以上のフレームワークシグネチャーペプチド(FSP)を用いて動物の血漿/血清中の治療抗体を定量化するための一般的なLC−MS/MS法を示す。
【0133】
本発明の方法は、
(a)血清又は血漿サンプルが、ヒト又はヒト化抗体で処置された動物に由来し、消化された抗体サンプルを形成するために、消化酵素で生物学的サンプルを処理し;
(b)ヒトフレームワークペプチドが配列番号1〜8から選択される一又は複数の配列を含む、一又は複数の一般的なヒトフレームワークペプチドの濃度を検出および測定するために、質量分析によって消化された抗体サンプルを分析する
工程を含むヒト又はヒト化抗体を検出する一般的なアプローチを包含する。
【0134】
例示的な実施態様では、消化酵素はトリプシンである。代替的なプロテアーゼは、配列番号1〜8を有するもの以外に更なるフレームワークペプチドを生成し得る。任意の特定の酵素、例えばエンドプロテアーゼLysC、エンドプロテアーゼArgC、黄色ブドウ球菌V8、及びエンドプロテアーゼGluCなどを使用することができる。パパインなどの非特異的プロテアーゼを使用することができる。定量のために生成されたペプチドは、トリプシンによるのとは異なる配列を有し得るが、ヒト抗体に存在し動物の抗体には存在しない一般的なフレームワークペプチドを使用する概念は同じである。
【0135】
別の実施態様では、本方法は更に、消化された抗体サンプルを親和性捕捉媒体又は固相抽出(SPE)サンプル精製と接触させ、濃縮された消化された抗体サンプルを溶出させることを含む。
【0136】
別の実施態様では、本方法は配列番号1〜8から選択される配列を有する一又は複数のヒトフレームワークペプチドを含んでなる抗体の親和性捕捉とその後の消化を含む。親和性捕捉法はECD(細胞外ドメイン抗原結合)、抗ID捕捉又はプロテインA又はGにより達成され得る。
【0137】
別の実施態様において、生物学的サンプルは非ヒト哺乳動物に由来する血清、血漿、組織又は細胞株である。
【0138】
本方法の例示的な実証において、抗体は、抗HER2トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標)、ジェネンテック社)である。その他の抗体は、本発明の方法に供した。非臨床試験の血漿からトリプシン消化され分析された抗体には、抗MUC16、抗MSLN(メソテリン)、抗Steap1、抗CD20(2H7およびリツキシマブ)、抗HER3(2C4、ペルツズマブ)、抗NRP1、抗PDL1、抗LRP6、抗B7−H4、抗GFRA17C9、抗NRG1、及び抗LY6Eが含まれる。
【0139】
別の実施態様では、抗体サンプルはビーズ担持プロテインA/Gにより免疫沈降(IP)親和性捕捉を用いて分析され、続いてビーズ上での消化と分析を行った。
【0140】
フレームワークシグネチャーペプチド
ヒト抗体のフレームワーク領域は大部分が保存されている。
図1は、ヒト2H7抗体のオクレリズマブ(配列番号11)、及び5つのカニクイザル抗CD20抗体:CynoHC 1a D3 1(配列番号12),CynoHC 1b E5 1(配列番号13),Cyno HC 2a(配列番号14),CynoHC 2b E6 1(配列番号15),CynoHC 3(配列番号16)の重鎖アミノ酸配列の配列アラインメントを示す。ヒト2H7(hu 2H7)Mabに固有であり、カニクイザルのIgG重鎖に存在しない、フレームワークシグネチャーペプチドが同定され(FSP1−8)各々はその配列に少なくとも一のアミノ酸の違いを有する。入手可能な配列情報に基づくと、フレームワークシグネチャーペプチド(FSP1−8)はヒト抗体対してにのみ特有であり、カニクイザルのIgG変異体には特有ではない。表2のフレームワークシグネチャーペプチド(FSP1−8)は、内因性IgG1及びある場合にはIgG2、IgG3及びIgG4にも存在する。これらのペプチドは、他のヒト治療用抗体又はヒト化治療用抗体及びヒトIgGの間でも共通している。
【0142】
トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標)、Genentech社)をモデル参照基準として使用し、カニクイザル及びラット血漿に添加され、その後、SPEの予備濃縮又はプロテインA/G磁気ビーズによる免疫沈降の有無に関わらず、直接全血漿消化、及びLC−MS/MS分析に先立つ続くビーズ上での消化が続き、作業校正範囲は、両方の血漿のマトリクスにおいて1〜1000μg/mLで確立された。特異性はまた試験され、陰性対照のブランク血漿及び添加された血漿サンプルの両方で確認した。
【0143】
トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標)、huMAb4D5−8、rhuMAb HER2、ジェネンテック)は、マウスHER2抗体の組換えDNA由来のヒト化、IgG1カッパ、モノクローナル抗体バージョンであり、細胞ベースのアッセイにおいて高い親和性で(Kd=5nM)ヒト上皮成長因子受容体2タンパク質、HER2(ErbB2)の細胞外ドメインに選択的に結合する(米国特許第5821337号;米国特許第6054297号;米国特許第6407213号;米国特許第6639055号; Coussens L, et al (1985) Science 230:1132-9; Slamon DJ, et al (1989) Science 244:707-12)。トラスツズマブは、HER2に結合するマウス抗体(4D5)の相補性決定領域を持つヒトフレームワーク領域を含む。トラスツズマブはHER2抗原に結合し、従って癌細胞の増殖を阻害する。トラスツズマブは、インビトロでのアッセイおよび動物の両方で、HER2を過剰発現するヒト腫瘍細胞の増殖を阻害することが示されている(Hudziak RM, et al (1989) Mol Cell Biol 9:1165-72; Lewis GD, et al (1993) Cancer Immunol Immunother; 37:255-63; Baselga J, et al (1998) Cancer Res. 58:2825-2831)。トラスツズマブは、抗体依存性細胞傷害、ADCCのメディエーターである(Hotaling TE, et al (1996) [要旨]。Proc. Annual Meeting Am Assoc Cancer Res; 37:471; Pegram MD, et al (1997) [要旨]。Proc Am Assoc Cancer Res; 38:602; Sliwkowski et al (1999) Seminars in Oncology 26(4),補足 12:60-70; Yarden Y. and Sliwkowski, M. (2001) Nature Reviews: Molecular Cell Biology, Macmillan Magazines, Ltd., Vol. 2:127-137)。HERCEPTINは、ErbB2を過剰発現する転移性乳癌を有する患者の治療のために1998年に承認された(Baselga et al, (1996) J. Clin. Oncol. 14:737-744)。
【0144】
FSP1−8の安定同位体標識化(SIL)類似体(配列番号1−8)は、インサイツ(“spiked in")内部標準として使用することができる。安定同位体標識は典型的には
13C、
15N、及び
2Hを含む。内部標準は、ペプチド配列の一又は複数のアミノ酸残基に組み込むことができる。内部標準は、消化の前又は後でサンプルに導入することができ、LC−MS/MS分析の最中で生じる変動(例えば、自動サンプラーの性能、LC分離とMS応答における変化)を補正するように機能することができる。例えば、FSP8の安定同位体標識されたバージョンは、フェニルアラニン(F)とチロシン(Y)との間のリジンが
13C及び
15Nで標識される場合に調製された。
【0145】
それらのMS特性に基づいて、FSP8は最も強いシグナル応答に起因して、定量化のための主要なペプチドとして経験的に選択された。加えて、3つの他のペプチド、FSP4、FSP5、及びFSP3が、定性的確認のためにモニタリングされた。これら4つのペプチドの各々は、動物の生物学的マトリックス中のmAbを定量化するための代用物として使用することができる。それらの対応するSIL ISがアッセイに使用された(表3)。FSP6は、同時に溶出する干渉バックグラウンドがカニクイザル血漿中で検出されたため、カニクイザル以外の動物マトリックスにおいてのみ使用することができる。比較的弱いイオン化が、FSP1、FSP5及びFSP2で観察された。
【0147】
ヒト抗体及びヒト化抗体
図2は、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標)、ジェネンテック、rhuMAbHER2、抗p185HER2)、組換えに由来したヒト化モノクローナル抗体、CAS登録番号180288−69−1の重鎖(配列番号17)及び軽鎖(配列番号18)を示す。
【0148】
図3は、オクレリズマブ、rhuMAb2H7、PRO70769、ヒト化抗CD20抗体、CAS登録番号637334−45−3の重鎖(配列番号11)及び軽鎖(配列番号19)を示す。
【0149】
図4は、ペルツズマブ、rhuMAb2C4、CAS登録番号380610−27−5の重鎖(配列番号20)及び軽鎖(配列番号21)を示す。重鎖(配列番号20)に下線が引かれるようにFSP2、FSP3、FSP8が同定される。
【0150】
図5は、T細胞調節因子の拡張されたCD28/CTLA−4ファミリーのメンバーである抗PDL1の重鎖(配列番号22)及び軽鎖(配列番号23)を示す。重鎖(配列番号22)に下線が引かれるようにFSP2、FSP4、FSP8が同定される。
【0151】
図6は、抗ニューロピリン1、抗NRP1、MNRP1685Aの重鎖(配列番号24)及び軽鎖(配列番号25)を示す。重鎖(配列番号24)に下線が引かれるようにFSP2、FSP4、FSP8が同定される。抗NRP1は、VEGFファミリーのメンバーを含み、種々のリガンドに結合することが知られているマルチドメイン受容体である、ニューロピリン1(NRP1)を特異的に標的とする組換え、ファージ由来、ヒトモノクローナル抗体である。抗NRP1は、マウス異種移植モデルにおいて抗VEGFとの組合せにおける有効性、及び前臨床の種において広い用量範囲にわたる強い非線形薬物動態を実証している。現在、単剤として、及びパクリタキセルの有無にかかわらず、ベバシズマブを併用した第I相試験で評価されている。
【0152】
図7は、抗MUC16、DMUC4064Aの重鎖(配列番号26)及び軽鎖(配列番号27)を示す。重鎖(配列番号26)に下線が引かれるようにFSP2、FSP4、FSP8が同定される。
【0153】
図8は、リツキシマブ、C2B8、MabThera、(リツキサン(登録商標)、ジェネンテック社、バイオジェン/アイデック)の重鎖(配列番号28)及び軽鎖(配列番号19)を示す。重鎖(配列番号28)に下線が引かれるようにFSP2、FSP4、FSP8が同定される。リツキシマブ(リツキサン(登録商標)、ジェネンテック/バイオジェン・アイデック;MABTHERA(登録商標)、ロシュ、REDITUX(登録商標)、CAS登録番号174722−31−7)は、CD20抗原に対する遺伝子操作型キメラマウス/ヒトモノクローナル抗体である。リツキシマブは米国特許第5736137号において「C2B8」と呼ばれている抗体である。リツキシマブは、再発性又は難治性の低悪性度又は濾胞性、CD20陽性、B細胞NHLを有する患者の治療に適応される。リツキシマブは、細胞表面CD−20に結合し、B細胞枯渇をもたらす (Cartron et al (2002)Blood 99: 754-758; Idusogie et al (2000) J. Immunol. 164: 4178-4184; Grillo-Lopez AJ, et al (1999) Semin Oncol; 26:66-73;米国特許第5736137号)。リツキサン(米国特許第5677180号;米国特許第5736137号)は、造血器悪性腫瘍で最も広く使用されているモノクローナル抗体であり、広範な臨床診療で確立されている。リツキサンは、再発性又は難治性、低悪性度又は濾胞性、CD20陽性、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)の治療のために、1997年にFDAの承認を最初に受けた。また、欧州連合(EU)では1998年に商品名MabThera(登録商標)のもとに承認された。2006年2月、リツキサンはまた一以上のTNFアンタゴニスト療法に対して応答が不十分であった、中程度から重度の活動性関節リウマチに罹患した成人患者において、徴候や症状を軽減するために、メトトレキサートと併用してFDAの承認を受けた。リツキシマブ抗体(C2B8とも命名)のアミノ酸配列、及びチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞における組換え発現を介するその産生のための例示的な方法は、米国特許第5736137号に開示されている。
【0154】
サンプルの調製
図15は、ビオチン化捕捉プローブに結合したストレプトアビジン被覆磁気ビーズ上、又は、プロテインA、G被覆磁気ビーズ上における動物の血漿/血清からのmAbの捕捉、続く磁気分離による単離、捕捉された抗体の消化、及びLC−MS/MSによる分析の画を示す。
【0155】
図16は、抗体の一般的な捕捉のためプロテインA、G被覆磁気ビーズ(上)の実施態様、及び抗体の特異的な捕捉のためのビオチン化捕捉プローブに結合したストレプトアビジン被覆磁気ビーズ(下)の実施態様を示す。
【0156】
プロテインAにより効率的かつ再現可能に標的のモノクローナル抗体(MAb)を単離する免疫沈降の可能性を2通りの形式で評価した:(a)磁気ビーズに結合したプロテインA及び(b)96ウェルマイクロタイタープレート上にコーティングされるプロテインA。予備的な試験において、プロテインAマイクロタイタープレートは、標的のMab、特にサル血漿からのMabと一緒に内因性IgGの総負荷を捕捉することにおいて、プロテインA磁気ビーズと比較して非常に容量が制限された。プロテインA磁気ビーズを用いるビーズ上での消化が、リチウム/ヘパリンで処置されたカニクイザル及びスプラーグドーリーラット血漿の両方からFSPを単離するための評価用に選択された。全血漿消化及び続く固相抽出(SPE)もまた試験され、バックグラウンドノイズからの干渉を除去するには効果が弱いことが見出された。
【0157】
生物学的サンプルの分離及び分析
FSP特異性、検出感度及び再現性を評価するための2つのアプローチが調査された:(1)全血漿消化/SPE(固相抽出)、及び(2)免疫沈降(IP)。
【0158】
サル(カニクイザル)及びラット血漿サンプル(各々の種でn=10ロット)が、ロット間の特異性、潜在的な干渉効果、及び再現性を評価するために評価された。ブランクの血漿対照とともに、ブランク血漿サンプルは強化され、すなわち、20μg/mlのトラスツズマブを添加された。1〜1000μg/mlの範囲のトラスツズマブである標準物質トラスツズマブのサンプル一式がプールした血漿マトリックス中に調製され、個々のサル及びラットの血漿サンプルと並行して実行された。
【0159】
図12は、全血漿消化/SPEアプローチにより調製されたリチウムヘパリンカニクイザル血漿中に1〜1000μg/mLの様々な濃度で添加されたトラスツズマブ(FSP8を代用物として用いる)の検量線を示す。安定同位体標識ペプチド内部標準(IS)を20%アセトニトリル中で調製し、適切な濃度で含有する作業内部標準溶液を作製した。
【0160】
図14は、動物血漿又は血清中におけるモノクローナル抗体の免疫沈降(IP)の工程及び対応するフレームワークシグネチャーペプチド(FSP)を生成する工程を示す。プロトコルは、実施例1−4で定義される。
【0161】
動物のサンプルは、プロテインA常磁性ビーズ(ミリポア)による免疫沈降(IP)、続くトリプシン消化によって調製した。96ウェルの円錐底のマイクロタイタープレート(VWR Scientific)に、25μLアリコートの希釈血清又は血漿[0.1:5.0:3.0:0.2:91.7:0.1 Tween 20/トリス塩酸塩(1M)/塩化ナトリウム(5M)/EDTA(0.5M)/水/BSA,v/v/v/v/v/wのローディングバッファー(SN1)による1:2v/v希釈]を125μLのローディングバッファーと一緒に入れた。予め洗浄し、ローディングバッファーに再懸濁したプロテインA磁性ビーズの25μLのアリコートを各ウェルに添加した。次いで、混合物を、モノクローナル抗体(mAb)の捕捉を可能にする一定の混合下で120分間室温(RT)でインキュベートした。上清を捨て、ビーズを洗浄バッファー(SN2)(5.0:3.0:0.2:91.8 トリス塩酸塩(1M)/塩化ナトリウム(5M)/EDTA(0.5M)/水、v/v/v/v)で十分に洗浄した洗浄及び磁気分離を、マイクロプレート洗浄機(BioTek、VT、USA)、及び96ウェルの平らな磁石(バイオテック)をそれぞれ用いて行った。洗浄/分離の工程はまた、キングフィッシャー96磁性粒子プロセッサ(サーモサイエンティフィック)を用いて実施することができる。
【0162】
免疫沈降(IP)に続いて、作業IS溶液の25μlのアリコートを、代わりに20%アセトニトリルを25μL添加されたブランクを除いて、各ウェルに添加した。75μLのRapiGest溶液(0.05:37.5:10 RapiGest粉末/50mMの重炭酸アンモニウム/アセトニトリル,w/v/v)及び10μLの0.1MのDTTのアリコートが添加された。プレートは、接着性封止フィルム(VWRサイエンティフィック)で覆われ、約1分間、穏やかに振動し、60分間60℃でインキュベートした。25μLの体積のヨード酢酸(0.1M)を添加し、プレートをアルミ箔で覆い、光から保護し、約30分間室温でインキュベートした。10μLのトリプシン溶液(0.250mg/mLの)のアリコートを各ウェルに加え、続いてプレートを約90分間37℃でインキュベートした。消化は、各ウェルに2MのHClを15μL添加し、37℃で30分間プレートをインキュベートすることによって停止させた。次いでサンプルを、Tomtec(CT、USA)によって96ウェルの円錐底収集プレートの上部に配置されたマルチスクリーンHTSフィルタープレート(0.45μm、ミリポア)へ移し、3000rpmで5分間遠心分離してろ液を収集した。収集プレートを密封し、20μLの容量のろ液をLC−MS/MSに直接注入した。
【0163】
ELISA及びLC−MS/MS
ELISA(
図19a)およびLC−MS/MS(
図19b)は、抗体の単回投与後にラット血漿中の全抗体を測定することで比較した。
図19aは、固定化細胞外ドメイン(ECD)又は抗ヒトIgGポリクローナル抗体との結合によって捕捉され、電気化学発光、比色分析、又は発色性基質の検出を伴うELISAアッセイにおいて、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)で標識した抗ヒトIgGポリクローナル抗体を用いて検出されるモノクローナル抗体(mAb治療薬)の画を示す。
【0164】
液体クロマトグラフ分離は、200μL/分の流速で操作される逆相BioSuite C18 PA−Aカラム(2.1×50mm、3μm、Waters)を用いたHPアジレント1100シリーズLC二成分系又は島津LC−10ADVP二成分系の何れかによって行われた。カラムは、カラムヒーター(Analytical Sales and Products, NJ, USA)によって50℃に維持した。移動相の内訳はA:0.1%ギ酸水溶液及びB:アセトニトリル/メタノール中の0.1%ギ酸(75:25、v/v)であった。勾配条件は、0.4分間5%のBで維持され、3.4分で40%のBまで傾斜させ、更に1分間で95%のBまで増大させ、0.5分間95%のBで維持し、その後0.1分で5%のBに戻した。次いで、それを0.5分間5%に維持し、その後0.1分で最大95%のBまで戻して傾斜させ、キャリーオーバーの可能性を低減するために0.5分間そのレベルで維持した。最後に、勾配は0.1分で5%のBへ戻され、0.9分間5%のBで再平衡化された。LCの総実行時間は7.5分であった。サンプルは、20μLの注入器ループを装備したCTCのHTS PALオートサンプラー(LEAP Technologies, NC, USA)を用いて注入した。オートサンプラー洗浄1は、アセトニトリル/イソプロパノール/トリフルオロエタノール/メタノール/水/ギ酸(容量で60:15:15:5:5:0.2)及び洗浄2は、水/アセトニトリル/ギ酸(体積で95:5:0.2)であった。
【0165】
ターボイオンスプレーを装備したサイエックスAPI4000(登録商標)トリプル四重極質量分析計(AB Sciex, CA, USA)を定量用に使用した。MS機器は、ソース温度を500℃に設定し、イオンスプレー電圧を5000Vで陽イオンモードで操作した。ガスパラメータは、カーテンガスを25、ネブライザーガスを45、そして補助ガスを40に設定した。10の衝突ガスを使用した。シグネチャーペプチドの多重反応モニタリング(MRM)遷移の詳細及びそれらの対応する内部標準を表4に示す。滞留時間は、各MRM遷移において50ミリ秒に設定し、10Vの同じ入射電位を印加した。Q1とQ3分解能の両方が単位に設定された。定量化はピーク面積に基づいて、Intelliquanを用いて行った。
【0167】
方法の適格性評価はモデルとしてトラスツズマブを用いて行った。校正標準は、1.00、1.75、3.00、10.0、25.0、75.0、200および250μg/mLのカニクイザル血漿又はスプラーグドーリーラット血漿にトラスツズマブを加えることによって調製した。品質管理(QC)は、血漿中にトラスツズマブを1.00(LLOQ),2.50(LQC),15.0(MQC)及び190μg/mL(UQC)で調製した。加えて、1000μg/mLの元の濃度の10倍希釈倍率による希釈QCが含まれた。アッセイ内QCは、6つの複製で調製し、希釈QCは3つの複製で調製した。方法の適格性評価のデータを表5に報告する。データは、LC−MS/MSアッセイが、事前に定義された許容範囲内の値との良好な精度と正確さを有することを示している。
【0169】
図17aは、代用物としてFSP8を使用して、ラット血漿中の1μg/mL(LLOQ)のトラスツズマブ抗体の検出を示し、安定同位体標識化FSP8内部標準(
図17b)が同じ保持時間で検出された。サンプルは実施例4のプロトコルに従って調製した。良好な直線性が、
図18のラット血漿における1−250μg/mLのトラスツズマブから実証された。
【0170】
図20は、トラスツズマブ、抗HER2モノクローナル抗体の2mg/kgのボーラスを投与したラットの個々の濃度−時間プロファイル(1A、1B、1C)を示す。投与後の28時間にわたる血漿サンプルを、LC−MS/MS(
図19B)及びELISA(
図19a)アッセイによって分析した。良好な一致が、2つのアッセイ方法の間で観察された。
図20からのPKパラメータは次のとおりである。
【0172】
図21は、3A5、抗MUC16モノクローナル抗体の2mg/kgのボーラスを投与したラットの個々の濃度−時間プロファイル(2D、2E、2F)を示す。投与後の28時間にわたる血漿サンプルを、LC−MS/MS(
図19b)及びELISA(
図19a)アッセイによって分析した。良好な一致が、2つの方法の間で観察された。
図21からのPKパラメータは次のとおりである。
【0174】
図22は、抗メソテリン(Msln)モノクローナル抗体の2mg/kgをボーラス投与されたラットの結果(3G,3H,3I)を示す。28時間にわたる血漿サンプルを投与後に、LC−MS/MS(
図19b)及びELISA(
図19a)アッセイによって分析した。良好な一致が、2つの方法の間で観察された。
図22からのPKパラメータは次のとおりである。
【0176】
図23は、抗MUC16モノクローナル抗体、3A5を投与したカニクイザルから28日間の血中の抗体の測定による、血漿/血清サンプルの平均薬物動態(PK)に基づく、
図19aのELISAアッセイ及び
図19bに示すLC−MS/MSアッセイの間の一致を示している。
図23からのPKパラメータは次のとおりである。
【0178】
図24は、抗メソテリン(Msln)モノクローナル抗体を投与したカニクイザルから42日間の血中の抗体の測定による、血漿/血清サンプルの平均薬物動態(PK)に基づく、
図19aのELISAアッセイ及び
図19bに示すLC−MS/MSアッセイの間の一致を示している。
図24からのPKパラメータは次のとおりである。
【0180】
図25は、次の構造
を有し、ここでAbは、システインアミノ酸を介してリンカーのマレイミドカプロイル(MC)基に連結された抗LY6E抗体であり、pはADC分子中の抗体当たりの薬物部分(MMAE)の数である、抗体−薬物コンジュゲート(ADC)、抗LY6E−MC−vc−PAB−MMAEを投与したマウス(A、B、C)からの血漿/血清サンプルの個々の薬物動態(PK)に基づく、
図19aのELISAアッセイ及び
図19bに示すLC−MS/MSアッセイの間の一致を示す。ADCの典型的な混合物中のpの範囲は、約0から約20、又は0から約8である。pが0である場合には、一定量のネイキッド、非結合型抗体が存在してもよい。抗体当たりの平均薬物負荷は約2から約5、又は約3から約4であって良い。このように、抗体−薬物複合体(ADC)の典型的な調製剤は、MMAEなどの幾つかの数の薬物部分とコンジュゲートした抗体種の不均一な混合物である。リンカーはまたカテプシン認識の影響を受けやすいバリン−シトルリン(ヴァル−CIT)ジペプチドユニットと、パラ−アミノベンジルオキシメチル(PAB)ユニットを含む(米国特許第7659241号;米国特許第7498298号; Doronina et al. (2006) Bioconjugate Chem. 17:114-124; 及びDoronina et al. (2003) Nat. Biotech. 21:778-784)。
【0181】
薬物部分MMAE(ベドチン、(S)−N−((3R、4S、5S)−1−((S)−2−((1R、2R)−3−(((1S、2R)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−oxoheptan−4−イル)−N、3−ジメチル−2−((S)−3−メチル−2−(メチルアミノ)ブタンアミド)ブタンアミド、CAS登録番号474645−27−7)は、抗体にそのN末端を介して連結したドラスタチンのモノメチルアウリスタチンアナログ(米国特許第5635483号、米国特許第5780588号)である。MMAEは、構造
を有する。
【0182】
図23−28の抗体投与実験からの2つのアッセイ法(LC−MS/MS及びELISA)からのPKプロファイルとパラメータは高い一致を示しており、カニクイザル、ラットおよびマウスを含む動物において、代用物として共通のフレームワークシグネチャーペプチドを使用する単一の汎用LC−MS/MSアッセイによるmAbの定量化は実現可能で堅牢な性能であることを示唆している。単一のMSに基づくアプローチは、他の方法では達成するために複数のELISAアッセイを必要とする信頼性のあるPKデータを生成することができる。更に、MSのアプローチは、任意のカスタム試薬を必要とせず、方法の開発プロセスを加速し、薬物開発の初期段階でのPK評価を利用できる手助けとなる。
【0183】
データ解析
検量線は、DWYIHWVR(配列番号9),FSP3,FSP4,FSP5,FSP8(全てサルとラットの両方)及びNQVSLTCLVK(配列番号10)(ラットのみ)の免疫沈降のアプローチで確立され、全血漿消化/SPEのアプローチがFSP4,FSP5,FSP8(全てサルとラットの両方)で確立された。ブランクと添加血漿サンプルに対する特異性データが確立された。FSP8に関して、異なるペプチドの面積比及び対応するCV(変動係数)が、消化再現性の基準として与えられている。二次の(1/濃度(conc.)
2重み付き)回帰をデータにフィッティングするために使用した。
【0184】
サル血漿サンプルの処置に対する全血漿消化/SPEのアプローチにおいて(実施例3b)、FSP8は最も感受性の高いペプチドである。
図13は、全血漿消化/SPEサンプル調製の後で、LLOQ(定量下限)=1μg/mLにてリチウムヘパリン化クイザル血漿中に添加されたFSP8の検出を実証するLC−MS/MSクロマトグラムを示す。4.47分及び5.20分でのピークがブランクにある。FSP8は4.66分で保持時間を有する。低濃度で定量化できる唯一の他のペプチドはFSP4とFSP5である。しかしながら、1μg/mLのLLOQ−レベルにおける雑音に対する信号の比率(S/N)は5未満(<)である。予想されるように、NQVSLTCLVKペプチド(配列番号:10)は、全てのサル血漿中で内因性の高いバックグラウンドレベルを示した。試験された10の個々のロットのうち9個は、類似した許容可能な特異性を有していた。ロット#5は、全ての定量化ペプチドについて異常なバックグラウンドレベルを持っていた。そのパターンは、それが若干のヒト血漿で汚染された可能性があること示唆している。全体として、FSP(即ち添加された)サンプルは、一次定量のための潜在的なシグネチャーペプチドであるFSP8の全ロットにおいて良好な正確さと精度を示した(例外:27%のCVのFSP7)。FSP8に比べてFSP4及びFSP5のピーク面積比は、異なるサンプル及びサンプルタイプ間において20%未満のCVを示した。
【0185】
ラット血漿サンプルの処置に対する全血漿消化/SPEのアプローチにおいて(実施例3b)、FSP8は最も強力なペプチドである。低レベルの濃度で定量化できる唯一の他のペプチドはFSP4とFSP5である。しかし、これらのペプチドのLLOQレベルでのs/nは5未満である。検量線は、おそらく後で注入されたサンプルのシグナル抑制に起因して分割された性質を示した。試験された個々のロットの何れも、全ペプチドにおいて定量可能なバックグランドピークを有していなかった。分割曲線のため、FSPサンプルは非常に変動する精度と再現性の値を示した。FSP8に関してFSP4及びFSP5のピーク面積比は、大概の場合CVが20%を超えることを示しており、再びアッセイ変動性を指摘している。
【0186】
サル血漿サンプルの処置に対する免疫沈降のアプローチにおいて(実施例4)、FSP8は最も感受性の高い、即ち強力なペプチドである。他の全てのペプチドもまた低レベルの濃度で定量化可能である。他の全てのペプチドのLLOQレベルでのs/nは、5より大きい(FSP2を除く)。予想されるように、NQVSLTCLVKペプチド(配列番号:10)は、全てのサル血漿においてバックグラウンドレベルを示した。濃度と応答の間の関係は、恐らくはプロテインA磁性ビーズの飽和のため及び/又は内因性カニクイザルIgGとの競合から、高濃度にて若干の非線形性を示した。試験された10の個々のロットの中で、ロット#5からのサンプルは、可変領域ペプチドDTYIHWVR(配列番号9)を除いて全ての定量可能なペプチドにおいて似たレベルでバックグランドピークを有していた。全体として、FSPサンプルはFSP8の全ロットで良好な正確さと精度を示した(ブランク中のバックグランド濃度が考慮される場合ロット#5を含める)。ほとんど全てのペプチドのピーク面積比は、異なるサンプル及びサンプルタイプの間でCVが15%未満を示した(CALSのCVが約23%であるFSP5を除く)。
【0187】
ラット血漿サンプルの処置に対する免疫沈降(IPTEN欠損)のアプローチにおいて(実施例4)、FSP8は最も強力なペプチドである。他の全てののペプチドは、低レベルの濃度でも定量化可能である。他の全てのペプチドのLLOQレベルでのs/nは5より大きい(FSP2を除く)。濃度と応答との間の関係は、恐らくはラット血漿における低親和性の内因性IgGとの競合が少ないために、サル免疫沈降(IP)データの良好な線形性を示した。試験された個々のロットの何れも、全ペプチドにおいて定量可能なバックグランドピークを有していなかった。全体的に、FSPサンプルはFSP8の全ロットに対して良好な正確さと精度を示した。ほとんど全てのペプチドのピーク面積比は、異なるサンプル及びサンプルタイプの間でCVが20%未満を示した(CALSのCVが24%より大きいFSP5とFSP2を除く)。
【0188】
プロテインA磁気ビーズによる免疫沈降(IP)は、全血漿消化/SPE抽出よりも良い感受性と再現性を示した。IPアプローチは、全マトリクス消化/SPEアプローチよりもより迅速で「より清潔」である。
【実施例】
【0189】
実施例1 単純全血漿消化及び抽出手順
1. Lo−バインドプレートの中に(クエン酸ナトリウム)血漿の10μLを分取する。
2. 50mM重炭酸アンモニウム中の10mMのDTT溶液を95μL添加する。
3. 混合し、60分間60℃でインキュベートする。
4. 50mM重炭酸アンモニウム中の100mMのヨードアセトアミド(IAA)の20μLを添加する。
5. 暗所で30分間室温でインキュベートする。
6. 20分間、光の当たる所に放置する。
7. 50mM重炭酸アンモニウム中の500μg/mLのトリプシン溶液の15μLを添加する。
8. 37℃で一晩インキュベートする。
9. 1%ギ酸溶液15μlを加える。混合し、遠心分離する。
10. LC−MS/MS(0.7mL/分で20L注入、UPLC)で分析する。
【0190】
実施例2 MAX/WCX microElution(登録商標)プレート(ウォーターズ社)の固相抽出プロトコル
1. 600μLの血清/血漿消化物を100μLの8%のH3PO4と混合する。
2. MAX/WCX Elution SPEプレート(ウォーターズ社、Milfo rd MA)を200μLのMeOHで調整する。
3. MAX/WCX Elution SPEプレートを200μLのH2Oで平衡化する。
4. MAX/WCX Elution SPEプレート上に希釈した血清/血漿消化物をロードする(2×350μLのアリコート)。サンプルが滴下方式でベッドを通過できるように各添加後にちょうど十分な真空を適用する。
5. 5%のNH4OHの200μLで洗浄する。
6. 20%のACN(アセトニトリル)を200μLで洗浄する。
7. 中程度の真空下で(2×25μL)の75:25:1のアセトニトリル/水/TFA、v/v/vにより96カ所の位置の、2.0mL、正方形ウェル、円錐の底、ポリプロピレンプレート中に溶出する。
8. 水200μLを加え、紫色のマットシールでプレートを密封し、約30秒間ボルテックスする。
9. 4000 QTRAP(登録商標)LC/MS/MS上に25μLを注入する(AB Sciex, Foster City, CA, USA)。
【0191】
実施例3a 全血漿消化手順#1
1. Lo−バインドプレートの中に血漿の10μLを分取する。
2. 50mM重炭酸アンモニウム中の10mMのDTT溶液を95μL添加する。
3. 混合し、60分間60°Cでインキュベートする。
4. 50mM重炭酸アンモニウム中の100mMのヨードアセトアミドの20μLを添加する。
5. 暗所で30分間室温でインキュベートする。
6. 20分間、光の当たる所に放置する。
7. 50mM重炭酸アンモニウム中の500μg/mLのトリプシンの15μLを添加する。
8. 37℃で一晩インキュベートする。
9. 1%ギ酸溶液15μlを加える。混合し、遠心分離する。
10. LC−MS/MSにより分析する。
【0192】
実施例3b 全血漿消化/SPE(固相抽出)−プロトコル#2
1. 25μLの血漿サンプルを100μLのRapiGest
TM(ウォーターズ社、Milford MA)SF界面活性剤溶液(0.05:40:10 RapiGest
TM/酢酸アンモニウム、50mM/ACN、w/v/v)と混合するRapiGest
TM希釈液(80:20酢酸アンモニウム、50mM/ACN、v/v)の更なる400μLを添加する。
2. DTT(1M)を10μL添加する。60℃で約1時間インキュベートする。
3. IAA(1M)を25μL添加する。光から保護して、室温で約0.5時間インキュベートする。
4. トリプシンを20μg添加する。37℃で約16時間インキュベートする。
5. 別用量の20μgのトリプシンを添加する。37℃で約4時間インキュベートする。
6. 6MのHClを50μL添加する。37℃で約0.5時間インキュベートする。
7. Oasis(登録商標)MAX Elutionプレート(ウォーターズ社、Milford MA)を用いて、全血漿消化物の500μLをSPEに供する。
8. 500μLの血清/血漿消化を100μLの8%のH3PO4と混合する。
9. Oasis(登録商標)MAX ElutionSPEプレートを200μLのMeOHで調整する。
10. Oasis(登録商標)MAX ElutionSPEプレートを200μLのH2Oで平衡化する。
11. Oasis(登録商標)MAX ElutionSPEプレート上に希釈した血清/血漿消化物をロードする(2×300μLのアリコート)。サンプルが滴下方式でベッドを通過できるようにちょうど十分な真空を適用する。
12. 5%のNH4OHの200μLで洗浄する。
13. 20%のアセトニトリルの200μLで洗浄する。
14.中程度の真空下で(2×25μL)の75:25:1のアセトニトリル/水/ TFA、v/v/vにより溶出する。
15. 水200μLを加え、プレートを密封する。約30秒間ボルテックスする。
16. SPE溶出液の最終容量は約250μLである。この抽出物の25μLを直接注入する。
【0193】
実施例4 免疫沈降プロトコル
1. 全てのビーズが均一に懸濁されるように、プロテインAビーズ懸濁液をゆっくりと混合する。
2. ポリプロピレンチューブ中の浮遊ビーズの必要な量をピペッティングする。外部磁石の助けを借りて、貯蔵緩衝液からビーズを分離し、ビーズを乱すことなくピペットにより貯蔵緩衝液を除去する。(注:ウェル当たりに必要な25−μLのビーズ容量に基づいて、必要なビーズ容量を計算する)。
3. 初期のビーズ容量に等しいポリプロピレンチューブにSN1緩衝液の容量を加える。ビーズがSN1緩衝液に再懸濁されるように簡潔にボルテックスする。
4. 再び外部磁石の助けを借りて、SN1緩衝液からビーズを分離し、ビーズを乱すことなくSN1緩衝液を除去する。
5. 工程3−4を更に2回繰り返す。
6. ビーズを洗浄後、初期のビーズ容量に等しいSN1緩衝液の容量を加える。ビーズがSN1緩衝液に再懸濁されるように簡潔にボルテックスする。洗浄されたビーズ溶液は、使用日に新たに調製すべきである。1時間の洗浄内で使用されない場合は2〜4°で保存すべきである。
7. 血漿サンプルをボルテックスし、マイクロチューブに25μLを分取する。
8. SN1緩衝液50μlで血漿サンプルを希釈する。簡潔にボルテックスする。
9. 96ウェルマイクロタイタープレート内に希釈血漿サンプルの25μLを分取する。
10. 各ウェルにSN1緩衝液125μlを加える。
11. 各ウェルに(工程6からの)洗浄プロテインAビーズを25μL加える。ビーズは添加する前によく溶液に懸濁されていることを確認すること。
12. 接着性封止フィルムでプレートを覆い、タイタープレートシェーカー上で室温で約2時間ゆっくりと振盪する。
13. 外部磁石とプレート洗浄機を使用して磁気ビーズを分離し、上清中の非結合タンパク質を捨てる。プレート洗浄機を使用してSN2緩衝液でビーズを3回洗浄する。ビーズは、各洗浄工程の前にタイタープレートシェーカー上で振盪することによりよく溶液に懸濁されていることを確認すること。
14. 内部標準を含まないブランクを除き、各ウェルに作業内部溶液25μlを加える。内部標準を含まないブランクを含む各ウェルに作業内部標準希釈液25μlを加える。
15. 各ウェルにRapiGest溶液75μlを加える。
16. 各ウェルに0.1MのDTT10μlを加える。接着性封止フィルムでプレートを覆い、タイタープレートシェーカー上で室温で約1分間ゆっくりと振盪する。
17. 約1時間予熱したオーブンで60℃でプレートをインキュベートする。
18. 各ウェルに0.1MのIAA25μlを加える。接着性封止フィルムでプレートを覆い、タイタープレートシェーカー上で室温で約1分間ゆっくりと振盪する。これらの工程は光から保護されて実行されるべきである。アルミホイルでプレートを覆い、約30分間室温でインキュベートする。
19. 各ウェルにトリプシン溶液10μlを加える。接着性封止フィルムでプレートを覆い、タイタープレートシェーカー上で室温で約1分間ゆっくりと振盪する。
20. 約90分予熱したインキュベーター中で37℃でプレートをインキュベートする。
21. 各ウェルに2MのHClを15μl加える。接着性封止フィルムでプレートを覆い、タイタープレートシェーカー上で室温で約1分間ゆっくりと振盪する。
22. 30分予熱したインキュベーター中で37℃でプレートをインキュベートする。
23. 約1分間タイタープレートシェーカー上でゆっくりとプレートを振盪する。Tomtecを用いて、96ウェル、円錐形底回収プレートの上部に配置されたマルチスクリーンHTSフィルタープレートへ各ウェルから溶液を移す。
24. マルチスクリーンHTSフィルタープレート/96ウェルの円錐底回収プレートの組み合わせを3000rpmで5分間遠心分離し、96ウェルの円錐底回収プレート中にろ液を収集する。
25. 96ウェルの円錐底回収プレートを黄色の注入マットで密封し、直接注入する。
【0194】
SN1緩衝液:0.1:5.0:3.0:0.2:91.7:0.1 Tween 20/トリス塩酸塩(1M)/塩化ナトリウム(5M)/EDTA(0.5M)/水/BSA,v/v/v/v/wこの溶液は、Tween20を1mL、1Mのトリス塩酸塩を50.0mL、5Mの塩化ナトリウム溶液を30mL、0.5MのEDTAを2mL、及びウシ血清アルブミンを1.00gを1Lのメスフラスコ中で混合して調製される。次いで容積を水で埋めあわせ、ウシ血清アルブミンを溶解させるために良く混合する。これは最大で1ヶ月2〜8℃で密閉容器中に保存される。
【0195】
SN2緩衝液:5.0:3.0:0.2:91.8 トリス塩酸塩(1M)/塩化ナトリウム(5M)/EDTA(0.5M)/水,v/v/v/v。この溶液は、1Mのトリス塩酸塩を50.0mL、5Mの塩化ナトリウム溶液を30mL、0.5MのEDTAの2mLを1Lのメスフラスコ中で混合して調製される。次いで容積を水で埋めあわせ、良く混合する。これは最大で1ヶ月2〜8℃で密閉容器中に保存される。
【0196】
例示的なHPLC法#1:
例示的なHPLC法#2:
カラム:Waters BioSuite C18 PA−A,3μm,2.1x50mm(部品#188002425)
移動相A:0.1:100ギ酸/水、v/v
移動相B:0.1:75:25ギ酸/アセトニトリル/メタノール,v/v/v
流速:0.20mL/分
勾配:
【0197】
前述の発明は、理解を明確にする目的のために例示および実施例によってある程度詳細に説明してきたが、説明や例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。すべての特許および本明細書に引用される科学文献の開示は、参照によりその全体が援用される。