【実施例】
【0118】
(具体的実施例)
(実施例1および実施例2 5−(3,3−ジメチルブタ−1−イニル)−3−((1S,6R)−N−イソプロピル−4,6−ジメチルシクロヘキサ−3−エンカルボキサミド)チオフェン−2−カルボン酸および5−(3,3−ジメチルブタ−1−イニル)−3−((1R,6R)−N−イソプロピル−4,6−ジメチルシクロヘキサ−3−エンカルボキサミド)チオフェン−2−カルボン酸)
【0119】
【化10】
1mLのピリジン中のメチル5−(3,3−ジメチルブタ−1−イニル)−3−(イソプロピルアミノ)チオフェン−2−カルボキシレート(140mg,0.5mmol)の溶液を、(1R,6R)−4,6−ジメチルシクロヘキサ−3−エンカルボニルクロリド(172mg,1mmol)で処理し、16時間にわたって100℃において密封チューブ中で加熱した。反応混合物を室温へと冷却し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(4g プレパックカラム、0〜20%ヘキサン:酢酸エチルで溶出)によって精製して、得られたジアステレオマーの混合物を分離した。溶出する第1のピークであるメチル5−(3,3−ジメチルブタ−1−イニル)−3−((1S,6R)−N−イソプロピル−4,6−ジメチルシクロヘキサ−3−エンカルボキサミド)チオフェン−2−カルボキシレートをLiOH(5当量,THF/水 1:1)で処理し、HPLCによって精製して、実施例1、5−(3,3−ジメチルブタ−1−イニル)−3−((1S,6R)−N−イソプロピル−4,6−ジメチルシクロヘキサ−3−エンカルボキサミド)チオフェン−2−カルボン酸を得た。MS (m/z):403.0 [M+H]+; HPLC保持時間 8.72分(0.05%トリフルオロ酢酸を含む2〜98%アセトニトリル:水)。溶出する第2のピークであるメチル5−(3,3−ジメチルブタ−1−イニル)−3−((1R,6R)−N−イソプロピル−4,6−ジメチルシクロヘキサ−3−エンカルボキサミド)チオフェン−2−カルボキシレートをLiOH(5当量,THF/水 1:1)で処理し、HPLCによって精製して、実施例2、5−(3,3−ジメチルブタ−1−イニル)−3−((1R,6R)−N−イソプロピル−4,6−ジメチルシクロヘキサ−3−エンカルボキサミド)チオフェン−2−カルボン酸を得た。MS (m/z):403.0 [M+H]+; HPLC保持時間 8.62分(0.05%トリフルオロ酢酸を含む2〜98%アセトニトリル:水)。
【0120】
((1R,6R)−4,6−ジメチル−シクロヘキサ−3−エンカルボン酸クロリドの合成)
【0121】
【化11】
(S)−4−ベンジルオキサゾリジン−2−オン(35g,0.2mol)を、THF(500mL)中に溶解させ、−78℃へと冷却した。この溶液に、ヘキサン中のnBuLiの溶液(80mL,0.2mol)を滴下した。この溶液を、この温度で30分間にわたって撹拌し、次いで、(E)−ブタ−2−エノイルクロリド(19mL,0.2mol)をゆっくりと添加した。冷たいバスを取り外し、この反応物を、室温において1時間撹拌した。反応の完了の際に、飽和NH
4Cl溶液を添加して、反応をクエンチした。大部分のTHFを、真空蒸留下で除去し、混合物を、エーテルとブラインとの間で分配した。Na
2SO
4で乾燥させた後、有機層を濃縮して、粗生成物を得、これを、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中20%EtOAc)によって精製して、白色固体として生成物を得た(39g,79%収率)。
【0122】
【化12】
DCM中の(S,E)−4−ベンジル−3−ブタ−2−エノイルオキサゾリジン−2−オン(34.5g,0.14mol)およびイソプレン(250mL)の溶液を、−78℃に冷却した。この溶液に、トルエン中のEt
2AlClの溶液(100mL,0.18mol)を滴下した。この溶液を−40℃へと加温し、この温度で一晩撹拌した。反応の完了の際に、2N HCl溶液(150mL)を添加して、反応をクエンチした。大部分のDCMを、真空蒸留下で除去し、混合物を、エーテルで抽出した。Na
2SO
4で乾燥させた後、合わせた有機層を濃縮して、粗生成物を得、これを、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中0〜30%EtOAc)によって精製して、結晶性白色固体として生成物(39g,88%収率)を得た。所望の酸クロリドを生成するためのその後の工程を、(1S,6S)−4,6−ジメチル−シクロヘキサ−3−エンカルボン酸クロリドの合成のために記載されたものに類似の様式で行った(以下を参照のこと)。
【0123】
(実施例3および実施例4 5−(3,3−ジメチルブタ−1−イニル−3−((1S,6S)−N−イソプロピル−4,6−ジメチルシクロヘキサ−3−エンカルボキサミド)チオフェン−2−カルボン酸および5−(3,3−ジメチルブタ−1−イニル)−3−((1R,6S)−N−イソプロピル−4,6−ジメチルシクロヘキサ−3−エンカルボキサミド)チオフェン−2−カルボン酸)
【0124】
【化13】
これら化合物を、(1S,6S)−4,6−ジメチル−シクロヘキサ−3−エンカルボン酸クロリドから出発して、実施例1および実施例2に類似の様式で合成した。
【0125】
実施例3:
LC/MS=403(M
++1)
保持時間:2.46分
LC:Thermo Electron Surveyor HPLC
MS:Finnigan LCQ Advantage MAX Mass Spectrometer
カラム:Phenomenex Polar RP 30mm×4.6mm
溶媒:0.1%ギ酸を含むアセトニトリル、0.1%ギ酸を含む水
勾配:0分〜0.1分 5%ACN、0.1分〜1.95分 5%〜100%ACN、1.95分〜3.5分 100%ACN、3.5分〜3.55分 100%〜5%ACN、3.55分〜4分 5%ACN。
【0126】
実施例4:
LC/MS=403(M
++1)
保持時間:2.54分
LC:Thermo Electron Surveyor HPLC
MS:Finnigan LCQ Advantage MAX Mass Spectrometer
カラム:Phenomenex Polar RP 30mm×4.6mm
溶媒:0.1%ギ酸を含むアセトニトリル、0.1%ギ酸を含む水
勾配:0分〜0.1分 5%ACN、0.1分〜1.95分 5%〜100%ACN、1.95分〜3.5分 100%ACN、3.5分〜3.55分 100%〜5%ACN、3.55分〜4分 5%ACN。
【0127】
((1S,6S)−4,6−ジメチル−シクロヘキサ−3−エンカルボン酸クロリドの合成)
【0128】
【化14】
4S−ベンジル−3−(4,6S−ジメチル−シクロヘキサ−3−エン−1S−カルボニル)−オキサゾリジン−2−オン(J. Am. Chem. Soc. 110(4), 1988, 1238−1256に記載される方法に類似の方法において調製)を、THF(1000mL)およびH
2O(350mL)中に溶解させた。この溶液を氷浴中で冷却し、30%H
2O
2(36mL,354mmol)をゆっくりと添加し、続いて、LiOH・H
2O(9.90g,263mmol)を一度に添加した。この反応物を、室温へとゆっくりと加温し、16時間にわたって撹拌した。次いで、この反応物を氷浴中で冷却した。Na
2SO
3(60g,472mmol)をH
2O(400mL)中に溶解させ、上記冷却した反応混合物に非常にゆっくりと添加した。この溶液を1時間にわたって撹拌し、その層を分離した。その有機物を、減圧下で除去した。その水性物を、その有機濃縮物に添加し戻し、混合物をCH
2Cl
2で抽出した(2×50mL)。水相のpHを、水性濃HClをゆっくりと添加することによって2へと調節した。水性物を、EtOAcで抽出し(4×300mL)、合わせた抽出物をNa
2SO
4で乾燥させた。減圧下での有機物の除去およびヘキサンでの同時エバポレーションから、(1S,6S)−4,6−ジメチル−シクロヘキサ−3−エンカルボン酸(14.14g,78%)を白色固体として得た。
【0129】
4,6−S−ジメチル−シクロヘキサ−3−エン−1S−カルボン酸(944mg,6.17mmol)を、CH
2Cl
2(10mL)中に溶解させ、DMF(20μL)を添加した。この溶液を0℃へと冷却し、次いで、(COCl)
2(700μL,7.38mmol)をゆっくりと添加した。この反応物を氷浴中で1時間にわたって撹拌し、次いで、濃縮した。その残渣を、ヘキサン中に溶かし、濃縮した。このヘキサン同時エバポレーションをもう一度反復した。得られた酸クロリドを、さらに精製することなく使用した。
【0130】
(実施例5 (S)−5−(3,3−ジメチルブタ−1−イニル)−3−(N−イソプロピル−4−メチルシクロヘキサ−3−エンカルボキサミド)チオフェン−2−カルボン酸
【0131】
【化15】
ジクロロメタン(20mL)およびヘキサン(3mL)中のアクリル酸4,4−ジメチル−2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル(R)(2.92g,15.9mmol)を−10℃へと冷却し、四塩化チタン(2.4mL,ジクロロメタン中2.4M,2.4mmol)で処理した。その赤い溶液を、15分間にわたって撹拌し、イソプレン(2.4mL,23.8mmol)を5分間にわたって滴下して処理した。1.5時間にわたって撹拌した後、さらなるイソプレン(2.4mL,23.8mmol)を添加し、反応混合物を−10〜0℃において2.5時間にわたって撹拌した。−10℃へと冷却した後、反応混合物を塩化アンモニウム(飽和水溶液)でクエンチした。水および酢酸エチル:ヘキサン(1:1)を添加した。有機層を分離し、水層を酢酸エチル:ヘキサン(1:1)で再び抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。その残渣をフラッシュクロマトグラフィー(10〜40%EtOAc:Hex, 80gカラム)によって精製して、3.35g(84%収率)の4−メチル−シクロヘキサ−3−(S)−エンカルボン酸4,4−ジメチル−2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステルを透明油状物として得た。
【0132】
THF(25mL)、水(2.5mL)およびメタノール(2.5mL)中の4−メチル−シクロヘキサ−3−(S)−エンカルボン酸4,4−ジメチル−2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル(3.34g,13.2mmol)を、水酸化リチウム一水和物(2.8g,66.2mmol)で処理し、撹拌しながら50℃へと加温した。1時間後、反応混合物を1M HCl(約25mL)で処理した。混合物をヘキサン:酢酸エチル(200mL:15mL)で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、2.4gの白色半固体へと濃縮した。その残渣をヘキサン:ジクロロメタン(100mL,95:5)中に再度溶解させ、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、1.68g(91%収率)の4−メチル−シクロヘキサ−3−エンカルボン酸(S)を白色粉末へと濃縮した。
【0133】
【化16】
ジクロロメタン(150mL)中のメチル3−アミノ−5−(3,3−ジメチルブタ−1−イニル)チオフェン−2−カルボキシレート(WO 2008058393を参照のこと)(12.0g,50.6mmol)を、冷水バス(12℃)の中に入れ、約6分間にわたって2−メトキシプロパ−1−エン(14.6mL,152mmol)を滴下して処理し、続いて、酢酸(8.7mL)を約5分間にわたって滴下して処理した。ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(16.1g,152mmol)を、約30分間にわたって少量ずつ加えた。反応混合物を周囲温度へと加温し、16時間にわたって撹拌した。得られた淡橙色溶液を冷炭酸水素ナトリウム(飽和水溶液,200mL)に注いだ。有機層を分離し、水層をジクロロメタンで2回抽出した(各々150mL)。合わせた有機層を、炭酸水素ナトリウム(飽和水溶液)およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム(無水物)で乾燥させ、濾過し、橙色油状物へと濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(0〜15%EtOAc:Hex)により、13.0g(92%収率)の所望のメチル5−(3,3−ジメチルブタ−1−イニル)−3−(イソプロピルアミド)チオフェン−2−カルボキシレートを淡黄色油状物として得、これを、静置して固化したところワックス状の結晶性固体になり、その後の工程において使用した。
【0134】
【化17】
4−メチル−シクロヘキサ−3−エンカルボン酸(S)(100mg,0.71mmol)(トルエンからのエバポレーションによって共沸で乾燥)を、リン酸三カリウム(303mg,2.1mmol)で処理し、ジクロロメタン(2mL)中に懸濁させ、ジメチルホルムアミド(1滴)で処理した。反応混合物を0℃へと冷却し、塩化オキサリル(0.2mL,1.4mmol)を滴下して処理した。反応混合物を、2時間撹拌しながら周囲温度へと加温した。その固体を濾過した後、この溶液を濃縮し、ヘキサンで処理し、再び濃縮して、4−メチル−シクロヘキサ−3−エンカルボニルクロリド(S)を淡黄色油状物として得、これを、次の工程において直ぐに使用した。
【0135】
4−メチル−シクロヘキサ−3−エンカルボニルクロリド(S)(0.71mmol)、メチル5−(3,3−ジメチルブタ−1−イニル)−3−(イソプロピルアミノ)チオフェン−2−カルボキシレート(80mg,0.29mmol)およびリン酸三カリウム(152mg,0.71mmol)を、ジクロロエタン(0.75mL)中に懸濁し、ふたで密封し、90℃へと加熱した。16時間後、反応混合物を冷却し、酢酸エチルと水との間で分配した。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで再び抽出した。合わせた有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(10〜35%EtOAc:ヘキサン)により、59mg(51%収率)の所望の(S)−メチル5−(3,3−ジメチルブタ−1−イニル)−3−(N−イソプロピル−4−メチルシクロヘキサ−3−エンカルボキサミド)チオフェン−2−カルボキシレートを白色泡沫物として得た。
【0136】
(S)−メチル5−(3,3−ジメチルブタ−1−イニル)−3−(N−イソプロピル−4−メチルシクロヘキサ−3−エンカルボキサミド)チオフェン−2−カルボキシレート(123mg,0.31mmol)を、THF(2mL)中に溶解させた。水(0.5mL)、メタノール(0.5mL)および水酸化リチウム(129mg,3.1mmol)を添加した。混合物を密封し、45℃へと30分間加熱した。周囲温度でさらに1時間後、混合物を10%HClで(pHが3未満になるまで)処理し、水と酢酸エチルとの間で分配した。有機層を分離し、硫酸ナトリウム(無水物)で乾燥させ、その残渣を逆相HPLCによって精製して、標題化合物41mg(35%収率)を得た。MS (m/z):388.0 [M+H]+;HPLC保持時間 4.59分(0.05%トリフルオロ酢酸を含む2〜98%アセトニトリル:水)。
【0137】
(実施例6 (R)−5−(3,3−ジメチルブタ−1−イニル)−3−(N−イソプロピル−4−メチルシクロヘキサ−3−エンカルボキサミド)チオフェン−2−カルボン酸)
【0138】
【化18】
標題化合物を、アクリル酸4,4−ジメチル−2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル(R)の代わりに、アクリル酸4,4−ジメチル−2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル(S)を使用して、実施例5に類似の様式で調製した。MS (m/z):388.0 [M+H]+;HPLC保持時間 4.59分(0.05%トリフルオロ酢酸を含む2〜98%アセトニトリル:水)。
【0139】
アクリル酸4,4−ジメチル−2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル(R)を、以下の様式で調製した。ジクロロメタン(25mL)中の3−(S)−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−ジヒドロ−フラン−2−オン(2.60g,20mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(5.2mL,30mmol)の溶液を−10℃へと冷却し、アクリロイルクロリド(2.03mL,25mmol)を滴下して処理し、2時間にわたって撹拌した。1M HCl(20mL)を添加し、有機層を、炭酸水素ナトリウムおよび水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(10〜40%EtOAc,ヘキサン)により、2.09g(57%収率)の所望のアクリル酸4,4−ジメチル−2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル(R)を透明油状物として得た。
【0140】
(実施例7 5−(3,3−ジメチルブタ−1−イニル)−3−((1S,6S)−N−((1r,4S)−4−ヒドロキシシクロヘキシル)−4,6−ジメチルシクロヘキサ−3−エンカルボキサミド)チオフェン−2−カルボン酸)
【0141】
【化19】
(1S,6S)−4,6−ジメチル−シクロヘキサ−3−エン−カルボン酸(3.04g,19.7mmol)を、CH
2Cl
2(30mL)中に溶解させ、DMF(20μL)を添加した。この溶液を0℃へと冷却し、次いで、(COCl)
2(3.7mL,39mmol)をゆっくりと添加した。この反応物を氷浴中で2時間にわたって撹拌し、次いで、濃縮した。その残渣をヘキサン中に溶かし、濃縮した。このヘキサン同時エバポレーションをもう一度反復した。その残渣に、[5−(3,3−ジメチル−ブタ−1−イニル)−チオフェン−3−イル]−(1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカ−8−イル)−アミン(4.16g,13mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(4.5mL,26mmol)、および1,2−ジクロロエタン(40mL)を0℃において添加した。この溶液を室温へと加温し、一晩撹拌した。この反応物をCH
2Cl
2で希釈し、飽和NH
4Cl(水溶液)で2回洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮し、0〜75%EtOAc/ヘキサンの混合物で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、(1S,6S)−4,6−ジメチル−シクロヘキサ−3−エン−カルボン酸[5−(3,3−ジメチル−ブタ−1−イニル)−チオフェン−3−イル]−(1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカ−8−イル)−アミド(5.6g,12mmol)を単一異性体として得た。
【0142】
(1S,6S)−4,6−ジメチル−シクロヘキサ−3−エン−カルボン酸[5−(3,3−ジメチル−ブタ−1−イニル)−チオフェン−3−イル]−(1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカ−8−イル)−アミド(5.6g,12mmol)を、THF(70mL)中に溶解させ、4M HCl(35mL)で処理した。反応混合物を、45℃へと加熱し、2.5時間にわたって撹拌した。THFを真空中で除去し、水層を酢酸エチルへと3回抽出した。合わせた有機層を、飽和NaHCO
3(水溶液)、水、およびブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、(1S,6S)−4,6−ジメチル−シクロヘキサ−3−エン−カルボン酸[5−(3,3−ジメチル−ブタ−1−イニル)−チオフェン−3−イル]−(4−オキソ−シクロヘキシル)−アミド(5.05g,12mmol)を得た。
【0143】
MeOH(100mL)中の(1S,6S)−4,6−ジメチル−シクロヘキサ−3−エン−カルボン酸[5−(3,3−ジメチル−ブタ−1−イニル)−チオフェン−3−イル]−(4−オキソ−シクロヘキシル)−アミド(2.0g,4.9mmol)を、0℃において水素化ホウ素ナトリウム(230mg,6.0mmol)で処理した。30分間撹拌した後、4M HCl(6mL)を添加し、反応混合物を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO
3(水溶液)、ブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(20〜60%酢酸エチル/ヘキサン)により、所望の(1S,6S)−4,6−ジメチル−シクロヘキサ−3−エン−カルボン酸[5−(3,3−ジメチル−ブタ−1−イニル)−チオフェン−3−イル]−(trans−4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−アミド(1.74g,4.2mmol)を得た。
【0144】
THF(50mL)中の(1S,6S)−4,6−ジメチル−シクロヘキサ−3−エン−カルボン酸[5−(3,3−ジメチル−ブタ−1−イニル)−チオフェン−3−イル]−(trans−4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−アミド(1.74g,4.2mmol)を、−78℃へと冷却し、リチウムジイソプロピルアミン(8.4mL,ヘプタン/THF/PhEt中2.0M,16.8mmol)で処理し、2時間をかけて0℃へと加温した。CO
2を、この反応溶液に10分間にわたって激しく泡立てた。次いで、反応を、iPrOHを添加することによってクエンチし、酢酸エチルで希釈し、飽和NH
4Cl(水溶液)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(0〜100%酢酸エチル/ジクロロメタン)により、530mg(1.2mmol)の標題化合物を得た。MS (m/z):458.1 [M+H]+;HPLC保持時間(Geminiカラム) 4.35分(0.05%トリフルオロ酢酸を含む2〜98%アセトニトリル:水)。
【0145】
(実施例8 5−(3,3−ジメチルブタ−1−イニル−3−((R)−N−((1r,4R)−4−ヒドロキシシクロヘキシル)−4−メチルシクロヘキサ−3−エンカルボキサミド)チオフェン−2−カルボン酸)
【0146】
【化20】
(R)−メチル5−(3,3−ジメチルブタ−1−イニル)−3−(4−メチル−N−(4−オキソシクロヘキシル)シクロヘキサ−3−エンカルボキサミド)チオフェン−2−カルボキシレート(US11/21335を参照のこと)(250mg,0.55mmol)を、テトラヒドロフラン(4mL)および水(0.4mL)の混合物中に溶解させ、0℃へと冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(21mg,0.55mmol)で処理した。30分間にわたって撹拌した後、混合物を、10%HCl水溶液(4mL)を滴下して処理し、さらに15分間撹拌した。水(10mL)を添加し、この混合物を、酢酸エチルで2回抽出し、乾燥させ、濃縮して、所望のメチル5−(3,3−ジメチルブタ−1−イニル)−3−((R)−N−((1r,4R)−4−ヒドロキシシクロヘキシル)−4−メチルシクロヘキサ−3−エンカルボキサミド)チオフェン−2−カルボキシレートを得、これを、次の工程へと粗製のまま使用した。
【0147】
メチル5−(3,3−ジメチルブタ−1−イニル)−3−((R)−N−((1r,4R)−4−ヒドロキシシクロヘキシル)−4−メチルシクロヘキサ−3−エンカルボキサミド)チオフェン−2−カルボキシレート(0.55mmol)を、THF(4mL)中に溶解させた。水(1mL)、メタノール(1mL)および水酸化リチウム(234mg,5.6mmol)を添加した。混合物を密封し、45℃へと30分間にわたって加熱した。周囲温度でさらに1時間後、この混合物を、10%HClで(pHが3未満になるまで)処理し、水と酢酸エチルとの間で分配した。有機層を分離し、硫酸ナトリウム(無水物)で乾燥させ、その残渣を、逆相HPLCによって精製して、標題化合物50mg(20%収率)を得た。MS (m/z):444.0 [M+H]+;HPLC保持時間 4.15分(0.05%トリフルオロ酢酸を含む2〜98%アセトニトリル:水)。
【0148】
(比較実施例)
(比較実施例1 5−(3,3−ジメチルブタ−1−イニル)−3−((1r,4r)−Ν−イソプロピル−4−メチルシクロヘキサンカルボキサミド)チオフェン−2−カルボン酸)
【0149】
【化21】
標題化合物の合成は、WO2006/072347(実施例1)に記載される。
【0150】
(比較実施例2 5−(3,3−ジメチルブタ−1−イニル)−3−((1r,4R)−N−((1r,4R)−4−ヒドロキシシクロヘキシル)−4−メチルシクロヘキサンカルボキサミド)チオフェン−2−カルボン酸)
【0151】
【化22】
標題化合物の合成は、WO08/58393(実施例1)に記載される。
【0152】
(比較実施例3 5−(3,3−ジメチルブタ−1−イニル)−3−((1S,2S,4S)−N−イソプロピル−2,4−ジメチルシクロヘキサンカルボキサミド)チオフェン−2−カルボン酸)
【0153】
【化23】
(1S,2S,4S)−2,4−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸の合成
【0154】
【化24】
(S)−4−ベンジルオキサゾリジン−2−オン(35g,0.2mol)をTHF(500mL)中に溶解させ、−78℃へと冷却した、ヘキサン中のnBuLiの溶液(80mL,0.2mol)を、滴下した。この溶液を、この温度で30分間にわたって撹拌し、次いで、(E)−ブタ−2−エノイルクロリド(19mL,0.2mol)をゆっくりと添加した。冷却浴を取り外し、この反応物を室温において1時間にわたって撹拌し、その際に、飽和NH
4Cl溶液(200mL)を添加した。THFの大部分を真空下で除去し、この混合物を、エーテルとブラインとの間で分配した。Na
2SO
4で乾燥させた後、有機層を濃縮し、その残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中20%EtOAc)によって精製して、所望の生成物を白色固体として得た(39g,79%収率)。
【0155】
【化25】
DCM中の(S,E)−4−ベンジル−3−ブタ−2−エノイルオキサゾリジン−2−オン(34.5g,0.14mol)およびイソプレン(250mL)の溶液を、−78℃へと冷却した。この溶液に、トルエン中のEt
2AlClの溶液(100mL,0.18mol)を滴下した。この溶液を−40℃へと加温し、この温度で一晩撹拌した。2N HCl溶液(150mL)を添加した。DCMの大部分を真空下で除去し、混合物をエーテルで抽出した。Na
2SO
4で乾燥させた後、合わせた有機層を濃縮し、その残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中0〜30%EtOAc)によって精製して、所望の生成物(39g,88%収率)を結晶性白色固体として得た。
【0156】
【化26】
H
2雰囲気(1atm)下でEtOH(50mL)中の(S)−4−ベンジル−3−((1S,6S)−4,6−ジメチルシクロヘキサ−3−エンカルボニル)オキサゾリジン−2−オン(6g,19.1mmol)および10%Pd/C(500mg)の混合物を、室温で一晩撹拌した。反応混合物を珪藻土のパッドを通して濾過し、濃縮して、ジアステレオマーの3:1混合物を得、これを、分取用キラルカラムクロマトグラフィー(Chiralcel OD−H(20cm×250cm;半分取):保持時間:24分、33分(主要)(80:20 ヘプタン:エタノール))によって分離したところ、(S)−4−ベンジル−3−((1S,2S,4S)−2,4−ジメチルシクロヘキサンカルボニル)オキサゾリジン−2−オン(2.3g,38%)を得た。
【0157】
【化27】
0℃において、THF(30mL)および水(10L)中の(S)−4−ベンジル−3−((1S,2S,4S)−2,4−ジメチルシクロヘキサンカルボニル)オキサゾリジン−2−オン(1.5g,4.75mmol)の溶液に、30%H
2O
2(3.7mL)を滴下し、続いて、水酸化リチウム一水和物(0.4g,9.5mmol)を一度に添加した。得られた溶液を室温において一晩撹拌した。水(20mL)中のNa
2SO
3(6g)を0℃においてゆっくりと添加し、続いて、飽和NaHCO
3(15mL)を添加した。THFを、真空中で除去した。その残渣を、DCMで抽出した(2×25mL)。合わせた抽出物を、飽和NaHCO
3(25mL)で抽出し戻した。合わせた水相のpHを、濃HClでpH=1へと調節した。次いで、その水性混合物をEtOAc(5×25mL)で抽出し、Na
2SO
4で乾燥させ、濃縮して、粗生成物(0.76g)を白色固体として得、これを、さらに精製することなく使用した。
【0158】
(5−(3,3−ジメチルブタ−1−イニル)−3−((1S,2S,4S)−N−イソプロピル−2,4−ジメチルシクロヘキサンカルボキサミド)チオフェン−2−カルボン酸の合成)
【0159】
【化28】
EtOAc(5mL)中のカルボン酸(200mg,1.3mmol)およびDMF(1滴)の溶液に、塩化オキサリル(0.3mL,3.45mmol)を室温において添加した。反応物を、2時間にわたって撹拌し、その揮発性物質を、真空中で除去した。次いで、DCE(1mL)中の5−(3,3−ジメチルブタ−1−イニル)−N−イソプロピルチオフェン−3−アミン(170mg,0.77mmol)およびDIEA(0.3mL)の溶液を添加した。この反応物を一晩撹拌した。この混合物をEtOAc(150mL)へと注ぎ、その有機物を、飽和NaHCO
3(2×50mL)およびブライン(50mL)で洗浄した。Na
2SO
4で乾燥させた後、有機層を濃縮し、その残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中0〜20%EtOAc)によって精製して、所望の生成物(116mg,25%収率)を濃色油状物として得た。
【0160】
【化29】
前の工程のアミド(116mg,0.32mmol,1.0当量)を、50mL二口丸底フラスコの中でTHF(5mL)中に溶解させた。この溶液を、アセトン−ドライアイスバスの中で−78℃へと冷却した。この溶液に、LDA(0.5mL,0.96mmol,3.0当量)を、内部温度を−70℃より低く維持しながら、シリンジを介して滴下した。添加後、この溶液を−78℃において2時間にわたって撹拌した。CO
2を3分間にわたって溶液の中へ通気した。1.0mL IPAを、反応物に添加し、続いて、30mL 10%クエン酸を添加した。
【0161】
この混合物を、EtOAc(100mL)へと注ぎ、有機物を、10%クエン酸(2×30mL)およびブライン(100mL)で洗浄した。Na
2SO
4で乾燥させ、真空中で乾燥するまで濃縮した後、その残渣を、逆相HPLCによって精製して、生成物(45mg,34%収率)を得た。MS (m/z):404.5 [M+H]+;HPLC保持時間 5.18分(0.05%トリフルオロ酢酸を含む2〜98%アセトニトリル:水)。
【0162】
(比較実施例4 5−(3,3−ジメチルブタ−1−イニル)−3−((1R,2R,4R)−N−イソプロピル−2,4−ジメチルシクロヘキサンカルボキサミド)チオフェン−2−カルボン酸)
【0163】
【化30】
(1R,2R,4R)−2,4−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸を、(1S,2S,4S)−2,4−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸の代わりに使用することを除いて、5−(3,3−ジメチルブタ−1−イニル)−3−((1R,2R,4R)−N−イソプロピル−2,4−ジメチル−シクロヘキサンカルボキサミド)チオフェン−2−カルボン酸を、実施例27と類似の様式で調製した。MS (m/z):404.0 [M+H]+;HPLC保持時間 8.75分(0.05%トリフルオロ酢酸を含む2〜98%アセトニトリル:水)。
【0164】
((1R,2R,4R)−2,4−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸の合成)
【0165】
【化31】
EtOH(24mL)中の(R)−4−ベンジル−3−((1R,6R)−4,6−ジメチルシクロヘキサ−3−エン−カルボニル)オキサゾリジン−2−オン(1.5g,4.8mmol)(J. Am. Chem. Soc. 110(4), 1988, 1238−1256)および10%Pd/C(500mg)の混合物を、H
2雰囲気(1atm)下で室温において一晩撹拌した。反応混合物を、珪藻土のパッドを通して濾過し、濃縮して、ジアステレオマーの3:1混合物を得、これを、分取用キラルカラムクロマトグラフィー:Chiral−Pak AD−H(20cm×250cm; 半分取):保持時間:5.11分、6.25分(80:20 ヘプタン:エタノール)によって分離し、所望の化合物(R)−4−ベンジル−3−((1R,2R,4R)−2,4−ジメチルシクロヘキサンカルボニル)オキサゾリジン−2−オン(0.65g)を得た。
【0166】
THF/水(3:1,20mL)中の(R)−4−ベンジル−3−((1R,2R,4R)−2,4−ジメチルシクロヘキサンカルボニル)オキサゾリジン−2−オン(0.65g,2.0mmol)の溶液を、氷浴中で冷却し、30%H
2O
2(1mL,16.5mmol)をゆっくりと添加し、続いて、LiOH・H
2O(s)(0.17g,4.0mmol)を一度に添加した。この反応物を室温へとゆっくりと加温し、16時間にわたって撹拌した。次いで、上記反応物を氷浴中で冷却した。Na
2SO
3の1M溶液を、上記冷却した反応混合物にゆっくりと添加した。この溶液を1時間にわたって撹拌し、その層を分離した。有機物を減圧下で除去した。水性物をその有機性濃縮物に添加し戻し、CH
2Cl
2で洗浄した(2×50mL)。水性溶液のpHを、濃塩酸をゆっくりと添加することで2へと調節した。得られた混合物をEtOAcで抽出し(1×50mL)、Na
2SO
4で乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、ヘキサンと同時エバポレートして、0.300gの(1R,2R,4R)−2,4−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸を白色固体として得た。
【0167】
(生物学的実施例)
(抗ウイルス活性)
本発明の別の局面は、ウイルス感染を阻害する方法に関し、上記方法は、サンプルもしくはこのような阻害が必要であると疑われる被験体を、本発明の組成物で処置する工程を包含する。
【0168】
本発明の状況内で、ウイルスを含むと疑われるサンプルは、天然のもしくは人工の材料(例えば、生きている生物;組織もしくは細胞培養物;生物学的サンプル(例えば、生物学的材料のサンプル(血液、血清、尿、脳脊髄液、涙液、喀痰、唾液、および組織サンプルなど);実験室サンプル;食品、水、もしくは空気サンプル;および生体生成物(bioproduct)サンプル(例えば、細胞、特に、所望の糖タンパク質を合成する組換え細胞の抽出物))などを含む。代表的には、上記サンプルは、ウイルス感染を誘導する生物、頻繁には、腫瘍ウイルスのような病原性生物を含むと疑われる。サンプルは、水および有機溶媒\水混合物を含む任意の媒体中に含まれ得る。サンプルは、生きている生物(例えば、ヒト)および人工材料(例えば、細胞培養物)を含む。
【0169】
所望であれば、組成物の適用後の本発明の化合物の抗ウイルス活性は、このような活性を検出する直接的および間接的な方法を含む任意の方法によって観察され得る。このような活性を決定するための定量的、定性的、および半定量的方法は、全て企図される。代表的には、上記のスクリーニング方法のうちの1つが適用されるが、任意の他の方法(例えば、生きている生物の生理学的特性の観察)もまた、適用可能である。
【0170】
本発明の化合物の抗ウイルス活性は、公知である標準的なスクリーニングプロトコルを使用して測定され得る。例えば、化合物の抗ウイルス活性は、以下の一般的プロトコルを使用して測定され得る。
【0171】
(細胞ベースのフラビウイルス免疫検出アッセイ)
BHK21細胞もしくはA549細胞をトリプシン処理し、計数し、Hams F−12培地(A549細胞)もしくはRPMI−1640培地(BHK21細胞)(2%ウシ胎仔血清(FBS)および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充)の中で2×10
5細胞/mLへと希釈する。2×10
4細胞を、透明な96ウェル組織培養プレートの中で1ウェルあたり分与し、37℃、5%CO
2において一晩配置する。翌日に、上記細胞を、種々の濃度の試験化合物の存在下で、1時間にわたって37℃においておよび5%CO
2、さらに48時間にわたって感染多重度(MOI)0.3でウイルスに感染させる。上記細胞を、PBSで1回洗浄し、冷メタノールで10分間にわたって固定する。PBSで2回洗浄後、上記固定した細胞を、1%FBSおよび0.05%Tween−20を含むPBSで、1時間にわたって室温においてブロックする。次いで、一次抗体溶液(4G2)を、1%FBSおよび0.05%Tween−20を含むPBS中、1:20〜1:100の濃度で、3時間にわたって添加する。次いで、細胞をPBSで3回洗浄し、続いて、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合体化抗マウスIgG(Sigma, 1:2000希釈)で1時間インキュベートする。PBSで3回洗浄した後、50マイクロリットルの3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)基質溶液(Sigma)を、各ウェルに2分間にわたって添加する。上記反応を、0.5M 硫酸を添加することによって停止する。上記プレートを、ウイルス負荷定量のために、450nm吸光度で読み取る。測定後、上記細胞をPBSで3回洗浄し、続いて、ヨウ化プロピジウムで5分間にわたってインキュベートする。プレートを、Tecan Safire(商標)リーダー(励起537nm、発光617nm)において細胞数定量のために読み取る。用量応答曲線を、試験化合物の濃度のlogに対する平均吸光度からプロットする。そのEC
50を、非線形回帰分析によって計算する。陽性コントロール(例えば、N−ノニル−デオキシノジリマイシン)が使用され得る。
【0172】
(細胞ベースのフラビウイルス細胞変性効果アッセイ)
西ナイルウイルスもしくは日本脳炎ウイルスに対して試験するために、BHK21細胞をトリプシン処理し、RPMI−1640培地(2%FBSおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充)中に4×10
5細胞/mLの濃度に希釈する。デングウイルスに対して試験するために、Huh7細胞をトリプシン処理し、DMEM培地(5%FBSおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充)中に4×10
5細胞/mLの濃度へと希釈する。50マイクロリットルの細胞懸濁物(2×10
4細胞)を、96ウェルオプティカルボトムPITポリマーベースのプレート(Nunc)において1ウェルあたり分与する。細胞を、培養培地中、37℃、5%CO
2において一晩増殖させ、次いで、異なる試験化合物濃度の存在下で、MOI=0.3において西ナイルウイルス(例えば、B956株)もしくは日本脳炎ウイルス(例えば、中山株)、もしくはMOI=1においてデングウイルス(例えば、DEN−2 NGC株)を感染させる。上記ウイルスおよび上記化合物を含むプレートを、37℃、5%CO
2において72時間にわたってさらにインキュベートする。インキュベーションの最後に、100マイクロリットルのCellTiter−Glo(商標)試薬を各ウェルに添加する。内容物を、2分間にわたって回転式振盪機(orbital shaker)上で混合して、細胞融解を誘導する。上記プレートを、室温において10分間にわたってインキュベートして、発光シグナルを安定化させる。発光読み取りを、プレートリーダーを使用して記録する。陽性コントロール(例えば、N−ノニル−デオキシノジリマイシン)が使用され得る。
【0173】
(デング感染のマウスモデルにおける抗ウイルス活性)
化合物を、デングウイルス感染のマウスモデル(Schul et al. J. Infectious Dis. 2007; 195:665−74)においてインビボで試験する。6〜10週齢AG129マウス(B&K Universal Ltd, Hll, UK)を、個々に換気したケージの中に収容する。マウスに、0.4mL TSV01デングウイルス2懸濁物を腹腔内注射する。血液サンプルを、眼窩穿刺(retro orbital puncture)によってイソフルラン麻酔下で採取する。血液サンプルを、終濃度 0.4%までクエン酸ナトリウムを含むチューブ中に集め、直ぐに3分間にわたって6000gで遠心分離にかけて、血漿を得る。血漿(20マイクロリットル)を、780マイクロリットルのRPMI−1640培地で希釈し、プラークアッセイ分析のために液体窒素中で急速凍結する。残りの血漿を、サイトカインおよびNS1タンパク質レベル決定のためにとっておく。マウスは、数日にわたって上昇するデングウイルス血症を発症させ、感染後3日目にピークに達する。
【0174】
抗ウイルス活性を試験するために、本発明の化合物を、ビヒクル流体、例えば、10%エタノール、30%PEG 300および60%D5W(水中5%デキストロース;もしくは6N HCl(1.5当量):1N NaOH(3.5にpH調節):100mM クエン酸緩衝液 pH3.5(0.9%v/v:2.5%v/v:96.6%v/v)中に溶解させる。36匹の6〜10週齢AG129マウスを、各々6匹のマウスの6群に分ける。全てのマウスに、上記のようにデングウイルスを感染させる(0日目)。群1には、0.2mg/kgの本発明の化合物を含む200mL/マウスの強制経口投与を0日目に(最初の投与は、デング感染の直前に)開始して、1日に2回(1回は早朝および1回は午後遅く)、3日間連続で行う。群2、3および4を、同じようにして1mg/kg、5mg/kgおよび25mg/kgの上記化合物をそれぞれ投与する。陽性コントロールが使用され得(例えば、(2R,3R,4R,5R)−2−(2−アミノ−6−ヒドロキシ−プリン−9−イル)−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−3,4−ジオール)、先の群と同じようにして、200マイクロリットル/マウスの強制経口投与が行われる。さらなる群を、ビヒクル流体のみで処置する。
【0175】
感染後3日目に、約100マイクロリットル血液サンプル(クエン酸ナトリウムで抗凝固処理)を、イソフルラン麻酔下で眼窩穿刺によってマウスから採取する。血漿を、プラグアッセイ分析のために、遠心分離および液体窒素中での急速凍結によって各血液サンプルから得る。集めた血漿サンプルを、Schulらに記載されるように、プラグアッセイによって分析する。サイトカインもまた、Schulによって記載されるように分析する。NS1タンパク質レベルを、Platelia(商標)キット(BioRad Laboratories)を使用して分析する。抗ウイルス効果は、サイトカインレベルおよび/もしくはNS1タンパク質レベルの低下によって示される。
【0176】
代表的には、約5〜100倍、より代表的には、10〜60倍、最も代表的には、20〜30倍のウイルス血症の低下は、本発明の化合物の5〜50mg/kg bid投与量で得られる。
【0177】
(HCVアッセイプロトコル)
本発明の化合物の抗HCV活性を、HCVレプリコンを有するヒト肝癌Huh−7細胞系において試験した。上記アッセイは、以下の工程を含んだ。
【0178】
(工程1:化合物調製および連続希釈)
384ウェルプレートの中で100%DMSO中で連続希釈を行った。出発の最終連続希釈濃度の225倍濃度で化合物を含む溶液を、100%DMSO中に調製し、15μLを、ポリプロピレン384ウェルプレートの3列目もしくは13列目の予め特定されたウェルに添加した。上記384ウェルプレートの残りには、100%DMSO中の500μM HCVプロテアーゼインヒビター(ITMN−191)10μLを添加した23列目および24列目を除いて、10μL 100%DMSOで満たした。上記HCVプロテアーゼインヒビターを、HCV複製の100%阻害のコントロールとして使用した。次いで、上記プレートを、Biomek FX Workstationに配置して、連続希釈を開始した。連続希釈を、3列目から12列目もしくは13列目から22列目まで、3倍希釈の10サイクルで行った。
【0179】
(工程2:細胞培養プレート調製および化合物添加)
黒色のポリプロピレン384ウェルプレートの各ウェルに、1600個の懸濁したHuh−7 HCVレプリコン細胞を含む細胞培養培地90μLを、Biotek uFlow Workstationを用いて添加した。上記化合物溶液の体積0.4μLを、上記連続希釈プレートから、Biomek FX Workstation上の細胞培養プレートへと移した。最終アッセイ条件でのDMSO濃度は、0.44%であった。上記プレートを、3日間にわたって37℃において、5%CO
2および85%湿度でインキュベートした。
【0180】
(工程3:細胞傷害性およびウイルス複製の阻害の検出)
a)細胞傷害性の評価:上記384ウェル細胞培養プレート中の培地を、Biotek EL405プレート洗浄機で吸引した。100%PBS中に400nM カルセインAMを含む溶液の体積50μLを、Biotek uFlow Workstationを用いて上記プレートの各ウェルに添加した。上記プレートを30分間にわたって室温においてインキュベートし、その後、蛍光シグナル(発光490nm,励起520nm)をPerkin Elmer Envision Plate Readerで測定した。
【0181】
b)ウイルス複製の阻害の評価:384ウェル細胞培養プレート中の上記カルセイン−PBS溶液を、Biotek EL405プレート洗浄機で吸引した。Dual−Gloルシフェラーゼ緩衝液(Promega, Dual−Glo Luciferase Assay Reagent, cat. #E298B)の体積20μLを、Biotek uFlow Workstationを用いて上記プレートの各ウェルに添加した。上記プレートを、10分間にわたって室温においてインキュベートした。次いで、Dual−Glo Stop & Glo基質(Promega, Dual−Glo Luciferase Assay Reagent, cat. #E313B)およびDual−Glo Stop & Glo緩衝液(Promega, Dual−Glo Luciferase Assay Reagent, cat. #E314B)の1:100混合物を含む溶液の体積20μLを、Biotek uFlow Workstationを用いて上記プレートの各ウェルに添加した。上記プレートを室温において10分間にわたってインキュベートし、その後、上記発光シグナルを、Perkin Elmer Envision Plate Readerで測定した。
【0182】
(工程4:計算)
細胞傷害性%を、蛍光生成物へのカルセインAM変換によって決定した。上記DMSOコントロールウェルの平均蛍光シグナルを、100%非毒性として定義した。試験化合物処理ウェルの個々の蛍光シグナルを、DMSOコントロールウェルの平均シグナルで割り、次いで、100%をかけて、生存性%を得た。抗HCV複製活性%を、DMSOコントロールウェルと比較して、上記試験ウェルの発光シグナルによって決定した。バックグラウンドシグナルを、上記HCVプロテアーゼインヒビター処理ウェルの平均蛍光シグナルによって決定し、上記試験ウェルおよび上記DMSOコントロールウェルのシグナルから差し引いた。3倍連続希釈後に、そのEC
50値およびCC
50値を、各濃度における阻害%を以下の式にフィットさせることによって計算した。
【0183】
阻害%=100%/[(EC
50/[l])
b+1]
ここでbは、ヒル係数である。例えば、Hill, A. V., The Possible Effects of the Aggregation of the Molecules of Haemoglobin on its Dissociation Curves, J.Physiol. 40:iv−vii. (1910)を参照のこと。
【0184】
特定の濃度(例えば、2μM)における阻害値%はまた、上の式から得ることができる。
【0185】
試験される場合、本発明の特定の化合物は、表1に列挙されるように、ウイルス複製を阻害することが分かった:
【0186】
【表1-2】
(HCV一過性トランスフェクションアッセイプロトコル)
細胞系。 Huh−lunet(HCV複製について非常に許容性のHuh−7クローン)を、ReBLikon GmbH(Mainz, Germany)から得た。Huh−lunet細胞を、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM; GIBCO, Carlsbad, CA)(10%ウシ胎仔血清(FBS; Hyclone, Logan, UT)を補充)において維持した。細胞を、37℃において、加湿インキュベーター(85%湿度)中、および5%CO
2雰囲気下で維持した。
【0187】
一過性トランスフェクションレプリコンアッセイを使用する薬物感受性決定。 PI−hRluc(ポリオIRESの下流にRenillaルシフェラーゼ遺伝子およびEMCV IRESの下流に遺伝子型1b(Con−1株)HCV非構造遺伝子(NS3−NS5B)をコードするバイシストロニックレプリコン)を、一過性トランスフェクション研究のために使用した。上記プラスミドpPI−hRlucを、プラスミドpFKI341 PI−Luc/NS3−3’/ET(これは、遺伝子型1b(Con−1株)サブゲノムレプリコンをコードする)から生成し、ReBLikon{11239}から得た。上記hRluc遺伝子を、pF9 CMV hRluc−neo Flexi(R)(Promega, Madison, WI)から、Accuprime Super Mix I (Invitrogen, Carlsbad, CA)ならびにプライマーPV_Rluc_Topおよび3’−Rluc(NotI)を使用するPCRによってPCR増幅した。これら2種のプライマーは、以下の配列を有し、その後のクローニングのために制限部位を有する。
【0188】
【化32】
上記T7プロモーター、5’UTRおよびポリオウイルスIRESを、プラスミドpFKI341 PI−Luc/NS3−3’/ETから、プライマー5’−P7(SbfI)およびPV_Rluc_Bottomを使用してPCR増幅した。これら2種のプライマ−は、以下の配列を有し、その後のクローニングのための制限部位を有する。
【0189】
【化33】
次いで、2つの上の反応からのその後のPCRフラグメントを、オーバーラッピングPCR(overlapping PCR)ならびにプライマー5’−P7(SbfI)および3’−Rluc(NotI)を使用して一つに結合した。完成したP7−5’UTR−ポリオウイルスIRES−hRluc増幅生成物を、pCR2.1−TOPOへとサブクローニングした。得られたプラスミドを、SbfIおよびNotIで消化し、切り出したフラグメント(P7−5’UTR−ポリオウイルスIRES−hRluc)を、T4 DNAリガーゼを使用して連結し、pFKI341 PI−Luc/NS3−3’/ETを同じ酵素で消化した。得られたベクターpPI−hRlucを配列決定して、正確な配向および上記プラスミドのP75’UTR−ポリオウイルスIRES−hRluc領域の配列を確認した。NS5B M423T変異を、上記PI−hRlucレプリコンをコードするプラスミドの中に、製造業者の使用説明書(Stratagene, La Jolla, CA)に従って、QuikChange II XL変異誘発キットを使用して導入した。上記変異をDNA配列決定によって確認した。レプリコンRNAを、インビトロで上記レプリコンコードプラスミドから、MEGAscriptキット(Ambion, Austin, TX)を使用して転写した。RNAを、Huh−lunet細胞へと、Lohmannらの方法を使用してトランスフェクトした。簡潔には、細胞をトリプシン処理し、PBSで2回洗浄した。400μLのPBS中の4×10
6細胞の懸濁物を、5μgのRNAと混合し、960μFおよび270Vの設定を使用してエレクトポレーションに供した。細胞を、40mLの予め温めておいた培養培地の中に移し、次いで、96ウェルプレートに播種した(100μL/ウェル)。化合物を100%DMSO中に3倍連続希釈し、1:200希釈において細胞に添加し、総体積200μL/ウェル中の最終DMSO濃度0.5%を達成した。細胞を3日間にわたって処理し、その後、培養培地を除去し、細胞を溶解させ、Renillaルシフェラーゼ活性を、市販のアッセイ(Promega)およびTop Count機器(Perkin Elmer, Waltham, MA)を使用して定量した。
【0190】
データ分析。 データを、未処理コントロール(100%として定義した)に対するパーセンテージへと変換し、EC
50値を、2つの反復データセットの非線形回帰によって、XLfit 4ソフトウェア(IDBS, Emeryville, CA)を使用して計算した。耐性倍数変化を、変異体対野生型レプリコンのEC
50の比として計算した。結果を表2に示す。
【0191】
【表2】
(結合親和性測定)
認識されるように、結合親和性の直接測定は、低分子薬物と、密接に関連するタンパク質の結合ポケットとの相互作用を決定するための感度の高い方法、よって、比較阻害効果に対して繊細な構造改変の効果を提供する。以下に記載される方法および表3に列挙される結果は、本発明の化合物が、野生型NS5Bへの類似もしくは増強された結合親和性を示すのみならず、式Iのシクロヘキセニル環における不飽和の存在が、付加されたメチル置換基と組み合わせて、M423T変異体に対する結合親和性の驚くべき保持を付与する(これは、慢性感染したHCV患者の、初期のNS5B親指サイト(thumb site)IIインヒビターでの処置の際に医院において生じる)(Wagner, F., Thompson, R. et al., Antiviral Activity of the Hepatitis C Virus Polymerase Inhibitor Filibuvir in Genotype 1 Infected Patients, Hepatology, 2011 ; Jiang, M., Ardzinski, A. et al, Characterization of HCV variants selected in genotype 1 patients who received 3 day monotherapy with VX−222, a non−nucleoside polymerase inhibitor, 17
th international meeting on hepatitis C virus and related viruses, September 2010, Yokohama, Japan)こともまた、実証する。結合親和性における最小限の倍数差異を有する化合物は、特定の臨床的有用性を有し得る。
【0192】
NS5Bでのインビトロ研究は、NS5bタンパク質の可溶性の、21残基C末端短縮形態を使用した(アミノ酸1〜570;GT−1b;野生型および変異体M423T)。Hung, M., Wang, R., Liu, X.:’Preparation of HCV NS3 and NS5B to support small molecule drug discovery’, Current Protocols in Pharmacology, 2011(印刷中)を参照のこと。表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して、タンパク質構築物への本明細書に記載される化合物の結合親和性を測定した。標準的なアミンカップリングを使用して、約2500RUの固定化レベルまで、10mM 酢酸ナトリウム pH 5.5緩衝液を使用して、Biacore CM5センサーチップの表面に上記タンパク質を連結した。泳動緩衝液(50mM Hepes pH 7.5、5mM MgCl
2、10mM KCl、1mM EDTA、1mM TCEP、0.01%P20, 5%DMSO)中で、25℃においてBiacore T100システムを使用して実験を行った。化合物を、100μl・分
−1の流速で、60秒間の会合相および5分間の解離相を使用して、162nMで出発して8種の濃度の3倍濃度希釈シリーズにおいて試験した。各結合サイクルの終わりに、40μl・分
−1での緩衝液(10mM 四ホウ酸ナトリウム、1M NaCl, pH8.5)の3秒間注入を、NS5B表面になお結合した化合物を除去するために再生工程として使用した。応答データを、以下の手順を使用して加工処理した:X方向およびY方向に並べた注入物。参照表面および緩衝液注入の両方を使用して二重参照し、排除体積効果に対するDMSO較正。加工処理したデータを、非線形最小二乗分析法と、物質輸送との1:1結合モデルのグローバルフィット(global fit)を使用して分析した。結果を、表3にまとめる。
【0193】
【表3】
観察される具体的薬理学的応答は、選択される上記特定の活性化合物もしくは薬学的キャリアが存在するかどうか、ならびに処方物のタイプおよび使用される投与様式に従っておよび依存して変わり得、結果におけるこのような予測されるバリエーションもしくは差異は、本発明の実施に従って企図される。
【0194】
本発明の具体的実施形態が本明細書で詳細に例示され記載されているものの、本発明は、これらに限定されない。上記の詳細な説明は、本発明の例示として提供され、本発明の何らかの限定を構成すると解釈されるべきではない。改変は、当業者に明らかであり、本発明の趣旨から逸脱しない全ての改変は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。