【実施例1】
【0023】
A.紙幣取扱装置の構成
図1は、この発明の実施形態である紙幣取扱装置100の概略構成を示す側断面図である。この紙幣取扱装置100は、銀行などの金融機関によって管理され、利用者(金融機関の係員)の操作に応じて各種取引を行うための装置である。紙幣取扱装置100の上部には、取引される紙幣の処理機構101が配置され、下部には紙幣の収納機構102が配置される。
【0024】
処理機構101には、利用者との紙幣の授受に必要な機構が集められている。処理機構101は、紙幣入出金口40と、紙幣判別部30と、入金リジェクト庫60と、制御部16とを備えている。なお、制御部16については、技術の理解を容易にするため、
図1において省略している。
【0025】
紙幣入出金口40と紙幣判別部30は、搬送路40a、10e、10dで結ばれている。紙幣判別部30と入金リジェクト庫60は、搬送路10a、50a、50b、60aで結ばれている。なお、ゲート14とゲート15を切り換えて、搬送路10e、10f、50bを結ぶことも可能である。
【0026】
処理機構101の前方には、利用者が紙幣の投入及び取り出しを行う紙幣入出金口40が配置されている。なお、本明細書において、
図1に示すように、前方とは、紙幣取扱装置100に対して、紙幣取扱装置100の利用時に利用者が位置する側(矢印Fで示す方向)をいい、後方とは、前方とは逆の側(矢印Bで示す方向)をいう。また、左右方向とは、前側から後側に向かう向きに立ったときの左右方向をいう。紙幣は、紙幣の長辺が左右方向に平行であり、短辺が前後方向に平行である向きに、利用者によって紙幣入出金口40に投入される。紙幣取扱装置100内から紙幣が紙幣入出金口40に排出するときも同様である。
【0027】
紙幣入出金口40から搬送路40a、10e、10dを通過した紙幣は、紙幣の判別を行う紙幣判別部30内の搬送路30aを通過する。紙幣判別部30は、搬送路10d、あるいは、搬送路10aより紙幣判別部30に搬送されてきた各紙幣について、(i)金種、(ii)真偽、(iii)リジェクト紙幣であるか否かを判別し、その判別結果を制御部16に出力する。なお、「リジェクト紙幣」とは、取引に供すべきでない紙幣をいう。ここでいう「取引」には、入金が取り消された場合の利用者への紙幣の返却も含む。
【0028】
また、紙幣判別部30は、紙幣に固有の記番号を読み取る。なお、記番号はメモリ162に記録される。紙幣判別部30で読み取った記番号をそれぞれ装置内で記憶することにより、装置内に収納している紙幣の記番号を管理することができる。ここで紙幣の判別は、例えば、紙幣をスキャンして得られる画像データ、紙幣の表面の凹凸形状、磁気特性、紫外線などに対する光学特性など種々の情報を利用して行うことができる。
【0029】
紙幣判別部30にて入金取引に供しない紙幣と判別された紙幣は、リジェクト紙幣として、搬送路30aから、搬送路10a、50a、50b、60aを通過して、利用者に返却するための入金リジェクト庫60に収納される。なお、搬送路50aと搬送路50bとの接続部にはゲート15が配置され、搬送路50bと搬送路60aとの接続部にはゲート55が配置されている。
【0030】
収納機構102は、紙幣を金種別に収納する紙幣収納庫71〜74と、出金取引に供しない紙幣を収納する為の出金リジェクト庫70とが、後方から前方に向かって一列に配置されている。
【0031】
紙幣収納庫71は、搬送路71aを介して搬送路50aに接続されている。搬送路50aと搬送路71aとの接続部には、ゲート51が配置されている。紙幣収納庫71は搬送路71aから搬送された紙幣を上下方向に集積して収納する機構や、収納されている紙幣を71aに取り出す機構を備えている。
【0032】
紙幣収納庫72は、搬送路72aを介して搬送路50aに接続されている。搬送路50aと搬送路72aとの接続部には、ゲート52が配置されている。紙幣収納庫73は、搬送路73aを介して搬送路50aに接続されている。搬送路50aと搬送路73aとの接続部には、ゲート53が配置されている。紙幣収納庫74は、搬送路74aを介して搬送路50bに接続されている。搬送路50bと搬送路74aとの接続部には、ゲート54が配置されている。出金リジェクト庫70は、搬送路70aを介して搬送路50bに接続されている。搬送路50bと搬送路70aとの接続部には、ゲート55が配置されている。なお、紙幣収納庫72〜74及び出金リジェクト庫70の機構は、紙幣収納庫71と同様である。
【0033】
出金リジェクト庫への紙幣の収納は、紙幣が紙幣判別部30を通過後、搬送路10d、10e、10f、50b、70aを接続するように、制御部16によりゲート14、15、55を切り替えて搬送される。
【0034】
なお、出金リジェクト庫70は、紙幣取扱装置100の運用前に紙幣収納庫71〜74にあらかじめ装填すべき紙幣や、紙幣取扱装置100の運用後に紙幣収納庫71〜74から回収した紙幣を収納するための装填回収庫としても利用される。紙幣収納庫71〜74や出金リジェクト庫70の配置や機能を変更することで、紙幣取扱装置100は様々な使用態様に対応することができる。また、紙幣取扱装置100において、紙幣入出金口40と紙幣判別部30は並んで配されており、紙幣収納庫71〜74と出金リジェクト庫70と入金リジェクト庫60についても並んで配されている。このため、搬送路上での湾曲する部分を削減でき、紙幣の搬送効率を向上させつつ、紙幣搬送機構の簡素化を図ることできる。
【0035】
図2は、紙幣取扱装置100の搬送路80における紙幣の搬送方向に着目した側断面図である。搬送路80は、第1の搬送路10(
図1の50a,10a,30a,10d,10e,10f)と第2の搬送路50bからなる。第1の搬送路10は、駆動モータ10mを用いて、第1の搬送方向D1と第2の搬送方向D2の双方向に紙幣を搬送する。ここで、第1の搬送方向D1とは、搬送路10fを経ずに搬送路50aから搬送路10aに向かう方向をいう。また、第2の搬送方向D2とは、搬送路10fを経ずに搬送路10aから搬送路50aに向かう方向をいう。なお、第1の搬送路10はループ状であるが、紙幣はこの第1の搬送路を循環して搬送されることはない。また、技術の理解を容易にするため、駆動モータ10mは
図2において、本来の位置から取り出して表示する。
【0036】
略直線状の第2の搬送路50bは、駆動モータ20mを用いて前後の双方向に紙幣を搬送することができる。駆動モータ20mについても駆動モータ10mと同様に、技術の理解を容易にするため、本来の位置から取り出して表示する。なお、第1の搬送路10及び第2の搬送路50bは、
図1、2中に丸印で示した複数の搬送ローラや、これらの搬送ローラを双方向に回転させるために、駆動モータ10m、20mの他にも図示しない駆動モータを有している。
【0037】
図3は、紙幣取扱装置100の制御ブロックを示す説明図である。制御部16は、主制御部161と、メモリ162と、操作端末200と通信することができる上位通信部163とを有する。主制御部161は、主に制御用のマイクロプロセッサからなる。主制御部161は、紙幣判別部30と、紙幣入出金口40と、入金リジェクト庫60と、出金リジェクト庫70と、紙幣収納庫71〜74と、搬送路80とを制御する。ここで、主制御部161による搬送路80の制御は、検知センサ165と、駆動モータ166と、ゲート167とを制御することによって行われる。ここで、検知センサ165は、搬送路80上や、紙幣入出金口40、入金リジェクト庫60、出金リジェクト庫70、紙幣収納庫71〜74内に設置されている。各搬送路上の紙幣の有無や、紙幣収納庫などへの収納が完了したか否かについて、検知センサ165は、検知する。なお、技術の理解を容易にするため、検知センサ165の図示は省略している。また、ゲート167は、ゲート14、15、51、52、53、54、55からなる。
【0038】
B.入金処理
図4は、入金処理時の紙幣取扱装置100の動作を示す説明図である。「入金処理」とは、紙幣入出金口40に投入された紙幣を、紙幣収納庫71〜74もしくは入金リジェクト庫60に搬送する処理である。
【0039】
この入金処理時には、主制御部161は、ゲート14を制御して、搬送路40aと搬送路10eとを接続する。また、主制御部161は、ゲート15を制御して、搬送路50aと搬送路50bを接続する。そして、主制御部161は、各搬送路に設けられた搬送ローラ等を制御して、紙幣入出金口40に投入された紙幣を一枚ずつ取り出し、図中に矢印で示したように、搬送路10e、10d、30aの順に搬送する。
【0040】
搬送路30aに搬送された紙幣は、紙幣判別部30によって判別される。そして、主制御部161は、紙幣判別部30によって判別された紙幣を、搬送路10a、50a、50bの順に搬送する。主制御部161は、紙幣判別部30による判別結果に基づいて、ゲート51、52、53、54を制御して、搬送路30aから搬送されてきた紙幣を搬送路71a〜74aに振り分け、紙幣収納庫71〜74に金種ごとに分類して収納する。なお、紙幣判別部30による紙幣の判別は、紙幣が搬送路10aを搬送される間に完了する。これにより、紙幣の搬送を停止させることなく、円滑に紙幣収納庫71〜74へ紙幣が搬送される。
【0041】
上述した入金処理中に、紙幣判別部30によってリジェクト紙幣が発見された場合には、主制御部161は、以下に説明する動作制御を行う。
【0042】
紙幣判別部30によってリジェクト紙幣が発見されると、主制御部161は、ゲート55を制御して、搬送路50bと搬送路60aとを接続し、リジェクト紙幣を搬送路50aから、搬送路50b、60aを経由させて入金リジェクト庫60にリジェクト紙幣を収納する。入金リジェクト庫60に収納された紙幣は、利用者によって取り出されることができる。入金リジェクト庫60は、紙幣入出金口40と同様、紙幣取扱装置100の前方に設置されているため、利用者は容易にリジェクト紙幣を取り出すことができる。
【0043】
その後、主制御部161は、リジェクト紙幣に後続して搬送される各紙幣を紙幣判別部30の判別結果に基づいて、紙幣収納庫71〜74または入金リジェクト庫60に収納する。主制御部161は、紙幣入出金口40内のすべての紙幣が紙幣収納庫71〜74または入金リジェクト庫60に収納されると、入金処理を終了する。なお、「入金処理の確定」は、利用者による操作によって確定する。
【0044】
このように、入金収納処理では、第1の搬送路10を第2の搬送方向D2へ、第2の搬送路50bを前方方向へ搬送するように動作する。
【0045】
紙幣判別部30において読み取られた紙幣の記番号と、紙幣判別部30によって判別された紙幣が収納される紙幣収納庫の情報は、主制御部161によりメモリ162に記憶される。そのため、紙幣収納庫71〜74に格納した紙幣は主制御部161により正確に管理される。よって、入金処理の確定は、従来の紙幣取扱装置における一時保留部から紙幣収納部への紙幣の移動を伴わずに行うことができる。これにより、紙幣取扱装置100は、従来の一時保留部を使った紙幣取扱装置に比べて高速かつ正確に紙幣を管理する事ができる。
【0046】
図5は、操作端末200に表示される照合結果のイメージを示す図である。紙幣収納庫71〜74に入った紙幣は、紙幣判別部30通過時に正しく記番号が読み取られてメモリ162に記憶されている。そして、読み取った記番号と収納した紙幣収納庫及び金種情報は上位通信部163を通じて操作端末200に主制御部161から通知されている。なお、入金時で、かつ、紙幣判別部30通過後に紙幣の詰まりなどの障害が発生した際に、操作端末200では、
図5に示す係員連絡202のように表示される。障害の発生と、紙幣収納庫に収納した紙幣の情報が、係員連絡202には表示される。これにより、利用者は手動で入金紙幣と同一紙幣を紙幣取扱装置100から取り出すことが可能となる。
【0047】
C.入金処理の取消
図6は、入金時における紙幣取扱装置100の取消返却動作を示す説明図である。入金時における「取消返却」とは、紙幣入出金口40から投入され、紙幣収納庫71〜74に収納された紙幣を、入金取引の取消により、紙幣収納庫71〜74から紙幣入出金口40へ返却する処理をいう。また、「入金取引の取消」は、紙幣収納庫71〜74へ紙幣が収まった後の、利用者による取消操作により開始する。
【0048】
この入金時における紙幣取扱装置100の取消返却時には、主制御部161は、ゲート15を制御して、搬送路50bと搬送路50aとを接続する。また、主制御部161は、ゲート14を制御して、搬送路10eと搬送路40aとを接続する。そして、主制御部161は、各搬送路に設けられた搬送ローラ等を制御する。また、主制御部161は、取り出すべき紙幣が収納された紙幣収納庫71〜74にそれぞれ対応する搬送路71a〜74aを制御して、紙幣収納庫71〜74に収納された紙幣を、対応する搬送路71a〜74aのいずれかに1枚ずつ繰り出す。この間、第1の搬送路10は第1の搬送方向D1へ、第2の搬送路50bは後方方向へ搬送するように、主制御部161は動作させる。なお、取り出すべき紙幣は、入金時にメモリ162に記憶した記番号と同一の記番号の紙幣である。このため、主制御部161は、入金時にメモリ162に記憶した紙幣収納庫と同一の紙幣収納庫から取り出すように各部を制御する。入金した紙幣と同一の紙幣を返却することを担保するためである。
【0049】
主制御部161の制御により、図中に矢印で示したように、紙幣収納庫74から取り出した紙幣には、搬送路50b、50a、10a、30aの順に搬送され、紙幣収納庫71〜73から取り出した紙幣は、搬送路50a、10a、30aの順に搬送される。
【0050】
搬送路30aに搬送された紙幣は、紙幣判別部30によって、紙幣の記番号を読み取られる。そして、その記番号が入金時にメモリ162に記憶した記番号と同一か否かについて、主制御部161で照合される。そして、搬送路30aに搬送された紙幣の記番号が、入金時にメモリ162に記憶した記番号と同一である場合に、主制御部161は、その紙幣を搬送路10d、10e、40aの順に搬送させ、紙幣を紙幣入出金口40に集積させる。なお、照合が行われている紙幣が、搬送路10d、10eを通過している間に、この紙幣の照合は完了する。
【0051】
メモリ162は、一回の取引で400枚の紙幣を記憶することができる。メモリ162の記憶したデータは、一取引ごとに上位通信部163を介して操作端末200に送り、操作端末200に送ったデータはメモリ162から主制御部161により消去される。よって、取引の紙幣枚数が400枚を超える場合は、取引を複数回に分ける。
【0052】
入金時にメモリ162が記憶した記番号と、取消返却した際にメモリ162が記憶した記番号を主制御部161で照合した結果、記番号が一致しなかった場合、主制御部161は、上位通信部163を通じて操作端末200に通知する。操作端末200では、
図5に示す係員連絡201が表示され、利用者に照合結果を通知する。照合結果の通知により、利用者は、紙幣入出金口40と入金リジェクト庫60の紙幣の記番号を確認し、入金した紙幣と同一の紙幣を発見することができる。
【0053】
また、入金時にメモリ162が記憶した記番号と、取消返却した際にメモリ162が記憶した記番号を主制御部161で照合した結果、記番号が一致しなかった場合、主制御部161は、紙幣収納庫74から搬送路74aへの紙幣の繰り出しを一旦停止する。このとき、各搬送路における紙幣の搬送は継続されている。搬送路70aおよび搬送路50b上に存在していた紙幣がすべて搬送路50a以降に搬送されたと検知センサ165が検知した後、主制御部161は、ゲート14を切り換えて、搬送路10eと搬送路10fとを接続し、ゲート15を切り換えて搬送路10fと搬送路50bとを接続する。これとともに、搬送路50bの紙幣の搬送方向を前方方向に反転する。そして、主制御部161は、ゲート55を制御して、搬送路10dもしくは搬送路10eを搬送されているリジェクト紙幣を搬送路70aから出金リジェクト庫70に収納する。リジェクト紙幣の出金リジェクト庫70への搬送完了を出金リジェクト庫70内の検知センサ165が検知した後、主制御部161は、搬送路50bの搬送方向を後方方向へ反転させ、紙幣収納庫74からの紙幣の繰り出しを再開する。
【0054】
なお、紙幣の記番号が一致しない場合とは、例えば、一度に複数枚の紙幣が紙幣収納庫71〜74から取り出された場合や、紙幣の向きが斜めの状態で紙幣判別部30まで搬送された場合である。
【0055】
D.出金取引
図7は、出金取引における紙幣取扱装置100の動作について示す説明図である。「出金取引」は、紙幣収納庫71〜74に収納されている紙幣を紙幣入出金口40に搬送する処理である。
【0056】
出金取引時には、主制御部161は、ゲート15を制御して、搬送路50bと搬送路50aとを接続する。また、主制御部161は、ゲート14を制御して、搬送路10eと搬送路40aとを接続する。そして、主制御部161は、各搬送路に設けられた搬送ローラ等、および、取り出すべき紙幣が収納された紙幣収納庫71〜74にそれぞれ対応する搬送路71a〜74aを制御して、紙幣収納庫71〜74に収納された紙幣を、対応する搬送路71a〜74aのいずれかに1枚ずつ繰り出す。
【0057】
主制御部161は、図中に矢印で示したように、紙幣収納庫74から取り出した紙幣は、搬送路50b、50a、10a、30aの順に搬送され、紙幣収納庫71〜73から取り出した紙幣は、搬送路50a、10a、30aの順に搬送される。
【0058】
主制御部161は、搬送路30aに搬送された紙幣が出金可能な紙幣か否かを紙幣判別部30で判別させる。主制御部161は、紙幣判別部30で、出金可能な紙幣(リジェクト紙幣ではない紙幣)と判別した場合に、その紙幣を搬送路10d、10e、40aの順に搬送し、紙幣入出金口40に集積させる。この間、第1の搬送路10は第1の搬送方向D1へ、第2の搬送路50bは後方方向へ搬送するように、主制御部161は、動作させる。なお、判別が行われている紙幣が、搬送路10d、10eを通過している間に、この紙幣の判別は完了する。
【0059】
紙幣判別部30で出金不可能な紙幣と判別した場合、主制御部161は、紙幣収納庫74から搬送路74aへの紙幣の繰り出しを一旦停止する。このとき、各搬送路における紙幣の搬送は継続されている。搬送路70aおよび搬送路50b上に存在していた紙幣がすべて搬送路50a以降に搬送されたと検知センサ165が検知した後、主制御部161は、ゲート14を切り換えて、搬送路10eと搬送路10fとを接続し、ゲート15を切り換えて搬送路10fと搬送路50bとを接続する。これとともに、搬送路50bの紙幣の搬送方向を前方方向に反転する。そして、主制御部161は、ゲート55を制御して、リジェクト紙幣を搬送路70aから出金リジェクト庫70に収納する。リジェクト紙幣の出金リジェクト庫70への搬送完了を検知センサ165が検知した後、主制御部161は、搬送路50bの搬送方向を後方方向へ反転させ、紙幣収納庫74からの紙幣の繰り出しを再開する。
【0060】
なお、出金不可能な紙幣とは、例えば、汚れている紙幣や、複数枚重なっている紙幣や、搬送時に紙幣の向きが収納していた向きとずれて判別できなかった紙幣をいう。
【0061】
上記のうち、紙幣入出金口40と搬送路40aとは、[課題を解決するための手段]における紙幣入出金部に相当する。入金リジェクト庫60と搬送路60aとは、[課題を解決するための手段]におけるリジェクト紙幣収納部に相当する。紙幣収納庫71〜74及び出金リジェクト庫70と、搬送路70a〜74aとゲート51〜55とは、[課題を解決するための手段]における紙幣収納部に相当する。第1の搬送路10と第2の搬送路50bとは、[課題を解決するための手段]における搬送路に相当する。搬送路10a、10d、10eとは、[課題を解決するための手段]における部分搬送部に相当する。操作端末200とは、[課題を解決するための手段]における障害通信部と不一致通知部に相当する。
【0062】
以上、本発明によれば、従来の紙幣取扱装置のように、上部紙幣処理機構の内部に紙幣の一時的な保管庫を有さない。このため、紙幣入出金装置の小型化、簡素化、低コスト化が可能であり、また、入金取引時に入金した紙幣と同一紙幣の返却が可能である。
【0063】
E.変形例
以上説明したように、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこのような実施の形態になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様での実施が可能である。例えば、以下のような変形が可能である。
【0064】
E1.変形例1
上記実施例では、紙幣収納庫の数は4つとしたが、本発明は、これに限られない。紙幣収納庫の数は、取り扱う紙幣の種類に応じて任意に設定可能である。
【0065】
E2.変形例2
上記実施例では、入金リジェクト庫60、出金リジェクト庫70、紙幣収納庫71〜74を別個に紙幣取扱装置100は備えるものとしたが、本発明は、これに限られない。いずれかの紙幣収納庫を、入金リジェクト庫や出金リジェクト庫と兼用するようにしてもよい。
【0066】
E3.変形例3
上記実施例では、紙幣収納庫71〜74に装填すべき紙幣や、紙幣収納庫71〜74から回収する紙幣を収納するための装填回収庫としても、出金リジェクト庫70を利用できるものとした。しかし、本発明はこれに限らず、いずれかの紙幣収納庫を装填回収庫として兼用するようにしてもよい。また、別途、装填回収庫を設けてもよい。
【0067】
E4.変形例4
上記実施例では、紙幣収納庫74は、第2の搬送路50bに接続するものとしたが、本発明はこれに限られない。紙幣収納庫74を第1の搬送路10に接続してもよい。このようにすれば、例えば、出金処理時にリジェクト紙幣が発生したときに、第2の搬送路50bにおける紙幣の搬双方向の切換えを行う必要がなくなる。
【0068】
E5.変形例5
上記実施例では、紙幣収納庫71〜74から紙幣入出金口40へ紙幣を搬送する際に、紙幣判別部30を通過させるように紙幣を搬送するが、本発明は、これに限られない。例えば、以下のような太陽も可能である。紙幣収納庫71〜73から繰り出された紙幣については、搬送路50a、10f、40aの順に搬送させる。また、紙幣収納庫74から繰り出された紙幣については、搬送路50b、10f、40aの順に搬送させる。そして、紙幣入出金口40に紙幣を収納させてもよい。こうすることによって、予め紙幣の判別が入金時になされており、改めて判別する必要のない紙幣については、紙幣判別部30を通過させずに、紙幣の搬送を行うことができる。
【0069】
E6.変形例6
上記実施例では、メモリ162の容量は、紙幣400枚分としたが、本発明はこれに限られない。紙幣取扱装置の利用態様によりメモリの増減を行ってもよい。
【0070】
E7.変形例7
上記実施例では、入金リジェクト庫60を紙幣収納庫71〜74の入金時における搬送方向の下流に設けているが、上流に設けてもよい。
【0071】
E8.変形例8
上記実施例では、紙幣入出金口40と入金リジェクト庫60を紙幣取扱装置100の前方に設置しているが、本発明はこれに限られない。入金リジェクト庫60を紙幣取扱装置100の後方に設け、利用者との間で取引を行っている者が入金リジェクト紙幣を取り出すことができるようにすることもできる。
【0072】
E9.変形例9
上記実施例では、紙幣収納庫71〜74と出金リジェクト庫70と入金リジェクト庫60が並んで配されており、紙幣入出金口40と紙幣判別部30が並んで配されているが、本発明はこれに限られない。例えば、紙幣入出金口40と紙幣判別部30の間に、入金リジェクト庫60が配置されていてもよい。これにより、各部の形状や容量を柔軟に設計することができる。
【0073】
E10.変形例10
上記実施例では、入金取消時の紙幣の記番号が不一致であることや、入金時の障害発生を、操作端末200から利用者に表示していたが、本発明は、これに限られない。紙幣取扱装置100に表示画面を設けて、利用者へ表示してもよい。また、表示ではなく、例えば、スピーカからの音声やランプからの光で、利用者に通知してもよい。あわせて、利用者の通知は、紙幣の記番号が不一致である旨、もしくは、障害発生の旨のみを通知することとしてもよい。
【0074】
E11.変形例11
上記実施例では、紙幣取扱装置100は、検知センサ165を備えているが、本発明はこれに限られない。入金取引時に障害が発生した場合、紙幣取扱装置100が検知センサ165を備えていなくても、入金時に紙幣判別部30を通過した紙幣の情報は取得できる。このため、入金した紙幣と同一の紙幣を特定できる。
【0075】
E12.変形例12
上記実施例では、制御部16は、紙幣判別部30で得た紙幣の記番号などの情報をメモリ162に記憶できるものとしたが、本発明はこれに限らない。制御部16は、紙幣判別部30で得た紙幣の記番号などの情報をメモリ162に記憶しなくてもよい。また、紙幣判別部30で得た情報について、制御部16は、上位通信部163を介して操作端末200との間で情報の授受を適宜行えるようにしてもよい。