(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
硫黄官能性アゾールが、メルカプトアリールイミダゾール、メルカプトアリールオキサゾール、及び/又はメルカプトアリールチアゾールを含む、請求項1に記載の方法。
前記混合物が、1当量のエポキシに対して0.1モルから0.8モルまでのリン酸、並びに1当量のエポキシ当たり0.01モルから0.4モルまでのホスホン酸及び/又は有機ホスフィン酸を含む、請求項9に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明の解釈上、明示的に逆の記載がある場合を除いて、本発明は様々な代替的変形形態及びステップ順序を想定し得る点を理解すべきである。さらに、いずれかの実用的な例の中又は逆の記載がある場合を除いて、例えば、本明細書及び特許請求の範囲において使用された原材料の量を表しているすべての数は、すべての場合において、「約」という用語により修飾されていると理解すべきである。したがって、逆の記載がない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載された数値パラメーターは、本発明により得られる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。特許請求の範囲に対する均等論の適用を限定しようと試みるわけではないが最低限として、各数値パラメーターは少なくとも、報告された有効数字の桁を考慮し且つ通例の丸め技法を適用することにより解釈すべきである。
【0011】
本発明の広範な範囲を記述している数値範囲及びパラメーターは近似値であるが、具体例に記載された数値は、可能な限り正確に報告している。しかしながら、いかなる数値も、こうしたそれぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じるある程度の誤差を本質的に含む。
【0012】
さらに、本明細書に記載されたあらゆる数値範囲は、その数値範囲に包含されるすべての部分範囲を含むことを意図したものだと理解すべきである。例えば、「1から10」の範囲は、記載された最小値1から記載された最大値10の間(1と10も含める)の、すなわち、1以上の最小値及び10以下の最大値を有するすべての部分範囲を含むことを意図したものである。
【0013】
上記したように、本発明の特定の実施形態は、コーティング/シーラント系を対象としている。本明細書で使用されるとき、「コーティング/シーラント系」(“coating/sealant system”)という用語は、コーティングとこのコーティングの少なくとも一部の上に堆積されたシーラントとの層を含む組合せを指す。本明細書で使用されるとき、「コーティング」(“coating”:塗料;塗装;被覆)という用語は、基材に支持されている実質的に連続的なポリマー層を指し、このポリマー層は、一様な厚さを有していても有していなくてもよい。本明細書で使用されるとき、「シーラント」(“sealant”)という用語は、開口部(2つの部品間の界面により形成された継ぎ目又は空間等)に施用したときに、水分及び温度等の大気条件に耐えることができ、且つ、通常ならば開口部で発生し得る水、燃料並びに/又はその他の液体及び気体等の材料の移送を少なくとも部分的に遮断することができる、固体エラストマーを指す。したがって、シーラントは大抵、構成部品の周縁部の表面に、このような部品への材料の輸送又はこのような部品からの材料の輸送を阻止することを目的として施用される。特定の実施形態において、本発明のコーティング/シーラント系は、航空宇宙産業用燃料タンクにおいて有用である。したがって、本発明の特定の実施形態において、シーラントは「燃料抵抗性」(“fuel−resistant”)であり、燃料抵抗性とは、本明細書で使用されるとき、参照により本明細書に組み込むASTM D792又はAMS3269aで記述されている方法と同様の方法に従って、ジェット基準流体(JRF:jet reference fluid)タイプ1中に140°F(60℃)及び周囲圧力(1気圧)において1週間浸漬した後に40%以下、場合によっては25%以下、場合によっては20%以下のパーセント体積膨潤率を有する硬化シーラントを指す。ここにおいて燃料抵抗性の判定のために用いられるジェット基準流体JRFタイプ1は、以下の組成を有する(SAE(Society of Automotive Engineers、Warrendale、PA)から入手可能な、1989年7月1日に発行されたAMS2629、3.1.1節以下(参照により本明細書に組み込む)を参照されたい):
トルエン 28±1容量%
シクロヘキサン(工業用) 34±1容量%
イソオクタン 38±1容量%
二硫化tert−ブチル 1±0.005容量%
(ドクタースウィート)
【0014】
本発明のコーティング/シーラント系は、多様な任意の基材上に堆積させることができる。しかしながら、特定の実施形態において、基材は、チタン、ステンレス鋼、アルミニウム、並びに、十分な量のカーボンブラック等の導電性充填剤を含有するポリマー材料といった導電性複合材料を基材が含む場合と同様に、導電性である。理解されるように、基材は任意選択により、基材がその導電性を維持する限り、陽極処理又は化成コーティング組成物の堆積(米国特許出願公開第2010−0243108A1号の[0014]〜[0019]において記述されているもの等で、この引用部分は、参照により本明細書に組み込む)等の腐食防止処理によって予備処理することもできる。いくつかの実施形態において、基材は、洗浄と脱酸素のみを行った後で、本発明のコーティング/シーラント系を塗布される。このような洗浄及び脱酸素は、前述の米国特許出願公開第2010−0243108号の[0014]〜[0017]に記述されている。
【0015】
本発明の特定の実施形態において、基材は、例えば翼、胴体、又は尾部等、航空機の構成部品の形態で具体化される。より具体的には、基材は、例えば補助翼、翼の縁部(前縁又は後縁)若しくは桁、スラット、スポイラー、フラップ、ラダー、フィン、水平安定板、エレベータ、尾翼、管、シートトラック、フロアトラック、ストラット、ロンジロン、外板、小骨、隔壁、車輪、ストリンガ、ヘリコプターロータブレード(桁及び外面を含める)、又は、部品どうしをつなぎ合わせる多様なフランジ、ヒンジ、クリップ、及び、リベット、ボルト、ナット等の締結具のいずれか等、多様な航空機部品のいずれかとして具体化され得る。
【0016】
前述したように、本発明のコーティング/シーラント系は、リン酸化エポキシ樹脂を含む反応体から形成された反応生成物を含む、コーティングを含む。本明細書で使用されるとき、「リン酸化エポキシ樹脂」という用語は、少なくともポリエポキシド及び亜リン酸に由来する、ゲル化していない樹脂を指す。
【0017】
適切なポリエポキシドには、分子1個当たり1.0個超のエポキシ基を有する任意の化合物又は化合物の混合物が挙げられる。いくつかのポリエポキシドが当技術分野において公知である。ポリエポキシドの例は、Handbook of Epoxy Resins、Lee及びNeville、1967、McGraw−Hill Book Companyの中に見出すことができる。
【0018】
本発明の特定の実施形態において、ポリエポキシドは、ビスフェノールA等、ポリフェノールのポリグリシジルエーテルを含む。理解されることにはなろうが、このようなポリエポキシドは、アルカリの存在下でのポリフェノールのエピクロロヒドリンによるエーテル化によって生成することができる。適切なポリフェノールには、限定はないが、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシtert−ブチルフェニル)プロパン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−アリルフェニル)エタン、及び4,4−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)吉草酸が挙げられる。有用な別種のポリエポキシドが、同様にポリフェノール樹脂から生成される。
【0019】
上記のポリエポキシドに加えて、ペンダントエポキシ基を含有する付加重合ポリマーもまた用いることができる。このようなポリマーは、多様な重合性エチレン性不飽和モノマーどうしを共重合することによって作製でき、これらの重合性エチレン性不飽和モノマーの少なくとも1つは、モノマー、例えばグリシジルアクリラート又はグリシジルメタクリラートを含有するエポキシである。
【0020】
エポキシ基と反応する基を含有しない適切なエチレン性不飽和モノマーは、コモノマーとして用いることができる。例示的なこのようなモノマーには、1個から約8個までの炭素原子を含有する飽和アルコールの不飽和カルボン酸エステル等、α,β−エチレン性不飽和モノマー、並びにスチレン及びビニルトルエン等のモノビニル芳香族モノマーが挙げられる。
【0021】
特定の実施形態において、ポリエポキシドは、172から5000、例えば300から1000のエポキシ当量を有する。
【0022】
ポリエポキシド(単数又は複数)に加えて、反応混合物は、フェニルグリシジルエーテル等、アルコールとフェノールとのモノグリシジルエーテル、及びグリシジルネオデカノアート等のモノカルボン酸のグリシジルエステルといった、モノマー状モノエポキシドも含有し得る。
【0023】
特定の実施形態において、ポリエポキシドと反応する亜リン酸は、例えば100パーセントオルトリン酸又は85パーセントリン酸と呼ばれるリン酸水溶液等のリン酸水溶液といったリン酸を含む。スーパーリン酸、二リン酸及び三リン酸等の他の形態のリン酸をここにおいて用いてもよい。さらに、リン酸のポリマー又は一部の無水物を用いてもよい。いくつかの実施形態において、約70から90パーセント、好ましくは約85パーセントリン酸であるリン酸水溶液を用いる。
【0024】
いくつかの実施形態において、ポリエポキシドと反応する亜リン酸は、リン酸から本質的になる。言い換えると、これらの実施形態において、リン酸は、ポリエポキシドと反応する亜リン酸の合計モル数に対して、少なくとも98モル%、少なくとも99モル%、又は場合によっては100モル%の量で存在する。
【0025】
代替的には、リン酸に加えて又はリン酸の代わりに、ホスホン酸及び/又はホスフィン酸をポリエポキシドと反応させてもよい。ホスホン酸の例は、構造:
【化1】
(式中、Rは、合計で1〜30個の、例えば6〜18個の炭素を有する基等の有機基である)
の有機ホスホン酸である。Rは、脂肪族、芳香族、又は混合された脂肪族/芳香族であってよく、非置換炭化水素であっても、又は置換炭化水素であってもよい。
【0026】
ホスフィン酸の例は、構造:
【化2】
(式中、R及びR’はそれぞれ独立に、水素又は有機基である)
の有機ホスフィン酸である。このような基の例は、合計で1〜30個、例えば6〜18個の炭素を有する基である。ホスフィン酸(R、R’)の有機成分は、脂肪族化合物、芳香族化合物、又は混合された脂肪族化合物/芳香族化合物であってよい。R及びR’は、非置換炭化水素であっても、又は置換炭化水素であってもよい。
【0027】
代表的で適切な有機ホスホン酸及び有機ホスフィン酸は、3−アミノプロピルホスホン酸、4−メトキシフェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、ブチルホスホン酸、カルボキシエチルホスホン酸、ジフェニルホスフィン酸、ドデシルホスホン酸、エチリデンジホスホン酸、ヘプタデシルホスホン酸、メチルベンジルホスフィン酸、ナフチルメチルホスフィン酸、オクタデシルホスホン酸、オクチルホスホン酸、ペンチルホスホン酸、メチルフェニルホスフィン酸、フェニルホスホン酸、スチレンホスホン酸、ドデシルビス−1,12−ホスホン酸、ポリ(エチレングリコール)ホスホン酸であり、これらの混合物も含める。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態において、亜リン酸は、(a)リン酸と(b)有機ホスホン酸及び/又は有機ホスフィン酸との混合物を含む。これらの実施形態において、理解されることにはなろうが、得られるリン酸化エポキシ樹脂は、(i)ポリエポキシド、(ii)リン酸、並びに(iii)有機ホスホン酸及び/又は有機ホスフィン酸を含む反応体から形成された反応生成物の混合物を含む。理解されることにはなろうが、このような反応生成物の混合物は、リン酸化部分がリン酸のみに由来するリン酸化エポキシ樹脂、リン酸化部分が有機ホスホン酸及び/若しくは有機ホスフィン酸のみに由来するリン酸化エポキシ樹脂、並びに/又は、リン酸化部分がリン酸と有機ホスホン酸及び/又は有機ホスフィン酸の両方に由来するリン酸化エポキシ樹脂を含み得る。特定の実施形態において、互いに反応するポリエポキシドとリン含有酸の相対量は、エポキシ各当量に対して、リン酸が0.1モルから0.8モルであり、有機ホスホン酸及び/又は有機ホスフィン酸が0.01モルから0.4モルまでであり、リン酸と有機ホスホン酸及び/又は有機ホスフィン酸とのモル比は、1:0.01から0.5の範囲内である。リン酸化エポキシ樹脂は大抵、樹脂固形分に対して、10から60、例えば15から50の酸価を有する。
【0029】
本発明の特定の実施形態において、リン酸化エポキシ樹脂を製造するために使用される反応体は、硫黄官能性アゾールをさらに含む。本明細書で使用されるとき、「アゾール」は、複素環中に2つの二重結合、窒素原子、炭素ではない少なくとも1つの他の原子(別の窒素原子、酸素原子又は硫黄原子等)、及び1個又は複数の炭素原子を含有する、5員複素環式化合物を意味する。例示的なアゾールには、限定はないが、ジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、チアゾール、チアジアゾール、及びチアトリアゾールが挙げられる。本明細書で使用されるとき、「硫黄官能性アゾール」は、アゾール環の外部に少なくとも1個の硫黄原子を含むアゾールを意味する。
【0030】
特定の実施形態において、硫黄官能性アゾールは、メルカプトアリールイミダゾール、メルカプトアリールオキサゾール、及び/又はメルカプトアリールチアゾールを含む。
【0031】
より特定すると、特定の実施形態において、メルカプトアリールイミダゾール、メルカプトアリールオキサゾール、又はメルカプトアリールチアゾールは、構造(I)若しくは(II)又はこれらの互変異性体:
【化3】
(式中、(i)Xは、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表し、(ii)Rは、ヒドロキシル、水素、アリール、アルキル、アラルキル、又はハロゲン原子を表し、(iii)nは、0から4の整数である)
により表される。
【0032】
本発明における使用に適している構造(I)による化合物の具体例には、メルカプトベンゾイミダゾール、メルカプトメチルベンゾイミダゾール、メルカプトヒドロキシベンゾイミダゾール、メルカプトヨードベンゾイミダゾール、メルカプトクロロベンゾイミダゾール、メルカプトテトラヒドロキシブチルフェニルイミダゾール、メルカプトベンゾオキサゾール、メルカプトメチルベンゾオキサゾール、メルカプトヒドロキシベンゾオキサゾール、メルカプトヨードベンゾオキサゾール、メルカプトクロロベンゾオキサゾール、メルカプトテトラヒドロキシブチルフェニルオキサゾール、メルカプトベンゾチアゾール、メルカプトメチルベンゾチアゾール、メルカプトヒドロキシベンゾチアゾール、メルカプトヨードベンゾチアゾール、メルカプトクロロベンゾチアゾール、メルカプトテトラヒドロキシブチルフェニルチアゾール、メルカプトヒドロキシベンゾチアゾール等が挙げられ、これらの混合物も含める。
【0033】
本発明における使用に適している構造(II)による化合物の具体例には、メルカプトナフトイミダゾール、メルカプトクロロナフトイミダゾール、メルカプトヒドロキシナフトイミダゾール、メルカプトメチルナフトイミダゾール、メルカプトナフトチアゾール、メルカプトヨードナフトチアゾール、メルカプトヒドロキシナフトチアゾール、メルカプトメチルナフトチアゾール等が挙げられ、これらの混合物も含める。このような化合物は、米国特許第5,498,502号のカラム4の8〜40行目において開示されており、この引用部分は、参照により本明細書に組み込む。
【0034】
複素環中に3個以上の窒素原子を含有する硫黄官能性アゾール、すなわちトリアゾール及びテトラゾールもまた適切である。いくつかの実施形態において、硫黄官能性アゾールは、式(III):
【化4】
(式中、Rは、合計で1から30個、例えば1〜18個又は6〜18個又は1〜6個の炭素原子を有する基等、有機基を表す)による硫黄官能性テトラゾールを含む。Rは、脂肪族、芳香族、又は混合された脂肪族/芳香族であってよく、非置換炭化水素であっても、又は置換炭化水素であってもよい。
【0035】
式(III)によるこのような化合物の具体例は、5−メルカプト−1−メチルテトラゾール、1−エチル−5−メルカプトテトラゾール、1−シクロプロピル−5−メルカプトテトラゾール、1−アリル−5−メルカプトテトラゾール、1−ベンジル−5−メルカプトテトラゾール、1−(2−メトキシエチル)−5−メルカプトテトラゾール、及びフェニル−1H−テトラゾール−5−チオールである。
【0036】
硫黄官能性トリアゾールの例には、5−フェニル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、3−メルカプト−1,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−4−メチル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1−フェニル−1,2,4−トリアゾール、5−メルカプト−1−フェニル−1,2,4−トリアゾール、及び5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール−3−酢酸、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジメルカプト−1−フェニル−1,2,4−トリアゾール、及び3,5−ジメルカプト−1,4−ジフェニル−1,2,4−トリアゾールが挙げられる。
【0037】
硫黄官能性オキサゾールの例には、2−メルカプトオキサゾロ[4,5]ピリジン、2−メルカプトオキサゾール、5−ニトロ−2−メルカプトベンゾオキサゾール、5−クロロ−メルカプトオキサゾール、2−メルカプト−5−フェニルオキサゾール、2−メルカプト−4,5−ジメチルオキサゾール、2−メルカプト−4,5−ジフェニルオキサゾール、6−アミノ−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−チオキソ−4−オキサゾリジノンが挙げられる。
【0038】
硫黄官能性チアゾールの例には、2−メルカプトチアゾール、4,5−ジフェニル−2−メルカプトチアゾール、4−メチル−2−メルカプトールチアゾール、4,5−ジメチル−2−メルカプトチアゾール、チオ−ローダニン、2−メルカプト−4−フェニルチアゾール、5−チオローダニン酢酸、ローダニン酸が挙げられる。
【0039】
硫黄官能性チアジアゾールの例には、5−エチル−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、5−フェニルメチル−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、5−アミノメチル−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−スルホンアミド−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、5−(プロピルチオ)−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、5,5−チオ−ビス(1,3,4−チアジアゾール−2−チオール)、5−フェニル−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールが挙げられる。
【0040】
特定の実施形態において、互いに反応するポリエポキシドと硫黄官能性アゾールの相対量は、エポキシ各当量に対して、チオール0.01モルから0.25モルである。
【0041】
特定の実施形態において、上記の反応体に加えて、リン酸化エポキシ樹脂を製造するために使用される反応体は、いくつか例を挙げるならば、ジオール、ジフェノール(ビスフェノールAを含める)、ジカルボン酸、ジチオール、及び/又はジアミン等、エポキシ基と反応する2個の官能基を有する化合物をさらに含み得る。
【0042】
本明細書で記述されたリン酸化エポキシ樹脂を調製するための適切な方法は、実施例によって例示されている。場合によっては、硫黄官能性アゾールが最初にポリエポキシドと反応し、得られる反応生成物がリン含有酸(単数又は複数)と反応する。このような反応は大抵、実施例において記述されている有機溶剤中で実施される。
【0043】
代替的には、適切な水性樹脂分散体は、(a)硫黄官能性アゾール(先述した硫黄官能性アゾールのいずれか等)が、少なくとも(i)ポリエポキシド(先述したポリエポキシドのいずれか等)、及び(ii)亜リン酸(先述した亜リン酸のいずれか等)に由来するリン酸化エポキシ樹脂を含む組成物に添加され、(b)硫黄官能性アゾールの少なくとも一部が添加された後に、塩基(先述した塩基のいずれか等)が組成物に添加され、(c)塩基の少なくとも一部が組成物に添加された後に、水が組成物に添加される方法によって生成することができる。場合によっては、塩基は、所望の硫黄官能性アゾールの合計量の大部分(>50重量%)が組成物に添加された後になるまで添加されない。さらに他の場合において、所望の硫黄官能性アゾールの合計量の少なくとも90重量%が組成物に添加されるまでは、塩基は添加されない。さらに他の場合において、塩基は、所望の硫黄官能性アゾールの合計量のすべてが組成物に添加されるまで添加されない。場合によっては、水は、所望の塩基の合計量の大部分(>50重量%)が組成物に添加された後になるまで添加されない。さらに他の場合において、水は、所望の塩基の合計量の少なくとも90重量%が組成物に添加された後になるまで添加されない。さらに他の場合において、水は、所望の塩基の合計量のすべてが組成物に添加されるまで添加されない。
【0044】
本発明の特定の実施形態において、リン酸化エポキシ樹脂は、最も多い成分として又は過半に水を含む分散媒(continuous medium)中のリン酸化エポキシ樹脂の水性分散体の形態で存在する。例えば、特定の実施形態において、連続相は、分散媒の合計重量に対して、少なくとも80重量パーセントの水である。特定の実施形態において、水性分散体中に存在する有機溶剤の量は、20重量パーセント未満、例えば10重量パーセント未満、又は、場合によっては5重量パーセント未満、又は、さらに他の場合においては2重量パーセント未満であり、重量パーセントは、連続相の合計重量に基づいている。
【0045】
水を主体とする分散媒中に分散するようにリン酸化エポキシ樹脂を適合させるときには、リン酸化エポキシ樹脂を塩基によって中和する。適切な塩基には、有機塩基又は無機塩基の両方が挙げられる。適切な塩基の実例は、アンモニアであり、エチルアミン、プロピルアミン、ジメチルアミン、ジブチルアミン及びシクロヘキシルアミン等のモノアルキルアミン、ジアルキルアミン、又はトリアルキルアミン;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジメチルエタノールアミン及びジエチルエタノールアミン等のモノアルカノールアミン、ジアルカノールアミン又はトリアルカノールアミン;モルホリン、例えばN−メチルモルホリン又はN−エチルモルホリンである。中和のパーセントは、樹脂(単数又は複数)を水に分散し且つ電気泳動するようにもなるパーセントである。典型的には、樹脂(単数又は複数)は、20から200パーセントまで、40から150パーセントまで、例えば60から120パーセントまで、少なくとも部分的に中和される。
【0046】
結果として、本発明の特定の実施形態は、塩基により中和された樹脂組成物を含む水性樹脂分散体であって、樹脂組成物が、(a)ポリエポキシド、(b)硫黄官能性アゾール、及び(c)亜リン酸を含む反応体の反応生成物を含む、ゲル化していないリン酸化エポキシ樹脂を含む水性樹脂分散体を対象とする。
【0047】
前述したように、本発明のコーティング/シーラント系において、コーティングは、リン酸化エポキシ樹脂(上記のリン酸化エポキシ樹脂のいずれか等)、及び(ii)硬化剤を含む反応体の硬化反応生成物を含む。したがって、上記の水性樹脂分散体の特定の実施形態は、硬化剤をさらに含む。
【0048】
適切な硬化剤には、必ずしも限定されるわけではないが、アミノプラスト樹脂及びフェノールプラスト樹脂が挙げられる。適切なアミノプラスト樹脂は、アルデヒド、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、及びベンズアルデヒドと、尿素、メラミン、及びベンゾグアナミン等のアミノ基又はアミド基を含有する材料との縮合生成物である。アルコール及びホルムアルデヒドと、メラミン、尿素及びベンゾグアナミンとの反応から得られた生成物が大抵使用される。
【0049】
有用なアミノプラスト樹脂の例示的であるが非限定的な例は、Cytec IndustriesからCYMELという商標で、またSolutia Inc.からはRESIMENEという商標で入手可能なアミノプラスト樹脂である。具体例は、CYMEL 1130及び1156並びにRESIMENE 750及び753である。
【0050】
(a)リン酸化エポキシ樹脂及び(b)硬化剤の相対量は、(a)及び(b)の固形分重量に対して、リン酸化エポキシ樹脂が50重量パーセントから90重量パーセントまで、例えば60重量パーセントから75重量パーセントであり、硬化剤が10重量パーセントから50重量パーセントまで、例えば25重量パーセントから40重量パーセントである。本発明のいくつかの実施形態において、リン酸化エポキシ樹脂は、コーティングを形成する素材となる液体組成物の樹脂固形分合計重量に対して、少なくとも40重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、例えば少なくとも60重量パーセントの量で存在する。
【0051】
最終的なコーティング組成物を調製するとき、上記の原材料は、任意の好都合な方法により水中で混ぜ合わせることができる。顔料、充填剤、腐食防止剤、抗酸化剤、流動性調整剤、界面活性剤等といった典型的なコーティング用添加剤もまた用いることができる。
【0052】
適切な腐食防止剤は、ベンゾトリアゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、2−アミノチアゾール、及びリン酸化エポキシ樹脂の調製に関して先述した硫黄官能性アゾール等のアゾールである(腐食防止剤として用いられる場合、アゾールの少なくとも一部が「遊離している」こと、すなわち重合されていないことが望ましい)。他の適切な腐食防止剤には、限定されないが、オルトリン酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム一水和物、カルシウムイオン交換されたシリカ、コロイド状シリカ、合成非晶質シリカ等のリン酸亜鉛、及びモリブデン酸カルシウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸バリウム、モリブデン酸ストロンチウム等のモリブデン酸塩、並びにこれらの混合物が挙げられる。カルシウムイオン交換された適切なシリカは、W.R.Grace&Co.からSHIELDEX(登録商標)AC3及び/又はSHIELDEX(登録商標)C303として市販されている。適切な非晶質シリカは、W.R.Grace&Co.からSYLOID(登録商標)という商品名で入手することができる。適切なリン酸亜鉛は、HeubachからHEUCOPHOS ZP−10として市販されている。
【0053】
クロム含有腐食防止剤もまた適切である。このような腐食防止剤の例は、クロム酸カルシウム、クロム酸マグネシウム、クロム酸ストロンチウム及び/又はクロム酸バリウムである。
【0054】
特定の実施形態において、もし存在するならば、腐食防止剤(単数又は複数)は、水性分散体の合計重量に対して、0.001パーセントという少量で、例えば0.001重量%から10重量%という量で水性分散体中に存在する。組成物は大抵、5パーセントから25パーセント、例えば5パーセントから15パーセントの固形分含量を有する。
【0055】
特定の実施形態において、コーティングは、アニオン電着プロセスにより、基材上に堆積される。このようなプロセスにおいて、導電性基材(先述した導電性基材のいずれか等)は、アノード及びカソードを備える電気回路内でアノードとして機能し、塩基により中和された上記の種類の樹脂組成物を含む水性樹脂分散体中に浸漬されている。電流は、樹脂組成物をアノード上に堆積させるためにアノードとカソードの間を通過させる。
【0056】
電着浴は大抵、稼働時の浴の導電率が1センチメートル当たり200から3000マイクロモー、例えば1センチメートル当たり500から1500マイクロモーである。浴中で塗装される基材の滞留時間は大抵、30から120秒までである。
【0057】
電着塗装した後に基材を取り出し、次いで、硬化を実施するために十分な温度で十分な時間にわたり炉内で焼成する。大抵、塗装済み基材は、225°F以下、例えば200°F以下の温度で20から60分間焼成される。場合によっては、基材を180°Fで20分間硬化させると、硬くて耐溶剤性で非粘着性のフィルムが生成する。所望ならば、電着塗装済み基材は、例えば350°Fといったより高い温度で焼成してもよい。
【0058】
前述したように、本発明のコーティング/シーラント系は、コーティングの少なくとも一部の上に堆積されたシーラントを含む。本発明のこれらの実施形態において、シーラントは、硫黄含有ポリマーを含む組成物から堆積される。本明細書で使用されるとき、「硫黄含有ポリマー」という用語は、少なくとも1個の硫黄原子を有する任意のポリマーを指す。
【0059】
特定の実施形態において、硫黄含有ポリマーは、ポリスルフィドを含む。実は、驚くべきことに、ポリスルフィドを含む組成物から形成されたシーラントは、塩基により中和された樹脂組成物を含む水性樹脂分散体から形成された特定のコーティングに特に良好に接着し得ることが発見されており、ここで、樹脂組成物は、上述したように、(a)ポリエポキシド、(b)硫黄官能性アゾール、及び(c)亜リン酸を含む反応体の反応生成物を含む、ゲル化していないリン酸化エポキシ樹脂を含む。
【0060】
本明細書で使用されるとき、「ポリスルフィド」という用語は、ポリマー骨格中及び/又はポリマー鎖の末端部若しくはペンダント位に1つ又は複数のジスルフィド結合、すなわち−[S−S]−結合を含有するポリマーを指す。大抵、ポリスルフィドポリマーは、2つ以上の硫黄−硫黄結合を有する。適切なポリスルフィドは、Akzo NobelからTHIOPLASTの名称で市販されている。THIOPLAST製品は、幅広い範囲の、例えば1100未満から8000超までの範囲の分子量のものを入手可能であり、分子量は、1モル当たりの平均分子量(g)である。場合によっては、ポリスルフィドは、1,000から4,000の数平均分子量を有する。これらの製品の架橋密度もまた、使用された架橋剤の量に応じて変化する。これらの製品の「−SH」含量すなわちメルカプタン含量もまた変化し得る。ポリスルフィドのメルカプタン含量及び分子量は、ポリマーの硬化速度に影響を与えることがあり、硬化速度は、分子量に伴って増大する。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態において、先述したポリスルフィドに加えて又は先述したポリスルフィドの代わりに、シーラントは、(a)90モルパーセントから25モルパーセントまでの式HS(RSS)
mR’SHのメルカプタン末端化ジスルフィドポリマー、及び(b)10モルパーセントから75モルパーセントまでの式HS(RSS)
nRSHのジエチルホルマールメルカプタン末端化ポリスルフィドポリマーを含むポリマー混合物を含む、組成物から堆積される(式中、Rは、−C
2H
4−O−CH
2−O−C
2H
4−であり、R’は、2個から12個までの炭素原子のアルキル、4個から20個までの炭素原子のアルキルチオエーテル、4個から20個までの炭素原子及び1個の酸素原子のアルキルエーテル、4個から20個までの炭素原子及び2個から4個までの酸素原子(各酸素原子が他の酸素原子から少なくとも2個の炭素原子により隔てられている)のアルキルエーテル、6個から12個までの炭素原子の脂環式、並びに、芳香族低級アルキルから選択される二価の構成要素であり、m及びnの値は、ジエチルホルマールメルカプタン末端化ポリスルフィドポリマー及びメルカプタン末端化ジスルフィドポリマーが1,000から4,000まで、例えば1,000から2,500の平均分子量を有するようになる値である)。このようなポリマー混合物は、米国特許第4,623,711号のカラム4の18行目からカラム8の35行目に記述されており、この引用部分は、参照により本明細書に組み込む。場合によっては、上記式中のR’は、−CH
2−CH
2−、−C
2H
4−O−C
2H
4−、−C
2H
4−S−C
2H
4−、−C
2H
4−O−C
2H
4−O−C
2H
4−、又は−CH
2−C
6H
4−CH
2−である。
【0062】
ポリスルフィドに加えて又はポリスルフィドの代わりに、硫黄含有ポリマーは、ポリチオエーテルを含み得る。本明細書で使用されるとき、「ポリチオエーテル」という用語は、ポリマー骨格中及び/又はポリマー鎖の末端部若しくはペンダント位に少なくとも1つのチオエーテル結合、すなわち、−[−C−S−C−]−を含むポリマーを指す。大抵、ポリチオエーテルは、チオエーテル結合を8個から200個まで有する。本発明における使用に適したポリチオエーテルには、例えば、式(IV):
−R
1−[−S−(CH
2)
2−O−[−R
2−O−]
m−(CH
2)
2−S−R
1]
n− (IV)
(式中、(1)R
1は、C
2〜6n−アルキレン基、C
3〜6分岐アルキレン基、C
6〜8シクロアルキレン基若しくはC
6〜10アルキルシクロアルキレン基、−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(−CH
2−)
r−、又は−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(−CH
2−)
r−を表し、ここで、少なくとも1個の−CH
2−単位は、メチル基により置換されており、(2)R
2は、C
2〜6n−アルキレン基、C
2〜6分岐アルキレン基、C
6〜8シクロアルキレン基若しくはC
6〜10アルキルシクロアルキレン基、又は−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(−CH
2−)
r−を表し、Xは、O、S及び−NR
6−からなる群より選択されるものを表し、R
6は、H又はメチルを表し、(3)mは、0から10までの有理数であり、(4)nは、1から60までの整数であり、(5)pは、2から6までの整数であり、(6)qは、1から5までの整数であり、(7)rは、2から10までの整数である)
を有する構造を含むポリチオエーテルが挙げられる。このようなポリチオエーテルは、米国特許第6,172,179号のカラム2の29行目からカラム4の34行目に記述されており、この引用部分は、参照により本明細書に組み込む。適切なポリチオエーテルの例は、PERMAPOL P−3.1e又はPERMAPOL P−3等、PERMAPOLという商標でPRC−Desoto International,Inc.から入手することができる。
【0063】
本発明の特定の実施形態において、シーラントは、(a)上記のポリスルフィド、(b)式(III)を有する構造を含むポリチオエーテル、(c)ポリスルフィド、ジメルカプトジエチルスルフィド等の有機ジメルカプタン、及びアミンの反応から得られるポリマー混合物等、上記の種類のポリマー混合物を含むポリマーブレンドを含む、組成物から堆積される。いくつかの実施形態において、このようなポリマーブレンド中の(a)と(b)との重量比は、10:90から90:10、例えば50:50である。このようなポリマーブレンドは、米国特許第7,524,564号のカラム1の51行目からカラム2の67行目に記述されており、この引用部分は、参照により本明細書に組み込む。
【0064】
特定の実施形態において、硫黄含有ポリマー又はそのブレンドは、シーラントを形成する素材となる組成物中に、この組成物中の非揮発性成分の合計重量に対して少なくとも30重量パーセント、例えば少なくとも40重量パーセント、又は場合によっては、少なくとも45重量パーセントの量で存在する。特定の実施形態において、硫黄含有ポリマー、又はそのブレンドは、シーラントを形成する素材となる組成物中に、この組成物のすべての非揮発性成分の重量に対して90重量パーセント以下、例えば80重量パーセント以下、又は場合によっては、75重量パーセント以下の量で存在する。
【0065】
特定の実施形態において、シーラントを形成する素材となる組成物もまた、硬化剤を含む。本発明の特定の組成物において(特に、チオール官能性硫黄含有ポリマーが使用される場合に)有用な硬化剤には、エポキシ樹脂、例えば、ヒダントインジエポキシド、ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル、ビスフェノール−Fのジグリシジルエーテル、ノボラック型エポキシド、及びエポキシ化された任意の不飽和フェノール系樹脂、並びに、市販のポリオールのアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、不飽和合成又は天然樹脂化合物、トリアリルシアヌラート、及び本発明のポリチオエーテルのオレフィン末端化誘導体等の不飽和化合物が挙げられる。
【0066】
さらに、チオール官能性硫黄含有ポリマーが使用される場合、有用な硬化は、当業者に公知の有機及び無機過酸化物(例えば、MnO
2)を用いたチオール基どうしの酸化的カップリングによって得ることができる。
【0067】
シーラントを堆積する素材となる組成物の特定の実施形態において有用な充填剤には、当技術分野において一般的に使用される充填剤が挙げられ、カーボンブラック及び炭酸カルシウム(CaCO
3)等の従来の無機充填剤、並びに軽量充填剤を含める。適切な軽量充填剤には、例えば、米国特許第6,525,168号のカラム4の23〜55行目に記述されている軽量充填剤が挙げられ、この引用部分は、参照により本明細書に組み込む。特定の実施形態において、組成物は、組成物の合計重量に対して、5重量パーセントから60重量パーセント、例えば10重量パーセントから50重量パーセントの充填剤又は充填剤の組合せを含む。
【0068】
前述の原材料に加えて、シーラント組成物は、任意選択により、他の成分の中でもとりわけ次のものの1つ又は複数を含み得る:着色料、チキソトロープ剤(thixotropes:チキソトロピー付与剤)、促進剤、遅延剤、接着促進剤、溶剤、及びマスキング剤。
【0069】
チキソトロープ剤、例えばシリカは大抵、組成物の合計重量に対して、0.1重量パーセントから5重量パーセントまでの量で使用される。
【0070】
アミン等、当技術分野に公知な硬化触媒は大抵、組成物の合計重量に対して、0.1重量パーセントから5重量パーセントまでの量で存在する。有用な触媒の具体例は、限定はないが、1,4−ジアザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO(登録商標)、Air Products、Chemical Additives Division、Allentown、PAから市販)及びDMP−30(登録商標)(2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールを含む促進剤組成物、Rohm and Haas、Philadelphia、PAから市販)である。
【0071】
ステアリン酸等の遅延剤も同様に大抵、組成物の合計重量に対して、0.1重量パーセントから5重量パーセントまでの量で使用される。もし用いられるならば、接着促進剤は大抵、組成物の合計重量に対して、0.1重量パーセントから15重量パーセントまでの量で存在する。適切な接着促進剤には、Occidental Chemicalsから入手可能なMETHYLONフェノール樹脂等のフェノール樹脂、並びにエポキシ、メルカプト又はアミノ官能性シラン等、例えばMomentive Performance Materialsから入手可能なSilquest A−187及びSilquest A−1100といった有機シランが挙げられる。組成物にある何らかの低レベル臭気を隠すのに有用なパイン調の香気又はその他の香り等のマスキング剤は大抵、組成物の合計重量に対して、0.1重量パーセントから1重量パーセントまでの量で存在する。
【0072】
特定の実施形態において、シーラント組成物は可塑剤を含み、可塑剤は、少なくともいくつかの場合で、通例航空宇宙産業用シーラントにおいて有用とされるT
gより高いT
gを有する硫黄含有ポリマー(単数又は複数)を組成物に組み入れることを可能にする。すなわち、可塑剤を使用すれば、組成物のT
gを効果的に低下させることができ、この結果、硬化された重合性組成物の低温柔軟性が高まって、硫黄含有ポリマー単独のT
gに基づいて予想される低温柔軟性を上回り得る。本発明の組成物の特定の実施形態において有用な可塑剤には、例えば、フタル酸エステル、塩素化パラフィン、及び水素化テルフェニルが挙げられる。可塑剤又は可塑剤の組合せは大抵、組成物の1重量パーセントから40重量パーセント、例えば1重量パーセントから10重量パーセントを占める。特定の実施形態において、組成物中に使用される可塑剤(単数又は複数)の性質及び量に応じて、−50℃まで、例えば−55℃までのT
g値を有する本発明のチオエーテルが使用され得る。
【0073】
特定の実施形態において、シーラント組成物は、イソプロピルアルコール等の1つ又は複数の有機溶剤を、組成物の合計重量に対して例えば0重量パーセントから15重量パーセントまでの範囲、例えば15重量パーセント未満、場合によっては10重量パーセント未満の量でさらに含み得る。
【0074】
本発明のコーティング/シーラント系は、少なくともいくつかの場合では、優れた層間接着並びに基材への接着を示し得る。本発明のいくつかの実施形態において、本発明のコーティング/シーラント系は、本明細書の実施例で記述されているAS5127/1Bに従って測定したときに、少なくとも150N/25mm、例えば少なくとも200N/25mmの平均剥離強さ、及び少なくとも50%、例えば少なくとも90%、又は場合によっては、100%の%凝集率(cohesive)を示す。
【0075】
特許請求されている発明のこれら及びその他の態様について、下記の非限定的な例によりさらに例示する。
【実施例】
【0076】
例1:水性樹脂分散体の調製
12リットル丸底4つ口フラスコに、軸受付き撹拌器、水冷式凝縮器、窒素導入アダプター付き熱電対プローブ、及び電気加熱式マントルを備え付けた。フラスコに、2949.8グラム(7.845モル)のビスフェノールAジグリシジルエーテル(当量188)、948.8グラム(4.162モル)のビスフェノールA、418.9グラムの2−n−ブトキシエタノール、及び335.3グラムの2−エチルヘキサノールを装入した。窒素ブランケット下、これを撹拌し、115℃に加熱した。115℃において、2.9グラムのエチルトリフェニルホスホニウムヨージド(Sigma−Aldrichから入手可能)を添加した。これを発熱が始まるまで加熱し、反応混合物を165℃以上に60分間維持した。90℃に冷却しながら、反応混合物に383.3グラムのEktasolve EEH(Eastman Chemical Companyから入手可能)及び83.6グラムの2−エチルヘキサノールを添加した。90℃において、67.9グラム(0.430モル)のフェニルホスホン酸、115.6グラム(1.003モル)の85%o−リン酸、及び24.7グラムのEktasolve EEHの混合物を添加した。発熱後、反応混合物を120℃に30分間保持し、次いで100℃に冷却した。100℃において、257.6グラムの脱イオン水を約1時間かけて添加し、その後、反応混合物を100℃に2時間保持した。その時点で、反応混合物を90℃に冷却し、324.2グラム(2.437モル)のジイソプロパノールアミン及び1487.2グラムのCymel 1130(Cytec Industries,Inc.から入手可能)を添加した。混合物を90℃に30分間保持した。7000グラムのこの材料を、5511.4グラムの脱イオン水に混ぜ入れ、続いて、1317.0グラム超の脱イオン水を添加した。これに、366.4グラムの2−ヘキソキシエタノール、225.5グラムのOptifilm 400(Eastman Chemical Companyから入手可能)、及び5.5グラムのTektronic 150R1(BASF Corporationから入手可能)を添加した。続いて、1045.5グラムの脱イオン水を添加すると、110℃において1時間後に39.4%の固形分を示す分散体が生じた。
【0077】
例2:水性樹脂分散体の調製
3リットル丸底4つ口フラスコに、軸受付き撹拌器、水冷式凝縮器、窒素導入アダプター付き熱電対プローブ、及び電気加熱式マントルを備え付けた。フラスコに、705グラム(3.75モル)のビスフェノールAジグリシジルエーテル(当量188)、222.6グラム(1.952モル)のビスフェノールA、39グラム(0.237モル)のメルカプトメチルベンゾイミダゾール(Sigma−Aldrichから入手可能)、及び180.3グラムの2−n−ブトキシエタノールを装入した。窒素ブランケット下、これを撹拌し、115℃に加熱した。115℃において、0.7グラムのエチルトリフェニルホスホニウムヨージド(Sigma−Aldrichから入手可能)を添加した。これを発熱が始まるまで加熱し、反応混合物を165℃以上に60分間維持した。90℃に冷却しながら、反応混合物に112グラムの2−n−ブトキシエタノールを添加した。90℃において、27.6グラムの85%o−リン酸を添加した。発熱後、反応混合物を120℃に30分間保持し、次いで100℃に冷却した。100℃において、61.6グラムの脱イオン水を約1時間かけて添加し、その後、反応混合物を100℃に2時間保持した。その時点で、反応混合物を90℃に冷却し、63.8グラムのジイソプロパノールアミン、330.5グラムのCymel 1130(Cytec Industries,Inc.から入手可能)及び40.1グラムのメルカプトメチルベンゾイミダゾールを添加した。混合物を90℃に30分間保持した。1650グラムのこの材料を、1350グラムの脱イオン水に混ぜ入れ、続いて、315.8グラムの脱イオン水、次いで最後に、390.1グラムの脱イオン水を添加した。最終的な分散体は、110℃において1時間後に30.3%の固形分を示した。
【0078】
例3:水性樹脂分散体の調製
3リットル丸底4つ口フラスコに、軸受付き撹拌器、水冷式凝縮器、窒素導入アダプター付き熱電対プローブ、及び電気加熱式マントルを備え付けた。フラスコに、450グラム(2.39モル)のビスフェノールAジグリシジルエーテル(当量188)、142.1グラム(1.25モル)のビスフェノールA、15.9グラム(0.135モル)のフェニル−1H−テトラゾール−5−チオール(Sigma−Aldrichから入手可能)及び115.1グラムの2−n−ブトキシエタノールを装入した。窒素ブランケット下、これを撹拌し、115℃に加熱した。115℃において、0.5グラムのエチルトリフェニルホスホニウムヨージド(Sigma−Aldrichから入手可能)を添加した。これを発熱が始まるまで加熱し、反応混合物を165℃以上に60分間維持した。90℃に冷却しながら、反応混合物に71.2グラムの2−n−ブトキシエタノールを添加した。90℃において、17.6グラムの85%o−リン酸を添加した。発熱後、反応混合物を120℃に30分間保持し、次いで100℃に冷却した。100℃において、39.3グラムの脱イオン水を約1時間かけて添加し、その後、反応混合物を100℃に2時間保持した。その時点で、反応混合物を90℃に冷却し、40.7グラムのジイソプロパノールアミン、211.0グラムのCymel 1130(Cytec Industries,Inc.から入手可能)及び26.1グラムのフェニル−1H−テトラゾール−5−チオールを添加した。混合物を90℃に30分間保持した。1000グラムのこの材料を、814グラムの脱イオン水に混ぜ入れ、分散体を1時間撹拌し、続いて、190.9グラムの脱イオン水、次いで最後に、235.9グラムの脱イオン水を添加した。最終的な分散体は、110℃において1時間後に36.1%の固形分を示した。
【0079】
例4:水性樹脂分散体の調製
3リットル丸底4つ口フラスコに、軸受付き撹拌器、水冷式凝縮器、窒素導入アダプター付き熱電対プローブ、及び電気加熱式マントルを備え付けた。フラスコに、727.9部(3.87モル)のビスフェノールAジグリシジルエーテル(当量188)、229.8グラム(2.02モル)のビスフェノールA及び186.1グラムの2−n−ブトキシエタノールを装入した。窒素ブランケット下、これを撹拌し、115℃に加熱した。115℃において、0.7グラムのエチルトリフェニルホスホニウムヨージド(Sigma−Aldrichから入手可能)を添加した。これを発熱が始まるまで加熱し、反応混合物を165℃以上に60分間維持した。90℃に冷却しながら、反応混合物に115.2グラムの2−n−ブトキシエタノールを添加した。90℃において、42.2グラムの2−メルカプトベンゾチアゾールを添加し、反応を30分間維持した。反応混合物に、28.5グラムの85%o−リン酸を添加した。発熱後、反応混合物を120℃に60分間保持し、次いで100℃に冷却した。100℃において、63.6グラムの脱イオン水を約1時間かけて添加し、その後、反応混合物を100℃に2時間保持した。その時点で、反応混合物を90℃に冷却し、65.8グラムのジイソプロパノールアミン、及び341.3グラムのCymel 1130(Cytec Industries,Inc.から入手可能)を添加した。混合物を90℃に30分間保持した。1600グラムのこの材料を、1267.4グラムの脱イオン水に混ぜ入れ、分散体を1時間撹拌し、続いて、301.8グラムの脱イオン水、次いで最後に、372.8グラムの脱イオン水を添加した。最終的な分散体は、110℃において1時間後に34.0%の固形分を示した。
【0080】
例5〜8:コーティング組成物の調製
コーティング組成物を、表1に列挙されている原材料及び量(重量部)を用いて調製した。最終的な組成物のpH及び導電率もまた、表1に記載されている。
【表1】
【0081】
それぞれの場合において、分散体をガロン容器に添加した。撹拌しながら、顔料ペーストを脱イオン水と一緒に分散体に添加した。最終的な浴の固形分は約20%であり、顔料と樹脂との比は0.2:1.0であった。浴全体の50パーセントを限外ろ過により除去し、脱イオン水によって置きかえた。
【0082】
試験用基材
アルミニウム2024−T3製でむき出しのパネルを、Henkel Corporationから入手可能なアルカリ洗浄剤であるRIDOLINE 298の溶液中に130°Fにおいて2分間浸漬することにより洗浄した。アルカリ洗浄した後、パネルをすすぎ洗い用水道水中に周囲条件において1分間浸漬した。次いでパネルを、Henkel Corporationから入手可能な酸性脱酸素剤であるDEOXIDIZER 6/16の溶液中に周囲条件において2分30秒間浸漬した。酸により脱酸素した後、周囲条件においてパネルを水道水に1分間浸漬し、続いて最後に、脱イオン水をスプレーしてすすぎ洗いした。パネルは、空気乾燥した後に使用した。
【0083】
例5、6、7、及び8のコーティング組成物を、2.75インチ×6インチで清浄な脱酸素済みパネル上に堆積させた。この堆積は、例5及び6のコーティング組成物を75°F(24℃)に加熱し、例7及び8のコーティング組成物を90°F(32℃)に加熱することにより行った。これらのパネルを、撹拌しているコーティング組成物の浴中に浸漬し、次いで85から275ボルトを90秒間印加し、200°F(93℃)において30分間熱硬化させると、約0.8ミルの膜厚が獲得された。
【0084】
シーラント接着を、PRC−DeSoto International,Inc.から市販のPR−1776M B−2シーラントを用いて評価した。パネルは、次の修正を加えたAS5127/1Bに従って調製した:ワイヤースクリーン又は織布型補強材の代わりにアルミニウム箔細片を用いた。箔細片は、厚み0.005インチであり、寸法が幅1インチ×長さ12インチであった。箔の調製は、灰色SCOTCH BRITEパッド(商標)によって擦って研磨すること、AS5127/1Bに従って溶剤によって溶剤洗浄すること、及び、PRC−DeSoto International,Inc.から市販のPR−148接着促進剤を製造業者の使用説明書に従って施用することを含んでいた。パネルを14日間77°F、相対湿度50%において硬化させ、次いで、AS5127/1Bに従って剥離強さについて試験した。結果は、表2に記載されている。
【表2】
【0085】
例9:水性樹脂分散体の調製
12リットル丸底4つ口フラスコに、軸受付き撹拌器、水冷式凝縮器、窒素導入アダプター付き熱電対プローブ、及び電気加熱式マントルを備え付けた。フラスコに、2337.4グラム(6.216モル)のビスフェノールAジグリシジルエーテル(当量188)、751.9グラム(3.298モル)のビスフェノールA、332.0グラムの2−n−ブトキシエタノール、及び265.7グラムの2−エチルヘキサノールを装入した。窒素ブランケット下、これを撹拌し、115℃に加熱した。115℃において、2.3グラムのエチルトリフェニルホスホニウムヨージド(Sigma−Aldrichから入手可能)を添加した。これを発熱が始まるまで加熱し、反応混合物を165℃以上に60分間維持した。90℃に冷却しながら、反応混合物に303.8グラムのEktasolve EEH(Eastman Chemical Companyから入手可能)及び66.2グラムの2−エチルヘキサノールを添加した。90℃において、53.8グラム(0.340モル)のフェニルホスホン酸、91.6グラム(0.794モル)の85%o−リン酸、及び19.6グラムのEktasolve EEHの混合物を添加した。発熱後、反応混合物を120℃に30分間保持し、次いで100℃に冷却した。100℃において、204.1グラムの脱イオン水を約1時間かけて添加し、その後、反応混合物を100℃に2時間保持した。その時点で、反応混合物を90℃に冷却し、256.9グラム(1.932モル)のジイソプロパノールアミン、1178.5グラムのCymel 1130(Cytec Industries,Inc.から入手可能)、及び136.1グラム(1.144モル)の2−メルカプトベンゾチアゾールを添加した。混合物を90℃に30分間保持した。5600グラムのこの材料を、4484.5グラムの脱イオン水に混ぜ入れ、続いて、1061.5グラム超の脱イオン水を添加した。これに、295.4グラムの2−ヘキソキシエタノール、181.8グラムのOptifilm 400(Eastman Chemical Companyから入手可能)、及び4.4グラムのTektronic 150R1(BASF Corporationから入手可能)を添加した。続いて、842.7グラムの脱イオン水を添加すると、110℃において1時間後に38.6%の固形分を示す分散体が生じた。
【0086】
例10:水性樹脂分散体の調製
12リットル丸底4つ口フラスコに、軸受付き撹拌器、水冷式凝縮器、窒素導入アダプター付き熱電対プローブ、及び、電気加熱式マントルを備え付けた。フラスコに、2102.9グラム(5.593モル)のビスフェノールAジグリシジルエーテル(当量188)、663.9グラム(2.912モル)のビスフェノールA、118.3グラム(0.707モル)の2−メルカプトベンゾチアゾール、及び537.7グラムの2−n−ブトキシエタノールを装入した。窒素ブランケット下、これを撹拌し、115℃に加熱した。115℃において、2.1グラムのエチルトリフェニルホスホニウムヨージド(Sigma−Aldrichから入手可能)を添加した。これを発熱が始まるまで加熱し、反応混合物を165℃以上に60分間維持した。90℃に冷却しながら、反応混合物に332.9グラムの2−n−ブトキシエタノールを添加した。90℃において、82.4グラム(0.715モル)の85%o−リン酸を添加した。発熱後、反応混合物を120℃に30分間保持し、次いで100℃に冷却した。100℃において、183.7グラムの脱イオン水を約1時間かけて添加し、その後、反応混合物を100℃に2時間保持した。その時点で、反応混合物を90℃に冷却し、190.2グラム(1.430モル)のジイソプロパノールアミン及び985.9グラムのCymel 1130(Cytec Industries,Inc.から入手可能)を添加した。混合物を90℃に30分間保持した。4800グラムのこの材料を、3926.5グラムの脱イオン水に混ぜ入れ、続いて、918.6グラムの脱イオン水、次いで最後に、1134.7グラムの脱イオン水を添加した。最終的な分散体は、110℃において1時間後に37.1%の固形分を示した。
【0087】
例11:水性樹脂分散体の調製
3000ml丸底4つ口フラスコに、軸受付き撹拌器、水冷式凝縮器、窒素導入アダプター付き熱電対プローブ、及び電気加熱式マントルを備え付けた。フラスコに、400.8グラム(1.0660モル)のビスフェノールAジグリシジルエーテル(当量188)、128.9グラム(0.565モル)のビスフェノールA、及び102.5グラムの2−n−ブトキシエタノールを装入した。窒素ブランケット下、これを撹拌し、115℃に加熱した。115℃において、0.4グラムのエチルトリフェニルホスホニウムヨージド(Sigma−Aldrichから入手可能)を添加した。これを発熱が始まるまで加熱し、反応混合物を165℃以上に60分間維持した。90℃に冷却しながら、反応混合物に66.8グラムの2−n−ブトキシエタノールを添加した。90℃において、19.1グラム(0.166モル)の85%o−リン酸を添加した。発熱後、反応混合物を120℃に30分間保持し、次いで100℃に冷却した。100℃において、35.0グラムの脱イオン水を約45分かけて添加し、その後、反応混合物を100℃に2時間保持した。その時点で、反応混合物を90℃に冷却し、53.5グラム(0.402モル)のジイソプロパノールアミン、202.1グラムのCymel 1130(Cytec Industries,Inc.から入手可能)、及び90.9グラムの例12の付加物を添加した。混合物を90℃に30分間保持した。900グラムのこの材料を、708.6グラムの脱イオン水に混ぜ入れ、続いて、169.3グラムの脱イオン水、次いで最後に、209.2グラムの脱イオン水を添加した。最終的な分散体は、110℃において1時間後に38.7%の固形分を示した。
【0088】
例12:付加物の調製
1リットル丸底4つ口フラスコに、軸受付き撹拌器、水冷式凝縮器、窒素導入アダプター付き熱電対プローブ、及び電気加熱式マントルを備え付けた。フラスコには順番に、40.2グラムのメルカプトベンゾチアゾール、92.5グラムのEPON 828及び192.0グラムのメチルアミルケトンを装入した。反応を50℃に加熱し、1時間保持した。温度は、還流が起こるまで上昇させた(116℃)。反応を6時間保持し、凝縮器を蒸留ヘッド付き凝縮器によって置きかえた。加熱マントルを118℃に設定し、この設定温度に到達するまで揮発性成分を除去した(173g)。最終的な材料は、固形分が86%であり、核磁気共鳴によって所望の生成物を確認した。
【0089】
例13〜15:コーティング組成物の調製
コーティング組成物を、表3に列挙されている原材料及び量(重量部)を用いて調製した。最終的な組成物のpH及び導電率もまた、表3に記載されている。
【表3】
【0090】
それぞれの場合において、分散体をガロン容器に添加した。撹拌しながら、顔料ペーストを脱イオン水と一緒に分散体に添加した。最終的な浴の固形分は約20%であり、顔料と樹脂との比は0.2:1.0であった。浴全体の50パーセントを限外ろ過により除去し、脱イオン水によって置きかえた。
【0091】
試験用基材
アルミニウム2024−T3製でむき出しのパネルを、Henkel Corporationから入手可能なアルカリ洗浄剤であるRIDOLINE 298の溶液中に130°Fにおいて2分間浸漬することにより洗浄した。アルカリ洗浄した後、パネルをすすぎ洗い用水道水中に周囲条件において1分間浸漬した。次いでパネルを、Henkel Corporationから入手可能な酸性脱酸素剤であるDEOXIDIZER 6/16の溶液中に周囲条件において2分30秒間浸漬した。酸により脱酸素した後、周囲条件においてパネルを水道水に1分間浸漬し、続いて最後に、脱イオン水をスプレーしてすすぎ洗いした。パネルは、空気乾燥した後に使用した。
【0092】
例5、13、14、及び15のコーティング組成物を、2.75インチ×6インチで清浄な脱酸素済みパネル上に堆積させた。この堆積は、例5及び13のコーティング組成物を75°F(24℃)に加熱し、例14及び15のコーティング組成物を90°F(32℃)に加熱することにより行った。これらのパネルを、撹拌しているコーティング組成物の浴中に浸漬し、次いで85から275ボルトを90秒間印加し、200°F(93℃)において30分間熱硬化させ、ただし、例15は例外として60分間硬化させると、約0.8ミルの膜厚が獲得された。
【0093】
シーラント接着を、PRC−DeSoto International,Inc.から市販のPR−1776M B−2シーラントを用いて評価した。パネルは、次の修正を加えたAS5127/1Bに従って調製した:ワイヤースクリーン又は織布型補強材の代わりにアルミニウム箔細片を用いた。箔細片は、厚み0.005インチであり、寸法が幅1インチ×長さ12インチであった。箔の調製は、SCOTCH BRITEパッド(商標)によって擦って研磨すること、AS5127/1Bに従って溶剤によって溶剤洗浄すること、及び、PRC−DeSoto International,Inc.から市販のPR−148接着促進剤を製造業者の使用説明書に従って施用することを含んでいた。パネルを14日間、周囲温度及び湿度の条件において硬化させ、次いで、AS5127/1Bに従って剥離強さについて試験した。結果は、表4に記載されている。
【表4】
【0094】
例16:水性樹脂分散体の調製
3リットル丸底4つ口フラスコに、軸受付き撹拌器、水冷式凝縮器、窒素導入アダプター付き熱電対プローブ、及び電気加熱式マントルを備え付けた。フラスコに、727.9部(3.87モル)のビスフェノールAジグリシジルエーテル(当量188)、229.8グラム(2.02モル)のビスフェノールA及び186.1グラムの2−n−ブトキシエタノールを装入した。窒素ブランケット下、これを撹拌し、115℃に加熱した。115℃において、0.7グラムのエチルトリフェニルホスホニウムヨージド(Sigma−Aldrichから入手可能)を添加した。これを発熱が始まるまで加熱し、反応混合物を165℃以上に60分間維持した。90℃に冷却しながら、反応混合物に115.2グラムの2−n−ブトキシエタノールを添加した。90℃において、28.5グラムの85%o−リン酸を添加し、発熱後、反応混合物を120℃に30分間保持した。反応混合物に、41.0グラムの2−メルカプトベンゾチアゾールを添加し、反応を120℃に30分間維持し、次いで100℃に冷却した。100℃において、63.6グラムの脱イオン水を約1時間かけて添加し、その後、反応混合物を100℃に2時間保持した。その時点で、反応混合物を90℃に冷却し、65.8グラムのジイソプロパノールアミン、及び341.3グラムのCymel 1130(Cytec Industries,Inc.から入手可能)を添加した。混合物を90℃に30分間保持した。1608グラムのこの材料を、1295.3グラムの脱イオン水に混ぜ入れ、分散体を1時間撹拌し、続いて、305.6グラムの脱イオン水、次いで最後に、377.5グラムの脱イオン水を添加した。最終的な分散体は、110℃において1時間後に34.0%の固形分を示した。
【0095】
例17:コーティング組成物の調製
コーティング組成物を、表5に列挙されている原材料及び量(重量部)を用いて調製した。最終的な組成物のpH及び導電率もまた、表5に記載されている。
【表5】
【0096】
それぞれの場合において、分散体をガロン容器に添加した。撹拌しながら、顔料ペーストを脱イオン水と一緒に分散体に添加した。最終的な浴の固形分は約20%であり、顔料と樹脂との比は0.2:1.0であった。浴全体の50パーセントを限外ろ過により除去し、脱イオン水によって置きかえた。
【0097】
試験用基材
アルミニウム2024−T3製でむき出しのパネルを、Henkel Corporationから入手可能なアルカリ洗浄剤であるRIDOLINE 298の溶液中に130°Fにおいて2分間浸漬することにより洗浄した。アルカリ洗浄した後、パネルをすすぎ洗い用水道水中に周囲条件において1分間浸漬した。次いでパネルを、Henkel Corporationから入手可能な酸性脱酸素剤であるDEOXIDIZER 6/16の溶液中に周囲条件において2分30秒間浸漬した。酸により脱酸素した後、周囲条件においてパネルを水道水に1分間浸漬し、続いて最後に、脱イオン水をスプレーしてすすぎ洗いした。パネルは、空気乾燥した後に使用した。
【0098】
例17のコーティング組成物を、2.75インチ×6インチで清浄な脱酸素済みパネル上に堆積させた。この堆積は、例17のコーティング組成物を90°F(32℃)に加熱することにより行った。これらのパネルを、撹拌しているコーティング組成物の浴中に浸漬し、次いで85から275ボルトを90秒間印加し、200°F(93℃)において30分間熱硬化させると、約0.8ミルの膜厚が獲得された。
【0099】
シーラント接着を、PRC−DeSoto International,Inc.から市販のPR−1776M B−2シーラントを用いて評価した。パネルは、次の修正を加えたAS5127/1Bに従って調製した:ワイヤースクリーン又は織布型補強材の代わりにアルミニウム箔細片を用いた。箔細片は、厚み0.005インチであり、寸法が幅1インチ×長さ12インチであった。箔の調製は、灰色SCOTCH BRITEパッド(商標)によって擦って研磨すること、AS5127/1Bに従って溶剤によって溶剤洗浄すること、及び、PRC−DeSoto International,Inc.から市販のPR−148接着促進剤を製造業者の使用説明書に従って施用することを含んでいた。パネルを14日間77°F、相対湿度50%において硬化させ、次いで、AS5127/1Bに従って剥離強さについて試験した。結果は、表6に記載されている。
【表6】
【0100】
例示を目的として、本発明の特定の実施形態について上述したが、添付の特許請求の範囲において規定されている本発明から逸脱することなく、本発明の詳細に対する多数の変形を行えることは、当業者ならばわかるであろう。