特許第5987210号(P5987210)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5987210
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】電線収容チューブ保持部材
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20160825BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   H02G3/04 062
   B60R16/02 620A
   B60R16/02 623T
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-259307(P2012-259307)
(22)【出願日】2012年11月28日
(65)【公開番号】特開2014-107960(P2014-107960A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075959
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 保
(72)【発明者】
【氏名】杉本 昌久
【審査官】 木村 励
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−241143(JP,A)
【文献】 特開2014−89913(JP,A)
【文献】 特開2010−68666(JP,A)
【文献】 特開2010−215010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線が収容される電線収容チューブを電線の配索経路に沿って固定させるため、あるいは別体の前記電線収容チューブを連結するために前記電線収容チューブを保持し、かつ前記電線収容チューブとの嵌合面の下部から外部に向けて貫通された排水口を有してなる電線収容チューブ保持部材において、
前記排水口に管開口が連通される管であり、前記排水口から下方に突出されてなる下方突出排水管部と、
前記下方突出排水管部の先端部に連接され、前記下方突出排水管部の前記先端部側の管開口の近傍、かつ該管開口の下方位置に前記下方突出排水管部の下方から前記下方突出排水管部内への異物の侵入を防止可能に水平方向に広がる壁面が形成されてなる水平方向壁を含んでなる異物侵入防止壁部と、
を有してなることを特徴とする電線収容チューブ保持部材。
【請求項2】
前記下方突出排水管部は、
前記排水口から垂直下方に突出されてから水平方向に屈曲されるように形成されてなり、
前記水平方向壁は、
前記下方突出排水管部の軸に直交する方向の幅が該下方突出排水管部の管外径に比して大きい幅に設定されてなることを特徴とする請求項1に記載の電線収容チューブ保持部材。
【請求項3】
前記下方突出排水管部は、
前記排水口から垂直下方に突出されてなり、
前記水平方向壁は、
前記先端部側の管開口の垂直下方から視て前記先端部側の管開口全域に重なるように形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の電線収容チューブ保持部材。
【請求項4】
当該電線収容チューブ保持部材が、
別体の前記電線収容チューブ同士を連結する場合、連結される2つの前記電線収容チューブの合わせ目の近傍に前記排水口が設けられてなることを特徴とする請求項1、2、または3に記載の電線収容チューブ保持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線が収容される電線収容チューブを保持する電線収容チューブ保持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車に配索されるワイヤーハーネス等の電線が収容される電線収容チューブを電線の配索経路に沿って固定させるため、あるいは別体の電線収容チューブ同士を連結するために電線収容チューブを保持する電線収容チューブ保持部材が用いられる。このような電線収容チューブ保持部材は、電線収容チューブ保持部材内に侵入した水によって漏電が発生することを防止する必要がある。例えば、特許文献1には、排水口を有するシールドパイプ用クランプ(電線収容チューブ保持部材)が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載された電線収容チューブ保持部材は、電線収容チューブとの嵌合面の下部から外部に向けて貫通されてなる排水口を有し、この排水口から電線収容チューブ保持部材内に侵入した水が排出されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−215010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された電線収容チューブ保持部材は、電線収容チューブ保持部材が車体の床下に配置された場合、路面等から跳ね上がった砂利等の異物が排水口から電線収容チューブ保持部材内に侵入し、この侵入した異物が電線の絶縁被覆部に繰り返し擦れた場合、絶縁被覆部が損傷されることによってショート不良を発生させるおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、異物による電線の損傷を防ぐことができる電線収容チューブ保持部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1に係る電線収容チューブ保持部材は、電線が収容される電線収容チューブを電線の配索経路に沿って固定させるため、あるいは別体の前記電線収容チューブを連結するために前記電線収容チューブを保持し、かつ前記電線収容チューブとの嵌合面の下部から外部に向けて貫通された排水口を有してなる電線収容チューブ保持部材において、前記排水口に管開口が連通される管であり、前記排水口から下方に突出されてなる下方突出排水管部と、前記下方突出排水管部の先端部に連接され、前記下方突出排水管部の前記先端部側の管開口の近傍、かつ該管開口の下方位置に前記下方突出排水管部の下方から前記下方突出排水管部内への異物の侵入を防止可能に水平方向に広がる壁面が形成されてなる水平方向壁を含んでなる異物侵入防止壁部と、を有してなることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項2に係る電線収容チューブ保持部材は、上記の発明において、前記下方突出排水管部は、前記排水口から垂直下方に突出されてから水平方向に屈曲されるように形成されてなり、前記水平方向壁は、前記下方突出排水管部の軸に直交する方向の幅が該下方突出排水管部の管外径に比して大きい幅に設定されてなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項3に係る電線収容チューブ保持部材は、上記の発明において、前記下方突出排水管部は、前記排水口から垂直下方に突出されてなり、前記水平方向壁は、前記先端部側の管開口の垂直下方から視て前記先端部側の管開口全域に重なるように形成されてなることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項4に係る電線収容チューブ保持部材は、上記の発明において、当該電線収容チューブ保持部材が、別体の前記電線収容チューブ同士を連結する場合、連結される2つの前記電線収容チューブの合わせ目の近傍に前記排水口が設けられてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に係る電線収容チューブ保持部材は、当該電線収容チューブ保持部材と前記電線収容チューブとの間に侵入した水、あるいは前記電線収容チューブ内に侵入した水が、前記排水口から前記下方突出排水管部の管孔内に流れ、その後に前記下方突出排水管部の先端部側の管開口から外部に排出されるとともに、前記下方突出排水管部の下方から前記先端部側の管開口に向けて飛んでくる異物が、前記異物侵入防止壁部によって跳ね返されることによって異物が前記下方突出排水管部内、すなわち前記排水口内に侵入されることが防止されるようになっているので、前記電線収容チューブ内への異物の侵入を防ぎ、電線と異物が擦れることが無くなり、結果的に、異物による電線の損傷を防ぐことができる。
【0012】
本発明の請求項2に係る電線収容チューブ保持部材は、前記下方突出排水管部の先端部が水平方向に向けられるため、下方から前記先端部側の管開口に向けて飛んでくる異物が前記下方突出排水管部内に侵入され難しくなり、しかも、前記水平方向壁が管開口の下方の周辺領域で前記下方突出排水管部の管外径に比して大きい幅で前記下方突出排水管部の軸に直交する方向に広がるため、前記下方突出排水管部の下方から前記先端部側の管開口に向けて飛んでくる異物が前記下方突出排水管部内、すなわち前記排水口内に侵入されることが確実に防止される。
【0013】
本発明の請求項3に係る電線収容チューブ保持部材は、前記下方突出排水管部の下方から前記先端部側の管開口に向けて飛んでくる異物が、前記異物侵入防止壁部に跳ね返されることによって異物が前記下方突出排水管部内、すなわち前記排水口内に侵入されることが防止されるとともに、前記下方突出排水管部が垂直下方に向いているため、前記排水口から流れた水が前記下方突出排水管部内に滞留され難いため、管開口から効率よく排水することができる。
【0014】
本発明の請求項4に係る電線収容チューブ保持部材は、水が溜りやすい部分となる2つの前記電線収容チューブの合わせ目の近傍に前記排水口が設けられるため、排水性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施例に係る電線収容チューブ保持部材の斜視図である。
図2図2は、図1に示した電線収容チューブ保持部材の側面図および下方突出排水管部の管開口側から視た正面図である。
図3図3は、図1に示した電線収容チューブ保持部材のA−A線断面図である。
図4図4は、電線収容チューブ保持部材内から外部に排水される水の流れと、下方突出排水管部の下方から管開口に向けて飛んでくる異物が異物侵入防止壁部によって跳ね返される動作を説明するための図である。
図5図5は、本発明の実施例に係る電線収容チューブ保持部材の変形例1の電線収容チューブ保持部材の断面図である。
図6図6は、電線収容チューブ保持部材内から外部に排水される水の流れと、下方突出排水管部の下方から管開口に向けて飛んでくる異物が異物侵入防止壁部によって跳ね返される動作を説明するための図である。
図7図7は、本発明の実施例に係る電線収容チューブ保持部材の変形例2の電線収容チューブ保持部材の断面図である。
図8図8は、本発明の実施例に係る電線収容チューブ保持部材の変形例3の電線収容チューブ保持部材の異物侵入防止壁部周辺を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係る電線収容チューブ保持部材の好適な実施例を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例に係る電線収容チューブ保持部材1の斜視図である。
なお、図1は、電線収容チューブ保持部材1を斜め下方から視た図である。
図2は、図1に示した電線収容チューブ保持部材1の側面図および下方突出排水管部20の管開口21b側から視た正面図である。
図3は、図1に示した電線収容チューブ保持部材1のA−A線断面図である。
なお、図3は、電線収容チューブ保持部材1によって連結される2本の電線収容チューブ100A,100Bを一点鎖線にて示している。
図4は、電線収容チューブ保持部材1内から外部に排水される水の流れと、下方突出排水管部20の下方から管開口21bに向けて飛んでくる異物が異物侵入防止壁部によって跳ね返される動作を説明するための図である。
【0017】
本発明の実施例に係る電線収容チューブ保持部材1は、図3に示すように、自動車に配索されるワイヤーハーネス等の電線Wが収容される別体の電線収容チューブ100A,100Bを連結するために電線収容チューブ100A,100Bを保持し、かつ電線収容チューブ100A,100Bとの嵌合面12の下部から外部に向けて貫通された排水口10を有してなる。なお、電線収容チューブ保持部材1は、外径の大きさが異なる2本の電線収容チューブ100A,100Bを連結するようになっている。
【0018】
この電線収容チューブ保持部材1は、合成樹脂材によって一体的に形成されてなる筒状部材であり、筒内に2本の電線収容チューブ100A,100Bの端部が収容されることによって、2本の電線収容チューブ100A,100Bが連結された状態で保持されるようになっている。
【0019】
この電線収容チューブ保持部材1は、筒内面が各電線収容チューブ100A,100Bとの嵌合面12になっており、この嵌合面12が外径の大きい側の電線収容チューブ100A(以下、大径側電線収容チューブという。)が嵌合される面となる大径チューブ嵌合面部12aと、外径の小さい側の電線収容チューブ100B(以下、小径側電線収容チューブという。)が嵌合される面となる小径チューブ嵌合面部12bとが電線収容チューブ保持部材1の軸方向、略中央位置で段差状に区分されるようになっている。
より具体的には、大径チューブ嵌合面部12aは、筒内径が大径側電線収容チューブ100Aの外径に比して僅かに大きい径に設定された部分であり、小径チューブ嵌合面部12bは、筒内径が小径側電線収容チューブ100Bの外径に比して僅かに大きい径に設定された部分である。
【0020】
また、電線収容チューブ保持部材1は、両端の開口内縁面に筒内に向けて鉤状に折り返されてなる鉤状ロック部11を有し、この鉤状ロック部11によって筒内に収容された各電線収容チューブ100A,100Bが筒外に離脱され難いようになっている。
【0021】
また、電線収容チューブ保持部材1は、電線収容チューブ100A,100Bとの嵌合面12の下部から外部に向けて貫通されてなる排水口10と、排水口10に管開口21aが連通される管であり、排水口10から下方に突出されてなる下方突出排水管部20と、下方突出排水管部20内への異物の侵入を防止する異物侵入防止壁部30とを有してなる。
【0022】
排水口10は、電線収容チューブ保持部材1の筒内に侵入した水を外部に排出するためのものであり、2本の電線収容チューブ100A,100Bの合わせ目の近傍に設けられている。
【0023】
下方突出排水管部20は、排水口10から垂直下方に突出されてから水平方向に屈曲されるように形成されてなる。このため、先端部20a側の管開口21bは水平方向に向けられるようになっている。
【0024】
異物侵入防止壁部30は、下方突出排水管部20の先端部20aに連接され、下方突出排水管部20の先端部20a側の管開口21bの近傍、かつ管開口21bの下方位置に下方突出排水管部20の下方から下方突出排水管部20内への異物の侵入を防止可能に水平方向に広がる壁面40aが形成されてなる水平方向壁40を含んでなる。
より具体的には、異物侵入防止壁部30は、全体的に板状をなし、下方突出排水管部20の先端部20aの外周面下部20bから垂直下方に延びてから水平方向に向けてほぼ直角に屈曲されてなる。この水平方向に屈曲された壁が水平方向壁40になっている。
この水平方向壁40は、下方突出排水管部20の軸に直交する方向の幅が下方突出排水管部20の管外径Dに比して大きい幅に設定されてなる。
【0025】
このような電線収容チューブ保持部材1は、図4に示すように、電線収容チューブ保持部材1と電線収容チューブ100A,100Bとの間に侵入した水(図4中、矢印Aで示す。)、あるいは各電線収容チューブ100A,100B内に侵入した水(図4中、矢印Bで示す。)が、排水口10から下方突出排水管部20の管孔22内を流れ、その後に、先端部20a側の管開口21bから外部に排出されるようになっている。
また、下方突出排水管部20の下方から管開口21bに向けて飛んでくる異物(図4中、矢印Pで示す。)が、下方突出排水管部20の水平方向に屈曲された部分、あるいは異物侵入防止壁部30によって跳ね返されることによって異物が下方突出排水管部20内に侵入されることが防止されるようになっている。
【0026】
本発明に係る電線収容チューブ保持部材1は、電線収容チューブ保持部材1と電線収容チューブ100A,100Bとの間に侵入した水、あるいは電線収容チューブ100A,100B内に侵入した水が、排水口10から下方突出排水管部20の管孔22内に流れ、その後に下方突出排水管部20の先端部20a側の管開口21bから外部に排出されるとともに、下方突出排水管部20の下方から先端部20a側の管開口21bに向けて飛んでくる異物が、異物侵入防止壁部30によって跳ね返されることによって異物が下方突出排水管部20内、すなわち排水口10内に侵入されることが防止されるようになっているので、電線収容チューブ100A,100B内への異物の侵入を防ぎ、電線Wと異物が擦れることが無くなり、結果的に、異物による電線Wの損傷を防ぐことができる。
【0027】
また、本発明に係る電線収容チューブ保持部材1は、下方突出排水管部20の先端部20aが水平方向に向けられるため、下方から先端部20a側の管開口21bに向けて飛んでくる異物が下方突出排水管部20内に侵入され難しくなり、しかも、水平方向壁40が管開口21bの下方の周辺領域で下方突出排水管部20の管外径Dに比して大きい幅で下方突出排水管部20の軸に直交する方向に広がるため、下方突出排水管部20の下方から先端部20a側の管開口21bに向けて飛んでくる異物が下方突出排水管部20内、すなわち排水口10内に侵入されることが確実に防止される。
【0028】
また、本発明に係る電線収容チューブ保持部材1は、水が溜りやすい部分となる2つの電線収容チューブ100A,100Bの合わせ目の近傍に排水口10が設けられるため、排水性を高めることができる。
【0029】
(変形例1)
ここで、図5および図6を用いて、本発明の実施例に係る電線収容チューブ保持部材1の変形例1について説明する。図5は、本発明の実施例に係る電線収容チューブ保持部材1の変形例1の電線収容チューブ保持部材2の断面図である。図6は、電線収容チューブ保持部材2内から外部に排水される水の流れと、下方突出排水管部50の下方から管開口51bに向けて飛んでくる異物が異物侵入防止壁部によって跳ね返される動作を説明するための図である。
なお、図5は、電線収容チューブ保持部材2によって連結される2本の電線収容チューブ100A,100Bを一点鎖線にて示している。
この変形例1の電線収容チューブ保持部材2は、実施例の下方突出排水管部20に代わって下方突出排水管部50を有し、異物侵入防止壁部30に代わって異物侵入防止壁部60を有してなる点で実施例の電線収容チューブ保持部材1と異なる。
なお、その他の構成は実施例と同様であり、実施例と同一構成部分には同一符号を付している。
【0030】
下方突出排水管部50は、排水口10から垂直下方に突出されてなる。
異物侵入防止壁部60は、水平方向壁70が下方突出排水管部50の先端部50a側の管開口51bの垂直下方から視て管開口51b全域に重なるように形成されてなる。
より具体的には、異物侵入防止壁部60は、全体的に板状をなし、下方突出排水管部50の先端部50aの外周面50bから垂直下方に延びてから水平方向に向けてほぼ直角に屈曲されてなる。この水平方向に屈曲された面が水平方向壁70になっている。
【0031】
このような電線収容チューブ保持部材2は、図6に示すように、電線収容チューブ保持部材2と電線収容チューブ100A,100Bとの間に侵入した水(図6中、矢印Aで示す。)、あるいは各電線収容チューブ100A,100B内に侵入した水(図6中、矢印Bで示す。)が、排水口10から下方突出排水管部50に排出され、管孔52内を垂直下降されて流れた後に、先端部50a側の管開口51bから外部に排出されるようになっている。
また、下方突出排水管部50の下方から管開口51bに向けて飛んでくる異物(図6中、矢印Pで示す。)が異物侵入防止壁部60によって跳ね返されることによって異物が下方突出排水管部50内に侵入されることが防止されるようになっている。
【0032】
この変形例1の電線収容チューブ保持部材2は、実施例の電線収容チューブ保持部材1と同様に、下方突出排水管部50の下方から先端部50a側の管開口51bに向けて飛んでくる異物が、異物侵入防止壁部60によって跳ね返されることによって異物が下方突出排水管部50内、すなわち排水口10内に侵入されることが防止されるようになっているので、電線収容チューブ100A,100B内への異物の侵入を防ぎ、電線Wと異物が擦れることが無くなり、結果的に、異物による電線Wの損傷を防ぐことができる。
また、下方突出排水管部50が垂直下方に向いているため、排水口10から流れた水が下方突出排水管部50内に滞留され難いため、管開口51bから効率よく排水することができる。
【0033】
(変形例2)
ここで、図7を用いて、本発明の実施例に係る電線収容チューブ保持部材1の変形例2について説明する。図7は、本発明の実施例に係る電線収容チューブ保持部材1の変形例2の電線収容チューブ保持部材3の断面図である。
なお、図7は、電線収容チューブ保持部材3によって保持される電線収容チューブ100を一点鎖線にて示している。
この変形例2の電線収容チューブ保持部材3は、電線収容チューブ100を電線Wの配索経路に沿って固定させるためのものである点で実施例の電線収容チューブ保持部材1と異なる。
なお、その他の構成は実施例と同様であり、実施例と同一構成部分には同一符号を付している。
【0034】
電線収容チューブ保持部材3は、実施例の電線収容チューブ保持部材1と同様に、電線収容チューブ100との嵌合面の下部から外部に向けて貫通されてなる排水口10と、排水口10に管開口21aが連通される管であり、排水口10から下方に突出されてなる下方突出排水管部20と、下方突出排水管部20の先端部20aに連接され、下方突出排水管部20の先端部20a側の管開口21bの近傍、かつ管開口21bの下方位置に下方突出排水管部20の下方から下方突出排水管部20内への異物の侵入を防止可能に水平方向に広がる壁面が形成されてなる水平方向壁40を含んでなる異物侵入防止壁部30と、を有してなる。
なお、この電線収容チューブ保持部材3は、支持固定部3aを有してなり、この支持固定部3aを介して、自動車の車体等の取り付け先に固定されるようになっている。
【0035】
この変形例2の電線収容チューブ保持部材3は、電線収容チューブ100A,100Bの連結に関する効果を除いて、実施例の電線収容チューブ保持部材1と同様な効果を奏することができる。
【0036】
(変形例3)
ここで、図8を用いて、本発明の実施例に係る電線収容チューブ保持部材1の変形例3について説明する。図8は、本発明の実施例に係る電線収容チューブ保持部材1の変形例3の電線収容チューブ保持部材4の異物侵入防止壁部80周辺を示した図である。
この変形例3の電線収容チューブ保持部材4は、実施例の異物侵入防止壁部30に代わって異物侵入防止壁部80を有してなる点で実施例の電線収容チューブ保持部材1と異なる。
なお、その他の構成は実施例と同様であり、実施例と同一構成部分には同一符号を付している。
【0037】
異物侵入防止壁部80は、水平方向壁90の横断面形状が円弧状に形成されてなる。このため、水平方向壁90は、高さ方向に幅Hを拡大させて管開口21bの下部周辺領域を覆うようになっている。
【0038】
この変形例3の電線収容チューブ保持部材4は、実施例の電線収容チューブ保持部材1と同様な効果を奏することができるとともに、下方から排水口10に向けて飛び込んでくる異物が排水口10に侵入することを効果的に防止することができる。
【0039】
なお、本発明の実施例に係る電線収容チューブ保持部材1,2,3,4は、水平方向壁面40,70,90が垂直方向に対して直角をなす方向に向けられるものを例示したが、これに限らず、水平方向壁面40,70,90は下方からの跳ね上がった異物が下方突出排水管部20,50内に侵入されることを防止することができる程度に水平方向に向けられていればよい。
【0040】
また、本発明の実施例に係る電線収容チューブ保持部材1,2,3,4は、合成樹脂材によって一体的に形成されてなるものを例示したが、電線収容チューブ100,100A,100Bへの取り付け性を考慮して、例えば上下に分割される構成であっても構わない。
【0041】
また、本発明の実施例に係る電線収容チューブ保持部材1,2,3,4は、外周面に凹凸が形成されていない電線収容チューブ100,100A,100Bを保持するものを例示したが、これに限らず、例えば、蛇腹形状のように外周面に凹凸が形成されている電線収容チューブを保持するものであっても構わない。このように、電線収容チューブ保持部材が外周面に凹凸が形成されてされた電線収容チューブを保持する場合、鉤状ロック部11が凹部に引っ掛かることによって、電線収容チューブ保持部材1,2,3,4が電線収容チューブをより確実に保持することができる。
【0042】
以上、本発明者によってなされた発明を、上述した発明の実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上述した発明の実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0043】
1、2、3、4 電線収容チューブ保持部材
3a 支持固定部
10 排水口
11 鉤状ロック部
12 嵌合面
12a 大型チューブ嵌合面部
12b 小径チューブ嵌合面部
20、50 下方突出排水管部
20a、50a 先端部
20b 外周面下部
21a、21b、51a、51b 管開口
22、52 管孔
30、60、80 異物侵入防止壁部
40、70、90 水平方向壁
40a、70a、90a 壁面
50b 外周面
100,100A、100B 電線収容チューブ
W 電線
C 合わせ目
D 管外径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8