(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5987215
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】制約された領域における、擬似衛星による位置決定用の自律システム及び適用方法
(51)【国際特許分類】
G01S 19/11 20100101AFI20160825BHJP
G01S 19/21 20100101ALI20160825BHJP
【FI】
G01S19/11
G01S19/21
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-556424(P2012-556424)
(86)(22)【出願日】2011年2月3日
(65)【公表番号】特表2013-522581(P2013-522581A)
(43)【公表日】2013年6月13日
(86)【国際出願番号】EP2011051525
(87)【国際公開番号】WO2011110385
(87)【国際公開日】20110915
【審査請求日】2014年1月28日
(31)【優先権主張番号】10/00999
(32)【優先日】2010年3月12日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505157485
【氏名又は名称】テールズ
(74)【代理人】
【識別番号】100071054
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高久
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デン ボッシュ、マティアス
【審査官】
目黒 大地
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−085928(JP,A)
【文献】
特開2009−250932(JP,A)
【文献】
特開2008−241284(JP,A)
【文献】
特表2005−530985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S5/00−5/14
19/00−19/55
H04J13/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制約された領域を表わす関心領域内で目標物の位置を決定するシステムであって、
前記関心領域からは非可視である第一グループ(S1)及び第二グループ(S2)を含み、前記第一グループの衛星(SAT11、SAT12)によって送信される信号と前記第二グループ(S2)の衛星(SAT21、SAT22)によって送信される信号とが、地球表面上に位置する点で同時に受信されないように、該第一グループの衛星(SAT11、SAT12)と該第二グループ(S2)の衛星(SAT21、SAT22)とが地球の表面上に位置する点からは同時に可視できない相対位置に配された衛星の集団に属する衛星の拡散符号を示す位置決定信号とを送信する、前記制約された領域内に配置された一組の擬似衛星と、
目標物上に位置する受信機と
を具備し、
前記擬似衛星の1つが前記第一グループ(S1)の衛星に対応する位置決定信号を送信し、前記擬似衛星の他の1つが前記第二グループ(S2)の衛星に対応する位置決定信号を送信する
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記集団は、Nが3以上であるNグループの衛星を有し、
前記一組の擬似衛星は、前記関心領域の任意の地点において、前記受信機が前記Nグループの衛星の中の3つの独自の衛星グループに属する衛星に対応する位置決定信号を取得できるように、少なくとも3つの擬似衛星が前記関心領域に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記擬似衛星は、前記集団に属する衛星のものと同じ暦を配布することで、前記受信機が前記関心領域と前記集団に属する衛星が送信する位置決定信号を受信できるオープン領域との間を相互に移行する際に、該受信機の稼動の連続性を提供することを特徴とする請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記擬似衛星に接続されたサーバーをさらに具備し、
前記サーバーは、前記集団の衛星に割り当てられた拡散符号から選定された拡散符号を前記擬似衛星のそれぞれに動的に割り当てる
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記受信機は、
・前記受信機が、前記擬似衛星により送信された位置決定信号のみを受信可能な領域内に位置するときの、「制約された領域」の動作モードと、
・前記受信機が、前記集団に属する衛星により送信された位置決定信号のみを受信可能な領域内に位置するときの、「オープン領域」の動作モードと、
・前記受信機が、前記擬似衛星により送信された位置決定信号と、前記集団に属する衛星により送信された位置決定信号の両方を受信可能な領域内に位置するときの、「ハイブリッド領域」の動作モードと、
のうちの少なくとも1つの挙動を示すことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記受信機は、1つの動作モードから別の1つの動作モードへの切り替えが可能であることを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記受信機は、その動作モードを自動で選択することを特徴とする請求項5〜6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記受信機は、前記選択した動作モードへの切り替えを強制する手段を含むことを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記受信機は、動作モードが手動で選択されることを特徴とする請求項5〜6のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制約された領域において、適切な受信機を装備した目標物の位置決定を可能にするシステムに関する。
【0002】
より具体的には、本発明による位置決定システムは、擬似衛星の使用に基づく。
【背景技術】
【0003】
知られているように、"pseudo−satellites"の短縮形である"pseudolites"=擬似衛星は、全地球測位システム(GPS)、又はガリレオ(Galileo)システムのような、全地球的航法衛星システム(GNSS)の一環として利用される人工衛星の集団に属する、衛星と同じ原理に従って動作する装置である。衛星と異なり、擬似衛星は地上に配置される。典型的には、それらは建物内に、そして一般的なやり方において、制約された領域に分配され得る。
【0004】
擬似衛星による位置決定用システムの一般原理は、そのフォーマットが、衛星ナビゲーションシステムの人工衛星により送信されるメッセージと同一か、又は類似の位置決定信号を、前記擬似衛星が送信するという事実にある。このために、衛星のものと同じ仲間の識別子が一般に各々の擬似衛星に割り当てられる。衛星の集団との関係において、これらの識別子は当業者に知られているように拡散符号と呼ばれる。
【0005】
擬似衛星により送信される信号の範囲は可変である。それは衛星の出力及び用途に依存する。適切な受信機を装備する目標物は、これらの位置決定信号を取得できる。従来の衛星ナビゲーションシステムの場合のように、前記受信機とそれが信号を取得した擬似衛星との間の距離計算と、次に三角測量を通じた位置計算は、受信機の位置決定を可能にする。三角測量を通じた位置決定の原理は知られている。それは受信機の位置を、送信機を中心とした球面と、半径としての受信機と送信機間の距離との交点にあるとして決定することに関する。その計算は、目標物自体に搭載されたやり方、又はコンピュータにより分散化されたやり方で行なわれ得る。
【0006】
既に見られたように、擬似衛星による位置決定用システムは、一般に「制約された」領域内に配置される。これらの制約された領域は、典型的にはその内部で、地球を回る軌道にある人工衛星によって送信された位置決定信号が、壁、天井等による遮蔽のために取得できない建物であり得る。それは単純に、関係する衛星ナビゲーションシステムが及ばない領域に関し得る。一般的なやり方では、制約された領域とは人工衛星によって送信された位置決定信号が、正しく取得できない領域として定義されるであろう。逆に、「オープン領域」の用語は、人工衛星によって送信された位置決定信号が、適切な受信機によって取得され得る領域を言う。さらに、受信機が、前記衛星と前記受信機の間の適切な相対位置のために、位置決定信号を理論的に受信できる衛星は、受信機に対して「可視である」と称され、一方で集団におけるその他の衛星は「非可視である」と称される。これらの特定の用語「可視である」及び「非可視である」は、擬似衛星の場合に使用可能であり、相対位置の適切さは、この場合は地球の幾何学的形状によってではなく、擬似衛星の信号に悪影響を及ぼし得る局地的な遮蔽によって決定される。
【0007】
上記で与えられている「制約された領域」、「オープン領域」、「可視である」衛星もしくは擬似衛星、及び「非可視である」衛星もしくは擬似衛星の定義は、明細書の残り全体及び請求項に対して適用される。
【0008】
衛星測位システムは、その役割が「可視である」衛星の位置のような情報を、衛星の集団に関係する受信機に送ることである、補助サーバーと称されるサーバーと、位置決定信号の処理を容易にする別の助力装置を有し得る。擬似衛星によって位置決定するシステムはまた、このタイプの補助サーバーを持つことができる。「補助された」モードにおいて、補助サーバーは受信機がそれに供給する擬似距離の計算に基づいて、受信機の位置を計算できる。
【0009】
本発明の範囲内で、本位置決定システムは補助サーバーから情報を受けることなく、制約された領域内で完璧に機能できる。
【0010】
擬似衛星により位置決定するための既知のシステムは、或る数の欠点を示す。特に、それらは補助なしでは、連続的及び自律的なやり方で、制約された領域からオープン領域への、そしてその逆への移行を可能にしない。さらに、それらは一般的に補助なし又は受信機の初期位置への知識なしでは、コールドスタートを可能にしない。その結果、既知のシステムは一般に、制約された領域における動作のため、及び擬似衛星により送信された位置決定信号の取得のため特別に設計された受信機の使用を含む。
【0011】
別の場合では、それらは受信機が擬似衛星により送信された信号を取得し始めるように、受信機に対する介入を必要とする。どのような場合でも、制約された領域とオープン領域における動作モードは、それらが同時に機能し得ないという意味で一般に両立しない。
【0012】
さらに、考慮されるべき主な制約は、人工衛星の集団に属する衛星の拡散符号が、前記衛星のために保存されるという事実にある。従来の受信機は、前記衛星から発する位置決定信号を取得するように設計されているため、特有の受信機を設計する必要なしに他の符号を使用することが出来ない。
【0013】
これらの問題を克服することを目的とする既知の解決策は、受信機が位置する地点からは非可視である衛星の拡散符号を、擬似衛星に割り当てることにある。しかしながら、補助サーバーにより送信される補助データから恩恵を受けず、そして受信機の始動の際にそれらの初期位置を知らない受信機に対して、その問題は全く存続する。
【0014】
補助されたモードで動作せず、その初期位置を知らないこのタイプの受信機は、先行技術によれば、それが擬似衛星を扱っていることを認識できない。その結果、それはその中に自身が位置する制約された領域内に提供される、擬似衛星によって送信された位置決定信号を取得せず、その位置を決定することは、それにとって不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の1つの目的は、標準的な受信機を用いて動作するのに適し、そしてそれが補助サーバーにより供給されたデータから恩恵を受けずに擬似衛星を取り扱っていることを認識するために、衛星により送信されたこの関連する位置決定信号が、あたかも衛星ナビゲーションシステムの衛星の集団に属するかのように、受信機の視点から透明なやり方で、擬似衛星により送信された位置決定信号を取得可能な、擬似衛星による位置決定用のシステムを提案することによって、この技術的問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
従って、本発明の主題は、制約された領域を表わす関心領域内で目標物の位置を決定するシステムであり、前記システムは:
前記制約された領域内に分配され、各々が衛星ナビゲーションシステムの衛星の集団に属する衛星の拡散符号に対応する、拡散符号を表わす一組の擬似衛星であって、前記衛星の集団が第一グループの衛星及び第二グループの衛星を含み、第一と第二グループの衛星に属する衛星が関心領域からは非可視であり、第一と第二グループの衛星は、第一グループの衛星によって送信される信号及び第二グループの衛星によって送信される信号が、地球表面上に有る点に置かれた受信機によって同時に受信され得ないように、第一グループの衛星のいずれか1つ及び第二グループの衛星のいずれか1つが、第一と第二グループの衛星が相対位置を示すという意味で、地球の表面上に位置する点からは同時に可視でないような方法で、別々の可視性であり、各擬似衛星がさらに位置決定信号を送信する、一組の擬似衛星と、
局在化される目標物上に位置する受信機とを含み、
そこで前記擬似衛星は、制約された領域の任意の地点において、目標物の受信機が、衛星の集団の衛星によって送信される信号である、それらの不可能性を、これらの位置決定信号を受信する受信機が検出するようなやり方で、1つが第一グループの衛星に対応し、もう1つが第二グループの衛星に対応する拡散符号を示す、少なくとも2つの擬似衛星の位置決定信号を取得できるような方法で、制約された領域内で分配され、その結果として完全に自律的なやり方で、それが擬似衛星により送信された位置信号を受信することを決定する。
【0017】
本発明の1つの実施形態によれば、人工衛星の集団はNグループの衛星を有し、Nは3以上であって、地球表面上に位置する地点から、Nグループの衛星の中のいずれか1つの別の衛星グループの、いずれか1つの衛星と同時に、Nグループの衛星のいずれか1つのグループの、いずれか1つの衛星が、可視であり得ないような方法で、関心領域及び別々の可視性の領域からは非可視であり、擬似衛星は、制約された領域の任意の地点において、目標物の受信機が、Nグループの衛星の中の、3つの独自の衛星グループに属する衛星に対応する拡散符号を示す、少なくとも3つの擬似衛星の位置決定信号を取得できるような方法で、制約された領域内で分配される。
【0018】
有利なことに、擬似衛星により送信された位置決定信号は、一組の擬似衛星を装備する制約された領域と、擬似衛星は無いが集団の衛星により送信された位置決定信号の受信を可能にするオープン領域との間の移行の際に、稼動の連続性を提供するような方法で、そして逆方向に、オープン領域と制約された領域との間の移行における、稼動の連続性を提供するような方法で、衛星の集団に属する衛星のものと同じ暦を配布することができる。
【0019】
有利なことに、擬似衛星のグループに接続されたサーバーは、関心領域からは非可視である、衛星に割り当てられた符号から選定される、適切な拡散符号を、各擬似衛星へ動的に割り当てるために構成される。
【0020】
位置決定されるべき目標物上に位置する受信機は、以下の動作モード:
・受信機が、擬似衛星により送信された位置決定信号のみを受信可能な領域内に位置するときの、「制約された領域」の動作モードと、
・受信機が、衛星ナビゲーションシステムの衛星の集団に属する衛星により送信された位置決定信号のみを受信可能な領域内に位置するときの、「オープン領域」の動作モードと、
・受信機が、擬似衛星により送信された位置決定信号と、衛星ナビゲーションシステムの衛星の集団に属する衛星により送信された位置決定信号の両方を受信可能な領域内に位置するときの、「ハイブリッド領域」の動作モードと、
のうちの少なくとも1つを示し得る。
【0021】
本システムは有利なことに、1つの動作モードからもう1つのモードへの切り替えに適する。
【0022】
有利なことに、受信機はその動作モードを自動的なやり方で選択する。
【0023】
有利なことに、本発明による位置決定システムは、受信機の動作モードを強制する手段を含み得る。
【0024】
有利なことに、受信機の動作モードは手動で選択され得る。
【0025】
本発明のその他の特徴及び利点は、衛星ナビゲーションシステムの部分を形成する、地球周回軌道における衛星の集団を図式的に示す、添付の
図1に関連して、以下に続く記述から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】衛星ナビゲーションシステムの部分を形成する、地球周回軌道における衛星の集団を図式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
より正確には、
図1は人工衛星の小グループS
A、S
B、S
C、S1、S2を含む、衛星の集団を示す。グループS
Aは、地球表面上において、地点Aに位置する受信機から可視である、全ての衛星SATA1、SATA2を表わす。同様に、グループS
Bは、地点Bに位置する受信機から可視である、全ての衛星SATB1、SATB2を表わし、そしてグループS
Cは、地点Cに位置する受信機から可視である、全ての衛星SATC1、SATC2を表わす。
【0028】
図1に示すように、衛星ナビゲーションシステムの部分を形成する、所与の衛星の集団に関して、衛星の小グループS1、S2は、地球表面上に位置する受信機に対して同時には可視でない、それぞれSAT11、SAT12、及びSAT21、SAT22の衛星の集合と定義され得る。従って、
図1に示す衛星の集団の構成例において、グループS1の衛星SAT11及びSAT12、及びグループS2の衛星SAT21及びSAT22は、とりわけここで、例示としてA、B、又はC点から同時には見ることが出来ない。
【0029】
本発明の基本的原理は、そこに擬似衛星による位置決定用のシステムが基づく、衛星の集団が、擬似衛星によりカバーされる領域から非可視である少なくとも2組の衛星の小グループ、例えば、
図1において、それぞれの衛星が地球からは決して同時に可視でない、S1及びS2を含むという事実を利用することにある。
【0030】
位置決定されるべき目標物の受信機を誘い出すために、本発明は関係する制約された領域内に備えられる、一組の擬似衛星の独創的な構成を提案する。従って、擬似衛星への拡散符号の割り当ては、前記擬似衛星のグループによりカバーされる制約された領域の任意の点において、その初期位置を知らずに始動した受信機が、それぞれの衛星は同時に可視で有り得ない、衛星の小グループS1、S2に属する拡散符号を示す、少なくとも2つの擬似衛星を検出するような方法で行なわれる。小グループS1とS2は別々の可視性と言われる。擬似衛星は次に、この関連で、それが複数の擬似衛星の存在下で見出されるという事実を決定するように、単純にプログラミングされる。次に、それが可視である擬似衛星から受信する位置決定信号を取得し、復号することができる。位置計算は、次に受信機によって搭載されたやり方、又は受信機がそれと通信可能な専用のコンピュータにより分散化されたやり方で、無差別に行なわれ得る。
【0031】
ハードウェアの視点からは、受信機は例えばGPS受信機のような、標準の受信機で完全に十分であり得る。上記で説明したように、この受信機の機上ソフトウェアの単純な適応のみが行なわれなければならない。(i)それは標準の衛星符号のみを使用し、(ii)そのような場合、それが擬似衛星を扱っていることを決定できるため、それは補助データを必要としない。
【0032】
本発明によるシステムは、結果的に標準の受信機及び、考えられている制約された領域内に分配された一組の擬似衛星に基づいて動作する。
【0033】
始動の際に、補助無しのモードで動作する受信機は、集団の衛星の全て、すなわち衛星に割り当てられた拡散符号の全てを取得するように探し求める。
【0034】
任意選択的なやり方において、受信機は「制約された領域」の動作モードへと切り替えるように手動で強制されることができ、そこでそれは擬似衛星のみをもっぱら探し求める。別の選択肢によれば、擬似衛星の存在を自動的方法で検出した後で、受信機は使用者に対して「制約された領域」の動作モードへと切り替えることを提案でき、前記使用者はこのタイプの切り替えを拒否する選択肢を有する。
【0035】
拡散符号は、専用のサーバーにより動的なやり方で擬似衛星に割り当てられる。上記で説明したように、擬似衛星への拡散符号のこの動的割り当ては、制約された領域の任意の地点において、可視である擬似衛星が、別々の可視性の少なくとも2つの小グループS1、S2に属する衛星の拡散符号を示すような方法で行なわれる。
【0036】
さらに擬似衛星は、それらが送信する位置決定メッセージの中で、擬似衛星を装備する制約された領域と、オープン領域との間の移行の際に、位置決定の働きの連続性を容易にするような方法で、衛星の集団に属する衛星のものと同じ暦を望ましくは配布する。
【0037】
擬似衛星によって送信された位置決定信号の中に存在する位置決定情報は、真の人工衛星により送信されるものよりも単純であり得ることが、さらに留意されねばならない。その結果、自由にされた帯域幅が、例えば隣接する擬似衛星の位置、又はそれらの拡散符号の識別子のような、他の情報を擬似衛星に配布するために有利に用いられ得る。
【0038】
動作において、本発明によるシステムの挙動は次の通りである:
・開かれた環境:受信機は、衛星ナビゲーションシステムの部分を形成する、衛星の集団に属する衛星によって送信された信号をそれが受信するため、従来のやり方で動作する。受信機は、場合によっては散発的なやり方で、理論的に非可視である衛星の位置決定信号を取得するように探し求め得る。従ってそれは擬似衛星の存在を検出する可能性がある。
・制約された領域における始動に際して、集団の全ての衛星を取得するように探し求める受信機は、同時に可視であるべきでない衛星に対応する−少なくとも−2つの拡散符号を検出する。それは次に、可視である擬似衛星によって送信された位置決定信号を取得し、復号するための「制約された領域」の動作モードに切り替えることができる。代わりに、受信機は使用者に対して切り替えを提案するのみである。
・オープン領域と制約された領域との間の移行の際に、受信機は可視である衛星の大量の損失を検出し得る。この場合、それは「制約された領域」の動作モードに直接切り替えることができる。代わりに、受信機は上述の散発的な取得手順のおかげで、擬似衛星の存在を検出する。任意選択的に、受信機は衛星により送信された位置決定信号を、それが受信する限りは取得し利用し続け得る。
・制約された領域とオープン領域との間の移行に際して、受信機は可視である擬似衛星の大量の損失を検出でき、直接「オープン領域」の動作モードに切り替え得る。代わりに、受信機は散発的な取得手順のおかげで、可視である衛星の存在を検出する。選択的に、受信機は擬似衛星により送信された位置決定信号を、それが受信する限りは取得し利用し続け得る。
【0039】
要約すると、本発明の主な利点は、標準の受信機に基づいて動作し、制約された領域とオープン領域間の働きの連続性、及びその逆を可能にする擬似衛星による、位置決定用のシステムを提案することである。とりわけ、本発明に従う擬似衛星による位置決定用のシステムは、初期位置の知識無しの、制約された領域における受信機のコールドスタートとの関連を含めた、補助データの無い動作に適する。