特許第5987220号(P5987220)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5987220ロイコトリエンA4ヒドロラーゼの阻害剤としてのアリールピラゾールエーテル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5987220
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】ロイコトリエンA4ヒドロラーゼの阻害剤としてのアリールピラゾールエーテル
(51)【国際特許分類】
   C07D 231/12 20060101AFI20160825BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20160825BHJP
   C07D 403/12 20060101ALI20160825BHJP
   C07D 407/12 20060101ALI20160825BHJP
   C07D 413/12 20060101ALI20160825BHJP
   C07D 405/12 20060101ALI20160825BHJP
   C07D 417/12 20060101ALI20160825BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20160825BHJP
   C07D 413/14 20060101ALI20160825BHJP
   C07D 513/04 20060101ALI20160825BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20160825BHJP
   A61K 31/415 20060101ALI20160825BHJP
   A61K 31/4155 20060101ALI20160825BHJP
   A61K 31/422 20060101ALI20160825BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20160825BHJP
   A61K 31/427 20060101ALI20160825BHJP
   A61K 31/429 20060101ALI20160825BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20160825BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20160825BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20160825BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20160825BHJP
   A61P 37/00 20060101ALI20160825BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20160825BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20160825BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20160825BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20160825BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20160825BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20160825BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20160825BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20160825BHJP
   A61P 13/02 20060101ALI20160825BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20160825BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20160825BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20160825BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20160825BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   C07D231/12 BCSP
   C07D401/12
   C07D403/12
   C07D407/12
   C07D413/12
   C07D405/12
   C07D417/12
   C07D401/14
   C07D413/14
   C07D513/04 331
   C07D471/04 104Z
   A61K31/415
   A61K31/4155
   A61K31/422
   A61K31/5377
   A61K31/427
   A61K31/429
   A61K31/4439
   A61P43/00 111
   A61P9/00
   A61P29/00
   A61P37/00
   A61P9/10
   A61P9/10 101
   A61P9/12
   A61P7/00
   A61P37/08
   A61P37/06
   A61P31/04
   A61P17/00
   A61P29/00 101
   A61P13/12
   A61P13/02
   A61P17/06
   A61P37/02
   A61P27/02
   A61P35/00
   A61P35/02
【請求項の数】18
【全頁数】52
(21)【出願番号】特願2014-521703(P2014-521703)
(86)(22)【出願日】2012年7月17日
(65)【公表番号】特表2014-520885(P2014-520885A)
(43)【公表日】2014年8月25日
(86)【国際出願番号】US2012047024
(87)【国際公開番号】WO2013012844
(87)【国際公開日】20130124
【審査請求日】2015年7月15日
(31)【優先権主張番号】61/509,155
(32)【優先日】2011年7月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503385923
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(72)【発明者】
【氏名】ハイム−リーター アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】リャン シュアン
(72)【発明者】
【氏名】パデャナ アニール クマール
(72)【発明者】
【氏名】テイラー スティーヴン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン チャン
【審査官】 榎本 佳予子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−512327(JP,A)
【文献】 特表2009−508949(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/073407(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
MARPAT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩。
【化1】
[式中、
1、A2およびA3は、それぞれ独立に、CHまたはNであり、
1は、−O−および−CH2−から選択されるリンカーであり、
2は、存在しないか、または−(C1−C6)アルキレン−リンカーであり、ここで、前記−(C1−C6)アルキレン−リンカーは、−OH、ハロ、−(C1−C6)アルキルから選択される1〜3個の基で置換されていてもよく、
Dは、
(a)−(C3−C7)シクロアルキル、(C6−C10)アリール、および−(5〜11員)ヘテロアリール、
(b)1個のOまたはS環原子を含み、N、OおよびSから選択される1〜3個のさらなる環ヘテロ原子を含んでもよい−(4〜11員)ヘテロシクロアルキル
)1個のN環原子を含み、N、OおよびSから選択される1〜3個のさらなる環ヘテロ原子を含んでもよい6〜11員の縮合二環式、架橋型二環式、またはスピロ環式の複素環基、ならびに
)2−オキソピロリジン−1−イル、2−オキソ−ピロリジン−3−イル、2−オキソ−ピロリジン−5−イル、1−メチル−2−オキソ−ピロリジン−4−イル、および2−オキソ−ピペリジン−5−イルから選択される基、
から選択される環であり、ここで、
前記D環のそれぞれは、1〜3個のR1基で置換されていてもよく、かつ前記D環のそれぞれは、可能なら、(=O)および(=S)から独立に選択される1つまたは2つの基でさらに置換されていてもよく、
各R1は、ハロ、−OH、−CF3、−CN、−(C1−C6)アルキル、−O(C1−C6)アルキル、−C(O)R2、−C(O)OR2、−C(O)N(R22、−N(R22、−N(R2)C(O)R2、−S(O)22、−N(R2)−S(O)2−R2、−(C3−C6)シクロアルキル、−(5〜11員)ヘテロシクロアルキル、−(C6−C10)アリール、および−(5〜11員)ヘテロアリールから独立に選択され、ここで、前記R1基の前記−(C1−C6)アルキル、−O(C1−C6)アルキル、−(C3−C6)シクロアルキル、−(5〜11員)ヘテロシクロアルキル、−(C6−C10)アリール、および−(5〜11員)ヘテロアリールのそれぞれは、ハロ、−OH、−CF3、−(C1−C6)アルキル、−C(O)OH、−C(O)O(C1−C6)アルキル、−C(O)(C1−C6)アルキル、−NH2、−NH(C1−C6)アルキル、−N((C1−C6)アルキル)2、および−CNから選択される1〜3個の基で置換されていてもよく、
各R2は、−H、−(C1−C6)アルキル、−(C3−C6)シクロアルキル、−(5〜11員)ヘテロシクロアルキル、−(C6−C10)アリール、および−(5〜11員)ヘテロアリールからなる群から独立に選択され、ここで、前記R2基の前記−(C1−C6)アルキル、−O(C1−C6)アルキル、−(C3−C6)シクロアルキル、−(5〜11員)ヘテロシクロアルキル、−(C6−C10)アリール、および−(5〜11員)ヘテロアリールのそれぞれは、ハロ、−OH、−CF3、−(C1−C6)アルキル、−NH2、−NH(C1−C6)アルキル、−N((C1−C6)アルキル)2、および−CNから選択される1〜3個の基で独立に置換されていてもよい。]
【請求項2】
1、A2およびA3が、それぞれCHである、請求項1に記載の化合物またはその薬学上許容される塩。
【請求項3】
1およびA3がそれぞれCHであり、かつA2がNである、請求項1に記載の化合物またはその薬学上許容される塩。
【請求項4】
1およびA2がそれぞれCHであり、かつA3がNである、請求項1に記載の化合物またはその薬学上許容される塩。
【請求項5】
2およびA3がそれぞれCHであり、かつA1がNである、請求項1に記載の化合物またはその薬学上許容される塩。
【請求項6】
1が−O−である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩。
【請求項7】
1が−CH2−である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩。
【請求項8】
2が存在しない、請求項1から7までのいずれか1項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩。
【請求項9】
2が−(C1−C6)アルキレン−リンカーであり、かつ前記−(C1−C6)アルキレン−リンカーが、−OH、ハロ、−(C1−C6)アルキルから選択される1〜3個の基で置換されていてもよい、請求項1から7までのいずれか1項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩。
【請求項10】
2が、メチレン、エチレン、またはプロピレンであり、かつ前記メチレン、エチレンおよびプロピレンのそれぞれが、メチルで置換されていてもよい、請求項1から7までのいずれか1項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩。
【請求項11】
前記Dが、−(C3−C7)シクロアルキル、(C6−C10)アリール、および−(5〜11員)ヘテロアリールから選択される環であり、前記−(C3−C7)シクロアルキル、(C6−C10)アリール、および−(5〜11員)ヘテロアリールのそれぞれが、1〜3個のR1基で置換されていてもよく、かつ前記−(C3−C7)シクロアルキル、(C6−C10)アリール、および−(5〜11員)ヘテロアリールのそれぞれが、可能なら、(=O)および(=S)から独立に選択される1つまたは2つの基でさらに置換されていてもよい、請求項1から10までのいずれか1項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩。
【請求項12】
前記環Dが、1つのOまたはS環原子を含み、N、OおよびSから選択される1〜3個のさらなる環ヘテロ原子を含んでもよい−(4〜11員)ヘテロシクロアルキルであり、前記−(4〜11員)ヘテロシクロアルキルが、1〜3個のR1基で置換されていてもよく、かつ前記−(4〜11員)ヘテロシクロアルキルが、可能なら、(=O)および(=S)から独立に選択される1つまたは2つの基でさらに置換されていてもよい、請求項1から10までのいずれか1項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩。
【請求項13】
前記環Dが、1つのN環原子を含み、N、OおよびSから選択される1〜3個のさらなる環ヘテロ原子を含んでもよい6〜11員の縮合二環式、架橋型二環式またはスピロ環式の複素環基であり、前記6〜11員の縮合二環式、架橋型二環式またはスピロ環式の複素環基が、1〜3個のR1基で置換されていてもよく、かつ前記6〜11員の縮合二環式、架橋型二環式またはスピロ環式の複素環基が、可能なら、(=O)および(=S)から独立に選択される1つまたは2つの基でさらに置換されていてもよい、請求項1から10までのいずれか1項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩。
【請求項14】
前記環Dが、2−オキソ−ピロリジン−1−イル、2−オキソ−ピロリジン−3−イル、2−オキソ−ピロリジン−5−イル、1−メチル−2−オキソ−ピロリジン−4−イル、および2−オキソ−ピペリジン−5−イルから選択され、前記2−オキソ−ピロリジン−1−イル、2−オキソ−ピロリジン−3−イル、2−オキソ−ピロリジン−5−イル、1−メチル−2−オキソ−ピロリジン−4−イル、および2−オキソ−ピペリジン−5−イルのそれぞれが、1〜3個のR1基で置換されていてもよく、かつ前記2−オキソ−ピロリジン−1−イル、2−オキソ−ピロリジン−3−イル、2−オキソ−ピロリジン−5−イル、1−メチル−2−オキソ−ピロリジン−4−イル、および2−オキソ−ピペリジン−5−イルのそれぞれが、可能なら、(=O)および(=S)から独立に選択される1つまたは2つの基でさらに置換されていてもよい、請求項1から10までのいずれか1項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩。
【請求項15】
前記環Dが、
【化2】

から選択され、前記D環のそれぞれが、1〜3個のR1基で置換されていてもよい、請求項1から10までのいずれか1項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩。
【請求項16】
2およびDが、一緒になって、
(1−メチル−ピロリジン−2−オン−4−イル)メチル;
ピロリジン−2−オン−3イル
(ピロリジン−2−オン−5−イル)メチル
2−(ピロリジン−2−オン−1−イル)エチル
3−(ピロリジン−2−オン−1−イル)プロピル
テトラヒドロフラン−3−イル
(テトラヒドロフラン−2−イル)メチル
(テトラヒドロフラン−3−イル)メチル
ピペリジン−2−オン−5−イル
(1,3−オキサゾリジン−2−オン−4−イル)メチル
(1,3−オキサゾリジン−2−オン−5−イル)メチル
(モルホリン−3−イル)メチル
(モルホリン−4−イル)エチル
1H−ピラゾール−5−イル;
(1H−ピラゾール−5−イル)メチル
(1H−ピラゾール−3−イル)メチル
(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)メチル
(1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)メチル
(1−メチル−2−(2−フリル)−ピラゾール−5−イル)メチル
3−(1H−ピラゾール−1−イル)−エチル
2−(1H−ピラゾール−4−イル)−エチル
3−(1H−ピラゾール−1−イル)−3−メチルプロピル
(フラン−2−イル)メチル
(フラン−3−イル)メチル
ジヒドロフラン−2(3H)−オン−3−イル
(ジヒドロフラン−2(3H)−オン−5−イル)メチル
(ピリジン−3−イル)メチル
(ピリジン−4−イル)メチル
(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−ピリジン−5−イル)メチル
1−(ピリジン2−イル)−エチル
2−(ピリジン−2−イル)エチル
2−(ピリジン−3−イル)エチル
2−(ピリジン−4−イル)−エチル
(ピリミジン−2−イル)メチル
(チエン−3−イル)メチル
2−(チエン−2−イル)エチル
テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル
テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル
(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)メチル
(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)メチル
(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチル
2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)エチル
2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)エチル
(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)エチル
(ピラジン−2−イル)メチル
ベンジル
4−(メチルスルホニル)ベンジル
(1,3−チアゾール−2−イル)メチル
(1,3−チアゾール−5−イル)メチル
2−(1,3−チアゾール−5−イル)エチル
(4−メチル−1,2,3−チアジアゾール−5−イル)メチル
(イソオキサゾール−5−イル)メチル
2−(イソオキサゾール−4−イル)エチル
(1−メチル−1,2,4−トリアゾール−5−イル)メチル
(1,3−オキサゾール−4−イル)メチル
(1,3−オキサゾール−5−イル)メチル
(2−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル)メチル
(4−メチル−1,3−オキサゾール−5−イル)メチル
(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)メチル
(1H−ベンゾイミダゾール−5−イル)メチル
(1H−ベンゾイミダゾール−1−イル)エチル
(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)エチル
(イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール−2−イル)メチル
(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)メチル
6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−7−イル
2−(1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−6−イル)−エチル
(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)メチル
(1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)メチルおよび
(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル)メチ
から選択される基を表す、請求項1から4までのいずれか1項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩。
【請求項17】
請求項1から16までのいずれか1項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩を含む医薬組成物。
【請求項18】
請求項1から16までのいずれか1項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩を含む、心血管疾患の治療用医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロイコトリエンA4ヒドロラーゼ(LTA4H)の阻害剤として有用であり、それゆえ、喘息、アレルギー、心血管疾患(アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞および脳卒中を含む)をはじめとする、ロイコトリエンの活性を介して仲介または維持される種々の疾患および障害を治療するのに有用であるアリールピラゾールエーテルに関する。本発明は、また、これらの化合物を含む医薬組成物、種々の疾患および障害の治療におけるこれらの化合物の使用方法、これらの化合物の調製方法、ならびにこれらの方法において有用な中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
ロイコトリエン(LT)は、好中球、マスト細胞、好酸球、好塩基球、単球およびマクロファージを含むいくつかの細胞型によって産生される酸化型脂質である。LTの細胞内合成において最初に託されるステップは、5−リポキシゲナーゼ(5−LO)によるアラキドン酸のロイコトリエンA4(LTA4)への酸化を含み、この過程は、5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)を必要とする。ロイコトリエンA4ヒドロラーゼ(LTA4H)は、LTA4の加水分解を触媒し、ロイコトリエンB4(LTB4)を産生させる。LTB4受容体(BLT1、BLT2)の関与により、LTB4は、炎症促進応答(白血球走化性、サイトカイン放出など)の配列を刺激する。ロイコトリエン経路は、炎症が病態の決定的に重要な要素である疾患に関与しており、これらの疾患としては、がん、喘息、アテローム性動脈硬化症、大腸炎、糸球体腎炎、および疼痛が挙げられる(概観するには、M.Peters-Golden and W.R.Henderson,Jr.,M.D.,N.Engl.J.Med.,2007,357,1841-1854を参照されたい)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、ロイコトリエンA4ヒドロラーゼ(LTA4H)を阻害し、それゆえ、アレルギー性、肺性、線維性、炎症性および心血管性疾患、およびがんをはじめとする、ロイコトリエンの活性を介して仲介または維持される種々の疾患および障害を治療するのに有用である新規な化合物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態において、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩に関する。
【化1】
式中、
1、A2およびA3は、それぞれ独立に、CHまたはNであり、
1は、−O−および−CH2−から選択されるリンカーであり、
2は、存在しないか、または−(C1−C6)アルキレン−リンカーであり、ここで、前記−(C1−C6)アルキレン−リンカーは、−OH、ハロ、−(C1−C6)アルキルから選択される1〜3個の基で置換されていてもよく、
Dは、
(a)−(C3−C7)シクロアルキル、(C6−C10)アリール、および−(5〜11員)ヘテロアリール、
(b)1個のOまたはS環原子、ならびに任意選択で、N、OおよびSから選択される1〜3個のさらなる環ヘテロ原子を含む−(4〜11員)ヘテロシクロアルキル、
(c)1個のN環原子、ならびにN、OおよびSから選択される1〜3個のさらなる環ヘテロ原子を含む4〜8員の単環式複素環、
(d)1個のN環原子、ならびに任意選択で、N、OおよびSから選択される1〜3個のさらなる環ヘテロ原子を含む6〜11員の縮合二環式、架橋型二環式、またはスピロ環式の複素環基、ならびに
(e)2−オキソ−ピロリジン−1−イル、2−オキソ−ピロリジン−3−イル、2−オキソ−ピロリジン−5−イル、1−メチル−2−オキソ−ピロリジン−4−イル、および2−オキソ−ピペリジン−5−イルから選択される基、から選択される環であり、ここで、
前記D環のそれぞれは、1〜3個のR1基で置換されていてもよく、かつ前記D環のそれぞれは、可能なら、(=O)および(=S)から独立に選択される1つまたは2つの基でさらに置換されていてもよく、
【0005】
各R1は、ハロ、−OH、−CF3、−CN、−(C1−C6)アルキル、−O(C1−C6)アルキル、−C(O)R2、−C(O)OR2、−C(O)N(R22、−N(R22、−N(R2)C(O)R2、−S(O)22、−N(R2)−S(O)2−R2、−(C3−C6)シクロアルキル、−(5〜11員)ヘテロシクロアルキル、−(C6−C10)アリール、および−(5〜11員)ヘテロアリールから独立に選択され、ここで、前記R1基の前記−(C1−C6)アルキル、−O(C1−C6)アルキル、−(C3−C6)シクロアルキル、−(5〜11員)ヘテロシクロアルキル、−(C6−C10)アリール、および−(5〜11員)ヘテロアリールのそれぞれは、ハロ、−OH、−CF3、−(C1−C6)アルキル、−C(O)OH、−C(O)OC1−C6)アルキル、−C(O)(C1−C6)アルキル、−NH2、−NH(C1−C6)アルキル、−N((C1−C6)アルキル)2、および−CNから選択される1〜3個の基で置換されていてもよく、
各R2は、−H、−(C1−C6)アルキル、−(C3−C6)シクロアルキル、−(5〜11員)ヘテロシクロアルキル、−(C6−C10)アリール、および−(5〜11員)ヘテロアリールからなる群から独立に選択され、ここで、前記R2基の前記−(C1−C6)アルキル、−O(C1−C6)アルキル、−(C3−C6)シクロアルキル、−(5〜11員)ヘテロシクロアルキル、−(C6−C10)アリール、および−(5〜11員)ヘテロアリールのそれぞれは、ハロ、−OH、−CF3、−(C1−C6)アルキル、−NH2、−NH(C1−C6)アルキル、−N((C1−C6)アルキル)2、および−CNから選択される1〜3個の基で独立に置換されていてもよい。
【0006】
本発明は、また、式(I)の化合物を含む医薬組成物、種々の疾患および障害の治療におけるこれらの化合物の使用方法、これらの化合物の調製方法、ならびにこれらの調製方法において有用な中間体に関する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
用語「式(I)の化合物」および「本発明の化合物」は、特記しない限り、同じ意味を有すると解される。
その最も広範な実施形態(実施形態1)において、本発明は、本発明の要約中で前に説明したように、式(I)の化合物およびその薬学上許容される塩に関する。
実施形態2:別の実施形態において、本発明は、実施形態1で説明したような式(I)の化合物(ここで、A1、A2およびA3は、それぞれCHである)またはその薬学上許容される塩に関する。
実施形態3:別の実施形態において、本発明は、実施形態1で説明したような式(I)の化合物(ここで、A1およびA3は、それぞれCHであり、A2はNである)またはその薬学上許容される塩に関する。
実施形態4:別の実施形態において、本発明は、実施形態1で説明したような式(I)の化合物(ここで、A1およびA2は、それぞれCHであり、A3はNである)またはその薬学上許容される塩に関する。
実施形態5:別の実施形態において、本発明は、実施形態1で説明したような式(I)の化合物(ここで、A2およびA3は、それぞれCHであり、A1はNである)またはその薬学上許容される塩に関する。
【0008】
実施形態6:別の実施形態において、本発明は、実施形態1〜5のいずれかで説明したような式(I)の化合物(ここで、L1は−O−である)またはその薬学上許容される塩に関する。
実施形態7:別の実施形態において、本発明は、実施形態1〜5のいずれかで説明したような式(I)の化合物(ここで、L1は−CH2−である)またはその薬学上許容される塩に関する。
実施形態8:別の実施形態において、本発明は、実施形態1〜7のいずれかで説明したような式(I)の化合物(ここで、L2は存在しない)またはその薬学上許容される塩に関する。
実施形態9:別の実施形態において、本発明は、実施形態1〜7のいずれかで説明したような式(I)の化合物(ここで、L2は−(C1−C6)アルキレン−リンカーであり、かつ前記−(C1−C6)アルキレン−リンカーは、−OH、ハロ、−(C1−C6)アルキルから選択される1〜3個の基で置換されていてもよい)またはその薬学上許容される塩に関する。
実施形態10:別の実施形態において、本発明は、実施形態1〜8のいずれかで説明したような式(I)の化合物(ここで、L2は、メチレン、エチレン、またはプロピレンであり、かつ前記メチレン、エチレンおよびプロピレンのそれぞれはメチルで置換されていてもよい)またはその薬学上許容される塩に関する。
【0009】
実施形態11:別の実施形態において、本発明は、実施形態1〜10のいずれかで説明したような式(I)の化合物(ここで、前記Dは、−(C3−C7)シクロアルキル、−(C6−C10)アリール、および−(5〜11員)ヘテロアリールから選択される環であり、前記−(C3−C7)シクロアルキル、−(C6−C10)アリール、および−(5〜11員)ヘテロアリールのそれぞれは、1〜3個のR1基で置換されていてもよく、かつ前記−(C3−C7)シクロアルキル、−(C6−C10)アリール、および−(5〜11員)ヘテロアリールのそれぞれは、可能なら、(=O)および(=S)から独立に選択される1つまたは2つの基でさらに置換されていてもよい)またはその薬学上許容される塩に関する。
【0010】
実施形態12:別の実施形態において、本発明は、実施形態1〜10のいずれかで説明したような式(I)の化合物(ここで、前記環Dは、1つのOまたはS環原子、ならびに任意選択で、N、OおよびSから選択される1〜3個のさらなる環ヘテロ原子を含む−(4〜11員)ヘテロシクロアルキルであり、前記−(4〜11員)ヘテロシクロアルキルは、1〜3個のR1基で置換されていてもよく、かつ前記−(4〜11員)ヘテロシクロアルキルは、可能なら、(=O)および(=S)から独立に選択される1つまたは2つの基でさらに置換されていてもよい)またはその薬学上許容される塩に関する。
実施形態13:別の実施形態において、本発明は、実施形態1〜10のいずれかで説明したような式(I)の化合物(ここで、前記環Dは、1つのN環原子、ならびにN、OおよびSから選択される1〜3個のさらなる環ヘテロ原子を含む4〜8員単環式複素環であり、前記4〜8員単環式複素環は、1〜3個のR1基で置換されていてもよく、かつ前記4〜8員単環式複素環は、可能なら、(=O)および(=S)から独立に選択される1つまたは2つの基でさらに置換されていてもよい)またはその薬学上許容される塩に関する。
【0011】
実施形態14:別の実施形態において、本発明は、実施形態1〜10のいずれかで説明したような式(I)の化合物(ここで、前記環Dは、1つのN環原子、ならびに任意選択で、N、OおよびSから選択される1〜3個のさらなる環ヘテロ原子を含む6〜11員の縮合二環式、架橋型二環式またはスピロ環式の複素環基であり、前記6〜11員の縮合二環式、架橋型二環式またはスピロ環の複素環基は、1〜3個のR1基で置換されていてもよく、かつ前記6〜11員の縮合二環式、架橋型二環式またはスピロ環式の複素環基は、可能なら、(=O)および(=S)から独立に選択される1つまたは2つの基でさらに置換されていてもよい)またはその薬学上許容される塩に関する。
【0012】
実施形態15:別の実施形態において、本発明は、実施形態1〜10のいずれかで説明したような式(I)の化合物(ここで、前記環Dは、2−オキソ−ピロリジン−1−イル、2−オキソ−ピロリジン−3−イル、2−オキソ−ピロリジン−5−イル、1−メチル−2−オキソ−ピロリジン−4−イル、および2−オキソ−ピペリジン−5−イルから選択され、前記2−オキソ−ピロリジン−1−イル、2−オキソ−ピロリジン−3−イル、2−オキソ−ピロリジン−5−イル、1−メチル−2−オキソ−ピロリジン−4−イル、および2−オキソ−ピペリジン−5−イルのそれぞれは、1〜3個のR1基で置換されていてもよく、かつ前記2−オキソ−ピロリジン−1−イル、2−オキソ−ピロリジン−3−イル、2−オキソ−ピロリジン−5−イル、1−メチル−2−オキソ−ピロリジン−4−イル、および2−オキソ−ピペリジン−5−イルのそれぞれは、可能なら、(=O)および(=S)から独立に選択される1つまたは2つの基でさらに置換されていてもよい)に関する。
【0013】
実施形態16:別の実施形態において、本発明は、実施形態1〜10のいずれかで説明したような式(I)の化合物(ここで、前記環Dは、
【化2】

から選択され、前記D環のそれぞれは、1〜3個のR1基で置換されていてもよい)またはその薬学上許容される塩に関する。
【0014】
実施形態17:別の実施形態において、本発明は、実施形態1〜4のいずれかで説明したような式(I)の化合物(ここで、L2とDとは、一緒になって、
(1−メチル−ピロリジン−2−オン−4−イル)メチル;
(ピロリジン−2−オン−3イル)オキシ;
(ピロリジン−2−オン−5−イル)メチルオキシ;
2−(ピロリジン−2−オン−1−イル)エチルオキシ;
3−(ピロリジン−2−オン−1−イル)プロピルオキシ;
(テトラヒドロフラン−3−イル)オキシ;
(テトラヒドロフラン−2−イル)メチルオキシ;
(テトラヒドロフラン−3−イル)メチルオキシ;
(ピペリジン−2−オン−5−イル)オキシ;
(1,3−オキサゾリジン−2−オン−4−イル)メチルオキシ;
(1,3−オキサゾリジン−2−オン−5−イル)メチルオキシ;
(モルホリン−3−イル)メチルオキシ;
(モルホリン−4−イル)エチルオキシ;
【0015】
1H−ピラゾール−5−イル;
(1H−ピラゾール−5−イル)メチルオキシ;
(1H−ピラゾール−3−イル)メチルオキシ;
(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)メチルオキシ;
(1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)メチルオキシ;
(1−メチル−2−(2−フリル)−ピラゾール−5−イル)メチルオキシ;
3−(1H−ピラゾール−1−イル)−エチルオキシ;
2−(1H−ピラゾール−4−イル)−エチルオキシ;
3−(1H−ピラゾール−1−イル)−3−メチルプロピルオキシ;
(フラン−2−イル)メチルオキシ;
(フラン−3−イル)メチルオキシ;
(ジヒドロフラン−2(3H)−オン−3−イル)オキシ;
(ジヒドロフラン−2(3H)−オン−5−イル)メチルオキシ;
(ピリジン−3−イル)メチルオキシ;
(ピリジン−4−イル)メチルオキシ;
(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−ピリジン−5−イル)メチルオキシ;
【0016】
1−(ピリジン2−イル)−エチルオキシ;
2−(ピリジン−2−イル)エチルオキシ;
2−(ピリジン−3−イル)エチルオキシ;
2−(ピリジン−4−イル)−エチルオキシ;
(ピリミジン−2−イル)メチルオキシ;
(チエン−3−イル)メチルオキシ;
2−(チエン−2−イル)エチルオキシ;
(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)オキシ;
(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)オキシ);
(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)メチルオキシ;
(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)メチルオキシ;
(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチルオキシ;
【0017】
2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)エチルオキシ;
2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)エチルオキシ;
(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)エチルオキシ;
(ピラジン−2−イル)メチルオキシ;
ベンジルオキシ;
(4−(メチルスルホニル)ベンジル)オキシ;
(1,3−チアゾール−2−イル)メチルオキシ;
(1,3−チアゾール−5−イル)メチルオキシ;
2−(1,3−チアゾール−5−イル)エチルオキシ;
(4−メチル−1,2,3−チアジアゾール−5−イル)メチルオキシ;
(イソオキサゾール−5−イル)メチルオキシ;
2−(イソオキサゾール−4−イル)エチルオキシ;
(1−メチル−1,2,4−トリアゾール−5−イル)メチルオキシ;
(1,3−オキサゾール−4−イル)メチルオキシ;
(1,3−オキサゾール−5−イル)メチルオキシ;
(2−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル)メチルオキシ;
(4−メチル−1,3−オキサゾール−5−イル)メチルオキシ;
(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)メチルオキシ;
(1H−ベンゾイミダゾール−5−イル)メチルオキシ;
(1H−ベンゾイミダゾール−1−イル)エチルオキシ;
(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)エチルオキシ;
【0018】
2−((1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−アミノ)エチルオキシ;
(イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール−2−イル)メチルオキシ;
(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)メチルオキシ;
(6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジン−7−イル)オキシ;
2−(1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−6−イル)−エチルオキシ;
(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)メチルオキシ;
(1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)メチルオキシ;および
(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル)メチルオキシ
から選択される基を表す)またはその薬学上許容される塩に関する。
【0019】
以下は、一般的な合成スキーム、後記の例、および当技術分野で公知の方法により調製することのできる、本発明の例示的な化合物である。
【表1】







【0020】
一実施形態において、本発明は、表1に示す化合物のいずれか、その混合物、およびその薬学上許容される塩に関する。
【0021】
別の実施形態において、本発明は、下記の化合物からなる群から選択される化合物、その混合物、およびその薬学上許容される塩に関する:
(4R)−4−({4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]フェノキシ}メチル)−1,3−オキサゾリジン−2−オン;
(5R)−5−({4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]フェノキシ}メチル)ピロリジン−2−オン;
(5S)−5−({4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]フェノキシ}メチル)ピロリジン−2−オン;
(5S)−5−[(4−{[5−(1H−ピラゾール−5−イル)ピリジン−2−イル]オキシ}フェノキシ)メチル]ピロリジン−2−オン;
4−({4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]フェノキシ}メチル)−1,3−オキサゾリジン−2−オン;
3−[(4−{[5−(1H−ピラゾール−5−イル)ピリジン−2−イル]オキシ}フェノキシ)メチル]モルホリン;
4−(2−{4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]フェノキシ}エチル)モルホリン;
【0022】
(4R)−4−[(4−{[5−(1H−ピラゾール−5−イル)ピリジン−2−イル]オキシ}フェノキシ)メチル]−1,3−オキサゾリジン−2−オン;
N−(2−{4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]フェノキシ}エチル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−アミン;
(5R)−5−{4−[4−(1H−ピラゾール−3−イル)フェノキシ]フェノキシ}ピペリジン−2−オン;
(4S)−4−({4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]フェノキシ}メチル)−1,3−オキサゾリジン−2−オン;
5−(4−{4−[2−(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)エトキシ]フェノキシ}フェニル)−1H−ピラゾール;
1−メチル−4−({4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]フェノキシ}メチル)ピロリジン−2−オン;
5−{4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]フェノキシ}ピペリジン−2−オン;
【0023】
(5S)−5−{4−[4−(1H−ピラゾール−3−イル)フェノキシ]フェノキシ}ピペリジン−2−オン;
4−(2−{4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)ベンジル]フェノキシ}エチル)モルホリン;
(4S)−4−({4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)ベンジル]フェノキシ}メチル)−1,3−オキサゾリジン−2−オン;
1−メチル−5−({4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]フェノキシ}メチル)−1H−1,2,4−トリアゾール;
1−(2−{4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]フェノキシ}エチル)ピロリジン−2−オン;
1−(3−{4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]フェノキシ}プロピル)ピロリジン−2−オン;
(5R)−5−{4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)ベンジル]フェノキシ}ピペリジン−2−オン。
【0024】
別の実施形態において、本発明は、下記の化合物からなる群から選択される化合物、その混合物、およびその薬学上許容される塩に関する:
3−[(4−{[5−(1H−ピラゾール−5−イル)ピリジン−2−イル]オキシ}フェノキシ)メチル]モルホリン;
(4R)−4−({4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]フェノキシ}メチル)−1,3−オキサゾリジン−2−オン;
(4R)−4−[(4−{[5−(1H−ピラゾール−5−イル)ピリジン−2−イル]オキシ}フェノキシ)メチル]−1,3−オキサゾリジン−2−オン;
4−(2−{4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)ベンジル]フェノキシ}エチル)モルホリン;
4−({4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]フェノキシ}メチル)−1,3−オキサゾリジン−2−オン;
【0025】
(5S)−5−[(4−{[5−(1H−ピラゾール−5−イル)ピリジン−2−イル]オキシ}フェノキシ)メチル]ピロリジン−2−オン;
(4S)−4−({4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]フェノキシ}メチル)−1,3−オキサゾリジン−2−オン;
(5S)−5−({4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]フェノキシ}メチル)ピロリジン−2−オン;
5−(4−{4−[2−(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)エトキシ]フェノキシ}フェニル)−1H−ピラゾール;
(5R)−5−{4−[4−(1H−ピラゾール−3−イル)フェノキシ]フェノキシ}ピペリジン−2−オン;
4−(2−{4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]フェノキシ}エチル)モルホリン;
(5S)−5−{4−[4−(1H−ピラゾール−3−イル)フェノキシ]フェノキシ}ピペリジン−2−オン;
5−{4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]フェノキシ}ピペリジン−2−オン;
【0026】
(4S)−4−({4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)ベンジル]フェノキシ}メチル)−1,3−オキサゾリジン−2−オン;
(5R)−5−({4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]フェノキシ}メチル)ピロリジン−2−オン;
1−メチル−4−({4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]フェノキシ}メチル)ピロリジン−2−オン;
(5R)−5−(4−{[6−(1H−ピラゾール−5−イル)ピリジン−3−イル]オキシ}フェノキシ)ピペリジン−2−オン;
(5R)−5−(4−{[5−(1H−ピラゾール−5−イル)ピリジン−2−イル]オキシ}フェノキシ)ピペリジン−2−オン;
1−(3−{4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]フェノキシ}プロピル)ピロリジン−2−オン;
(5R)−5−({5−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]ピリジン−2−イル}オキシ)ピペリジン−2−オン;
5−({4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]フェノキシ}メチル)−1,3−オキサゾリジン−2−オン;
(5R)−5−{4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)ベンジル]フェノキシ}ピペリジン−2−オン;
【0027】
N−(2−{4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]フェノキシ}エチル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−アミン;
2−({4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]フェノキシ}メチル)ピラジン;
5−(4−{4−[(3S)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ]フェノキシ}フェニル)−1H−ピラゾール;
1−(2−{4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]フェノキシ}エチル)ピロリジン−2−オン;
5−(4−{4−[(3R)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ]フェノキシ}フェニル)−1H−ピラゾール;
(5S)−5−({5−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]ピリジン−2−イル}オキシ)ピペリジン−2−オン;
1−メチル−5−({4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]フェノキシ}メチル)−1H−ピラゾール;
5−{4−[4−(テトラヒドロフラン−3−イルメトキシ)フェノキシ]フェニル}−1H−ピラゾール;
5−{4−[4−(テトラヒドロフラン−2−イルメトキシ)フェノキシ]フェニル}−1H−ピラゾール;
6−({4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]フェノキシ}メチル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン;
5−{4−[4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメトキシ)フェノキシ]フェニル}−1H−ピラゾール;
2−(1H−ピラゾール−1−イル)−5−({4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]フェノキシ}メチル)ピリジン;
5−({4−[4−(1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]フェノキシ}メチル)−1,3−オキサゾール。
【0028】
別の実施形態において、本発明は、前記実施形態のいずれかで定義したような1種または複数の式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩、および薬学上許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物に関する。
特記しない限り、本明細書中のすべての用語は、本明細書中で使用される場合、当技術分野で公知であるようなそれらの通常的意味を有すると解されるものとする。その他のより具体的な定義は次の通りである。
【0029】
用語「(C1−C6)アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有する分枝および非分枝のアルキル基を指す。−(C1−C6)アルキルの例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンタン、iso−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキサン、iso−ヘキサン(例えば、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2,3−ジメチルブチル、および2,2−ジメチルブチル)が含まれる。(C1−C6)アルキル基中のいずれかの化学的に可能な炭素原子は、別の基または部分への結合箇所であり得ると解される。
用語「−(C1−C6)アルキレン」は、1〜6個の炭素原子を有する分枝および非分枝のアルキルリンカーを指す。−(C1−C6)アルキレンの例には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレンおよびヘキサレンが含まれる。
用語「(C3−C6)シクロアルキルは、非芳香族の3〜6員単環式炭素環式基を指す。「(C3−C6)シクロアルキル」の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが含まれる。
【0030】
本明細書中で使用する場合、用語「(C6−C10)アリール」は、6〜10個の炭素環を含む芳香族炭化水素環を指し、その環の少なくとも1つが芳香族である単環式環および二環式環が挙げられる。C610アリールの非限定的例には、フェニル、インダニル、インデニル、ベンゾシクロブタニル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、ナフチル、ベンゾシクロヘプタニルおよびベンゾシクロヘプテニルが含まれる。
【0031】
本明細書中で使用する場合、用語「4〜11員複素環」は、安定な非芳香族4〜8員単環式複素環基、または安定な非芳香族の6〜11員の縮合二環式、架橋型二環式またはスピロ環式の複素環基を包含する。4〜11員複素環は、炭素原子、ならびに窒素、酸素および硫黄から選択される1つまたは複数の、好ましくは1〜4個のヘテロ原子からなる。該複素環は、飽和または部分不飽和のどちらでもよい。非芳香族の4〜8員単環式複素環基の非限定的例には、テトラヒドロフラニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピラニル、テトラヒドロピラニル、ジオキサニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−1λ6−チオモルホリニル、モルホリニル、ペピリジニル、ピペラジニル、およびアゼピニルが含まれる。非芳香族6〜11員縮合二環式基の非限定的例には、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロベンゾフラニル、およびオクタヒドロベンゾチオフェニルが含まれる。非芳香族6〜11員架橋型二環式基の非限定的例には、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、および3−アザビシクロ[3.2.1]オクタニルが含まれる。非芳香族6〜11員スピロ環式複素環基の非限定的例には、7−アザ−スピロ[3,3]ヘプタニル、7−スピロ[3,4]オクタニル、および7−アザ−スピロ[3,4]オクタニルが含まれる。本明細書中で使用する場合、用語「5〜11員ヘテロアリール」は、芳香族5〜6員単環式ヘテロアリール、および芳香族7〜11員ヘテロアリール二環式環(その環の少なくとも1つは芳香族であり、該ヘテロアリール環は、N、OおよびSなどの1〜4個のヘテロ原子を含む)を包含する。5〜6員単環式ヘテロアリール環の非限定的例には、フラニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、ピラニル、チアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、テトラゾリル、トリアゾリル、チエニル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、チアジニル、およびプリニルが含まれる。7〜11員ヘテロアリール二環式環の非限定的例には、ベンズイミダゾリル、1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−オン、キノリニル、ジヒドロ−2H−キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、インダゾリル、チエノ[2,3−d]ピリミジニル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ピロロ[2,3−b]ピリジニル、およびイミダゾ[4,5−b]ピリジニルが含まれる。
【0032】
ヘテロシクリルまたはヘテロアリールが、S環原子を含む場合、このようなS環原子は、環中にその2価、4価、または6価の形態、すなわち、−S−、−S(O)−または−S(O)2−の状態で存在できると解される。
それぞれのアリールまたはヘテロアリールは、特記しない限り、それが部分的または完全に水素化された誘導体であることを包含する。例えば、キノリニルは、デカヒドロキノリニルおよびテトラヒドロキノリニルを包含し、ナフチルは、テトラヒドロナフチルなどの水素化誘導体を包含できる。本明細書に記載のアリールおよびヘテロアリール化合物のその他の部分的または完全に水素化された誘導体は、当業者にとって明らかであろう。
【0033】
用語「ヘテロ原子」は、本明細書中で使用する場合、炭素以外のO、NおよびSなどの原子を意味すると解されるものとする。
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを指す。
記号
【化3】
は、基Rのある部分への結合点を意味する。
【0034】
すべてのアルキル基または炭素鎖において、1つまたは複数の炭素原子は、ヘテロ原子O、SまたはNで置き換えられていてもよい。Nが置換されていないなら、それはNHであると解されるものとし、また、該ヘテロ原子は、分枝または非分枝の炭素鎖内の末端炭素原子または内部炭素原子のいずれかに取って代わり得ると解されるものとする。このような基は、本明細書中で前に記載のようにオキソなどの基で置換されて、限定はされないが、アルコキシカルボニル、アシル、アミドおよびチオキソなどの定義をもたらすことができる。
【0035】
本出願中で開示されるすべての化合物に関して、命名が構造と矛盾するなら、該化合物は、構造によって規定されると解されるものとする。
【0036】
本発明は、また、活性物質として、本発明の1種または複数の化合物またはその薬学上許容される誘導体を、任意選択で通常的な賦形剤および/または担体と組み合わせて含む、医薬調製物に関する。
本発明の化合物は、同位体で標識された形態も包含する。本発明の組合せ中の同位体で標識された形態の活性薬剤は、前記活性薬剤の1種または複数の原子が、前記原子の天然中で通常的に見いだされる原子質量または質量数と異なる原子質量または質量数を有する原子または原子群で置き換えられていること以外は、前記活性薬剤と同等である。容易に購入可能であり、かつ十分に確立された手順により本発明の組合せ中の活性薬剤中に組み込むことのできる同位体の例には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素および塩素の同位体、例えば、それぞれ2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、および36Clが含まれる。1種または複数の上記同位体および/またはその他の原子のその他の同位体を含む本発明の組合せ中の活性薬剤、そのプロドラッグ、またはいずれかの薬学上許容される塩は、本発明の範囲に包含されると考えられる。
【0037】
本発明の化合物は、1つまたは複数の不斉炭素原子を含み、それゆえ、ラセミ化合物およびラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物、および個々のジアステレオマーとして存在することができる。異性体は、エナンチオマーおよびジアステレオマーであると定義されるものとする。これらの化合物のすべてのこのような異性形態は、本発明に明確に包含される。立体異性をもたらす各炭素は、RまたはS配置、またはそれらの組合せで存在することができる。
本発明の一部の化合物は、1種を超える互変異性形態で存在できる。本発明は、すべてのこのような互変異性体を使用する方法を包含する。
本発明の化合物は、もっぱら、「化学的に安定」であると考えられ、当業者により認識されるような化合物である。例えば、「ダングリング(dangling)原子価」または「カルバニオン」を有する化合物は、本明細書に開示の本発明の方法によって想定される化合物ではない。
【0038】
本発明は、式(I)の化合物の薬学上許容される誘導体を包含する。「薬学上許容される誘導体」は、患者に投与されると本発明に有用な化合物を(直接的または間接的に)提供する能力のある任意の薬学上許容される塩もしくはエステル、または任意のその他の化合物、あるいは薬理学的活性のある代謝産物またはその薬理学的活性のある残留物を指す。薬理学的活性のある代謝産物とは、酵素的または化学的に代謝される能力のある本発明の任意の化合物を意味すると解されるものとする。これには、例えば、本発明の化合物のヒドロキシル化または酸化誘導体が含まれる。
薬学上許容される塩としては、薬学上許容される無機および有機の酸および塩基から誘導される塩が挙げられる。適切な酸の例には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、およびベンゼンスルホン酸が含まれる。シュウ酸などのその他の酸は、それ自体は薬学上許容されないが、化合物およびそれらの薬学上許容される酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩の調製で採用されることもある。適切な塩基から誘導される塩としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)の塩、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)の塩、アンモニウム塩、およびN(C1−C4アルキル)4+の塩が挙げられる。
【0039】
さらに、本発明の化合物のプロドラッグの使用も本発明の範囲に包含される。プロドラッグとしては、単純な化学的変換により本発明の化合物を生成するように修飾されている化合物が挙げられる。単純な化学的変換としては、加水分解、酸化、および還元が挙げられる。具体的には、プロドラッグを患者に投与すると、プロドラッグは、前に開示の化合物に変換され、それによって、所望の薬理学的効果を付与することができる。
【0040】
一般的合成方法
本発明の化合物は、下記のスキーム1および2に記載の方法により調製することができ、ここで、基A1〜A3、L1、L2およびDは、特記しない限り、式(I)の化合物について前に定義した通りである。最適な反応条件および反応時間は、使用される個々の反応物に応じて変化する可能性がある。特記しない限り、当業者は、溶媒、温度、圧力、およびその他の反応条件を容易に選択できる。具体的な手順は、合成例の部で提供される。
【0041】
スキーム1に、式(I)(ここで、A3はCHである)の化合物を調製するための一般的合成手順を示す。
【化4】
スキーム1に示したように、化合物Int−1を化合物Int−2と、エーテル系溶媒(例えば、THF)中、トリアリールホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィンまたは樹脂に担持されたトリフェニルホスフィン)の存在下に反応させて、Int−3を得る。次いで、Int−3を加水分解して式(I)の化合物を得る。
【0042】
化合物Int−1は、スキーム2に示す方法により調製することができる。
スキーム2
【化5】
【0043】
スキーム2に示したように、化合物Int−4を5−(4,4,5,5−テトラメチル[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ピラゾール(SM−1)と、適切な溶媒(例えば、DME/水などの水性/エーテル系溶媒)中、遷移金属触媒(例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム)の存在下に反応させて、化合物Int−1を得る。別法として、化合物Int−1は、化合物SM−1の代わりに1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ピラゾール−5−ボロン酸(SM−2、示さない)を使用する、スキーム1に示す方法により調製することもできる。化合物SM−1およびSM−2は、公知の方法により調製することができる。式Int−4の化合物は、購入可能であるか、あるいは後記の例の部に記載の公知方法により調製することができる。
【0044】
式(I)(A3はNである)の化合物の調製方法を下記のスキーム3に示す。
スキーム3
【化6】
スキーム3に示すように、化合物Int−5を化合物Int−6と、遷移金属触媒(例えば、ヨウ化銅)の存在下で反応させて、化合物Int−7を得て、これを加水分解して式(I)の化合物を得る。
【0045】
式Int−5の化合物は、スキーム4に記載の方法で調製することができる。
スキーム4
【化7】
【0046】
スキーム4に示したように、SM−1をInt−8の化合物と、適切な溶媒(例えば、DME/水などの水性/エーテル系溶媒)中、遷移金属触媒(例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム)の存在下に反応させて、式Int−5の化合物を得る。式Int−8の化合物は、購入可能であるか、あるいは公知の方法で調製することができる。
【0047】
式Int−6の化合物は、下記のスキーム5に示す方法により調製することができる。
スキーム5
【化8】
スキーム5に示したように、5−ブロモ−2−クロロピリジンと化合物Int−2とを、塩基(例えば、ナトリウムtert−ブトキシド)の存在下で反応させて、式Int−6の化合物を得る。
以下の例は、例示であり、特定の試薬または条件は、当業者に認識されるように、過度の実験を伴うことなしに、個々の化合物に対して必要とされるように変更することができる。出発原料および試薬は、市販されているか、あるいは化学文献および下記の合成例の部に記載の方法を利用して当業者により調製され得る。
【0048】
合成例
一般的方法:特記しない限り、すべての反応は、不活性雰囲気(例えば、アルゴン、N2)下に、無水条件下で、室温(約25℃)で実行される。すべての化合物は、次の方法:1H−NMR、HPLC、HPLC−MS、および/または融点の中の少なくとも1つで特徴付けられる。
【0049】
典型的には、反応の進行は、薄層クロマトグラフィー(TLC)またはHPLC−MSで監視される。中間体および生成物は、次の方法の中の少なくとも1つを利用して精製される:
シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー、
再結晶、
20×500mm Chiralpak AD−Hカラム、または20×500mm Chiralpak OD−Hカラムを使用し、0.1%のジエチルアミン(DEA)を含むイソプロパノール/ヘプタンのアイソクラティック混合物を用い、7.5mL/分で溶離するキラルHPLC、
20×250mm Chiralcel OD−Hカラムを使用し、イソプロパノール/ヘプタンのアイソクラティック混合物を用い、7.5mL/分で溶離するキラルHPLC、
3.0×25.0cm RegisPackカラムを使用し、MeOH、イソプロピルアミン(IPA)、および125バールの超臨界二酸化炭素のアイソクラティック混合物を用い、80mL/分で溶離する超臨界流体(SCF)キラルHPLC、および/または
C18セミ分取カラムを使用し、MeCN+0.1%TFA/H2O+0.1%TFA、またはMeCN+0.1%ギ酸/H2O+0.1%ギ酸のグラジエントで溶離する逆相HPLC。
報告するMSデータは、観測された[M+H]+に関するものである。臭素含有化合物の場合、[M+H]+は、いずれも、臭素同位体(すなわち79Brおよび81Br)の一方または双方について報告する。
【0050】
本発明の化合物を特徴付けるのに使用されるLC/MS法を、下記表2aおよび2bに記載する。
【表2】

【0051】
略語リスト
DCE=ジクロロエタン
DCM=ジクロロメタン
DME=ジメトキシエタン
DMF=ジメチルホルムアミド
DMSO=ジメチルスルホキシド
EtOAc=酢酸エチル
EtOH=エタノール
IPA=イソプロピルアルコール
MeCN=アセトニトリル
MeOH=メタノール
TEA=トリエチルアミン
TFA=トリフルオロ酢酸
THF=テトラヒドロフラン
【0052】
中間体の合成
4−{4−[2−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−フェノキシ}−フェノール(A)の調製
【化9】
【0053】
4−(4−ブロモ−フェノキシ)−フェノール(7.0g、26ミリモル)と5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2」ジオキサボロラン−2−イル)−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ピラゾール(9.4g、39ミリモル)とのDME(120mL)と2N Na2CO3水溶液(33mL)との混合物中の懸濁液に、アルゴンを30分間吹き込む。この混合物にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.5g、1.3ミリモル)を添加し、混合物を100℃に加熱する。16時間後、混合物を、室温まで冷却し、水/EtOAc中に注ぎ入れる。有機層を捕集し、水層をEtOAcで2回抽出する。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮する。残留物をSiO2(EtOAc/ヘプタン)で精製して、中間体Aを得る。
【0054】
4−{4−[2−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−ベンジル}−フェノール(B)の調製
【化10】
4−(4−ブロモ−ベンジル)−フェノール(2.0g、7.6ミリモル)と化合物SM−1(2.9g、9.1ミリモル)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(880mg、0.76ミリモル)とのDME(20mL)と2N Na2CO3水溶液(9.5mL)との混合物中の懸濁液を130℃に1時間加熱する。混合物を、室温まで冷却し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出する。有機層を、ブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濾過し、濃縮する。生じる残留物をSiO2(メタノール/ジクロロメタン)で精製して、中間体Bを得る。
【0055】
(3E,5E)−6−[2−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−ヘプタ−1,3,5−トリエン−3−オール(C)の調製
【化11】
4−ブロモフェノール(2.5g、14ミリモル)とSM−1(5.6g、17ミリモル)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.6g、1.4ミリモル)とのDME(75mL)と2N Na2CO3水溶液(22mL)との混合物中の懸濁液を、脱気し、アルゴンで3回パージし、100℃に16時間加熱する。反応物を、室温まで冷却し、EtOAcで希釈し、水、続いてブラインで洗浄する。有機画分を捕集し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮する。生じる残留物をSiO2(EtOAc/ヘプタン)で精製して、中間体Cを得る。
【0056】
2−(4−ベンジルオキシ−フェノキシ)−5−ブロモ−ピリジン(D)の調製
【化12】
5−ブロモ−2−クロロ−ピリジン(10g、52ミリモル)と4−ベンジルオキシ−フェノール(10.4g、52ミリモル)とのDMF(104mL)溶液に、カリウムtert−ブトキシド(7g、62ミリモル)を添加する。この混合物を110℃に3.5時間加熱し、次いで冷却する。次いで、溶液を水/酢酸エチル中に注ぎ入れ、有機層を捕集する。水層をEtOAcで2回抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄する。次いで、有機層を、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮する。生じる残留物をSiO2(EtOAc/ヘプタン)で精製して、中間体Dを得る。
【0057】
4−(5−ブロモ−ピリジン−2−イルオキシ)−フェノール(E)の調製
【化13】
中間体D(9.5g、27ミリモル)、ペンタメチルベンゼン(8g、54ミリモル)およびトリフルオロ酢酸(57mL、750ミリモル)からなる混合物を室温で2.5時間撹拌する。混合物を濃縮し、生じる残留物をEtOAcに溶解する。有機層を、飽和重炭酸ナトリウム溶液、続いてブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮する。生じる残留物をSiO2(EtOAc/ヘプタン)で精製して、中間体Dを得る。
【0058】
4−{5−[2−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−ピリジン−2−イルオキシ}−フェノール(F)の調製
【化14】
中間体E(6.0g、23ミリモル)と1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ピラゾール−5−ボロン酸(SM−2)(6.6g、27ミリモル)とのDMF(60mL)と2N Na2CO3水溶液(33mL)との混合物中の懸濁液に、アルゴンを30分間吹き込んだ。この混合物をテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(2.6g、2ミリモル)と処理し、100℃に16時間加熱した。溶液を、冷却し、水/EtOAc中に注ぎ入れ、有機層を捕集する。水層をEtOAcで2回抽出し、合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残留物をSiO2(EtOAc/ヘプタン)で精製して、Fを得る。
【0059】
式Iの化合物の合成
一般法A〜E(光延カップリングのためのプロトコール)
一般法Aの例:
3−{4−[4−(1H−ピラゾール−3−イル)−フェノキシ]−フェノキシメチル}−ピリジン(例34)の調製
【化15】
【0060】
ピリジン−3−イル−メタノール(21mg、0.2ミリモル)と中間体A(40mg、0.1ミリモル)とのTHF(1mL)溶液に、PS−PPh3樹脂(97mg、0.3ミリモル)を添加する。次いで、アゾジカルボン酸ジ−tert−ブチル(34mg、0.15ミリモル)およびTHF(0.5mL)を添加し、混合物を室温で振盪する。16時間後、さらなるアゾジカルボン酸ジ−tert−ブチル(34mg、0.15ミリモル)およびTHF(0.5mL)を添加し、反応物を16時間撹拌する。混合物を濾過し、樹脂をTHF、DCE、THF、DCE、およびTHF(それぞれ0.5mL)で洗浄する。合わせた濾液を濃縮し、生じる残留物をDCE(1mL)と10%クエン酸(0.5mL)に溶解する。相分離用カートリッジを使用して層を分離し、生成物を0.5mLのDCEで3回抽出し、真空中で蒸発させて、粗生成物を得る。この物質をDCE(1mL)に溶解し、4N HCl(125μL)で処理し、振盪する。16時間後、混合物を濃縮し、粗品を逆相HPLCで精製して、34を得る。
【0061】
一般法Bの例:
5−{4−[4−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イルメトキシ)−フェノキシ]−フェニル}−1H−ピラゾール(例26)
【化16】
中間体A(124mg、0.32ミリモル)と(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−メタノール(55mg、0.48ミリモル)とトリフェニルホスフィン(140mg、0.52ミリモル)とのTHF(1.5mL)溶液を窒素でパージし、ジアゾジカルボン酸ジイソプロピル(75μL、0.52ミリモル)で処理する。該混合物を16時間撹拌する。さらなるトリフェニルホスフィン(140mg、0.52ミリモル)およびジアゾジカルボン酸ジイソプロピル(75μL、0.52ミリモル)を添加し、撹拌を継続する。48時間後、4N HCl(2mL)を添加し、溶液を一夜撹拌する。混合物を濃縮し、残留物を逆相HPLCで精製して、26を得る。
【0062】
一般法Cの例:
(±)3−{4−[5−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−フェノキシメチル}−モルホリン(例16)の調製
【化17】
【0063】
中間体F(100mg、0.26ミリモル)と3−ヒドロキシメチル−モルホリン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(102mg、0.47ミリモル)とのTHF(3mL)溶液にPS−PPh3樹脂(175mg、0.52ミリモル)を添加する。この混合物を10分間撹拌し、ジアゾジカルボン酸ジ−tert−ブチル(120mg、0.52ミリモル)で処理し、60℃に加熱する。16時間後、混合物を水で処理し、生成物をEtOAcで抽出する。有機層を濃縮し、生じる残留物をSiO2(ヘプタン/EtOAc)で精製して、16−Aを得る。中間体16−Aを4N HCl/ジオキサン(1mL)に溶解し、45℃に加熱する。15分後、混合物をジイソプロピルアミン(1mL)で処理し、濃縮する。生じる残留物をSiO2(DCM/MeOH/NH4OH)で精製して、16を得る。
【0064】
一般法Dの例:
(R)−5−{4−[4−(2H−ピラゾール−3−イル)−ベンジル]−フェノキシ}−ピペリジン−2−オン(例18)の調製
【化18】
【0065】
中間体B(307mg、0.81ミリモル)と(S)−5−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン(190mg、1.6ミリモル)とのTHF(8mL)溶液にPS−PPh3樹脂(810mg、0.52ミリモル)およびジアゾジカルボン酸ジ−tert−ブチル(372mg、1.6ミリモル)を添加する。この混合物を、16時間撹拌し、濾過し、EtOAcで希釈し、水で洗浄する。有機層を捕集し、濃縮する。生じる残留物をSiO2(ヘプタン/EtOAc)で精製して、18−Aを得る。中間体18−Aを4N HCl/ジオキサン(3mL)に溶解し、45℃に加熱する。1時間後、混合物をEtOAcと飽和NaHCO3の間に分配させる。有機層を、捕集し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮する。生じる残留物をSiO2(DCM/MeOH)で精製して、18を得る。
【0066】
表3に、一般法A、B、C、D、EまたはFにより例1〜95を調製するのに使用される重要な試薬の要約を示す。
【化19】
【0067】
【表3】






【0068】
(例6):
(R)−5−{5−[4−(2H−ピラゾール−3−イル)−フェノキシ]−ピリジン−2−イルオキシ}−ピペリジン−2−オン(6)の調製
【化20】
【0069】
(R)−5−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン(287mg、2.5ミリモル)のDMF(12mL)溶液にナトリウムtert−ブトキシド(439mg、4.6ミリモル)を0℃で添加し、この混合物を室温まで温める。30分後、5−ブロモ−2−クロロ−ピリジン(400mg、2.1ミリモル)を添加し、混合物を100℃に30分間加熱する。冷却したら、溶液を水/EtOAc中に注ぎ入れ、相を分離する。水層をEtOAcで2回抽出する。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮する。残留物を逆相HPLCで精製して、中間体6−Aを得る。中間体C(278mg、0.96ミリモル)と中間体6−A(315mg、1.20ミリモル)とリン酸カリウム(763mg、3.60ミリモル)と2−ピコリン酸(30mg、0.24ミリモル)とのDMSO(10mL)中の懸濁液にアルゴンを10分間吹き込む。ヨウ化銅(23mg、0.12ミリモル)を添加し、混合物をマイクロ波反応器中で120℃に2時間加熱する。冷えたら、溶液をEtOAc(10mL)で希釈し、珪藻土の詰め物を通して濾過する。濾液を、水およびブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮する。生じる残留物を逆相HPLCで精製して、中間体6−Bを得る。中間体6−B(120mg、0.25ミリモル)の1,4−ジオキサン(1mL)溶液に4N HCl/ジオキサン(2mL)を添加し、生じる溶液を45℃で30分間撹拌すると、その間に沈殿が形成される。固体を濾過により単離し、逆相HPLCで精製してオイルを得る。次いで、このオイルをMeOH(2mL)に溶解し、PL−HCO3 MP−樹脂を通過させる。樹脂をMeOH(2mL)で洗浄し、合わせた抽出物を濃縮して6を得る。LC/MS 方法3:Rt=2.79分;ES+ m/z[M+H]+=351.3。
【0070】
(例7):
(S)−5−{5−[4−(2H−ピラゾール−3−イル)−フェノキシ]−ピリジン−2−イルオキシ}−ピペリジン−2−オン(7)の調製
【化21】
化合物7は、化合物6の合成について前に説明した手順により調製される。LC/MS 方法3:Rt=2.79分;ES+ m/z[M+H]+=351.3。
【0071】
(例95):
(R)−5−{4−[6−(2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−3−イルオキシ]−フェノキシ}−ピペリジン−2−オン(95)の調製
【化22】
【0072】
4−ブロモ−フェノール(500mg、2.9ミリモル)と(S)−5−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン(655mg、5.8ミリモル)とのTHF(20mL)溶液にPS−PPh3樹脂(3ミリモル/g;1.93g、5.8ミリモル)を添加する。この懸濁液を、65℃に加熱し、アゾジカルボン酸ジ−tert−ブチル(1.33g、5.8ミリモル)で処理する。生じる混合物を65℃で16時間撹拌し、次いで室温まで冷却する。混合物を、珪藻土を通して濾過し、THF(30mL)で洗浄する。濾液を濃縮し、生じる残留物をSiO2(EtOAc/ヘプタン、次いでMeOH/DCM)で精製して、中間体95−Aを得る。
【0073】
6−ブロモ−ピリジン−2−オール(200mg、1.15ミリモル)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(66mg、0.06ミリモル)をDME(5mL)中に懸濁する。10分後、SM−1(410mg、1.26ミリモル)および2N Na2CO3水溶液(1.7mL)を添加する。次いで、反応物をアルゴンで2回パージし、マイクロ波反応器中で100℃に20分間加熱する。冷えたら、反応物をEtOAcで希釈し、水およびブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮する。生じる残留物をSiO2(EtOAc/ヘプタン)で精製して、中間体95−Bを得る。
【0074】
中間体95−B(200mg、0.68ミリモル)と中間体95−A(370mg、1.37ミリモル)と炭酸セシウム(447mg、1.37ミリモル)とN,N−ジメチルグリシン塩酸塩(48mg、0.34ミリモル)とのDMSO(5mL)中の懸濁液にアルゴンを10分間吹き込む。ヨウ化銅(26mg、0.14ミリモル)を添加し、この混合物をマイクロ波反応器中で140℃に2時間加熱する。冷えたら、溶液を水/EtOAc中に注ぎ入れ、相を分離する。次いで、水層をEtOAcで2回抽出する。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮する。残留物をSiO2(EtOAc/ヘプタン、次いでMeOH/DCM)で精製して、中間体95−Cを得る。
【0075】
中間体95−C(82mg、0.17ミリモル)の1,4−ジオキサン(1mL)溶液に4N HCl/ジオキサン(1mL)を添加する。生じる溶液を45℃で30分間撹拌すると、その間に沈殿が形成される。生じる固体を濾過し、逆相HPLCで精製してオイルを得る。次いで、このオイルをMeOH(2mL)に溶解し、PL−HCO3 MP−樹脂を通して濾過する。残った樹脂をMeOH(2mL)で洗浄し、合わせた溶媒を濃縮して95を得る。LC/MS 方法3:Rt=2.66分;ES+ m/z[M+H]+=351.3。
【0076】
生物学的特性の評価
酵素がアルギニル−アミノメチルクマリン(Arg−AMC)のペプチド結合を開裂する能力を測定する酵素アッセイにおいて、化合物がヒトLTA4ヒドロラーゼと相互作用する能力を評価する。LTA4H酵素(最終濃度1nM)、Arg−AMC基質(最終濃度50μM)および化合物を、反応緩衝液(50mM Tris−HCl(pH7.5)、100mM KCl、0.5%ウシ血清アルブミン)中、室温で1時間混合する。生成物の形成を、アミノメチルクマリン生成物の蛍光(励起波長380nm/発光波長460nm)を測定することによって評価する。
【0077】
一般に、上記アッセイでの化合物の好ましい効力範囲(IC50)は、0.1nM〜10,000nMであり、より好ましい効力範囲は0.1nM〜100nM、最も好ましい効力範囲は0.1nM〜10nMである。酵素アッセイでの本発明の代表的化合物の効力を下記表4に示す。
【表4】
【0078】
化合物が細胞系中でLTB4の合成を阻害する能力を測定するために、本発明の化合物を、さらにヒト全血アッセイで試験する。化合物をヘパリン処理ヒト全血と混合し、37℃で15分間インキュベートする。次いで、カルシマイシン(最終濃度20μM、リン酸緩衝化生理食塩水中で調製、pH7.4)を添加し、混合物を37℃でさらに30分間インキュベートする。サンプルを低速(1500×g)で5分間遠心し、血漿層を取り出す。次いで、血漿中LTB4濃度を、抗体をベースにした均一時間分解蛍光法(CisBio、Bedford、マサチューセッツ州)を利用して測定する。
【0079】
一般に、上記アッセイでの化合物の好ましい効力範囲(IC50)は、10nM〜10,000nMであり、より好ましい効力範囲は10nM〜1000nM、最も好ましい効力範囲は10nM〜100nMである。ヒト全血(WHB)アッセイでの代表的な本発明の化合物の効力を表5に示す。
【0080】
【表5】
【0081】
使用方法
本発明の化合物は、ロイコトリエンA4ヒドロラーゼ(LTA4H)の効果的な阻害剤であり、それゆえロイコトリエンの産生を阻害する。したがって、本発明の一実施形態において、本発明の化合物を使用して、ロイコトリエン介在性の障害を治療する方法が提供される。別の実施形態において、本発明の化合物を使用して、心血管性、炎症性、アレルギー性、肺性、および線維性の疾患、腎疾患、ならびにがんを治療する方法が提供される。
【0082】
一実施形態において、本発明は、ロイコトリエン介在性の障害を治療するための薬剤を調製するための、本発明の化合物の使用に関する。別の実施形態において、本発明は、心血管性、炎症性、アレルギー性、肺性、および線維性の疾患、腎疾患、ならびにがんを治療するための薬剤を調製するための、本発明の化合物の使用に関する。
【0083】
一実施形態において、本発明は、ロイコトリエン介在性障害を治療するための薬剤として使用するための本発明の化合物に関する。別の実施形態において、本発明は、心血管性、炎症性、アレルギー性、肺性、および線維性の疾患、腎疾患、ならびにがんを治療する方法において使用するための本発明の化合物に関する。
【0084】
理論によって拘束されることを望むものではないが、LTA4Hの活性を阻害することによって、本発明の化合物は、5−LOによるアラキドン酸の酸化およびそれに続く代謝に由来するLTB4の産生を遮断する。したがって、LTA4H活性の阻害は、LTB4によって仲介される種々の疾患を予防および治療するための魅力的な手段である。これらの疾患としては:
アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、脳卒中、大動脈瘤、鎌状赤血球クライシス、虚血再潅流障害、肺高血圧、および敗血症をはじめとする心血管疾患、
喘息、アレルギー性鼻炎、鼻副鼻腔炎、アトピー性皮膚炎、および蕁麻疹をはじめとするアレルギー性疾患、
喘息、特発性肺線維症、皮膚硬化症、アスベスト症における気道再形成をはじめとする線維性疾患、
成人呼吸窮迫症候群、ウイルス性細気管支炎、閉塞性睡眠時無呼吸、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、および気管支肺異形成をはじめとする肺症候群、
リウマチ様関節炎、骨関節症、痛風、糸球体腎炎、間質性膀胱炎、乾癬、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、移植拒絶、炎症性およびアレルギー性眼疾患をはじめとする炎症性疾患、
固形腫瘍、白血病およびリンパ腫をはじめとするがん、ならびに
糸球体腎炎などの腎疾患、が挙げられる。
【0085】
一実施形態において、本発明は、それを必要とする患者に1種または複数の本発明の化合物またはその薬学上許容される塩を投与することを含む、ロイコトリエン介在性障害の治療方法に関する。
別の実施形態において、本発明は、それを必要とする患者に1種または複数の本発明の化合物またはその薬学上許容される塩を投与することを含む、心血管疾患の治療方法に関する。
別の実施形態において、本発明は、それを必要とする患者に1種または複数の本発明の化合物またはその薬学上許容される塩を投与することを含む、心血管疾患の治療方法であって、該心血管疾患が、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、脳卒中、動脈瘤、鎌状赤血球クライシス、虚血再潅流障害、肺高血圧、および敗血症から選択される、治療方法に関する。
別の実施形態において、本発明は、それを必要とする患者に1種または複数の本発明の化合物またはその薬学上許容される塩を投与することを含む、アテローム性動脈硬化症の治療方法に関する。
【0086】
上記の疾患および状態の治療に関して、治療有効用量は、一般に、本発明の化合物の投与につき約0.01mg〜約100mg/kg体重、好ましくは約0.1mg〜約20mg/kg体重の範囲にある。例えば、70kgの人へ投与する場合、用量範囲は、本発明の化合物の投与につき約0.7mg〜約7000mg、好ましくは約7.0mg〜約1400mgである。最適な投与レベルおよびパターンを決定するために、ある程度の定型的な用量最適化が必要とされることもある。活性成分は、1日に1〜6回投与できる。
【0087】
一般的な投与および医薬組成物
医薬として使用する場合、本発明の化合物は、典型的には、医薬組成物の形態で投与される。このような組成物は、製薬技術の分野で周知の手順を使用して調製することができ、少なくとも1つの本発明の化合物を含む。また、本発明の化合物は、単独で、または本発明の化合物の安定性を高める補助薬、特定の実施形態ではそれらの化合物を含む医薬組成物の投与を容易にする補助薬、高められた溶出または分散、高められた拮抗活性を提供する補助薬、補助的療法を提供する補助薬などと組み合わせて投与することができる。本発明による化合物は、それらだけで、または本発明による他の活性物質と共に、また任意選択で他の薬理学上活性な物質と共に使用することができる。一般に、本発明の化合物は、治療的または薬学的有効量で投与されるが、診断またはその他の目的のために、より低い量で投与することもできる。
【0088】
純粋な形態または適切な医薬組成物での本発明の化合物の投与は、医薬組成物のいずれかの許容された投与方式を使用して実施することができる。したがって、投与は、例えば、経口、頬側(例えば、舌下)、経鼻、非経口、局所、経皮、経膣、または経直腸で、固形、半固形、凍結乾燥粉末または液状の投与形態、例えば、錠剤、坐剤、丸剤、軟質弾性および硬質ゼラチンカプセル剤、粉剤、溶液剤、懸濁剤、またはエアロゾル剤など、好ましくは簡単に正確な投与量を投与するのに適した単位剤形でよい。医薬組成物は、一般に、通常的な医薬担体または賦形剤、および活性剤としての本発明の化合物を含み、加えて、その他の医療用薬剤、薬学上の薬剤、担体、補助剤、希釈剤、ビヒクル、またはこれらの組合せを含むことができる。このような薬学上許容される賦形剤、担体、または添加物、および種々の方式のための医薬組成物の製造方法、あるいは投与は、当業者にとって周知である。最先端の技術水準は、該技術水準をより完全に記述するためにそのそれぞれが参照によりそれらの全体で本明細書に組み込まれる、例えば、Remington:「The Science and Practice of Pharmacy」20th Edition,A.Gennaro(ed.),Lippincott Williams & Wilkins,2000;「Handbook of Pharmaceutical Additives」Michael & Irene Ash(eds.),Gower,1995;「Handbook of Pharmaceutical Excipients」A.H.Kibbe(ed.),American Pharmaceutical Ass’n,2000;H.C Ansel and N.G.Popovish「Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems」5th ed.,Lea and Febiger,1990によって明示されている。
【0089】
一実施形態において、本発明は、薬学上有効な量の1種または複数の本発明の化合物の化合物またはその薬学上許容される塩、および賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0090】
当業者が期待するように、特定の医薬製剤中で利用される本発明の化合物の形態は、効果的であるために製剤に要求される適切な物理的特徴(例えば水溶性)を所持する形態(例えば、塩)が選択される。