(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記変形機構の駆動を制御して、用紙における前記中間転写体との間に空隙が発生する領域が前記2次転写ニップ部に進入する前までに、前記2次転写ニップ部の面積を大きくする
請求項1に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、画像形成装置を実施するための形態について、
図1〜
図11を参照して説明する。
なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
また、説明は以下の順序で行う。
1.画像形成装置の第1の実施の形態
2.画像形成装置の第2の実施の形態
3.画像形成装置の第3の実施の形態
4.画像形成装置の第4の実施の形態
5.変形例
【0017】
1.画像形成装置の第1の実施の形態
[画像形成装置の構成例]
まず、画像形成装置の第1の実施の形態の構成例について、
図1を参照して説明する。
図1は、画像形成装置の第1の実施の形態を示す全体構成図である。
【0018】
図1に示すように、画像形成装置1は、電子写真方式により用紙に画像を形成するものであり、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせるタンデム形式のカラー画像形成装置である。この画像形成装置1は、原稿搬送部10と、用紙収納部20と、画像読取部30と、画像形成部40と、中間転写ベルト50と、2次転写部60と、変形機構70(
図3参照)と、定着部80と、制御基板90とを有する。
【0019】
原稿搬送部10は、原稿をセットする原稿給紙台11と、複数のローラ12と、搬送ドラム13と、搬送ガイド14と、原稿排出ローラ15と、原稿排出トレイ16とを有している。原稿給紙台11にセットされた原稿Gは、複数のローラ12及び搬送ドラム13によって、画像読取部30の読取位置に1枚ずつ搬送される。搬送ガイド14及び原稿排出ローラ15は、複数のローラ12及び搬送ドラム13により搬送された原稿Gを原稿排出トレイ16に排出する。
【0020】
画像読取部30は、原稿搬送部10により搬送された原稿G又は原稿台31に載置された原稿の画像を読み取って、画像データを生成する。具体的には、原稿Gの画像がランプLによって照射される。原稿Gからの反射光は、第1ミラーユニット32、第2ミラーユニット33、レンズユニット34の順に導かれて、撮像素子35の受光面に結像する。撮像素子35は、入射した光を光電変換して所定の画像信号を出力する。出力された画像信号は、A/D変換されることにより画像データとして作成される。
【0021】
また、画像読取部30は、画像読取制御部36を有している。画像読取制御部36は、A/D変換によって作成された画像データに、シェーディング補正やディザ処理、圧縮等の処理を施して、制御基板90のRAM103(
図2参照)に格納する。なお、画像データは、画像読取部30から出力されるデータに限定されず、画像形成装置1に接続されたパーソナルコンピュータや他の画像形成装置などの外部装置から受信したものであってもよい。
【0022】
用紙収納部20は、装置本体の下部に配置されており、用紙Sのサイズや種類に応じて複数設けられている。この用紙Sは、給紙部21により給紙されて搬送部23に送られ、搬送部23によって転写位置である2次転写部60に搬送される。また、用紙収納部20の近傍には、手差部22が設けられている。この手差部22からは、用紙収納部20に収納されていないサイズの用紙やタグを有するタグ紙、OHPシート等の特殊紙が転写位置へ送られる。
【0023】
画像読取部30と用紙収納部20との間には、画像形成部40と中間転写ベルト50が配置されている。画像形成部40は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成するために、4つの画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kを有する。
【0024】
第1の画像形成ユニット40Yは、イエローのトナー像を形成し、第2の画像形成ユニット40Mは、マゼンダのトナー像を形成する。また、第3の画像形成ユニット40Cは、シアンのトナー像を形成し、第4の画像形成ユニット40Kは、ブラックのトナー像を形成する。これら4つの画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kは、それぞれ同一の構成を有しているため、ここでは第1の画像形成ユニット40Yについて説明する。
【0025】
第1の画像形成ユニット40Yは、ドラム状の感光体41と、感光体41の周囲に配置された帯電部42と、露光部43と、現像部44と、クリーニング部45を有している。感光体41は、不図示の駆動モータによって回転する。帯電部42は、感光体41に電荷を与え感光体41の表面を一様に帯電する。露光部43は、原稿Gから読み取られた画像データ又は外部装置から送信された画像データに基づいて、感光体41の表面に対して露光操作を行うことにより感光体41上に静電潜像を形成する。
【0026】
現像部44は、感光体41に形成された静電潜像にイエローのトナーを付着させる。これにより、感光体41の表面は、イエローのトナー像が形成される。なお、第2の画像形成ユニット40Mの現像部44は、感光体41にマゼンタのトナーを付着させ、第3の画像形成ユニット40Cの現像部44は、感光体41にシアンのトナーを付着させる。そして、第4の画像形成ユニット40Kの現像部44は、感光体41にブラックのトナーを付着させる。
クリーニング部45は、感光体41の表面に残留しているトナーを除去する。
【0027】
感光体41上に付着したトナーは、中間転写体の一例を示す中間転写ベルト50に転写される。中間転写ベルト50は、無端状に形成されており、複数のローラに掛け渡されている。この中間転写ベルト50は、不図示の駆動モータで感光体41の回転(移動)方向とは逆方向に回転駆動する。
【0028】
中間転写ベルト50における各画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kの感光体41と対向する位置には、1次転写部51が設けられている。この1次転写部51は、中間転写ベルト50に接触しており、中間転写ベルト50にトナーと反対の極性の電圧を印加させることで、感光体41上に付着したトナーを中間転写ベルト50に転写する。
【0029】
そして、中間転写ベルト50が回転駆動することで、中間転写ベルト50の表面には、4つの画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kで形成されたトナー像が順次転写される。これにより、中間転写ベルト50上には、イエロー、マゼンダ、シアン及びブラックのトナー像が重なり合いカラー画像が形成される。
【0030】
中間転写ベルト50は、対向ローラ52と、転写前ローラ53と、テンションローラ54と、その他複数のローラによって張架されている。対向ローラ52は、中間転写ベルト50を挟んで2次転写部60を構成する後述の2次転写ローラ61に対向している。転写前ローラ53は、対向ローラ52と1次転写部51との間であって、中間転写ベルト50の移動方向における対向ローラ52の上流に配置されている。
【0031】
テンションローラ54は、対向ローラ52と1次転写部51との間であって、中間転写ベルト50の移動方向における対向ローラ52の下流に配置されている。このテンションローラ54は、中間転写ベルト50の最上部に配置されている。
【0032】
また、中間転写ベルト50には、ベルトクリーニング装置56が対向している。このベルトクリーニング装置56は、2次転写部60で用紙Sへのトナー画像の転写を終えた中間転写ベルト50の外周面を清掃する。
【0033】
中間転写ベルト50の近傍で、かつ搬送部23の用紙搬送方向下流側には、2次転写部60が配置されている。この2次転写部60は、搬送部23によって送られてきた用紙Sを中間転写ベルト50に接触させて、中間転写ベルト50の外周面上に形成されたトナー画像を用紙Sに転写する。
【0034】
2次転写部60は、2次転写ローラ61を有している。2次転写ローラ61は、対向ローラ52に圧接されている。そして、2次転写ローラ61と中間転写ベルト50が接触する部分は、2次転写ニップ部62となる。この2次転写ニップ部62は、中間転写ベルト50の外周面上に形成されたトナー画像を用紙Sに転写する転写位置である。
【0035】
2次転写部60における用紙Sの排出側には、定着部80が設けられている。この定着部80は、用紙Sを加圧及び加熱して、転写されたトナー像を用紙Sに定着させる。定着部80は、例えば、一対の定着部材である定着上ローラ81及び定着下ローラ82で構成されている。定着上ローラ81及び定着下ローラ82は、互いに圧接した状態で配置されおり、定着上ローラ81と定着下ローラ82との圧接部として定着ニップ部が形成される。
【0036】
定着上ローラ81の内部には、加熱部が設けられている。この加熱部からの輻射熱により定着上ローラ81のローラ部が温められる。そして、定着上ローラ81のローラ部の熱が用紙Sへ伝達されることにより、用紙S上のトナー画像が熱定着される。
【0037】
用紙Sは、2次転写部60によりトナー画像が転写された面(定着対象面)が定着上ローラ81と向き合うように搬送され、定着ニップ部を通過する。したがって、定着ニップ部を通過する用紙Sには、定着上ローラ81と定着下ローラ82とによる加圧と、定着上ローラ81の熱による加熱が行われる。
【0038】
定着部80の用紙搬送方向下流には、切換ゲート24が配置されている。切換ゲート24は、定着部80を通過した用紙Sの搬送路を切り換える。すなわち、切換ゲート24は、片面画像形成におけるフェースアップ排紙を行う場合に、用紙Sを直進させる。これにより、用紙Sは、一対の排紙ローラ25によって排紙される。また、切換ゲート24は、片面画像形成におけるフェースダウン排紙及び両面画像形成を行う場合に、用紙Sを下方に案内する。
【0039】
フェースダウン排紙を行う場合は、切換ゲート24によって用紙Sを下方に案内した後に、用紙反転搬送部26によって表裏を反転して上方に搬送する。これにより、表裏が反転された用紙Sは、一対の排紙ローラ25によって排紙される。
両面画像形成を行う場合は、切換ゲート24によって用紙Sを下方に案内した後に、用紙反転搬送部26によって表裏を反転し、再給紙路27により再び転写位置へ送られる。
【0040】
一対の排紙ローラ25の下流側には、用紙Sを折ったり、用紙Sに対してステープル処理等を行ったりする後処理装置を配置してもよい。
【0041】
[画像形成装置の各部のハードウェア構成]
次に、画像形成装置1の各部のハードウェア構成について、
図2を参照して説明する。
図2は、本例の画像形成装置1の制御系を示すブロック図である。
【0042】
図2に示すように、画像形成装置1は、例えばCPU(中央演算処理装置)101と、CPU101が実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)102とを有する。なお、ROM102としては、例えば、通常電気的に消去可能なプログラマブルROMを用いる。
【0043】
また、画像形成装置1は、CPU101の作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)103と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)104と、操作表示部105を有する。
CPU101、ROM102及びRAM103は、上述の制御基板90(
図1参照)に搭載されている。
【0044】
CPU101は、制御部の一例であり、装置全体を制御する。このCPU101は、ROM102、RAM103、HDD104及び操作表示部105にそれぞれシステムバス107を介して接続されている。また、CPU101は、画像読取部30、画像処理部106、画像形成部40、給紙部21、2次転写ローラ移動部71、テンションローラ移動部72、定着部80、温度計78、湿度計79にシステムバス107を介して接続されている。
【0045】
HDD104は、画像読取部30で読み取って得た原稿画像の画像データを記憶したり、出力済みの画像データ等を記憶したりする。操作表示部105は、液晶表示装置(LCD)又は有機ELD(Electro Luminescence Display)等のディスプレイからなるタッチパネルである。この操作表示部105は、ユーザに対する指示メニューや取得した画像データに関する情報等を表示する。
さらに、操作表示部105は、複数のキーを備え、ユーザのキー操作による各種の指示、文字、数字などのデータの入力を受け付けて入力信号をCPU101に送信する。CPU101は、受信した入力信号に基づいてジョブ情報を生成する。
【0046】
通信部108は、外部装置の一例を示すPC(パーソナルコンピュータ)120から送信されるジョブ情報を、通信回線を介して受け取る。そして、受け取ったジョブ情報を、システムバス107を介してCPU101に送る。外部装置から送信されるジョブ情報には、形成する画像の画像データと、使用する用紙の情報などが含まれる。
【0047】
なお、本例では、外部装置としてパーソナルコンピュータを適用した例を説明したが、これに限定されるものではなく、外部装置としては、例えばファクシミリ装置等その他各種の装置を適用することができる。
【0048】
温度計78及び湿度計79は、例えば、画像形成装置1の側面部に配設されている。温度計78は、画像形成装置1の外部の温度を検出し、その検出結果をCPU101に送信する。湿度計79は、画像形成装置1の外部の相対温度を検出し、その検出結果をCPU101に送信する。
【0049】
画像読取部30は、原稿画像を光学的に読み取って電気信号に変換する。例えば、カラー原稿を読み取る場合は、一画素当たりRGB各10ビットの輝度情報をもつ画像データを生成する。画像読取部30によって生成された画像データや、画像形成装置1に接続されたPC120から送信される画像データは、画像処理部106に送られ、画像処理される。画像処理部106は、受信した画像データに対してアナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮等の処理を行う。
【0050】
なお、本例では、外部装置としてパーソナルコンピュータを適用した例を説明したが、これに限定されるものではなく、外部装置としては、例えばファクシミリ装置等その他各種の装置を適用することができる。
【0051】
例えば、画像形成装置1でカラー印刷を実行する場合、画像読取部30等によって生成されたR・G・Bの画像データを画像処理部106における色変換LUT(Look up Table)に入力する。そして、画像処理部106は、R・G・BデータをY・M・C・Kの画像データに色変換する。そして、色変換した画像データに対して、階調再現特性の補正、濃度補正LUTを参照した網点などのスクリーン処理、あるいは細線を強調するためのエッジ処理などを行う。
【0052】
画像形成部40は、CPU101により駆動制御され、用紙S上にトナー像を形成する。定着部80は、CPU101により駆動制御され、用紙Sを加圧及び加熱して、トナー像を用紙Sに定着させる。
【0053】
2次転写ローラ移動部71は、CPU101により駆動制御され、2次転写ローラ61(
図1参照)を水平方向であって2次転写ローラ61の回転軸に直交する方向へ移動させる。この2次転写ローラ移動部71は、2次転写ローラ61を保持する保持部(不図示)と、保持部を移動可能に支持する支持部と、保持部を移動させる移動機構を備える。
【0054】
移動機構としては、例えば、モータと、モータの回転力が伝達される偏心カムと、保持部に設けられ、回転する偏心カムにより押圧される係合部から構成することができる。また、移動機構としては、モータとボールねじ構造を用いたものや、タイミングベルト、駆動プーリ及びモータを用いたものなど、2次転写ローラ61を保持する保持部を直線移動させるその他の機構を適用することができる。
【0055】
テンションローラ移動部72は、CPU101により駆動制御され、テンションローラ54(
図1参照)を鉛直方向へ移動させる。このテンションローラ移動部72は、2次転写ローラ移動部71と同様の構成を採用することができる。
【0056】
中間転写ベルト50を変形させる変形機構70は、2次転写ローラ61と、この2次転写ローラ61を移動させる2次転写ローラ移動部71と、テンションローラ54と、このテンションローラ54を移動させるテンションローラ移動部72から構成されている。
【0057】
[中間転写ベルトの変形動作]
次に、中間転写ベルト50の変形動作について、
図3A及び
図3Bを参照して説明する。
図3A及び
図3Bは、中間転写ベルト50の変形動作を示す説明図である。
【0058】
変形機構70は、中間転写ベルト50の全周の長さを保持しながら、中間転写ベルト50の1次転写部51に接触する領域以外の領域を変形させる。具体的には、変形機構70の2次転写ローラ61及びテンションローラ54が移動することで、中間転写ベルト50の1次転写部51に接触する領域以外の領域を変形させる。その結果、中間転写ベルト50の全周の長さを保ちながら2次転写ニップ部62の大きさが変化する。
【0059】
本実施の形態では、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のトナーに応じて4つの1次転写部51が設けられている。したがって、変形機構70は、中間転写ベルト50における、中間転写ベルト50の回転方向の最上流に配置された1次転写部51の接触する部分よりも上流であって、最下流に配置された1次転写部51に接触する部分よりも下流の領域を変形させる。
【0060】
2次転写ローラ61は、転写前ローラ53に近づく第1の位置(
図3A参照)と転写前ローラ53から遠ざかる第2の位置(
図3B参照)との間を移動する。2次転写ローラ61が第1の位置に配置された場合は、2次転写ローラ61が第2の位置に配置された場合よりも2次転写ニップ部62の面積が大きくなる。
【0061】
テンションローラ54は、下方位置(
図3A参照)と上方位置(
図3B参照)との間を移動する。このテンションローラ54は、2次転写ローラ61が配置される位置に応じて移動し、中間転写ベルト50の全周の長さを一定の長さに保持する。
【0062】
2次転写ローラ61は、第1の位置(
図3A参照)に配置されると、中間転写ベルト50を押圧する。これにより、中間転写ベルト50の全周における下側の長さは、2次転写ローラ61が第2の位置(
図3B参照)に配置される場合よりも長くなる。したがって、2次転写ローラ61が第
1の位置に配置されると、テンションローラ54を下方位置に配置して、テンションローラ54が上方位置(
図3B参照)に配置される場合よりも、中間転写ベルト50の全周における上側の長さを短くする。これにより、中間転写ベルト50の全周の長さが一定に保たれる。
以下、2次転写ローラ61が第1の位置に配置されると共に、テンションローラ54が下方位置に配置され、2次転写ニップ部62の面積が大きくなったときの中間転写ベルト50の状態(
図3Aに示す状態)を、ニップ部増大状態とする。
【0063】
一方、2次転写ローラ61が第2の位置に配置されると、2次転写ローラ61が第1の位置に配置される場合よりも、中間転写ベルト50の全周における下側の長さが短くなる。したがって、2次転写ローラ61が第2の位置に配置されると、テンションローラ54を上方位置に配置して、テンションローラ54が下方位置に配置される場合よりも、中間転写ベルト50の全周における上側の長さを長くする。これにより、中間転写ベルト50の全周の長さが一定に保たれる。
以下、2次転写ローラ61が第2の位置に配置されると共に、テンションローラ54が上方位置に配置され、2次転写ニップ部62の面積が小さくなったときの中間転写ベルト50の状態(
図3Bに示す状態)を、ニップ部減少状態とする。
【0064】
このように、中間転写ベルト50の全周の長さを一定の長さに保持することにより、1次転写部51と中間転写ベルト50との相対的な位置関係を維持することができ、中間転写ベルト50に対する1次転写部51の圧接状態が保たれる。その結果、2次転写ニップ部62の面積を変化させても、1次転写部51によって中間転写ベルト50へ転写する画像にずれが生じないようにすることができる。
【0065】
[2次転写ニップ部を通過する用紙]
次に、2次転写ニップ部62を通過する用紙Sについて、
図4を参照して説明する。
図4は、中間転写ベルト50がニップ部増大状態のときの2次転写ニップ部62を通過する用紙Sを示す説明図である。
【0066】
図4に示すように、中間転写ベルト50がニップ部増大状態になり、2次転写ニップ部62の面積が大きくなると、2次転写部60を通過する用紙Sの中間転写ベルト50と2次転写ローラ61に挟まれる部分が増大する。これにより、用紙Sが高剛度紙などのコシの強いものであった場合に生じる中間転写ベルト50の跳ね上げを防止することができる。
【0067】
そのため、本実施の形態では、高剛度紙に画像を形成する場合に、中間転写ベルト50をニップ部増大状態に変形させて、2次転写ニップ部62の面積を大きくする。本発明に係る高剛度紙は、剛度600以上の用紙(被画像形性媒体)と定義する。なお、剛度は、直立(90°)旋回で翻る長さ(cm)の3乗/100により算出する。
【0068】
一方、高剛度紙以外の用紙に画像を形成する場合は、用紙のコシが弱いため、用紙の後端部が中間転写ベルト50を跳ね上げることは無い。そして、高剛度紙以外の用紙に画像を形成する場合に2次転写ニップ部62の面積を大きくすると、用紙に転写した画像が滲み易くなる。そこで、高剛度紙以外の用紙に画像を形成する場合は、中間転写ベルト50をニップ部減少状態(
図3B参照)に変形させて、2次転写ニップ部62の面積を小さくする。これにより、高剛度紙以外の用紙に良好に画像を形成することができる。
【0069】
なお、本発明に係る用紙の後端部とは、高剛度紙であると仮定した用紙がニップ部減少状態の中間転写ベルト50によって形成される2次転写ニップ部62を通過する際に、その用紙における中間転写ベルト50との間に空隙が発生する領域とする。
【0070】
[変形動作処理]
次に、制御部であるCPU101により行われる中間転写ベルト50の変形動作処理について、
図5を参照して説明する。
図5は、変形動作処理の例を示すフローチャートである。
【0071】
変形動作処理は、画像を形成する用紙が2次転写部60(
図1参照)に到達する前に行われる。また、CPU101は、1次転写部51による1次転写動作を停止させてから、変形動作処理を行う。つまり、本実施の形態では、中間転写ベルト50の回転駆動の速度が変化しないときに、1次転写部51による1次転写動作を行う。したがって、1次転写部51によって中間転写ベルト50へ転写する画像にずれが生じないようにすることができる。
【0072】
中間転写ベルト50の変形動作処理が開始されると、まず、CPU101は、用紙が高剛度紙であるか否かを判別する(ステップS1)。このステップS1の処理では、CPU101が、操作表示部105の入力情報と、用紙収納部20毎に設定されている用紙情報に基づいて、用紙の種類を検知する。そして、画像を形成する用紙が高剛度紙であるか否かを判別する。
【0073】
なお、画像を形成する用紙が高剛度紙であるか否かは、センサを用いて用紙の種類を検知して判別してもよいし、PC120から入力されるジョブ情報に基づいて判別してもよい。ジョブ情報には、使用する用紙の情報が含まれているため、PC120から入力されるジョブ情報に基づいて剛度を判別することが可能である。
【0074】
ステップS1の処理で用紙が高剛度紙であると判別したとき、CPU101は、温度及び相対湿度が所定値以下であるか否かを判別する(ステップS2)。温度及び相対湿度が低くなると、2次転写ローラ61や対向ローラ52の電気的抵抗が上昇するため、2次転写ローラ61や対向ローラ52に印加するバイアス電圧が高くなる。これにより、中間転写ベルト50と用紙との間に空隙が発生したときの放電が起こり易くなる。したがって、本実施の形態では、用紙が高剛度紙であり、且つ、温度及び相対湿度が所定値以下であるときに、中間転写ベルト50をニップ部増大状態にする。
【0075】
温度の所定ちからとしては、例えば、10〜15℃の範囲で設定することが好ましく、相対湿度の所定ちからとしては、例えば、20〜35%の範囲で設定することが好ましい。しかし、温度及び相対湿度の所定値については、画像形成装置1を設置する環境、対向ローラ52又は2次転写ローラ61に印加するデバイス電圧等に応じて適宜設定することができる。
【0076】
ステップS2の処理で、温度及び相対湿度が所定値以下であると判別したとき、CPU101は、2次転写ローラ61が第1の位置に配置されているか否かを判別する(ステップS3)。2次転写ローラ61が第1の位置に配置されていると判別したとき、CPU101は、中間転写ベルト50の変形動作処理を終了する。
【0077】
ステップS3の処理で2次転写ローラ61が第1の位置に配置されていないと判別したとき、中間転写ベルト50は、ニップ部減少状態になっている。そして、CPU101は、2次転写ローラ移動部71(
図2参照)を駆動制御して、2次転写ローラ61を第1の位置に移動させる(ステップS4)。これにより、中間転写ベルト50の1次転写部51に接触する領域以外の領域が変形し、2次転写ニップ部62の面積が大きくなる。
【0078】
ステップS4の処理が終了すると、CPU101は、テンションローラ移動部72を駆動制御して、テンションローラ54を下方位置に移動させる(ステップS5)。これにより、中間転写ベルト50の全周の長さが保持され、中間転写ベルト50にかかるテンションは変化せず、1次転写部51と中間転写ベルト50との相対的な位置関係を維持される。その結果、2次転写ニップ部62の面積を大きくしても、1次転写部51によって中間転写ベルト50へ転写する画像にずれが生じないようにすることができる。
【0079】
ステップS5の処理が終了すると、中間転写ベルト50は、ニップ部増大状態になっている。そして、CPU101は、中間転写ベルト50の変形動作処理を終了する。中間転写ベルト50がニップ部増大状態になると、2次転写部60を通過する用紙の中間転写ベルト50と2次転写ローラ61に挟まれる部分が増大するため、高剛度紙による中間転写ベルト50の跳ね上げを防止することができる。その結果、中間転写ベルト50と高剛度紙との間で放電が起こらないようにして、高剛度紙の後端部に画像の不良が生じないようにすることができる。
【0080】
ステップS1の処理で用紙が高剛度紙ではないと判別したとき、又はステップS2の処理で温度及び湿度が所定値以下ではないと判別したとき、CPU101は、2次転写ローラ61が第2の位置に配置されているか否かを判別する(ステップS6)。2次転写ローラ61が第2の位置に配置されていると判別したとき、CPU101は、中間転写ベルト50の変形動作処理を終了する。
【0081】
ステップS6の処理で2次転写ローラ61が第2の位置に配置されていないと判別したとき、中間転写ベルト50は、ニップ部増大状態になっている。そして、CPU101は、2次転写ローラ移動部71を駆動制御して、2次転写ローラ61を第2の位置に移動させる(ステップS7)。これにより、中間転写ベルト50の1次転写部51に接触する領域以外の領域が変形し、2次転写ニップ部62の面積が小さくなる。
【0082】
ステップS7の処理が終了すると、CPU101は、テンションローラ移動部72を駆動制御して、テンションローラ54を上方位置に移動させる(ステップS8)。これにより、中間転写ベルト50の全周の長さが保持され、中間転写ベルト50にかかるテンションは変化せず、1次転写部51と中間転写ベルト50との相対的な位置関係を維持される。その結果、2次転写ニップ部62の面積を小さくしても、1次転写部51によって中間転写ベルト50へ転写する画像にずれが生じないようにすることができる。
【0083】
ステップS8の処理が終了すると、中間転写ベルト50は、ニップ部減少状態になっている。そして、CPU101は、中間転写ベルト50の変形動作処理を終了する。中間転写ベルト50がニップ部減少状態になると、2次転写部60を通過する用紙の中間転写ベルト50と2次転写ローラ61に挟まれる部分が減少するため、高剛度紙以外の用紙に転写した画像が滲み難くなり、高剛度紙以外の用紙に良好に画像を形成することができる。
【0084】
2.画像形成装置の第2の実施の形態
[画像形成装置の構成例]
次に、画像形成装置の第2の実施の形態の構成例について、
図6を参照して説明する。
図6は、画像形成装置の第2の実施の形態の制御系を示すブロック図である。
【0085】
第2の実施の形態の画像形成装置201は、第1の実施の形態の画像形成装置1(
図1参照)と同様の構成を有している。この画像形成装置201が画像形成装置1と異なる点は、変形機構210である。したがって、ここでは、変形機構210について説明する。
【0086】
[画像形成装置の各部のハードウェア構成]
画像形成装置201の変形機構210は、対向ローラ52(
図7参照)と、この対向ローラ52を移動させる対向ローラ移動部211と、テンションローラ54と、このテンションローラ54を移動させるテンションローラ移動部72から構成されている。
図6に示すように、対向ローラ移動部211は、CPU101にシステムバス107を介して接続されている。
【0087】
対向ローラ移動部211は、CPU101により駆動制御され、水平方向であって対向ローラ52の回転軸に直交する方向へ対向ローラ52を移動させる。この対向ローラ移動部211は、対向ローラ52を保持する保持部(不図示)と、保持部を移動可能に支持する支持部と、保持部を移動させる移動機構を備える。移動機構としては、第1の実施の形態の2次転写ローラ移動部71の移動機構と同様の構成を採用することができる。
【0088】
[中間転写ベルトの変形動作]
次に、変形機構210による中間転写ベルト50の変形動作について、
図7A及び
図7Bを参照して説明する。
図7A及び
図7Bは、画像形成装置201に係る中間転写ベルト50の変形動作を示す説明図である。
【0089】
変形機構210は、中間転写ベルト50の全周の長さを保持しながら、中間転写ベルト50の1次転写部51に接触する領域以外の領域を変形させる。具体的には、変形機構210の対向ローラ52及びテンションローラ54が移動することで、中間転写ベルト50の1次転写部51に接触する直線状の領域以外の領域を変形させる。
【0090】
つまり、変形機構210は、中間転写ベルト50における、中間転写ベルト50の回転方向の最上流に配置された1次転写部51の接触する部分よりも上流であって、最下流に配置された1次転写部51に接触する部分よりも下流の領域を変形させる。これにより、2次転写ニップ部262の大きさが変化する。
【0091】
対向ローラ52は、転写前ローラ53から遠ざかる第1の位置(
図7A参照)と転写前ローラ53に近づく第2の位置(
図7B参照)との間を移動する。対向ローラ52が第1の位置に配置された場合は、対向ローラ52が第2の位置に配置された場合よりも2次転写ニップ部262の面積が大きくなる。
【0092】
対向ローラ52は、第1の位置(
図7A参照)に配置されると、中間転写ベルト50を押圧する。これにより、中間転写ベルト50の全周における下側の長さは、対向ローラ52が第2の位置(
図7B参照)に配置される場合よりも長くなる。したがって、対向ローラ52が第1の位置に配置されると、テンションローラ54を下方位置に配置して、テンションローラ54が上方位置に配置される場合よりも、中間転写ベルト50の全周における上側の長さを短くする。これにより、中間転写ベルト50の全周の長さが一定に保たれる。
以下、対向ローラ52が第1の位置に配置されると共に、テンションローラ54が下方位置に配置され、2次転写ニップ部262の面積が大きくなったときの中間転写ベルト50の状態(
図7Aに示す状態)を、ニップ部増大状態とする。
【0093】
一方、対向ローラ52が第2の位置に配置されると、対向ローラ52が第1の位置に配置される場合よりも、中間転写ベルト50の全周における下側の長さが短くなる。したがって、対向ローラ52が第2の位置に配置されると、テンションローラ54を上方位置に配置して、テンションローラ54が下方位置に配置される場合よりも、中間転写ベルト50の全周における上側の長さを長くする。これにより、中間転写ベルト50の全周の長さが一定に保たれる。
以下、対向ローラ52が第2の位置に配置されると共に、テンションローラ54が上方位置に配置され、2次転写ニップ部262の面積が小さくなったときの中間転写ベルト50の状態(
図7Bに示す状態)を、ニップ部減少状態とする。
【0094】
このように、中間転写ベルト50の全周の長さを一定の長さに保持することにより、1次転写部51と中間転写ベルト50との相対的な位置関係を維持することができ、中間転写ベルト50に対する1次転写部51の圧接状態が保たれる。その結果、2次転写ニップ部262の面積を変化させても、1次転写部51によって中間転写ベルト50へ転写する画像にずれが生じないようにすることができる。
【0095】
[変形動作処理]
次に、第2の実施の形態に係る中間転写ベルト50の変形動作処理について説明する。
第2の実施の形態に係る中間転写ベルト50の変形動作処理は、第1の実施の形態の変形動作処理(
図5参照)における「2次転写ローラ」を「対向ローラ」に換えたものである。そのため、第2の実施の形態に係る変形動作処理についての詳しい説明は省略する。
【0096】
中間転写ベルト50をニップ部増大状態(
図7A参照)にすると、2次転写部60を通過する用紙の中間転写ベルト50と2次転写ローラ61に挟まれる部分が増大するため、高剛度紙による中間転写ベルト50の跳ね上げを防止することができる。その結果、中間転写ベルト50と高剛度紙との間で放電が起こらないようにして、高剛度紙の後端部に画像の不良が生じないようにすることができる。
【0097】
一方、中間転写ベルト50をニップ部減少状態(
図7B参照)にすると、2次転写部60を通過する用紙の中間転写ベルト50と2次転写ローラ61に挟まれる部分が減少するため、高剛度紙以外の用紙に転写した画像が滲み難くなり、高剛度紙以外の用紙に良好に画像を形成することができる。
【0098】
3.画像形成装置の第3の実施の形態
[画像形成装置の構成例]
次に、画像形成装置の第3の実施の形態の構成例について、
図8を参照して説明する。
図8は、画像形成装置の第3の実施の形態の制御系を示すブロック図である。
【0099】
第3の実施の形態の画像形成装置301は、第1の実施の形態の画像形成装置1(
図1参照)と同様の構成を有している。この画像形成装置301が画像形成装置1と異なる点は、変形機構310である。したがって、ここでは、変形機構310について説明する。
【0100】
[画像形成装置の各部のハードウェア構成]
画像形成装置301の変形機構310は、転写前ローラ53(
図9参照)と、この転写前ローラ53を移動させる転写前ローラ移動部311と、テンションローラ54と、このテンションローラ54を移動させるテンションローラ移動部72から構成されている。
図7に示すように、転写前ローラ移動部311は、CPU101にシステムバス107を介して接続されている。
【0101】
転写前ローラ移動部311は、CPU101により駆動制御され、鉛直方向へ転写前ローラ53を移動させる。この転写前ローラ移動部311は、転写前ローラ53を保持する保持部(不図示)と、保持部を移動可能に支持する支持部と、保持部を移動させる移動機構を備える。移動機構としては、第1の実施の形態の2次転写ローラ移動部71の移動機構と同様の構成を採用することができる。
【0102】
[中間転写ベルトの変形動作]
次に、変形機構310による中間転写ベルト50の変形動作について、
図9A及び
図9Bを参照して説明する。
図9A及び
図9Bは、画像形成装置301に係る中間転写ベルト50の変形動作を示す説明図である。
【0103】
変形機構310は、中間転写ベルト50の全周の長さを保持しながら、中間転写ベルト50の1次転写部51に接触する領域以外の領域を変形させる。具体的には、変形機構310の転写前ローラ53及びテンションローラ54が移動することで、中間転写ベルト50の1次転写部51に接触する直線状の領域以外の領域を変形させる。
【0104】
つまり、変形機構310は、中間転写ベルト50における、中間転写ベルト50の回転方向の最上流に配置された1次転写部51の接触する部分よりも上流であって、最下流に配置された1次転写部51に接触する部分よりも下流の領域を変形させる。これにより、2次転写ニップ部362の大きさが変化する。
【0105】
転写前ローラ53は、1次転写部51から遠ざかる第1の位置(
図9A参照)と1次転写部51に近づく第2の位置(
図9B参照)との間を移動する。転写前ローラ53が第1の位置に配置された場合は、転写前ローラ53が第2の位置に配置された場合よりも2次転写ニップ部362の面積が大きくなる。
【0106】
転写前ローラ53は、第1の位置(
図9A参照)に配置されると、中間転写ベルト50を押圧する。これにより、中間転写ベルト50の全周における下側の長さは、転写前ローラ53が第2の位置(
図9B参照)に配置される場合よりも長くなる。したがって、転写前ローラ53が第1の位置に配置されると、テンションローラ54を下方位置に配置して、テンションローラ54が上方位置に配置される場合よりも、中間転写ベルト50の全周における上側の長さを短くする。これにより、中間転写ベルト50の全周の長さが一定に保たれる。
以下、転写前ローラ53が第1の位置に配置されると共に、テンションローラ54が下方位置に配置され、2次転写ニップ部362の面積が大きくなったときの中間転写ベルト50の状態(
図9Aに示す状態)を、ニップ部増大状態とする。
【0107】
一方、転写前ローラ53が第2の位置に配置されると、転写前ローラ53が第1の位置に配置される場合よりも、中間転写ベルト50の全周における下側の長さが短くなる。したがって、転写前ローラ53が第2の位置に配置されると、テンションローラ54を上方位置に配置して、テンションローラ54が下方位置に配置される場合よりも、中間転写ベルト50の全周における上側の長さを長くする。これにより、中間転写ベルト50の全周の長さが一定に保たれる。
以下、転写前ローラ53が第2の位置に配置されると共に、テンションローラ54が上方位置に配置され、2次転写ニップ部362の面積が小さくなったときの中間転写ベルト50の状態(
図9Bに示す状態)を、ニップ部減少状態とする。
【0108】
第3の実施の形態の変形機構310は、第1及び第2の実施の形態の変形機構70,210と同様に、中間転写ベルト50の全周の長さを一定の長さに保持する。これにより、1次転写部51と中間転写ベルト50との相対的な位置関係を維持することができ、中間転写ベルト50に対する1次転写部51の圧接状態が保たれる。その結果、2次転写ニップ部362の面積を変化させても、1次転写部51によって中間転写ベルト50へ転写する画像にずれが生じないようにすることができる。
【0109】
[変形動作処理]
次に、第3の実施の形態に係る中間転写ベルト50の変形動作処理について説明する。
第3の実施の形態に係る中間転写ベルト50の変形動作処理は、第1の実施の形態の変形動作処理(
図5参照)における「2次転写ローラ」を「転写前ローラ」に換えたものである。そのため、第3の実施の形態に係る変形動作処理についての詳しい説明は省略する。
【0110】
中間転写ベルト50をニップ部増大状態(
図9A参照)にすると、2次転写部60を通過する用紙の中間転写ベルト50と2次転写ローラ61に挟まれる部分が増大するため、高剛度紙による中間転写ベルト50の跳ね上げを防止することができる。その結果、中間転写ベルト50と高剛度紙との間で放電が起こらないようにして、高剛度紙の後端部に画像の不良が生じないようにすることができる。
【0111】
一方、中間転写ベルト50をニップ部減少状態(
図9B参照)にすると、2次転写部60を通過する用紙の中間転写ベルト50と2次転写ローラ61に挟まれる部分が減少するため、高剛度紙以外の用紙に転写した画像が滲み難くなり、高剛度紙以外の用紙に良好に画像を形成することができる。
4.画像形成装置の第4の実施の形態
[画像形成装置の構成例]
次に、画像形成装置の第4の実施の形態について、
図10及び
図11を参照して説明する。
図10は、画像形成装置の第4の実施の形態の制御系を示すブロック図である。
図11A及び
図11Bは、画像形成装置の第4の実施の形態に係る中間転写ベルトの変形動作を示す説明図である。
【0112】
第4の実施の形態の画像形成装置401は、第1の実施の形態の画像形成装置1(
図1参照)と同様の構成を有している。この画像形成装置401が画像形成装置1と異なる点は、変形機構410である。したがって、ここでは、変形機構410について説明する。
【0113】
[画像形成装置の各部のハードウェア構成]
画像形成装置401の変形機構410は、転写前ローラ53(
図11参照)と、この転写前ローラ53を回動させる転写前ローラ回動部411と、補助ローラ55(
図11参照)から構成されている。
図10に示すように、転写前ローラ回動部411は、CPU101にシステムバス107を介して接続されている。
【0114】
図11に示すように、補助ローラ55は、中間転写ベルト50の回転方向の最下流に配置された1次転写部51と転写前ローラ53との間に配置されている。この補助ローラ55は、中間転写ベルト50の内周部に接触しており、回転可能な状態で支持部材(不図示)に固定支持されている。
【0115】
転写前ローラ回動部411は、CPU101により駆動制御され、転写前ローラ53の回転軸と平行な回動軸を中心に転写前ローラ53を回動させる。この転写前ローラ回動部411は、補助ローラ55が接触する部分から対向ローラ52が接触する部分までの中間転写ベルト50の長さを一定に保持しながら、転写前ローラ53を回動させる。
【0116】
転写前ローラ回動部411は、転写前ローラ53を保持する保持部(不図示)と、保持部を回動可能に支持する支持部と、保持部を回動させる移動機構を備える。移動機構としては、例えば、モータと、このモータの回転力を保持部に伝達するギヤ列から構成することができる。
【0118】
変形機構410は、中間転写ベルト50における、補助ローラ55が接触する部分から対向ローラ52が接触する部分までの領域を変形させる。これにより、中間転写ベルト50が2次転写ローラ61に接触する面積が変わるので、2次転写ニップ部462の大きさが変化する。
【0119】
転写前ローラ53は、2次転写ローラ61に近づく第1の位置(
図11A参照)と2次転写ローラ61から遠ざかる第2の位置(
図11B参照)との間を移動する。転写前ローラ53が第1の位置に配置された場合は、転写前ローラ53が第2の位置に配置された場合よりも2次転写ニップ部462の面積が大きくなる。
【0120】
以下、転写前ローラ53が第1の位置に配置され、2次転写ニップ部462の面積が大きくなったときの中間転写ベルト50の状態(
図11Aに示す状態)を、ニップ部増大状態とする。また、転写前ローラ53が第2の位置に配置され、2次転写ニップ部462の面積が小さくなったときの中間転写ベルト50の状態(
図11Bに示す状態)を、ニップ部減少状態とする。
【0121】
変形機構410は、中間転写ベルト50の全周の長さを一定の長さに保持する。これにより、1次転写部51と中間転写ベルト50との相対的な位置関係を維持することができ、中間転写ベルト50に対する1次転写部51の圧接状態が保たれる。その結果、2次転写ニップ部462の面積を変化させても、1次転写部51によって中間転写ベルト50へ転写する画像にずれが生じないようにすることができる。
【0122】
[変形動作処理]
次に、第4の実施の形態に係る中間転写ベルト50の変形動作処理について説明する。
第4の実施の形態に係る中間転写ベルト50の変形動作処理は、第1の実施の形態の変形動作処理(
図5参照)における「2次転写ローラ」を「転写前ローラ」に換えて、ステップS5及びステップS8を削除したものである。そのため、第4の実施の形態に係る変形動作処理についての詳しい説明は省略する。
【0123】
中間転写ベルト50をニップ部増大状態(
図11A参照)にすると、2次転写部60を通過する用紙の中間転写ベルト50と2次転写ローラ61に挟まれる部分が増大するため、高剛度紙による中間転写ベルト50の跳ね上げを防止することができる。その結果、中間転写ベルト50と高剛度紙との間で放電が起こらないようにして、高剛度紙の後端部に画像の不良が生じないようにすることができる。
【0124】
一方、中間転写ベルト50をニップ部減少状態(
図11B)にすると、2次転写部60を通過する用紙の中間転写ベルト50と2次転写ローラ61に挟まれる部分が減少するため、高剛度紙以外の用紙に転写した画像が滲み難くなり、高剛度紙以外の用紙に良好に画像を形成することができる。
【0125】
5.変形例
以上、画像形成装置の実施の形態について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明の画像形成装置は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0126】
上述の第1〜第4の実施の形態では、高剛度紙に画像を形成する場合に中間転写ベルト50をニップ部増大状態にして、高剛度紙以外の用紙に画像を形成する場合に中間転写ベルト50をニップ部減少状態にした。しかし、本発明に係る中間転写体の変形は、2段階に限定されず、用紙の剛度に応じて3段階以上に変形するものであってもよい。
例えば、剛度300未満の用紙と、剛度300以上で剛度400未満の用紙と、剛度400以上の用紙に分類して、それぞれの場合に応じた形に中間転写体を変形させる。このとき、剛度400以上の用紙に画像を形成する場合の2次転写ニップ部の面積を一番大きくし、剛度300未満の用紙に画像を形成する場合の2次転写ニップ部の面積を一番小さくする。
【0127】
また、上述した第1〜第4の実施の形態では、2次転写ローラ61、対向ローラ52、転写前ローラ53のいずれかを移動させて、中間転写体を変形させ、2次転写ニップ部の面積を変化させた。しかし、本発明に係る画像形成装置としては、2次転写ローラ61、対向ローラ52、転写前ローラ53のうちの2つ以上のローラを移動させて、中間転写体を変形させ、2次転写ニップ部の面積を変化させてもよい。
また、本発明に係る変形機構としては、2次転写ローラ61、対向ローラ52、転写前ローラ53以外の部材で中間転写体を変形させ、2次転写ニップ部の面積を変化させるものであってもよい。
【0128】
また、上述した第1〜第4の実施の形態では、用紙Sが2次転写部60に進入する前に、中間転写ベルト50の変形動作を終了させた。しかし、本発明に係る中間転写体の変形動作は、用紙の後端部、つまり、用紙における中間転写体との間に空隙が発生する領域が、2次転写ニップ部に進入する前までに終了していればよい。すなわち、用紙の先端側が2次転写ニップ部に進入した後に、中間転写体の変形動作が終了してもよい。
【0129】
また、上述した第1〜第4の実施の形態では、温度計78及び湿度計79によって検出した温度及び相対湿度が所定値以下であるときに、中間転写ベルト50をニップ部増大状態にした。しかし、本発明に係る中間転写体の変形動作処理としては、用紙の剛度のみに応じて中間転写体の変形動作を行ってもよい。
【0130】
また、上述の第1〜第4の実施の形態では、温度計78及び湿度計79によって画像形成装置の外部の温度及び相対湿度を検出した。しかし、本発明に係る温度計及び湿度計としては、画像形成装置の内部の温度及び相対湿度を検出するものであってもよい。
【0131】
また、上述の第1〜第4の実施の形態では、カラー画像を形成する画像形成装置を例に挙げて説明したが、本発明の画像形成装置としては、単色の画像を形成するものであってもよい。なお、単色の画像を形成する画像形成装置では、1次転写部が1つになる。