特許第5987334号(P5987334)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5987334
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】情報設定システム及び保守管理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20160825BHJP
   G06Q 50/00 20120101ALI20160825BHJP
【FI】
   G07D9/00 456B
   G06F17/60
【請求項の数】4
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2012-21175(P2012-21175)
(22)【出願日】2012年2月2日
(65)【公開番号】特開2013-84234(P2013-84234A)
(43)【公開日】2013年5月9日
【審査請求日】2014年8月15日
(31)【優先権主張番号】特願2011-211213(P2011-211213)
(32)【優先日】2011年9月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100090620
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 宣幸
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】山崎 辰士
【審査官】 望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−078397(JP,A)
【文献】 特開2007−172443(JP,A)
【文献】 特開平11−259729(JP,A)
【文献】 特開2002−342811(JP,A)
【文献】 特開2005−202707(JP,A)
【文献】 特開2002−163705(JP,A)
【文献】 特開2007−207032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00
G06Q 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の自動取引装置のそれぞれが、
少なくとも、当該自動取引装置が金融システムで実行する搭載機能の実行に必要な特定項目情報を記憶する項目情報記憶手段を備え、
保守管理装置が、
上記各自動取引装置の収納部への現金補充状況を、上記各自動取引装置の装置識別情報に対応付けて管理する保守情報管理手段と、
上記保守情報管理手段を参照して、所定期間における収納部への現金補充回数が閾値を超えた場合に、保守に係る上記特定項目情報の項目内容を変更し、その変更後の項目内容を含む変更指示情報を生成する変更指示情報生成手段と、
上記変更指示情報生成手段による生成された上記変更指示情報を、対応する自動取引装置に送信する変更指示送信手段と
を備え、
上記各自動取引装置は、上記変更指示情報を受信すると、上記項目情報記憶手段に記憶される上記保守に係る特定項目情報を、受信された上記変更指示情報に含まれる変更後の項目内容に設定変更する情報設定手段を備え、
上記保守に係る特定項目情報が収納部のニアエンド枚数の設定値である場合であって、
上記各自動取引装置は、自身が有する収納部の収納枚数が上記ニアエンド枚数の設定値に達したときに、上記ニアエンド枚数の設定値に達した旨を上記保守管理装置に送信する送信手段を備え、
上記保守管理装置は、
上記自動取引装置から上記ニアエンド枚数の設定値に達した旨を取得すると、上記ニアエンド枚数の設定値に達したことを当該自動取引装置の保守情報として上記保守情報管理手段に記憶する保守情報取得手段と、
上記保守情報管理手段を参照して、上記各自動取引装置の収納部の現金補充回数と閾値とを比較して、上記各自動取引装置の上記ニアエンド枚数の設定値の設定変更が必要か否かを判断する変更対象判断手段と
を更に備える
ことを特徴とする情報設定システム。
【請求項2】
上記保守管理装置は、
上記変更対象判断手段が上記ニアエンド枚数の設定値の設定変更が必要であると判断したときに、当該自動取引装置における利用特性を考慮して上記ニアエンド枚数の変更値を求める変更値算出手段を更に備え、
変更指示送信手段が、上記変更値算出手段により求められた上記ニアエンド枚数の変更値を含む変更指示情報を、対応する自動取引装置に送信し、
上記自動取引装置は、
上記情報設定手段が、上記項目情報記憶手段に記憶される上記ニアエンド枚数の設定値を、受信された上記変更指示情報に含まれる上記ニアエンド枚数の変更値に設定変更する
ことを特徴とする請求項に記載の情報設定システム。
【請求項3】
少なくとも上記各自動取引装置の上記特定項目情報を、上記各自動取引装置の装置識別情報に対応付けて管理する情報管理手段を有する管理サーバを更に備え、
上記自動取引装置は、上記情報設定手段が上記項目情報記憶手段における上記特定項目情報を設定変更後に、上記送信手段が変更実施情報を上記管理サーバに送信し、
上記管理サーバは、上記変更実施情報を受信すると、上記情報管理手段に記憶される上記保守に係る特定項目情報を、変更後の項目内容に更新するものであることを特徴とする請求項又はに記載の情報設定システム。
【請求項4】
複数の自動取引装置の収納部への現金補充状況を、上記各自動取引装置の装置識別情報に対応付けて管理する保守情報管理手段と、
上記保守情報管理手段を参照して、所定期間における収納部への現金補充回数が閾値を超えた場合に、保守に係る特定項目情報の項目内容を変更し、その変更後の項目内容を含む変更指示情報を生成する変更指示情報生成手段と、
上記変更指示情報生成手段による生成された上記変更指示情報を、対応する自動取引装置に送信する変更指示送信手段と
上記保守に係る特定項目情報が収納部のニアエンド枚数の設定値である場合であって、
上記自動取引装置からニアエンド枚数の設定値に達した旨を取得すると、上記ニアエンド枚数の設定値に達したことを当該自動取引装置の保守情報として上記保守情報管理手段に記憶する保守情報取得手段と、
上記保守情報管理手段を参照して、上記各自動取引装置の収納部の現金補充回数と閾値とを比較して、上記各自動取引装置の上記ニアエンド枚数の設定値の設定変更が必要か否かを判断する変更対象判断手段と
を備えることを特徴とする保守管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報設定システム及び保守管理装置に関するものである。例えば、本発明は、自動取引装置の新設又は更改等の際に、自動取引装置の固有情報を設定するシステム及び保守管理装置に適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、銀行等の金融機関や、駅やコンビニエンスストア等には、自動取引装置が設置されている。自動取引装置には、金融機関が管理する管理サーバとの間で取引を行なうアプリケーションプログラムの他に、システムで自動取引装置を特定する情報や、自動取引装置の搭載機能の実行に必要な情報など、様々な情報が設定されている。
【0003】
従って、新たに自動取引装置を新設する場合や、古い機種から新しい機種の自動取引装置に更改するような場合には、自動取引装置に新たに情報を設定することが必要となる。
【0004】
従来、自動取引装置に情報を設定する一般的な方法は、自動取引装置を設置する前に、作業者等が、各自動取引装置にそれぞれ必要な情報を、1台ずつ設定入力することを行なっている。
【0005】
また、特許文献1には、開局後に、自動取引装置に固有の情報の設定し忘れ等を確認するために、センタが、開局後に自動取引装置の移設を検知し、その検知された自動取引装置に固有情報を設定又はクリアすることが記載されている。
【0006】
特許文献2には、自動取引装置の紙幣カセット(スタッカ)内の紙幣不足や満杯になり必要となる保守回数の最適化のために、自動取引装置に搭載される紙幣取扱装置が、保守回数の履歴を記憶し、保守回数が閾値を上回った場合に、操作パネルに動作設定の変更指示を表示することが記載されている。
【0007】
特許文献3には、保守回収の最適化のために、自動取引装置の収納部(スタッカ)内の収納量がニアエンド状態又はニアフル状態になるかを図形表示することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−259462号公報
【特許文献2】特開2005−202707号公報
【特許文献3】特開平7−152940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述したように、1台ずつの手入力により設定する方法は、作業者等の負担が大きく、又設定情報の入力ミスも生じ得る。
【0010】
また、特許文献1の記載技術は、開局したときに、センタが自動取引装置を検知し、センタがその自動取引装置に設定情報を送信するものである。しかし、開局時以外に、例えば、新たな機種に更改する場合又は設定内容を変更する場合には、特許文献1の記載技術を適用することができない。そのため、自動取引装置を更改する場合や設定内容を変更する場合等、任意のタイミングで、自動取引装置に情報を設定できるようにすることが強く望まれている。
【0011】
さらに、特許文献1の記載技術は、1台ずつ自動取引装置の固有情報を設定又はクリアにするというものである。しかし、例えば、複数の自動取引装置が設置されている地域や場所等のグループ単位で一括して設定変更を行なうことができない。そのため、所定のグループ単位で一括して設定変更できるようにすることが望まれている。
【0012】
また、スタッカへの現金補充は保守を行う作業者に依頼して行うことがあり、現金補充に係る手間だけでなくコストもかかる。近年、自動取引装置は、金融機関の店舗内にとどまらず、駅、コンビニエンスストア、又遊園地やショッピングセンターなどの娯楽施設内など広い地域に亘って数多く設置されているので、現金補充に係る手間及びコストを抑えることが強く望まれる。
【0013】
特許文献2及び特許文献3の記載技術は、いずれも自動取引装置のスタッカに収納される現金の不足等に伴う保守回数を最適化するものである。例えば、スタッカのニアエンド枚数が閾値に達したときに、その旨を表示して、現金補充等の保守をさせる。
【0014】
しかし、例えばニアエンド枚数等の設定についても、上記と同様に、作業者が手作業で行っており、十分に最適な値に設定できていないことがある。
【0015】
例えば、自動取引装置が都市中心部にある場合と都市郊外部にある場合で、ニアエンド枚数の設定値は異なり得る。なぜなら、都市中心部と都市郊外部とでは、自動取引装置の利用頻度が異なりことがあり、又平日、休日等によっても異なることがある。利用頻度が低いときには、現金補充回数を大幅に低減させることができるが、利用頻度が高いときには、現金補充回数の低減幅は小さくなる。このように、現金補充回数を低減しようとしても、自動取引装置が置かれている場所や地域での利用状況によって異なり得る。
【0016】
また例えば、給料日や月末、又は正月シーズン、クリスマスシーズン等のように多くの利用者が自動取引装置を利用する場合とそうでない場合においても、利用頻度が異なり、利用頻度が低いときには、現金補充回数を大幅に低減させることができるが、利用頻度が高いときには、現金補充回数の低減幅は小さくなる。
【0017】
また、同じ店舗に置かれている自動取引装置であっても、よく利用される自動取引装置と、比較的利用されない自動取引装置とがあるので、比較的利用されないものについて現金補充回数を減らすことが望まれる。
【0018】
このように、それぞれの自動取引装置が設けられている場所や地域、利用状況等によって、設定情報を変更することができることが強く望まれる。
【0019】
そのため、任意のタイミングで設定情報を自動取引装置に設定することができ、又、グループ単位で一括して自動取引装置の設定情報を変更することができる情報設定システム及び保守管理装置が求められている。
【0020】
また、自動取引装置の保守を最適にするために、収納部のニアエンド枚数値等の閾値(設定情報)の設定・変更を行うことができる情報設定システム及び保守管理装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
かかる課題を解決するために、第1の本発明は、(1)複数の自動取引装置のそれぞれが、(1−1)少なくとも、当該自動取引装置が金融システムで実行する搭載機能の実行に必要な特定項目情報を記憶する項目情報記憶手段を備え、(2)保守管理装置が、(2−1)各自動取引装置の収納部への現金補充状況を、各自動取引装置の装置識別情報に対応付けて管理する保守情報管理手段と、(2−2)保守情報管理手段を参照して、所定期間における収納部への現金補充回数が閾値を超えた場合に、保守に係る特定項目情報の項目内容を変更し、その変更後の項目内容を含む変更指示情報を生成する変更指示情報生成手段と、(2−3)変更指示情報生成手段による生成された変更指示情報を、対応する自動取引装置に送信する変更指示送信手段とを備え、各自動取引装置は、(1−2)変更指示情報を受信すると、項目情報記憶手段に記憶される保守に係る特定項目情報を、受信された変更指示情報に含まれる変更後の項目内容に設定変更する情報設定手段を備え、保守に係る特定項目情報が収納部のニアエンド枚数の設定値である場合であって、各自動取引装置は、(1−3)自身が有する収納部の収納枚数がニアエンド枚数の設定値に達したときに、ニアエンド枚数の設定値に達した旨を保守管理装置に送信する送信手段を備え、保守管理装置は、(2−4)自動取引装置からニアエンド枚数の設定値に達した旨を取得すると、ニアエンド枚数の設定値に達したことを当該自動取引装置の保守情報として保守情報管理手段に記憶する保守情報取得手段と、(2−5)保守情報管理手段を参照して、各自動取引装置の収納部の現金補充回数と閾値とを比較して、各自動取引装置のニアエンド枚数の設定値の設定変更が必要か否かを判断する変更対象判断手段とを更に備えることを特徴とする情報設定システムである。
【0023】
第4の本発明は、(1)複数の自動取引装置の収納部への現金補充状況を、各自動取引装置の装置識別情報に対応付けて管理する保守情報管理手段と、(2)保守情報管理手段を参照して、所定期間における収納部への現金補充回数が閾値を超えた場合に、保守に係る特定項目情報の項目内容を変更し、その変更後の項目内容を含む変更指示情報を生成する変更指示情報生成手段と、(3)変更指示情報生成手段による生成された変更指示情報を、対応する自動取引装置に送信する変更指示送信手段と、(4)保守に係る特定項目情報が収納部のニアエンド枚数の設定値である場合であって、自動取引装置からニアエンド枚数の設定値に達した旨を取得すると、ニアエンドの設定値に達したことを当該自動取引装置の保守情報として保守情報管理手段に記憶する保守情報取得手段と、(5)保守情報管理手段を参照して、各自動取引装置の収納部の現金補充回数と閾値とを比較して、各自動取引装置のニアエンド枚数の設定値の設定変更が必要か否かを判断する変更対象判断手段とを備えることを特徴とする保守管理装置である。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、自動取引装置の新設又は更改を行なう場合に、任意のタイミングで設定情報を自動取引装置に設定することができ、又、グループ単位で一括して自動取引装置の設定情報を変更することができる。また、本発明によれば、自動取引装置の保守を最適にするために、スタッカのニアエンド枚数等の設定情報の設定変更を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】第1の実施形態に係る金融ネットワークの全体構成を示す全体構成図である。
図2】第1の実施形態に係る自動取引装置の機能を実行する際に必要な情報の項目例を説明する説明図である。
図3】第1の実施形態に係る自動取引装置の制御部により実現される主な機能を示す機能ブロック図である。
図4】第1の実施形態に係る管理サーバの制御部により実現される主な機能を示す機能ブロック図である。
図5】第1の実施形態に係る自動取引装置を更改するときの情報設定処理を示すシーケンス図である。
図6】第1の実施形態に係る設定選択画面の一例を示す説明図である。
図7】第1の実施形態に係る自動取引装置を新設したときの情報設定処理を示すシーケンス図である。
図8】第1の実施形態に係る自動取引装置に搭載のハードディスクを交換したときの情報設定処理を示すシーケンス図である。
図9】第1の実施形態に係る複数の自動取引装置の設定情報を一括変更処理する場合の情報設定処理を示すシーケンス図である。
図10】第2及び第3の実施形態に係る金融ネットワークの全体構成を示す全体構成図である。
図11】第2の実施形態の装填管理システムの制御部により実現される主な機能を示す機能ブロック図である。
図12】第2の実施形態の装填管理データベースの構成例を示す構成図である。
図13】第2の実施形態の管理サーバの制御部により実現される主な機能を示す機能ブロック図である。
図14】第2の実施形態に係るニアエンド情報の設定値の設定変更処理を示すシーケンス図である。
図15】第3の実施形態の装填管理システムの制御部により実現される主な機能を示す機能ブロック図である。
図16】第3の実施形態に係るニアエンド情報の設定値の設定変更処理を示すシーケンス図である。
図17】変形実施形態に係る金融ネットワークの全体構成を示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(A)第1の実施形態
以下では、本発明の情報設定システム及び保守管理装置の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0033】
第1の実施形態では、例えば、金融機関が管理する金融システムに、本発明を適用する場合を例示する。
【0034】
(A−1)第1の実施形態の構成
(A−1−1)全体構成
図1は、第1の実施形態に係る金融ネットワークの全体構成を示す全体構成図である。
【0035】
図1において、実施形態に係る金融ネットワーク10は、ネットワーク3を介して、管理サーバ1、複数台の自動取引装置2−1〜2−n(nは正の整数)を有して構成される。なお、以下では、自動取引装置全体の構成を説明するときには、自動取引装置2と表記して説明する。
【0036】
ネットワーク3は、管理サーバ1と自動取引装置2との間でデータを伝送する通信網であり、例えば、専用回線からなる有線網を適用することができる。なお、ネットワーク3は、専用回線に限定されるものではなく公衆回線からなるものであってもよいし、無線回線を含む通信網であってもよい。
【0037】
管理サーバ1は、銀行等の金融機関が運用・管理するサーバである。管理サーバ1は、ネットワーク3を通じて、自動取引装置2からの取引情報に基づいて取引処理を行なったり、又は、新設若しくは更改等がなされた自動取引装置2からの要求を受けると、当該自動取引装置2に設定する情報を当該自動取引装置に与えたりするものである。
【0038】
自動取引装置2(2−1〜2−n)は、金融取引を希望するユーザが利用する自動取引装置である。自動取引装置2は、新設又は更改等する場合に、管理サーバ1に対して設定情報を要求し、管理サーバ1から受信した情報を自装置に設定するものである。
【0039】
なお、自動取引装置2は、一般的なATMを想定して説明するが、例えば、残高照会装置、記帳装置等にも適用することができる。また、自動取引装置2は、例えば、銀行等の金融機関、駅やコンビニエンスストアなどに設けることができる。また、本実施形態における「更改」は、古い機種から新たな機種に装置を入れ替える(リプレース)する場合や、装置を他の場所に移して設置する場合である「移設」も含むこととする。
【0040】
(A−1−2)自動取引装置2の詳細な構成
図1に示すように、自動取引装置2は、制御部21、通信部22、設定情報記憶部23を少なくとも有するものである。
【0041】
設定情報記憶部23は、自動取引装置2のアドレス情報と、管理サーバ1から受信した当該自動取引装置2に設定が必要な情報とを記憶するものである。
【0042】
図2は、自動取引装置2に設定が必要な項目例を説明する説明図である。
【0043】
図2において、自動取引装置2に設定が必要な情報項目は、大別して、共通項目情報と、特定項目情報とに分けることができる。
【0044】
ここで、共通項目情報は、例えば、金融システムにおいて各自動取引装置を特定する情報及び金融システムで共通機能の実行に必要な情報を含むものである。共通項目情報は、例えば、製造メーカや機種等に特有の機能に影響されるものではなく、金融システムにおいて共通の項目情報である。
【0045】
また、特定項目情報は、例えば、製造メーカや機種等により特有の搭載機能の実行に必要な情報である。
【0046】
共通項目情報について簡単に説明する。「本支店番号」は、自動取引装置2が設置されている金融機関の本支店番号を示す。「端末機番」は、当該金融機関内において自動取引装置2に採番された番号を示す。「入金取引硬貨」や「出金取引硬貨」は、硬貨入金や硬貨出金の取引を許可するか休止するか停止させるかの設定を行うものである。つまり、例えば「入金取引硬貨」の設定が休止又は停止と設定された場合、自動取引装置2に硬貨ユニットが備えられていたとしても、当該自動取引装置2では硬貨の入金取引を行えないようにする。「本支店番号」、「端末機番」、「入金取引硬貨」、「出金取引硬貨」は、各自動取引装置2毎に個別に異なる情報が設定されるものである。また、「設定モード」や「本支店名」は、自動取引装置2の設置地域や設置場所に応じて設定されるものである。これらに対して、「電子ジャーナル保存期間」は、自動取引装置2が電子ジャーナルを保存する期間を示すものであり、全ての自動取引装置2に共通して設定されるものである。上記のように、共通項目情報は、金融システムにおいて自動取引装置2を特定する情報及び金融システムで共通機能の実行に必要な情報が含まれている。
【0047】
特定項目情報の一部について簡単に説明する。例えば、「予熱時間」は、自動取引装置2を起動後、予熱する時間を示す。「予熱時間」は、自動取引装置2の設置地域や設置場所等によって異なる。例えば、沖縄等の暖かい地域の場合には温暖であるため予熱時間が短くてよいが、北海道等のように寒い地域の場合には沖縄等の場合に比べて予熱時間を長くする必要があり、又例えば、常に陽の当たる場所と陽の当たらない場所とによっても、同様に予熱時間の設定情報が異なる。このように「予熱時間」は、場所・地域や、時期等に応じて変更することが望まれる。
【0048】
また別の例として、「スピーカー:音声」は、前面スピーカーから出力される音声の音量を示す。この「スピーカー:音声」も、例えば、高速道路付近に設置される場合と、閑静な住宅街に設置される場合とでは、設置される環境に応じて出力音量が異なるため、その設定情報の値が異なる。つまり、自動取引装置2の設置地域や設置場所に応じて設定されるものである。
【0049】
また別の例として、「Aスタッカニアフル枚数」は、万券スタッカに充填される万券のニアフル枚数を示す。この「Aスタッカニアフル枚数」も、例えば、商業施設内に設置される場合と、比較的人口が少ない地域に設置される場合とでは、自動取引装置2の利用頻度が異なるため、その設定情報の値が異なる。
【0050】
このように、特定項目情報は、全ての自動取引装置2に共通して設定することができないものであって、例えば自動取引装置2の製造メーカや機種等に応じて、適宜設定することが必要な情報である。
【0051】
次に、自動取引装置2のアドレス情報について説明する。自動取引装置2のアドレス情報は、例えば、金融ネットワーク10におけるIPアドレス等の通信アドレスを適用することができる。
【0052】
このアドレス情報は、例えば、工場等で自動取引装置2が製造される際に記憶(設定)されるものである。すなわち、従来の場合、工場等において、アドレス情報も含め、搭載機能の実行に必要な全ての情報を、自動取引装置2に設定することが必要であった。しかし、この実施形態によれば、自動取引装置2に記憶する情報は、アドレス情報のみでよい。これにより、工場等における作業者の負担を軽減することができ、又設定情報の入力ミスもなくすことができる。
【0053】
制御部21は、自動取引装置2全体の機能を司るものである。例えば、制御部21は、CPU、RAM、ROM、EEPROM、入出力インタフェース等を有する装置からなるものであり、CPUが、ROMに格納される処理プログラムを実行することにより、自動取引装置2の機能が実現される。
【0054】
図3は、制御部21により実現される主な機能を示す機能ブロック図である。図3に示すように、制御部21は、設定選択表示部211、設定要求部212、情報取得部213、設定処理部214を少なくとも有するものである。
【0055】
設定選択表示部211は、自動取引装置2に設定情報を設定する際に、設定選択画面を自動取引装置2の図示しない表示部に表示するものである。例えば、自動取引装置2は、保守員等が操作する操作部(又は操作端末)を有しており、操作部を通じて、自動取引装置2に設定情報を設定する際に、設定選択表示部211は、設定選択画面を操作部の表示部に表示する。
【0056】
例えば、設定選択画面は、設定種別等を選択することができる。ここで、設定種別は、金融ネットワーク10の運用に応じて種々の種別を設定することができる。
【0057】
例えば、この実施形態では、新設された自動取引装置2に対して情報を設定する「新設設定」、既設の自動取引装置2に搭載のハードディスクの故障等が生じ、ハードディスクの交換に伴い情報を設定する「HDD交換」、例えば機種変更等により、既存の自動取引装置2−1から新たな自動取引装置2−2に更改するときに情報を設定する「更改変更」等がある。
【0058】
設定要求部212は、自動取引装置2のアドレス情報を送信元情報とし、設定種別情報を含む設定要求信号を、管理サーバ1に送信させるものである。
【0059】
情報取得部213は、ネットワーク3を介して、管理サーバ1から送信された自動取引装置2に設定すべき情報を取得するものである。
【0060】
設定処理部214は、情報取得部213により取得された情報を、設定情報記憶部23に記憶するものである。
【0061】
図1に示す通信部22は、ネットワーク3との間で情報の授受を行なうものである。通信部22の通信プロトコルは、特に限定されるものではなく、種々のプロトコルを広く適用することができる、例えば、TCP/IPを適用することができる。
【0062】
(A−1−3)管理サーバの詳細な構成
図1に示すように、管理サーバ1は、制御部11、通信部12、設定情報データベース13を少なくとも有する。
【0063】
設定情報データベース13は、自動取引装置2のアドレス情報と、当該自動取引装置2に設定すべき情報とを対応付けて記憶させたものである。例えば、新設又は更改する自動取引装置2に設定すべき情報は、新設又は更改する前に、設定情報データベース13に設定しておく。
【0064】
制御部11は、管理サーバ1全体の機能を司るものである。例えば、制御部11は、CPU、RAM、ROM、EEPROM、入出力インタフェース等を有する装置からなるものであり、CPUが、ROMに格納される処理プログラムを実行することにより、管理サーバ1の機能が実現される。
【0065】
図4は、制御部11により実現される主な機能を示す機能ブロック図である。図4において、制御部11は、設定要求解析部111、新設設定部112、更改変更部113、一括変更部114、設定情報送信部115を有する。
【0066】
設定要求解析部111は、ネットワーク3を介して、自動取引装置2からの設定要求信号の内容を解析するものである。
【0067】
設定要求解析部111は、設定要求信号の送信元情報を解析して、設定情報の設定を要求する要求元である自動取引装置2を特定するものである。例えば、設定要求信号には、自動取引装置2のアドレス情報(例えばIPアドレス等)が送信元情報に含まれており、設定要求解析部111は、このアドレス情報を取得し、解析することで、要求元の自動取引装置2を特定することができる。
【0068】
また、設定要求解析部111は、設定要求信号に含まれている設定種別に基づいて、当該自動取引装置2に設定する情報の種別を解析するものである。
【0069】
新設設定部112は、設定種別が「新設設定」又は「HDD交換」である場合、要求元である自動取引装置2に対して情報を設定するものである。新設設定部112は、設定情報検索部31を有する。
【0070】
設定情報検索部31は、設定要求解析部111により解析された要求元のアドレス情報に基づいて、設定情報データベース13から、アドレス情報に対応付けられている設定情報を検索し、その検索された設定情報を設定情報送信部115に与えて、要求元の自動取引装置2に送信させるものである。
【0071】
更改変更部113は、設定種別が「更改変更」である場合、要求元である自動取引装置2に対して情報を設定するものである。更改変更部113は、設定情報検索部32と、情報更新部33とを有する。
【0072】
設定情報検索部32は、設定要求解析部111により解析された要求元のアドレス情報に基づいて、設定情報データベース13から、アドレス情報に対応付けられている設定情報を検索し、その検索された設定情報を設定情報送信部115に与えて、要求元の自動取引装置2に送信させるものである。
【0073】
情報更新部33は、更改する自動取引装置2に設定情報を送信した後、設定情報データベース13に格納されている情報を更新するものである。
【0074】
一括変更部114は、管理者等の操作により「一括変更」が指定された場合に、指定された項目の内容変更を行ない、指定された複数の自動取引装置2に変更後の内容を設定するものである。
【0075】
例えば、管理サーバ1は管理者端末と接続しており、管理者端末から一括変更の要求と一括変更に係る指示内容とを入力した場合、一括変更部114は、入力されたデータに基づいて、一括変更処理を行なうことができる。
【0076】
一括変更部114は、設定対象特定部34と、情報変更部35とを有する。
【0077】
設定対象特定部34は、管理者操作の入力データに基づいて、一括変更の対象とする複数の自動取引装置2を特定するものである。
【0078】
ここで、一括変更の対象の特定の仕方は、種々の態様を広く適用することができる。
【0079】
例えば、設定情報データベース13を参照し、「本支店番号」を指定する方法を適用することができる。この場合、「本支店番号」は金融機関の本支店番号を示しているので、当該金融機関に設置されている全ての自動取引装置2を特定することができる。
【0080】
また例えば、「本支店番号」と「端末機番」とを指定する方法を適用することができる。この場合、その「本支店番号」の金融機関内において、「端末機番」に該当する自動取引装置2を特定することができる。
【0081】
また、他の方法として、例えば市町村や特別区等を指定、又は都道府県を指定する方法も適用することができる。この場合、市町村、特別区、又は都道府県において設置されている全ての自動取引装置2を特定することができる。例えば、「東京都」を指定することにより、東京都内にある全ての自動取引装置2を特定し、一括で情報を変更できる。
【0082】
情報変更部35は、管理者操作の入力データに基づいて、指定された項目の情報内容を変更するものである。
【0083】
設定情報送信部115は、新設設定部112、更改変更部113又は一括変更部114により特定された自動取引装置2に、対応する設定情報を、通信部12を介して送信させるものである。
【0084】
通信部12は、ネットワーク3との間で情報を授受するものである。通信部12の通信プロトコルは、特に限定されるものではなく、種々のプロトコルを広く適用することができる、例えば、TCP/IPを適用することができる。
【0085】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、この実施形態における自動取引装置に設定すべき情報を設定する処理の動作を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0086】
(A−2−1)更改変更処理
図5は、自動取引装置2を更改するときの情報設定処理を示すシーケンス図である。なお、図5では、自動取引装置2−1を撤去し、これに代えて新たに自動取引装置2−2を設置する場合を示し、この自動取引装置2−2に設定すべき情報を設定する場合を示している。
【0087】
まず、自動取引装置2を製造する工場等において、自動取引装置2−2に対してアドレス情報(例えば、IPアドレス等)を割り当て、そのアドレス情報を自動取引装置2−2に予め設定する(S101)。
【0088】
次に、管理サーバ1では、新たに設置する自動取引装置2−2に設定するべき情報と、自動取引装置2−2のアドレス情報とが対応付けられて、設定情報データベース13に登録される(S102)。
【0089】
このとき、撤去する自動取引装置2−1と、新たに設置する自動取引装置2−2との間で設定情報の引き継ぎを行なう必要がある。
【0090】
例えば、図2に示す「共通項目情報」のうち、例えば「本支店番号」や「端末機番」のように個別の自動取引装置を示す情報等は、撤去する自動取引装置2−1に設定していた値と同じ値を自動取引装置2−2に設定する必要がある。管理サーバ1の設定情報データベース13に、撤去する自動取引装置2−1に設定していた値と同じ値を自動取引装置2−2に設定するように登録することで、設定情報の引き継ぎが可能となる。このような設定情報データベース13への登録は、保守員等が手入力で行う。以下、設定情報データベースへの登録方法は同様とする。
【0091】
また例えば、図2に示す「共通項目情報」のうち、例えば「電子ジャーナル保存期間」等のように金融システムで共通に設定する情報等は、全ての装置で共通の値を自動取引装置2−2に設定する必要がある。
【0092】
さらに、図2に示す「特定項目情報」については、新たな自動取引装置2−2が有する機能に応じて、必要な情報が設定される。これは、例えばバージョンアップや機種変更等を行なう場合、撤去する自動取引装置2−1と新たな自動取引装置2−2との有する機能や設定方法等が異なることがあるからである。そこで、「特定項目情報」については、新たな自動取引装置2−2の機能に応じた情報が設定されるものとする。このとき、撤去する自動取引装置2−1に設定した「特定項目情報」については、設定情報データベース13から削除するようにしてもよい。
【0093】
次に、保守員等により、古い自動取引装置2−1が撤去され(S103)、新たな自動取引装置2−2が設置される(S104)。
【0094】
その後、保守員等は、自動取引装置2−2に搭載される保守用の操作部を操作して、当該自動取引装置2−2に設定すべき情報を設定する。このとき、例えば保守員等の認証処理を行ない、認証が成功した場合、設定選択画面が操作部に表示される。
【0095】
図6は、設定選択画面の一例を示す説明図である。図6(A)は、「更改」及び「新設」を選択する場合の保守画面図である。図6(A)に例示するように、保守画面(設定選択画面)は、「設定データを設定します。以下のボタンを選択してください。」等のような案内表示と共に、「更改」選択ボタン41、「新設」選択ボタン42を有する。この動作の場合、保守員等は「更改」選択ボタン41を選択する。すると、図6(B)に例示する「設定ダウンロード」ボタン44が表示される。保守員等は、図6(B)の「設定ダウンロード」ボタン44を選択する(S105)。なお、ここでは図6(A)に例示する保守画面(設定選択画面)において「更改」選択ボタン41を選択した後に図6(B)に例示する「設定ダウンロード」ボタン44を選択するようにしたが、保守画面(設定選択画面)では、図6(A)に例示する画面を表示せずに、図6(B)に例示する「設定ダウンロード」選択ボタン44を保守画面(設定選択画面)に表示して選択させるようにしてもよい。
【0096】
そうすると、自動取引装置2−2は、自動取引装置2−2のアドレス情報を送信元情報とし、設定種別を「更改」とする設定要求信号を、管理サーバ1に送信する(S106)。
【0097】
管理サーバ1では、受信した設定要求信号から、要求元のアドレス情報を取得し、設定情報データベース13から、アドレス情報に対応する設定すべき情報を検索する(S107)。そして、管理サーバ1は、その検索された情報を、要求元の自動取引装置2−2に送信する(S108)。
【0098】
自動取引装置2−2では、管理サーバ1から受信した情報を、設定情報記憶部23に記憶し、自動取引装置2−2の機能を実行するためのデータとして設定する(S109)。
【0099】
これにより、自動取引装置2−2の機能を実行するための設定データを管理サーバ1から取得し、設定することができる。
【0100】
ここで、「Aスタッカニアフル枚数」の設定について具体的に説明する。
【0101】
自動取引装置2−2は、自動取引装置2−2の機能を実行するための設定データ(「Aスタッカニアフル枚数」)を管理サーバ1から取得し、自動取引装置2−2の設定情報記憶部23に記憶する。自動取引装置2−2において、制御部21は、設定情報記憶部23に記憶された「Aスタッカニアフル枚数」のデータに基づいて、自動取引装置2−2の紙幣収納スタッカAの紙幣ニアフル検知を行う。
【0102】
例えば、「Aスタッカニアフル枚数」のデータが「2500枚」であれば、紙幣収納スタッカAに「2500枚」の紙幣が収納された時点で、自動取引装置2−2は、ニアフルであることを上位装置に通知する。また、自動取引装置1は、保守員等が操作する表示部に紙幣収納スタッカAがニアフルになった旨を表示するようにしてもよい。ここで、「上位装置」とは、自動取引装置の状態を監視する装置である。例えば、上位装置は、管理サーバ1や、店舗内の自動取引装置1の状態を監視する店舗内に設けられた監視装置や、複数の店舗に存在する自動取引装置1の状態を監視するエリア毎に設けられた監視装置等が該当する。
【0103】
また例えば、上記の上位装置への通知とは別に又は上位装置への通知に加え、自動取引装置2は、ニアフルを検知すると、その検知した紙幣収納スタッカAの金種(例えば、紙幣収納スタッカAが万券用スタッカの場合、万券)を用いた入金取引の制限を行い、当該紙幣収納スタッカAへの紙幣の収納を制限するようにしてもよい。
【0104】
このとき、自動取引装置2−2が上位装置に上記通知を行う際、自動取引装置2−2は、管理サーバ1にニアフルであることの他に、「本支店番号」、「端末機番」、「紙幣収納スタッカAがニアフルになった枚数(上記の場合は「2500枚」)」等の情報を通知する。この通知をすることにより、ニアフルになりやすい自動取引装置2や、さらにはニアフルになりやすい自動取引装置2の紙幣収納スタッカまでを把握することが出来る。
【0105】
なお、管理サーバ1において、必要であれば、撤去した自動取引装置2−1についての登録情報を、設定情報データベース13から削除する等の更新処理を行なうようにしてもよい。具体的には、自動取引装置2−2で、管理サーバ1から受信した情報を、設定情報記憶部23に記憶し、自動取引装置2−2の機能を実行するためのデータとして設定した(S109)後に、自動取引装置2−2と自動取引装置2−1は「端末機番」が共通していることから、管理サーバ1では、自動取引装置2−2に設定した「端末機番」を基に自動取引装置2−1の設定情報を検索し、削除する。
【0106】
また、上記では「Aスタッカニアフル枚数」の設定について具体的に説明したが、「Aスタッカプレニアエンド枚数」、「Aスタッカニアエンド枚数」、「Bスタッカニアフル枚数」、「Bスタッカプレニアエンド枚数」、「Bスタッカニアエンド枚数」、「硬貨フル枚数」でも同様の処理によりデータを設定し、自動取引装置を運用させる。「Aスタッカニアフル枚数」、「Aスタッカプレニアエンド枚数」、「Aスタッカニアエンド枚数」、「Bスタッカニアフル枚数」、「Bスタッカプレニアエンド枚数」、「Bスタッカニアエンド枚数」、「硬貨フル枚数」を総称して「スタッカ枚数」ともいう。
【0107】
なお、「入金取引硬貨」「出金取引硬貨」が休止又は停止のデータになっている場合は、「硬貨フル枚数」のデータは管理サーバ1から自動取引装置2に送信させないようにしてもよい。
【0108】
また、上記では、紙幣収納スタッカAがニアフルになった場合の動作の一例として、ニアフルになった旨を操作部の表示部に表示することを例示した。しかし、例えば紙幣収納スタッカAがニアエンドになった場合などの場合も、ニアフルの場合と同様に、その旨を操作部の表示部に表示する動作を適用することができる。
【0109】
(A−2−2)新設設定処理
図7は、自動取引装置2を新設したときの情報設定処理を示すシーケンス図である。
【0110】
まず、工場などにおいて、自動取引装置2にアドレス情報(例えば、IPアドレス等)を割り当て、そのアドレス情報を自動取引装置2に予め設定する(S201)。
【0111】
次に、管理サーバ1では、新設する自動取引装置2に設定するべき情報と、自動取引装置2のアドレス情報とが対応付けられて、設定情報データベース13に登録される(S202)。
【0112】
次に、保守員等により、新たな自動取引装置2が設置される(S203)。その後、保守員等は、自動取引装置2に搭載される保守用の操作部を操作して、当該自動取引装置2に設定すべき情報を設定する。このとき、例えば、図6(A)に例示した保守画面(設定選択画面)において、保守員等は、「新設」選択ボタン42を選択し、図6(B)の「設定ダウンロード」ボタン44を選択する(S204)。なお、ここでは図6(A)に例示する保守画面(設定選択画面)において「新設」選択ボタン41を選択した後に図6(B)に例示する「設定ダウンロード」ボタン44を選択するようにしたが、保守画面(設定選択画面)では、図6(A)に例示する画面を表示せずに、図6(B)に例示する「設定ダウンロード」選択ボタン44を保守画面(設定選択画面)に表示して選択させるようにしてもよい。
【0113】
そうすると、自動取引装置2は、自装置のアドレス情報を送信元情報とし、設定種別を「新設設定」とする設定要求信号を、管理サーバ1に送信する(S205)。
【0114】
管理サーバ1では、受信した設定要求信号から、要求元のアドレス情報を取得し、設定情報データベース13から、アドレス情報に対応する設定すべき情報を検索する(S206)。そして、管理サーバ1は、その検索された情報を、要求元の自動取引装置2に送信する(S207)。
【0115】
自動取引装置2では、管理サーバ1から受信した情報を、設定情報記憶部23に記憶し、自動取引装置2の機能を実行するためのデータとして設定する(S208)。これにより、新設する自動取引装置2の機能を実行するための設定データを管理サーバ1から取得し、設定することができる。
【0116】
ここで、「ハンドセット:音声」の設定について具体的に説明する。
【0117】
自動取引装置2の機能を実行するための設定データ(「ハンドセット:音声」)を管理サーバ1から取得し、自動取引装置2の設定情報記憶部23に記憶する。制御部21は、設定情報記憶部23に記憶された「ハンドセット:音声」のデータに基づいて、自動取引装置2に備えられているハンドセットの音量を設定された音量とする。
【0118】
上記では、上記では「ハンドセット:音声」の設定について具体的に説明したが、「ハンドセット:ビープ」、「イヤホン:音声」、「イヤホン:ビープ」、「スピーカー:音声」、「スピーカー:ビープ」、「係員スピーカー:音声」、「係員スピーカー:ビープ」「PC音量」でも同様の処理によりデータを設定し、自動取引装置を運用させる。ここで、「ビープ音」とは自動取引装置などの電子機器が通知のために発する音であり、やや高いブザー音などの発振音をいう。「ハンドセット:音声」、「ハンドセット:ビープ」、「イヤホン:音声」、「イヤホン:ビープ」、「スピーカー:音声」、「スピーカー:ビープ」、「係員スピーカー:音声」、「係員スピーカー:ビープ」「PC音量」を総称して「設定音量」ともいう。
【0119】
(A−2−3)HDD交換処理
図8は、自動取引装置2に搭載のハードディスクを交換したときの情報設定処理を示すシーケンス図である。
【0120】
例えば、自動取引装置2において、ハードディスクの故障等が生じた場合、別の自動取引装置2を新設せず、ハードディスクを交換するようなときがある。このような事象が生じた場合、まず、保守員等により、ハードディスクが交換される(S301)。
【0121】
次に、保守員等により、当該自動取引装置2のアドレス情報が設定される(S302)。このアドレス情報の設定は、例えば、保守員等が、保守用の操作部を操作することでアドレス情報を設定する方法を適用することができる。
【0122】
さらに、保守員等は、自動取引装置2に搭載される保守用の操作部を操作して、当該自動取引装置2に設定すべき情報を設定する。図6(C)は、HDD交換の場合の保守画面図を例示する。図6(C)に例示する保守画面(設定選択画面)は「HDD交換」ボタン43を有する。ここで、「HDD交換」の場合、「更改」や「新設」の場合と異なる保守画面としたのは次の理由からである。自動取引装置2のHDDが交換されると、自動取引装置2は交換されたことを認識することができ、また、HDD交換は自動取引装置2の部品交換の処理として動作するものであるから、HDD交換処理のときに表示される保守画面(設定選択画面)図6(C)は、「更改」や「新設」の保守画面(設定選択画面)図6(A)と異なるものとした。なお、図6(A)に例示した保守画面が、図6(C)の「HDD交換」ボタン43を有するものであってもよい。つまり、図6(A)に例示した保守画面(設定選択画面)に「更改」ボタン41、「新設」ボタン42に加えて「HDD交換」ボタン43も一緒に表示される。この場合、図6(C)に例示する画面に代わって、図6(A)に例示した保守画面(設定選択画面)に「更改」ボタン41、「新設」ボタン42、「HDD交換」ボタン43が表示されることとなる。
【0123】
図6(C)に例示した保守画面(設定選択画面)において、保守員等は「HDD交換」選択ボタン43を選択し、図6(B)の「設定ダウンロード」ボタン44を選択する(S303)。なお、ここでは図6(C)に例示する保守画面(設定選択画面)において「HDD交換」選択ボタン43を選択した後に図6(B)に例示する「設定ダウンロード」ボタン44を選択するようにしたが、保守画面(設定選択画面)では、図6(C)に例示する画面を表示せずに、図6(B)に例示する「設定ダウンロード」選択ボタン44を保守画面(設定選択画面)に表示して選択させるようにしてもよい。
【0124】
そうすると、自動取引装置2は、自動取引装置2のアドレス情報を送信元情報とし、設定種別を「HDD交換」とする設定要求信号を、管理サーバ1に送信する(S304)。
【0125】
管理サーバ1では、受信した設定要求信号から、要求元のアドレス情報を取得し、設定情報データベース13から、アドレス情報に対応する設定すべき情報が検索される(S305)。
【0126】
このとき、ハードディスク等の交換の場合、ハードディスク交換前の設定情報をそのまま適用することができる。そのため、管理サーバ1は、情報の更新処理等を行なわず、アドレス情報に対応する情報を検索できる。
【0127】
そして、管理サーバ1は、その検索された情報を、要求元の自動取引装置2に送信する(S306)。自動取引装置2では、管理サーバ1から受信した情報を、設定情報記憶部23に記憶し、自動取引装置2の機能を実行するためのデータとして設定する(S307)。
【0128】
ここで、「予熱時間」の設定について具体的に説明する。
【0129】
自動取引装置2の機能を実行するための設定データ(「予熱時間」)を管理サーバ1から取得し、自動取引装置2の設定情報記憶部23に記憶する。制御部21は、自動取引装置2が起動されたら、設定情報記憶部23に記憶された「予熱時間」のデータに基づいて、自動取引装置2を予熱する。
【0130】
(A−2−4)一括変更処理
図9は、複数の自動取引装置2の設定情報を一括変更処理する場合の情報設定処理を示すシーケンス図である。
【0131】
以下では、特定の金融機関内に設置されている複数(3台)の自動取引装置2−1〜2−3に対して、既に設定されている情報を変更する場合である。
【0132】
例えば、ある金融機関に設置されている全ての自動取引装置について、「特定項目情報」のうち「Aスタッカニアエンド枚数」の設定値を変更するような場合に、一括変更処理を適用することができる。
【0133】
また例えば、市町村等の合併などにより「本支店番号」が変更するような場合には、「共通項目情報」のうち「本支店番号」の設定値を変更するようなときに、一括変更処理を適用することができる。
【0134】
まず、管理者等は、管理者端末を用いて「一括変更」を選択し、一括変更の対象を特定する(S401)。例えば、特定の金融機関における全ての自動取引装置2−1〜2−3を変更対象とする場合、管理者端末は、設定情報データベース13の登録内容を表示し、その登録内容から対象とする「本支店番号」を指定する。
【0135】
次に、管理者等は、管理者端末を用いて、変更する項目を指定し、当該項目の内容を変更する(S402)。例えば、管理者端末は、設定情報データベース13の登録内容から「本支店番号」を指定してソートをかけ、変更する項目を指定し、設定内容を変更する。
【0136】
そして、管理者端末から情報の設定要求が与えられると、管理サーバ1は、指定された「本支店番号」に対応するアドレス情報を、設定情報データベース13から検索する。管理サーバ1は、その検索されたアドレス情報を送信先情報として、変更後の項目内容情報を送信する。このとき、管理サーバ1は、1台1台の自動取引装置2−1〜2−3に対して、変更後の項目内容情報を送信するようにする。
【0137】
つまり、まず管理サーバ1は、自動取引装置2−1に対して、変更後の項目内容情報を送信する(S403)。この情報を受けて、自動取引装置2−1は、変更後の項目内容の情報を設定する(S404)。
【0138】
次に、管理サーバ1は、自動取引装置2−2に対して、変更後の項目内容情報を送信し(S405)、自動取引装置2−2は、変更後の項目内容の情報を設定する(S406)。最後に、管理サーバ1は、自動取引装置2−3に対して、変更後の項目内容情報を送信し(S407)、自動取引装置2−3は、変更後の項目内容の情報を設定する(S408)。
【0139】
なお、管理サーバ1が各自動取引装置2−1〜2−3に送信する情報は、少なくとも、変更後の項目内容を含むものであればよい。つまり、変更した項目の情報だけであってもよいし、アドレス情報に対応する全ての設定情報であってもよい。また、アドレス情報に対応する「特定項目情報」又は「共通項目情報」の全ての情報であってもよい。
【0140】
(A−3)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、自動取引装置に必要最小限のアドレス情報を予め設定しておき、情報の設定を行なうことが必要なときに、そのアドレス情報を含む設定要求信号を管理サーバに送信するだけで、必要な情報を設定することができる。
【0141】
また、第1の実施形態によれば、複数の自動取引装置が設置されている地域や場所等のグループ単位で一括して設定変更を行なうことができる。
【0142】
(B)第2の実施形態
本発明の情報設定システム及び保守管理装置の第2の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0143】
第2の実施形態も、例えば、金融機関が管理する金融システムに、本発明を適用する場合を例示する。
【0144】
(B−1)第2の実施形態の構成
図10は、第2の実施形態の金融ネットワーク50の全体構成を示す全体構成図である。
【0145】
図10において、第2の実施形態の金融ネットワーク50は、ネットワーク3を介して、管理サーバ1、複数台の自動取引装置2(2−1〜2−n)、装填管理システム5を少なくとも有して構成される。
【0146】
装填管理システム5は、自動取引装置の保守管理を行う保守管理装置として機能するものである。装填管理システム5は、自動取引装置2のスタッカに装填される現金を自動取引装置2毎に管理し、各自動取引装置2の所定期間あたりの現金補充回数が閾値を超える場合には、当該自動取引装置2の特定項目情報の設定値を変更させるものである。
【0147】
ここで、第2の実施形態では、特定項目情報のうち、スタッカ保守に関する設定情報の設定値を変更させる場合を例示する。
【0148】
例えば、スタッカ保守に関する設定情報は、図2に例示した設定情報のうち、万券スタッカである「Aスタッカ」について、「Aスタッカニアフル枚数」、「Aスタッカプレニアエンド枚数」、「Aスタッカニアエンド枚数」があり、千券スタッカである「Bスタッカ」について、「Bスタッカニアフル枚数」、「Bスタッカプレニアエンド枚数」、「Bスタッカニアエンド枚数」がある。
【0149】
第2の実施形態では、スタッカ保守に関する設定情報が、「ニアエンド枚数」である場合とする。
【0150】
勿論、装填管理システム5は、Aスタッカ及びBスタッカの両方のニアエンド枚数を設定変更できるが、ここでは、説明便宜上、いずれか一方のニアエンド枚数とする。さらに、装填管理システム5は、「ニアエンド枚数」に限定されず、「Aスタッカ」及び「Bスタッカ」の上記全ての設定情報を設定変更できる。
【0151】
管理サーバ1は、ネットワーク3を通じて、装填管理システム5から変更指示情報を受信すると、変更指示された自動取引装置2に対して、変更指示されたスタッカ保守に関する設定情報の変更値を含む変更指示情報を与えるものである。
【0152】
また、管理サーバ1は、ネットワーク3を通じて、変更指示をした自動取引装置2から、設定情報の設定変更を実施した旨の通知を受信すると、当該自動取引装置2についての設定情報の値を更新するものである。
【0153】
自動取引装置2は、ネットワーク3を通じて、管理サーバ1からスタッカ保守に関する設定情報の変更指示を受けると、変更後の設定情報の内容に変更するものである。また、自動取引装置2は、設定情報の変更を実施すると、設定変更を実施した旨を管理サーバ1に送信するものである。
【0154】
(B−1−1)装填管理システムの詳細な構成
図10に示すように、装填管理システム5は、制御部51、通信部52、装填管理データベース53を少なくとも有するものである。
【0155】
制御部51は、装填管理システム5の機能を司るものである。例えば、制御部51は、CPU、RAM、ROM、EEPROM、入出力インタフェース等を有する装置からなるものであり、CPUが、ROMに格納される処理プログラムを実行することにより、装填管理システム5の機能が実現される。
【0156】
図11は、制御部51により実現される主な機能を示す機能ブロック図である。図11に示すように、制御部51は、変更対象検索部511、変更値算出部512、変更指示情報作成部513を少なくとも有する。
【0157】
変更対象検索部511は、装填管理データベース53に管理される各自動取引装置2の所定期間あたりの現金補充回数に基づいて、ニアエンド枚数の設定値を変更する対象を検索するものである。
【0158】
具体的には、装填管理データベース53は、1週間で行った現金補充回数が自動取引装置2毎に管理するものとする。この場合、変更対象検索部511は、現金補充回数と予め設定された閾値とを比較し、1週間での現金補充回数が閾値を超えているものを、変更対象として検索する。
【0159】
また、別の方法として、装填管理データベース53は、1週間での現金補充回数を管理すると共に、過去の現金補充回数を履歴として保存する。そして、変更対象検索部511が、現金補充回数の履歴を用いて、1カ月での現金補充回数を集計し、集計した1カ月の現金補充回数が閾値を下回っているものを、変更対象として検索する。つまり、1週間の現金補充回数も1カ月の現金補充回数も低いものを変更対象として検索することができる。
【0160】
ここで、変更対象検索部511による検索時期は、例えば、それぞれの自動取引装置2の所定期間当たりの現金補充回数が装填管理データベース53に登録された時に検索を行うようにしても良いし、また例えば、定期的に、装填管理データベースから検索するようにしても良い。
【0161】
変更値算出部512は、変更対象検索部511により変更対象とする自動取引装置2が検索されると、当該自動取引装置2のニアエンド枚数の変更値を求め、当該自動取引装置2の装置識別情報及びニアエンド枚数の変更値を変更指示情報作成部513に与えるものである。
【0162】
ここで、変更値算出部512による変更値の求める方法は、種々の方法を広く適用することができるが、例えば、現金補充回数を低減するために、ニアエンド枚数の設定値から一定値を減少させた値を変更値とする方法を適用できる。また別の方法として、現金補充回数を低減するために、所定期間あたりの現金補充回数と閾値との差分に応じた値を減少させた値を変更値としてもよい。また、現金補充回数は増えてしまうが、必要に応じて、ニアエンド枚数の設定値から一定値を増加させた値を変更値としてもよい。
【0163】
なお、変更値算出部512は、設定情報の変更値を求めることに代えて、設定値から増減させる差分値を求め、その差分値を変更指示情報作成部513に与えるようにしてもよい。
【0164】
変更指示情報作成部513は、変更値算出部512から、変更対象の自動取引装置2の装置識別情報及び設定情報の変更値を受け取り、装置識別情報及び設定情報の変更値を含む変更指示情報(パケット)を作成するものである。
【0165】
ここで、変更値算出部512からの変更対象の自動取引装置2の装置識別情報は、自動取引装置2のアドレス情報(例えばIPアドレス等)としてもよいし、ID等の識別情報であってもよい。
【0166】
通信部52は、制御部51の変更指示情報作成部513による作成された変更指示情報を含むパケットを形成し、当該パケットを管理サーバ1に送信するものである。ここで、パケットのあて先(送信先)は、管理サーバ1のアドレス情報(例えば、IPアドレス等)とする。
【0167】
装填管理データベース53は、所定期間あたりの現金補充回数を自動取引装置2毎に管理するものである。
【0168】
図12は、装填管理データベース53の管理情報の構成を示す構成図である。図12に示すように、装填管理データベース53は、装置識別情報と現金補充回数とを対応付けた情報を管理する。例えば、図12において「装置識別情報:aaaa」についての現金補充回数(回/1週間)は、「3(回)」であることを示す。なお、装填管理データベース53への登録は、例えば、作業者による保守の結果を受けて、作業者やオペレータ等が端末から行う。
【0169】
(B−1−2)管理サーバの詳細な構成
管理サーバ1は、第1の実施形態と同様に、制御部11、通信部12、設定情報データベース13を少なくとも有して構成される。
【0170】
第2の実施形態において、第1の実施形態と異なる点は、管理サーバ1が、装填管理システム5から受信した変更指示情報を、対応する自動取引装置2に転送する点と、当該自動取引装置2がニアエンド枚数の設定値を変更した後に、設定情報データベース13で管理するニアエンド枚数の値を更新する点である。
【0171】
図13は、第2の実施形態の制御部11により実現される主な機能を示す機能ブロック図である。なお、図13には図示しないが、第2の実施形態の制御部11が、第1の実施形態で説明した図4に示す各種機能を有してもよい。
【0172】
図13に示すように、第2の実施形態の制御部11は設定情報変更部116を有しており、設定情報変更部116は、変更指示情報取得部61、変更指示情報転送部62、情報更新部63を少なくとも有する。
【0173】
変更指示情報取得部61は、装填管理システム5から受信した変更指示情報を取得し、変更指示情報に含まれる変更対象の自動取引装置2の装置識別情報及びニアエンド枚数の変更値を取得する。
【0174】
ここで、変更指示情報取得部61は、ニアエンド枚数の設定値が過剰に小さい値となることを防止するために、下限値を設定しておき、装填管理システム5からのニアエンド枚数の変更値が下限値を下回らないにしても確認するようにしてもよい。
【0175】
変更指示情報転送部62は、変更対象の自動取引装置2をあて先として、少なくとも設定情報の変更値を含む変更指示情報を転送させるものである。
【0176】
なお、変更指示情報に含まれる、変更対象の自動取引装置2の識別情報がIPアドレス等のアドレス情報である場合には、このアドレス情報をあて先とする。また、変更指示情報に含まれる、変更対象の自動取引装置2の識別情報がIDである場合、管理サーバ1は、IDとアドレス情報とを対応付けたテーブルを有し、このテーブルを参照して、IDに対応するアドレス情報を検索し、このアドレス情報をあて先とするようにしてもよい。
【0177】
情報更新部63は、変更対象の自動取引装置2から、設定情報の値の設定変更を実施した旨の情報(変更実施情報)を受信すると、当該自動取引装置2のニアエンド枚数の設定値を変更値に更新するものである。
【0178】
なお、管理サーバにおける通信部12及び設定情報データベース13は、第1の実施形態と同じであるのでここでの詳細な説明は省略する。
【0179】
(B−2)第2の実施形態の動作
図14は、自動取引装置2に設定されているニアエンド枚数を変更する設定変更処理を示すシーケンス図である。
【0180】
まず、装填管理システム5において、装填管理データベース53には、各自動取引装置2の所定期間あたりの現金補充回数が登録される。各自動取引装置2の所定期間あたりの現金補充回数の登録は、作業者やオペレータ等の操作により入力・登録されるようにしてもよい。
【0181】
装填管理システム5において、制御部51は、装填管理データベース53で管理される各自動取引装置2の現金補充回数を確認し(S501)、各自動取引装置2の所定期間あたりに行った現金補充回数と閾値とを比較して変更対象とする自動取引装置2を検索する(S502)。
【0182】
例えば、装填管理データベース53が図12に例示する情報を管理しているとし、閾値が「5(回/1週間)」であるとする。この場合、制御部51は、現金補充回数と閾値とを比較し、閾値を超えている「装置識別情報:bbbb」が変更対象として検索される。
【0183】
なお、閾値を超えた現金補充回数が複数ある場合には、複数の自動取引装置2を変更対象として検出してもよく、複数の自動取引装置2のそれぞれに対して、以下の変更指示情報を送信するようにしてよい。
【0184】
次に、制御部51は、変更対象として検索された自動取引装置2に対して設定変更させる、ニアエンド枚数の変更値を求める(S503)。
【0185】
例えば、全ての自動取引装置2のニアエンド枚数の設定値として、共通の値(デフォルト値)が設定されているとする。スタッカは2000枚〜2500枚程度の紙幣を収納することができ、例えば、「ニアエンド枚数」のデフォルト値として「ニアエンド枚数:100(枚)」と設定されているとする。
【0186】
変更対象の自動取引装置2が検出されると、例えば、制御部51は、現金補充回数を低減するために、「デフォルト値:100(枚)」から「一定値:20(枚)」を引いた「80(枚)」を変更値として求める。
【0187】
そして、制御部51は、変更対象の自動取引装置2に変更指示を行うために、対応する装置識別情報及び設定情報の変更値を含む変更指示情報を作成し、通信部52が、変更指示情報を含むパケットを管理サーバ1宛に送信する(S504、S505)。
【0188】
なお、変更対象の検索、変更値の算出、及び、変更指示情報の送信について、装填管理システム5を管理するオペレータの手動操作で行なうようにしてもよい。
【0189】
管理サーバ1では、装填管理システム5から変更指示情報が与えられると、制御部11は、変更指示情報を転送するために、変更指示情報に含まれる装置識別情報に基づいて、当該自動取引装置2宛に変更指示情報を転送する(S506、S507)。
【0190】
なお、ここでは、説明便宜上、1台の自動取引装置2宛の変更指示を例示するが、複数台の自動取引装置2に対して変更指示を行うようにしてもよい。この場合、例えば、第1の実施形態で説明した一括変更処理を利用し、複数の自動取引装置2に対して一括してニアエンド枚数を変更できるようにしてもよい。具体的には、複数の自動取引装置2のニアエンド枚数の設定値が同じであるとき、図9に例示した処理により、管理サーバ1は、複数の自動取引装置2のそれぞれに対して、ニアエンド枚数の変更値を含む変更指示情報を送信するようにしてもよい。
【0191】
自動取引装置2は、管理サーバ1を介して、装填管理システム5からの変更指示情報を受信する。そして、自動取引装置2は、ニアエンド枚数について、受信した変更指示情報に含まれる変更値となるように設定変更を行う(S508)。
【0192】
例えば、上記の例のように、「ニアエンド枚数」の変更値が「80(枚)」である場合、自動取引装置2は、自身の設定情報記憶部23に記憶されている「ニアエンド枚数」の値を「80(枚)」に設定変更する。
【0193】
自動取引装置2におけるニアエンド枚数の設定変更が行われると、管理サーバ1が間違えて設定情報を管理しないようにするため、自動取引装置2は管理サーバ1に対して変更実施情報を送信する(S509)。
【0194】
そして、管理サーバ1が、自動取引装置2から変更実施情報を受信すると、設定情報データベース13で管理する当該自動取引装置2のニアエンド枚数の値を変更値に更新する(S510)。
【0195】
具体的には、変更実施情報には、当該自動取引装置2の装置識別情報(例えばIPアドレス等)と、ニアエンド枚数の変更値とが少なくとも含まれている。管理サーバ1は、受信した変更実施情報に含まれる、当該自動取引装置2の装置識別情報(例えばIPアドレス等)及びニアエンド枚数の変更値に基づいて、設定情報データベース13における対応の設定情報を更新する。
【0196】
(B−3)第2の実施形態の効果
以上のように、第2の実施形態によれば、各自動取引装置の現金補充回数と閾値との比較により、現金補充回数を低減するように、例えば「ニアエンド枚数」等のスタッカ保守に関する設定情報の値を変更することができる。
【0197】
第2の実施形態によれば、管理サーバが、装填管理システムと連動することで、装填管理システムの管理情報(現金補充回数)をもとにして、自動取引装置の設定情報をリモートで設定変更することができる。その結果、設定情報の変更に係る手間及びコスト、並びに、現金補充に係る手間及びコストを低減させることができる。
【0198】
(C)第3の実施形態
次に、本発明の情報設定システム及び保守管理装置の第3の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0199】
第3の実施形態も、例えば、金融機関が管理する金融システムに、本発明を適用する場合を例示する。
【0200】
(C−1)第3の実施形態の構成
第3の実施形態の金融ネットワークの全体構成は、図10に例示した第2の実施形態の金融ネットワーク50と同じであるので、第3の実施形態でも図10を用いて説明する。
【0201】
第3の実施形態が第2の実施形態と異なる点は、(a)各自動取引装置2において、スタッカの収納量が減り、収納枚数がニアエンド枚数に達したときに、自動取引装置2は、装填管理システム5にニアエンド発生情報を送信する点、(b)装填管理システム5が各ニアエンド発生情報に基づいて現金補充回数を低減できるか否かを判断して、低減可能な場合に、スタッカ保守に関する設定情報の変更指示を行う点である。
【0202】
以下では、第3の実施形態において特有の機能構成について詳細に説明し、第1及び第2の実施形態で既に説明した機能構成についての説明については省略する。
【0203】
管理サーバ1は、第2の実施形態と同様に、装填管理システム5から変更指示情報を受けると、変更対象の自動取引装置2に対して変更指示情報を送信するものである。また、管理サーバ1は、変更指示をした自動取引装置2から、設定情報の設定変更を実施した旨の通知を受信すると、当該自動取引装置2についての設定情報の値を更新するものである。
【0204】
自動取引装置2は、第2の実施形態で説明した処理の他に、ニアエンド発生を通知するために、スタッカの収納量がニアエンド枚数を超えたときに、ニアエンド発生情報を装填管理システム5に送信するものである。
【0205】
なお、第3の実施形態では、説明便宜上、ニアエンド発生情報を送信する場合を例示するが、ニアエンド発生情報とするが、プレニアエンド枚数、プレニアフル枚数、ニアフル枚数に達したことを示す発生情報であってもよい。
【0206】
次に、装填管理システム5の詳細構成を説明する。第3の実施形態の装填管理システム5は、第2の実施形態と同様に、制御部51、通信部52、装填管理データベース53を少なくとも有する。
【0207】
図15は、第3の実施形態の制御部51により実現される機能構成を示す機能ブロック図である。
【0208】
図15に示すように、第3の実施形態の制御部51は、ニアエンド発生情報取得部514、集計部515、変更対象判断部516、変更値算出部517、変更指示情報作成部513を少なくとも有する。
【0209】
ニアエンド発生情報取得部514は、通信部12を介して、自動取引装置2から送信されたニアエンド発生情報を取得するものである。ニアエンド発生情報取得部514は、エアエンド発生情報を送信してきた自動取引装置2についてニアエンド発生情報を設定情報データベース13に記憶するものである。
【0210】
ニアエンドの発生は、スタッカの保守(すなわち、スタッカの現金補充)を意味する。つまり、現金補充回数を管理するために、装填管理システム5は、ニアエンド発生情報を自動取引装置2から取得し、これを管理する。
【0211】
集計部515は、設定情報データベース13における各自動取引装置2の所定期間におけるニアエンド発生回数を、自動取引装置2毎に集計するものである。ニアエンド発生回数を集計する期間は、特に限定されるものではなく、例えば、集計部15は、1週間におけるニアエンド発生回数を自動取引装置毎に集計したり、1カ月におけるニアエンド発生回数を自動取引装置毎に集計したりする。
【0212】
変更対象判断部516は、所定期間におけるニアエンド発生回数と閾値とを比較し、所定期間のニアエンド発生回数が閾値を超えている場合に、スタッカ保守に関する設定情報の設定値を設定変更する必要があるか否かを判断するものである。
【0213】
ここで、スタッカ保守に関する設定情報の設定変更が必要か否かの判断方法は、各自動取引装置2の設置場所や利用頻度等に応じて種々の方法を適用することができ、詳細については動作の項で説明する。
【0214】
変更値算出部517は、変更対象判断部516によりスタッカ保守に関する設定情報の設定変更が必要であると判断されると、当該自動取引装置2に設定する、スタッカ保守に関する設定情報の変更値を求めるものである。ここで、スタッカ保守に関する設定情報の変更値は、変更対象の判断方法に応じて決定することができ、その詳細な説明については動作の項で説明する。
【0215】
変更指示情報作成部513は、第1の実施形態と同様にして、スタッカ保守に関する設定情報の変更値と、変更対象の自動取引装置2の装置識別情報とを含む変更指示情報を作成するものである。
【0216】
(C−2)第3の実施形態の動作
図16は、第3の実施形態の自動取引装置2に設定されているスタッカ保守に関する設定情報を変更する設定変更処理を示すシーケンス図である。
【0217】
まず、自動取引装置2において、スタッカの収納量がニアエンド枚数を超えてニアエンドが発生すると(S601)、自動取引装置2はニアエンド発生情報を装填管理システム5に送信する(S602、S603)。
【0218】
装填管理システム5において、ニアエンド発生情報が与えられると、送信元の自動取引装置2についてのニアエンド発生情報を装填管理データベース53に記憶する(S604)。
【0219】
例えば、ニアエンド発生が生じた日時情報を自動取引装置2の装置識別情報に対応付けて装填管理データベース53に記憶するようにする。これにより、ニアエンドが発生した日時を自動取引装置2毎に管理することができる。
【0220】
次に、装填管理システム5では、自動取引装置2の所定期間におけるニアエンド発生回数を集計する(S605)。
【0221】
ここで、所定期間におけるニアエンド発生回数の集計は、例えば、ニアエンド発生情報を受信したときに、ニアエンド発生日を含み過去所定期間(例えば、1週間、1カ月)の間に発生したニアエンド発生回数を集計する等の方法を適用できる。また別の方法としては、予め集計日が決定されており、その集計日に所定期間におけるニアエンド発生回数を集計するようにしてもよい。
【0222】
次に、装填管理システム5では、所定期間におけるエアエンド発生回数と閾値とを比較し、所定期間におけるニアエンド発生回数が閾値を超えた場合に、スタッカ保守に関する設定情報の設定値を設定変更する必要があるか否かを判断するものである(S606)。
【0223】
そして、設定変更が必要であると判断されると、装填管理システム5はスタッカ保守に関する設定情報の変更値を求め(S607)、変更対象の自動取引装置2の装置識別情報及びスタッカ保守に関する設定情報の変更値を含む変更指示情報を作成し、変更指示情報を管理サーバ1に送信する(S608、S609)。なお、設定変更が必要でないと判断されると、装填管理システム5は、スタッカ保守に関する設定情報の設定変更の指示を行わない。
【0224】
ここで、変更対象の判断方法としては、例えば、自動取引装置2の過去の利用状況や、自動取引装置2の設置場所や設置されている地域、自動取引装置2の利用頻度等に基づいて個別に判断する方法を適用できる。
【0225】
例えば、自動取引装置2の過去の利用状況に基づく判断方法の一例を説明する。
【0226】
例えば、装填管理システム5において、装填管理データベース53が過去に発生したニアエンド発生回数を履歴情報として記憶する。今回の期間のニアエンド発生回数が閾値を超えている場合、装填管理システム5は、前年における今回と同時期のニアエンド発生回数を求め、今回のニアエンド発生回数と前年同時期のニアエンド発生回数とを比較する。
【0227】
自動取引装置2のニアエンド枚数が「100(枚)」に設定されているとして、今回の期間のニアエンド発生回数が前年の同時期に比べて同じ又は多い場合には、装填管理システム5はニアエンド枚数の値を例えば「90(枚)」と変更し、今回の期間のニアエンド発生回数が前年同時期よりも少ない場合には、装填管理システム5はニアエンド枚数の値を例えば「70(枚)」と変更する。
【0228】
これは、自動取引装置2の利用状況は、過去の自身の前年同時期における利用状況と関連するため、自動取引装置2の個別の利用状況に合わせて設定情報の最適化を図るために、前年同時期の利用状況と比較する。また、設定情報の変更値については、今回の期間のニアエンド発生回数が前年同時期よりも少ない場合には、ニアエンド枚数の設定値を大幅に小さく変更することができる。その一方、今回の期間のニアエンド発生回数が前年同時期と同じ又は多い場合、現金補充回数を低減するためにニアエンド枚数の設定値は小さくできるが、前年同時期と同程度であるため、前年同時期よりも小さい場合よりも、ニアエンド枚数の設定値の減少幅は小さくする。
【0229】
また例えば、自動取引装置2の設置場所や設置されている地域に基づく判断方法の一例を説明する。
【0230】
例えば、装填管理システム5において、装填管理データベース53は、自動取引装置2の設置住所を記憶する。そして、今回の期間のニアエンド枚数が閾値を超えた場合に、自動取引装置2の設置住所に基づいて、自動取引装置2の設置場所が都市中心部であるか又は都市郊外部であるかを判断する。なお、都市中心部又は都市郊外部の範囲は、予め運用等を考慮して決定するようにする。また、ここでは、説明便宜のために、都市中心部と都市郊外部の2通りに区分する場合を例示するが、自動取引装置2の利用状況の違いに応じて、3通り以上の範囲に区分してもよい。
【0231】
そして、自動取引装置2が都市中心部にある場合には、装填管理システム5はニアエンド枚数の値を例えば「90(枚)」と変更し、自動取引装置2が都市郊外部にある場合には、装填管理システム5はニアエンド枚数の値を例えば「70(枚)」と変更する。
【0232】
これは、自動取引装置2が設置されている場所の違いに応じて利用頻度が異なるので、設置場所によって現金補充回数の低減を図るというものである。設定情報の変更値については、一般的に、都市郊外部の自動取引装置2は都市中心部のものより利用頻度が小さいので、都市郊外部にあるものについては、ニアエンド枚数の設定値を大幅に小さくする。一方、都市中心部にあるものについては、現金補充回数を低減するために、ニアエンド枚数の設定値を小さくするが、都市郊外部のものよりも、ニアエンド枚数の設定値の減少幅は小さくする。
【0233】
さらに例えば、自動取引装置2の設置場所や設置されている地域に基づく判断方法の別の判断方法の一例として次のようにしてもよい。
【0234】
例えば、都市中心部であっても、常に利用頻度が高いわけではない。例えば、霞が関等のように平日は利用頻度が高いが、休日は利用頻度が低い場合もあるし、新宿等のように平日も休日も利用頻度が高い場合もある。勿論、平日も休日も利用頻度が低いという場合もある。また、都市郊外部であっても、常に利用頻度が低いわけではなく、遊園地等の娯楽施設にあるものは、平日も休日も利用頻度が高い場合もあれば、ショッピングセンター等のように平日は利用頻度が低いが、休日は利用頻度が高いというものもある。
【0235】
そこで、装填管理データベース53が自動取引装置2の利用頻度の特性を示す利用頻度情報を、装置識別情報に対応付けて管理するようにし、各自動取引装置2の利用頻度情報に基づいて判断するようにしてもよい。利用頻度情報は、例えば、平日と休日に応じた利用頻度をA、B、C、D、…等のように区分し、「A」は「平日・休日も多い」、「B」は「平日は多い、休日は少ない」、「C」は「平日は少ない、休日は多い」、「D」は「平日・休日も少ない」、…等のように定義する。
【0236】
これにより、ニアエンド発生情報の発生時に、装填管理システム5がニアエンド枚数の変更指示を行う場合に、そのニアエンド発生日が平日であるか又は休日であるかを考慮した変更値を指示することができる。設定情報の変更値は、利用頻度情報の定義の仕方に応じて適宜設定することができる。例えば、ニアエンド発生情報を送信した自動取引装置2の利用頻度情報が「C:平日は少ない、休日は多い」である場合であって、ニアエンド発生日が「休日」のときには、次の日以降が平日であるから利用頻度は低くなると考えられるので、ニアエンド枚数の設定値を比較的小さい値とすることができる。
【0237】
変更指示情報が装填管理ステム5から管理サーバ1に与えると、第2の実施形態と同様に、管理サーバ1では、装填管理システム5から変更指示情報が与えられると、制御部11が、変更指示情報に含まれる変更対象の自動取引装置2の装置識別情報に基づいて、当該自動取引装置2宛に変更指示情報を転送する(S610、S611)。
【0238】
自動取引装置2は、管理サーバ1を介して、装填管理システム5からの変更指示情報を受信する。そして、自動取引装置2は、スタッカ保守に関する設定情報について、受信した変更指示情報に含まれる変更値となるように設定変更を行う(S612)、管理サーバ1に対して変更実施情報を送信する(S613)。
【0239】
そして、管理サーバ1が、自動取引装置2から変更実施情報を受信すると、設定情報データベース13で管理する当該自動取引装置2のスタッカ保守に関する設定情報の値を変更値に更新する(S614)。
【0240】
(C−3)第3の実施形態の効果
以上のように、第3の実施形態によれば、第2の実施形態の効果である装填管理システムからスタッカ保守に関する設定情報の変更指示ができることに加えて、自動取引装置がニアエンド発生情報を装填管理システムに送信することに基づいて、最適なニアエンド枚数を設定することが可能である。
【0241】
(D)他の実施形態
(D−1)上述した第1の実施形態において、図2には、特定項目情報の一例の項目を記載しているが、自動取引装置の特有の搭載機能の実行に必要な情報であれば、図2に例示する情報に限定されるものではない。
【0242】
例えば、図2に示す項目以外の例として、自動取引装置が、例えば帳票(例えば払込用紙等)の画像を読み取るOCR(Optical Character Reader)の読み取り補正値等の情報を含むようにしてもよい。
【0243】
(D−2)また、上述した第1の実施形態において、(A−2−1)更改変更処理では「スタッカニアフル枚数」を、(A−2−2)新設設定処理では「ハンドセット:音声」を、(A−2−3)HDD交換処理では「予熱時間」の設定について具体的に説明したが、それぞれの処理で各設定を行うことが出来るのはいうまでもない。つまり、新設設定処理で「スタッカニアフル枚数」の設定を行い自動取引装置2を当該設定データに基づいて運用することや、HDD交換処理で「ハンドセット:音声」の設定を行い自動取引装置2を当該設定データに基づいて運用することも出来る。
【0244】
(D−3)上述した第2及び第3の実施形態で例示した金融システムに接続構成は、図10に例示した構成に限定されるものではない。上述した第2及び第3の実施形態では、装填管理システムと管理サーバとが自動取引装置(ATM)に接続する構成であるが、管理サーバ及び装填管理システムの各種機能を実行する監視システムを備え、監視システムがルータを介して自動取引装置と接続する構成であってもよい。さらに、上記監視システムに代えて、アプリケーションサーバで代替するようにしてもよい。
【0245】
(D−4)上述した第2及び第3の実施形態では、装填管理システムが、設定変更を指示する特定項目情報の一例として、スタッカ保守に関する設定情報とする場合を例示して説明した。しかし、スタッカ保守以外の保守回数を低減させるものであれば、スタッカ保守に関する設定情報以外の情報でもよい。例えば、アプリケーションサーバが、夏季には自動取引装置2の「予熱時間」を短くし、冬季には自動取引装置2の「予熱時間」を長くするように、特定項目情報の「予熱時間」の設定変更を行うようにしてもよい。
【0246】
(D−5)第1〜第3の実施形態で説明した金融システムの接続構成の別の例として図17に例示するものであってもよい。図17に例示するように、金融機関等のように複数の自動取引装置を備える店舗において、複数の自動取引装置の設定情報を管理する装置管理装置6を備えるようにしてもよい。
【0247】
装置管理装置6が、管理サーバ1から、設定情報(共有項目情報、特定項目情報のいずれ又は双方であってもよい)の設定又は変更の指示を受けると、装置管理装置6が、指示された自動取引装置に対して、指示された設定情報の設定又は変更をさせる。
【0248】
これにより、複数の自動取引装置に対する設定情報の設定又は変更指示があった場合でも、1パケットで管理サーバから装置管理装置6に対して指示することができるので、トラフィックの効率化を図ることができる。
【0249】
(D−6)上述した第2及び第3の実施形態において、図14のS510及び図16のS614では、設定値を間違えて管理しないように、変更実施情報の受信後に情報更新を行うようにしたが、装填管理システムからの変更指示情報を転送する際に、管理サーバが情報更新する手順としてもよい。
【符号の説明】
【0250】
1…管理サーバ、
11…制御部、12…通信部、13…設定情報データベース、
2(2−1〜2−n)…自動取引装置、
21…制御部、22…通信部、23…設定情報記憶部、
5…装填管理システム、
51…制御部、52…通信部、53…装填管理データベース、
10…金融ネットワーク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17