(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来技術では、金属製の板バネに静電気が溜まらないように、板バネをアース(接地)するための導通部材を別途LEDホルダに設けなければならない。そして、LEDホルダには、その導通部材を配置するスペースを確保する必要があり、LEDホルダが大型化し、ひいては画像形成装置が大型化してしまうといった問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、画像形成装置の小型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、感光体を露光するように構成された複数の明滅部と、前記複数の明滅部を保持する樹脂製の保持ケースとを有する長尺状の露光部材と、前記露光部材を弾性部材を介して支持する樹脂製の支持フレームと、を備える。
そして、前記弾性部材は、樹脂で形成されている。
【0007】
この構成によれば、弾性部材が金属で形成される場合に比べ、弾性部材をアースするための導通部材や当該導通部材を配置するためのスペースが不要となるので、装置を小型化することができる。
【0008】
また、前記した構成において、前記弾性部材は、前記露光部材の長手方向における両端部にそれぞれ設けられ、前記支持フレームは、前記露光部材の長手方向における両端部にそれぞれ設けられ、前記感光体に接触して当該感光体とともに回転するように構成される樹脂製のローラと、前記露光部材の長手方向における両端部にそれぞれ設けられ、当該ローラを貫通して当該ローラを回転可能に支持する樹脂製の回転軸と、前記露光部材の長手方向における両端部にそれぞれ設けられ、当該回転軸を支持する支持部と、を有し、各前記弾性部材は、各前記回転軸と嵌合する嵌合部を有するのが望ましい。
【0009】
これによれば、弾性部材の嵌合部が回転軸と嵌合することで、回転軸は、軸方向への移動が規制される。そのため、弾性部材の嵌合部を抜け止め部として機能させることができる。また、このように弾性部材の嵌合部を抜け止め部とすることで、例えば回転軸の抜け止め用の部材を弾性部材とは別に設ける構造に比べ、部品点数を削減することができる。
【0010】
また、前記した構成において、前記支持フレームは、前記露光部材に対向する位置で前記長手方向に沿って設けられ、接地された金属製部材を有し、当該金属製部材は、前記2つの弾性部材の間隔よりも短い長さで形成されているのが望ましい。
【0011】
これによれば、接地された金属製部材によって、外部(ユーザの手など)から露光部材に向けて静電気が放電するのを抑制することができる。また、金属製部材が2つの弾性部材の間隔よりも短い長さで形成されているので、例えば金属製部材を2つの弾性部材の間隔以上の大きさに形成するものに比べ、軽量化を図ることができる。すなわち、従来のように2つの弾性部材が金属製である場合には、金属製部材を弾性部材まで延ばして弾性部材とともに金属製部材を接地する必要があるが、本願発明では弾性部材が樹脂製であるため、金属製部材を弾性部材まで延ばす必要がなく、短く形成することができ、軽量化を図ることができる。
【0012】
また、前記した構成において、前記金属製部材は、ワイヤであるのが望ましい。
【0013】
これによれば、例えば金属製部材として金属板を用いる構造に比べ、軽量化を図ることができる。
【0014】
また、前記した構成において、前記支持フレームは、前記露光部材に対向する対向面において互いに間隔を空けて配置された複数のフック部であって、前記ワイヤを保持する複数のフック部を含み、各前記フック部は、前記対向面から前記露光部材に向けて突出する基部と、当該基部から前記露光部材の短手方向に突出して前記ワイヤを保持する爪部とを有し、前記複数のフック部のうち前記長手方向に隣接する少なくとも3つのフック部は、各基部が前記短手方向の一方と他方とに交互にずれるように配置され、各爪部が前記短手方向外側を向くように構成されているのが望ましい。
【0015】
これによれば、少なくとも3つのフック部によってワイヤの一部がS字状に屈曲するので、S字状に屈曲した部分の弾性力によってワイヤをフック部の基部に付勢することができ、フック部からワイヤが外れるのを抑えることができる。
【0016】
また、前記した構成において、前記露光部材は、前記複数の明滅部を制御する基板を有し、前記支持フレームは、本体フレームに設けられる本体側基板と前記基板とを電気的に接続するハーネスを覆う樹脂製のカバーを有するのが望ましい。
【0017】
これによれば、外部(ユーザの手など)からハーネスに静電気が放電するのを、カバーで抑えることができる。
【0018】
また、前記した構成において、前記カバーには、前記ハーネスを複数回折り畳んだ状態で、当該ハーネスを前記支持フレームとの間で保持する保持部が設けられているのが望ましい。
【0019】
これによれば、ユーザがハーネス(カバーに対して基板とは反対側の部分)を引っ張った場合であっても、折り畳んだ部分が解かれることにより、ハーネスと基板との接続部分であるコネクタに負荷がかかるのを抑えることができる。
【0020】
また、前記した構成において、前記露光部材および前記支持フレームは、複数設けられていてもよい。
【0021】
このように露光部材等を複数設ける場合には、従来必要であった複数の導通部材(弾性部材のアース用の部材)や複数の導通部材を配置するための複数箇所のスペースが不要となるので、部品点数や無駄なスペースを大幅に減らすことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、画像形成装置の小型化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1の概略構成を簡単に説明した後、本発明の特徴部分の構成について詳細に説明する。
【0025】
また、以下の説明において、方向は、カラープリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、
図1における左側を「前」、右側を「後」とし、奥側を「左」、手前側を「右」とする。また、
図1における上下方向を「上下」とする。
【0026】
<カラープリンタの概略構成>
図1に示すように、カラープリンタ1は、本体フレーム10と、トップカバー11と、本体フレーム10内に設けられた給紙部20および画像形成部30とを主に備えている。
【0027】
トップカバー11は、本体フレーム10の上部に配置され、後側の回動軸11Aを中心として本体フレーム10に対し回動可能に設けられており、本体フレーム10の上部に形成された開口10Aを開閉する。具体的には、トップカバー11は、開口10Aを閉鎖する閉鎖位置(
図1の位置)と、開口10Aを開放する開放位置(
図2の位置)とに揺動(移動)可能となっている。
【0028】
給紙部20は、本体フレーム10内の下部に設けられ、用紙Pを収容する給紙トレイ21と、給紙トレイ21から用紙Pを画像形成部30に供給する用紙供給機構22とを主に備えている。給紙トレイ21内の用紙Pは、用紙供給機構22によって1枚ずつ分離されて画像形成部30に供給される。
【0029】
画像形成部30は、4つのLEDユニット40(露光ユニット)と、4つのプロセスカートリッジ50と、転写ユニット70と、定着ユニット80とを主に備えて構成されている。
【0030】
LEDユニット40は、その先端に複数のLEDを有し、トップカバー11から吊り下げられるようにトップカバー11(詳しくは、後述するホルダ300)に保持されており、トップカバー11を閉じた状態において、後述する感光体ドラム51の上方に対向して配置されている。このLEDユニット40は、複数のLEDが画像データに基づいて明滅することで、感光体ドラム51の表面を露光する。なお、LEDユニット40の構造については、後で詳述する。
【0031】
各プロセスカートリッジ50は、トップカバー11と給紙トレイ21との間で前後方向に沿って並列配置されている。各プロセスカートリッジ50は、
図2に示すトップカバー11が開かれた状態において、本体フレーム10の開口10Aを通して着脱可能に装着される構成となっている。また、プロセスカートリッジ50は、それぞれ、感光体ドラム51や、図示せぬ帯電器や、符号を省略して示す公知の現像ローラ、トナー収容室などを備えて構成されている。
【0032】
転写ユニット70は、給紙トレイ21とプロセスカートリッジ50との間に設けられ、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、駆動ローラ71と従動ローラ72の間に張設された無端状の搬送ベルト73と、4つの転写ローラ74とを主に備えている。搬送ベルト73は、外側の面が各感光体ドラム51に接しており、その内側には各転写ローラ74が各感光体ドラム51との間で搬送ベルト73を挟持するように配置されている。
【0033】
定着ユニット80は、プロセスカートリッジ50および転写ユニット70の後方に設けられ、加熱ローラ81と、加熱ローラ81と対向配置されて加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82とを主に備えている。
【0034】
このような画像形成部30では、感光体ドラム51の表面が、帯電器により一様に帯電された後、LEDユニット40によって露光されることで、感光体ドラム51上に画像データに基づく静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム51に現像ローラからトナーが供給されることで、静電潜像が可視像化されて感光体ドラム51上にトナー像が形成される。
【0035】
各感光体ドラム51上に形成されたトナー像は、給紙部20から搬送された用紙Pが、感光体ドラム51と搬送ベルト73(転写ローラ74)の間を搬送されることで、用紙P上に順次重ね合わせて転写される。トナー像が転写された用紙Pは、加熱ローラ81と加圧ローラ82の間を搬送されることでトナー像が熱定着される。その後、用紙Pは、搬送ローラ91によって本体フレーム10内から外部に排出され、トップカバー11の上面に形成された排紙トレイ11B上に載置される。
【0036】
<LEDユニット周りの構造>
次に、LEDユニット40周りの構造について詳細に説明する。
図3〜
図5に示すように、LEDユニット40は、露光部材の一例としての長尺状のLEDヘッド100と、LEDヘッド100を支持する樹脂製の支持フレーム200とを備え、後述する樹脂製のホルダ300によって吊り下げられた状態で支持されている。
【0037】
〔LEDヘッド100〕
LEDヘッド100は、樹脂製の保持ケース110と、保持ケース110内に設けられ、半導体チップに多数のLEDを配列して構成された複数のLEDアレイ(図示略)と、複数のLEDアレイの下方に配置されて保持ケース110で保持されるレンズアレイ120とを備えて構成されている。なお、本実施形態において、複数の明滅部は、複数のLEDアレイとレンズアレイ120とにより構成されている。
【0038】
また、保持ケース110内の上部には、LEDアレイを制御するための基板130(
図4参照)が上方に露出するように設けられている。
【0039】
〔支持フレーム200〕
支持フレーム200は、左右方向に延びるベース部210と、ベース部210の左右方向(長手方向)における両端部から下方に延出する一対の延出部220とを備えて構成されている。
【0040】
ベース部210は、第1ユニット側位置決め部211と、第2ユニット側位置決め部212と、左右一対の第1係合部213と、左右一対の第2係合部214とを主に有している。
【0041】
第1ユニット側位置決め部211は、
図6(a)に示すように、本体フレーム10に設けられる第1本体側位置決め部12に係合することで本体フレーム10に対して前後方向(副走査方向)に位置決めされる部位であり、ベース部210の右側の端面から左右方向外側に突出するように形成されている。具体的に、第1ユニット側位置決め部211は、略上下方向に延びる板状に形成され、ベース部210の上端から下方に延びる上部211Aと、上部211Aの下端から前斜め下方に延びる中央部211Bと、中央部211Bの下端から下方に延びる下部211Cとを有している。
【0042】
一方、第1本体側位置決め部12は、第1ユニット側位置決め部211の上部211Aに後側(副走査方向における一方側)から係合する第1ボス12Aと、第1ユニット側位置決め部211の下部211Cに前側(副走査方向における他方側)から係合する第2ボス12Bとを有している。また、支持フレーム200とホルダ300の間(機構的な間)には、支持フレーム200の上端部を後方(副走査方向)に付勢するトーションバネ310が設けられている。
【0043】
具体的に、トーションバネ310は、
図6(b)に示すように、ホルダ300の後述する回動軸320を囲うように配置されるコイル部311と、コイル部311から外側に延びる第1アーム部312および第2アーム部313を有している。そして、トーションバネ310は、その第1アーム部312の先端がホルダ300に固定(係合)され、第2アーム部313の先端がベース部210の上端に設けられた被押圧部215に前側から係合している。
【0044】
詳しくは、被押圧部215は、ベース部210のうち第1ボス12Aとの接点よりも上部に設けられており、トーションバネ310によって後方(第1ボス12A側)に向けて付勢されるようになっている。このようにトーションバネ310によって被押圧部215を後方に付勢することで、第1ユニット側位置決め部211の上部211Aが第1ボス12Aに密着するとともに、ベース部210が第1ボス12Aを中心に図示時計回りに回動するので、第1ユニット側位置決め部211の下部211Cが第2ボス12Bに密着して、安定した位置決めを行うことが可能となっている。
【0045】
なお、本実施形態では、被押圧部215は、
図4に示すように、支持フレーム200とは別の被押圧用部材400に形成されている。被押圧用部材400は、支持フレーム200よりも摩耗しにくい材質(例えばPOM等)によって形成されている。そのため、ホルダ300に対してLEDユニット40が移動することによって、トーションバネ310と被押圧部215とが摺接した場合であっても、当該摺接による被押圧部215の摩耗を抑えることが可能となっている。
【0046】
また、
図6(b)に示すように、トーションバネ310は、被押圧部215を後方に付勢するだけでなく、下方にも付勢するように構成されている。つまり、トーションバネ310は、被押圧部215を後斜め下方に付勢するように構成されている。
【0047】
これにより、トップカバー11を開放位置から閉鎖位置に向けて回動するときに、下方(LEDユニット40の移動方向)を向いた成分を有する付勢力がトーションバネ310から発生するようになっている。そのため、例えば、
図7に示すように、第1ユニット側位置決め部211を第1ボス12Aと第2ボス12Bとの間に挿入していく際に、第1ユニット側位置決め部211と第1本体側位置決め部12との間で摩擦力が発生した場合であっても、当該摩擦力に打ち勝つように付勢力を作用させることができるので、第1ユニット側位置決め部211を確実に第1本体側位置決め部12に位置決めすることが可能となっている。
【0048】
図3に示すように、第2ユニット側位置決め部212は、本体フレーム10に設けられる第2本体側位置決め部13に当接することで本体フレーム10に対して左右方向(主走査方向)に位置決めされる部位であり、ベース部210のうち第1ユニット側位置決め部211とは反対側の端部から左右方向外側に突出するように形成されている。そして、前述したトーションバネ310は、ベース部210を後側(副走査方向)に付勢する他、ベース部210を左方(主走査方向)にも付勢するように構成されており、これにより、第2ユニット側位置決め部212が第2本体側位置決め部13に押し付けられて当接するようになっている。
【0049】
このように1つのトーションバネ310によってLEDユニット40を前後方向および左右方向に付勢して位置決めを行うように構成することで、例えばLEDユニットを前後方向に付勢するバネと、左右方向に付勢するバネとを別々に設ける構造に比べ、部品点数を削減することが可能となっている。
【0050】
図5および
図8に示すように、左右の第1係合部213は、ベース部210の左右方向の中心から略対称な位置に形成されており、その一部に曲面213Aを有している。具体的に、第1係合部213は、ホルダ300に設けられる保持アーム330,340によって挟み込まれる板状の支持壁216の下端から略前後方向に円弧状に突出するように形成されている。
【0051】
保持アーム330,340は、ホルダ300の左右方向に延びる本体部301のうち、左右の第1係合部213に対応した位置から下方に延びるように設けられている。そして、後側の保持アーム330の下端部332には、前方に突出する突出片331と、第1係合部213における後端側の曲面213Aと当接する当接面332Aとが形成されている。
【0052】
突出片331には、第1係合部213における下端側と当接する当接面331Aが形成されている。
前側の保持アーム340の下端部342には、後側の保持アーム330の突出片331が貫通する開口部342Aと、第1係合部213における前端側の曲面213Aと当接する当接面342Bとが形成されている。
【0053】
突出片331は、ベース部210のうち第1係合部213の下側に形成された開口部を前後方向に貫通して、前側の保持アーム340の開口部342A内に入り込んで保持アーム340の下端部342に当接するようになっている。また、保持アーム330,340の各下端部332,342の当接面332A,342Bは、第1係合部213の前後方向の長さと略同じ長さの間隔を空けて配置されている。
【0054】
これにより、後側の保持アーム330の当接面332A、突出片331の当接面331Aおよび前側の保持アーム340の当接面342Bによって、第1係合部213が入り込む凹形状の第1規制部350が形成されている。そして、
図8(a)に示すように、第1係合部213は、トップカバー11が開放位置のときに、第1規制部350内に入り込んで曲面213Aが第1規制部350で支持されるようになっている。
【0055】
これにより、開放位置において、第1係合部213の前後方向(副走査方向)への移動が第1規制部350で規制されるとともに、LEDユニット40が第1係合部213(曲面213Aの中心)を揺動中心として揺動可能となっている。そのため、トップカバー11を開放位置から閉めていく際に、第1ユニット側位置決め部211が第1本体側位置決め部12に当接して突っ掛りそうになった場合であっても、LEDユニット40の揺動によって突っ掛るのを抑えることが可能となっている。
【0056】
また、ベース部210の支持壁216の上端部(詳しくは、後述する第2係合部214)と、ホルダ300との間には、隙間が形成されており、これにより、LEDユニット40(ベース部210)がホルダ300に対して上方に移動可能となっている。そのため、トップカバー11を閉鎖位置に向けて閉じていく途中で、
図8(b)に示すように、LEDユニット40の下端(後述するローラ240)が感光体ドラム51に当接して下方への移動が規制されると、トップカバー11の閉動作に伴って下方へ移動していくホルダ300に対してLEDユニット40が相対的に上方に移動して、第1係合部213が、閉鎖位置において、第1規制部350から外れるようになっている。
【0057】
このように第1係合部213が第1規制部350から外れると、第1規制部350による第1係合部213の前後方向への移動の規制が解除されて、LEDユニット40がホルダ300に対して前後方向に移動可能となっている。より詳しくは、第1係合部213が第1規制部350から外れるとともに、後述する第2係合部214が第2規制部334から外れることで、LEDユニット40がホルダ300に対して前後方向に移動可能となっている。
【0058】
第2係合部214は、支持壁216の上端部、すなわち、第1係合部213に対して上下方向(LEDユニット40から出射する光の光軸方向)にずれた位置に設けられ、支持壁216から後方に突出するように形成されている。そして、ホルダ300には、トップカバー11が開放位置のときに、第2係合部214の後端に当接して当該第2係合部214の後方への移動を規制する第2規制部334が形成されている。
【0059】
また、第2規制部334の上方には、トップカバー11が閉鎖位置のときに、第2係合部214と第2規制部334との当接により規制されたLEDユニット40の揺動を解放するための逃げ孔335が形成されている。
【0060】
以上のように、第2係合部214、第2規制部334および逃げ孔335が形成されることで、トップカバー11が閉鎖位置のときよりも開放位置のときの方が第2係合部214の前後方向への移動量が小さくなるようになっている。これにより、トップカバー11の開閉時にLEDユニット40がホルダ300に対してがたつくのを抑えることができるので、トップカバー11の開閉時にLEDユニット40が他の部材に干渉するのを抑えることが可能となっている。
【0061】
さらに、本実施形態では、前述したトーションバネ310がベース部210の上部を後方に付勢しているので、この付勢力によって、第2係合部214が第2規制部334に押し付けられて当接するようになっている。これにより、トップカバー11の開閉時にLEDユニット40がホルダ300に対して動くのをより抑えることができるので、トップカバー11の開閉時にLEDユニット40が他の部材に干渉するのをより抑えることが可能となっている。
【0062】
また、このようにトーションバネ310の付勢力によって、トップカバー11の開閉時にLEDユニット40がホルダ300に対して動くのを抑えることで、複数のプロセスカートリッジ50間の隙間を狭めて、装置の小型化を図ることが可能となっている。
【0063】
さらに、トップカバー11を閉じた場合には、第2規制部334から第2係合部214が外れるので、トーションバネ310の付勢力によって、LEDユニット40を回動させて、前述した第1ユニット側位置決め部211を第1ボス12Aと第2ボス12Bとに密着させることが可能となっている。
【0064】
図9〜
図11に示すように、延出部220には、弾性部材の一例としての支持補助部材230と、LEDヘッド100の下端面(レンズ面)と感光体ドラム51との間隔を保持するためのローラ240とが設けられている。また、上下方向に延びる延出部220の上下方向における中間部には、LEDヘッド100を支持するための台座部221が左右方向内側に延びるように形成されている。
【0065】
なお、左右の各延出部220周りの構造は、略左右対称な構造であるため、以下の説明では、左右の一方の延出部220周りの構造のみを説明することとする。
【0066】
支持補助部材230は、樹脂製の部材であり、上壁部231と、上壁部231の後端から下方に延びる後壁部232と、上壁部231の下側に設けられる変形部233と、後壁部232の下端部から前方に延びる嵌合部の一例としての突出部234とを有している。
【0067】
変形部233は、上下方向において弾性変形可能な部位であり、上壁部231の前端から下方に延びた後、後方に向けて延び、その先端部が下方に開口したU字状に形成されている。そして、変形部233は、そのU字状の先端部によって、LEDヘッド100を台座部221に向けて付勢するように構成されている。
【0068】
詳しくは、ベース部210と、台座部221に載置されたLEDヘッド100との間で、支持補助部材230の上壁部231および変形部233が挟み込まれたときに、変形部233が変形することで、当該変形部233によってLEDヘッド100が台座部221に付勢されるようになっている。言い換えると、LEDヘッド100は、支持補助部材230を介して(利用して)支持フレーム200に支持されるようになっている。
【0069】
このようにLEDヘッド100を支持フレーム200に付勢するための弾性部材を、樹脂製とすることで、例えば弾性部材を金属で形成する場合に比べ、弾性部材をアースするための導通部材や当該導通部材を配置するためのスペースが不要となるので、装置を小型化することが可能となっている。特に、本実施形態では、LEDユニット40が複数設けられる構造において、弾性部材を樹脂製とするので、従来必要であった複数の導通部材(弾性部材のアース用の部材)や複数の導通部材を配置するための複数箇所のスペースが不要となるので、部品点数や無駄なスペースを大幅に減らすことが可能となっている。
【0070】
ローラ240は、樹脂製の部材であり、延出部220の下端部に形成される支持部の一例としての軸支孔222に支持される樹脂製の回転軸250によって回転可能に支持されている。そして、支持フレーム200が左右一対のコイルバネ270(
図5参照)によって下方に付勢されることで、ローラ240が感光体ドラム51に接触して当該感光体ドラム51とともに回転するようになっている(
図8(b)参照)。
【0071】
回転軸250は、軸支孔222とローラ240の中心に形成された孔とを貫通するように設けられている。回転軸250の左右方向外側の端部には、回転軸250が左右方向内側へ移動して外れるのを規制するフランジ部251が形成されている。
【0072】
また、回転軸250の左右方向内側の端部には、径方向内側に向けて凹む溝252が形成されている。そして、この溝252内に、支持補助部材230の突出部234が嵌合するようになっている。
【0073】
このように支持補助部材230の突出部234が回転軸250の溝252内に嵌合することで、回転軸250の左右方向外側(軸方向外側)への移動を規制して、回転軸250が左右方向外側に外れるのを抑えることが可能となっている。また、このような抜け止め部としての突出部234を支持補助部材230に一体に設けることで、例えば回転軸の抜け止め用の部材を支持補助部材とは別に設ける構造に比べ、部品点数を削減することが可能となっている。
【0074】
また、
図4に示すように、ベース部210の下面217(LEDヘッド100に対向する位置)には、金属製部材の一例としてのワイヤ261,262,263が左右方向に沿って設けられている。ワイヤ262は、左側のコイルバネ270、ワイヤ263、右側のコイルバネ270、トップカバー11の金属製の板金および本体フレームの金属製の板金を介して接地(アース)されている。また、ワイヤ261は、右側のコイルバネ270、トップカバー11の金属製の板金および本体フレームの金属製の板金を介して接地(アース)されている。
【0075】
詳しくは、支持フレーム200の前側に配置されるワイヤ263と、支持フレーム200の後側、かつ、右側に配置されるワイヤ261の右側の端部が、右側に配置されるコイルバネ270に接続されている。また、支持フレーム200の後側、かつ、左側に配置されるワイヤ262の左端部が、左側に配置されるコイルバネ270に接続されている。
【0076】
このように、支持フレーム200とLEDヘッド100の間に配置されたワイヤ261〜263を接地することによって、外部(ユーザの手など)からLEDヘッド100に向けて静電気が放電するのを抑制することが可能となっている。
【0077】
また、ワイヤ261〜263は、前述した2つの支持補助部材230の間隔よりも短い長さで形成されている(
図3参照)。詳しくは、後側のワイヤ261,262の左右長さを足し合わせた長さや、前側のワイヤ263の左右長さが、2つの支持補助部材230の間隔よりも短くなっている。
【0078】
このようにワイヤ261〜263を2つの支持補助部材230の間隔よりも短い長さで形成することで、例えばワイヤを2つの支持補助部材の間隔以上の大きさに形成するものに比べ、軽量化を図ることが可能となっている。すなわち、従来のように2つの支持補助部材が金属製である場合には、ワイヤを支持補助部材まで延ばして支持補助部材とともにアースする必要があるが、本実施形態では支持補助部材230が樹脂製であるため、ワイヤ261〜263を支持補助部材230まで延ばす必要がなく、短く形成することができ、軽量化を図ることが可能となっている。
【0079】
また、ベース部210の下面217(LEDヘッド100に対向する対向面)には、ワイヤ261〜263を保持するための複数のフック部280が形成されている。
図12(a),(b)に示すように、複数のフック部280は、左右方向において互いに間隔を空けて配置されており、ベース部210の下面217から下方(LEDヘッド100)に向けて突出する基部281と、当該基部281から前後方向(LEDヘッド100の短手方向)に突出してワイヤ261を保持する爪部282とを有している。
【0080】
そして、複数のフック部280のうち左右方向に隣接する少なくとも3つのフック部280は、各基部281が前後方向の一方と他方とに交互にずれるように配置され、各爪部282が前後方向外側(複数のフック部280の前後方向の中心位置CPから離れる方向)を向くように構成されている。言い換えると、左右方向に隣接する少なくとも3つのフック部280は、両端に位置する各爪部282が前方(前後方向の一方)を向き、真ん中に位置する爪部282が後方(前後方向の他方)を向き、両端に位置する各基部281のワイヤ支持面281Aよりも、真ん中に位置する基部281のワイヤ支持面281Aが後方(真ん中に位置する爪部282の向きの方向)にずれるように、配置されている。
【0081】
これにより、少なくとも3つのフック部280によってワイヤ261の一部がS字状に屈曲するので、S字状に屈曲した部分の弾性力によってワイヤ261をフック部280の基部281に付勢することができ、フック部280からワイヤ261が外れるのを抑えることが可能となっている。
【0082】
また、
図4および
図13に示すように、支持フレーム200には、本体フレーム10に設けられる本体側基板(図示略)と、LEDヘッド100内の前述した基板130とを電気的に接続するハーネス500を覆う樹脂製のハーネスカバー290が設けられている。これにより、外部(ユーザの手など)からハーネス500に静電気が放電するのを、ハーネスカバー290で抑えることが可能となっている。
【0083】
具体的に、ハーネスカバー290は、ベース部210に形成された凹形状のハーネス収容部218の開口を塞ぐカバーであり、ハーネス収容部218の開口と略同じ大きさで形成される板状の本体部291と、本体部291からハーネス500に向けて突出する保持部292とを有している。そして、ハーネス500は、ハーネス収容部218内において複数回折り畳まれており、この折り畳まれた部分が、ハーネスカバー290の保持部292と、ハーネス収容部218の底部に形成された複数のリブ219との間で挟まれて保持されている。
【0084】
これにより、ユーザがハーネス500(ハーネスカバー290に対して基板130とは反対側の部分)を引っ張った場合であっても、折り畳んだ部分が解かれることにより、ハーネス500と基板130との接続部分であるコネクタ510に負荷がかかるのを抑えることが可能となっている。
【0085】
[ホルダ300]
図5および
図14に示すように、ホルダ300は、複数のLEDユニット40に対応して複数設けられ、前述した本体部301の左右両端部に形成される回動軸320を介してトップカバー11に回動可能に支持されている。そして、複数のホルダ300は、トップカバー11の開閉に連動して動く連動機構600によって、トップカバー11が閉鎖位置から開放位置に移動する際にLEDユニット40の先端がトップカバー11の回転中心(回動軸11A:
図1参照)に近づく方向に回動するように構成されている。
【0086】
具体的に、ホルダ300の右端部には、後斜め上方に延びる延出部360が形成され、この延出部360の先端には、円柱状の連結突起361が形成されている。一方、連動機構600は、前後方向(トップカバー11の回転中心から先端に向かう方向)に沿って移動可能となる長尺状の連結部材610と、トップカバー11の開動作に連動して連結部材610を前方に移動させ、閉動作に連動して連結部材610を後方に移動させる公知の駆動機構とを備えている。
【0087】
そして、連結部材610には、複数のホルダ300の各連結突起361が回動可能に係合する複数の連結孔611,612が形成されており、複数のうち前側3つの連結孔611は円状に形成され、最も後方の連結孔612は長孔状に形成されている。すなわち、最も後方の連結孔612と最も後方の連結突起361が、遊びをもって係合するようになっている。
【0088】
これにより、トップカバー11を閉鎖位置から開放していく場合において、前側3つのLEDユニット40はトップカバー11に対して同じように傾いていくが、最も後方のLEDユニット40は、遊びによって、他のLEDユニット40よりも小さな角度だけしか回動しないようになっている。そのため、最も後方のLEDユニット40が、排紙トレイ11Bに干渉するのを抑えることが可能となっている。
【0089】
なお、このように一部の連結孔612を長孔状にした場合には、トップカバー11を開放位置から勢いよく閉じる際に、最も後方のLEDユニット40の連結突起361の移動が遊びによって許容されることで、LEDユニット40が大きく揺動してトップカバー11に干渉するおそれがある。これに対し、本実施形態では、ホルダ300の左右方向の両端部よりも内側に、前斜め上方(トップカバー11の先端側)に向けて突出する第3規制部370が設けられている。
【0090】
これにより、トップカバー11を勢いよく閉じる際に、最も後方のLEDユニット40が大きく揺動した場合であっても、第3規制部370がトップカバー11と接触することにより、LEDユニット40の回動を規制することが可能となっている。なお、本実施形態では、部品形状の共通化を図るべく、すべてのホルダ300に第3規制部370を設けたが、本発明はこれに限定されず、少なくとも連動機構600と遊びを持って係合するホルダ300に第3規制部370を設ければよい。
【0091】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0092】
前記実施形態では、回転軸250の端部に形成される溝252に嵌合する突出部234を嵌合部として例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば回転軸の先端から径方向外側に突出する突起と嵌合する凹部や孔であってもよい。
【0093】
前記実施形態では、金属製部材としてワイヤ261〜263を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば金属板などであってもよい。ただし、前記実施形態のように金属製部材をワイヤとした場合には、金属製部材を金属板とする構造に比べ、軽量化を図ることができる。
【0094】
前記実施形態では、複数の明滅部として左右方向に一列に配列された複数のLEDアレイを有するものを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、左右方向に並ぶ複数のLEDを前後に複数列有するものを複数の明滅部としてもよい。また、LEDや蛍光灯などの1つの発光素子と、発光素子の外側に、左右方向に並んだ複数の液晶またはPLZT素子の光学シャッタとで、複数の明滅部を構成してもよい。
【0095】
また、露光部材の光源としては、LEDに限らず、EL(エレクトロ・ルミネッセンス)素子や蛍光体などであってもよい。なお、露光部材で露光する対象は、前記実施形態のように感光体ドラム51に限らず、例えばベルト状の感光体であってもよい。
【0096】
前記実施形態では、カラープリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。