(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
記録材にトナー像を定着する定着部材と、当該定着部材の外周面に圧接することで当該定着部材との間に未定着画像を保持した記録材を通過させるための定着加圧部を形成する定着加圧部材と、を有する定着手段と、
前記定着手段から排出された記録材を搬送する搬送手段と、
前記定着手段と前記搬送手段との間に配され、当該定着手段から排出された記録材を前記搬送手段に向けて弧状に搬送する搬送経路を形成するように案内する案内手段と、
を備え、
前記案内手段は、
記録材の前記搬送経路に沿ってリブ状に形成され、予め定められた箇所が記録材に接触することで記録材を案内する案内部と、
前記案内部の前記予め定められた箇所から記録材の搬送方向下流側に設けられ、前記搬送経路から前記弧状の内側に向けて凹形状となる凹部と、
を有し、
前記予め定められた箇所は、前記凹部を形成することで生じる角部よりも記録材の搬送方向上流側に位置することを特徴とする画像形成装置。
前記搬送手段は、前記定着手段の前記定着部材の外周面および前記定着加圧部材の外周面の線速度より速い速度で記録材を搬送するように設定されることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、トナー像を定着した後に、記録材を排出する弧状の搬送路を形成するために、リブ状の案内部を有する案内部材を使用することがある。そして記録材とこの案内部との摩擦によりトナーが剥離し、剥離したトナーが記録材に再付着して記録材を汚すことがある。
本発明は、案内部によるトナーの剥離が生じても、剥離したトナーが記録材に再付着しにくい画像形成装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、記録材にトナー像を定着する定着部材と、当該定着部材の外周面に圧接することで当該定着部材との間に未定着画像を保持した記録材を通過させるための定着加圧部を形成する定着加圧部材と、を有する定着手段と、前記定着手段から排出された記録材を搬送する搬送手段と、前記定着手段と前記搬送手段との間に配され、当該定着手段から排出された記録材を前記搬送手段に向けて弧状に搬送する搬送経路を形成するように案内する案内手段と、を備え、前記案内手段は、記録材の前記搬送経路に沿ってリブ状に形成され、予め定められた箇所が記録材に接触することで記録材を案内する案内部と、前記案内部の前記予め定められた箇所から記録材の搬送方向下流側に設けられ、前記搬送経路から前記弧状の内側に向けて凹形状となる凹部と、を有
し、前記予め定められた箇所は、前記凹部を形成することで生じる角部よりも記録材の搬送方向上流側に位置することを特徴とする画像形成装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記案内手段の前記凹部は、記録材が前記案内部に接触することで剥離するトナーを堆積させる箇所として機能することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、前記搬送手段は、前記定着手段の前記定着部材の外周面および前記定着加圧部材の外周面の線速度より速い速度で記録材を搬送するように設定されることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置である。
請求項4に記載の発明は、前記案内手段は、前記案内部が形成される案内部形成面を有し、前記案内手段の前記凹部の底部は、前記案内部形成面と同程度の高さになることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置である。
【0008】
請求項5に記載の発明は、記録材にトナー像を定着する定着部材と、前記定着部材の外周面に圧接することで当該定着部材との間に未定着画像を保持した記録材を通過させるための定着加圧部を形成する定着加圧部材と、前記定着加圧部を通過した記録材を弧状に搬送する搬送経路を形成するように案内する案内手段と、を備え、前記案内手段は、記録材の前記搬送経路に沿ってリブ状に形成され、予め定められた箇所が記録材に接触することで記録材を案内する案内部と、前記案内部の前記予め定められた箇所から記録材の搬送方向下流側に設けられ、記録材が当該案内部に接触することで剥離するトナーを堆積させるトナー堆積部と、を有
し、前記トナー堆積部は、前記案内部を前記予め定められた箇所の記録材の搬送方向下流側を前記搬送経路から前記弧状の内側に向けて凹形状となるようにすることで設け、前記予め定められた箇所は、前記トナー堆積部を形成することで生じる角部よりも記録材の搬送方向上流側に位置することを特徴とする定着装置である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1、2の発明によれば、トナーの堆積量がある量を超えたときに、記録材へトナーが再付着することによる記録材の汚れを抑制できる。
請求項3の発明によれば、記録材のたるみを抑制し、記録材の搬送経路を確定させることができる。
請求項4の発明によれば、剥離したトナーが記録材に、より再付着しにくくなる。
請求項5の発明によれば、案内手段で剥離したトナーが記録材に再付着しにくくなる定着装置を提供することができる
。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<画像形成装置全体の説明>
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用された画像形成装置1の概略構成を示した図である。また
図2は、
図1の一部分を拡大した拡大図である。以下、
図1および
図2を参照し画像形成装置1について説明を行なう。
図1および
図2に示した画像形成装置1は、用紙(記録材)Pにトナー像を形成する画像形成部10と、画像形成部10により用紙Pに形成されたトナー像を用紙Pに定着する定着装置の一例としての定着部20と、用紙Pを収容し用紙Pを一枚ずつに捌いて画像形成部10に供給する用紙供給部30と、用紙Pの表裏を反転させる用紙反転機構40と、定着部20から排出された用紙Pを搬送する搬送手段の一例としての排出ロール75とから主要部が構成されている。
【0013】
また画像形成装置1には、着脱可能に設けられ、画像形成部10に供給されるトナーを収容したトナーカートリッジTCと、定着部20を通過した用紙Pが積載される用紙積載部YSとが設けられている。
さらに画像形成装置1には、画像形成装置1の上部に設けられたスキャナ200(画像読み取り装置)や不図示のパーソナルコンピュータ(PC)等からの画像データを受信する受信部400が設けられている。そして画像形成装置1には、画像形成部10、定着部20、および用紙供給部30、用紙反転機構40の動作全般を制御する制御部500と、受信部400にて受信された画像データに画像処理を施した後に画像形成部10に画像データを出力する画像処理部600とが設けられている。
【0014】
さらに画像形成装置1には、表示パネルにより構成されユーザからの指示を受け付けるとともにユーザに対してメッセージ等を表示するユーザインタフェース(UI)700が設けられている。なお、制御部500は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、およびHDD(Hard Disk Drive)(何れも不図示)により構成されている。CPUでは、処理プログラムが実行される。ROMには、各種プログラム、各種テーブル、パラメータ等が記憶されている。RAMは、CPUによる各種プログラムの実行時におけるワークエリア等として用いられる。
【0015】
画像形成部10には、プロセスカートリッジ100が設けられている。プロセスカートリッジ100は、画像形成装置1のフロント側(図中手前側)に引き抜くことで画像形成装置1から取り外しできるようになっている。また本実施の形態では、プロセスカートリッジ100を取り外すことにより、他のプロセスカートリッジ100を装着可能となっている。
【0016】
ここで、プロセスカートリッジ100には、感光体ドラム11、帯電装置12、現像装置14、クリーニング装置16が設けられている。またプロセスカートリッジ100には、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)などにより構成されるメモリMが取り付けられている。このメモリMには、プロセスカートリッジ100の種類を示す情報や、感光体ドラム11の回転数などプロセスカートリッジ100の使用状況に関する情報が格納される。また本実施の形態における画像形成装置1には、露光装置13と、転写手段の一例であって感光体ドラム11と共に用紙Pを挟持しつつ回転することでトナー像を用紙Pに転写する転写装置15とが設けられている。さらに画像形成装置1には、上記メモリMから情報を読み出すとともにこのメモリMに情報を書き込む読み出し/書き込み装置YKが設けられている。
【0017】
ここで、プロセスカートリッジ100に設けられた感光体ドラム11は、その外周面に感光層を備えており、図示しない駆動源を駆動させることにより図中矢印方向に回転する。帯電装置12は、感光体ドラム11に接触する帯電ロールを有し感光体ドラム11を予め定められた電位に帯電する。露光装置13は、レーザを感光体ドラム11に照射し帯電装置12により帯電した感光体ドラム11を選択的に露光して感光体ドラム11に静電潜像を形成する。また現像装置14は、現像ロールを有し感光体ドラム11上にトナー像を形成する。
【0018】
より具体的に説明すると、現像装置14には、例えば、負極性に帯電するトナー及び正極性に帯電するキャリアからなる2成分現像剤が収容されている。そしてこの現像装置14は、感光体ドラム11上に形成された静電潜像をトナーで現像して感光体ドラム11上にトナー像を形成する。転写装置15は、ロール状部材を有し転写装置15と感光体ドラム11との間(転写部Tp)に電界を形成しつつ感光体ドラム11の回転に従って回転することで、感光体ドラム11上のトナー像を用紙Pに転写する。またクリーニング装置16は、感光体ドラム11に接触するクリーニングブレードを有しこのクリーニングブレードを用いて感光体ドラム11上に残留するトナー等を除去する。なお本実施の形態では、上記のプロセスカートリッジ100および露光装置13を、トナー像を形成させるトナー像形成手段の一例として捉えることができる。
【0019】
定着部20は、画像形成部10により用紙Pに形成されたトナー像を加熱することで用紙Pに定着する。本実施の形態では、定着部20は、内部に加熱源を備える加熱ロール21と、加熱ロール21と対向して配され加熱ロール21と共に用紙Pを挟持するための加圧ロール22と、トナー像を定着後の用紙Pを案内する案内部材の一例としてのガイド部材23と、ガイド部材23に取り付けられ、加熱ロール21と用紙Pとの間に入り込むことで用紙Pを加熱ロール21から剥離させる爪部材24とを備える。
【0020】
加熱ロール21は、加熱源として内部に例えばハロゲンヒータが配置され、これにより発生する熱により加熱ロール21の表面を予め定められた温度に上昇させることができる。そのため定着部20に用紙Pが搬送され、加熱ロール21に接触すると用紙Pは加熱され、これにより用紙Pに形成されたトナー像が定着される。本実施の形態では、加熱ロール21は、用紙Pにトナー像を定着する定着部材として捉えることができる。
【0021】
また加圧ロール22は、加熱ロール21の外表面に圧接することで、加熱ロール21との間で互いに密着し、定着加圧部(ニップ部)を形成する。ここで加熱ロール21には、モータ等の駆動源が接続されており、この駆動源により加熱ロール21が回転すると、それに従い加圧ロール22が回転する。そのためこの定着加圧部に用紙Pが搬送されると、用紙Pを挟み込み、挟持しつつ用紙Pを搬送することができる。本実施の形態では、加圧ロール22は、加熱ロール21の外周面に圧接することで加熱ロール21との間に未定着画像を保持した用紙Pを通過させるための定着加圧部を形成する定着加圧部材として捉えることができる。また本実施の形態では、加熱ロール21および加圧ロール22により定着手段が構成される。
【0022】
ガイド部材23は、定着手段と排出ロール75との間に配される。そして定着加圧部を通過した用紙Pを排出ロール75に向けて案内する。これは、ガイド部材23は、定着手段を通過した用紙Pを排出ロール75に向けて案内すると言い換えることもできる。詳しくは後述するがガイド部材23の予め定められた箇所にリブ状の案内部が形成されており、この案内部と用紙Pとが接触することで、用紙Pの搬送方向が規定される。そしてガイド部材23により用紙Pは、排出ロール75に導かれる。
【0023】
爪部材24は、加熱ロール21に付着した用紙Pを剥離させるための図示しない爪部を先端に有する。そして爪部材24は、図示しないバネ部材等の弾性部材により加熱ロール21に付勢される。その結果、爪部材24先端の爪部は、予め定められた圧力で加熱ロール21に接触し、密着する。この状態で加熱ロール21に付着した用紙Pが搬送されると、加熱ロール21と用紙Pとの間にこの爪部材24先端の爪部が入り込み、加熱ロール21から用紙Pを剥離させることができる。そして剥離した用紙Pは、爪部材24の上面により案内され、ガイド部材23に送られる。
【0024】
用紙供給部30は、異なるサイズの用紙Pを画像形成部10に対して供給可能なように第1給紙部31〜第3給紙部33を備えている。第1給紙部31〜第3給紙部33は同様に構成されている。第1給紙部31を一例に説明すると、第1給紙部31は、用紙Pを収容する記録材収容部の一例としての用紙収容部41、引き込みロール43、および捌き機構44を備える。用紙収容部41は、上部に開口を有するとともに直方体状の形状を有しておりその内部に用紙Pを複数枚収容する。引き込みロール43は、用紙収容部41に収容される用紙束のうち最上位の用紙Pに接触しこの最上位の用紙Pを捌き機構44に向けて送り出す。捌き機構44は、例えば回転可能なフィードロールと回転が制限されたリタードロールとによって構成され、引き込みロール43により送り出された用紙Pを一枚ずつに捌く。
【0025】
また用紙供給部30には、レジストレーションロール(レジロール)852が設けられている。このレジロール852は、回転を停止した状態で用紙Pの搬送を一時的に止め、予め定められたタイミングにて回転を行うことにより、転写部Tpに対してレジストレーション調整を施しながら用紙Pを供給する。また用紙供給部30には、搬送手段の一例であって第2給紙部32から搬送されてきた用紙Pをレジロール852や転写部Tpに向けて搬送する第1搬送ロール55と、同様に搬送手段の一例であって第3給紙部33から搬送されてきた用紙Pを第1搬送ロール55に向けて搬送する第2搬送ロール65が設けられている。
【0026】
用紙反転機構40は、定着部20を通過した用紙Pの表裏を反転させてこの用紙Pを転写部Tpに再度供給する。つまり用紙反転機構40は、定着部20により用紙Pの第1面にトナー像が定着された後に用紙Pの第1面と第2面を反転させ、用紙Pを転写装置15に再度供給する反転手段の一例である。また用紙反転機構40には、反転用搬送経路SR上の用紙Pを搬送する搬送ロール48が設けられている。
【0027】
排出ロール75は、定着部20から排出されガイド部材23により案内された用紙Pを搬送し、用紙積載部YSに排出する。
排出ロール75は、第1の排出ロール75aと第2の排出ロール75bとからなる。なお詳しくは後述するが、第2の排出ロール75bは、ガイド部材23に設けられた第2の排出ロール取り付け部を利用して取り付けられている。
ここで第1の排出ロール75aには図示しないモータ等の駆動源が接続されており、この駆動源により第1の排出ロール75aが回転する。また第2の排出ロール75bは、第1の排出ロール75aの回転に従って回転する。そして第1の排出ロール75aと第2の排出ロール75bとで用紙Pを挟持して搬送する。
【0028】
また第1の排出ロール75a表面の線速度は、加熱ロール21および加圧ロール22の表面の線速度より速くなるように設定されている。即ち、加熱ロール21に例示される定着部材の外周面および加圧ロール22に例示される定着加圧部材の外周面の線速度より速い速度で用紙Pを搬送するようにその回転速度が設定されている。これにより用紙Pには、引張り応力が作用し、用紙Pにたるみが生じるのを抑制することができる。そして用紙Pの搬送経路を確定させることができ、用紙Pの紙詰まり(ジャム)が生じるのを抑制することができる。なおこのとき第1の排出ロール75aにより用紙Pを引張る力より、定着加圧部において加熱ロール21と加圧ロール22とが圧接することによる用紙Pを保持しようとする力の方が強い。そのため上述したように第1の排出ロール75aの回転速度を設定しても、実際には、第1の排出ロール75a表面の線速度で用紙Pを搬送することはできず、第1の排出ロール75aと用紙Pとの間で滑りが生じる。そしてこの滑りを生じさせることで、第1の排出ロール75aによる用紙Pの引張りすぎによる弊害を抑制している。
【0029】
画像形成装置1の用紙搬送経路としては、用紙供給部30に収容された用紙Pをレジロール852、転写部Tp、定着部20を通過させる用紙搬送経路YRが設けられている。また画像形成装置1では、用紙反転機構40に、定着部20の下流側にて用紙搬送経路YRから分岐し且つレジロール852の上流側にて用紙搬送経路YRに合流する反転用搬送経路SRが設けられている。この反転用搬送経路SRは、用紙Pの第1面のみならず第2面にも画像を形成する場合、即ち用紙Pの両面印刷時に使用される。
【0030】
<画像形成動作の説明>
ここで用紙Pに画像が形成される際には、図示しないパーソナルコンピュータ等にて形成された画像データが受信部400にて受信され、受信部400から画像処理部600へこの画像データが出力される。そして画像処理部600にて、画像データに対して画像処理が施される。そして画像処理が施された画像データは、露光装置13に出力される。画像データを取得した露光装置13は、帯電装置12により帯電した感光体ドラム11を選択的に露光して静電潜像を形成する。そして、形成された静電潜像は、現像装置14により例えば黒(K)色のトナー像として現像される。つまり本実施の形態の画像形成装置1は、単色のトナー像を現像する。
【0031】
一方、用紙供給部30では、画像形成のタイミングに合わせて引き込みロール43が回転し、用紙収容部41から用紙Pが供給される。そして、捌き機構44により一枚ずつに捌かれた用紙Pは、レジロール852まで搬送され、一旦、停止される。その後、感光体ドラム11の回転タイミングに合わせてレジロール852が回転し、用紙Pが転写部Tpに供給される。そして、この転写部Tpにおいて感光体ドラム11に形成されたトナー像が用紙Pに転写される。この場合、感光体ドラム11は、転写を行なうために用いられる回転体として把握することができる。
その後、トナー像が転写された用紙Pは、定着部20にて定着処理を受け、排出ロール75によってスキャナ200の下部に位置する用紙積載部YSに排出される。
【0032】
なお用紙Pに両面印刷を行なう際には、定着部20を通過した用紙Pは、排出ロール75によっていったん用紙積載部YSに向けて搬送される。ただし排出ロール75は、用紙Pを完全には排出せず、用紙Pの途中で回転を停止する。そして画像形成部10による第2面の画像形成の開始タイミングに合わせて排出ロール75が用紙Pを排出する方向とは逆に回転し、用紙Pを反転用搬送経路SRに送り出す。更に用紙Pは、用紙反転機構40を通過することで表裏が反転されたうえで転写部Tpに再度供給される。そしてこの転写部Tpにて、感光体ドラム11に形成されたトナー像が用紙Pの第2面に転写される。更に第2面にトナー像が転写された用紙Pは、定着部20によって定着処理を受ける。そして画像が形成された用紙Pは用紙積載部YSに排出される。
【0033】
<ガイド部材の説明>
次にガイド部材23について更に詳しく説明する。
図3は、ガイド部材23について説明した斜視図である。また
図4は、ガイド部材23をIV方向から見た図である。
図示するようにガイド部材23は、用紙Pの搬送方向に沿って形成され、用紙Pの搬送方向上流側に配されるリブ231と、用紙Pの搬送方向に沿って形成され、用紙Pの搬送方向下流側に配されるリブ232と、第2の排出ロール75b(
図2参照)を取り付けるために利用される第2の排出ロール取り付け部233と、爪部材24(
図2参照)を取り付けるための爪部材取り付け部234とを備える。また
図3に示すように、リブ231は、ガイド部材23に6つ設けられており、本実施の形態では、この複数のリブ231により用紙Pの搬送方向に沿ってリブ状に形成される案内部が構成される。そしてリブ231は、案内部形成面の一例であるリブ形成面235に形成されている。
【0034】
リブ231およびリブ232は、予め定められた箇所が用紙Pに接触することで用紙Pを案内する。用紙Pは、まずリブ231の予め定められた箇所で接触し、さらにリブ232の予め定められた箇所で接触することで、用紙Pを弧状に搬送する搬送経路が形成される。そしてこれにより排出ロール75の第1の排出ロール75a(
図2参照)と、第2の排出ロール75b(
図2参照)の間に用紙Pの先端部が誘導される。そして用紙Pの先端部が第1の排出ロール75aと第2の排出ロール75bの間に入り込むと、用紙Pは、第1の排出ロール75aと第2の排出ロール75bとで挟持され、第1の排出ロール75aによる回転力により引張られる。これにより用紙Pは、排出ロール75から用紙積載部YS(
図1参照)に向けてさらに搬送されていく。
本実施の形態では、このようにガイド部材23と用紙Pとが接触する箇所を、用紙Pの搬送方向に沿って形成されるリブ231およびリブ232とすることで、用紙Pとの摩擦力を軽減している。
【0035】
第2の排出ロール取り付け部233は、複数の第2の排出ロール75bを図示しないシャフトに通し、このシャフトを取り付けるために形成される。そしてこれにより第2の排出ロール75bは、予め定められた箇所に配置される。
【0036】
爪部材取り付け部234は、複数の爪部材24を取り付けるために形成される。このとき爪部材24は、爪部材取り付け部234において用紙搬送面の法線方向に回転可能なように取り付けられる。そして爪部材24は、図示しないバネ部材等の弾性部材により加熱ロール21(
図2参照)に付勢され、爪部材24の先端部が加熱ロール21に密着する。そして加熱ロール21に用紙Pが付着したまま定着加圧部から排出されると、用紙Pと加熱ロール21との間に爪部材24の先端部が入り込み、用紙Pを加熱ロール21から剥離させる。本実施の形態では、爪部材取り付け部234は5箇所に設けられており、5つの爪部材24が取り付けられる。
【0037】
ここで上述したように第1の排出ロール75a表面の線速度は、加熱ロール21および加圧ロール22の表面の線速度より速くなるように設定されている。これにより排出ロール75により用紙Pが搬送されるときには、用紙Pに引張り応力が作用している。そしてこの引張り応力に起因して、ガイド部材23で用紙Pを案内するとき、用紙Pは、ガイド部材23に押しつけられる。そしてこの押しつける力は特にリブ231と接触する箇所で強い。
【0038】
ガイド部材23を通過するとき用紙Pは、定着加圧部を通過した直後であり、比較的高温の状態となっている。そのため用紙Pに形成されたトナー像はまだ柔らかく、剥離しやすい状態にある。この状態で、用紙Pがガイド部材23のリブ231に強く押しつけられると、用紙Pとリブ231との間に働く摩擦力によって、定着されたトナーが剥離し、リブ231に付着し、堆積する。このトナーが堆積する箇所は、用紙Pの搬送方向下流側であって、用紙Pとリブ231が接触する箇所に隣接する位置である。そしてトナーの堆積量がある量を超えると、このトナーが搬送される用紙Pに再付着し、用紙Pに用紙搬送方向に伸びる筋状の汚れを生じさせる。
【0039】
そこで本実施の形態では、用紙Pとリブ231が接触する箇所から用紙Pの搬送方向下流側に設けられ、搬送経路から弧状の内側に向けて凹形状となる凹部とすることでこの現象の抑制を図っている。具体的には、リブ231のこの位置に切り欠き部231aを形成することで凹部を形成する。
【0040】
図5は、リブ231に形成される切り欠き部231aについて説明した図である。
図5では、
図4において切り欠き部231aが形成される箇所を拡大して図示している。ここで領域Aとして図示した箇所は、リブ231と用紙Pとが接触する箇所である。本実施の形態では、用紙Pの搬送方向下流側であって、この領域Aに隣接する位置に切り欠き部231aを設けている。そして図示するように用紙Pから剥離したトナーTは、この切り欠き部231aに堆積する。即ち、切り欠き部231aは、用紙Pがリブ231に接触することで剥離するトナーTを堆積させるトナー堆積部として機能する。
なお本実施の形態で、切り欠き部231aを図示する位置ではなく、領域Aに形成した場合、切り欠き部231aを形成することで生じる角部231bが用紙Pに接触することになる。この場合、角部231bが用紙Pにダメージを与え、用紙Pに用紙搬送方向に伸びる筋状の変形が生じる。そのため切り欠き部231aは、領域Aから外して形成することが必要である。
【0041】
図6(a)〜(b)は、切り欠き部231aを設けた場合と設けなかった場合とで、剥離したトナーTが堆積する状態を説明した図である。ここで、
図6(a)は、切り欠き部231aを設けた場合であり、
図5と同様の図である。一方、
図6(b)は、切り欠き部231aを設けなかった場合を示している。
図6(b)において、剥離したトナーTは、
図6(a)の場合と同様に用紙Pの搬送方向下流側であって、用紙Pとリブ231が接触する箇所に隣接する位置に堆積する。ただし、切り欠き部231aが形成されていないため、トナーTと用紙Pとの距離は小さい。そのため堆積したトナーTが用紙Pに再付着しやすい。対して
図6(a)の場合は、剥離したトナーTがリブ231に堆積したとしても、このトナーTは、切り欠き部231aに堆積する。そのため堆積したトナーTは用紙Pからより離間する状態となり、堆積したトナーTが用紙Pに再付着する現象が生じにくくなる。
【0042】
またトナーTが用紙Pに再付着するまでには、
図6(b)の場合に対して、より高い位置まで堆積する必要があるが、幅の狭いリブ231上で用紙Pに届くまで堆積することは困難である。即ち、用紙Pに届くまで堆積する以前に振動等の影響により、堆積したトナーTが、リブ231からまとめて剥がれ落ちてしまう。このような観点から、切り欠き部231aはより深く形成した方がより好ましい。例えば、切り欠き部231aの底部は、リブ形成面235(
図3参照)と同程度の高さとなるようにしてもかまわない。
【0043】
以上説明したように本実施の形態のガイド部材23では、剥離したトナーTが用紙Pに再付着することが生じにくく、そのため用紙Pに筋状の汚れが生じることを抑制できる。
なおガイド部材23は、例えば、樹脂等を射出成形する方法で製造することができる。そしてこのとき切り欠き部231aを有するリブ231も共に形成することができる。ただし、ガイド部材23を製造した後に、リブ231を削ることで切り欠き部231aを形成させ、本実施のガイド部材23を製造することを排除するものでないことは勿論である。
【0044】
また用紙P上のトナーが剥離するのを抑制するため、例えば領域Aに、コロを取り付けるような形態も考えられる。即ち、このコロと用紙Pとを接触させ、コロを回転させることで、用紙Pを案内する。この場合、コロが回転するため、コロと用紙Pとの間に働く摩擦はわずかである。そのため摩擦によりトナーが用紙Pから剥離することを抑制できる。しかしながらこの形態では、コロを取り付けるためにガイド部材23の形状が複雑になるとともに、コロやこのコロを取り付けるためのシャフトなどの別部材が必要となる。そのためガイド部材23の製造費用が増加する。
【0045】
さらに用紙P上のトナーが剥離するのを抑制するため、例えば領域Aに、摩擦を低減するためのコーティングを施したシャフトを設置するような形態も考えられる。この場合、やはりシャフトと用紙Pとの間に働く摩擦が低減されるため、摩擦によりトナーが用紙Pから剥離することを抑制できる。しかしながらこの形態においても、シャフトを取り付けるためにガイド部材23の形状が複雑になるとともにシャフト等の別部材が必要となり、ガイド部材23の製造費用が増加する。さらに摩擦を低減するためにシャフトに施されたコーティングが剥がれやすく、ガイド部材23の製品寿命が短いという欠点もある。
【0046】
一方、本実施の形態では、上述したような別部材は必要ない。よって剥離したトナーが再付着する現象を抑制しつつ、ガイド部材23の製造費用を低減できるという点で上記方法より優れている。
【0047】
なお以上詳述した例では、画像形成装置1は、単色のトナーにより画像を形成する装置であったが、これに限られるものではなく、例えば、Y(イエロー)色、M(マゼンタ)色、C(シアン)色、K(黒)色等の複数色のトナーによりカラー画像を形成する装置であってもよい。
また以上詳述した例では、定着手段は、加熱ロール21と加圧ロール22の2つのロールにより構成されるいわゆる2ロールタイプであったが、これに限られるものではなく、この2つのロールのうち一方または双方がベルト部材で構成されていてもよい。