特許第5987491号(P5987491)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5987491
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】車両用シート装置の防振構造
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/54 20060101AFI20160825BHJP
【FI】
   B60N2/54
【請求項の数】5
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2012-140218(P2012-140218)
(22)【出願日】2012年6月21日
(65)【公開番号】特開2014-4862(P2014-4862A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2015年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】山田 幸史
(72)【発明者】
【氏名】後藤 直希
【審査官】 小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−162183(JP,A)
【文献】 特開2011−201378(JP,A)
【文献】 実開平02−106930(JP,U)
【文献】 実開昭60−081131(JP,U)
【文献】 実開昭53−133326(JP,U)
【文献】 特開2002−120621(JP,A)
【文献】 実開平05−065658(JP,U)
【文献】 米国特許第02757712(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ートクッションを支持する支持部材と、
前記支持部材を支持するレール部材と、
前記レール部材と前記支持部材とを固定する固定手段と、を備え、
前記支持部材及び前記レール部材は、シートクッションの前方変位に対応する第1相対方向及び後方変位に対応する第2相対方向において互いに相対移動可能に設けられ、
前記固定手段は、
前記レール部材側及び支持部材側の両固定部を貫通する軸部と前記両固定部を挟む離間した位置において前記軸部に設けられる一対の鍔部とを有して両鍔部間における前記第1相対方向及び第2相対方向の相対移動を許容しつつ前記両固定部を固定する固定部材と、
前記両固定部とともに両鍔部間に挟み込まれ前記支持部材側の固定部を前記第2相対方向に付勢して、前記第1相対方向に移動する前記支持部材に対しては抵抗力を付与する一方、前記第2相対方向に移動する前記支持部材に対しては前記抵抗力を付与しない弾性部材と、を備え
前記固定手段として、前記第1相対方向及び第2相対方向が互いに逆向きとなる位置に設けられた第1及び第2の固定手段を有すること、
を特徴とする車両用シート装置の防振構造。
【請求項2】
両の前後方向において相対移動可能に配置されるロアレール及びアッパレールを有してシートクッションを支持するシートスライド機構と、
前記ロアレールと前記アッパレールとの間の相対移動を規制可能なロック機構と、を備え、
前記ロック機構は、前記アッパレールに支持された支持軸と、該支持軸を中心に回動するロックレバーとを有し、該ロックレバーに形成された係合部と前記ロアレールに形成された被係合部とが係合することにより、前記ロアレールと前記アッパレールとの相対移動を規制するものであって、
前記アッパレールは、幅方向に対向配置された一対の側壁部を有し、
前記支持軸は、前記両側壁部に形成された支持孔間に架け渡され
前記支持軸は、前記両側壁部に対して、シートクッションの前方変位に対応する第1相対方向である前記車両の後方向、及び後方変位に対応する第2相対方向である前記車両の前方向において相対移動可能に設けられ、
前記各支持孔は、前記支持軸よりも車両後方側の位置に前記車両の前後方向に対して斜交する傾斜面であって、前記第1相対方向に移動する前記支持軸に対しては抵抗力を付与する一方、前記第2相対方向に移動する前記支持軸に対しては前記抵抗力を付与しない傾斜面を有して前記車両の前後方向における前記支持軸の相対移動を許容可能に形成されること、を特徴とする車両用シート装置の防振構造。
【請求項3】
請求項に記載の車両用シート装置の防振構造において、
前記支持軸を前記第2相対方向に付勢可能な付勢手段を備えること、
を特徴とする車両用シート装置の防振構造。
【請求項4】
ートバックを支持する支持ブラケットと、
シートクッションの骨格を構成するサイドフレームと、
前記支持ブラケット及び前記サイドフレームを貫通する軸部を有して前記サイドフレームの側面に前記支持ブラケットとを固定する固定部材と、を備え、
前記軸部と、前記サイドフレーム又は前記支持ブラケットの一方とは、シートバックの前方変位に対応する第1相対方向及び後方変位に対応する第2相対方向において互いに相対移動可能に設けられ、
前記サイドフレーム又は前記支持ブラケットの一方には、前記第1相対方向及び前記第2相対方向において相対移動可能に前記軸部が挿通される挿通孔が形成され
前記挿通孔内には、前記第1相対方向に向かう前記軸部の相対移動により圧縮されて、前記第1相対方向に移動する前記軸部に対しては抵抗力を付与する一方、前記第2相対方向に移動する前記軸部に対しては前記抵抗力を付与しない弾性体が介在されること、を特徴とする車両用シート装置の防振構造。
【請求項5】
請求項に記載の車両用シート装置の防振構造において、
前記支持ブラケット及び前記サイドフレームは、前記第1相対方向及び第2相対方向が互いに逆向きとなる第1及び第2位置において固定されること、
を特徴とする車両用シート装置の防振構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シート装置の防振構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用シート装置の防振構造としては、例えば、特許文献1や特許文献2に示されるものがある。即ち、特許文献1には、シートバックのサイドフレーム(の下端部)を外フレームの内側に内フレームが配置された内外二重構造とするとともに、これら外フレームと内フレームとの間に弾性体を介在させる構成が開示されている。また、特許文献2には、シートクッションのサイドフレームと当該サイドフレーム間を接続するロッドとの間に弾性部材を介在させる構成が開示されている。そして、何れにおいても、その構成部材間に介在された弾性部材によって、上方に支持されたシート要素(シートバック、シートクッション)が変位するエネルギーを減少させることにより、そのシート振動を低減させる構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−235727号公報
【特許文献2】特表2011−510863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このようにシート装置の構成部材間に弾性部材を介在させることによって、そのシート剛性が低下するという問題がある。尚、特許文献2の防振構造では、そのロッドの一端側のみに弾性体が介在されており、これによって、そのシート剛性の低下が抑えられている。しかしながら、その要求水準が最も高い車両後方側については、より一層の剛性確保が求められているのが実情であり、この点において、なお改善の余地を残すものとなっていた。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、より高い車両後方側のシート剛性を確保することのできる車両用シート装置の防振構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項に記載の発明は、シートクッションを支持する支持部材と、前記支持部材を支持するレール部材と、前記レール部材と前記支持部材とを固定する固定手段と、を備え、前記支持部材及び前記レール部材は、シートクッションの前方変位に対応する第1相対方向及び後方変位に対応する第2相対方向において互いに相対移動可能に設けられ、前記固定手段は、前記レール部材側及び支持部材側の両固定部を貫通する軸部と前記両固定部を挟む離間した位置において前記軸部に設けられる一対の鍔部とを有して両鍔部間における前記第1相対方向及び第2相対方向の相対移動を許容しつつ前記両固定部を固定する固定部材と、前記両固定部とともに両鍔部間に挟み込まれ前記支持部材側の固定部を前記第2相対方向に付勢して、前記第1相対方向に移動する前記支持部材に対しては抵抗力を付与する一方、前記第2相対方向に移動する前記支持部材に対しては前記抵抗力を付与しない弾性部材と、を備え、前記固定手段として、前記第1相対方向及び第2相対方向が互いに逆向きとなる位置に設けられた第1及び第2の固定手段を有すること、を要旨とする。
【0009】
即ち、シートクッションを支持する支持部材は、当該支持部材を支持するレール部材上に固定されている。このため、シート要素であるシートクッションが車両の前後方向に変位する際、当該シートクッションは、その後端部又は前端部の一方が持ち上り、他方側が下がるように傾動する。そして、これにより、支持部材の固定部が、固定部材を構成する軸部に沿って、レール部材の固定部から離間、又は近接する方向に相対移動することになる。
【0010】
従って、上記構成によれば、シートクッションの前方変位時には、その第1相対方向に移動する支持部材の固定部に対して、弾性部材の弾性力に基づいた抵抗力が付与される。即ち、その弾性部材が抵抗力付与手段として機能する。そして、これにより、シートクッションが前方に変位するエネルギーを減少させることで、そのシート振動を低減することができる。
【0011】
一方、シートクッションの後方変位時、支持部材の固定部は、その第2相対方向に移動するに際して、特段の抵抗力を受けない。従って、その第2相対方向への移動は、第2規制壁を構成する鍔部によって、速やかに規制されることになる。そして、これにより、シートクッションの後方変位が抑えられることで、より高い車両後方側のシート剛性を確保することができる。
【0012】
さらに、シートクッションの前方変位が過大な場合、支持部材の固定部は、第1規制壁を構成する他方側の鍔部によって、その第1相対方向に向かう相対移動が規制される。そして、これにより、その要求される車両前方側のシート剛性を確保することができる。
【0013】
また、前記第1相対方向及び第2相対方向が互いに逆向きとなる位置に設けられた第1及び第2の固定手段を有する構成によれば、より効果的に、シートクッションの後方変位を抑えつつ、当該シートクッションが前方に変位するエネルギーを減少させることができる。その結果、より高い車両後方側のシート剛性を確保しつつ、好適に、そのシート振動を低減することができる。
【0014】
請求項に記載の発明は、車両の前後方向において相対移動可能に配置されるロアレール及びアッパレールを有してシートクッションを支持するシートスライド機構と、前記ロアレールと前記アッパレールとの間の相対移動を規制可能なロック機構と、を備え、前記ロック機構は、前記アッパレールに支持された支持軸と、該支持軸を中心に回動するロックレバーとを有し、該ロックレバーに形成された係合部と前記ロアレールに形成された被係合部とが係合することにより、前記ロアレールと前記アッパレールとの相対移動を規制するものであって、前記アッパレールは、幅方向に対向配置された一対の側壁部を有し、前記支持軸は、前記両側壁部に形成された支持孔間に架け渡され、前記支持軸は、前記両側壁部に対して、シートクッションの前方変位に対応する第1相対方向である前記車両の後方向、及び後方変位に対応する第2相対方向である前記車両の前方向において相対移動可能に設けられ、前記各支持孔は、前記支持軸よりも車両後方側の位置に前記車両の前後方向に対して斜交する傾斜面であって、前記第1相対方向に移動する前記支持軸に対しては抵抗力を付与する一方、前記第2相対方向に移動する前記支持軸に対しては前記抵抗力を付与しない傾斜面を有して前記車両の前後方向における前記支持軸の相対移動を許容可能に形成されること、を要旨とする。
【0015】
上記構成によれば、シートクッションの前方変位時、支持軸は、見かけ上、支持孔内を車両後方側に相対移動しようとする。そして、支持軸は、その車両後方側の位置に形成された傾斜面上を摺動するように支持孔内を相対移動することで、その車両後方側への相対移動が許容される。即ち、支持軸は、傾斜面上を摺動することにより、抵抗力を受けつつシートクッションの前方変位に対応する第1相対方向に移動する。そして、これにより、その傾斜面が抵抗力付与手段として機能することで、シート要素としてのシートクッションが前方に変位するエネルギーを減少させることができる。その結果、そのシート振動を低減することができる。
【0016】
また、シートクッションの後方変位時、支持軸は、見かけ上、支持孔内を車両前方側に相対移動しようとする。このとき、支持軸は、そのシートクッションの後方変位に対応する第2相対方向に移動するに際して、特段の抵抗力を受けない。従って、その第2相対方向に向かう支持軸の移動は、当該支持軸よりも車両前方側に位置する支持孔の内周面が第2規制壁として機能することで、速やかに規制されることになる。そして、これにより、シートクッションの後方変位が抑えられることによって、より高い車両後方側のシート剛性を確保することができる。更に、シートクッションの前方変位が過大な場合には、上記傾斜面を含む支持軸よりも車両後方側に位置する支持孔の内周面が第1規制壁として機能する。そして、これにより、その第1相対方向に向かう支持軸の相対移動が規制されることで、その要求される車両前方側のシート剛性を確保することができる。
【0017】
請求項に記載の発明は、前記支持軸を前記第2相対方向に付勢可能な付勢手段を備えること、を要旨とする。
上記構成によれば、第1相対方向に移動する支持軸に対して、その付勢力に基づく抵抗力を付与することができる。即ち、この付勢手段もまた、抵抗力付与手段として機能する。また、第2規制壁を構成する車両前方側の内周面に対して予め支持軸を当接させておくことができる。そして、これにより、より速やかにシートクッションの後方変位を抑えることができ、その結果、より高い車両後方側のシート剛性を確保することができるようになる。
【0018】
請求項に記載の発明は、シートバックを支持する支持ブラケットと、シートクッションの骨格を構成するサイドフレームと、前記支持ブラケット及び前記サイドフレームを貫通する軸部を有して前記サイドフレームの側面に前記支持ブラケットとを固定する固定部材と、を備え、前記軸部と、前記サイドフレーム又は前記支持ブラケットの一方とは、シートバックの前方変位に対応する第1相対方向及び後方変位に対応する第2相対方向において互いに相対移動可能に設けられ、前記サイドフレーム又は前記支持ブラケットの一方には、前記第1相対方向及び前記第2相対方向において相対移動可能に前記軸部が挿通される挿通孔が形成され、前記挿通孔内には、前記第1相対方向に向かう前記軸部の相対移動により圧縮されて、前記第1相対方向に移動する前記軸部に対しては抵抗力を付与する一方、前記第2相対方向に移動する前記軸部に対しては前記抵抗力を付与しない弾性体が介在されること、を要旨とする。
【0019】
上記構成によれば、シート要素としてのシートバックの前方変位時、固定部材の軸部は、それぞれ、その挿通孔内に設けられた弾性体を圧縮しつつ当該挿通孔内を第1相対方向に向かって移動する。そして、その弾性体の弾性力に基づいて、第1相対方向に移動する軸部に抵抗力が付与される。即ち、弾性体が抵抗力付与手段として機能することで、そのシート要素としてのシートバックが前方に変位するエネルギーを減少させることができる。そして、これにより、そのシート振動を低減することができる。
【0020】
一方、シートバックの後方変位時、軸部は、挿通孔内を第2相対方向に移動しようとする。このとき、弾性体が圧縮されることはなく、故に、軸部は、そのシートバックの後方変位に対応する第2相対方向への移動に際して、特段の抵抗力を受けない。従って、その第2相対方向に向かう軸部の移動は、当該軸部よりも第2相対方向側に位置する挿通孔の内周面が第2規制壁として機能することによって、速やかに規制されることになる。そして、これにより、シートバックの後方変位が抑えられることで、より高い車両後方側のシート剛性を確保することができる。
【0021】
さらに、シートバックの前方変位が過大な場合には、弾性体が圧縮限界に到達することで、その軸部よりも第1相対方向に位置する挿通孔の内周面が第1規制壁として機能する。そして、これにより、その第1相対方向に向かう軸部の相対移動が規制されることで、その要求される車両前方側のシート剛性を確保することができる。
【0022】
請求項に記載の発明は、前記支持ブラケット及び前記サイドフレームは、前記第1相対方向及び第2相対方向が互いに逆向きとなる第1及び第2位置において固定されること、を要旨とする。
【0023】
上記構成によれば、より効果的に、シートバックの後方変位を抑えつつ、当該シートバックが前方に変位するエネルギーを減少させることができる。その結果、より高い車両後方側のシート剛性を確保しつつ、好適に、そのシート振動を低減することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、より高い車両後方側のシート剛性を確保することが可能な車両用シート装置の防振構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明にかかる車両用シート(シート装置)の斜視図。
図2】(a)は、シートスライド機構及びサイドフレームの平面図、(b)は、同じく側面図。
図3】アッパレールとサイドフレームとの固定構造を示す断面図(A−A断面)。
図4】シートスライド機構の斜視図。
図5】シートスライド機構及びロック機構の分解斜視図。
図6】(a)は、シートスライド機構の平面図、(b)は、同じく側面図。
図7】(a)は、シートスライド機構及びロック機構のB−B断面図、(b)は、同じくC−C断面図。
図8】シートスライド機構及びロック機構のE−E断面図。
図9】ロックレバーの支持軸及び当該支持軸を支持する支持孔の概略構成図。
図10】シートクッションのサイドフレーム及び当該サイドフレームに固定されてシートバックを支持する支持ブラケットの側面図。
図11】支持ブラケットの下端部近傍の側面図。
図12】(a)(b)は、サイドフレームと支持ブラケットとの固定構造を示す断面図((a)は、G−G断面、(b)は、H−H断面)。
図13】(a)(b)は、支持ブラケットの下端部に形成された挿通孔の断面図((a)は、I−I断面、(b)は、J−J断面)。
図14】第3の実施形態における防振構造の作用説明図。
図15】別例の車両用シート(シート装置)の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1の実施形態]
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、車両用のシート1は、シートクッション2と、このシートクッション2の後端部2aに対して傾動自在に設けられたシートバック3とを備えている。
【0027】
詳述すると、車両の床部Fには、それぞれ、ベースブラケット4を介して車両前後方向に延びる二本のロアレール5が並列に配置されている。また、これら各ロアレール5には、当該ロアレール5上を車両前後方向に相対移動可能なアッパレール6が装着されている。そして、シート1は、これらのロアレール5及びアッパレール6が構成するシートスライド機構10上に支持されている。
【0028】
具体的には、図1及び図2(a)(b)に示すように、本実施形態のシート1は、そのシートクッション2の骨格を構成する左右一対のサイドフレーム11が各アッパレール6に固定されることにより、当該各アッパレール6と一体に車両前後方向に移動することが可能となっている。そして、本実施形態では、このシートスライド機構10の機能を利用することにより、その車両前後方向におけるシート位置調整が可能となっている。
【0029】
図3に示すように、本実施形態の各アッパレール6は、その上端部(同図中、上側の端部)に略平板状に形成された天板部12を備えている。また、シート1(シートクッション2)側の各サイドフレーム11には、その車両前方側の端部近傍(同図中、左側の端部近傍)及び車両後方側(同図中、右側の端部近傍)の二箇所に略平板状の底板部13,14が形成されている。そして、各アッパレール6及び各サイドフレーム11は、その天板部12と底板部13,14とが、固定部材としてのボルト15及びナット16によって締結されることにより、その車両前後方向において一体移動可能に固定されている。
【0030】
さらに詳述すると、サイドフレーム11における車両前方側の底板部13には、貫通孔21が形成され、車両後方側の底板部14には、貫通孔22,23が形成されるとともに、各アッパレール6の天板部12には、上記各アッパレール6側の貫通孔21〜23にそれぞれ対応する貫通孔25〜27が形成されている。また、本実施形態では、各ボルト15は、上記アッパレール6側の各貫通孔25〜27及びサイドフレーム11側の各貫通孔21〜23に対し、それぞれ、その軸部としての螺子軸28がアッパレール6の天板部12及びサイドフレーム11の各底板部13,14を貫通する態様で、天板部12の下方側(同図中、下側)から取着されている。そして、各ナット16は各底板部13,14の上方側(同図中、上側)から各ボルト15(の螺子軸28)に螺着されている。
【0031】
また、各ボルト15の螺子軸28は、そのボルトヘッド29近傍の基端部分に、螺子溝(螺子山)が形成されていない大径部28aを有している。そして、螺子軸28に螺着された各ナット16は、その軸方向の一端(同図中、下側の端部)が上記大径部28aの軸方向端部(同図中、上側の端部)に当接することにより、螺子軸28上の所定位置に位置決めされるようになっている。
【0032】
即ち、位置決め手段として上記大径部28aが存在することで、その螺子軸28に設けられる一対の鍔部としての各ナット16及び各ボルト15のボルトヘッド29は、両者の間にアッパレール6側の固定部としての天板部12及びサイドフレーム11側の固定部としての各底板部13,14を挟む離間した位置に配置されるようになっている。
【0033】
また、本実施形態では、上記大径部28aの外径D0、並びに当該大径部28aが挿通される各貫通孔21〜23,25〜27の内径D1,D2は、各ナット16と各ボルト15のボルトヘッド29との間において、サイドフレーム11の各底板部13,14とアッパレール6の天板部12とが相対移動可能な値に設定されている。
【0034】
具体的には、サイドフレーム11側の各貫通孔21〜23の内径D1は、大径部28aの外径D0よりも僅かに大きく設定されている。また、アッパレール6側の各貫通孔25〜27の内径D2は、大径部28aの外径D0と略等しく設定されている。そして、これにより、アッパレール6及びサイドフレーム11は、その各ボルト15の軸方向に沿った相対移動が許容されるとともに、車両前後方向及び幅方向を含む車両の床部Fに沿った方向においては相対移動不能に固定されている。
【0035】
また、各ナット16と各ボルト15のボルトヘッド29との間には、アッパレール6の天板部12及びサイドフレーム11の各底板部13,14とともに弾性部材としての皿バネ30が挟み込まれている。
【0036】
具体的には、サイドフレーム11における車両前方側の底板部13とアッパレール6の天板部12との固定部位α1においては、皿バネ30は、ボルト15及びナット16の締結力に基づき圧縮された状態で、天板部12と底板部13との間に介在されている。一方、サイドフレーム11における車両後方側の底板部14とアッパレール6の天板部12との固定部位α2においては、皿バネ30は、同じく締結力に基づき圧縮された状態で、ナット16と底板部14との間に介在されている。そして、本実施形態では、これら各皿バネ30の弾性力に基づいて、そのアッパレール6の上方に支持するシート1の振動を低減する構成となっている。
【0037】
次に、上記のように構成された本実施形態の車両用シート装置の作用について説明する。
本実施形態では、支持部材としてのサイドフレーム11は、その車両前方側及び車両後方側の二箇所に設けられた底板部13,14を固定部として、レール部材としてのアッパレール6上に固定されている。
【0038】
このため、シート1の構成要素(シート要素)であるシートクッション2が車両の前後方向に変位する際、当該シートクッション2は、その後端部2a又は前端部2bの一方が持ち上り、他方側が下がるように傾動する。そして、これにより、上記アッパレール6とサイドフレーム11との固定部位α1,α2においては、これらアッパレール6及びサイドフレーム11の各固定部、即ちアッパレール6の天板部12及びサイドフレーム11の各底板部13,14が、そのボルト15の軸方向に沿って相対移動することになる。
【0039】
具体的には、シートクッション2の前方変位時、当該シートクッション2は、その後端部2aが持ち上がり、前端部2bが下がるように傾動する。このため、前方側の固定部位α1においては、そのサイドフレーム11側の固定部である底板部13が下方に移動、即ちアッパレール6側の固定部である天板部12に近接する方向に相対移動しようとする。そして、後方側の固定部位α2においては、同じくサイドフレーム11側の固定部である底板部14が上方に移動、即ちアッパレール6側の固定部である天板部12から離間する方向に相対移動しようとする。
【0040】
ここで、このようなシートクッション2の前方変位時、そのアッパレール6の天板部12に対してサイドフレーム11の各底板部13,14が相対移動する方向を第1相対方向とした場合、当該各底板部13,14の第1相対方向側には、それぞれ、弾性部材としての各皿バネ30が介在されている。
【0041】
即ち、前方側の固定部位α1においては、シートクッション2の前方変位に伴いサイドフレーム11の底板部13が下方に移動する方向、つまり底板部13がアッパレール6の天板部12に近接する方向が第1相対方向になる。また、天板部12の下方に設けられた鍔部としてのボルトヘッド29が当該天板部12を介して底板部13の下方への移動を規制することによって、第1相対方向における底板部13の移動を規制可能な第1規制壁W1が形成される。そして、皿バネ30は、第1部材としての底板部13と、当該底板部13の第1相対方向側に位置する天板部12との間に介在されている。
【0042】
これに対し、後方側の固定部位α2においては、シートクッション2の前方変位に伴いサイドフレーム11の底板部14が上方に移動する方向、つまり当該底板部14がアッパレール6の天板部12から離間する方向が第1相対方向になる。また、底板部14の上方に設けられた鍔部としてのナット16が底板部14の上方への移動を規制することにより、第1相対方向における底板部14の移動を規制可能な第1規制壁W1が形成される。そして、皿バネ30は、この第1規制壁W1を形成するナット16と第1部材としての底板部14との間に介在されている。
【0043】
つまり、本実施形態では、シートクッション2の前方変位時、アッパレール6とサイドフレーム11との各固定部位α1,α2において、そのサイドフレーム11側の固定部である第1部材としての底板部13,14が、それぞれ、弾性部材としての皿バネ30を圧縮しつつ、第1相対方向に移動する。そして、これら各皿バネ30の弾性力に基づいて、その第1相対方向に移動する各底板部13,14に抵抗力が付与される。
【0044】
具体的には、前方側の固定部位α1に設けられた皿バネ30は、その弾性力に基づいて、第1部材としての底板部13を上方側、即ち当該底板部13が第2部材としての天板部12から離間する方向に押圧する。また、後方側の固定部位α2に設けられた皿バネ30は、その弾性力に基づいて、第1部材としての底板部14を下方側、即ち当該底板部14が第2部材としての天板部12に近接する方向に押圧する。
【0045】
本実施形態では、このようにして、第1相対方向に移動する底板部13,14に抵抗力(相対移動の妨げとなる力)を付与する。そして、これにより、そのシート要素としてのシートクッション2が前方に変位するエネルギーを減少させることによって、そのシート振動を低減することが可能となっている。
【0046】
一方、シートクッション2の後方変位時、当該シートクッション2は、その前端部2bが持ち上がり、後端部2aが下がるように傾動する。このため、前方側の固定部位α1においては、そのサイドフレーム11側の固定部である底板部13が上方に移動、即ちアッパレール6側の固定部である天板部12から離間する方向に相対移動しようとする。また、後方側の固定部位α2においては、同じくサイドフレーム11側の固定部である底板部14が下方に移動、即ちアッパレール6側の固定部である天板部12に近接する方向に相対移動しようとする。そして、このようなシートクッション2の後方変位時、そのアッパレール6の天板部12に対してサイドフレーム11の各底板部13,14が相対移動する方向を第2相対方向とした場合、当該各底板部13,14の第2相対方向側に皿バネ30は存在しない。
【0047】
即ち、前方側の固定部位α1においては、シートクッション2の後方変位に伴いサイドフレーム11の底板部13が上方に移動する方向、つまり底板部13がアッパレール6の天板部12から離間する方向が第2相対方向になる。また、底板部13の上方に設けられた鍔部としてのナット16が底板部13の上方への移動を規制することにより、第2相対方向における底板部13の移動を規制可能な第2規制壁W2が形成される。そして、底板部13は、当該底板部13の下方に設けられた上記皿バネ30の弾性力により上方側、即ち第2相対方向に付勢されることにより、予め、その第2規制壁W2を構成するナット16に当接されている。
【0048】
これに対し、後方側の固定部位α2においては、シートクッション2の後方変位に伴いサイドフレーム11の底板部14が下方に移動する方向、つまり底板部14がアッパレール6の天板部12に近接する方向が第2相対方向になる。また、天板部12の下方に設けられた鍔部としてのボルトヘッド29が当該天板部12を介して底板部14の下方への移動を規制することによって、第2相対方向における底板部14の移動を規制可能な第2規制壁W2が形成される。そして、底板部14は、当該底板部14の上方に設けられた上記皿バネ30の弾性力により下方側、即ち第2相対方向に付勢されることにより、予め、その第2規制壁W2を構成する天板部12に当接されている。
【0049】
つまり、シートクッション2の後方変位時、アッパレール6とサイドフレーム11との各固定部位α1,α2において、第1部材としての底板部13,14は、皿バネ30の抵抗力を受けない。従って、その第2規制壁W2を構成するナット16又はボルトヘッド29に当接することで、速やかにその第2相対方向への移動が規制される。そして、本実施形態では、これにより、シートクッション2の後方変位が抑えられることによって、より高い車両後方側のシート剛性を確保することが可能となっている。
【0050】
以上、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)アッパレール6及びサイドフレーム11は、それぞれ、その固定部となる天板部12と底板部13,14とがボルト15及びナット16により締結される。また、各ナット16と各ボルト15のボルトヘッド29との間には、第1部材としての底板部13,14及び第2部材としての天板部12とともに、弾性部材としての皿バネ30が挟み込まれる。そして、各皿バネ30は、天板部12に対して底板部13,14がシートクッション2の前方変位に対応する第1相対方向に移動する際には、当該底板部13,14に抵抗力を付与する一方、後方変位に対応する第2相対方向に移動する際には、当該底板部13,14に抵抗力を付与しない位置に配置される。
【0051】
即ち、支持部材としてのサイドフレーム11は、その底板部13,14を固定部として、レール部材としてのアッパレール6上に固定されている。このため、シート1の構成要素であるシートクッション2が車両の前後方向に変位する際、当該シートクッション2は、その後端部2a又は前端部2bの一方が持ち上り、他方側が下がるように傾動する。そして、これにより、サイドフレーム11の各底板部13,14が、そのボルト15の軸方向に沿って、アッパレール6の天板部12から離間、又は近接する方向に相対移動することになる。
【0052】
従って、各底板部13,14の第1相対方向側に各皿バネ30を配置することにより、シートクッション2の前方変位時には、その第1相対方向に移動する各底板部13,14に対し、各皿バネ30の弾性力に基づいた抵抗力が付与される。即ち、各皿バネ30が抵抗力付与手段として機能する。そして、これにより、そのシート要素としてのシートクッション2が前方に変位するエネルギーを減少させることで、シート振動を低減することができる。
【0053】
一方、シートクッション2の後方変位時、その第2相対方向に移動する底板部13,14は、皿バネ30の抵抗力を受けない。従って、その第2相対方向に向かう底板部13,14の移動は、第2規制壁W2を構成するナット16又はボルトヘッド29によって、速やかに規制されることになる。そして、これにより、シートクッション2の後方変位が抑えられることによって、より高い車両後方側のシート剛性を確保することができる。
【0054】
さらに、シートクッション2の前方変位が過大な場合には、底板部13,14よりも第1相対方向側に位置するナット16又はボルトヘッド29が第1規制壁W1として機能することで、その第1相対方向に向かう底板部13,14の相対移動が規制される。そして、これにより、その要求される車両前方側のシート剛性を確保することができる。
【0055】
尚、アッパレール6の天板部12及びサイドフレーム11の各底板部13,14、並びに皿バネ30を挟み込む固定手段としてボルト15及びナット16を用いることにより、そのナット16及びボルトヘッド29を一対の鍔部として、容易に第1規制壁W1及び第2規制壁W2を形成することができる。
【0056】
(2)サイドフレーム11における車両前方側の底板部13とアッパレール6の天板部12との固定部位α1においては、皿バネ30は、底板部13と当該底板部13よりも下方に配置された天板部12との間に介在されている。そして、サイドフレーム11における車両後方側の底板部14とアッパレール6の天板部12との固定部位α2においては、皿バネ30は、底板部14と当該底板部14よりも上方に配置されたナット16との間に介在されている。
【0057】
即ち、前方側の固定部位α1においては、シートクッション2の前方変位に伴い底板部13が下方に移動する方向、つまり底板部13がアッパレール6の天板部12に近接する方向が第1相対方向になる。そして、シートクッション2の後方変位に伴い底板部13が上方に移動する方向、つまり底板部13がアッパレール6の天板部12から離間する方向が第2相対方向となる。一方、後方側の固定部位α2においては、シートクッション2の前方変位に伴い底板部14が上方に移動する方向、つまり底板部14がアッパレール6の天板部12から離間する方向が第1相対方向になる。そして、シートクッション2の後方変位に伴い底板部14が下方に移動する方向、つまり底板部14がアッパレール6の天板部12に近接する方向が第2相対方向となる。
【0058】
即ち、サイドフレーム11とアッパレール6とは、その第1相対方向及び第2相対方向が互いに逆向きとなる車両前方側及び後方側の二位置に、両者の固定部位α1,α2が設けられている。そして、これにより、より効果的に、そのシートクッション2の後方変位を抑えつつ、当該シートクッション2が前方に変位するエネルギーを減少させることができる。その結果、より高い車両後方側のシート剛性を確保しつつ、好適に、そのシート振動を低減することができる。
【0059】
(3)各皿バネ30は、ボルト15及びナット16の締結力に基づき圧縮された状態で挟み込まれる。このような構成とすることで、各底板部13,14は、その各皿バネ30の弾性力に基づいて予め第2相対方向に付勢される。そして、これにより、より速やかにシートクッション2の後方変位を抑えることができ、その結果、より高い車両後方側のシート剛性を確保することができるようになる。
【0060】
(4)各ボルト15の螺子軸28は、そのボルトヘッド29近傍の基端部分に、螺子溝(螺子山)が形成されていない大径部28aを有する。このような構成とすることで、容易に、各ナット16を螺子軸28上の所定位置に位置決めすることができる。そして、これにより、その第1規制壁W1及び第2規制壁W2となるボルトヘッド29及び各ナット16を適切な離間した位置に配置することができるとともに、併せてその組み付け作業を容易化することができる。
【0061】
[第2の実施形態]
以下、本発明を具体化した第2の実施形態を図面に従って説明する。尚、第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0062】
図4図7に示すように、本実施形態のシートスライド機構10もまた、車両の前後方向において相対移動可能に配置されるロアレール5及びアッパレール6を備えている。
図5及び図8に示すように、ロアレール5は、車両の床部F(図1参照、ベースブラケット4)に対する固定部となる平板状の底壁部41を備えている。また、底壁部41の幅方向(図8中、左右方向)両端には、それぞれ外壁部42が立設されるとともに、これら各外壁部42の上端(図8中、上側の端部)には、それぞれ幅方向内側に向かって延びるフランジ状の上壁部43が形成されている。そして、これら各上壁部43の先端には、それぞれ下側に向かって折り返された折り返し部44が形成されている。
【0063】
一方、アッパレール6は、幅方向に対向して配置された一対の側壁部45と、これらの側壁部45の上端を接続する板状の天板部12とを備えている。そして、各側壁部45の下端には、それぞれ、側壁部45の幅方向外側に向かって折り返された折曲部46が形成されている。
【0064】
図8に示すように、本実施形態では、アッパレール6は、その一対の側壁部45及び天板部12が形成する断面略コ字形状部分が、ロアレール5側の両折り返し部44間に配置されるように、同ロアレール5に装着される。また、アッパレール6の各折曲部46は、それぞれ、その幅方向に対向するロアレール5の各外壁部42に沿うように各側壁部45の下端から上側に向かって延設されている。更に、各折曲部46には、そのロアレール5側の底壁部41と各外壁部42との接続部分(湾曲部47a)、及び各外壁部42と各上壁部43との接続部(湾曲部47b)に対向する位置に、それぞれ、アッパレール6の延伸方向に沿って伸びる湾曲凹面46a,46bが形成されている。そして、本実施形態では、これら各湾曲凹面46a,46bとロアレール5側の各湾曲部47a,47bの湾曲面との間に、それぞれボール状の転動体48を介在させることにより、その延伸方向に沿ったロアレール5とアッパレール6との間の円滑な相対移動を確保する構成となっている。
【0065】
具体的には、図5に示すように、各転動体48は、棒状をなすホルダ49の両端部に収容された状態で回転自在に保持される。そして、図8に示すように、各転動体48は、これらの各ホルダ49とともにロアレール5とアッパレール6との間に取着されることにより、当該ロアレール5及びアッパレール6間の相対移動に基づいて、そのロアレール5側の各湾曲部47a,47bの湾曲面及びアッパレール6側の湾曲凹面46a,46bに摺接しつつ転動する構成となっている。
【0066】
また、本実施形態では、シートスライド機構10には、そのロアレール5とアッパレール6との間の相対移動を規制可能なロック機構50が設けられている。
詳述すると、図5図8に示すように、ロック機構50は、アッパレール6に支持された支持軸51と、この支持軸51を中心に回動するロックレバー52とを備えている。
【0067】
図8に示すように、アッパレール6の各側壁部45には、それぞれ、互いに対向する支持孔53が形成されている。そして、支持軸51は、その両端部が各支持孔53に挿入される態様で両側壁部45間に架け渡されている。
【0068】
一方、図5図7及び図8に示すように、ロックレバー52は、長尺板状に形成されてアッパレール6の両側壁部45間に配置される一対の側板部54と、これら各側板部54の上端部を接続する上板部55とを有している。また、各側板部54には、それぞれ、互いに対向する貫通孔56が形成されている。そして、ロックレバー52は、その両側板部54に形成された貫通孔56に支持軸51が挿通されることにより、当該支持軸51を中心として回動自在に支承されている。
【0069】
図5図6(a)(b)及び図7(a)(b)に示すように、ロックレバー52の先端52aには、略平板状の外形を有して幅方向外側に延びるロック部57が設けられている。また、アッパレール6の各側壁部45には、それぞれ、そのロックレバー52の先端52aに対応する位置に、ロック部57が挿通される貫通孔58が形成されている。更に、ロアレール5の各折り返し部44には、下方に向かって突出する複数の係合爪59が櫛歯状に形成されている。そして、上記貫通孔58に挿通されることにより各側壁部45及び天板部12が形成する断面略コ字形状の外側に配置されるロック部57の先端部分には、そのロアレール5側の各係合爪59に係合可能な複数の係合孔60が形成されている。
【0070】
即ち、本実施形態のロック機構50は、支持軸51を介してアッパレール6に支持されたロックレバー52が回動し、その先端52aに設けられたロック部57が上方に移動することにより、当該ロック部57の各係合孔60がロアレール5側の各係合爪59に係合する。そして、これにより、そのアッパレール6とアッパレール6との間の相対移動を規制することが可能となっている。
【0071】
さらに詳述すると、本実施形態のロック機構50は、線材を折り曲げ加工してなるバネ部材61を備えている。具体的には、バネ部材61は、支持軸51を巻回する態様で当該支持軸51の径方向外側に配置されるコイル部62と、コイル部62から連続してロックレバー52の先端52a側(図7中、右側)に延設されることにより当該ロックレバー52の両側板部54の間に配置される第1延伸部63とを備えている。また、本実施形態では、ロックレバー52の上板部55には、その支持軸51の上方に貫通孔65が形成されている。そして、バネ部材61は、この貫通孔65に挿通されることにより、コイル部62からロックレバー52の後端52b側(図7中、左側)に向かって延びる第2延伸部66を備えている。
【0072】
即ち、本実施形態のバネ部材61は、捩りコイルバネとして形成されており、その第1延伸部63は、ロックレバー52の上板部55に対して下方側(図7中、下側)から当接されている。また、第2延伸部66は、アッパレール6の天板部12に対して下方側から当接されている。そして、ロックレバー52は、このバネ部材61の弾性力に基づいて、その先端52a側が上方側(図7中、上側)に向かって移動する方向に回動付勢されている。
【0073】
また、本実施形態のロック機構50は、その先端部67aがアッパレール6の前方開口部6aから当該アッパレール6内に挿入された操作レバー67を備えている。そして、この操作レバー67の先端部67aは、ロックレバー52の後端52b、詳しくは、その上板部55に対して下方側から当接されている。
【0074】
尚、本実施形態では、上記バネ部材61の第2延伸部66は、その先端66aがロックレバー52の後端52bよりも車両前方側、詳しくはアッパレール6の前方開口部6aの近傍まで延設されている。そして、操作レバー67は、この第2延伸部66の先端66aによって、その該アッパレール6内に挿入された部分の下方側が支持されている。
【0075】
即ち、操作レバー67は、そのアッパレール6の外側に配置された操作部(図示略)を操作することによって、そのアッパレール6内に挿入された先端部67aが上方に移動するようになっている。また、このとき、先端部67aがロックレバー52の後端52bを上方に持ち上げることにより、当該ロックレバー52は、その先端52aが下方側に移動する方向に回動する。そして、本実施形態のロック機構50は、これにより、そのロックレバー52側の各係合孔60とロアレール5側の各係合爪59との係合が解除されることによって、そのロアレール5に対するアッパレール6の相対移動を許容する構成になっている。
【0076】
また、図7(b)及び図9に示すように、本実施形態では、アッパレール6の各側壁部45に形成された支持孔53の内周面には、当該支持孔53内に挿入された支持軸51よりも車両前方側(図9中、左側)の位置に、アッパレール6が延伸された車両の前後方向に略直交して上下方向に延びる垂直面68が形成されている。また、支持孔53内における支持軸51よりも車両後方側(図9中、右側)の位置には、前後方向に対して斜交する傾斜面69が形成されている。具体的には、傾斜面69は、その下端部69aが上端部69bよりも車両前方側に位置するような傾きを有している。そして、支持孔53は、これらの垂直面68と傾斜面69との間における支持軸51の移動を許容するように、その形状が設定されている。
【0077】
詳述すると、支持孔53は、その上下方向の内径が支持軸51の直径よりも長い長孔状に形成されている。即ち、支持孔53は、その下方部分から上方部分に向かって車両前後方向の内径が拡径するような形状を有している。そして、これにより、支持軸51は、その支持孔53内における上下方向の相対移動が許容されるとともに、その上方側の移動によって、車両前後方向においても上記垂直面68と傾斜面69との間で相対移動することが可能となっている。
【0078】
また、本実施形態では、上記のように支持軸51の径方向外側には、当該支持軸51を巻回する態様でバネ部材61のコイル部62が配置されている(図7参照)。即ち、支持軸51は、この捩りコイルバネであるバネ部材61の弾性力に基づき下方側に向かって付勢されている。そして、これにより、支持軸51は、その車両前方側及び車両後方側を上記垂直面68及び傾斜面69に挟まれる態様で、支持孔53内の下方側に配置されている。
【0079】
次に、上記のように構成された本実施形態の車両用シート装置の作用について説明する。
本実施形態では、ロアレール5側に設けられた各係合爪59とアッパレール6側に設けられたロックレバー52の各係合孔60との係合によって、そのロアレール5とアッパレール6との間の相対移動が規制されている。このため、アッパレール6の上方に支持されたシート要素としてのシートクッション2(図1参照)が車両の前後方向に変位することによって、そのロックレバー52を支持する支持軸51は、見かけ上、当該支持軸51が挿入された支持孔53内を車両の前後方向に相対移動することになる。
【0080】
即ち、支持孔53が形成されたアッパレール6(の両側壁部45)は、当該アッパレール6が支持するシートクッション2と一体に移動しようとするのに対し、ロアレール5は、当該ロアレール5が固定された車両の床部F(図1参照、ベースブラケット4)と一体に移動しようとする。そして、アッパレール6に支持された支持軸51を回動中心とするロックレバー52は、その各係合孔60がロアレール5の各係合爪59に係合した状態にある。
【0081】
つまり、シートクッション2の前方変位時、アッパレール6は、ロアレール5に対して車両前方側に相対移動する。そして、これにより、支持軸51は、見かけ上、支持孔53内を車両後方側に相対移動しようとする。また、シートクッション2の後方変位時、アッパレール6は、ロアレール5に対して車両後方側に相対移動する。そして、これにより、支持軸51は、見かけ上、支持孔53内を車両前方側に相対移動しようとする。
【0082】
このように、本実施形態では、支持軸51が第1部材を構成し、アッパレール6の各側壁部45が第2部材を構成する。また、支持孔53の内周面が第1規制壁W1及び第2規制壁W2を構成する。そして、見かけ上、支持軸51が支持孔53内を車両後方側に相対移動する方向が第1相対方向、同様に、支持軸51が支持孔53内を車両前方側に相対移動する方向が第2相対方向となっている。
【0083】
ここで、上記のように、支持孔53内における支持軸51よりも車両後方側の位置には、傾斜面69が形成されている。このため、シートクッション2の前方変位時、支持軸51は、その傾斜面69上を摺動するように支持孔53内を上方側に移動することで、その車両後方側への移動が許容される。即ち、支持軸51は、傾斜面69上を摺動することにより、抵抗力を受けつつシートクッション2の前方変位に対応する第1相対方向に移動する。更に、本実施形態では、支持軸51は、上記バネ部材61の弾性力に基づき下方側に向かって付勢されている。このため、支持軸51は、そのバネ部材61の弾性力に抗しつつ第1相対方向に移動することになる。
【0084】
本実施形態では、このようにして、第1相対方向に移動する支持軸51に抵抗力を付与する。そして、これにより、そのシート要素としてのシートクッション2が前方に変位するエネルギーを減少させることによって、そのシート振動を低減することが可能となっている。
【0085】
尚、傾斜面69の上端部69bまで摺動することによって、支持軸51は、支持孔53の上壁面53aに当接する。そして、本実施形態では、これにより、その支持軸51の上方側への移動が規制されることによって、傾斜面69が第1規制壁W1として機能する構成となっている。
【0086】
一方、シートクッション2の後方変位時、支持軸51は、支持孔53内における支持軸51よりも車両前方側の位置に形成された垂直面68に当接する。このとき、支持軸51は、その第2規制壁W2を構成する垂直面68に当接するまでの車両前方側への相対移動、即ちシートクッション2の後方変位に対応する第2相対方向に移動するに際して、特段の抵抗力を受けない。そして、本実施形態では、これにより、速やかにシートクッション2の後方変位が抑えられることによって、より高い車両後方側のシート剛性を確保することが可能となっている。
【0087】
以上、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)ロックレバー52の支持軸51は、アッパレール6の各側壁部45に形成された支持孔53に、その両端部が挿入された状態で、両側壁部45間に架け渡されている。また、ロックレバー52の先端52aには、ロアレール5に設けられた複数の係合爪59に対応する複数の係合孔60を有したロック部57が設けられている。そして、ロック機構50は、その係合部としての各係合孔60と被係合部としての各係合爪59とが係合することにより、そのアッパレール6とアッパレール6との間の相対移動を規制する。また、支持孔53内における支持軸51よりも車両前方側の位置には、車両の前後方向に略直交して上下方向に延びる垂直面68が形成されている。更に、支持孔53内における支持軸51よりも車両後方側の位置には、前後方向に対して斜交する傾斜面69が形成されている。そして、支持孔53は、これらの垂直面68と傾斜面69との間における支持軸51の移動を許容するように、その上下方向の内径が支持軸51の直径よりも長い長孔状に形成されている。
【0088】
上記構成によれば、シートクッション2の前方変位時、支持軸51は、見かけ上、支持孔53内を車両後方側に相対移動しようとする。そして、支持軸51は、その車両後方側の位置に形成された傾斜面69上を摺動するように支持孔53内を上方側に移動することで、その車両後方側への移動が許容される。即ち、支持軸51は、傾斜面69上を摺動することにより、抵抗力を受けつつシートクッション2の前方変位に対応する第1相対方向に移動する。即ち、その傾斜面69が抵抗力付与手段として機能する。そして、これにより、そのシート要素としてのシートクッション2が前方に変位するエネルギーを減少させることで、そのシート振動を低減することができる。
【0089】
また、シートクッション2の後方変位時、支持軸51は、見かけ上、支持孔53内を車両前方側に相対移動しようとする。このとき、支持軸51は、その車両前方側への相対移動、即ちシートクッション2の後方変位に対応する第2相対方向に移動するに際して、特段の抵抗力を受けない。従って、その第2相対方向に向かう支持軸51の移動は、当該支持軸51よりも車両前方側に位置する垂直面68が第2規制壁W2として機能することで、速やかに規制されることになる。そして、これにより、シートクッション2の後方変位が抑えられることによって、より高い車両後方側のシート剛性を確保することができる。
【0090】
さらに、シートクッション2の前方変位が過大な場合には、上記傾斜面69を含む支持軸51よりも車両後方側に位置する支持孔53の内周面が第1規制壁W1を構成する。そして、これにより、その第1相対方向に向かう支持軸51の相対移動が規制されることで、その要求される車両前方側のシート剛性を確保することができる。
【0091】
(2)支持軸51は、ロックレバー52を回動付勢する弾性部材としてのバネ部材61の弾性力に基づいて下方側に向かって付勢される。このような構成とすることで、バネ部材61を付勢手段として、支持軸51を第2相対方向に付勢することができる。そして、これにより、第1相対方向に移動する支持軸51に対して、そのバネ部材61の弾性力に基づく抵抗力を付与することができる。即ち、バネ部材61もまた、抵抗力付与手段として機能する。また、支持軸51を予め垂直面68に当接させておくことができる。そして、これにより、より速やかにシートクッション2の後方変位を抑えることができ、その結果、より高い車両後方側のシート剛性を確保することができるようになる。
【0092】
[第3の実施形態]
以下、本発明を具体化した第3の実施形態を図面に従って説明する。尚、第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0093】
図10に示すように、本実施形態では、シートクッション2の骨格を構成する各サイドフレーム11の後端部11aには、それぞれ、支持ブラケット70が固定されている。また、これらの支持ブラケット70には、リクライナ71を介してシートバック3のフレーム72が連結されている。そして、シートバック3は、これにより、シートクッション2の後端部2aにおいて、傾動可能に支持される構成となっている(図1参照)。
【0094】
詳述すると、本実施形態の支持ブラケット70は、略平板状に形成されている。そして、各支持ブラケット70は、固定部材としてのボルト15及びナット(16)を用いて各サイドフレーム11の側面11sに固定されている。
【0095】
具体的には、これらの支持ブラケット70及びサイドフレーム11は、そのサイドフレーム11の後端部11aにおいて、前後方向及び上下方向に離間した二位置において固定されている。本実施形態では、各サイドフレーム11の後端部11aには、それぞれ、その前後方向及び上下方向に離間した位置に、当該各サイドフレーム11の側面11sに開口する一対の挿通孔(73A,73B)が形成されている。そして、図11及び図12(a)(b)に示すように、各支持ブラケット70の下端部70aには、これらサイドフレーム11側の各挿通孔73(73A,73B)に対応する一対の挿通孔74(74A,74B)が形成されている。
【0096】
また、本実施形態では、各ボルト15は、その軸部としての螺子軸28が、これらサイドフレーム11側の各挿通孔73(73A,73B)及び支持ブラケット70側の各挿通孔74(74A,74B)を挿通する態様で、支持ブラケット70側から取着される。そして、そのボルトヘッド29と螺子軸28に螺着されたナット16との間にサイドフレーム11及び支持ブラケット70を挟み込むことにより、その締結力に基づいてサイドフレーム11の側面11sに支持ブラケット70を固定する構成となっている。
【0097】
さらに詳述すると、図12(a)(b)に示すように、サイドフレーム11側の各挿通孔73(73A,73B)の内径は、螺子軸28の直径と略等しく設定されている。そして、支持ブラケット70側の各挿通孔74(74A,74B)は、長孔状に形成されている。
【0098】
具体的には、図11に示すように、支持ブラケット70の下端部70aにおいて、第1挿通孔74Aは、支持ブラケット70の下端部70aにおける前端近傍に形成され、第2挿通孔74Bは、支持ブラケット70の下端部70aにおける後端近傍に形成されている。そして、これにより、サイドフレーム11に対する支持ブラケット70の取着状態において、第1挿通孔74Aは、第2挿通孔74Bよりも前方側且つ上方側に配置されるようになっている。
【0099】
また、第1挿通孔74Aの近傍には、当該第1挿通孔74Aよりも後方側且つ上方側に小径の貫通孔75Aが形成されている。同様に、第2挿通孔74Bの近傍には、当該第2挿通孔74Bよりも前方側且つ下方側に小径の貫通孔75Bが形成されている。そして、第1挿通孔74A及び第2挿通孔74Bは、それぞれ、当該第1挿通孔74A及び第2挿通孔74Bと、その近傍に形成された各貫通孔75A,75Bとを結ぶ方向に延びる長孔状に形成されている。
【0100】
更に、図13(a)(b)に示すように、第1挿通孔74A及び第2挿通孔74B内には、それぞれ、その長手方向端部(P1,P2)のうち、これら第1挿通孔74A及び第2挿通孔74Bの近傍に形成された各貫通孔75A,75B側に位置する第1端部P1(の内周面)を被覆する弾性体77が設けられている。具体的には、上記第1挿通孔74A及びその近傍の貫通孔75Aの周縁、並びに第2挿通孔74B及びその近傍の貫通孔75Bの周縁には、それぞれ、浅溝76が凹設されている。尚、本実施形態では、これらの浅溝76は、支持ブラケット70の両面に形成されている。また、弾性体77には、例えば、ゴム等が用いられる。そして、弾性体77は、その第1挿通孔74A及び第2挿通孔74Bの第1端部P1のみならず、当該各貫通孔75A,75B及びその近傍の浅溝76を被覆するように設けられている。
【0101】
図12(a)(b)に示すように、上記第1の実施形態と同様、各ボルト15の螺子軸28には、そのボルトヘッド29近傍の基端部分に、大径部28aが形成されている。本実施形態では、サイドフレーム11側の各挿通孔73(73A,73B)の内径は、この大径部28aの直径と略等しく設定されている。また、上記のように長孔状に形成された支持ブラケット70側の各挿通孔74(74A,74B)についても、その短手方向の内径は、大径部28aの直径と略等しく設定されている。そして、各ボルト15の螺子軸28は、その大径部28aの周面における一部分が上記弾性体77に当接する態様でサイドフレーム11側の各挿通孔73(73A,73B)及び支持ブラケット70側の各挿通孔74(74A,74B)に貫設されている。
【0102】
次に、上記のように構成された本実施形態の車両用シート装置の作用について説明する。
図14に示すように、本実施形態では、シート要素としてのシートバック3を支持する支持ブラケット70は、その下端部70aがシートクッション2のサイドフレーム11に固定されている。このため、支持ブラケット70は、上方に支持するシートバック3の前方変位及び後方変位時、そのサイドフレーム11に固定された下端部70aを支点として傾動しようとする。
【0103】
ここで、上記のように、支持ブラケット70及びサイドフレーム11は、そのサイドフレーム11の後端部11aにおいて、前後方向及び上下方向に離間した二位置において固定されている。このため、そのシートバック3の前方変位及び後方変位時、支持ブラケット70の下端部70aには、そのサイドフレーム11との固定部位α3,α4の略中間部分を中心P0とした回転モーメント(同図中、二点鎖線に示す矢印)が発生することになる。
【0104】
しかしながら、上記のようにサイドフレーム11側の各挿通孔73(73A,73B)の内径は、各ボルト15の螺子軸28(の大径部28a)の直径と略等しく設定されている。このため、その各挿通孔73(73A,73B)に挿通された軸部としての螺子軸28は、サイドフレーム11に対し、その回転モーメントの発生方向に相対移動することができない。
【0105】
これに対し、支持ブラケット70側の各挿通孔74(74A,74B)は、その回転モーメントの発生方向と略一致する方向、即ちシートバック3の前方変位及び後方変位時、螺子軸28が各挿通孔74(74A,74B)内を相対移動しようとする方向(回転モーメントの発生方向とは逆向きの方向)に延びる長孔状に形成されている。そして、これにより、螺子軸28は、見かけ上、その挿通された支持ブラケット70の各挿通孔74(74A,74B)内を、その長手方向に沿って相対移動することになる。
【0106】
即ち、シートバック3の前方変位時、支持ブラケット70は、そのシートバック3を支持する上端部70bが当該シートバック3と一体に前方に移動する方向に傾動しようとする。そして、これにより、支持ブラケット70の下端部70aには、図14中、反時計回り方向の回転モーメントが発生する。その結果、支持ブラケット70側の各挿通孔74(74A,74B)内においては、見かけ上、そのボルト15の螺子軸28が、それぞれ、図14中、その反時計回り方向の回転モーメントに対して略逆向きの方向に相対移動しようとする。
【0107】
具体的には、各螺子軸28は、見かけ上、それぞれ、その挿通された第1挿通孔74A及び第2挿通孔74B内を、これら第1挿通孔74A及び第2挿通孔74Bの近傍に位置する貫通孔75A,75B側に向かって移動する。即ち、車両前方側の固定部位α3を構成する第1挿通孔74A内においては、螺子軸28は、図14中、右上の方向に相対移動する。そして、車両後方側の固定部位α4を構成する第2挿通孔74B内においては、螺子軸28は、図14中、左下の方向に相対移動する。
【0108】
一方、シートバック3の後方変位時、支持ブラケット70は、その上端部70bがシートバック3と一体に後方に移動する方向に傾動しようとする。これにより、支持ブラケット70の下端部70aには、図14中、時計回り方向の回転モーメントが発生する。その結果、サイドフレーム11との固定部位α3,α4を構成する第1挿通孔74A及び第2挿通孔74B内においては、見かけ上、そのサイドフレーム11及び支持ブラケット70を貫通する軸部としてのボルト15の螺子軸28が、それぞれ、図14中、その時計回り方向の回転モーメントも対して略逆向きの方向に相対移動しようとする。
【0109】
具体的には、各螺子軸28は、見かけ上、長孔状をなす第1挿通孔74A及び第2挿通孔74B内を、それぞれ、上記貫通孔75A,75Bとは反対側に向かって移動する。即ち、車両前方側の固定部位α3を構成する第1挿通孔74A内においては、螺子軸28は、図14中、左下の方向に相対移動する。そして、車両後方側の固定部位α4を構成する第2挿通孔74B内においては、螺子軸28は、図14中、右上の方向に相対移動する。
【0110】
このように、本実施形態では、各ボルト15の螺子軸28が第1部材を構成し、支持ブラケット70が第2部材を構成する。また、その支持ブラケット70に設けられた長孔状の各挿通孔74(74A,74B)における長手方向の両端部(P1,P2)が、それぞれ、第1規制壁W1及び第2規制壁W2を構成する。そして、見かけ上、各螺子軸28がその挿入された各挿通孔74(74A,74B)内を、当該各挿通孔74(74A,74B)の近傍に位置する貫通孔75A,75B側の第1端部P1に向かって相対移動する方向が第1相対方向、その長手方向反対側に位置する第2端部P2に向かって相対移動する方向が第2相対方向となっている。
【0111】
ここで、上記のように、各挿通孔74(74A,74B)には、その長手方向、第1相対方向側に位置する第1端部P1を被覆する弾性体77が設けられている(図12(a)(b)及び図13(a)(b)参照)。このため、シートバック3の前方変位時、各螺子軸28は、それぞれ、その第1規制壁W1を構成する第1端部P1との間に介在された弾性体77を圧縮しつつ各挿通孔74(74A,74B)内を第1相対方向に移動する。
【0112】
即ち、本実施形態では、各挿通孔74(74A,74B)における長手方向一方側の第1端部P1と螺子軸28との間に介在された弾性体77の弾性力に基づいて、その第1相対方向に移動する螺子軸28に抵抗力を付与する。即ち、その弾性体77が抵抗力付与手段として機能する。そして、これにより、そのシート要素としてのシートバック3が前方に変位するエネルギーを減少させることで、シート1の振動を低減することが可能となっている。
【0113】
一方、シートバック3の後方変位時、各螺子軸28は、当該各螺子軸28よりも第2相対方向に位置する各挿通孔74(74A,74B)における長手方向他方側の第2端部P2に当接する。このとき、その各挿通孔74(74A,74B)内における第2相対方向への螺子軸28の移動によって、上記弾性体77が圧縮されることはない。即ち、螺子軸28は、各挿通孔74(74A,74B)内を第2相対方向に移動するに際し、特段の抵抗力を受けない。そして、本実施形態では、これにより、速やかにシートバック3の後方変位を抑えることによって、より高い車両後方側のシート剛性を確保することが可能となっている。
【0114】
以上、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)シートバック3を支持する支持ブラケット70は、固定部材としてのボルト15及びナット16を用いてシートクッション2の骨格を構成するサイドフレーム11の側面11sに固定される。ボルト15の螺子軸28は、サイドフレーム11に形成された挿通孔73(73A,73B)及び支持ブラケット70に形成された挿通孔74(74A,74B)に挿通される。サイドフレーム11側の各挿通孔73(73A,73B)は、螺子軸28(の大径部28a)の直径と略等しい内径を有する。一方、支持ブラケット70側の各挿通孔74(74A,74B)は、シートバック3の前方変位及び後方変位時、螺子軸28が各挿通孔74(74A,74B)内を相対移動しようとする方向に延びる長孔状に形成される。そして、支持ブラケット70側の各挿通孔74(74A,74B)には、その第1相対方向側の第1端部P1を被覆する弾性体77が設けられる。
【0115】
上記構成によれば、シートバック3の前方変位時、各螺子軸28は、それぞれ、その第1端部P1との間に介在された弾性体77を圧縮しつつ各挿通孔74(74A,74B)内を第1相対方向側に向かって移動する。そして、この弾性体77の弾性力に基づいて、その第1相対方向に移動する螺子軸28に抵抗力が付与される。即ち、弾性体77が抵抗力付与手段として機能することで、シート要素としてのシートバック3が前方に変位するエネルギーを減少させることができる。そして、これにより、そのシート振動を低減することができる。
【0116】
一方、シートバック3の後方変位時、各螺子軸28は、各挿通孔74(74A,74B)内を第2相対方向側に移動しようとする。このとき、弾性体77が圧縮されることはなく、故に、螺子軸28は、その第2相対方向への移動に際して、特段の抵抗力を受けない。従って、その第2相対方向に向かう螺子軸28の移動は、当該各螺子軸28よりも第2相対方向に位置する各挿通孔74(74A,74B)の第2端部P2が第2規制壁W2として機能することで、速やかに規制されることになる。そして、これにより、シートバック3の後方変位が抑えられることによって、より高い車両後方側のシート剛性を確保することができる。
【0117】
さらに、シートバック3の前方変位が過大な場合には、弾性体77が圧縮限界に到達することで、その各螺子軸28よりも第1相対方向に位置する各挿通孔74(74A,74B)の第1端部P1が第1規制壁W1として機能する。そして、これにより、その第1相対方向に向かう各螺子軸28の相対移動が規制されることで、その要求される車両前方側のシート剛性を確保することができる。
【0118】
(2)支持ブラケット70は、第1相対方向及び第2相対方向が互いに逆向きとなる車両前方側の固定部位α3及び車両後方側の固定部位α4において、サイドフレーム11に固定される。
【0119】
即ち、シートバック3の前方変位及び後方変位時、サイドフレーム11に固定された支持ブラケット70の下端部70aには、その固定部位α3,α4の略中間部分を中心P0とした回転モーメントが発生することになる。従って、上記構成によれば、その第1相対方向及び第2相対方向が互いに逆向きとなる二位置において、それぞれ、シートバック3の後方変位を抑えつつ、当該シートバック3が前方に変位するエネルギーを減少させることができる。その結果、より高い車両後方側のシート剛性を確保しつつ、好適に、そのシート振動を低減することができる。
【0120】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記第1〜第3の実施形態に開示した防振構造は、それぞれ単独で、又は任意の組合せで用いてもよい。
【0121】
・上記各実施形態では、シートクッション2の骨格を構成する左右のサイドフレーム11が各アッパレール6に固定される。そして、第1の実施形態では、そのサイドフレーム11が支持部材を構成し、当該サイドフレーム11の固定部である底板部13,14が第1部材を構成することとした。しかし、これに限らず、例えば、図15に示すように、シートリフト機構81を備える場合等、サイドフレーム11とアッパレール6との間にその他の部材が介在される場合には、両者間に介在された部材が支持部材となり、その固定部が第1部材となる構成であってもよい。尚、同図に示す例においては、シートリフト機構81のベースブラケット82が支持部材となり、そのアッパレール6に対する固定部が第1部材となっている。
【0122】
・上記第1の実施形態では、ボルト15及びナット16を固定部材として用いる構成とした。しかし、これに限らず、例えば、リベット等を固定部材に用いる構成であってもよい。即ち、アッパレール6側及びサイドフレーム11側の両固定部(天板部12及び底板部13,14)を貫通する軸部と、これらの両固定部を挟む離間した位置において軸部に設けられる一対の鍔部とを有し、その両鍔部間における軸部に沿った相対移動を許容しつつ両固定部を固定可能なものであれば、その固定部材はどのようなものであってもよい。
【0123】
・同様に、上記第3の実施形態における固定部材についてもまた、リベット等を用いる構成としてもよい。即ち、支持ブラケット70及びサイドフレーム11を貫通する軸部を有し、且つその軸部が各挿通孔74(74A,74B)内において、相対移動可能なものであればよい。
【0124】
・さらに、上記第1及び第3の実施形態では、各ボルト15の螺子軸28には、ボルトヘッド29近傍の基端部分に大径部28aが形成される。そして、この大径部28aを位置決め手段として、その螺子軸28に螺着されるナット16を位置決めすることとした。しかし、これに限らず、例えば、周知の位置決めピンを用いる等、その他の手段によって、ナット16を位置決めする構成であってもよい。
【0125】
・また、上記第1の実施形態では、アッパレール6の天板部12及びサイドフレーム11の各底板部13,14とともに鍔部としての各ナット16と各ボルト15のボルトヘッド29との間に挟み込まれる弾性部材には、皿バネ30を用いることとした。しかし、これに限らず、例えば、コイルバネを用いる等、その弾性部材については任意に変更してもよい。
【0126】
・上記第1の実施形態では、サイドフレーム11及びアッパレール6は、その第1相対方向及び第2相対方向が互いに逆向きとなる前方側及び後方側の二位置に、両者の固定部位α1,α2が設定される。そして、サイドフレーム11における車両前方側の底板部13とアッパレール6の天板部12との固定部位α1としては一箇所、その車両後方側の底板部14とアッパレール6の天板部12との固定部位α2としては二箇所、上記のようなボルト15及びナット16、並びに皿バネ30が形成する固定手段が設けられることとした。
【0127】
しかし、このようなボルト15及びナット16、並びに皿バネ30が形成する固定手段の数については、その第1相対方向及び第2相対方向が互いに逆向きとなる第1及び第2の固定手段それぞれの数も含め、任意に変更してもよい。例えば、車両前方側の固定部位α1を複数設定し、車両後方側の固定部位α2については設定数を1つとする構成でもよい。そして、そのボルト15及びナット16、並びに皿バネ30が形成する固定手段を一つのみ設定する構成についても、これを否定しない。尚、何れの場合においても、その固定手段が、シートクッション2の後方変位を抑えつつ、当該シートクッション2が前方に変位するエネルギーを減少させることが可能な上記第1の実施形態に準ずる防振構造を有すべきことは、言うまでもない。
【0128】
・上記第3の実施形態についても同様に、その長孔状の挿通孔74(74A,74B)と当該挿通孔74(74A,74B)に挿通されたボルト15の螺子軸28、及びその挿通孔74(74A,74B)に配置された弾性体77が形成する固定手段の配置、及びその固定手段の数は、任意に変更してもよい。そして、この場合もまた、その固定手段が、シートバック3の後方変位を抑えつつ、当該シートバック3が前方に変位するエネルギーを減少させることが可能な上記第3の実施形態に準ずる防振構造を有すべきことは、言うまでもない。
【0129】
・上記第3の実施形態では、サイドフレーム11側の各挿通孔73(73A,73B)は、螺子軸28(の大径部28a)の直径と略等しい内径を有する。そして、支持ブラケット70側の各挿通孔74(74A,74B)は、シートバック3の前方変位及び後方変位時、螺子軸28が各挿通孔74(74A,74B)内を相対移動しようとする方向に延びる長孔状に形成されることとした。しかし、これに限らず、支持ブラケット70側の各挿通孔が螺子軸28の直径と略等しい内径を有する。そして、サイドフレーム11側の各挿通孔が、シートバック3の前方変位及び後方変位時、螺子軸28が相対移動しようとする方向に延びる長孔であってもよい。尚、この場合、弾性体77は、長孔状の挿通孔内に設けられるべきことは言うまでもない。
【0130】
・また、弾性体77の材質は、任意に変更してもよい。
・上記第1の実施形態では、各皿バネ30は、ボルト15及びナット16の締結力に基づき圧縮された状態で挟み込まれることとした。しかし、これに限らず、各皿バネ30が、非圧縮状態で挟み込まれる構成であってもよい。
【0131】
・上記第2の実施形態では、支持軸51は、ロックレバー52を回動付勢する弾性部材としてのバネ部材61の弾性力に基づいて下方側に向かって付勢される。そして、これにより、そのバネ部材61を付勢手段として、支持軸51を第2相対方向に付勢可能とした。しかし、これに限らず、バネ部材61以外の弾性部材を付勢手段に用いる構成であってもよい。また、この場合、付勢手段として機能する傾斜面69はなくともよい。更に、このような付勢手段を有しない構成についても、これを否定しない。
【0132】
即ち、付勢手段によって支持軸51が第2相対方向に付勢されていなくとも、車両後方側に位置する傾斜面69に摺接することで、その第1相対方向に移動する支持軸51に一定の抵抗力を付与することが可能である。そして、重力に基づき支持軸51が傾斜面69上を車両前方側に相対移動するように、その傾斜面69の傾きを設定することで、支持軸51を予め垂直面68に当接させておくことができる。
【0133】
・上記第2の実施形態では、各係合孔60をロックレバーの係合部とし、各係合爪59をロアレールの被係合部とした。しかし、これに限らず、係合部を凸形状とし、被係合部を凹形状とする構成であってもよい。
【0134】
・上記第2の実施形態では、支持孔53内における支持軸51よりも車両前方側の位置には、車両の前後方向に略直交して上下方向に延びる垂直面68が形成されることとした。しかし、これに限らず、支持軸51の第2相対方向への移動を規制する第2規制壁W2として機能する形状であれば、必ずしも垂直面68はなくともよい。
【0135】
次に、以上の実施形態から把握することのできる技術的思想を効果とともに記載する。
(イ)前記固定手段は、ボルト及びナットにより構成されること、を特徴とする。即ち、ボルト及びナットを用いることで、そのボルトの螺子軸がレール部材側及び支持部材側の両固定部を貫通する軸部となり、そのボルトヘッド及びナットが両固定部を挟む離間した位置において軸部に設けられる一対の鍔部となる。そして、これにより、両鍔部間における前記第1相対方向及び第2相対方向の相対移動を許容しつ両固定部を固定することができる。
【0136】
(ロ)前記弾性部材は、前記両鍔部間に圧縮された状態で挟み込まれること、を特徴とする。このような構成とすることで、支持部材の固定部は、その弾性部材の弾性力に基づいて予め第2相対方向に付勢される。そして、これにより、より速やかにシートクッションの後方変位を抑えることができ、その結果、より高い車両後方側のシート剛性を確保することができるようになる。
【0137】
(ハ)前記ボルトの軸部には、該軸部に螺着される前記ナットを位置決め可能な位置決め手段が設けられること、を特徴とする。このような構成とすることで、容易に、各ナットを軸部上の所定位置に位置決めすることができる。そして、これにより、その第1規制壁及び第2規制壁となるボルトヘッド及び各ナットを適切な離間した位置に配置することができるとともに、併せてその組み付け作業を容易化することができる。
【0138】
(ニ)前記各支持孔は、前記支持軸よりも車両前方側の位置に車両の前後方向に略直交して上下方向に延びる垂直面を有すること、を特徴する。これにより、より速やかに、その第2相対方向への支持軸の相対移動を規制することができる。
【0139】
(ホ)前記付勢手段は、前記ロックレバーを回動付勢する弾性部材であること、を特徴とする。これにより、簡素な構成にて、支持軸を第2相対方向に付勢することができる。
【符号の説明】
【0140】
1…シート、2…シートクション(シート要素)、2a…後端部、2b…前端部、3…シートバック(シート要素)、5…ロアレール、6…アッパレール(レール部材)、10…シートスライド機構、11…サイドフレーム(支持部材)、11a…後端部、11s…側面、12…天板部(固定部、第2部材)、13,14…底板部(固定部、第1部材)、15…ボルト(固定手段、固定部材)、16…ナット(固定手段、固定部材、鍔部、第1規制壁及び第2規制壁)、21〜23,25〜27…貫通孔、28…螺子軸(軸部、第1部材)、28a…大径部(位置決め手段)、29…ボルトヘッド(鍔部、第1規制壁及び第2規制壁)、30…皿バネ(固定手段、弾性部材、抵抗力付与手段)、α1,α2…固定部位、W1…第1規制壁、W2…第2規制壁、45…側壁部(第2部材)、50…ロック機構、51…支持軸(第1部材)、52…ロックレバー、53…支持孔、53a…上壁部(第1規制壁)、59…係合爪(非係合部)、60…係合孔(係合部)、61…バネ部材(弾性部材、付勢手段、抵抗力付与手段)、68…垂直面(第2規制壁)、69…傾斜面(抵抗力付与手段、第1規制壁)、70…支持ブラケット(第2部材)、73(73A,73B)…挿通孔、74…挿通孔、74A…第1挿通孔、74B…第2挿通孔、P1…第1端部(第1規制壁)、P2…第2端部(第2規制壁)、α3,α4…固定部位、77…弾性体(抵抗力付与手段)、82…ベースブラケット(支持部材)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15