(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第一の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第一の実施形態について説明する。
図1は第一の実施形態の光走査装置を説明する図である。
【0015】
本実施形態の光走査装置100は、ミラー110と、ミラー支持部120と、捻れ梁130A、130Bと、連結梁140A、140Bと、第1の駆動梁150A、150Bと、可動枠160と、第2の駆動梁170A、170Bと、固定枠180と、を備えている。また本実施形態の第1の駆動梁150A、150Bは、それぞれ駆動源151A、151Bを備える。第2の駆動梁170A、170Bは、それぞれ駆動源171A、171Bを備える。
【0016】
本実施形態のミラー支持部120には、ミラー110の円周に沿うようにスリット122が形成されている。このスリット122により、ミラー支持部120を軽量化しつつ捻れ梁130A、130Bによる捻れをミラー110へ伝達することができる。
【0017】
本実施形態に係る光走査装置100において、ミラー支持部120の表面にミラー110が支持され、ミラー支持部120は、両側にある捻れ梁130A、130Bの端部に連結されている。捻れ梁130A、130Bは、揺動軸を構成し、軸方向に延在してミラー支持部120を軸方向両側から支持している。捻れ梁130A、130Bが捻れることにより、ミラー支持部120に支持されたミラー110が揺動し、ミラー110に照射された光の反射光を走査させる動作を行う。捻れ梁130A、130Bは、それぞれが連結梁140A、140Bに連結支持され、第1の駆動梁150A、150Bに連結されている。
【0018】
第1の駆動梁150A、150B、連結梁140A、140B、捻れ梁130A、130B、ミラー支持部120及びミラー110は、可動枠160に取り囲まれている。第1の駆動梁150A、150Bは、可動枠160にそれぞれの片側が支持されている。第1の駆動梁150Aのもう片側は内周側に延びて連結梁140A、140Bと連結している。第1の駆動梁150Bのもう片側も同様に、内周側に延びて連結梁140A、140Bと連結している。
【0019】
第1の駆動梁150A、150Bは、捻れ梁130A、130Bと直交する方向に、ミラー110及びミラー支持部120を挟むように、対をなして設けられている。
【0020】
第1の駆動梁150A、150Bの表面には、駆動源151A、151Bがそれぞれ形成されている。駆動源151A、151Bは、第1の駆動梁150A、150Bの表面上の圧電素子の薄膜の上面に形成された上部電極と、圧電素子の下面に形成された下部電極とにより構成される。駆動源151A、151Bでは、上部電極と下部電極に印加する駆動電圧の極性に応じて伸長したり縮小したりする。このため第1の駆動梁150Aと第1の駆動梁150Bとで異なる位相の駆動電圧を交互に印加すれば、ミラー110の左側と右側で第1の駆動梁150Aと第1の駆動梁150Bとが上下反対側に交互に振動し、捻れ梁130A、130Bを揺動軸又は回転軸として、ミラー110を軸周りに揺動させることができる。ミラー110が捻れ梁130A、130Bの軸周りに揺動する方向を、以後、水平方向と呼ぶ。例えば第1の駆動梁150A、150Bによる水平駆動には、共振振動が用いられ、高速にミラー110を揺動駆動してよい。
【0021】
また可動枠160の外部には、第2の駆動梁170A、170Bの一端が連結されている。第2の駆動梁170A、170Bは、可動枠160を左右両側から挟むように、対をなして設けられている。第2の駆動梁170Aは、第1の駆動梁150Aと平行に延在する梁が、隣接する梁と端部で連結され、全体としてジグザグ状の形状を有する。そして第2の駆動梁170Aの他端は、固定枠180の内側に連結されている。第2の駆動梁170Bも同様に、第1の駆動梁150Bと平行に延在する梁が、隣接する梁と端部で連結され、全体としてジグザグ状の形状を有する。そして第2の駆動梁170Bの他端は、固定枠180の内側に連結されている。
【0022】
第2の駆動梁170A、170Bの表面には、それぞれ曲線部を含まない矩形単位毎に駆動源171A、171Bが形成されている。駆動源171Aは、第2の駆動梁170Aの表面上の圧電素子の薄膜の上面に形成された上部電極と、圧電素子の下面に形成された下部電極とにより構成される。駆動源171Bは、第2の駆動梁170Bの表面上の圧電素子の薄膜の上面に形成された上部電極と、圧電素子の下面に形成された下部電極とにより構成される。
【0023】
第2の駆動梁170A、170Bでは、矩形単位毎に隣接している駆動源171A、171B同士で、異なる極性の駆動電圧を印加することにより、隣接する矩形梁を上下反対方向に反らせ、各矩形梁の上下動の蓄積を可動枠160に伝達する。第2の駆動梁170A、170Bは、この動作により、平方向と直交する方向である垂直方向にミラー110を揺動させる。例えば第2の駆動梁170A、170Bによる垂直駆動には、非共振振動が用いられてもよい。
【0024】
例えば駆動源171Bを左側から可動枠160に向かって並ぶ駆動源を駆動源171DL、171CL、171BL、171ALを含むものとし、右側の駆動源171Aを可動枠160から右側に向かって並ぶ駆動源171AR、171BR、171CR、171DRを含むものとした場合、駆動源171Axと駆動源171Cx(4本)を同波形、駆動源171Bx、駆動源171Dx(4本)を前者と位相の異なる同波形で駆動することで垂直方向へ遥動することができる。
【0025】
また本実施形態の光走査装置100は、駆動源151A、151Bに駆動電圧が印加されてミラーが水平方向に遥動している状態におけるミラー110の水平方向の傾き具合を検出する圧電センサ191、192、193、194を有する。圧電センサ191、192は、連結梁140Bに設けられており、圧電センサ193、194は連結梁140Aに設けられている。
【0026】
また本実施形態の光走査装置100は、駆動源171A、171Bに駆動電圧が印加されてミラーが垂直方向に遥動している状態におけるミラー110の垂直方向の傾き具合を検出する圧電センサ195、196を有する。圧電センサ195は第2の駆動梁170Aの有する矩形梁の一つに設けられており、圧電センサ196は第2の駆動梁170Bの有する矩形梁の一つに設けられている。
【0027】
本実施形態の圧電センサ191、192は、ミラー110の水平方向の傾き具合に伴い、捻れ梁130Bから伝達される連結梁140Bの変位に対応する電流値を出力する。また本実施形態の圧電センサ193、194は、ミラー110の水平方向の傾き具合に伴い、捻れ梁130Aから伝達される連結梁140Aの変位に対応する電流値を出力する。
【0028】
本実施形態の圧電センサ195は、ミラー110の垂直方向の傾き具合に伴い、第2の駆動梁170Aのうち圧電センサ195が設けられた矩形梁の変位に対応する電流値を出力する。本実施形態の圧電センサ196は、ミラー110の垂直方向の傾き具合に伴い、第2の駆動梁170Bのうち圧電センサ196が設けられた矩形梁の変位に対応する電流値を出力する。
【0029】
本実施形態では、圧電センサ191〜194のうち何れか一つからの出力を用いてミラー110の水平方向の傾き具合を検出する。また本実施形態では、圧電センサ195、196を用いてミラー110の垂直方向の傾き具合を検出する。尚本実施形態では、各圧電センサから出力される電流値からミラー110の傾き具合の検出を行う傾き検出部が光走査装置100の外部に設けられていても良い。また本実施形態では、傾き検出部の検出結果に基づき駆動源151A、151B、駆動源171A、171Bに供給する駆動電圧を制御する駆動制御部が光走査装置100の外部に設けられていても良い。
【0030】
圧電センサ191〜196は、圧電素子の薄膜の上面に形成された上部電極と、圧電素子の下面に形成された下部電極とにより構成される。本実施形態では、圧電センサ191〜196の出力は、上部電極と下部電極とに接続されたセンサ配線の電流値となる。
【0031】
図1では、ミラー110の水平方向の傾き具合の検出に際し、圧電センサ191を用いた例を示している。以下に
図2を参照して圧電センサ191について説明する。
図2は、
図1の部分Aを拡大した図である。
【0032】
圧電センサ191は、連結梁140Bにおける連結梁140Bと捻れ梁130Bとの連結部131の駆動源151B側に配置されている。圧電センサ192は、連結部131の駆動源151A側に配置されている。圧電センサ193は、連結梁140Aにおける連結梁140Aと捻れ梁130Aとの連結部132の駆動源151B側に配置されている。圧電センサ194は、連結部132の駆動源151A側に配置されている。
【0033】
圧電センサ191、192は、連結梁140Bの表面上の圧電素子の薄膜の上面に形成された上部電極と、圧電素子の下面に形成された下部電極とにより構成される。また圧電センサ193、194は、連結梁140Aの表面上の圧電素子の薄膜の上面に形成された上部電極と、圧電素子の下面に形成された下部電極とにより構成される。
【0034】
また本実施形態では、圧電センサ191の出力のみを用いるため、圧電センサ191にのみセンサ配線201、202が形成されている。この場合、圧電センサ192〜194は、連結梁140A、140Bの重量のバランスをとるためのダミーセンサとなる。
【0035】
センサ配線201は、圧電センサ191の下部電極から引き出された下部電極配線であり、センサ配線202は、圧電センサ191の上部電極から引き出された上部電極配線である。
【0036】
センサ配線201は圧電センサ191から第1の駆動梁150A側に引き出され、センサ配線202は圧電センサ191から第1の駆動梁150B側に引き出されている。すなわち本実施形態では、センサ配線201とセンサ配線202のそれぞれが、圧電センサ191から反対方向に引き出されるように、圧電センサ191の左右に別れて形成されている。
【0037】
本実施形態のセンサ配線201は、駆動源151Aの下部電極に駆動電圧を印加する駆動配線203及び駆動源151Aの上部電極に駆動電圧を印加する駆動配線204と、併走するように引き回され、固定枠180に設けられた端子群TAに含まれる所定の端子と接続される。
【0038】
本実施形態のセンサ配線202は、駆動源151Bの下部電極に駆動電圧を印加する駆動配線205及び駆動源151Bの上部電極に駆動電圧を印加する駆動配線206と、併走するように引き回され、固定枠180に設けられた端子群TBに含まれる所定の端子と接続される。
【0039】
本実施形態では、端子群TAにおいてセンサ配線201が接続された端子と、端子群TBにおいてセンサ配線202が接続された端子とに水平方向の傾き検出部が接続されていても良い。また本実施形態では、端子群TAにおいて駆動配線203及び204がそれぞれ接続された端子と、端子群TBにおいて駆動配線205及び206それぞれが接続された端子とに駆動制御部が接続されていても良い。
【0040】
また本実施形態では、センサ配線201が駆動配線203及び204と併走する長さと、センサ配線202が駆動配線205及び206と併走する長さとが等しくなるようにした。
【0041】
本実施形態では、このようにセンサ配線201、202を形成することにより、位相が反転した駆動信号で動作する駆動源151Aと駆動源151Bから干渉するノイズを相殺し、圧電センサ191の出力の検出精度を向上させることができる。よって本実施形態では、圧電センサ191の出力から検出されるミラー110の水平方向の傾きを高精度に検出することができる。
【0042】
次に
図3を参照して圧電センサ195について説明する。
図3は、
図1の部分Bを拡大した図である。
【0043】
圧電センサ195は、第2の駆動梁170Aの有する矩形梁の上端部に設けられている。圧電センサ195は、第2の駆動梁170Aの表面上の圧電素子の薄膜の上面に形成された上部電極と、圧電素子の下面に形成された下部電極とにより構成される。
【0044】
圧電センサ195の出力は、センサ配線207Aとセンサ配線208Aとにより出力される。センサ配線207Aは、圧電センサ195の下部電極から引き出された下部電極配線であり、センサ配線208Aは、圧電センサ195の上部電極から引き出された上部電極配線である。センサ配線207A及びセンサ配線208Aは、端子群TAの所定の端子に接続される。
【0045】
また本実施形態のセンサ配線207A及びセンサ配線208Aは、駆動源171Aの下部電極に駆動電圧を印加する駆動配線203及び駆動源171Aの上部電極に駆動電圧を印加する駆動配線210と、併走するように引き回される。尚駆動源151の下部電極と駆動源171の下部電極とには、共通の駆動電圧が印加されるため、駆動源151と下部電極と駆動源171の下部電極では駆動配線203が共通で使用される。
【0046】
本実施形態では、このようにセンサ配線207A及び208Aを形成することで、圧電センサ195の出力から検出されるミラー110の垂直方向の傾きを高精度に検出することができる。
【0047】
尚
図3では、圧電センサ195のみについて説明したが、圧電センサ196も圧電センサ195と同様に構成により、第2の駆動梁170Bの有する矩形梁の上端部に設けられている。
【0048】
本実施形態では、以上の構成から、駆動配線からのクロストークを低減させ、ミラー110の傾きを高精度に検出することができる。
【0049】
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第二の実施形態について説明する。本発明の第二の実施形態は、センサ配線と駆動配線との間にガードパターンを設けた点が第一の実施形態と相違する。よって以下の本発明の第二の実施形態では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号を付与し、その説明を省略する。
【0050】
図4は、第二の実施形態の光走査装置を説明する図である。本実施形態の光走査装置100Aは、センサ配線201と駆動配線203との間にガードパターン220が形成されている。また本実施形態の光走査装置100Aは、センサ配線202と駆動配線205との間にガードパターン221が形成されている
以下に
図5を参照して本実施形態のガードパターン220、221について説明する。
図5は、第二の実施形態のガードパターンについて説明する図である。
図5は、例えば端子群TAと端子群TBに接続される配線が示されている。
【0051】
端子群TAには、圧電センサ191の上部電極から引き出されたセンサ配線201、
圧電センサ195の下部電極から引き出されたセンサ配線207A、上部電極から引き出されたセンサ配線208Aが接続される。また端子群TAには、駆動源151Aの下部電極と、駆動源171Aの下部電極とから引き出された駆動配線203と、駆動源151Aの上部電極から引き出された駆動配線204と、駆動源171Aの上部電極から引き出された駆動配線210Aと、が接続される。さらに端子群TAには、ガードパターン220が接続される。
【0052】
端子群TBには、圧電センサ191の下部電極から引き出されたセンサ配線202、圧電センサ196の下部電極から引き出されたセンサ配線207B、上部電極から引き出されたセンサ配線208Bが接続される。また端子群TBには、駆動源151Bの下部電極と、駆動源171Bの下部電極とから引き出された駆動配線205と、駆動源151Bの上部電極から引き出された駆動配線206と、駆動源171Bの上部電極から引き出された駆動配線210Bと、が接続される。さらに端子群Bには、ガードパターン221が接続される。
【0053】
本実施形態のガードパターン220、221は、端子群TA及び端子群TBにおいて、それぞれがグランドと接続されている。
【0054】
以下に
図6、
図7を参照して本実施形態におけるガードパターンに形成位置について説明する。
【0055】
図6は、
図4の部分A1を拡大した図である。本実施形態のガードパターン220は、センサ配線201が第一の駆動梁150Aを介して第二の駆動梁170Aに到達した位置P1から形成される。ガードパターン220は、センサ配線201と駆動配線203との間に形成される。また本実施形態のガードパターン221は、センサ配線202が第一の駆動梁150Bを介して第二の駆動梁170Bに到達した位置P2から形成される。ガードパターン221は、センサ配線202と駆動配線205との間に形成される。
【0056】
さらに本実施形態では、連結梁140A側にも、センサ配線201、202と対応する配線形状となるように、ダミーセンサ配線201Aとダミーセンサ配線202Aとを形成する。さらに本実施形態では、ガードパターン220、221のダミーとして、ダミーセンサ配線201A側にダミーガードパターン222を形成し、ダミーセンサ配線202A側にダミーガードパターン223を形成する。
【0057】
本実施形態では、このようにダミーセンサ配線とダミーガードパターンとを形成することで、第一の駆動梁151A、151Bの重量のバランスを維持し、的確にミラー110に駆動力を伝達することができる。
【0058】
図7は、
図4の部分B1を拡大した図である。本実施形態のガードパターン220は、位置P1から、端子群TAに向かって形成されたセンサ配線201に沿って形成される。また本実施形態のガードパターン220は、圧電センサ195の近傍では、センサ配線201と駆動源171Aの上部電極から引き出された駆動配線210との間を通るように形成される。
【0059】
尚
図7では圧電センサ195側についてのみ説明したが、圧電センサ196側でも同様にガードパターン221が形成される。
【0060】
本実施形態では、以上のようにガードパターン220、221を形成することで、センサ配線に対する駆動配線からのクロストークによる影響を抑制することができ、ミラー110の傾きを高精度に検出することができる。
【0061】
(第三の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第三の実施形態について説明する。本発明の第三の実施形態は、ガードパターンを垂直方向の傾きを検出する圧電センサ側にのみ設けた点が第二の実施形態と相違する。よって以下の本発明の第三の実施形態では、第二の実施形態との相違点についてのみ説明し、第二の実施形態と同様の機能構成を有するものには第二の実施形態の説明で用いた符号を付与し、その説明を省略する。
【0062】
図8は、第三の実施形態の光走査装置を説明する図である。本実施形態の光走査装置100Bでは、圧電センサ195側と圧電センサ196側とにガードパターン220Aとガードパターン221Aが形成されている。
【0063】
図9は、
図8の部分B2を拡大した図である。本実施形態では、圧電センサ191のセンサ配線201と併走するガードパターン220Aを圧電センサ195近傍の位置P3から形成した。位置P3は、例えばセンサ配線207A、208Aとセンサ配線201とが併走を開始する位置の近傍である。尚
図9では圧電センサ195近傍から形成されたガードパターン220Aについてのみ説明したが、圧電センサ196側も同様に圧電センサ196近傍からガードパターン221Aが形成される。
【0064】
本実施形態では、以上の構成により、ノイズを低減し、ミラー110の傾きを高精度に検出することができる。
【0065】
(第四の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第四の実施形態について説明する。本発明の第四の実施形態では、配線の長さや配線の間隔により微妙に生じるノイズ成分を除去することで、ミラーの傾きをより高精度に検出するものである。以下の本発明の第四の実施形態の説明では、第一の実施形態と同様の構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0066】
図10は、第四の実施形態の光走査装置を説明する図である。本実施形態の光走査制御装置300は、第一の実施形態の光走査装置100に加え、フロントエンドIC(Integrated Circuit)400、LD(Laser Diode)440、ミラードライバIC500を有する。
【0067】
本実施形態のフロントエンドIC400は、入力されたビデオ信号に信号処理を施し、LD440へ供給する。また本実施形態のフロントエンドIC400は、ミラー110の揺動を制御する信号を光走査装置100へ供給する。
【0068】
本実施形態のフロントエンドIC400は、ビデオ信号処理部410、LDドライバ420、ミラー制御部430を有する。ビデオ信号処理部410は、入力されたビデオ信号に含まれる同期信号と、輝度信号及び色度信号とを分離する処理を行う。ビデオ信号処理部410は、輝度信号及び色度信号をLDドライバ420へ供給し、同期信号をミラー制御部430へ供給する。
【0069】
LDドライバ420は、ビデオ信号処理部410から出力された信号に基づき、LD440を制御する。
【0070】
ミラー制御部430は、ミラードライバIC500から出力される圧電センサ191の出力と、同期信号とに基づきミラー110の揺動を制御する。より具体的にはミラー制御部430は、ミラードライバIC500を介して光走査装置100の駆動源151A,B、171A,Bの駆動電圧(以下、駆動信号)を出力する。
【0071】
本実施形態のミラードライバIC500は、位相反転部510、511、バッファ570、ノイズ除去部600を有する。
【0072】
位相反転部510、511は、ミラー制御部430から出力される駆動信号の位相を反転させる。具体的には位相反転部510は、駆動源151Aに供給される駆動信号の位相を反転させて駆動源151Bに供給される駆動信号とする。また位相反転部511は、駆動源171Aに供給される駆動信号の位相を反転させて駆動源171Bに供給される駆動信号とする。
【0073】
本実施形態のノイズ除去部600は、圧電センサ191の出力に重畳したノイズ成分を低減する。圧電センサ191の出力に重畳したノイズ成分とは、駆動配線の長さや配線の間隔により微妙に生じるロストーク成分であり、駆動源151A,151B,171A,171Bに供給される駆動信号から受ける成分である。
【0074】
尚
図10のノイズ除去部600は、駆動源151A,151Bに供給される駆動信号から受けるノイズ成分を除去するものである。本実施形態の光走査制御装置300では、図示していないが、駆動源171A,171Bに供給される駆動信号から受けるノイズ成分を除去するノイズ除去部を有するものとした。駆動源171A,171Bに対応したノイズ除去部は、ノイズ除去部600と同様の構成である。
【0075】
本実施形態のノイズ除去部600は、ゲイン・位相調整部520、530、加算回路540、バッファ550、減算回路560を有する。
【0076】
ゲイン・位相調整部520、530は、駆動源151A,151Bのそれぞれに供給される駆動信号から、圧電センサ191の出力に重畳されたノイズ成分と同等の成分を生成する。以下の説明では、駆動源151Aに供給される駆動信号を駆動信号1とし、駆動源151Bに供給される駆動信号を駆動信号2とする。
【0077】
本実施形態のゲイン・位相調整部520は、駆動信号1を駆動源151Aに印加した場合に圧電センサ191の出力に重畳されたノイズ成分と同等の成分を生成する。本実施形態のゲイン・位相調整部530は、駆動信号2を駆動源151Bに印加した場合に圧電センサ191の出力に重畳されたノイズ成分と同等の成分を生成する。ゲイン・位相調整部520、530の詳細は後述する。
【0078】
加算回路540は、ゲイン・位相調整部520、530の出力を加算し、加算結果を反転させる。本実施形態では、ゲイン・位相調整部520、530の出力を加算して反転させることで、駆動源151A,151Bのそれぞれに駆動信号1と駆動信号2を同時に供給したと場合に、圧電センサ191の出力に重畳されたノイズ成分と同等の成分を生成する。
【0079】
バッファ550は、圧電センサ191の出力を増幅させる。尚本実施形態では、光走査装置100に設けられた圧電センサは圧電センサ191のみとした。圧電センサ191は、ミラー110の水平方向の傾き具合に伴い、捻れ梁130Bから伝達される連結梁140Bの変位に対応する電流値を出力する。圧電センサ191以外に圧電センサ192の出力も用いる場合には、バッファ570が用いられるが、本実施形態では、使用しないものとした。したがって本実施形態の光走査制御装置300では、バッファ570が設けられていない構成であっても良い。
【0080】
減算回路560は、バッファ550の出力から加算回路540の出力を減算する。本実施形態のバッファ550の出力は、圧電センサ191の出力にノイズが重畳した信号である。また加算回路540の出力は、電センサ191の出力に重畳されたノイズ成分と同等の成分である。よってバッファ550の出力から加算回路540の出力を減算することで、圧電センサ191の出力からノイズ成分を除去することができる。減算回路560の出力は、フロントエンドIC400のミラー制御部430に供給される。
【0081】
次に本実施形態のゲイン・位相調整部520、530について説明する。
図11は、ゲイン・位相調整部を説明する図である。
【0082】
本実施形態のゲイン・位相調整部520は、ACカップリング回路521、アッテネート回路522、位相補正回路523を有する。またゲイン・位相調整部530は、ACカップリング回路531、アッテネート回路532、位相補正回路533を有する。本実施形態では、ゲイン・位相調整部520は駆動信号1に対応したものであり、ゲイン・位相調整部530は駆動信号2に対応したものであり、ゲイン・位相調整部520とゲイン・位相調整部530の構成は同様である。よって以下の説明では、ゲイン・位相調整部520について説明し、ゲイン・位相調整部530の各部の説明は省略する。
【0083】
本実施形態のACカップリング回路521は、駆動信号1の基準電圧をグランドとする。アッテネート回路522は、駆動信号1の振幅を圧電センサ191から出力されるノイズ成分と同じ振幅とする。位相補正回路523は、駆動信号1から生成される成分の位相をノイズ成分の位相と合わせる補正を行う。
【0084】
次に
図12を参照して本実施形態のノイズ除去部600の回路構成を説明する。
図12は、第四の実施形態のノイズ除去部の回路構成を説明する図である。
【0085】
本実施形態のノイズ除去600は、アンプAP21〜28、可変抵抗R11〜14、抵抗R21〜37、コンデンサC21〜24を有する。
【0086】
本実施形態のACカップリング回路521はコンデンサC21により構成され、ACカップリング回路531はコンデンサC22により構成される。コンデンサC21の一端には駆動信号1が入力され、コンデンサC22の一端には駆動信号2が入力される。
【0087】
コンデンサC21の他端は、アッテネート回路522の入力となる可変抵抗R11の一端と接続される。コンデンサC31の他端は、アッテネート回路532の入力となる可変抵抗R12の一端と接続される。
【0088】
アッテネート回路522は、可変抵抗R11、抵抗R21、アンプAP21を有する。アッテネート回路532は、可変抵抗R12、抵抗R22、アンプAP22を有する。
【0089】
アッテネート回路522において、可変抵抗R11の一端はコンデンサC21の他端と接続され、可変抵抗R11の他端は抵抗R21の一端と接続されている。可変抵抗R11と抵抗R21との接続点は、アンプAP21の非反転入力端子と接続されている。抵抗R21の他端は接地されている。アンプAP21の出力は、アンプAP21の反転入力端子及び位相補正回路523の有する抵抗R23の一端とコンデンサC23の一端との接続点に接続されている。
【0090】
アッテネート回路532において、可変抵抗R12の一端はコンデンサC22の他端と接続され、可変抵抗R12の他端は抵抗R22の一端と接続されている。可変抵抗R12と抵抗R22との接続点は、アンプAP22の非反転入力端子と接続されている。抵抗R22の他端は接地されている。アンプAP22の出力は、アンプAP22の反転入力端子及び位相補正回路533の有する抵抗R25の一端とコンデンサC24の一端との接続点に接続されている。
【0091】
位相補正回路523は、可変抵抗R13、抵抗R23、R24、コンデンサC23、アンプAP23を有する。位相補正回路533は、可変抵抗R14、抵抗R25、R26、コンデンサC24、アンプAP24を有する。
【0092】
本実施形態の位相補正回路523では、抵抗R23の他端がアンプAP23の非反転入力端子と接続され、コンデンサC23の他端と可変抵抗R13の一端との接続点がアンプAP23の反転入力端子と接続されている。可変抵抗R13の他端は接地されている。抵抗R24の一端は、アンプAP23の反転入力端子と接続され、他端はアンプAP23の出力と接続されている。アンプAP23の出力は、加算回路540の有する抵抗R27の一端と接続されている。
【0093】
本実施形態の位相補正回路533では、抵抗R25の他端がアンプAP24の非反転入力端子と接続され、コンデンサC24の他端と可変抵抗R14の一端との接続点がアンプAP24の反転入力端子と接続されている。可変抵抗R14の他端は接地されている。抵抗R26の一端は、アンプAP24の反転入力端子と接続され、他端はアンプAP24の出力と接続されている。アンプAP24の出力は、加算回路540の有する抵抗R28の一端と接続されている。
【0094】
本実施形態の加算回路540は、抵抗R27〜31、アンプAP25、26を有する。本実施形態の加算回路540では、抵抗R27の他端と抵抗R28の他端との接続点が、アンプAP25の反転入力端子と接続されている。また抵抗R25の一端は、アンプAP25の非反転入力端子と接続されており、抵抗R25の他端は接地されている。アンプAP25の出力は、抵抗R30の一端と接続されている。抵抗R30の他端は、アンプAP26の反転入力端子と接続されている。抵抗R31の一端は、アンプAP26の非反転入力端子と接続されており、抵抗R31の他端は接地されている。抵抗R32の一端は、アンプAP26の反転入力端子と接続されており、抵抗R32の他端はアンプAP26の出力と接続されている。アンプAP26の出力は、減算回路560の有する抵抗R34の一端と接続されている。
【0095】
本実施形態のバッファ550は、抵抗R33とアンプAP27とを有する。抵抗R33の一端は、圧電センサ191の出力と接続されており、抵抗R33の他端は接地されている。抵抗R33の一端と圧電センサ191の出力との接続点は、アンプAP27の非反転入力端子と接続されている。アンプAP27の出力は、アンプAP27の反転入力端子及び減算回路560の有する抵抗R34の一端と接続されている。
【0096】
本実施形態の減算回路560は、抵抗R34〜37と、アンプAP28とを有する。抵抗R34の他端は、抵抗R36の一端と接続されている。抵抗R34の他端と抵抗R36の一端との接続点は、アンプAP28の非反転入力端子と接続されている。抵抗R36の他端は接地されている。抵抗R35の他端は、アンプAP28の反転入力端子と抵抗R37の一端とに接続されている。抵抗R37の他端は、アンプAP28の出力と接続されている。アンプAP28の出力からは、ノイズ成分が除去された信号が出力される。
【0097】
次に、
図13を参照して本実施形態の光走査制御装置300における圧電センサ191の出力のノイズ除去の手順について説明する。
図13は、第四の実施形態におけるノイズ除去の手順を説明する図である。
【0098】
本実施形態では、駆動信号1及び駆動信号2の振幅や位相を調整し、駆動信号1及び駆動信号2により発生するノイズ成分と同等の成分であるノイズ同等成分を生成する。本実施形態では、ノイズ同等成分を圧電センサ191の出力から減算することで、ノイズを低減する。
【0099】
具体的には本実施形態では、アッテネート回路522、253の有する可変抵抗R11、R12の抵抗値、位相補正回路523、533の有する可変抵抗R13、R14の抵抗値を調整し、駆動信号1及び駆動信号2からノイズ同等成分を生成する。抵抗値の調整は、例えば本実施形態の光走査制御装置300の向上出荷時等に行われても良い。また
図13で説明する調整は、例えば光走査制御装置300の製造者等により手動で行われても良い。
【0100】
本実施形態の光走査制御装置300において、ノイズ除去を行う場合、ミラー制御部430は、駆動信号1のみを出力する(ステップS131)。このとき駆動信号の周波数は、駆動源151Aが駆動しないように、共振点から十分離れた周波数とする。
【0101】
続いて本実施形態では、アッテネート回路521の可変抵抗の抵抗値と、位相補正回路522の可変抵抗の抵抗値とが調整される(ステップS132)。本実施形態では、ステップS132の調整により、駆動信号1からノイズ同等成分信号1が生成される。
【0102】
続いて本実施形態では、ノイズ同等成分信号1の位相と振幅がバッファ550から出力されるノイズ成分1の位相と振幅と等しくなるまでステップS132の調整を行う(ステップS133)。ここでバッファ550から出力されるノイズ成分1は、駆動信号1により発生するノイズ成分である。尚ノイズ同等成分信号1とノイズ成分1との比較は、例えばバッファ550の出力である端子T1と、位相補正回路521の出力である端子T1とにオシログラフ等を接続して観測しながら、目視で行っても良い。
【0103】
続いて本実施形態では、駆動信号2についてもステップS131からステップS133と同様の処理を行う。本実施形態では、駆動信号21のみを出力する(ステップS134)。このとき駆動信号の周波数は、駆動源151Bが駆動しないように、共振点から十分離れた周波数とする。続いて本実施形態では、アッテネート回路531の可変抵抗の抵抗値と、位相補正回路532の可変抵抗の抵抗値とが調整される(ステップS135)。続いて本実施形態では、ノイズ同等成分信号2の位相と振幅がバッファ550から出力されるノイズ成分2の位相と振幅と等しくなるまでステップS135の調整を行う(ステップS136)。
【0104】
尚ノイズ同等成分信号2とノイズ成分2との比較も、バッファ550の出力である端子T1と、位相補正回路531の出力である端子T2とにオシログラフ等を接続して観測しながら、目視で行っても良い。
【0105】
以下に
図14乃至16を参照して、ノイズ同等成分の生成についてさらに説明する。
【0106】
図14は、ノイズ除去前の圧電センサの出力波形を示す図である。
【0107】
図14に示す出力波形は、共振点から十分離れた周波数の駆動信号1と駆動信号2とを駆動源151A,151Bに印加したときに圧電センサ191から出力される波形である。このとき光走査装置100では、駆動源151A,151Bは振動しておらず、ミラー110は揺動していない。圧電センサ191から出力される成分は、駆動信号1及び駆動信号2より発生するノイズ成分信号Nのみとなる。本実施形態では、このノイズ成分信号Nを除去する。
【0108】
図15は、ノイズ同等成分を説明する図である。
図15(A)は駆動信号1から生成されるノイズ同等成分信号1の例であり、
図15(B)は駆動信号2から生成されるノイズ同等成分信号2の例である。
【0109】
本実施形態では、ノイズ成分信号Nは、
図15(A)に示すノイズ成分信号N1と
図15(B)に示すノイズ成分信号N2と、を加算したものである。
【0110】
図15(A)のノイズ成分信号N1は、駆動信号1のみを駆動源151Aに印加した場合に発生する。本実施形態では、ゲイン・位相調整部520により駆動信号1の振幅と位相を調整し、ノイズ成分信号N1の振幅と位相が同等のノイズ同等成分信号1を生成する。
【0111】
また、
図15(B)のノイズ成分信号N2は、駆動信号2のみを駆動源151Bに印加した場合に発生する。本実施形態では、ゲイン・位相調整部530により駆動信号2の振幅と位相を調整し、ノイズ成分信号N2の振幅と位相が同等のノイズ同等成分信号2を生成する。
【0112】
本実施形態では、ノイズ同等成分信号1とノイズ同等成分信号2とを加算した成分が、
図14のノイズ成分信号Nと同様の成分となる。したがって本実施形態では、駆動信号1と駆動信号2を同時に印加した際に、圧電センサ191の出力からノイズ成分信号Nと同様の成分を減算すれば、ノイズ成分信号Nをキャンセルすることができる。
【0113】
図16は、ノイズ除去後の圧電センサの出力波形を示す図である。
図16では、駆動信号1と駆動信号2を同時に駆動源151A,151Bに供給した場合でも、圧電センサ191の出力にノイズ成分が発生しない。
【0114】
したがって本実施形態によれば、例えば配線の長さや配線の間隔により微妙に生じるノイズ成分を除去することができるので、センサ配線のノイズを低減し、ミラーの傾きを高精度に検出することができる。
【0115】
尚本実施形態では、駆動信号1と駆動信号2の両方について位相の調整を行うための位相補正回路を有する構成としたが、これに限定されない。例えば何れか一方の駆動信号のみ位相を調整すれば良い場合には、該当する駆動信号用の位相補正回路のみを有していれば良い。
【0116】
図17は、第四の実施形態のノイズ除去部の回路構成の別の例を説明する図である。
図17の例は、駆動信号1についてのみ位相補正を行う場合を示している。
図17に示すノイズ除去部600Aは、駆動信号2に対応する位相補正回路は有していない点のみ、
図12に示すノイズ除去部600と相違する。また例えば駆動信号2についてのみ位相補正を行う場合には、駆動信号2に対応した位相補正回路533を有し、駆動信号1に対応した位相補正回路523を有していない構成とすれば良い。
【0117】
(第五の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第五の実施形態について説明する。本発明の第五の実施形態では、第四の実施形態で説明したノイズ除去を自動的に行う点のみ、第四の実施形態と相違する。よって本発明の第五の実施形態では、第四の実施形態と同様の機能構成を有するものには第四の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0118】
図18は、第五の実施形態の光走査装置を説明する図である。本実施形態の光走査制御装置300Aは、ミラードライバIC500Aを有する。ミラードライバIC500Aは、ノイズ除去の処理を自動的に行うノイズ除去制御部610を有する。本実施形態のノイズ除去制御部610は、第四の実施形態で説明した可変抵抗の抵抗値の調整等を行う。
【0119】
図19は、第五の実施形態におけるノイズ除去の処理を説明するフローチャートである。本実施形態では、駆動信号1のみを駆動源151Aに印加した場合に発生するノイズ成分信号N1の位相と振幅と、駆動信号2のみを駆動源151Bに印加した場合に発生するノイズ成分信号N2の位相と振幅とを予め目標値として取得しておく。
【0120】
本実施形態において、ノイズ除去制御部610は、駆動信号1のみを駆動源151Aに印加して、駆動源151Aを駆動させる(ステップS1601)。続いてノイズ除去制御部610は、圧電センサ191の出力の振幅のレベルを検出する(ステップS1602)。続いてノイズ除去制御部610は、ノイズ同等成分信号1の振幅のレベルを検出する(ステップS1603)。続いてノイズ除去制御部610は、ノイズ同等成分信号1の振幅が、目標値であるノイズ成分信号N1の振幅と等しいか否かを判断する(ステップS1604)。尚ノイズ成分信号N1の振幅は、予めノイズ除去制御部610の有する記憶部等に格納されている。
【0121】
ステップS1604においてノイズ同等成分信号1の振幅がノイズ成分信号N1の振幅と等しくない場合、ノイズ除去制御部610は、アッテネート回路522のゲインを調整する(ステップS1605)。具体的にはアッテネート回路522の有する可変抵抗R11の抵抗値を調整する。
【0122】
本実施形態のノイズ除去制御部610は、ノイズ同等成分信号1の振幅がノイズ成分信号N1の振幅と等しくなるまで、ステップS1603〜ステップS1605までの処理を繰り返す。ステップS1604において、ノイズ同等成分信号1の振幅がノイズ成分信号N1の振幅と等しいとき、ノイズ除去制御部610は、そのときの抵抗値をノイズ除去抵抗値としてアッテネート回路522に設定する(ステップS1606)。
【0123】
続いてノイズ除去制御部610は、圧電センサ191の出力の位相を検出する(ステップS1607)。続いてノイズ除去制御部610は、ノイズ同等成分信号1の位相を検出する(ステップS1608)。
【0124】
続いてノイズ除去制御部610は、ノイズ同等成分信号1の位相が、目標値であるノイズ成分信号N1の位相と等しいか否かを判断する(ステップS1609)。尚ノイズ成分信号N1の位相は、予めノイズ除去制御部610の有する記憶部等に格納されている。
【0125】
ステップS1609においてノイズ同等成分信号1の位相がノイズ成分信号N1の位相と等しくない場合、ノイズ除去制御部610は、位相補正回路523によりノイズ同等成分信号1の位相を調整する(ステップS1610)。具体的には位相補正回路523の有する可変抵抗R13の抵抗値を調整する。
【0126】
本実施形態のノイズ除去制御部610は、ノイズ同等成分信号1の位相がノイズ成分信号N1の位相と等しくなるまで、ステップS1608〜ステップS1610までの処理を繰り返す。ステップS1609において、ノイズ同等成分信号1の位相がノイズ成分信号N1の位相と等しいとき、ノイズ除去制御部610は、そのときの抵抗値をノイズ除去抵抗値として位相補正回路523に設定する(ステップS1611)。
【0127】
続いてノイズ除去制御部610は、駆動信号1の供給を停止して駆動信号2のみを駆動源151Bに印加して、駆動源151Bを駆動させる(ステップS1612)。
【0128】
ステップS1613からステップS1622までの処理は、ステップS1602からステップS1611までの処理と同様であるから説明を省略する。
【0129】
ステップS1602からステップS1622までの処理により、アッテネート回路532の有する可変抵抗R12の抵抗値と、位相補正回路533の有する可変抵抗R14の抵抗値とが設定される。
【0130】
続いてノイズ除去制御部610は、アッテネート回路522、532に設定された可変抵抗の抵抗値と、位相補正回路523、533に設定された可変抵抗の抵抗値とを、ノイズ除去制御部610の有する記憶部等に記憶させる(ステップS1623)。
【0131】
以上のように、本実施形態では、ノイズ除去の処理を自動的に行う。
【0132】
(第六の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第六の実施形態について説明する。本実施形態では圧電センサを2つ設けた点が第一の実施形態と相違する。以下の本実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0133】
本実施形態の光走査装置100Cでは、2つの圧電センサ191、192を有する。本実施形態では、圧電センサ191、192のセンサ信号は駆動源151B側へ引き回し、駆動源151A、151Bに駆動信号を供給する駆動配線を駆動源151A側に引き回した。
【0134】
また本実施形態では、圧電センサ191の出力の位相と圧電センサ192の出力の位相とが、逆位相となるようにした。
【0135】
図20は、第五の実施形態の光走査装置のミラー部分を拡大した図である。
【0136】
本実施形態の光走査装置100Cでは、駆動源151Bの下部電極に駆動電圧を印加する駆動配線205A及び駆動源151Bの上部電極に駆動電圧を印加する駆動配線206Aと、が駆動源151A側に引き回されている。本実施形態の駆動配線205Aは、駆動源151Aに接続されている。また駆動配線206Aは、駆動配線203、204と併走するように配線される。
【0137】
また本実施形態では、圧電センサ191に対して形成されたセンサ配線201、202の両方が駆動源151B側に形成されている。また圧電センサ192の上部電極と下部電極に対応したセンサ配線201A、202Aも、駆動源151B側に引き回されている。そしてセンサ配線201A、202Aは、センサ配線201、202と併走するように配線されている。
【0138】
したがって本実施形態の構成において、センサ配線が駆動配線たセンサ信号202Aと、駆動信号204とが隣接する。したがって本実施形態では、駆動信号の配線とセンサ信号の配線とが隣接する距離が短く、駆動信号によるクロストークを低減させることができる。
【0139】
また本実施形態では、センサ配線201A、202Aとセンサ配線201、202とを併走させるように配線することで、各センサ配線における駆動配線から生じるクロストーク成分の影響を同等とすることができる。
【0140】
また本実施形態の圧電センサ191と圧電センサ192は、ミラー110の回転軸対称に、逆位相で振動する梁に配置される。具体的には、圧電センサ191は連結梁140Bの左端部に設けられ、圧電センサ192は連結梁140Bの右端部に設けられている。連結梁140Bの左端部は駆動源151Bにより振動し、連結梁140Bの右端部は駆動源151Aにより振動する。すなわち圧電センサ191と圧電センサ192は、回転軸対称に、逆位相で振動する梁に配置されたことになる。
【0141】
図21は、第五の実施形態における圧電センサの出力の例を示す図である。
図21では、ミラー110の振動変位と、振動変位に対応した圧電センサ191と圧電センサ192の出力の例を示している。本実施形態では、圧電センサ191の出力信号の位相は、振動変位と同位相であり、圧電センサ192の出力信号の位相は、圧電センサ191の出力信号の位相と逆である。
【0142】
本実施形態では、このように2つの圧電センサ191、192を配置すれば、例えば光走査装置100Cの後段で、2つの圧電センサの出力信号の差信号をとった場合に、出力信号のレベルを2倍とすることができる。
【0143】
図22は、第五の実施形態において圧電センサの出力信号の差信号の例を示す図である。
図22では駆動源151B側に圧電センサ191の出力信号と、圧電センサ192の出力信号とを減算して求めた差信号を示す。
図22の差信号は、各圧電センサの出力信号と比べて振幅が2倍となる。また本実施形態では、2つの圧電センサの出力信号を減算することで、各出力信号に重畳されていたクロストークを低減させる。
【0144】
したがって本実施形態では、圧電センサの出力信号に駆動配線から生じるクロストークが重畳されていたとしても、このクロストークを無視できるレベルまで圧電センサの出力信号の振幅を大きくすることができる。
【0145】
尚本実施形態には、第五の実施形態を適用することもできる。例えば本実施形態では、圧電センサ191の出力信号と、圧電センサ192の出力信号とに対してノイズ除去を行えば良い。
【0146】
(第七の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第七の実施形態について説明する。本発明の第七の実施形態では、ミラーの傾きを検出する光学センサをミラーの下に配置することで、センサ配線のノイズに関する考慮を不要とし、ミラーの傾きを高精度に検出する。
【0147】
図23は、第七の実施形態の光走査装置を説明する図である。本実施形態の光走査制御装置300Bは、フロントエンドIC400、LD440、ミラードライバIC500A、光走査モジュール100Cを有する。
【0148】
本実施形態のミラードライバIC500Aは、第四の実施形態で説明したミラードライバIC500においてバッファ570をなくした構成である。
【0149】
本実施形態の光走査モジュール100Cは、光走査装置100Dと、光学センサ700とを有する。光走査装置100Dは、第一の実施形態で説明した光走査装置100からミラー110の垂直方向の傾き具合を検出する圧電センサ195、196と、圧電センサ195、196に関する配線をなくしたものである。光学センサ700は、ミラー110の垂直方向の傾き具合を検出する。本実施形態の光学センサ700の出力は、直接フロントエンドIC400へ供給される。
【0150】
以下に本実施形態の光走査モジュール100Cについて説明する。
図24は、第七の実施形態の光走査モジュールを説明する第一の図である。
【0151】
本実施形態の光走査モジュール100Cでは、光走査装置100Dの下に光学センサ700が配置される。本実施形態では、光走査装置100Dのミラー110、ミラー支持部120、捻れ梁130、連結梁140、第一の駆動梁150A、150B、可動枠160を含む領域を可動部Kとしたとき、光学センサ700は、可動部Kと一部が重なるように光走査装置100Dの下に配置されている。
【0152】
図25は、第七の実施形態の光走査モジュールを説明する第二の図である。
図25は、
図24に示す光走査モジュール100CのA−A断面図である。光走査モジュール100Cにおいて、光走査装置100Dは、セラミックパッケージ710に固定されており、光学センサ700は、セラミックパッケージ710と光走査装置100Dとの間に配置されている。この状態において、光学センサ700は、光走査装置100Dの可動部Kと一部が重なるように配置される。
【0153】
本実施形態の光学センサ700は、発光素子と受光素子とを有する。発光素子から発光された光は、例えばその一部が可動部Kに反射される。可動部Kは、4つの駆動源151A、151B、171A、171Bにより揺動されるミラー110の傾きに追従して揺動する。したがって、可動部Kにおいて発光素子から発光された光が照射される位置も、ミラー110の傾きに追従して揺動する。このため発光素子から発光した光の戻り光の光量は、可動部Kの傾きに応じて変化する。本実施形態の光学センサ700は、発光した光の戻り光の光量に基づきミラー110の垂直方向の傾き具合を検出する。
【0154】
図26は、光学センサを説明する図である。本実施形態の光学センサ700は、発光素子であるフォトダイオード720と、受光素子であるフォトトランジスタ730とを有する。本実施形態の光学センサ700は、例えばパッケージ化されたものである。
【0155】
以下に本実施形態の光学センサ700の配置位置について説明する。
図27は、光学センサの配置位置を説明する図である。
【0156】
本実施形態の光学センサ700は、発光素子と受光素子とを有し、光走査装置100Dの下に配置される。
【0157】
本実施形態の光学センサ700は、可動部Kと一部が重なるように配置される。すなわち光学センサ700の発光素子720から発光される光は、ミラー110が垂直方向に傾いていない場合、その一部が可動部Kにより遮蔽される。そしてミラー110が垂直方向に傾くと、発光素子720から発光される光は、例えば可動部Kにより遮蔽される光量が減り、戻り光の光量が減る。本実施形態では、ミラー110の垂直方向の傾きが最大となったとき、発光素子720から発光された光が遮蔽されない位置に光学センサ700を配置しても良い。
【0158】
また本実施形態では、光学センサ700における発光素子720と受光素子730とが、X1−X2方向に並ぶように光学センサ700を配置することが好ましい。またこのとき、光学センサ700の外径の中心と、ミラー110の軸中心とが一致していることが好ましい。さらに本実施形態の光学センサ700は、固定枠180と一部が重なるように配置されていても良い。
【0159】
本実施形態の光学センサ700の配置は、光学センサ700の出力が最もミラー110の傾きの実測値に近くなる位置に配置される。
【0160】
光学センサ700の配置位置の決め方を説明する。本実施形態では、固定枠180の内側の端面E1から光学センサ700のミラー110よりの端面E2までの距離が600μmの所を初期位置とし、光学センサ700の外径の中心がミラー110の軸中心と一致した状態で、光学センサ700の位置をY2−Y1方向へ動かす。そして光学センサ700を配置した各場所において、光学センサ700の出力と実測値とを比較し、実測値と最も近いか又はほぼ同様の出力を得られる位置を光学センサ700の配置位置に決める。
【0161】
以下にミラー110の垂直方向の傾きの実測値の測定について説明する。
図28は、ミラーの垂直方向の傾きの測定について説明する図である。
【0162】
本実施形態では、光走査装置100Cを測定装置280に設置し、LD(Laser Diode)281から出射する光を揺動するミラー110に照射し、LD281の反射光をPSD(Position Sensitive Detector)に受光させる。PSD282から出力される光量に応じた電圧が、ミラー110の垂直方向の傾き(変位)を示す実測値となる。
【0163】
以下に実測値と光学センサ700の出力とを比較した結果について説明する。
図29は、実測値と光学センサの出力との比較結果を示す第一の図である。
【0164】
図29は、光学センサ700を初期位置からY1方向(
図26参照)に向かって550μmの位置に配置した場合を示す。
図29では、固定枠180の端面E1と光学センサ700の端面E2との距離Hは、600μm+550μmとなる。この場合光学センサ700は、Y2方向側の可動枠160と一部が重なる位置に配置される。
図29では、点線で示すPSD282の出力(実測値)の各ピークの値と、実線で示す光学センサ700の出力の各ピークの値とを比較すると、若干のずれはあるが、光学センサ700の出力はほぼ実測値と同様の波形と言える。よって本実施形態では、光学センサ700を距離H=600μm+550μmの位置、つまりY2方向側の可動枠160と一部が重なる位置に配置しても良い。
【0165】
図30は、実測値と光学センサの出力との比較結果を示す第二の図である。
図30は、光学センサ700を初期位置からY1方向(
図26参照)に向かって1000μmの位置に配置した場合を示す。
図30では、固定枠180の端面E1と光学センサ700の端面E2との距離Hは、600μm+1000μmとなる。この場合光学センサ700は、ミラー110と一部が重なる位置に配置される。
図30でも、点線で示すPSD282の出力(実測値)の各ピークの値と、実線で示す光学センサ700の出力の各ピークの値とを比較すると、若干のずれはあるが、光学センサ700の出力はほぼ実測値と同様の波形と言える。よって本実施形態では、光学センサ700を距離H=600μm+1000μmの位置、つまりミラー110と一部が重なる位置に配置しても良い。
【0166】
図31は、実測値と光学センサの出力との比較結果を示す第三の図である。
図31は、光学センサ700を初期位置からY1方向(
図26参照)に向かって3850μmの位置に配置した場合を示す。
図31では、固定枠180の端面E1と光学センサ700の端面E2との距離Hは、600μm+3850μmとなる。この場合光学センサ700は、Y1方向側の可動枠160と一部が重なる位置に配置される。
【0167】
この場合光学センサ700の出力はY2方向側の可動枠160に重なるように配置された場合の出力と比べ、逆相の信号となる。そこで
図31の例では、光学センサ700の出力の位相を反転させた信号を光学センサ700の出力として実測値と比較している。
【0168】
図31では、点線で示すPSD282の出力(実測値)と、実線で示す光学センサ700の出力とがほぼ一致している。また
図31の比較結果は、実測値と光学センサ700の出力のピークの重なり方を比較すると、
図29、
図30に示す比較結果よりも、光学センサ700の出力が実測値に近いと言える。
【0169】
本実施形態の光走査モジュール100Dでは、ミラー110を垂直方向に揺動する際にY1方向側の可動枠160が軸となる。
図29乃至
図31の比較結果から、本実施形態では、垂直方向の揺動の軸となる側の可動枠160に近い方に光学センサ700を配置した方が、ミラー110の傾きを精度良く検出できることがわかる。
【0170】
よって本実施形態では、光学センサ700を距離H=600μm+3850μmの位置、つまりY1方向側の可動枠160と一部が重なる位置に配置しても良い。
【0171】
尚本実施形態では、光学センサ700をミラー110の中心軸上に配置するものとしたが、これに限定されない。例えば光学センサ700は、ミラー110と第1の駆動梁150Aとに一部が重なるように配置されても良いし、ミラー110と第1の駆動梁150Bとに一部が重なるように配置されても良い。また光学センサ700は、ミラー110と一部が重なるように配置されても良い。
【0172】
本実施形態の光学センサ700は、実測値と比較して、十分にミラー110の傾きが検出されていると判断される場合であれば、可動部Kのどの位置に配置されても良い。
【0173】
このように本実施形態では、ミラー110の垂直方向の傾きを検出する際に、圧電センサの代わりに光学センサ700を用いることで、センサ配線のノイズに関する考慮を不要とし、ミラーの傾きを高精度に検出することができる。
【0174】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。