特許第5987561号(P5987561)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5987561記録材後処理装置および画像形成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5987561
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】記録材後処理装置および画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 37/04 20060101AFI20160825BHJP
【FI】
   B65H37/04 Z
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-191356(P2012-191356)
(22)【出願日】2012年8月31日
(65)【公開番号】特開2014-47023(P2014-47023A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【弁理士】
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 保夫
【審査官】 田中 尋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−274772(JP,A)
【文献】 特開2008−024445(JP,A)
【文献】 特開2006−273543(JP,A)
【文献】 特開2007−055748(JP,A)
【文献】 特開2008−037648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 37/00−37/06,41/00,45/00−47/00
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される記録材に画像を形成する画像形成手段と、当該画像形成手段にて画像が形成される記録材の搬送方向と交差する方向の位置を検知する検知手段と、当該検知手段による検知結果に基づいて記録材の搬送方向と交差する方向に移動することで、当該画像形成手段にて画像が形成される位置に合わせて記録材の位置を補正する補正手段とを有する画像形成装置から、画像が形成された記録材を受け入れる記録材受入部と、
前記画像形成装置から前記記録材受入部を介して受け入れた記録材に対して後処理を施す後処理手段と、
前記画像形成装置の前記検知手段にて検知された記録材の位置に関する情報から算出された前記補正手段の移動量に基づいて、前記後処理手段を記録材の搬送方向と交差する方向に移動させる移動手段と
を有する記録材後処理装置。
【請求項2】
前記移動手段は、前記画像形成装置における前記補正手段の移動量に基づいて、前記後処理手段に記録材の搬送方向先端部が到達する前に、当該後処理手段を記録材の搬送方向と交差する方向に移動させることを特徴とする請求項1記載の記録材後処理装置。
【請求項3】
前記後処理手段は、前記記録材受入部を介して受け入れた記録材に対して穿孔を施す穿孔部材を含み、
前記移動手段は、前記画像形成装置における前記補正手段の移動量に基づいて、前記穿孔部材を記録材の搬送方向と交差する方向に移動させることを特徴とする請求項1または2記載の記録材後処理装置。
【請求項4】
前記後処理手段は、前記記録材受入部を介して受け入れた記録材に対して搬送方向と交差する方向の位置を調整する位置調整部材を含み、
前記移動手段は、前記画像形成装置における前記補正手段の移動量に基づいて、前記位置調整部材を記録材の搬送方向と交差する方向に移動させることを特徴とする請求項1または2記載の記録材後処理装置。
【請求項5】
記録材に対して画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置にて画像が形成された記録材に対して後処理を施す後処理装置とを備え、
前記画像形成装置は、
搬送される記録材に対して画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段にて画像が形成される記録材の搬送方向と交差する方向の位置を検知する検知手段と
前記検知手段による検知結果に基づいて記録材の搬送方向と交差する方向に移動することで、前記画像形成手段にて画像が形成される位置に合わせて記録材の位置を補正する補正手段とを有し、
前記後処理装置は、
前記画像形成装置から搬入された記録材に対して後処理を施す後処理手段と、
前記画像形成装置の前記検知手段にて検知された記録材の位置に関する情報から算出された前記補正手段の移動量に基づいて、前記後処理手段を記録材の搬送方向と交差する方向に移動させる移動手段とを有することを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材後処理装置および画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、画像形成装置から搬送されてくる用紙を受け取って穿孔する穿孔ユニットを備える後処理装置が知られている。このような後処理装置において、画像形成装置から搬送された用紙の幅方向側縁の位置を後処理装置にて検知し、その検知結果に基づいて穿孔ユニットを移動させる技術が存在する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−240790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、画像形成装置から搬送された記録材に対して後処理手段を移動させて後処理を施す際に、生産性の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、搬送される記録材に画像を形成する画像形成手段と、当該画像形成手段にて画像が形成される記録材の搬送方向と交差する方向の位置を検知する検知手段と、当該検知手段による検知結果に基づいて記録材の搬送方向と交差する方向に移動することで、当該画像形成手段にて画像が形成される位置に合わせて記録材の位置を補正する補正手段とを有する画像形成装置から、画像が形成された記録材を受け入れる記録材受入部と、前記画像形成装置から前記記録材受入部を介して受け入れた記録材に対して後処理を施す後処理手段と、前記画像形成装置の前記検知手段にて検知された記録材の位置に関する情報から算出された前記補正手段の移動量に基づいて、前記後処理手段を記録材の搬送方向と交差する方向に移動させる移動手段とを有する記録材後処理装置である。
請求項2記載の発明は、前記移動手段は、前記画像形成装置における前記補正手段の移動量に基づいて、前記後処理手段に記録材の搬送方向先端部が到達する前に、当該後処理手段を記録材の搬送方向と交差する方向に移動させることを特徴とする請求項1記載の記録材後処理装置である。
請求項3記載の発明は、前記後処理手段は、前記記録材受入部を介して受け入れた記録材に対して穿孔を施す穿孔部材を含み、前記移動手段は、前記画像形成装置における前記補正手段の移動量に基づいて、前記穿孔部材を記録材の搬送方向と交差する方向に移動させることを特徴とする請求項1または2記載の記録材後処理装置である。
請求項4記載の発明は、前記後処理手段は、前記記録材受入部を介して受け入れた記録材に対して搬送方向と交差する方向の位置を調整する位置調整部材を含み、前記移動手段は、前記画像形成装置における前記補正手段の移動量に基づいて、前記位置調整部材を記録材の搬送方向と交差する方向に移動させることを特徴とする請求項1または2記載の記録材後処理装置である。
【0006】
請求項5記載の発明は、記録材に対して画像を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置にて画像が形成された記録材に対して後処理を施す後処理装置とを備え、前記画像形成装置は、搬送される記録材に対して画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段にて画像が形成される記録材の搬送方向と交差する方向の位置を検知する検知手段と、前記検知手段による検知結果に基づいて記録材の搬送方向と交差する方向に移動することで、前記画像形成手段にて画像が形成される位置に合わせて記録材の位置を補正する補正手段とを有し、前記後処理装置は、前記画像形成装置から搬入された記録材に対して後処理を施す後処理手段と、前記画像形成装置の前記検知手段にて検知された記録材の位置に関する情報から算出された前記補正手段の移動量に基づいて、前記後処理手段を記録材の搬送方向と交差する方向に移動させる移動手段とを有することを特徴とする画像形成システムである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、画像形成装置から搬送された記録材に対して後処理手段を移動させて後処理を施す際に、本構成を採用しない場合と比較して、生産性の低下を抑制することができる。
請求項2記載の発明によれば、本構成を採用しない場合と比較して、記録材を待機させる時間を減らすことができる。
請求項3記載の発明によれば、例えば穿孔処理などのように、搬送される個々の記録材に順次、処理を施す後処理手段を有する場合に、本構成を採用しない場合と比較して、生産性の低下をより抑制できる。
請求項4記載の発明によれば、画像形成装置から搬送される記録材に対して搬送方向と交差する方向の位置の調整を、本構成を採用しない場合と比較して、より良好に行うことができる。
請求項5記載の発明によれば、画像形成装置から搬送された記録材に対して後処理手段を移動させて後処理を施す際に、本構成を採用しない場合と比較して、生産性の低下を抑制することができる
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態が適用される画像形成システムの全体構成を示した図である。
図2】本実施の形態の姿勢補正部の構成を示した図である。
図3】本実施の形態の姿勢補正部にて行われる用紙の姿勢補正方法を説明するための図である。
図4】本実施の形態が適用されるフィニッシャユニットの構成を示した図である。
図5】本実施の形態のパンチ機能部の構成を示した図である。
図6】本実施の形態の用紙揃え部について説明するための図である。
図7図1に示した画像形成システムの制御ブロック図である。
図8】用紙の位置情報に基づいたパンチユニットおよびダンパーの移動を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される画像形成システム100の全体構成を示した図である。図1に示す画像形成システムは、例えば用紙に対して画像を形成する画像形成装置1と、画像形成装置1によって画像が形成された記録材に対して後処理を施す記録材後処理装置の一例としての後処理装置2とを備えている。
【0010】
画像形成装置1は、所謂タンデム方式で構成され、各色画像データに基づき画像を形成する画像形成手段の一例としての画像形成部10と、原稿から画像を読み取って、画像形成部10において画像を形成する際に使用される読取画像データを生成する画像読取部11と、用紙Pを収容する複数(この例では3つ)の用紙トレイ26〜28を有し画像形成部10に用紙Pを供給する用紙供給部12と、ユーザからの操作入力を受け付ける操作入力部13と、画像形成装置1の動作および画像形成システム100の全体の動作を制御する主制御部14とを備えている。
【0011】
後処理装置2は、画像形成装置1にて画像が形成された用紙Pを受け入れて搬送するトランスポートユニット3と、トランスポートユニット3から搬入された用紙Pや複数の用紙Pが集積された用紙束に対して、穴あけや端綴じ、中綴じ等の処理を行うフィニッシャユニット4と、後処理装置2の各機能部を制御する用紙処理制御部5とを備えている。なお、図1に示す後処理装置2では、用紙処理制御部5が後処理装置2内に設けられた構成を示したが、用紙処理制御部5を画像形成装置1内に設けてもよい。また画像形成装置1にて画像形成システム100全体の動作を制御する主制御部14が用紙処理制御部5の制御機能を兼ね備えた機能としてもよい。
なお、主制御部14および用紙処理制御部5は、それぞれ、各種演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)、CPUにて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROM(Read Only Memory)およびCPUの作業用メモリとして用いられるRAM(Random Access Memory)を備えている。
【0012】
<画像形成装置の説明>
続いて、画像形成装置1の画像形成部10について説明する。
本実施の形態の画像形成部10は、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色に対応し水平方向に並列配置される4つの感光体ドラム21と、各感光体ドラム21に対応して配設される4つの一次転写ロール22と、各感光体ドラム21上に形成されたトナー像が順次一次転写される中間転写ベルト23と、中間転写ベルト23に一次転写されたトナー像を用紙に二次転写する二次転写ロール24と、二次転写後の用紙Pにトナー像を定着させる定着装置25とを備えている。
また、本実施の形態の画像形成部10は、二次転写ロール24に向けて搬送される用紙Pの姿勢を補正する姿勢補正部30を備えている。なお、姿勢補正部30の構成については、後段にて説明する。
【0013】
ここで、各感光体ドラム21の周囲には、それぞれ、感光体ドラム21の表面を帯電する帯電器、この帯電器によって帯電された感光体ドラム21の表面にレーザ照射によって静電潜像を形成するレーザ書込み装置、感光体ドラム21に形成された静電潜像を各色のトナーで現像し可視化する現像器、一次転写後に感光体ドラム21に残存する残留トナーを除去するクリーナ等が配置されている。
【0014】
これに対し、各一次転写ロール22は、それぞれに対応する感光体ドラム21に、中間転写ベルト23を介して対向配置されるようになっている。これらの一次転写ロール22は、対応する感光体ドラム21上に形成されたトナー像を中間転写ベルト23に一次転写するものである。また、中間転写ベルト23は、複数の支持ロールによってループ状に張架されている。
【0015】
また、二次転写ロール24は、中間転写ベルト23と対向して設けられている。二次転写ロール24は、中間転写ベルト23上に順次一次転写された各色のトナー像を用紙に二次転写(一括転写)する。
定着装置25は、加熱加圧等によって用紙にトナー像を定着させる。
【0016】
そして、画像形成部10では、中間転写ベルト23上の各色トナー像が二次転写ロール24の配置位置に搬送されるタイミングに合わせて、姿勢補正部30から用紙Pが二次転写ロール24に供給される。これにより、二次転写ロール24により形成された転写電界の作用によって各色トナー像が用紙P上に一括して静電転写される。
その後、各色トナー像が二次転写された用紙は、中間転写ベルト23から剥離されて定着装置25に搬送される。定着装置25では、熱および圧力による定着処理により各色トナー像が用紙P上に定着され、用紙Pにカラー画像が形成される。そして、カラー画像が形成された用紙Pは、画像形成装置1から排出され、画像形成装置1に接続された後処理装置2に搬入される。
【0017】
<姿勢補正部の説明>
続いて、姿勢補正部30の構成について説明する。
図2は、本実施の形態の姿勢補正部30の構成を示した図である。また、図3は、本実施の形態の姿勢補正部30にて行われる用紙Pの姿勢補正方法を説明するための図であり、図2のIII方向から姿勢補正部30を見た図となっている。
図2に示すように、本実施の形態の姿勢補正部30は、互いに圧接する一対のロールから構成され、二次転写ロール24(図1参照)に向けて用紙Pを搬送する補正手段の一例としてのレジストロール対32と、互いに圧接する一対のロールから構成されるとともにレジストロール対32よりも用紙Pの搬送方向上流側に設けられ、レジストロール対32に向けて用紙Pを搬送する上流側搬送ロール対31とを備えている。
さらに、姿勢補正部30は、レジストロール対32の用紙搬送方向下流側に設けられ、レジストロール対32により搬送される用紙Pの搬送方向に直交する幅方向の位置を検知する検知手段の一例としての検知センサ35を備えている。さらにまた、姿勢補正部30は、上流側搬送ロール対31およびレジストロール対32にて搬送される用紙Pの搬送を案内する上部案内部材36および下部案内部材37を備えている。
【0018】
上流側搬送ロール対31は、図示しない駆動モータによって矢印A方向に回転する。また上流側搬送ロール対31は、図示しない駆動モータによって対向するロール間のニップを解除可能に構成されている。
レジストロール対32は、図示しない駆動モータによって矢印B方向に回転するとともに、回転軸方向に沿って移動可能に構成されている。
【0019】
検知センサ35は、図3に示すように、例えば用紙Pの搬送方向と直交する方向に延びて設けられるラインセンサ等により構成される。そして、検知センサ35は、レジストロール対32にて搬送される用紙Pの搬送方向と直交する位置を検知し、検知結果を主制御部14に出力する。なお、検知センサ35は用紙Pの搬送方向と直交する位置を検知できるセンサであれば、ラインセンサに限られるものではない。
なお、以下の説明において用紙Pの搬送方向と直交する方向を、用紙Pの幅方向と呼ぶことがある。
【0020】
続いて、本実施の形態の姿勢補正部30にて行われる用紙Pの姿勢補正処理について説明する。この例では、用紙Pが搬送方向に対して傾斜した状態で姿勢補正部30に搬送された場合について説明を行う。
姿勢補正部30に用紙供給部12(図1参照)から用紙Pが搬送されると、まず、上流側搬送ロール対31が予め定められたタイミングで駆動モータによって回転する。なお、レジストロール対32は、上流側搬送ロール対31が回転を始めた時点では、回転していない。そして、図3(a)に示すように、上流側搬送ロール対31の回転によって用紙Pが矢印X方向に搬送され、用紙Pの搬送方向先端側がレジストロール対32に突き当たる。この例では、用紙Pは用紙搬送方向に対して傾斜した状態で搬送されているため、図3(a)に示すように、初めに用紙Pにおける幅方向一端側の一部がレジストロール対32に対して突き当たり、用紙Pにおける幅方向他端側はレジストロール対32に対して突き当たっていない。
【0021】
用紙Pの幅方向一端部がレジストロール対32に突き当たった後も、引き続き、レジストロール対32の回転を停止した状態で、上流側搬送ロール対31の回転を続ける。これにより、用紙Pの搬送方向先端側は、レジストロール対32に突き当たった状態で搬送が停止される。一方、用紙Pの搬送方向後端側は、回転する上流側搬送ロール対31により矢印X方向への搬送が引き続き行われることになる。
これに伴って、図2に示すように用紙Pの搬送方向先端側に撓みが形成される。さらに、用紙Pの搬送方向先端側には、用紙P自身のコシによって撓みを復元しようとする力が働く。これにより、用紙Pの搬送方向先端側においてレジストロール対32に突き当たっていない用紙Pの幅方向他端側がレジストロール対32に突入する。そして、図3(b)に示すように、用紙Pの搬送方向先端側において幅方向一端から他端の全体に亘ってレジストロール対32に突き当たった状態となり、用紙Pの搬送方向に対する傾斜が補正される。
【0022】
続いて、上流側搬送ロール対31のニップを解除するとともに、駆動モータによってレジストロール対32の回転を開始させる。これにより、図3(c)に示すように、用紙Pは搬送方向に対する傾斜が補正された状態で、レジストロール対32の回転に伴って矢印X方向に向けて搬送される。
【0023】
傾斜が補正された用紙Pが搬送され、用紙Pの搬送方向先端側が検知センサ35に到達すると、検知センサ35によって用紙Pにおける搬出方向と直交する幅方向の位置が検出される。なおこの例では、検知センサ35は、用紙Pの搬送方向先端側における位置を検出している。検知センサ35により検知された用紙Pの位置情報は、検知センサ35から主制御部14に出力される。
そして、主制御部14(図1参照)において、検出された用紙Pの位置情報と二次転写ロール24による画像の転写位置とが比較され、転写位置に対する用紙Pのずれ量yが算出される。
【0024】
次に、図3(d)に示すように、レジストロール対32を、主制御部14にて算出されたずれ量yだけ矢印Y方向に移動させる。これにより、レジストロール対32により搬送される用紙Pもずれ量yだけ矢印Y方向に移動し、用紙Pの搬送方向と直交する方向の位置が、二次転写ロール24における適正な転写位置まで移動される。
続いて、適正な転写位置まで移動された用紙Pについて、検知センサ35により搬送方向と直交する方向の位置を再び検出する。
【0025】
その後、用紙Pはレジストロール対32によって二次転写ロール24に向けて再びX方向に搬送される。そして、二次転写ロール24により用紙Pに対して予め定められた適正な位置に画像が形成されることになる。
【0026】
詳細については後段にて説明するが、本実施の形態では、姿勢補正部30の検知センサ35によって検出された用紙Pの位置情報は、主制御部14から後処理装置2の用紙処理制御部5に入力される。そして、後処理装置2にて行われる後処理では、主制御部14から用紙処理制御部5に入力された用紙Pの位置情報が用いられることになる。
【0027】
<フィニッシャユニットの説明>
続いて、本実施の形態の後処理装置2のフィニッシャユニット4について説明する。図4は、本実施の形態が適用されるフィニッシャユニット4の構成を示した図である。本実施の形態のフィニッシャユニット4は、図4に示すように、用紙Pに対して2穴や4穴の穴あけ(パンチ)を施すパンチ機能部6と、用紙Pを必要な枚数だけ集積させて用紙束を生成し、用紙束の端部にステープル綴じ(端綴じ)を実行する端綴じ機能部7と、用紙Pを必要な枚数だけ集積させて用紙束を生成し、用紙束の中央部分を綴じ処理(中綴じ処理)して小冊子に製本する中綴じ製本機能部8とを備えている。
【0028】
また、本実施の形態のフィニッシャユニット4は、トランスポートユニット3から搬送された用紙Pを受け入れる記録材受入部の一例としての搬入口51と、搬入口51の下流に設けられ搬入口51にて受け入れた用紙Pをパンチ機能部6に搬送する入口ロール52と、パンチ機能部6を通過した用紙Pを振り分けるゲート53と、ゲート53にて振り分けられた用紙Pや用紙束を搬送する搬送ロール54、55と、後処理を施された用紙P(用紙束)を収容する収容トレイ56〜58を備えている。
【0029】
<パンチ機能部の説明>
続いて、本実施の形態のパンチ機能部6の構成について説明する。図5は、本実施の形態のパンチ機能部6の構成を示した図であり、パンチ機能部6を用紙Pの搬送方向から見た図となっている。図5に示すように、本実施の形態のパンチ機能部6は、用紙Pに対して穿孔を施す後処理手段および穿孔部材の一例としてのパンチユニット60と、パンチユニット60によるパンチにより生じたパンチ屑を収容する収容部材68と、パンチユニット60を駆動する移動手段の一例としてのパンチ駆動モータ69とを備えている。
【0030】
また、図5に示すように、本実施の形態のパンチユニット60は、用紙Pに対して穿孔を行う2つのパンチ刃61と、パンチ刃61を支持しパンチ刃61を上下に進退させる支持部材62と、支持部材62が取り付けられるシャフト64と、用紙Pが搬送される用紙搬送路67を形成する上側フレーム65および下側フレーム66とを備えている。
【0031】
2つのパンチ刃61は、用紙Pの搬送方向と直交する方向に沿って並んで配置されている。
支持部材62は、用紙処理制御部5からの指示により、予め定められたタイミングでパンチ駆動モータ69により駆動され、用紙Pの画像形成面に対して垂直な方向にパンチ刃61を進退させる。
シャフト64は、用紙Pの搬送方向と直交する方向に沿って延びて設けられる。
上側フレーム65および下側フレーム66は、互いに対向して設けられており、上側フレーム65と下側フレーム66との間には、用紙Pが搬送される用紙搬送路67が形成される。また、上側フレーム65および下側フレーム66において、パンチ刃61と対向する領域には、それぞれパンチ刃61の直径よりも径が大きい貫通孔(図示せず)が形成されている。これにより、パンチ動作においてパンチ刃61が上側フレーム65および下側フレーム66を貫通して、上下方向に移動することができる。
【0032】
続いて、本実施の形態のパンチ機能部6において行われるパンチ動作について説明する。
本実施の形態のパンチ機能部6では、画像形成装置1から順次搬送される用紙Pのそれぞれに対して、順次パンチ処理を施す。
具体的には、パンチ機能部6では、まずパンチ機能部6に搬入された用紙Pを、入口ロール52(図4参照)により上側フレーム65と下側フレーム66との間の用紙搬送路67において予め定められた位置へ搬送する。用紙Pが予め定められた位置まで搬送されたら、続いて、支持部材62によりパンチ刃61を用紙Pに向けて下方に移動させ、用紙Pに対してパンチ刃61を突出させ貫通させる。これによって、用紙Pに対して2つのパンチ穴が形成される。パンチ穴の形成によって用紙Pから生じるパンチ屑は、パンチユニット60の下方に配置された収容部材68に収容される。
【0033】
なお、パンチ機能部6にてパンチ処理を施され、パンチ穴が形成された用紙Pは、パンチ機能部6を通過した後、用紙処理制御部5からの指示により、ゲート53(図4参照)によって中綴じ製本機能部8(図4参照)、収容トレイ57(図4参照)、端綴じ機能部7(図4参照)に振り分けられる。
【0034】
ここで、本実施の形態のパンチユニット60は、パンチ駆動モータ69により、用紙Pの搬送方向と直交する方向に沿って移動可能に構成されている。本実施の形態のパンチ機能部6では、用紙処理制御部5(図4参照)が画像形成装置1(図1参照)の主制御部14(図1参照)から取得した用紙Pの位置情報に基づいて、用紙Pがパンチ機能部6に搬送される前にパンチ駆動モータ69によりパンチユニット60を予め移動させている。これにより、例えば後処理装置2(図1参照)に用紙Pが搬送された後に後処理装置2内で用紙Pの位置を検知し、その後にパンチユニット60を移動させた場合と比較して、パンチ機能部6における生産性が低下するのを抑制している。
なお、画像形成装置1から取得した用紙Pの位置情報に基づくパンチユニット60の移動については、後段にて詳細に説明する。
【0035】
<中綴じ製本機能部の説明>
続いて、本実施の形態の中綴じ製本機能部8の構成について説明する。
図4に示すように、本実施の形態の中綴じ製本機能部8は、画像形成後の用紙Pを予め定められた枚数だけ集積させるコンパイルトレイ81と、用紙Pをコンパイルトレイ81に搬入する搬入ロール88と、コンパイルトレイ81上に突出する位置決めストッパに用紙Pを載せてコンパイルトレイ81に沿って移動し、用紙Pの中綴じ位置を決定するエンドガイド82を備えている。さらに、コンパイルトレイ81上に集積される用紙Pをエンドガイド82に向けて揃えるための用紙揃えパドル83と、コンパイルトレイ81上に集積される用紙Pを搬送方向と直交する方向に揃える用紙揃え部90とを備えている。
【0036】
また、中綴じ製本機能部8は、コンパイルトレイ81に集積された複数の用紙P(用紙束)を中綴じするステープラ84と、コンパイルトレイ81上に集積された用紙P(用紙束)に対し、コンパイルトレイ81の裏面側から用紙Pの収容面側に向けて突出するように移動する折りナイフ85と、折りナイフ85によって折りが開始された用紙P(用紙束)を挟み込む一対のロールからなる折りロール86とを備えている。さらに、中綴じ製本機能部8は、中綴じされ、折り処理されて製本化された用紙P(用紙束)を積載する収容トレイ56と、製本化された用紙P(用紙束)を収容トレイ56へと搬出する搬出ロール部材87とを備えている。
【0037】
続いて、中綴じ製本機能部8における中綴じ製本機能動作について説明する。
ゲート53によって中綴じ製本機能部8に振り分けられた用紙Pは、搬送ロール55を経て、搬入ロール88に送られる。
搬入ロール88は、コンパイルトレイ81に用紙Pが集積されるように、搬送されてくる用紙Pを順にコンパイルトレイ81上に積載していく。例えば、5枚、10枚、15枚等といった例えば画像形成装置1(図1参照)の主制御部14(図1参照)にて設定された枚数が、コンパイルトレイ81に集積される。このとき、エンドガイド82は、例えば用紙Pの用紙搬送方向中央部分がステープラ84によるステープラ位置に一致するように移動し停止している。さらにその際に、用紙揃え部90は、コンパイルトレイ81上に集積される用紙Pに対して幅方向(用紙Pの搬送方向と直交する方向)から用紙揃えを行う。なお、用紙揃え部90の構成および用紙揃え部90による用紙Pの揃え処理については、後段にて説明する。
【0038】
コンパイルトレイ81に予め定められた枚数の用紙P(用紙束)が集積された後、ステープラ84によって、用紙束の一部(例えば用紙束の中央部分)に対する中綴じが実行される。次いで、中綴じ処理が施された用紙束は、エンドガイド82の上方への移動によって、折り部分(例えば用紙束の中央部分)が折りナイフ85の先端位置と一致するように移動される。用紙束の折り位置が折りナイフ85の先端位置まで移動した後、折りナイフ85が裏面側から収容面側に向けて押し出される。これにより、折りナイフ85の先端が用紙束に接する。そして、折りナイフ85の先端はさらに上方向に押し出され、用紙束は持ち上げられて、折りロール86に挟み込まれる。このようにして、用紙束には折りナイフ85と折りロール86とによる折り処理が施される。なお、折りナイフ85は、用紙束が充分に折りロール86に入り込む位置まで移動するように構成されるとともに、コンパイルトレイ81への用紙集積段階や、ステープラ84による中綴じ段階、また、中綴じ後の用紙搬送段階では、その先端がコンパイルトレイ81の裏面側に退避しており、コンパイルトレイ81の表面に現れることのないように構成されている。
その後、折りロール86による折り処理が完了した用紙P(用紙束)は、搬出ロール部材87によって搬送され、収容トレイ56に積載される。
【0039】
<用紙揃え部の説明>
続いて、本実施の形態の用紙揃え部90の構成について説明する。
図6は、本実施の形態の用紙揃え部90について説明するための図である。図6(a)は、用紙揃え部90の構成を示した図であり、図6(b)は図6(a)をVIB方向から見た図である。なお、図6(a)および(b)においては、エンドガイド82、ステープラ84、折りナイフ85および折りロール86等の記載を省略している。
図6(a)に示すように、本実施の形態の用紙揃え部90は、コンパイルトレイ81に載せられた用紙Pに接触して、用紙Pを搬送方向と直交する方向に整列させる後処理手段および位置調整部材の一例としてのダンパー91と、ダンパー91を駆動して用紙Pの搬送方向と直交する方向にスライドさせる移動手段の一例としてのダンパー駆動モータ95とを備えている。図6(b)に示すように、ダンパー91は、コンパイルトレイ81の幅方向両端側にそれぞれ設けられている。
【0040】
図6(c)は、ダンパー91の形状を説明するための図である。図6(c)に示すように、本実施の形態のダンパー91は、L字形状に形成されており、コンパイルトレイ81の表面にほぼ平行に設けられたスライド板部92と、スライド板部92において搬送方向と直交する方向の外側端部に設けられ、スライド板部92から垂直に延びる起立板部93とを有している。なお、2つのダンパー91の形状は、互いに左右対称な形状になるように形成されている。
【0041】
また、コンパイルトレイ81には、図6(b)に示すように、左右のダンパー91が設けられる位置に、用紙Pの搬送方向と直交する方向に沿って延びて切り欠かれた切り欠き部81aが設けられている。
そして、2つのダンパー91は、ダンパー駆動モータ95により駆動されることで、互いに離接する方向へコンパイルトレイ81の切り欠き部81aに沿って往復移動する。
【0042】
続いて、本実施の形態の用紙揃え部90において行われる用紙Pの揃え動作について説明する。
コンパイルトレイ81の予め定められた位置に用紙Pが搬入されると、ダンパー駆動モータ95により駆動されることで2つのダンパー91が、用紙Pの幅方向両端側から用紙Pの幅方向に沿って用紙Pに近づくように移動する。そして、ダンパー91は、用紙Pの幅方向の両端部に起立板部93が当たることで用紙Pを幅方向に向けて押す。これにより、用紙Pが搬送方向と直交する方向に移動する。その後、用紙Pの幅方向に沿ってダンパー91の往復移動を繰り返し行うことにより、用紙Pを幅方向に沿って移動させ、用紙Pの幅方向に沿った位置を予め定められた位置に揃える。
【0043】
本実施の形態の用紙揃え部90では、用紙処理制御部5が画像形成装置1の主制御部14から取得した用紙Pの位置情報に基づいて、用紙Pがコンパイルトレイ81に搬入される前に、用紙Pが搬送される位置に近接するようにダンパー91を予め移動させている。これにより、例えば後処理装置2において用紙Pの位置を検知して、用紙Pがコンパイルトレイ81に搬送された後にダンパー91を移動させた場合と比較して、用紙揃え部90において用紙Pの位置を揃えるために必要な時間を短くすることが可能になり、中綴じ製本機能部8における生産性が低下するのを抑制している。
【0044】
<用紙の位置情報に基づくパンチユニットおよびダンパーの移動の説明>
続いて、画像形成装置1にて検出された用紙Pの位置情報に基づいて、後処理装置2のフィニッシャユニット4においてパンチユニット60およびダンパー91を予め移動させる構成について説明する。
図7は、図1に示した画像形成システム100の制御ブロック図である。図8は、用紙Pの位置情報に基づいたパンチユニット60およびダンパー91の移動を説明するための図である。図8(a−1)〜(a−4)は、パンチユニット60の移動を示しており、図8(b−1)〜(b−4)は、ダンパー91の移動を示している。
【0045】
本実施の形態の画像形成システム100では、図7に示すように、画像形成装置1に設けられた主制御部14から後処理装置2の用紙処理制御部5に、用紙Pに対して実行する後処理に関する情報を出力し、これに基づいて用紙処理制御部5が後処理装置2内に設けられた各機構を制御するようになっている。用紙Pに対して実行する後処理に関する情報としては、例えば、用紙Pに対して実行する後処理の種類(パンチ処理、中綴じ製本処理、端綴じ処理等)や、用紙Pに対して後処理を実行する位置等の情報が挙げられる。
【0046】
画像形成装置1においては、操作入力部13を介して受け付けた用紙Pに対して実行する後処理に関する情報等が主制御部14に入力される。さらに、画像形成装置1においては、姿勢補正部30の検知センサ35にて検知した用紙Pの搬送方向と直交する方向(幅方向)の位置情報が、主制御部14に入力される。ここで、本実施の形態の姿勢補正部30では、検知センサ35にて検知した用紙Pの位置情報に基づいて、レジストロール駆動モータ39によりレジストロール対32を移動させている。レジストロール対32を移動させた後、検知センサ35により再び用紙Pの位置情報を検知する場合には、レジストロール対32の移動後に検知した用紙Pの位置情報についても主制御部14に入力される。
そして、主制御部14は、操作入力部13を介して受け付けた用紙Pに対して実行する後処理に関する情報等と、検知センサ35にて検知された用紙Pの位置情報(再び検知した用紙Pの位置情報も含む)とを、後処理装置2の用紙処理制御部5に出力する。
【0047】
また、後処理装置2の用紙処理制御部5においては、画像形成装置1の主制御部14から用紙Pに対して実行する後処理に関する情報および用紙Pの位置情報が入力される。そして、後処理装置2では、用紙処理制御部5に入力された用紙Pに対して実行する後処理に関する情報および用紙Pの位置情報に基づいて、後処理装置2のフィニッシャユニット4に設けられたパンチ機能部6、中綴じ製本機能部8および端綴じ機能部7の動作を制御する。
【0048】
ここで、パンチ機能部6において、用紙処理制御部5に入力された用紙Pの位置情報に基づいてパンチユニット60を予め移動させる点について説明する。
パンチ機能部6では、パンチ処理の対象となる用紙Pの位置情報を用紙処理制御部5が取得する前や用紙Pに対してパンチ処理を行わない場合には、図8(a−1)に示すように、パンチユニット60が予め定められた待機位置にて待機するようになっている。なお、パンチユニット60の待機位置としては、例えば、用紙搬送路67における用紙Pの搬送方向と直交する方向の中央部とすることができる。
【0049】
続いて画像形成装置1(図1参照)において用紙Pに対する画像の形成が開始され、画像形成の対象となる用紙Pが姿勢補正部30(図1参照)に搬送されると、検知センサ35(図3参照)により、用紙Pの搬送方向と直交する方向に関する位置情報が検知される。検知センサ35にて検知された用紙Pの位置情報は、画像形成装置1の主制御部14から後処理装置2の用紙処理制御部5に対して入力される。用紙処理制御部5は、入力された用紙Pの位置情報から、パンチ機能部6において用紙Pが搬送される搬送予定位置Q1を算出する。
そして、用紙処理制御部5は、図8(a−2)に示すように、用紙Pにおける搬送方向先端部がパンチ機能部6の用紙搬送路67に到達する前に、算出した搬送予定位置Q1に合わせてパンチユニット60を移動させる。すなわち、用紙処理制御部5は、搬送予定位置Q1に用紙Pが搬送された場合に用紙Pに対して予め定められた位置にパンチ処理がなされるように、パンチユニット60を移動させる。
【0050】
パンチユニット60が搬送予定位置Q1に合わせて移動された後、画像形成装置1にて画像が形成された用紙Pが、パンチ機能部6の用紙搬送路67に搬送される。ここで通常用紙Pは、図8(a−3)に示すように、用紙処理制御部5が算出した搬送予定位置Q1に向けて搬送される。
そして、図8(a−4)に示すように、用紙Pが搬送予定位置Q1まで搬送されると、パンチユニット60により用紙Pに対してパンチ処理が行われる。
【0051】
ここで、本実施の形態のパンチ機能部6では、図8(a−2)に示したように、パンチ処理の対象となる用紙Pの搬送方向先端部がパンチ機能部6に到達する前に、用紙Pの搬送予定位置Q1に合わせてパンチユニット60を予め移動させている。これにより、用紙Pがパンチ機能部6に搬送された後にパンチユニット60を移動させる必要性が少ない。すなわち、本実施の形態のパンチ機能部6では、用紙Pに対してパンチ処理を施す前に、パンチユニット60を移動させるために用紙Pを待機させる待機時間を設けなくてもよい。
したがって、本構成を採用しない場合と比較して、パンチ機能部6において用紙Pに対してパンチ処理を行うのに必要な時間を低減させることが可能になり、パンチ機能部6において生産性が低下するのを抑制することが可能になる。
【0052】
特に、本実施の形態のパンチ機能部6のように、画像形成装置1から順次搬送される複数枚の用紙Pのそれぞれに対して順次パンチ処理を施す場合、それぞれの用紙Pがパンチ機能部6に到達する前にパンチユニット60を順次移動させることで、本構成を採用しない場合と比較して、パンチ機能部6における生産性が低下することをより抑制することができる。
【0053】
次に、用紙処理制御部5に入力された用紙Pの位置情報に基づいて、中綴じ製本機能部8の用紙揃え部90においてダンパー91を予め移動させる点について説明する。
中綴じ製本機能部8の用紙揃え部90では、中綴じ製本処理の対象となる用紙Pの位置情報を用紙処理制御部5が取得する前や用紙Pに対して中綴じ製本処理を行わない場合には、図8(b−1)に示すように、ダンパー91は予め定められた待機位置にて待機するようになっている。なお、ダンパー91の待機位置としては、例えば、コンパイルトレイ81における幅方向の両端部とすることができる。
【0054】
続いて画像形成装置1(図1参照)において用紙Pに対する画像の形成が開始され、画像形成の対象となる用紙Pが姿勢補正部30(図1参照)に搬送されると、検知センサ35(図3参照)により、用紙Pの搬送方向と直交する方向に関する位置情報が検知される。検知センサ35にて検知された用紙Pの位置情報は、画像形成装置1の主制御部14から後処理装置2の用紙処理制御部5に対して入力される。用紙処理制御部5は、入力された用紙Pの位置情報から、コンパイルトレイ81において用紙Pが搬送される搬送予定位置Q2を算出する。
そして、用紙処理制御部5は、図8(b−2)に示すように、用紙Pの搬送方向先端部が中綴じ製本機能部8のコンパイルトレイ81に到達する前に、算出した搬送予定位置Q2に合わせてダンパー91を移動させる。
すなわち、用紙処理制御部5は、搬送予定位置Q2に用紙Pが搬送された場合に、用紙Pから予め定められた距離を隔てる位置に、ダンパー91を移動させる。
【0055】
ダンパー91が搬送予定位置Q2に合わせて移動された後、画像形成装置1にて画像が形成された用紙Pが、中綴じ製本機能部8のコンパイルトレイ81に搬送される。ここで通常用紙Pは、図8(b−3)に示すように、用紙処理制御部5が算出した搬送予定位置Q2に向けて搬送される。
そして、図8(b−4)に示すように、用紙Pがコンパイルトレイ81において搬送予定位置Q2まで搬送されると、ダンパー91により用紙Pに対して用紙揃え処理が行われる。
【0056】
ここで、本実施の形態の中綴じ製本機能部8では、図8(b−2)に示したように、用紙揃え処理の対象となる用紙Pの搬送方向先端部がコンパイルトレイ81に到達する前に、用紙Pの搬送予定位置Q2に合わせてダンパー91を予め移動させている。これにより、用紙Pがコンパイルトレイ81に搬送された後にダンパー91を移動させる必要性が少ない。すなわち、本実施の形態の用紙揃え部90では、用紙Pに対して用紙揃え処理を施す前に、ダンパー91を移動させるために用紙Pを待機させる待機時間を設けなくてもよい。
したがって、本構成を採用しない場合と比較して、中綴じ製本機能部8において用紙Pに対して用紙揃え処理を行うのに必要な時間を低減させることが可能になり、中綴じ製本機能部8において生産性が低下するのを抑制することが可能になる。
【0057】
また、本実施の形態のように、用紙Pの搬送予定位置Q2に合わせて予めダンパー91を移動させることで、ダンパー91の位置を、順次搬送される用紙Pのそれぞれに対して適正な位置とすることが可能になる。これにより、本構成を採用しない場合と比較して、用紙Pに対してより良好に用紙揃え処理を行うことが可能になる。
【0058】
以上説明したように、本実施の形態の画像形成システム100(図1参照)では、画像形成装置1(図1参照)に設けた検知センサ35により検知した用紙Pの位置情報を後処理装置2の用紙処理制御部5が取得し、取得した用紙Pの位置情報に基づいて、用紙Pが搬送される前にパンチユニット60やダンパー91等を予め移動させている。このような構成を有することで、本実施の形態の後処理装置2では、用紙Pが後処理装置2に搬送された後に、パンチユニット60やダンパー91等を移動させるために用紙Pを待機させる待機時間を設けなくてもよい。したがって、例えば後処理装置2に用紙Pが搬送された後に用紙Pの位置情報を検知し、用紙Pを待機させた状態でパンチユニット60やダンパー91等を移動させ、その後に用紙Pに対して処理を施す場合と比較して、後処理装置2において生産性が低下するのを抑制することが可能になる。
【0059】
また、上述した構成を有することで、本実施の形態の画像形成システム100では、画像形成装置1側に設けた検知センサ35により用紙Pの幅方向の位置を検知している。これにより、本実施の形態の画像形成システム100では、後処理装置2側に用紙Pの幅方向位置を検知するセンサを設けなくてもよい。したがって、本構成を採用することにより、画像形成システム100において画像形成装置1と後処理装置2との双方に用紙Pの幅方向位置を検知するセンサを設ける場合と比較して、後処理装置2の構成を簡易にすることが可能になる。
【0060】
なお、本実施の形態では、画像形成装置1の検知センサ35にて検知した用紙Pの位置情報を用紙処理制御部5が取得し、取得した用紙Pの位置情報に基づいてパンチユニット60等を移動する構成としたが、例えば後処理装置2にも用紙Pの位置情報を検知するセンサ(図示せず)を設け、画像形成装置1に設けた検知センサ35と後処理装置2に設けたセンサとの双方で検知した用紙Pの位置情報に基づいて、パンチユニット60等を移動させる構成としてもよい。具体的には、後処理装置2に用紙Pが搬送される前に画像形成装置1の検知センサ35にて検知した用紙Pの位置情報に基づいてパンチユニット60等を予め移動させ、その後用紙Pが後処理装置2に搬送された際に後処理装置2で用紙Pの位置情報を再び検知し、検知した用紙Pの位置情報に基づいて、予め移動したパンチユニット60の位置を微調整する構成としてもよい。このように画像形成装置1だけでなく後処理装置2においても用紙Pの位置を検知する構成とすることで、用紙Pに対して予め定められた位置にて処理がなされるようにパンチユニット60等をより最適な位置へ移動させることが可能になる。
【0061】
そして、この例では画像形成装置1にて検知した用紙Pの位置情報に基づいて予めパンチユニット60を移動させている。このため、後処理装置2にて検知した用紙Pの位置情報に基づいて再度パンチユニット60等を移動させる場合であっても、パンチユニット60を予め移動させていない場合と比較して、パンチユニット60等の移動量を少なくすることができる。
したがって、本構成を採用しない場合と比較して、パンチユニット60等を移動させるために係る時間が短くなり、後処理装置2において生産性が低下するのを抑制することが可能になる。
【0062】
また、本実施の形態では、画像形成装置1の検知センサ35にて検知した用紙Pの位置情報を主制御部14が用紙処理制御部5に出力し、用紙処理制御部5が用紙Pの位置情報に基づいてパンチ駆動モータ69またはダンパー駆動モータ95を制御し、パンチユニット60またはダンパー91を移動させる構成とした。しかし、例えば画像形成装置1の主制御部14が用紙処理制御部5の機能を兼ね備えていてもよい。具体的には、検知センサ35にて検知した用紙Pの位置情報に基づいて、主制御部14がパンチ駆動モータ69またはダンパー駆動モータ95を制御してパンチユニット60またはダンパー91を移動させる構成としてもよい。
【0063】
さらに、本実施の形態では、後処理装置2のフィニッシャユニット4において、用紙処理制御部5が画像形成装置1の主制御部14から取得した用紙Pの位置情報に基づいてパンチユニット60またはダンパー91を移動させる構成とした。しかし、後処理装置2において、用紙処理制御部5が取得した用紙Pの位置情報に基づいて移動させるものはこれに限られない。例えば、用紙処理制御部5が取得した用紙Pの位置情報に基づいて、後処理装置2において用紙P(用紙束)に対して綴じ処理を施す綴じユニット(図示せず)や用紙Pを搬送する搬送ロール(図示せず)等を移動させる構成としてもよい。
【0064】
さらにまた、本実施の形態の画像形成装置1は、姿勢補正部30において、検知センサ35により用紙Pの幅方向の位置を検知した後、転写位置に合わせてレジストロール対32により用紙Pを幅方向に移動させた。しかし、画像形成装置1は、姿勢補正部30において、用紙Pを幅方向に移動する構成を必ずしも有していなくてもよい。例えば、姿勢補正部30において検知センサ35により用紙Pの位置情報を検知した後、用紙Pを幅方向に移動させることなく二次転写ロール24に向けて搬送し、二次転写ロール24では検知センサ35にて検知した用紙Pの位置情報に基づいて画像を転写する構成とすることができる。
この場合、主制御部14は、二次転写ロール24に搬送される前に検知センサ35にて検知した用紙Pの位置情報を、用紙処理制御部5に出力する。
【0065】
また、主制御部14は、検知センサ35にて検知した用紙Pの位置情報を用紙処理制御部5に対して出力したが、例えば、検知した用紙Pの位置情報に基づいて算出したレジストロール対32の移動量等を用紙処理制御部5に出力する構成としてもよい。
そしてこの場合、後処理装置2では、例えば主制御部14から用紙処理制御部5に入力されたレジストロール対32の移動量等に基づいて、上述した用紙Pの搬送予定位置Q1(Q2)を算出し、用紙Pに対して後処理を施すことになる。
【0066】
また、本実施の形態では、画像形成装置1において用紙Pの搬送方向と直交する位置を、二次転写ロール24に搬送される前の用紙Pの姿勢を補正する姿勢補正部30に設けた検知センサ35にて検知したが、画像形成装置1において用紙Pの位置を検出する場所はこれに限られない。例えば、定着装置25の搬送方向上流側などに検知センサ(図示せず)を設け、用紙Pの位置を検出してもよい。
また、本実施の形態の画像形成装置1において検知センサ35は、用紙Pにおける搬送方向先端側の位置を検知したが、用紙Pにおいて検知センサ35が検知する位置はこれに限られず、例えば用紙Pの搬送方向後端側の位置を検知するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…画像形成装置、2…後処理装置、3…トランスポートユニット、4…フィニッシャユニット、5…用紙処理制御部、6…パンチ機能部、7…端綴じ機能部、8…中綴じ製本機能部、10…画像形成部、11…画像読取部、12…用紙供給部、13…操作入力部、14…主制御部、30…姿勢補正部、31…上流側搬送ロール対、32…レジストロール対、35…検知センサ、60…パンチユニット、81…コンパイルトレイ、90…用紙揃え部、91…ダンパー、100…画像形成システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8