(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項3に記載の静電荷像現像剤を収納し、像保持体表面に形成された静電荷像を前記静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法の実施形態について詳細に説明する。
【0018】
電子写真方式の画像形成において、オフセットとは、定着ローラ等の定着用部材にトナー像からトナーが転移する現象をいう。
コールドオフセット(低温オフセット)とは、トナー像のトナーが十分に熱せられずに起こるオフセットをいう。
ホットオフセット(高温オフセット)とは、トナー像のトナーが過加熱されて起こるオフセットをいう。
【0019】
<静電荷像現像用トナー>
本実施形態の静電荷像現像用トナー(以下「トナー」とも称する。)は、エステル系ワックスと、主鎖中におけるエステル結合で挟まれた領域に炭素が5個以上連続する直鎖を有さず、主鎖又は側鎖にロジンに由来する構造を有する非晶性ポリエステル(以下「特定ポリエステル」とも称する。)と、を含む。
【0020】
本実施形態において非晶性ポリエステルの主鎖中の「直鎖」とは、炭素が飽和結合又は不飽和結合で連なっている構造であって、環構造及びエステル結合に含まれない構造である。即ち、非晶性ポリエステルの主鎖中の「直鎖」の炭素数の数え方は、炭素炭素間の結合が飽和結合であるか不飽和結合であるかを問わず直接連結している炭素の個数を数え、但し、環構造及びエステル結合に含まれる炭素を数えない。
以下、「主鎖中におけるエステル結合で挟まれた領域に炭素が5個以上連続する直鎖を有しない非晶性ポリエステル」を、「主鎖中に炭素が5個以上連続する直鎖を有しない非晶性ポリエステル」とも称する。
【0021】
従来、非晶性ポリエステル及びワックスを含有するトナーが知られている。ワックスは、定着装置における定着部材とトナー像との剥離性を向上させオフセットを抑制する等の目的でトナーに用いられる。
トナーに使用し得るワックスとしてエステル系ワックスがあるが、エステル系ワックス及び非晶性ポリエステルを含有するトナーのトナー像を定着した際にコールドオフセットが発生することがあった。エステル系ワックスと非晶性ポリエステルとは分子中にエステル結合を繰り返し含むため互いに親和し易い傾向があり、トナー像を定着した際にエステル系ワックスがトナー像の表面へしみ出し難く、結果的にコールドオフセットの発生につながると考えられる。
【0022】
上記のコールドオフセットの発生は、非晶性ポリエステルが、主鎖中に炭素が長く(例えば5個以上)連なった直鎖を有しない非晶性ポリエステルである場合に起こり易い。
非晶性ポリエステルの中でも、主鎖中に炭素が長く連なった直鎖が繰り返されている非晶性ポリエステルは、分子構造に占めるエステル結合の割合が相対的に低いのでエステル結合の影響が低くなると考えられるし、また、炭素が長く連なった直鎖とエステル結合とは親和し難いので、この非晶性ポリエステルとエステル系ワックスとは、親和の程度が低いと考えられる。しかし、主鎖中に炭素が長く連なった直鎖を有しない非晶性ポリエステルは、上記の機作がはたらかないので、エステル系ワックスとより親和し易いと考えられる。
【0023】
これに対し、主鎖中に炭素が5個以上連続する直鎖を有しない非晶性ポリエステルでも、分子中にロジンに由来する構造(以下「ロジン骨格」とも称する。)を有すると、嵩高いロジン骨格の立体障害により、エステル系ワックスとの親和性が低下すると考えられる。
したがって、本実施形態のトナーは、トナー像を定着した際にエステル系ワックスがトナー像の表面へしみ出し易く、例えば定着温度が150℃未満でもコールドオフセットが発生し難いと考えられる。
【0024】
本実施形態のトナーにおいて、トナー中の全樹脂に占める特定ポリエステルの割合は、50質量%以上100質量%以下が望ましく、60質量%以上90質量%以下がより望ましく、70質量%以上80質量%以下が更に望ましい。
前記割合が50質量%以上であると、主鎖中に炭素が5個以上連続する直鎖を有しない非晶性ポリエステルの分子中にロジン骨格を含有せしめたことの効果が顕著である。
前記割合が90質量%以下であると、トナー中に例えば結晶性樹脂など他の樹脂を含有する余地があり、これら他の樹脂に由来する効果(例えば結晶性樹脂による低温定着性の向上)が得られる。
【0025】
トナーに含まれる非晶性ポリエステルの主鎖中の直鎖の炭素数は、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS)によって確認し得る。具体的には、トナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、THF可溶分を樹脂成分として抽出し、抽出分を熱分解GC−MSにて分析する。
「主鎖中におけるエステル結合で挟まれた領域に炭素が5個以上連続する直鎖を有しない非晶性ポリエステル」が分子中にロジン骨格を有することは、上記と同様の熱分解GC−MSで確認し得る。
トナー中の全樹脂に占める特定ポリエステルの割合(質量%)は、上記と同様の熱分解GC−MSで確認し得る。具体的には、ポリマーごとにスペクトルのピーク及び面積が異なるので、その面積比から特定ポリエステルの割合を算出し得る。
【0026】
以下、本実施形態のトナーを構成する各成分について説明する。
【0027】
〔特定ポリエステル〕
本実施形態のトナーは、結着樹脂として、主鎖中に炭素が5個以上連続する直鎖を有さず、主鎖又は側鎖にロジンに由来する構造(ロジン骨格)を有する非晶性ポリエステル(特定ポリエステル)を含有する。
特定ポリエステルは、例えば、多価カルボン酸類と多価アルコール類との縮重合により得られるので、重合に供する多価カルボン酸類及び多価アルコール類として、主鎖を構成する直鎖の炭素数が4以下の化合物を用いることで、主鎖中に炭素が5個以上連続する直鎖を有しない非晶性ポリエステルが得られる。
また、重合に供する多価カルボン酸類及び多価アルコール類の少なくとも1種として、ロジン骨格を有する化合物を用いることで、主鎖又は側鎖にロジン骨格を有する非晶性ポリエステルが得られる。
【0028】
昨今、環境への負荷が少ないトナーが求められており、石油系材料に代えてバイオマス材料(植物由来の材料)から製造されたポリエステルを使用することが考えられている。
バイオマス単量体(植物由来の単量体)の中には主鎖を構成する炭素数が例えば2個乃至4個のものがあるが、本実施形態のトナーによれば、非晶性ポリエステルの材料としてこのバイオマス単量体を使用しても、コールドオフセットが発生し難い。
【0029】
特定ポリエステルは、例えば、多価カルボン酸類と多価アルコール類とを常法に従って縮合反応させて得る。多価カルボン酸類と多価アルコール類とを反応させる際のモル比(酸/アルコール)としては、反応条件等によっても異なるが、高分子量化するためには通常1/1が望ましい。
特定ポリエステルの合成に使用する触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド等の有機金属やテトラブチルチタネート等の金属アルコキシドなどのエステル化触媒が挙げられる。触媒の添加量は、原材料の総量に対して0.01質量%以上1.00質量%以下の範囲で使用される。
【0030】
特定ポリエステルの合成に用いられる多価カルボン酸類としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族カルボン酸類;無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類;これらカルボン酸のアルキル基置換体;等のジカルボン酸が挙げられる。多価カルボン酸類は1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
【0031】
特定ポリエステルの合成においては、架橋構造あるいは分岐構造をとるために、ジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの酸無水物等)を併用することが望ましい。特定ポリエステルが架橋構造を有すると、エステル系ワックスとの親和性が低下すると考えられ、コールドオフセットがより発生し難い。
【0032】
特定ポリエステルの合成に用いられる多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール類;シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等の脂環式ジオール類;ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール類;等が挙げられる。多価アルコール類は1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
また、トナーの製造性、耐熱性、透明性等の観点から、ビスフェノールS、ビスフェノールSエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールSプロピレンオキサイド付加物等のビスフェノールS誘導体を用いてもよい。
【0033】
特定ポリエステルの合成においては、架橋構造あるいは分岐構造をとるために、ジオールとともに3価以上のアルコール類(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等)を併用することが望ましい。特定ポリエステルが架橋構造を有すると、エステル系ワックスとの親和性が低下すると考えられ、コールドオフセットがより発生し難い。
【0034】
特定ポリエステルの合成に用いられる、ロジン骨格を有する多価カルボン酸類及び多価アルコール類としては、特に制限されない。
本実施形態においてロジンとは樹木から得られる樹脂酸の総称であり、主成分は3環性ジテルペン類の1種であるアビエチン酸とその異性体類を含む天然物由来の物質である。具体的な成分としては、例えばアビエチン酸の他にパラストリン酸、ネオアビエチン酸、ピマル酸、デヒドロアビエチン酸、イソピマル酸、サンダラコピマル酸などがあり、通常ロジンはこれらの混合物である。
本実施形態において用いるロジンは、精製ロジン、不均化ロジン、水素化ロジン、重合ロジン、変性ロジン等のいずれでもよい。
【0035】
特定ポリエステルの合成に用いられる、ロジン骨格を有する多価カルボン酸類としては、例えば、ロジンにアクリル酸、メタクリル酸等を付加させたロジン誘導体が挙げられる。該ロジン誘導体を用いて合成された特定ポリエステルは、主鎖にロジン骨格を有し得る。
また、ロジン骨格を有する多価カルボン酸類としては、例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等で変性したロジン誘導体が挙げられる。該ロジン誘導体を用いて合成された特定ポリエステルは、側鎖にロジン骨格を有し得る。
【0036】
特定ポリエステルの重合に供する多価カルボン酸類に占めるロジン骨格を有する多価カルボン酸類の割合は、1モル%以上30モル%以下が望ましく、2モル%以上20モル%以下がより望ましく、5モル%以上15モル%以下が更に望ましい。
上記割合が30モル%以下であると、特定ポリエステルの柔軟性が保たれ、コールドオフセットの発生がより抑制される。
上記割合が1モル%以上であると、ロジン骨格を有することによる、コールドオフセットの発生抑制の効果が得られやすい。
【0037】
特定ポリエステルの合成に用いられる、ロジン骨格を有する多価アルコール類としては、例えば、下記の一般式(1)で表されるロジンジオールが挙げられる。一般式(1)で表されるロジンジオールを用いて合成された特定ポリエステルは、側鎖にロジン骨格を有し得る。
【0039】
一般式(1)中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に、水素、又はメチル基を表わす。L
1、L
2及びL
3はそれぞれ独立に、カルボニル基、エステル基、エーテル基、スルホニル基、置換基を有してもよい鎖状アルキレン基、置換基を有してもよい環状アルキレン基、置換基を有してもよいアリーレン基、及びそれらの組合せからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、L
1とL
2又はL
1とL
3で環を形成してもよい。A
1、A
2はロジンエステル基を表わす。
【0040】
一般式(1)中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に、水素、又はメチル基を表わす。R
1とR
2とは、同一でも異なっていてもよいが、同一であることが望ましい。
【0041】
一般式(1)中、L
1、L
2及びL
3はそれぞれ独立に、カルボニル基、エステル基、エーテル基、スルホニル基、置換基を有してもよい鎖状アルキレン基、置換基を有してもよい環状アルキレン基、置換基を有してもよいアリーレン基、及びそれらの組合せからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、L
1とL
2又はL
1とL
3で環を形成してもよい。
L
2とL
3とは、同一でも異なっていてもよいが、同一であることが望ましい。
【0042】
L
1、L
2及びL
3で表される鎖状アルキレン基としては、例えば、炭素数1以上10以下のアルキレン基が挙げられる。
【0043】
L
1、L
2及びL
3で表される環状アルキレン基としては、例えば、炭素数3以上7以下の環状アルキレン基が挙げられる。
【0044】
L
1、L
2及びL
3で表されるアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセン基が挙げられる。
【0045】
鎖状アルキレン基、環状アルキレン基、アリーレン基の置換基の例としては、炭素数1以上8以下のアルキル基、アリール基などが挙げられ、直鎖、分岐又は環状のアルキル基が望ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基等が挙げられる。
【0046】
一般式(1)中、A
1及びA
2はロジンエステル基を表す。即ち、一般式(1)で表されるロジンジオールは、1分子中に2個のロジンエステル基を含有するジアルコール化合物である。本実施形態において、ロジンエステル基とは、ロジンに含まれるカルボキシル基から水素原子を除いた残基をいう。
【0047】
一般式(1)で表されるロジンジオールの具体例としては、下記の例示化合物(R1)〜(R39)が挙げられる。下記の例示化合物において、nは1以上の整数を表す。
下記の例示化合物(R1)〜(R39)を用いて合成された特定ポリエステルは、側鎖にロジン骨格を有し得る。
【0055】
上記のロジンジオールは公知の方法によって合成してよく、例えば、2官能エポキシ化合物とロジンとの反応により合成してよい。
以下に、ロジンジオールの合成スキームの一例を示す。下記合成スキームにおいては、2官能のエポキシ化合物とロジンとを反応させてロジンジオールが合成され、ロジンジオールとジカルボン酸成分とを脱水重縮合させることでポリエステルが合成される。なお、ポリエステルを表す構造式のうち、点線で囲まれた部分がロジンエステル基である。
【0057】
特定ポリエステルの重合に供する多価アルコール類に占めるロジンジオールの割合は、1モル%以上30モル%以下が望ましく、2モル%以上20モル%以下がより望ましく、5モル%以上15モル%以下が更に望ましい。
上記割合が30モル%以下であると、特定ポリエステルの柔軟性が保たれ、コールドオフセットの発生がより抑制される。
上記割合が1モル%以上であると、ロジン骨格を有することによる、コールドオフセットの発生抑制の効果が得られやすい。
【0058】
特定ポリエステルは、ロジン骨格を側鎖に有するものが望ましい。特定ポリエステルが側鎖にロジン骨格を有すると、ロジン骨格の立体障害がより現れ易く、エステル系ワックスとの親和性がより低くなると考えられ、コールドオフセットがより発生し難い。
【0059】
特定ポリエステルの側鎖に有るロジン骨格としては、ロジンエステル基が望ましい。ロジンエステル基とは、ロジンに含まれるカルボキシル基から水素原子を除いた残基をいう。
特定ポリエステルが側鎖に有するロジンエステル基としては、合成の容易性などの観点から、ロジンジオールに由来するロジンエステル基が望ましい。
【0060】
特定ポリエステルの全重合成分に占めるロジン骨格を有する多価カルボン酸類及び多価アルコール類の割合は、1モル%以上20モル%以下が望ましく、2モル%以上15モル%以下がより望ましく、5モル%以上10モル%以下が更に望ましい。
上記割合が20モル%以下であると、特定ポリエステルの柔軟性が保たれ、コールドオフセットの発生がより抑制される。
上記割合が1モル%以上であると、ロジン骨格を有することによる、コールドオフセットの発生抑制の効果が得られやすい。
【0061】
特定ポリエステルに占めるロジン骨格の質量割合は、1質量%以上30質量%以下が望ましく、3質量%以上20質量%以下がより望ましく、5質量%以上10質量%以下が更に望ましい。
上記質量割合が30質量%以下であると、特定ポリエステルの柔軟性が保たれ、コールドオフセットの発生がより抑制される。
上記質量割合が1質量%以上であると、ロジン骨格を有することによる、コールドオフセットの発生抑制の効果が得られやすい。
【0062】
特定ポリエステルは、架橋構造を有することが望ましい。特定ポリエステルが架橋構造を有すると、立体的な障害によってエステル系ワックスとの親和性がより低くなると考えられ、コールドオフセットがより発生し難い。
特定ポリエステルに架橋構造を導入する方法としては、例えば、特定ポリエステルの合成成分として3価以上のカルボン酸類(トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの酸無水物等)や3価以上のアルコール類(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等)を用いてもよく、特定ポリエステル中の不飽和結合どうしを例えばラジカル重合により重合させてもよい。
特定ポリエステルの全重合成分に占める3価以上のカルボン酸類及び3価以上のアルコール類の割合は、1モル%以上20モル%以下が望ましく、5モル%以上15モル%以下がより望ましい。
上記割合が20モル%以下であると、特定ポリエステルの柔軟性が保たれ、コールドオフセットの発生がより抑制される。
上記割合が1モル%以上であると、架橋構造を有することによる、コールドオフセットの発生抑制の効果が得られやすい。
【0063】
特定ポリエステルのガラス転移温度は、トナーの保管安定性と低温定着性の観点から、45℃以上80℃以下が望ましく、50℃以上70℃以下がより望ましい。
非晶性ポリエステルのガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られた吸熱ピークのピーク温度として求める。
【0064】
特定ポリエステルの重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(GPC)による分子量測定で、10000以上100000以下が望ましく、30000以上80000以下がより望ましい。
【0065】
〔結晶性ポリエステル〕
本実施形態のトナーは、結着樹脂として結晶性ポリエステルを含有することが望ましい。結晶性ポリエステルは、非晶性ポリエステルに比べて溶融時の粘度が低いため、耐オフセット性が向上する。
【0066】
結晶性ポリエステルにおける「結晶性」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指し、具体的には、昇温速度10℃/分で測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃以内であることを意味する。
一方、吸熱ピークの半値幅が10℃を超えるポリエステルや、明確な吸熱ピークが認められないポリエステルは、非晶性ポリエステルを意味する。
【0067】
結晶性ポリエステルは、例えば、多価カルボン酸類と多価アルコール類とから合成される。
【0068】
結晶性ポリエステルの合成に用いられる多価カルボン酸類としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スべリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸類;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸類;これらの無水物やこれらの低級アルキルエステル;が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等の芳香族カルボン酸類、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。
また、脂肪族ジカルボン酸類や芳香族ジカルボン酸類に加えて、スルホン酸基を持つジカルボン酸類を用いてもよい。
【0069】
結晶性ポリエステルの合成に用いられる多価アルコール類としては、ポリエステル樹脂の結晶性とトナーの低温定着性の観点から、脂肪族ジオールが望ましく、主鎖部分の炭素数が7以上20以下である直鎖型脂肪族ジオールがより望ましく、主鎖部分の炭素数が7以上14以下である直鎖型脂肪族ジオールが更に望ましい。
脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられる。これらのうち、入手容易性を考慮すると1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが望ましい。
【0070】
結晶性ポリエステルの合成に用いられる3価以上のアルコール類としては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0071】
結晶性ポリエステルを構成する多価アルコール類に占める脂肪族ジオールの含有量は、ポリエステル樹脂の結晶性とトナーの低温定着性の観点から、80モル%以上が望ましく、90モル%以上がより望ましい。
【0072】
結晶性ポリエステルを構成する重合性単量体としては、結晶構造を容易に形成するため、芳香族成分を有する重合性単量体よりも直鎖状脂肪族成分を有する重合性単量体が望ましい。さらに結晶性を損なわないために、重合性単量体の種類ごとの構成割合は、各々30モル%以上が望ましい。
【0073】
結晶性ポリエステルの合成は、常法に従って行えばよく、重合温度を180℃以上230℃以下として行うことができ、例えば、反応系内を減圧にし、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させてもよい。
結晶性ポリエステルの作製の際に使用される触媒としては、例えば、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物;リン酸化合物;及びアミン化合物等が挙げられる。
【0074】
結晶性ポリエステルの溶融温度は、トナーの保管性と低温定着性から、50℃以上100℃以下が望ましく、55℃以上90℃以下がより望ましく、60℃以上80℃以下が更に望ましい。
結晶性ポリエステルの溶融温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られた吸熱ピークのピーク温度として求める。
【0075】
結晶性ポリエステルの重量平均分子量(Mw)は、画像の定着ムラや強度の観点と、トナーの低温定着性の観点とから、1000以上30000以下が望ましい。
結晶性ポリエステルの重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。
【0076】
〔その他の樹脂〕
本実施形態のトナーは、結着樹脂として、ポリエステル樹脂以外の樹脂を含有していてもよい。ポリエステル樹脂以外の樹脂としては、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類の単独重合体又は共重合体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類の単独重合体又は共重合体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類の単独重合体又は共重合体;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類の単独重合体又は共重合体;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類の単独重合体又は共重合体;エチレン、プロピレン、ブタジエン等のオレフィン類の単独重合体又は共重合体;エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル縮合系樹脂;等が挙げられる。
【0077】
〔離型剤〕
本実施形態のトナーは、離型剤として、エステル系ワックスを含有する。
エステル系ワックスとしては、例えば、ペンタエリスリトールパルミチン酸エステル、ペンタエリスリトールベヘン酸エステル、ペンタエリスリトールステアリン酸エステル等のペンタエリスリトール脂肪酸エステル;モンタン酸トリエステル等の高級脂肪酸エステル;等が挙げられる。
【0078】
エステル系ワックスは、トナー製造の際に、トナーを構成する固体分総量の5質量%以上25質量%以下となる量を使用することが望ましい。使用量がこの範囲であると、オイルレス定着システムにおける定着画像の剥離性を確保する上で望ましい。
【0079】
エステル系ワックスの溶融温度(℃)は、50℃以上100℃以下が望ましく、70℃以上95℃以下がより望ましい。
【0080】
〔着色剤〕
本実施形態のトナーは、着色剤を含有してもよい。着色剤としては、染料であっても顔料であってもかまわないが、耐光性や耐水性の観点から顔料が望ましい。表面処理された着色剤を使用したり、顔料分散剤を使用したりしてもよい。
【0081】
着色剤としては、従来公知の材料を特に制限なく用いてよい。望ましい着色剤としては、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロライド、フタロシアンブルー、マラカイトグリーンオキサート、ランプブラック、ローズベンガル、キナクリドン、ベンジシンイエロー、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド185、C.I.ピグメント・レッド238、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等が挙げられる。
着色剤の種類を選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等を得る。
【0082】
本実施形態のトナーにおける着色剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下が望ましい。
【0083】
〔その他の添加剤〕
本実施形態のトナーは、上記成分以外に内添剤や帯電制御剤を含んでもよい。
【0084】
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、又はこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。
【0085】
帯電制御剤としては、例えば、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。
【0086】
〔外添剤〕
本実施形態のトナーは、無機粒子(無機粉体)、有機粒子等の種々の成分を外添剤として含有してもよい。
【0087】
外添剤としては、特に制限はなく、無機粒子や有機粒子等の公知の外添剤を用いてよい。例えば、シリカ、チタニア、アルミナ、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグウネシウム、リン酸カルシウム等の無機粒子;ステアリン酸亜鉛などの金属石鹸;フッ素含有樹脂粒子、シリカ含有樹脂粒子、窒素含有樹脂粒子等の有機樹脂粒子;挙げられる。
外添剤は、目的に応じて表面処理を施してもよく、例えばシラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、シリコーンオイル等で疎水化処理したものが望ましく用いられる。
【0088】
〔トナーの特性〕
本実施形態のトナーの体積平均粒径D50vは、4μm以上8μm以下が望ましく、5μm以上6μm以下がより望ましい。体積平均粒径D50vが4μm以上であると、トナーの流動性がよく、各トナー粒子の帯電性が良好である。また、帯電分布が広がらないため、背景へのかぶりや現像器からのトナーこぼれ等が生じにくくなる。さらに、体積平均粒径D50vが4μm以上であると、クリーニング性が良好である。一方、体積平均粒径D50vが8μm以下であると、画像の解像度が良好であり、近年の高画質要求が満たされる。
【0089】
本実施形態のトナーの体積平均粒度分布指標GSDvは、1.0以上1.3以下が望ましく、1.1以上1.3以下がより望ましく、1.15以上1.24以下が更に望ましい。GSDvが上記範囲であると、粗大粒子及び微粉粒子の存在が少なく、トナー同士の凝集が抑制され、帯電不良や転写不良を引き起こしにくい。またGSDvが1.0以上であると、製造性がよい。
【0090】
体積平均粒径D50v及び体積平均粒度分布指標GSDvは、以下の方法で求める。
まず、トナーの粒度分布をコールターマルチサイザー−II型(コールター社製)を用いて、100μmのアパーチャ径で測定する。測定は、トナーを電解質水溶液(アイソトン水溶液)に分散させ、超音波により30秒以上分散させた後に行う。
そして、粒度分布を基にして、分割された粒度範囲(チャネル)に対して小径側から体積の累積分布を描き、累積16%となる粒子径を体積D16v、累積50%となる粒子径を体積D50v、累積84%となる粒子径を体積D84vと定義する。これらを用いて、体積平均粒度分布指標GSDvは(D84v/D16v)
1/2として算出される。
【0091】
本実施形態のトナーの形状係数SF1は、110以上140以下が望ましく、115以上135以下がより望ましく、120以上130以下が更に望ましい。SF1が110以上であると、転写後のクリーニング不良が発生しにくい。SF1が140以下であると、転写効率、画像の緻密性が良好であり、高画質な画像が形成される。
形状係数SF1は、下記式により求められる。
SF1=(ML
2/A)×(π/4)×100
上記式中、トナーの最大長(μm)を表し、Aはトナーの投影面積(μm
2)を表す。
具体的には、形状係数SF1は、トナーの光学顕微鏡画像または走査型電子顕微鏡画像を、画像解析装置を用いて解析することによって数値化され、例えば、以下のようにして算出される。即ち、スライドガラス表面に散布したトナーの顕微鏡像を、ビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置(ニレコ社製FT)に取り込み、50個のトナーの最大長(ML)と投影面積(A)を測定し、個々のトナーについて上記式によってSF1を算出し、トナー50個の平均値を算出し形状係数SF1を得る。
【0092】
〔トナーの製造方法〕
本実施形態のトナーの製造方法は特に限定されない。例えば、混練粉砕製法等の乾式法、凝集合一法や懸濁重合法等の湿式法等によってトナー粒子を作製し、例えばトナー粒子に外添剤を外添してトナーを作製する。トナーの形状制御のし易さや、トナーの小径化及び粒度分布の狭小化を考慮すると、凝集合一法や懸濁重合法が望ましく、凝集合一法がより望ましい。以下、凝集合一法によるトナーの作製方法について説明する。
【0093】
(凝集合一法)
凝集合一法は、例えば、
トナー粒子を構成する各材料がそれぞれ分散媒に分散した分散液(樹脂粒子分散液、離型剤分散液等)を準備する工程(分散液準備工程)と、
上記の各分散液を混合し混合分散液を得た後、この分散液に凝集剤を加え、トナー粒子を構成する各材料を含む凝集粒子を形成する工程(凝集工程)と、
前記凝集粒子が分散した凝集粒子分散液を加熱し、前記凝集粒子を融合し合一して融合粒子を形成する工程(融合合一工程)と、を含む。
以下、各工程の詳細について説明する。以下の説明では、着色剤を含むトナー粒子を得る方法について説明するが、着色剤は含まなくてもよい。無論、その他添加剤を用いてもよい。
【0094】
[分散液準備工程]
分散液準備工程では、トナー粒子を構成する主要な材料をそれぞれ分散媒に分散させた乳化分散液を調製する。以下、樹脂粒子分散液、離型剤分散液、着色剤分散液等について説明する。
【0095】
−樹脂粒子分散液−
樹脂粒子分散液の調製は、分散媒と樹脂とを混合した溶液に、分散機により剪断力を与えることにより行ってもよい。その際、加熱して樹脂の粘性を下げて粒子を形成してもよい。分散した樹脂粒子の安定化のため、分散剤を使用してもよい。
樹脂粒子分散液やその他の分散液に用いられる分散媒としては、水系媒体であってもよい。水系媒体としては、例えば、水、アルコール類などが挙げられ、水のみであることが望ましい。
樹脂が油性であって、水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するのであれば、樹脂をそれらの溶剤に解かしてから水中に分散剤や高分子電解質と共に分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散してもよい。
【0096】
分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤;ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤;ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤;リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機塩;等が挙げられる。
【0097】
樹脂粒子分散液の作製に用いる分散機としては、例えば、ホモジナイザー、ホモミキサー、加圧ニーダー、エクストルーダー、メディア分散機等が挙げられる。
【0098】
樹脂粒子の体積平均粒径は、1μm以下が望ましく、0.01μm以上1μm以下がより望ましく、50nm以上400nm以下が更に望ましく、70nm以上350nm以下が特に望ましい。
樹脂粒子の体積平均粒径が上記範囲内であると、最終的に得られるトナーの粒径分布が広くなり過ぎず、遊離粒子が発生し難く、性能や信頼性に優れる。また、トナー間の組成偏在が少なく、性能や信頼性のバラツキが小さい。
樹脂粒子等、分散液中に含まれる粒子の体積平均粒径は、レーザ回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−700)で測定される。
【0099】
−離型剤分散液−
離型剤分散液は、水中に離型剤を、イオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質と共に分散処理し、離型剤の溶融温度以上の温度に加熱し、ホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて強い剪断力を印加することにより調製される。これにより、体積平均粒径が1μm以下(望ましくは0.1μm以上0.5μm以下)の離型剤粒子を分散媒に分散させる。離型剤分散液における分散媒としては、樹脂の分散に用いる分散媒と同様のものを用いてもよい。
【0100】
分散処理の際、無機化合物を分散液に添加してもよい。無機化合物としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、高塩基性ポリ塩化アルミニウム(PAC)、ポリ水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム等が挙げられる。
【0101】
−着色剤分散液−
着色剤分散液を調製する際の分散方法としては、例えば回転剪断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用してもよい。界面活性剤を使用して着色剤の水分散液を調製したり、分散剤を使用して着色剤の有機溶剤分散液を調製したりしてもよい。分散に用いる界面活性剤や分散剤としては、結着樹脂を分散させる際に用い得る分散剤と同様のものを用いてもよい。
【0102】
着色剤分散液に含まれる着色剤の含有量は通常、5質量%以上50質量%以下であってもよく、10質量%以上40質量%以下であってもよい。含有量が前記範囲内であると、着色剤粒子の粒度分布が広がり難い。
【0103】
着色剤分散液に含まれる粒子の体積平均粒径(メジアン径)は、2μm以下であってよく、0.2μm以上1.5μm以下であってもよく、0.3μm以上1μm以下であってもよい。
【0104】
離型剤、その他の内添剤は、樹脂粒子分散液に分散させてもよい。
【0105】
[凝集工程]
凝集工程では、少なくともポリエステル及び離型剤が分散した分散液に凝集剤を加え、ポリエステル及び離型剤を含有する凝集粒子を形成する。
本工程は、例えば、樹脂粒子分散液に、離型剤分散液、着色剤分散液、及び、その他の分散液を混合して得られた混合分散液に対して、凝集剤を添加して通常は加熱し、混合分散液中の粒子を凝集させ凝集粒子を形成する工程としてもよい。
【0106】
凝集粒子の形成は、例えば、混合分散液を回転剪断型ホモジナイザーで攪拌下、室温で凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性に調整した後、混合分散液を加熱し、混合分散液に分散された粒子を凝集させることにより行われる。
混合分散液の加熱は、樹脂粒子が結晶性ポリエステル等の結晶性樹脂である場合には、例えば、結晶性樹脂の溶融温度付近(±20℃)の温度で且つ溶融温度以下の温度まで加熱する。
加熱による粒子の急凝集を抑えるために、室温で攪拌混合している段階でpH調整を行ない、分散安定剤を添加してもよい。
なお、本実施形態において「室温」とは25℃をいう。
【0107】
凝集工程に用いられる凝集剤は、原料分散液に添加される分散剤として用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、すなわち無機金属塩や2価以上の金属錯体が好適に用いられる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上する。
【0108】
凝集剤として用い得る無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩;ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体;が挙げられる。中でも、アルミニウム塩及びその重合体が好適である。より狭い粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が適している。
【0109】
[付着工程]
凝集工程を経た後には、付着工程を実施してもよい。付着工程では、上記した凝集工程を経て形成された凝集粒子の表面に、樹脂粒子を付着させることによりシェル層(被覆層)を形成し得る。これにより、いわゆるコア粒子とこのコア粒子を被覆するシェル層とを含むコアシェル構造を有するトナーを得る。
【0110】
シェル層の形成は、凝集工程において凝集粒子(コア粒子)を形成した分散液中に、通常、結着樹脂粒子を含む分散液を追添加することにより行う。なお、付着工程で利用する結着樹脂は、凝集工程で使用するものと同じであっても異なっていてもよい。
【0111】
一般的にコアシェル構造は、離型剤と共に結晶性樹脂が含まれるコア粒子を、非晶性樹脂のシェル層で覆い、コア粒子に含まれる離型剤や結晶性樹脂のトナー表面への露出を抑制することを主たる目的とする。また、コア粒子単体ではトナー粒子の強度が不十分な場合、強度を補うことを目的とする。
【0112】
[融合合一工程]
融合合一工程では、例えば、凝集粒子を含む懸濁液のpHを6.5以上8.5以下の範囲にすることにより凝集の進行を停止させた後、加熱を行うことにより凝集粒子を融合させ合一させる。この際、樹脂の溶融温度以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子を融合させてもよい。
【0113】
融合合一工程における加熱の際に、又は融合合一が終了した後に、樹脂の架橋反応を行ってもよい。架橋反応を行う場合には、トナーの作製に際して、架橋剤や重合開始剤を用いる。重合開始剤は、原料分散液を作製する段階で予め分散液に混合しておいてもよいし、凝集工程で凝集粒子に取り込ませてもよいし、融合合一工程中または融合合一工程後に粒子に取り込ませてもよい。凝集工程中、付着工程中、融合合一工程中、又は融合工程後に導入する場合は、重合開始剤を溶解又は乳化した液を分散液に加える。これらの重合開始剤には、重合度を制御する目的で、公知の架橋剤、連鎖移動剤、重合禁止剤等を添加してもよい。
【0114】
[洗浄、乾燥工程等]
融合合一工程を終了した後、例えば、洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程等を経てトナー粒子を得る。
洗浄工程は、帯電性を考慮すると、イオン交換水で置換洗浄することが望ましい。
固液分離工程は、生産性の点から、吸引濾過、加圧濾過等が好適である。
乾燥工程は、生産性の点から、凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好適である。
【0115】
本実施形態に係るトナーは、例えば、得られた乾燥状態のトナー粒子に、外添剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダーやヘンシュルミキサー、レディゲミキサー等によって行うことがよい。
外添剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下が望ましく、0.3質量部以上2質量部以下がより望ましい。
更に、超音波篩分機、振動篩分機、風力篩分機などを使って、トナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
【0116】
<静電荷像現像剤>
本実施形態の静電荷像現像剤(以下、「現像剤」とも称する。)は、本実施形態のトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態のトナーは、そのまま一成分現像剤として、又は二成分現像剤として用いられる。二成分現像剤として用いる場合にはキャリアと混合して使用される。
【0117】
二成分現像剤に使用し得るキャリアは、特に制限はなく、公知のキャリアでよい。例えば、酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属;フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物;磁性金属や磁性酸化物を芯材として、芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂被覆キャリア;マトリックス樹脂に導電性粒子などが分散された樹脂分散型キャリア;等が挙げられる。
【0118】
キャリアを構成する被覆樹脂やマトリックス樹脂の種類に、特に制限はない。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリル系樹脂等が挙げられる。これらの中では、帯電量の高さ等の点で、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリル系樹脂が望ましい。
【0119】
導電材料としては、金、銀、銅等の金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等が挙げられる。
【0120】
キャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられる。
キャリアの芯材の体積平均粒径は、例えば10μm以上500μm以下であり、望ましくは30μm以上100μm以下である。
【0121】
芯材の表面を樹脂で被覆する方法としては、被覆樹脂及び各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液を用いて被覆する方法が挙げられる。
具体的には、芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法、芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中で芯材と被覆層形成用溶液とを混合し溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
被覆層形成用溶液の溶媒は、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂の種類や、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
【0122】
二成分現像剤におけるトナーとキャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100の範囲が望ましく、3:100乃至20:100の範囲がより望ましい。
【0123】
<画像形成装置、画像形成方法>
本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体表面を帯電する帯電手段と、帯電した前記像保持体表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、前記像保持体表面に形成された前記静電荷像を本実施形態の現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、を備える。
本実施形態の画像形成装置により、像保持体表面を帯電する帯電工程と、帯電した前記像保持体表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、前記静電荷像を本実施形態の現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着工程と、を有する本実施形態の画像形成方法が実施される。
【0124】
本実施形態の画像形成装置において、例えば前記現像手段を含む部分が、画像形成装置本体に対して着脱可能なカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。該プロセスカートリッジとしては、本実施形態の現像剤を収納し、像保持体表面に形成された静電荷像を前記現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備え、画像形成装置に着脱される本実施形態のプロセスカートリッジが好適に用いられる。
【0125】
以下、本実施形態の画像形成装置の一例を示すが、本実施形態はこれに限定されるわけではない。尚、図に示す主用部を説明し、その他はその説明を省略する。
図1は、4連タンデム方式のカラー画像形成装置を示す概略構成図である。
図1に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」ということがある。)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジであってもよい。
【0126】
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図中における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20内面に接する駆動ローラ22および支持ローラ24に巻回されて設けられ、第1ユニット10Yから第4ユニット10Kに向う方向に走行されるようになっている。尚、支持ローラ24は、図示しないバネ等により駆動ローラ22から離れる方向に付勢されており、両者に巻回された中間転写ベルト20に予め定められた張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ローラ22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収容されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが供給される。
【0127】
上述した第1乃至第4ユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1ユニット10Yについて代表して説明する。尚、第1ユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2乃至第4ユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
【0128】
第1ユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ローラ2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yによって露光して静電荷像を形成する露光装置3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段)4Y、現像したトナー像を中間転写ベルト20上に転写する1次転写ローラ(1次転写手段)5Y、および1次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段)6Yが順に配設されている。
尚、1次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
【0129】
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。まず、動作に先立って、帯電ローラ2Yによって感光体1Yの表面が例えば−600V以上−800V以下の電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(20℃における体積抵抗率:1×10
−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
【0130】
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
このようにして感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによって可視像(現像像)化される。
【0131】
現像装置4Y内に収納されているイエロー現像剤は、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された静電荷像にイエロートナーが静電的に付着し、静電荷像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー像が形成された感光体1Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー像が予め定められた1次転写位置へ搬送される。
【0132】
感光体1Y上のイエロートナー像が1次転写位置へ搬送されると、1次転写ローラ5Yに予め定められた1次転写バイアスが印加され、感光体1Yから1次転写ローラ5Yに向かう静電気力がトナー像に作用され、感光体1Y上のトナー像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性(+)の極性であり、第1ユニット10Yでは制御部(図示せず)によって例えば+10μAに制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーは感光体クリーニング装置6Yで除去されて回収される。
【0133】
また、第2ユニット10M以降の1次転写ローラ5M、5C、5Kに印加される1次転写バイアスも、第1ユニットに準じて制御されている。
こうして、第1ユニット10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4ユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ね合わされて重ね合わせトナー像が形成される。
【0134】
第1乃至第4ユニットを通して4色のトナー像が重ね合わされた中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された2次転写ローラ(2次転写手段)26とから構成された2次転写部へと至る。一方、記録紙(記録媒体)Pが供給機構を介して2次転写ローラ26と中間転写ベルト20とが圧接されている隙間に予め定められたタイミングで給紙され、予め定められた2次転写バイアスが支持ローラ24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性(−)の極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向かう静電気力が重ね合わせトナー像に作用され、中間転写ベルト20上の重ね合わせトナー像が記録紙P上に転写される。尚、この際の2次転写バイアスは2次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
【0135】
この後、記録紙Pは定着装置(定着手段)28へと送り込まれ重ね合わせトナー像が加熱され、色重ねしたトナー像が溶融されて、記録紙P上へ定着される。カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬送ロール(排出ロール)32により搬送され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
尚、上記例示した画像形成装置は、中間転写ベルト20を介して重ね合わせトナー像を記録紙Pに転写する構成となっているが、この構成に限定されるものではなく、感光体から直接トナー像が記録紙に転写される構造であってもよい。
【0136】
<プロセスカートリッジ、トナーカートリッジ>
図2は、本実施形態の現像剤を収納するプロセスカートリッジの好適な一例を示す概略構成図である。プロセスカートリッジ200は、感光体107とともに、帯電装置108、現像装置111、感光体クリーニング装置(クリーニング手段)113、露光のための開口部118、及び除電露光のための開口部117を、取り付けレール116を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。
上記プロセスカートリッジ200は、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。300は記録紙である。
【0137】
図2で示すプロセスカートリッジ200では、感光体107、帯電装置108、現像装置111、感光体クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を備えているが、これら装置は選択的に組み合わせてもよい。本実施形態のプロセスカートリッジでは、現像装置111のほかには、感光体107、帯電装置108、感光体クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117から構成される群から選択される少なくとも1種を備えてもよい。
【0138】
次に、トナーカートリッジについて説明する。
トナーカートリッジは、画像形成装置に着脱可能に装着され、少なくとも、前記画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するためのトナーを収容するトナーカートリッジにおいて、前記トナーが既述した本実施形態のトナーとしたものである。なお、トナーカートリッジには少なくともトナーが収容されればよく、画像形成装置の機構によっては、例えば現像剤が収められてもよい。
【0139】
なお、
図1に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kの着脱が可能な構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4M、4C、4Kは、各々の現像装置(色)に対応したトナーカートリッジと、図示しない現像剤供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収納されている現像剤が少なくなった場合には、このトナーカートリッジが交換される。
【実施例】
【0140】
以下、実施例及び比較例を挙げ、本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例5及び6は、参考例として記す。
特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0141】
実施例及び比較例で適用した測定方法は、以下のとおりである。
<各物性の測定方法>
〔樹脂の分子量の測定〕
分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で行った。
・測定装置:HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー社製)
・カラム:TSKgel SuperHM−H (6.0mmID×15cm×2本)(東ソー社製)
・溶離液:THF(テトラヒドロフラン)
・測定条件:試料濃度0.5%、流速0.6mL/分、サンプル注入量10μL、測定温度40℃、RI検出器による検出。検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
【0142】
〔樹脂の溶融温度及びガラス転移温度の測定〕
溶融温度及びガラス転移温度は、DSC(示差走査型熱量計)測定法により決定し、ASTMD3418−8に準拠して測定された主体極大ピークより求めた。
主体極大ピークの測定には、パーキンエルマー社製のDSC−7を用いた。この装置の検出部の温度補正はインジウムと亜鉛との溶融温度を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いた。サンプルは、アルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/分で測定を行った。
【0143】
〔粒径及び粒度分布の測定〕
粒子の粒径(「粒度」ともいう。)及び粒度分布(「粒径分布」ともいう。)の測定方法は下記のとおりである。
【0144】
−粒径が2μm以上の場合−
・測定用試料:アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(界面活性剤)の5%水溶液2mLに粒子を0.5mg以上50mg以下加え、これを電解液(ベックマン−コールター社製アイソトンII)100mL中に添加し、超音波分散器で1分間分散処理を行って調製した。
・測定装置:コールターマルチサイザーII型(コールター社製)、アパーチャ径100μm。
上記の測定用試料及び測定装置を用いて、2μm以上60μm以下の粒子50,000個の粒径を測定して、粒度分布から体積平均粒度分布および個数平均粒度分布を求めた。
【0145】
体積平均粒径および体積平均粒度分布指標は以下の方法により求めた。
粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、粒度の小さいほうから体積累積分布を描き、累積16%となる累積体積粒径をD16vと定義し、累積50%となる累積体積粒径をD50vと定義し、累積84%となる累積体積粒径をD84vと定義した。
そして、D50vを体積平均粒径とした。体積平均粒度分布指標GSDvは以下の式によって算出した。
GSDv=(D84v/D16v)
1/2
【0146】
−粒径が2μm未満の場合−
・測定用試料:固形分2gの粒子分散液にイオン交換水を添加して40mLにし、測定用試料とした。外添剤などの粉体は、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液50mL中に粉体を2g加え、超音波分散機(1,000Hz)にて2分間分散して、測定用試料とした。
・測定装置:レーザ回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−700)
上記の測定用試料をセルに適当な濃度になるまで投入し、2分間待って、セル内の濃度が安定したところで測定した。得られたチャンネルごとの体積平均粒径を、体積平均粒径の小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均粒径とした。
【0147】
〔トナーの形状係数SF1の測定〕
スライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、50個のトナーについてSF1を計算し、平均値を求めた。
【0148】
〔特定ポリエステルのGC−MS〕
特定ポリエステルの熱分解ガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS)は、下記の機器及び条件で行った。
・GC−MS計:アジレント社製HP6890N
・カラム:アジレント社製Ultra1(カラム長50m、内径0. 2mm、膜厚0.33μm)
・GCオーブン昇温条件:初期温度100℃(0min)、第1段階昇温速度1℃/min(150℃まで)、第2段階昇温速度10℃/min(400℃まで)、最終温度400℃(10min)
・サンプル注入量:1μL
・注入口条件:注入モードはスプリット法、スプリット比50:1、注入口温度300℃
・キャリアガス:ヘリウム、流量1ml/min(定流量モード)
また質量分析は、アジレント社製5973Nで行った。分解したモノマーを定性し、モノマー解析を行った。
【0149】
<ポリエステル樹脂の合成及び樹脂粒子分散液の調製>
〔結晶性ポリエステル樹脂(1)〕
・1,10−デカンジオール 100モル部
・セバシン酸 100モル部
・ジブチル錫オキサイド 1,10−デカンジオール及びセバシン酸の合計量100部に対して0.3部
上記の材料を加熱乾燥した3つ口フラスコに仕込み、減圧操作によりフラスコ内を窒素ガスで不活性雰囲気とし、180℃にて2時間攪拌した。その後、減圧下にて200℃まで徐々に昇温し2時間攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させた。こうして、重量平均分子量3600、数平均分子量2100の結晶性ポリエステル樹脂(1)を得た。
【0150】
結晶性ポリエステル樹脂(1)の溶融温度(Tm)を、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを有し、ピークトップの温度は67.5℃であった。
【0151】
乳化装置(キャビトロンCD1010、スリット0.4mm)の乳化タンクに、結晶性ポリエステル樹脂(1)3000部、イオン交換水10000部、分散剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム100部を投入し、130℃にて加熱溶融後、110℃にて10000回転で30分間分散させ、流量3L/分で冷却タンクを通過させて樹脂粒子分散液を回収し、固形分量20.0%の結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)を得た。結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)に含まれる粒子の体積平均粒径D50vは0.25μmであった。
【0152】
〔非晶性ポリエステル樹脂(1)〕
・プロピレングリコール 90モル部
・ロジン含有ジオール 10モル部
(荒川化学工業社製パインクリスタルD−6011、例示化合物(R1))
・テレフタル酸 100モル部
・ジブチル錫オキサイド 0.05モル部
上記の材料を加熱乾燥した3つ口フラスコに仕込み、フラスコ内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち昇温した後、150℃以上230℃以下で16時間共縮重合反応させ、その後、210℃以上250℃以下にて徐々に減圧した。こうして、重量平均分子量48000、数平均分子量9000の非晶性ポリエステル樹脂(1)を得た。
【0153】
非晶性ポリエステル樹脂(1)の溶融温度(Tm)を、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移温度は51℃であった。
【0154】
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)の作製と同様にして、固形分量20.0%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)を作製した。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)に含まれる粒子の体積平均粒径D50vは0.25μmであった。
【0155】
〔非晶性ポリエステル樹脂(2)〕
・エチレングリコール 90モル部
・ロジン含有ジオール(荒川化学工業社製パインクリスタルD−6011) 10モル部
・テレフタル酸 100モル部
・ジブチル錫オキサイド 0.05モル部
上記の材料を用いて非晶性ポリエステル樹脂(1)の合成と同様の方法で、重量平均分子量42000、数平均分子量8000の非晶性ポリエステル樹脂(2)を得た。
【0156】
非晶性ポリエステル樹脂(2)の溶融温度(Tm)を、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移温度は55℃であった。
【0157】
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)の作製と同様にして、固形分量20.0%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2)を作製した。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2)に含まれる粒子の体積平均粒径D50vは0.27μmであった。
【0158】
〔非晶性ポリエステル樹脂(3)〕
・プロピレングリコール 90モル部
・ロジン含有ジオール(荒川化学工業社製パインクリスタルD−6011) 10モル部
・テレフタル酸 90モル部
・トリメリット酸 10モル部
・ジブチル錫オキサイド 0.05モル部
上記の材料を用いて非晶性ポリエステル樹脂(1)の合成と同様の方法で、重量平均分子量66000、数平均分子量10500の非晶性ポリエステル樹脂(3)を得た。
【0159】
非晶性ポリエステル樹脂(3)の溶融温度(Tm)を、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移温度は61℃であった。
【0160】
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)の作製と同様にして、固形分量20.0%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(3)を作製した。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(3)に含まれる粒子の体積平均粒径D50vは0.25μmであった。
【0161】
〔非晶性ポリエステル樹脂(4)〕
・プロピレングリコール 90モル部
・ロジン含有ジオール(荒川化学工業社製パインクリスタルD−6011) 10モル部
・テレフタル酸 85モル部
・トリメリット酸 15モル部
・ジブチル錫オキサイド 0.05モル部
上記の材料を用いて非晶性ポリエステル樹脂(1)の合成と同様の方法で、重量平均分子量86000、数平均分子量14500の非晶性ポリエステル樹脂(4)を得た。
【0162】
非晶性ポリエステル樹脂(4)の溶融温度(Tm)を、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移温度は65℃であった。
【0163】
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)の作製と同様にして、固形分量20.0%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(4)を作製した。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(4)に含まれる粒子の体積平均粒径D50vは0.27μmであった。
【0164】
〔非晶性ポリエステル樹脂(5)〕
・プロピレングリコール 100モル部
・テレフタル酸 90モル部
・アクリル化ロジン(荒川化学社製KE−604) 10モル部
・ジブチル錫オキサイド 0.05モル部
上記の材料を用いて非晶性ポリエステル樹脂(1)の合成と同様の方法で、重量平均分子量47000、数平均分子量8100の非晶性ポリエステル樹脂(5)を得た。
なお、アクリル化ロジン(荒川化学社製KE−604)の構造式は、下記のとおりである。
【0165】
【化10】
【0166】
非晶性ポリエステル樹脂(5)の溶融温度(Tm)を、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移温度は54℃であった。
【0167】
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)の作製と同様にして、固形分量20.0%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(5)を作製した。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(5)に含まれる粒子の体積平均粒径D50vは0.26μmであった。
【0168】
〔非晶性ポリエステル樹脂(6)〕
・プロピレングリコール 100モル部
・テレフタル酸 90モル部
・マレイン化ロジン(ハリマ化成社製M−17S) 10モル部
・ジブチル錫オキサイド 0.05モル部
上記の材料を用いて非晶性ポリエステル樹脂(1)の合成と同様の方法で、重量平均分子量52000、数平均分子量8900の非晶性ポリエステル樹脂(6)を得た。
なお、上記マレイン化ロジンの構造式は、下記のとおりである。
【0169】
【化11】
【0170】
非晶性ポリエステル樹脂(6)の溶融温度(Tm)を、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移温度は52℃であった。
【0171】
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)の作製と同様にして、固形分量20.0%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(6)を作製した。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(6)に含まれる粒子の体積平均粒径D50vは0.23μmであった。
【0172】
〔非晶性ポリエステル樹脂(7)〕
・プロピレングリコール 100モル部
・テレフタル酸 100モル部
・ジブチル錫 0.05モル部
上記の材料を用いて非晶性ポリエステル樹脂(1)の合成と同様の方法で、重量平均分子量46000、数平均分子量8000の非晶性ポリエステル樹脂(7)を得た。
【0173】
非晶性ポリエステル樹脂(7)の溶融温度(Tm)を、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移温度は48℃であった。
【0174】
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)の作製と同様にして、固形分量20.0%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(7)を作製した。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(7)に含まれる粒子の体積平均粒径D50vは0.24μmであった。
【0175】
〔非晶性ポリエステル樹脂(8)〕
・1,6−ヘキサンジオール 90モル部
・ロジン含有ジオール(荒川化学工業社製パインクリスタルD−6011) 10モル部
・テレフタル酸 100モル部
・ジブチル錫オキサイド
上記の材料を用いて非晶性ポリエステル樹脂(1)の合成と同様の方法で、重量平均分子量50000、数平均分子量9500の非晶性ポリエステル樹脂(8)を得た。
【0176】
非晶性ポリエステル樹脂(8)の溶融温度(Tm)を、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移温度は49.5℃であった。
【0177】
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)の作製と同様にして、固形分量20.0%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(8)を作製した。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(8)に含まれる粒子の体積平均粒径D50vは0.23μmであった。
【0178】
〔非晶性ポリエステル樹脂(9)〕
・1,6−ヘキサンジオール 100モル部
・テレフタル酸 100モル部
・ジブチル錫 0.05モル部
上記の材料を用いて非晶性ポリエステル樹脂(1)の合成と同様の方法で、重量平均分子量45000、数平均分子量7700の非晶性ポリエステル樹脂(9)を得た。
【0179】
非晶性ポリエステル樹脂(9)の溶融温度(Tm)を、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移温度は45℃であった。
【0180】
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)の作製と同様にして、固形分量20.0%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(9)を作製した。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(9)に含まれる粒子の体積平均粒径D50vは0.25μmであった。
【0181】
各非晶性ポリエステルの組成及び物性を、表1にまとめて示す。
【0182】
【表1】
【0183】
<離型剤分散液(1)〜(4)の調製>
表2に記載の材料を混合し、96℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックスT50)を用いて3000rpmで1時間分散した後、圧力吐出型ホモジナイザー(ゴーリン社製)を用いて分散し、離型剤分散液(1)〜(4)を作製した。各離型剤分散液の体積平均粒径及び固形分量を表2に示す。
材料の詳細は下記のとおりである。
・ペンタエリスリトールベヘン酸エステル:日油社製WEP5、溶融温度85℃
・ペンタエリスリトールステアリン酸エステル:日油社製WEP6、溶融温度79℃
・モンタン酸トリエステル:クラリアント社製Licowax−WE4、溶融温度78〜85℃
・パラフィン系ワックス:日本精蝋社製HNP−0190、溶融温度89℃
・アニオン性界面活性剤:ダウケミカル社製ダウファクス
【0184】
【表2】
【0185】
<着色剤分散液(1)の調製>
シアン顔料(PB15:3、DIC社製)46部、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製ダウファクス)4部、イオン交換水200部を混合し、96℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックスT50)を用いて3000rpmで1時間分散した後、圧力吐出型ホモジナイザー(ゴーリン社製)で分散処理し、体積平均粒径150nm、固形分量20.0%の着色剤分散液(1)を得た。
【0186】
<実施例1>
〔トナー粒子(1)の作製〕
・結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1) 40部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1) 100部
・離型剤分散液(1) 30部
・着色剤分散液(1) 7部
・硫酸アルミニウム(和光純薬社製) 0.5部
・イオン交換水 300部
上記の材料を丸型ステンレス製フラスコ中に収容してpH3に調整し、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、加熱用オイルバス中で45℃まで攪拌しながら加熱した。この時、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が4.8μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。更に45℃で30分間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が5.2μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。その後、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)60部を添加し、30分間保持し、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が5.8μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。続いて、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を穏やかに添加してpHを8.5に調整した後、攪拌を継続しながら80℃まで加熱し、3時間保持した。
【0187】
反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を施した。これを更に40℃のイオン交換水3Lに再分散し、300rpmで15分間攪拌、洗浄した。これを更に5回繰り返し、濾液のpHが7となったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo.5A濾紙を用いて固液分離を行った。次いで真空乾燥を12時間継続し、トナー粒子(1)を得た。
【0188】
トナー粒子(1)は、体積平均粒径D50vが5.80μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.21、形状係数SF1が131であった。
【0189】
〔現像剤(1)の作製〕
トナー粒子(1)50部と疎水性シリカ(キャボット社製TS720)1.2部とをサンプルミルで混合して外添トナー(1)を得た。
別途、フェライトをポリメチルメタクリレート(綜研化学社製)で被覆したフェライトキャリア(体積平均粒径50μm、フェライトの質量に対するポリメチルメタクリレート量は1質量%)を用意した。
そして、トナー濃度が5%(現像剤に対しての質量%)になるように外添トナー(1)とフェライトキャリアとを混合し、ボールミルで5分間攪拌して現像剤(1)を得た。
【0190】
<実施例2〜6>
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)を非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(2)〜(6)のいずれかに変更した以外は実施例1と同様にして、トナー粒子(2)〜(6)、外添トナー(2)〜(6)及び現像剤(2)〜(6)を得た。
【0191】
<実施例7>
離型剤分散液(1)を離型剤分散液(2)に変更した以外は実施例1と同様にして、トナー粒子(7)、外添トナー(7)及び現像剤(7)を得た。
【0192】
<実施例8>
離型剤分散液(1)を離型剤分散液(3)に変更した以外は実施例1と同様にして、トナー粒子(8)、外添トナー(8)及び現像剤(8)を得た。
【0193】
<実施例9>
実施例1において、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)を使用せず、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)100部を140部に変更した以外は実施例1と同様にして、トナー粒子(9)、外添トナー(9)及び現像剤(9)を得た。
【0194】
<比較例1>
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)を非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(7)に変更した以外は実施例1と同様にして、トナー粒子(C1)、外添トナー(C1)及び現像剤(C1)を得た。
【0195】
<参考例1>
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)を非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(8)に変更した以外は実施例1と同様にして、トナー粒子(R1)、外添トナー(R1)及び現像剤(R1)を得た。
【0196】
<参考例2>
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)を非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(9)に変更した以外は実施例1と同様にして、トナー粒子(R2)、外添トナー(R2)及び現像剤(R2)を得た。
【0197】
<参考例3>
離型剤分散液(1)を離型剤分散液(4)に変更した以外は実施例1と同様にして、トナー粒子(R3)、外添トナー(R3)及び現像剤(R3)を得た。
【0198】
<評価>
画像形成装置として富士ゼロックス社製DocuColor Centre500CP改造機を用い、記録媒体としてA4サイズ白色紙(富士ゼロックス社製J−A4紙、幅210mm、長さ297mm)を用いた。
定着温度(加熱ベルト及び定着ロールの設定温度)を110℃から200℃まで5℃きざみで昇温させながら、10cm×10cmのベタ画像を連続して画像形成した。
コールドオフセットが発生しなくなった温度T
1(℃)と、ホットオフセットが発生しはじめた温度T
2(℃)とを確認した。そして、T
2とT
1との温度差T(T
2−T
1)(℃)を算出し、下記の基準に従って評価した。Tの値が大きいほど、トナー像が定着し得る温度領域が広い。評価結果を表3に示す。
A:T>80
B:80≧T>70
C:70≧T>60
D:60≧T
【0199】
【表3】
【0200】
表3から明らかなように、実施例1〜9のトナーは、比較例1のトナーに比べて、T
1(℃)が低く、コールドオフセットが発生しにくい。
また、実施例1〜9のトナーは、比較例1のトナーに比べて、トナー像が定着し得る温度領域が広い。