(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5987619
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】出力回路
(51)【国際特許分類】
H03K 19/0175 20060101AFI20160825BHJP
H03K 17/687 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
H03K19/00 101F
H03K19/00 101A
H03K17/687 F
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-222046(P2012-222046)
(22)【出願日】2012年10月4日
(65)【公開番号】特開2014-75692(P2014-75692A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2015年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100119987
【弁理士】
【氏名又は名称】伊坪 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100135976
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】沼田 知之
【審査官】
小林 正明
(56)【参考文献】
【文献】
特開平9−172368(JP,A)
【文献】
特開平7−74616(JP,A)
【文献】
特開平11−346150(JP,A)
【文献】
特開2009−27584(JP,A)
【文献】
特開2005−39560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 19/0175
H03K 17/687
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1高電位側電源電圧と低電位側電源電圧の間で変化する入力信号を、前記第1高電位側電源電圧より高い第2高電位側電源電圧と前記低電位側電源電圧の間で変化する出力信号として、出力端子から出力する出力回路であって、
前記第2高電位側電源電圧を供給する第2高電位側電源と前記出力端子の間に直列に接続され、前記第2高電位側電源に接続された第1の第1極性トランジスタおよび前記出力端子に接続された第2の第1極性トランジスタと、
前記低電位側電源電圧を供給する低電位側電源と出力端子の間に直列に接続され、前記低電位側電源に接続された第1の第2極性トランジスタおよび前記出力端子に接続された第2の第2極性トランジスタと、
前記入力信号を、前記第1高電位側電源電圧と前記第2高電位側電源電圧の間で変化する第1信号と、前記第1高電位側電源電圧と前記低電位側電源電圧の間で変化する第2信号に変換するレベルシフト回路と、
前記第1の第1極性トランジスタと前記第2の第1極性トランジスタの第1接続ノードと、前記第1高電位側電源との間に接続され、前記出力信号により制御される第1パス回路と、
前記第1の第2極性トランジスタと前記第2の第2極性トランジスタの第2接続ノードと、前記第1高電位側電源との間に接続され、前記出力信号により制御される第2パス回路と、を備え、
前記第1の第1極性トランジスタのゲートには、前記第1信号を印加され、
前記第1の第2極性トランジスタのゲートには、前記第2信号を印加され、
前記第2の第1極性トランジスタおよび前記第2の第2極性トランジスタのゲートには、前記第1高電位側電源電圧が印加されることを特徴とする出力回路。
【請求項2】
前記第1パス回路は、前記第1接続ノードと前記第1高電位側電源との間に接続され、ゲートに前記出力信号が印加される第3の第1極性トランジスタを含み、
前記第2パス回路は、前記第2接続ノードと前記第1高電位側電源との間に接続され、ゲートに前記出力信号が印加される第3の第2極性トランジスタを含むことを特徴とする請求項1記載の出力回路。
【請求項3】
前記レベルシフト回路は、前記第1信号を出力する第1駆動回路と前記第2信号を出力する第2駆動回路を含むことを特徴とする請求項1記載の出力回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の電源の低電圧化が進められており、例えば1.8Vなどの電源が使用されるようになっている。このような半導体装置を、既存のシステムで使用する場合、システムの他の部分は、より高電圧の電源を使用している場合がある。このような場合、内部は低電圧の内部電源で動作するが、外部との入出力信号は高電圧であるということになり、例えば、3.3Vの信号を入出力できる半導体装置が求められる。
【0003】
図1は、上記の内部は低電圧電源で動作し、高電圧で動作する外部回路に接続する場合の入出力回路の概略構成を示す図である。
【0004】
図1の(A)は、外部への出力信号が、VDDと0V(GND)の間で変化する低電圧信号であり、外部からの入力信号が、VDD+αと0V(GND)の間で変化する高電圧信号である場合を示す。この場合、入出力回路10Aには、低電圧VDDの電源が供給され、出力回路11Aおよび入力回路12Aは、低電圧VDDで動作する。入力回路12Aは、受信した高電圧信号を低電圧信号に変換して内部に取り込む。出力回路11Aは、低電圧信号を出力するが、出力端子に高電圧信号が印加されるので、それに耐えられるように形成する。
【0005】
図1の(B)は、外部への出力信号および外部からの入力信号がVDD+αと0V(GND)の間で変化する高電圧信号である場合を示す。この場合、入出力回路10Bには、電圧VDD+αの電源が供給され、出力回路11Bおよび入力回路12Bは、低電圧VDD+αで動作する。出力回路11Bは、低電圧の出力信号を高電圧の出力信号に変換して出力し、入力回路12Bは、受信した高電圧信号を低電圧信号に変換して内部に取り込む。以下の説明では、VDD=1.8V、VDD+α=3.3Vの場合を例として説明するが、これに限定されるものではない。
【0006】
図2は、1.8V耐圧のトランジスタで形成した一般的な出力回路で、0Vから3.3Vの間で変化する出力信号を出力する場合を説明する図である。
図2に示すように、3.3Vの電源と0V電源(GND)の間に直列に第1極性トランジスタ(PchTr)23と第2極性トランジスタ(NchTr)24を直列に接続し、PchTr23とNchTr24の接続ノードを出力端子25に接続する。内部回路からレベルシフトされた2つの信号SIG1およびSIG2が出力される。駆動回路21は、SIG1から駆動信号SIGAを生成してPchTr23のゲートに印加し、駆動回路22は、SIG2から駆動信号SIGBを生成してNchTr24のゲートに印加する。SIGAおよびSIGBは、3.3Vと0Vの間で変化する信号である。
【0007】
図2は、SIG1およびSIG2=「高(H)」で、SIGA=3.3V、SIGB=3.3Vであり、出力端子25に「低(L)」を出力する場合を示している。PchTr23は、ゲートに3.3Vが印加されるのでオフ状態になり、NchTr24は、ゲートに3.3Vが印加されるのでオン状態になる。これにより、PchTr23は遮断状態になり、NchTr24は導通状態になり、出力端子25は0Vになる。この時、PchTr23では、ソースおよびゲートに3.3Vが印加され、ドレインに0Vが印加されており、ソース−ドレイン間に3.3Vが、ゲート−ドレイン間に3.3Vが印加されている。PchTr23は、1.8V耐圧のトランジスタであり、耐圧を超える電圧が印加されており、破壊される可能性がある。NchTr24についても同様であり、出力端子に3.3Vが出力される場合には、耐圧を超える電圧が印加され、破壊される可能性がある。
【0008】
そこで、内部回路を含めてすべてのトランジスタを3.3Vの耐圧を有するトランジスタで形成する場合とことが考えられるが、この場合回路の動作特性に多大な影響が発生し、回路規模も増加する。
また、内部の回路は1.8Vの耐圧のトランジスタで形成し、
図1の(B)の入出力回路10Bを3.3Vの耐圧を有するトランジスタで形成することが考えられる。しかし、内部回路と出力回路11Bを別のプロセスで形成するのはプロセスが大幅に増加するので現実的でない。
【0009】
そのため、1.8V耐圧のトランジスタのみで、3.3Vの信号の入出力が可能な入出力回路が求められていた。
【0010】
このような回路を実現する手法として、出力トランジスタをカスコード接続した出力回路が知られている。この出力回路では、複数の出力トランジスタをカスコード接続することにより、1個のトランジスタに印加される電圧を分割し、各出力トランジスタに印加される電圧をトランジスタの耐圧より小さくなるようにする。
【0011】
さらに、出力トランジスタをカスコード接続した出力回路で、出力トランジスタがオフしている間も、出力トランジスタを確実に保護するために、カスコード接続されたトランジスタの間の電位をクランプするパストランジスタを設けることが提案されている。このパストランジスタは、出力トランジスタを介して外部に出力される信号の電圧レベルに応答してオンオフする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平9−246945号公報
【特許文献2】特開平11−176950号公報
【特許文献3】特許第4027936号公報
【特許文献4】特開2007−174001号公報
【特許文献5】特開2009−027584号公報
【特許文献6】特開2005−210247号公報
【特許文献7】特開平6−152383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、出力回路の出力端子がバスに接続されるような場合、バスの電位が変動する場合が起こり得る。そのような場合には、カスコード接続されたトランジスタがオフしている場合でも、バスから、カスコード接続内の接続ノード及びパストランジスタを介して内部信号線に電流が流れることが起こる。この場合、内部信号線のレベルが安定しないという問題が発生する。
【0014】
実施形態によれば、内部信号線の電圧レベルを安定化し、出力回路の各トランジスタにかかる電圧をトランジスタが破壊されない耐圧以下になる出力回路が実現される。
【課題を解決するための手段】
【0015】
実施形態の観点によれば、第1高電位側電源電圧と低電位側電源電圧の間で変化する入力信号を、第1高電位側電源電圧より高い第2高電位側電源電圧と前記低電位側電源電圧の間で変化する出力信号として、出力端子から出力する出力回路が提供される。出力回路は、第1および第2の第1極性トランジスタと、第1および第2の第2極性トランジスタと、レベルシフト回路と、第1駆動回路と、第2駆動回路と、第1パス回路と、第2パス回路と、出力端子と、を有する。第1および第2の第1極性トランジスタは、第2高電位側電源電圧を供給する第2高電位側電源と出力端子の間に直列に接続される。第1の第1極性トランジスタは、第2高電位側電源に接続され、第2の第1極性トランジスタは、出力端子に接続される。第1および第2の第2極性トランジスタは、低電位側電源電圧を供給する低電位側電源と出力端子の間に直列に接続される。第1の第2極性トランジスタは、低電位側電源に接続され、第2の第2極性トランジスタは、出力端子に接続される。レベルシフト回路は、入力信号を第1高電位側電源電圧と第2高電位側電源電圧の間で変化する第1信号と、第1高電位側電源電圧と低電位側電源電圧の間で変化する第2信号に変換する。第1パス回路は、第1の第1極性トランジスタと第2の第1極性トランジスタの第1接続ノードと、第1高電位側電源との間に接続され、出力信号により制御される。第2パス回路は、第1の第2極性トランジスタと第2の第2極性トランジスタの第2接続ノードと、第1高電位側電源との間に接続され、出力信号により制御される。第1の第1極性トランジスタのゲートには、第1信号を印加され、第1の第2極性トランジスタのゲートには、第2信号を印加される。第2の第1極性トランジスタおよび第2の第2極性トランジスタのゲートには、第1高電位側電源電圧が印加される。
【発明の効果】
【0016】
実施形態の観点によれば、低耐圧のトランジスタをカスコード接続して高電圧の出力を可能にした出力回路で、トランジスタがオフしている場合でも、内部信号線の電圧レベルを安定化して、トランジスタにかかる電圧を耐圧以下にする出力回路が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、上記の内部は低電圧電源で動作し、高電圧で動作する外部回路に接続する場合の入出力回路の概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、1.8V耐圧のトランジスタで形成した一般的な出力回路で、0Vから3.3Vの間で変化する出力信号を出力する場合を説明する図である。
【
図3】
図3は、実施形態の出力回路の回路図である。
【
図4】
図4は、入力信号INがLからHに変化する場合の出力回路の各部における信号の変化を示すタイムチャートである。
【
図5】
図5は、IN=Hの場合の各部の電圧を示す図である。
【
図6】
図6は、レベルシフト回路に入力するHi−Z信号がオンの時、出力回路の各部の状態を示す図である。
【
図7】
図7は、レベルシフト回路に入力するHi−Z信号がオンの時、出力回路の各部の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図3は、実施形態の出力回路の回路図である。
実施形態の出力回路が含まれる半導体装置は、内部回路と、出力回路と、を有する。実際には、入力回路も有するが、本実施形態には直接関係しないので、説明は省略する。
【0019】
内部回路は、低電圧(1.8V)で動作し、内部回路の信号は1.8Vと0Vの間で変化する。内部回路は、電圧VDD2(1.8V)の第1高電位側電源の電源端子と電圧0V(GND)の低電位側電源の電源端子に接続される。
【0020】
出力回路には、高電圧VDD1(3.3V)の第2高電位側電源の電源端子および第1高電位側電源の電源端子と電圧0V(GND)の低電位側電源の電源端子に接続される。言い換えれば、低電位側電源の電源端子は、高電圧(3.3V)の場合も低電圧(1.8V)の場合も共通である。以下の説明では、VDD1、VDD2およびGNDを、第2高電位側電源の電源端子、第1高電位側電源の電源端子および低電位側電源の電源端子を表すために使用する場合がある。第1高電位側電源および第2高電位側電源は、外部から供給されても、一部を内部で生成してもよく、電源の生成方法はどのような方法を用いてもよい。なお、以下に説明する出力回路では、電圧VDD2(1.8V)の第1高電位側電源に向かって流れる電流は小さく、高駆動能力で高感度の電源は必要としない。
【0021】
出力回路は、内部回路からの1.8Vと0Vの間で変化する入力信号INを受けて、3.3Vと0Vの間で変化する出力信号を出力端子40に出力する。
【0022】
実施形態の出力回路は、レベルシフト回路31と、第1および第2駆動回路32および33と、第1から第3Pchトランジスタ(Tr)34から36と、第1から第3Nchトランジスタ(Tr)37から39と、出力端子40と、を有する。第1PchTr34、第2PchTr35、第2NchTr38および第1NchTr37は、VDD1とGNDの間にカスコード接続されている。第2PchTr35と第2NchTr38の接続ノードが出力端子40に接続される。なお、各部の信号(電圧)を、
図3で示したNode1からNode5で表す。Node5は、出力端子40の電圧、すなわち出力信号の電圧である。VDD2およびVDD1−VDD2は、第1から第3PchTr34から36および第1から第3NchTr37から39の耐圧を超えることのないように設定される。例えば、VDD2=VDD1−VDD2の時に、出力信号の電圧範囲が耐圧に対してもっとも広くなる。なお、ここでは、VDD1=3.3V、VDD2=1.8V、トランジスタの耐圧=1.8Vである。
【0023】
レベルシフト回路31は、Hi−Z端子を有しており、Hi−Z信号がオフの時には通常動作を行い、Hi−Z信号がオンの時には出力回路の出力をハイインピーダンス状態にする。通常動作時には、レベルシフト回路31は、内部回路から出力され、VDD2とGNDの間で変化する入力信号INを受けて、VDD1とVDD2の間で変化する第1信号OUTPと、VDD2とGNDの間で変化する第2信号OUTNを生成する。Hi−Z信号がオンの時には、レベルシフト回路31は、INにかかわらず、OUTP=VDD2、OUTN=VDD2を出力する。レベルシフト回路31は、広く知られている一般的なレベルシフト回路で実現でき、例えば、特許文献7に記載された回路で実現できる。
【0024】
第1駆動回路32は、インバータ機能を有する増幅回路で、高電位側電源としてVDD1が供給され、低電位側電源としてVDD2が供給され、第1信号OUTPを受けて、VDD1とVDD2を基準として反転した第1駆動信号Node1を生成する。言い換えれば、第1信号OUTPと第1駆動信号Node1は、VDD1とVDD2の中間レベルに対して対称な信号である。
【0025】
第2駆動回路33は、インバータ機能を有する増幅回路で、高電位側電源としてVDD2が供給され、低電位側電源としてGNDが供給され、第2信号OUTN受けて、VDD2とGNDを基準として反転した第2駆動信号Node2を生成する。言い換えれば、第2信号OUTNと第2駆動信号Node2は、VDD2とGNDの中間レベルに対して対称な信号である。
【0026】
第1PchTr34のゲートには、第1駆動信号Node1が印加され、第1NchTr37のゲートには、第2駆動信号Node2が印加される。これにより、第1PchTr34および第1NchTr37は、入力信号INに応じた動作を行う。
【0027】
第1PchTr34は、入力信号INがL(GND)の場合には、OUTPはVDD2であり、Node1はVDD1であり、オフ状態(遮断状態)になる。第1PchTr34は、INがH(VDD2)の場合には、OUTPはVDD1であり、Node1はVDD2であり、オン状態(導通状態)になる。第1NchTr37は、INがL(GND)の場合には、OUTNはGNDであり、Node2はVDD2であり、オン状態(導通状態)になる。第1NchTr37は、INがH(VDD2)の場合には、OUTNはVDD2であり、Node2はGNDであり、オフ状態(遮断状態)になる。
【0028】
第2PchTr35および第2NchTr38のゲートには、VDD2が印加される。第2PchTr35は、第1PchTr34との接続ノードの状態(Node3)と出力端子40の状態(Node5)により、動作状態(オン・オフ)が切り替わる。同様に、第2NchTr38は、第1NchTr37との接続ノードの状態(Node4)と出力端子40の状態(Node5)により、動作状態(オン・オフ)が切り替わる。
【0029】
第3PchTr36は、第1パス回路を形成する。第3PchTr36は、第1PchTr34と第2PchTr35の接続ノードとVDD2の間に接続され、ゲートが出力端子40(Node5)に接続される。第3NchTr39は、第2パス回路を形成する。第3NchTr39は、第1NchTr37と第2NchTr38の接続ノードとVDD2の間に接続され、ゲートが出力端子40(Node5)に接続される。
【0030】
第1PchTr34のバックゲートはソース(VDD1)に接続され、第2PchTr35のバックゲートはソース(Node3)に接続され、第3PchTr36のバックゲートはソース(Node3)に接続される。第1NchTr37のバックゲートはソース(GND)に接続され、第2NchTr38のバックゲートはソース(Node4)に接続され、第3NchTr39のバックゲートはソース(Node4)に接続される。
【0031】
図4は、入力信号INがLからHに変化する場合の出力回路の各部における信号の変化を示すタイムチャートである。
【0032】
IN=Lの時には、OUTP=VDD2、OUTN=GND、Node1=VDD1、Node2=Vdd2である。したがって、第1PchTr34がオフし、第1NchTr37がオンし、Node4=GNDになる。これに応じて、第2NchTr38がオンし、出力端子40(Node5)がGNDになり、第3PchTr36はオンし、Node3がVDD2になる。この時、第3NchTr39はオフである。
【0033】
上記の状態から、INがH(VDD2)に変化を開始すると、OUTPがVDD2からVDD1に、OUTNがGNDからVDD2に変化を開始する。これに応じて、Node1はVDD1からVDD2に、Node2はVDD2からGNDに変化を開始する。そして、Node1が第1PchTr34の閾値を超えると第1PchTr34がオフからオンに変化する。これに応じて、Node3がVDD2からVDD1に変化し、Node3とVDD2の電圧差が第2PchTr35の閾値を超えると、第2PchTr35がオフからオンに変化し、出力端子40(Node5)はGNDからVDD1に変化を開始する。Node5が上昇すると、第3PchTr36がオンからオフに変化し、Node3はVDD2から切り離され、VDD1で安定する。
【0034】
一方、Node2が降下し、第1NchTr37の閾値を超えると第1NchTr37がオンからオフに変化する。上記のNode5の上昇に応じて、第2NchTr38がオンからオフに変化し、第3NchTr39がオフからオンに変化し、Node4は、VDD2に変化する。以上の状態で安定する。
【0035】
図5は、IN=Hの場合の各部の電圧を示す図である。
第1PchTr34は、ソース、ドレインおよびバックゲート(BG)にVDD1が、ゲートにVDD2が印加される。したがって、ゲート−ソース間電圧Vgs、ゲート−ドレイン間電圧Vgdおよびゲート−バックゲート間電圧Vgbは、VDD1−VDD2(1.5V)である。また、ドレイン−ソース間電圧Vds、ソース−バックゲート間電圧Vsbおよびドレイン−バックゲート間電圧Vdbは、0Vであり、耐圧VDD2(1.8V)を超える電圧が印加されることはない。第2PchTr35の各部にも、第1PchTr34と同様の電圧が印加されるので、耐圧VDD2(1.8V)を超える電圧が印加されることはない。
【0036】
第3PchTr36は、ソースおよびバックゲートにVDD1が、ドレインおよびゲートにVDD2が印加される。したがって、Vgs、VdsおよびVgbは、VDD1−VDD2であり、Vgd、VsbおよびVdbは、0Vであり、耐圧VDD2(1.8V)を超えることはない。
【0037】
第1NchTr37は、ソース、ゲートおよびバックゲートにGNDが、ドレインにVDD2が印加される。したがって、Vgs、VgbおよびVsbは、0Vであり、Vds、VgdおよびVdbはVDD2であり、耐圧VDD2(1.8V)を超える電圧が印加されることはない。
【0038】
第2NchTr38は、ソース、ゲートおよびバックゲートにVDD2が、ドレインにVDD1が印加される。したがって、Vgs、VgbおよびVsbは、0Vであり、Vds、VgdおよびVdbはVDD−VDD2であり、耐圧VDD2(1.8V)を超える電圧が印加されることはない。
【0039】
第3NchTr39は、ソース、ドレインおよびバックゲートにVDD2が、ゲートにVDD1が印加される。したがって、Vgs、VgdおよびVgbは、VDD1−VDD2であり、Vds、VsdおよびVdbは0Vであり、耐圧VDD2(1.8V)を超える電圧が印加されることはない。
【0040】
同様に、INがH(VDD2)からL(GND)に変化を開始すると、OUTPがVDD1からVDD2に、OUTNがVDD2からGNDに変化を開始する。これに応じて、Node1はVDD2からVDD1に、Node2はGNDからVDD2に変化を開始する。そして、Node2が第1NchTr37の閾値を超えると第1NchTr37がオフからオンに変化する。これに応じて、Node4がVDD2からGNDに変化し、Node4とVDD2の電圧差が第2PchTr35の閾値を超えると、第2PchTr35がオフからオンに変化し、出力端子40(Node5)はVDD1からGNDに変化を開始する。Node5が降下すると、第3NchTr39がオンからオフに変化し、Node4はVDD2から切り離され、GNDで安定する。
【0041】
一方、Node1が第1PchTr34の閾値を超えると第1PchTr34がオンからオフに変化する。上記のNode5の降下に応じて、第2PchTr35がオンからオフに変化し、第3PchTr36がオフからオンに変化し、Node3は、VDD2に変化し、安定する。
【0042】
IN=Lの場合の各部の電圧と、各トランジスタにおける電圧についての説明は省略するが、耐圧VDD2(1.8V)を超える電圧が印加されることはない。
【0043】
図6および
図7は、前述のように、レベルシフト回路31に入力するHi−Z信号がオンの時、出力回路の各部の状態を示す図である。出力回路の出力をハイインピーダンス(Hi−Z)にするのは、例えば、実施形態の出力回路を、入出力回路の出力部として使用した場合で、入出力回路が入力信号を受ける状態では、出力部をHi−Zにする。入出力回路の出力部の出力端子と入力部の入力端子は共通であり、出力部の出力がHi−Zの状態で、端子には入力信号が入力される。
図6は、実施形態の出力回路の出力がHi−Zの時に、出力端子40にVDD2未満の電圧が入力された場合を、
図7は、出力端子40にVDD2を超える電圧が入力された場合を、それぞれ示す。
【0044】
Hi−Z信号をオンの時、レベルシフト回路31は、OUTP=VDD2およびOUTN=VDD2を出力し、Node1=VDD1およびNode2=GNDとなる。これに応じて、第1PchTr34および第1NchTr37はオフする。
【0045】
出力端子40(Node5)がVDD2未満の場合、第2PchTr35は、ゲートにVDD2が印加されているのでオフし、第2NchTr38は、ゲートにVDD2が印加されているのでNode4とNode5の電位差が閾値以上であればオンする。また、第3PchTr36は、一方の被制御端子にVDD2が印加され、ゲートにVDD2未満の電圧が印加されるので、Node3とNode5の電位差が閾値以上であればオンする。第3NchTr39は、一方の被制御端子にVDD2が印加され、ゲートにVDD2未満の電圧が印加されるのでオフする。
図6はこの状態を示す。ここで、Node4は、第2NchTr38がオンしているので、出力端子40の電圧に近づくが、Node4とNode5の電位差が閾値未満になると、第2NchTr38がオフして、それ以上電流は流れない。
【0046】
Node5の電圧がVDD2を超えている場合、第2NchTr38は、ゲートにVDD2が印加されているのでオフし、第2PchTr35は、ゲートにVDD2が印加されているので、Node3とNode5の電位差が閾値以上であればオンする。また、第3PchTr36は、一方の被制御端子にVDD2が印加され、ゲートにVDD2を超える電圧が印加されるのでオフする。第3NchTr39は、一方の被制御端子にVDD2が印加され、ゲートにVDD2を超える電圧が印加されるので、Node4とNode5の電位差が閾値以上であればオンする。
図7はこの状態を示す。ここで、Node3は、第2PchTr35がオンしているので、出力端子40の電圧に近づくが、Node3とNode5の電位差が閾値未満になると、第2PchTr35がオフして、それ以上電流は流れない。
【0047】
以上説明したように、実施形態の出力回路は、出力をHi−Zにしても、出力端子から内部の信号線に電流が定常的に流れこむことはない。
【0048】
実施形態の出力回路は、出力部のトランジスタPchTr34−35およびNchTr37−38をカスコード接続して各トランジスタにかかる電圧を分割することにより、トランジスタの耐圧を超える電圧(2倍まで)の出力信号の出力を可能にしている。さらに、第3PchTr36および第3NchTr39により、PchTr34と35およびNchTr37と38の接続ノードの電圧をVDD1とGNDの間電圧(VDD2)にして、出力部のトランジスタにかかる電圧を確実に耐圧以下として保護している。この保護動作は、出力信号に対してオフする側である時のみ働き、出力信号を出力している時には働かず、出力信号を阻害しないようにしている。具体的には、出力信号がHの場合には、第1NchTr37および第2NchTr38はオフであり、保護動作を行う第3NchTr39が動作する。一方、第1PchTr34および第2PchTr35はオンであり、第3PchTr36はオフで動作しない。出力信号がLの場合は逆である。
【0049】
さらに、実施形態の出力回路は、出力をHi−Zにでき、その場合に出力端子の電圧が変化しても、信号安定後は定常電流を流さないように動作するので、入出力回路の出力部として使用できる。
【0050】
以上、実施形態を説明したが、ここに記載したすべての例や条件は、発明および技術に適用する発明の概念の理解を助ける目的で記載されたものである。特に記載された例や条件は発明の範囲を制限することを意図するものではなく、明細書のそのような例の構成は発明の利点および欠点を示すものではない。発明の実施形態を詳細に記載したが、各種の変更、置き換え、変形が発明の精神および範囲を逸脱することなく行えることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0051】
31 レベルシフト回路
32 第1駆動回路
33 第2駆動回路
34 第1Pchトランジスタ(Tr)
35 第2Pchトランジスタ(Tr)
36 第3Pchトランジスタ(Tr)
37 第1Nchトランジスタ(Tr)
38 第2Nchトランジスタ(Tr)
39 第3Nchトランジスタ(Tr)
40 出力端子