(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
図9に示すように、フェイスクランプチャック8は、円周方向に配された複数のチャック爪20をワークWの端面に押し当てて、ワークWを軸方向にクランプする。各チャック爪20は、フェイスクランプチャック8が設けられる主軸(図示せず)の軸方向(Z軸方向)に進退自在なチャック爪取付部材21にそれぞれ固定して取り付けられる。チャック爪取付部材21は、カム機構(図示せず)により、進退に伴って主軸の軸方向と平行な回転中心O2回りに回転するようになっている。この構造により、チャック爪取付部材21が進退することで、チャック爪20が、
図9において実線で示すワークWをクランプする位置と鎖線で示すクランプしない位置間を進退しながら旋回する。チャック爪取付部材21が回転する角度はカム機構により定まるので、チャック爪20の旋回角度は一定である。
【0003】
上記構造のフェイスクランプチャック8は、チャック本体8aに設けられた当て面34とチャック爪20の押当て部20aとでワークWを軸方向両側から挟み付けてクランプする。そのため、クランプすることが可能なワークWの径の範囲が狭く、ワークWの径が変わるたびに、ワーク径に応じたチャック爪20に取り替える段取り替えが必要であった。一般的には、チャック爪取付部材21に対するチャック爪20の取付角度を変えることで、旋回角度は同じのままでチャック爪20の旋回範囲を調整する。取付角度は、回転方向の相対位置のことを言う。
【0004】
このような段取り替えの煩雑さを解消するために、特許文献1に、チャック爪取付部材21ごとチャック爪20の角度を変更することにより、チャック爪20の旋回範囲を調節可能としたフェイスクランプチャックが提案されている。この構成であると、チャック爪20を取り替えることなく、異なる径のワークWに対応することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のものは、フェイスクランプチャック8の外部から伝達される動力により、チャック爪取付部材21の角度を変更する。そのため、フェイスクランプチャック8の外部に角度変更用の動力源を設置しなければならず、コスト高となる。また、各チャッ爪取付部材21を連動させるために、歯車装置等の連動機構をフェイスクランプチャック8の内部に設けなければならず、フェイスクランプチャック8が複雑で大型化する。
【0007】
この発明の目的は、ワーク径が変わっても段取り替えをしなくて済み、構造を複雑化することなく、かつコスト増を招くことなく製作することができるフェイスクランプチャックを提供することである。
この発明の他の目的は、簡易な機構で、チャック爪取付部材に対するチャック爪の取付角度を変更可能とすることである。
この発明のさらに他の目的は、ワーク径が変わってもフェイスクランプチャックの段取り替えをしなくて済む工作機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のフェイスクランプチャックは、工作機械の主軸に取り付けられてワークをこのワークの表面と接触して前記主軸の軸方向にクランプするチャックであって、前記主軸の先端に設けられたチャック本体と、このチャック本体に対して前記主軸の軸方向に進退自在かつ前記主軸と平行な回転中心回りに回転自在に設置され、進退に伴って一定角度の範囲内で回転するチャック爪取付部材と、このチャック爪取付部材の先端に取り付けられて、前記チャック爪取付部材の前記回転中心から離れる方向に延びる形状であって、その先端が前記チャック爪取付部材の回転により前記主軸に対して内外に旋回するチャック爪とを備える。このチャック爪は、前記チャック爪取付部材に対する回転方向の相対位置を変更自在に取り付けられる。
【0009】
この構成によると、チャック爪取付部材を進退させると、その進退に伴ってチャック爪取付部材が主軸と平行な回転中心回りに一定角度の範囲内で自転し、チャック爪取付部材に取り付けられたチャック爪が、ワークをクランプする位置とクランプしない位置間を進退しながら旋回する。チャック爪取付部材に対してチャック爪の回転方向の相対位置を変更させることで、旋回角度は同じのままでチャック爪の旋回範囲が調整される。これにより、クランプすることが可能なワークの径が変わる。このため、段取り替えをすることなく、異なる径のワークに対応することができる。
【0010】
チャック爪取付部材に対するチャック爪の回転方向の相対位置の変更は、人力操作であってもよく、または、このフェイスクランプチャックが設置される工作機械の可動部の動作による操作であってもよい。つまり、上記相対位置の変更用の動力源を別途設けなくてよいので、低コストで製作することができる。また、それぞれのチャック爪ごとに上記相対位置を変更すればよいので、各チャック爪取付部材を連動させる連動機構を設けなくてもよく、構造が複雑にならない。
【0011】
前記チャック爪は、常態ではこのチャック爪と前記チャック爪取付部材との間に生じる摩擦力により前記チャック爪取付部材に対する回転方向の相対位置が一定であるように固定され、前記回転中心回りに定められた大きさ以上の回転力が加わると前記チャック爪取付部材に対する回転方向の相対位置が変更され
る。
この構成の場合、チャック爪取付部材とチャック爪との回転中心回りの摩擦力の大きさを適正に設定することにより、特別な部品を用いない簡易な機構でありながら、チャック爪取付部材に対するチャック爪の回転方向の相対位置を変更可能とすることができる。
【0012】
この発明の工作機械は、上記フェイスクランプチャックを有する主軸と、この主軸に支持されたワークに対して加工を行う工具を支持する工具支持体とを備える。この工作機械において、前記チャック爪に回転力受け部を設け
、前記工具支持体に
、前記主軸また
は前記工具支持体の定められた動作により前記回転力受け部に対して前記チャック爪取付部材の前記回転中心回りの回転力を付与する回転力付与部材を設ける。
【0013】
この構成であると
、工具支持体に設けられた回転力付与部材により、チャック爪に設けられた回転力受け部に対して、チャック爪取付部材の回転中心回りの回転力を付与することで、チャック爪取付部材に対するチャック爪の回転方向の相対位置を変更することができる。そのため、ワーク径が変わってもフェイスクランプチャックの段取り替えをしなくて済む。また、工作機械の可動部である主軸または工具支持体の動作を利用することで、チャック爪の相対位置変更用の動力源を不要とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明のフェイスクランプチャックは、工作機械の主軸に取り付けられてワークをこのワークの表面と接触して前記主軸の軸方向にクランプするチャックであって、前記主軸の先端に設けられたチャック本体と、このチャック本体に対して前記主軸の軸方向に進退自在かつ前記主軸と平行な回転中心回りに回転自在に設置され、進退に伴って一定角度の範囲内で回転するチャック爪取付部材と、このチャック爪取付部材の先端に取り付けられて、前記チャック爪取付部材の前記回転中心から離れる方向に延びる形状であって、その先端が前記チャック爪取付部材の回転により前記主軸に対して内外に旋回するチャック爪とを備え、このチャック爪は、前記チャック爪取付部材に対する回転方向の相対位置を変更自在に取り付けられるものとしたため、ワーク径が変わっても段取り替えをしなくて済み、構造を複雑化することなく、かつコスト増を招くことなく製作することができる。
【0015】
前記チャック爪は、常態ではこのチャック爪と前記チャック爪取付部材との間に生じる摩擦力により前記チャック爪取付部材に対する回転方向の相対位置が一定であるように固定され、前記回転中心回りに定められた大きさ以上の回転力が加わると前記チャック爪取付部材に対する回転方向の相対位置が変更されるもの
とされたため、簡易な機構で、チャック爪取付部材に対するチャック爪の取付角度を変更可能である。
【0016】
この発明の工作機械は、フェイスクランプチャックを有する主軸と、この主軸に支持されたワークに対して加工を行う工具を支持する工具支持体とを備え、前記チャック爪に回転力受け部
が設
けられ、前記工具支持体に
、前記主軸また
は前記工具支持体の定められた動作により前記回転力受け部に対して前記チャック爪取付部材の前記回転中心回りの回転力を付与する回転力付与部材を設けたため、ワーク径が変わってもフェイスクランプチャックの段取り替えをしなくて済む。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1、
図2は、この発明の一実施形態に係るフェイスクランプチャックを有する工作機械の正面図および平面図である。この工作機械1は1軸のタレット型旋盤であって、ワークWを支持して回転させる主軸2と、この主軸2に支持されたワークWに対して加工を行う工具Tを支持する工具支持体3とを備える。
【0019】
主軸2は、軸心O1が前後方向(Z軸方向)に沿う軸であって、ベッド5上に設置された主軸台6に回転自在に支持され、主軸モータ7により回転駆動される。主軸2の先端には、ワークWを主軸2の軸方向にクランプするフェイスクランプチャック8が設けられている。このフェイスクランプチャック8については、後で詳しく説明する。
【0020】
工具支持体3は、正面形状が多角形のタレットからなり、その外周の各平面部分に、工具ホルダ10を介して各種工具Tおよび後述の回転力付与部材42が取り付けられる。
図1には各平面部分に取り付けられる複数の工具Tのうち一部の工具Tのみが表示され、
図2ではすべての工具Tの図示が省略されている。回転力付与部材42は、各平面部分の1箇所にだけ取り付けられる。工具支持体3は、タレット軸11を介して、ベッド5上の送り台12に回転割出可能に搭載されている。工具支持体3の回転割出は、送り台12に搭載された割出用モータ13により行われる。
【0021】
前記タレット軸11は、前記送り台12に対して前後方向に進退自在であり、Z軸モータ14により進退駆動される。また、送り台12は、ベッド5上のX軸案内16に左右方向(X軸方向)に進退自在に設置され、X軸モータ17により送りねじ機構18を介して進退駆動される。これにより、工具支持体3は、前後方向および左右方向に移動可能である。回転する主軸2のフェイスクランプチャック8に把持されたワークWに対して工具Tを当ててワークWの加工を行い、工具支持体3を前後方向に移動させることで、工具Tを主軸2の軸方向に送り、工具支持体3を左右方向に移動させることで、工具TによるワークWの切込み量を調整する。
【0022】
図3(A),(B)は、前記フェイスクランプチャック8の正面図および破断側面図である。フェイスクランプチャック8は、チャック本体8aの前面部に、円周方向に等配で設けられた複数のチャック爪20を有する。チャック本体8aは、主軸2の先端面にボルト(図示せず)等で取り付けられる。各チャック爪20は、主軸2の軸心O1の方向である前後方向(Z軸方向)に進退自在なチャック爪取付部材21の前端部に、後述する取付部22により取り付けられている。チャック爪取付部材21は、円形軸状であって、チャック本体8aに固定された案内部23に、前後方向に進退自在かつ回転中心O2回りに回転自在に支持されている。よって、各チャック爪取付部材21は、主軸2の軸心O1回りの公転と、回転中心O2回りの自転とが可能である。
【0023】
チャック本体8aの中心には、前後方向に進退駆動されるクランプ軸25が設けられている。このクランプ軸25と各チャック爪取付部材21の後端部とが、連結部材27を介して連結されている。連動部材27は、クランプ軸25の進退運動をチャック爪取付部材21へ伝達するが、連動部材27に対してチャック爪取付部材21は回転自在である。前記クランプ軸25は、主軸2の内部に進退自在に設けられたドローバ26の先端に連結され、ドローバ26は、主軸2の後端に位置するエアシリンダ等のクランプ駆動源(図示せず)によって進退させられる。
【0024】
図3(B)の部分拡大図である
図4、およびそのV−V断面図である
図5に、チャック爪取付部材21の進退動作によってこのチャック爪取付部材21を一定角度の範囲内で回転させる進退対応回転付与機構28が示されている。この進退対応回転付与機構28は、チャック爪取付部材21の軸方向中央部の外周面に形成された案内溝29と、前記案内部23に設けられて前記案内溝29に相対的に移動自在に嵌る案内ピン30とで構成される。案内溝29は、主軸2(
図3(B))の軸方向に沿う前部29aと、軸方向に対して斜めになった後部29bとでなる。案内ピン30は、例えばつば付き形状であって、案内部23に設けられた座繰り孔形状のピン孔31に外周側から挿入され、つば部30aをピン孔31の座繰り面31aに当接させ、止めねじ32により固定される。
【0025】
クランプ軸25(
図3(B))を進退駆動すると、各チャック爪取付部材21が互いに同期して進退する。チャック爪取付部材21の進退により、案内ピン30が案内溝29に沿って相対的に移動する。案内ピン30が案内溝29の前部29aを相対的に移動するときは、チャック爪取付部材21が進退動作のみを行うが、案内ピン30が案内溝29の後部29bを相対的に移動するときは、チャック爪取付部材21は進退動作に伴って回転中心O2回りに自転する。このチャック爪取付案内部材21の動作により、チャック爪20は、
図3において実線で示すワークWをクランプするクランプ位置P1と、鎖線で示すワークWクランプしない解放位置P2間を、進退しながら主軸2に対して内外に旋回する。旋回角度θは、例えば40°程度である。
【0026】
チャック爪20は、チャック爪取付部材21の回転中心O2から離れる方向に延びる形状であり、その先端のチャック本体8a側を向く面に、クランプ時にワークWに押し当てられる鋼材等からなる押当て部20aが設けられている。チャック本体8aの前部にはワーク当て部材33が設けられ、このワーク当て部材33の前面に、各チャック爪20の押当て部20aと対向する当て面34が設けられている。当て面34は、正面から見て、押当て部20aの回転中心O2回りの旋回軌跡に対応する円弧形状である。
【0027】
チャック爪取付部材21へのチャック爪20の取付部22は、チャック爪取付部材21の先端部に設けられた取付軸部36にチャック爪20の取付孔37を嵌合させてある。そして、取付軸部36の先端面に、円板状の抜け止め部材38が、チャック爪20に当接させてボルト等の固定具39により固定されている。
【0028】
図6に示すように、前記取付軸部36は、外周面に軸方向に延びる多数の凸条36aが形成され、前記取付孔37は、内周面に上記取付軸部36の凸条36aと噛み合う多数の凸条37aが形状されている。常態では、取付軸部36の凸条36aと取付孔37の凸条37aとが噛み合うことで、凸条36a,37a間に生じる摩擦力によりチャック爪取付部材21に対してチャック爪20が回転方向の相対位置が一定であるように固定される。チャック爪20に対して回転中心O2回りに定められた大きさ以上の回転力が加わると、取付軸部36の凸条36aが取付孔37の凸条37aを乗り越えることで、チャック爪取付部材21に対するチャック爪20の回転方向の相対位置が変更されるように、上記摩擦力の大きさが適正に設定されている。この取付部22の構成は、特別な部品を用いない簡易な機構でありながら、チャック爪取付部材21に対するチャック爪20の回転方向の相対位置が変更可能である。
【0029】
チャック爪取付部材21に対するチャック爪20の回転方向の相対位置を変更する手段として、
図3に示すように、チャック爪20の基部に、回転中心O2の長さ方向と直交する方向に突出する回転力受け部41が設けられている。また、
図1、
図2に示すように、工具支持体3に、工具ホルダ10を介して前記回転力付与部材42が取り付けられる。回転力付与部材42は、工具ホルダ10に固定される基部42aと、この基部42aの両端から工具支持体3における外径方向に延びる一対の操作部42b,42cとでなる正面形状コ字形である。操作部42b,42cの対向面は、図の例のように、先端側へ行くほど互いの間隔が広がる形状であるのが望ましい。
【0030】
この工作機械1におけるフェイスクランプチャック8によるワークWのクランプの仕方について説明する。
まず、各チャック爪20が
図3において鎖線で示す解放位置P2にある状態で、ワークWをワーク当て部材33の当て面34に押し当てる。このとき、図示しない芯出し機構により、ワークWが芯出しされる。その状態で、クランプ軸25を
図3(B)の左側へ後退させることで、各チャック爪20が後退しながら旋回して、実線で示すクランプ位置P1まで移動する。これにより、チャック爪20の押当て部20aとワーク当て部材33の当て面34とでワークWを前後に挟み付けて、ワークWを主軸2の軸方向にクランプする。ワークWを取り外すときは、クランプ軸25を
図3(B)の右側へ前進させて、各チャック爪20を解放位置P2にさせることで、チャック爪20が外方へ旋回してワークWの取り出しが可能となる。
【0031】
図3では、チャック爪取付部材21に対するチャック爪20の回転方向の相対位置が、クランプ位置P1においてチャック爪20が主軸2の軸心O1の方向を向くように設定されている。この場合、チャック爪20の先端の押当て部20aが、主軸2の軸心O1に対して最も内側に位置する。このため、
図7(A)のように、このフェイスクランプチャック8がクランプ可能なワーク径の範囲内における最小径のワークWをクランプすることができる。
【0032】
上記最小径よりも径の大きいワークWをクランプする場合は、チャック爪取付部材21に対するチャック爪20の回転方向の相対位置を変更して、クランプ位置P1におけるチャック爪20の向きを主軸2の軸心O1に対して角度を持たせる。例えば、
図7(B)のように、チャック爪20の先端の押当て部20aを、ワーク当て部材33の当て面34の範囲内における主軸2の軸心O1に対して最も外側に位置させると、このフェイスクランプチャック8がクランプ可能なワーク径の範囲内における最大径のワークWをクランプすることができる。クランプ位置P1におけるチャック爪20の向きを、
図7(A)に示す向きと
図7(B)に示す向きの間の任意の向きとすることで、クランプ可能なワーク径の範囲内における任意径のワークWをクランプすることができる。
【0033】
チャック爪取付部材21に対するチャック爪20の回転方向の相対位置の変更は、次のように行う。すなわち、
図8(A)に示すように、変更しようとするチャック爪20の回転力受け部41と工具支持体3の回転力付与部材42とが互いに対向するように、主軸2(
図1、
図2)の回転角度および工具支持体3の回転割出の角度を調整する。そして、工具支持体3をフェイスクランプチャック8に対して接近させて、回転力付与部材42の一対の操作部42b,42c間に回転力受け部31を位置させる。
【0034】
この状態で、
図8(B)に示すように、工具支持体3を回転割出の機能を利用して一定方向に回転させると、操作部42b(または42c)を介して、回転力受け部41にチャック爪取付部材21の回転中心O2回りの回転力が付与される。それにより、取付孔37の凸条37a(
図6)が取付軸部36の凸条36a(
図6)を乗り越えて、チャック爪取付部材21に対するチャック爪20の回転方向の相対位置が変更される。チャック爪20の回転方向の相対位置を逆向きに変更する場合は、上記と逆向きに工具支持体3を回転させる。
【0035】
このように、チャック爪取付部材21に対してチャック爪20の回転方向の相対位置を変更させることで、旋回角度は同じのままでチャック爪20の旋回範囲が調整される。これにより、クランプすることが可能なワークWの径が変わる。このため、段取り替えをすることなく、異なる径のワークWに対応することができる。チャック爪取付部材21に対するチャック爪20の回転方向の相対位置の変更は、工具支持体3の回転割出の機能を利用して行うので、上記相対位置の変更用の動力源を別途設けなくてよく、フェイスクランプチャック8を低コストで製作することができる。また、それぞれのチャック爪20ごとに上記相対位置を変更すればよいので、各チャック爪取付部材21を連動させる連動機構を設けなくてもよく、構造が複雑にならない。
【0036】
この実施形態の工作機械1は、主軸2は位置固定で工具支持体3が移動して加工を行う形態であるため、工具支持体3の動作でチャック爪20の回転方向の相対位置を変更するが、工具支持体3は位置固定で主軸2が移動して加工を行う形態である場合、主軸2の動作でチャック爪20の回転方向の相対位置を変更してもよい。また、場合によっては、人力操作によってチャック爪20の回転方向の相対位置を変更してもよい。