(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
[電気レオロジーゲル]
本発明の電気レオロジーゲル(以下、「ERゲル」ともいう。)は、ゲル骨格中に保持される電気絶縁性媒体に、電気レオロジー粒子とフィラーとが分散したものである。
【0012】
<ゲル骨格を形成する物質>
ゲル骨格を形成する物質としては、例えば、ポリシロキサン架橋体、ポリウレタン変性エポキシ樹脂架橋体、アクリル変性エポキシ樹脂架橋体、アクリル酸エステル系ポリマー架橋体、ポリスチレン系架橋体、ポリウレタン系架橋体、スチレン・ブタジエンゴム架橋体、ブタジエンゴム、イソプレンゴム等が挙げられる。これらの中では、特に電気絶縁性が優れ、化学的安定性が高く、その骨格内に電気絶縁性媒体を多量に保持可能であるポリシロキサン架橋体が好ましい。
ポリシロキサン架橋体としては、シリコーンオリゴマー(主剤)と不飽和基含有化合物(架橋剤)とのヒドロシリル化反応生成物が、製造の容易性から好ましい。
【0013】
ここで、ポリシロキサン架橋体を構成するシリコーンオリゴマーとは、例えばシロキサン鎖のケイ素原子に結合した水素原子を持つジアルキルポリシロキサン(すなわち、ヒドロシリル基を有するシリコーンオリゴマー)であって、例えば下記式(1)で示される化合物が例示できる。
【0015】
式(1)中、各R
1は互いに独立して置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、炭素数7〜21のアラルキル基、または、置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を示す。n
1は0〜500の整数である。
【0016】
R
1で示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基等の無置換のアルキル基;トリフルオロプロピル基、クロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基;2−シアノエチル基等のシアノアルキル基などが挙げられる。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基などが挙げられ、アリール基としては、例えば、フェニル基、トルイル基、ナフチル基などが挙げられる。
これらの中では、R
1はいずれもメチル基であることが好ましい。
また、n
1は10〜200であることが好ましい。
前記式(1)で示される化合物のなかでも、特に好ましくは、下記式(1−1)の化合物である。
【0018】
ポリシロキサン架橋体を構成する架橋剤としては、シリコーンオリゴマーとヒドロシリル化反応し、ポリシロキサン架橋体を合成可能なものであれば制限はないが、例えば下記式(2)で示される不飽和基を3つ以上含有する化合物が挙げられる。
【0020】
式(2)中、R
2は水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、または、置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を示し、好ましくは水素原子またはメチル基である。
R
3は炭素数1〜18のアルキレン基、炭素数7〜21のアリールアルキレン基の他、ヘテロ原子数1〜6で炭素数1〜12のヘテロ原子含有アルキレン基、または直接結合を示し、好ましくは、メチレン基や、ヘテロ原子数1〜6で炭素数1〜12のヘテロ原子含有アルキレン基(アルキレン基中の炭素原子の一部がO、S、Nなどで置き換えられたもの)である−CH
2O−、−CH
2OCH
2−、−CH
2OCH
2CH
2−、−CH
2OCH
2CH
2OCH
2−が例示できる。
【0021】
このような架橋剤の具体例を以下に示す。
【0024】
ヒドロシリル化反応は、反応速度の温度依存性が大きいことから、シリコーンオリゴマーと架橋剤とを室温以下で混合し、その後加熱して反応を進行させることが好ましい。これはヒドロシリル化反応の大きな利点であって、これらを適度な粘性で混合し、成形した後加熱すれば、一挙に所望の形状の重合物が得られる。この場合の加熱温度としては、50〜150℃が好ましく、60〜120℃がより好ましい。
【0025】
ヒドロシリル化反応を行う際には、触媒(ヒドロシリル化触媒)を使用することが好ましい。触媒としては、例えば白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、およびこれらの化合物などが挙げられる。これら触媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中では、特に白金または白金化合物が適していて、具体例としては、白金、塩化白金酸の他、アルミナ、シリカ、カーボンブラックなどの担体に固体白金を担持させたもの、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ホスフィン錯体、白金−ホスファイト錯体、白金アルコラート触媒が挙げられる。白金触媒の場合は、白金として、通常、シリコーンオリゴマーと架橋剤の合計100質量部に対して、0.0001〜0.05質量部配合されるのが好ましい。
【0026】
なお、ヒドロシリル化の進行が早すぎると、得られるERゲルの初期粘度が高くなることがあるので、そのような場合には、硬化遅延剤を添加して初期粘度を調整してもよい。
硬化遅延剤としては、オルガノリン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、ニトリル化合物、ハロゲン化炭素化合物、アセチレン化合物、スルホキシド化合物、アミン化合物、マレイン酸エステルが挙げられる。これら硬化遅延剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、アセチレン化合物、ニトリル化合物、マレイン酸エステルが好ましい。硬化遅延剤を添加する場合、シリコーンオリゴマーと架橋剤の合計100質量部に対して、0.0001〜1.0質量部配合されるのが好ましい。
【0027】
また、ヒドロシリル化反応が進行して得られるポリシロキサン架橋体の架橋密度は、上記式(1)で示されるシリコーンオリゴマーの分子量によりある程度決定されるが、シリコーンオリゴマーと架橋剤とは、下記数式(3)に従っている。この場合、特に、下記数式(3)の下限値が0.8で上限値が1.2である場合に、ERゲル成形体として適した架橋密度が得られる。
なお、下記数式(3)において、化合物(1)とはシリコーンオリゴマーであり、化合物(2)とは架橋剤である。
【0029】
たとえばゲル骨格を形成する物質がポリシロキサン架橋体である場合、ERゲル中のポリシロキサン架橋体の含有割合は、ERゲルの構成材料(ただし後述のフィラーを除く)の合計を100質量%とした場合、5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。ポリシロキサン架橋体の含有割合が上記範囲の下限値以上であると、後述する電気レオロジー粒子やフィラーを良好に保持できる網目構造が得られやすく、十分な強度を持ったERゲルが得らやすい。一方、ポリシロキサン架橋体の含有割合が上記範囲の上限値以下であると、相対的に電気レオロジー粒子の良好な含有量を確保することができ、十分な電気レオロジー効果(ER効果)が得られやすい。
【0030】
<電気絶縁性媒体>
電気絶縁性媒体としては、例えばシリコーンオイル、プロセスオイル、塩化ジフェニル、トランスオイル等が挙げられる。
電気絶縁性媒体は、絶縁破壊電圧、体積抵抗率などの電気的特性、経時安定性、難反応性などの化学的特性、熱伝導性に優れるフィラーとの流動性、分散性などのレオロジー特性等を総合的に加味して選定される。これらのなかでは、絶縁破壊電圧、体積抵抗率などの電気的特性に優れ、物理的、化学的に安定なため、長期に渡って安定した電気特性を発揮することができ、かつ、難燃性にも優れていることから、シリコーンオイルが好ましい。
さらに、後述するERゲルの製造方法において、電気レオロジー粒子、フィラー、およびゲル骨格を形成するための主剤(例えばシリコーンオリゴマーなど)を含み、架橋剤を含まないERゲルベースに電気絶縁性媒体を含有させることにより、該ERゲルベースと架橋剤を混合し、反応させ硬化させてERゲルを形成する工程における加工性、潤滑性およびERゲル中のフィラーの分散性が向上し、得られるゲル骨格の機械的特性および熱伝導特性が向上する。
【0031】
シリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、フェニル変性シリコーンオイルが挙げられる。これらシリコーンオイルは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
フッ素変性シリコーンオイルとしては、例えばトリフルオロプロピル基(CF
3C
2H
4−)を有するポリシロキサン、ノナフルオロヘキシル基(C
4F
9C
2H
4−)を有するポリシロキサン、環状型ポリシロキサン化合物などが挙げられる。
【0032】
プロセスオイルは、市販品を適宜用いることができる。絶縁破壊電圧、体積抵抗率などの電気的特性に優れ、物理的、化学的に安定性が高いものが好ましい。特に耐光性が良好であり、有害性成分の含有量が低い点で、パラフィン系オイル、ナフテン系オイルが好ましい。これらプロセスオイルは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
プロセスオイルの動粘度は特に制限されないが、40℃において10〜1000mm
2/sが好ましく、20〜500mm
2/sがより好ましい。プロセスオイルの動粘度が上記範囲の下限値以上であると、沸点が高いためERゲルの成形中に蒸発しにくく良好な成形安定性が得られやすい。一方、プロセスオイルの動粘度が上記範囲の上限値以下であると、ERゲルの形成工程において硬化前の組成物の粘度が高くなりすぎず、良好な成形性が得られ、成形物に気泡痕が発生しにくい。
【0033】
ERゲル中の電気絶縁性媒体の含有割合は、ERゲルの構成材料(ただし後述のフィラーを除く)の合計を100質量%とした場合、5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。電気絶縁性媒体の含有割合が上記範囲の下限値以上であると、ERゲルの柔軟性向上効果が良好に得られやすく、良好な耐擦傷性が得られやすい。一方、電気絶縁性媒体の含有割合が上記範囲の上限値以下であると、ERゲルの強度が適度に維持され、使用時の剪断応力でERゲルが破壊されるのを防止できる。また、ERゲルから電気絶縁性媒体が滲出しにくい。電気絶縁性媒体が滲出すると保持対象物の汚染や、保持対象物の滑落が生じるおそれがある。
【0034】
<電気レオロジー粒子>
電気レオロジー粒子(以下、「ER粒子」ともいう。)としては、ゲル中に分散された状態で電界を印加するとゲル表面の粘着性が変化する電気レオロジー効果(ER効果)を発現可能なものであれば特に制限されず、公知のER粒子を適宜用いることができる。例えばシリカゲル、セルロース、でんぷん、大豆カゼイン、ポリスチレン系イオン交換樹脂などの、粒子の表面に水を吸着保有する固体粒子や、表面を絶縁処理したカーボン粒子などがある。
その他には、有機高分子化合物からなる芯体と、電気半導体性無機物粒子からなる表層とから形成された有機・無機複合粒子、または、有機・無機複合粒子の表層に親和性表面処理が施され、電気絶縁性媒体との親和性が高められている親和性有機・無機複合粒子も使用可能であり、これらを使用すると安定したER効果を発現し、保存安定性にも優れたERゲルが得られる。これら有機・無機複合粒子および親和性有機・無機複合粒子の詳細および製造方法は、例えば、特開2001−026793号公報、特開平10−121084号公報、特開平09−079404号公報などに記載されている。
また、無機物微粒子からなる芯体と、電気半導体性無機物からなる表層とから形成された無機複合粒子も使用できる。該無機複合粒子の詳細および製造方法は特開2011−46785号公報に記載されている。
【0035】
ER粒子の平均粒径は0.1〜100μmの範囲が好ましく、1〜50μmの範囲がより好ましい。ER粒子の平均粒径が上記範囲の下限値以上であると、印加する電圧が低くても優れた保持力が得られやすくなる。一方、ER粒子の平均粒径が上記範囲の上記範囲の上限値以下であると、平滑で強度が良好なERゲルが得られやすい。
ER粒子の平均粒径測定方法としては、粒度分布測定装置を用い、100μmアパーチャーを使用し体積平均粒子径を測定する方法を用いることができる。
【0036】
ERゲル中のER粒子の含有割合は、ERゲルの構成材料(ただし後述のフィラーを除く)の合計を100質量%とした場合、35〜90質量%が好ましく、45〜85質量%がより好ましい。ER粒子の含有割合が上記範囲の下限値以上であると、十分なER効果が得られやすい。一方、ER粒子の含有割合が上記範囲の上限値以下であると、ERゲルが硬くなりすぎず、電極との良好な密着性が得られやすい。
【0037】
<フィラー>
フィラーの熱伝導率は15W/(m・k)以上であり、20W/(m・k)以上が好ましい。フィラーの熱伝導率が上記下限値以上であると、後述する熱伝導率可変成形体に用い、電圧を印加したときに、十分な熱伝導性(熱伝導率の上昇)が得られる。フィラーの熱伝導率の上限値については特に制限されない。
フィラーの熱伝導率は、レーザーパルス光を用いるレーザーフラッシュ法によって算出できる。
【0038】
フィラーの電気伝導率は1×10
2S/m未満であり、1×10
−6S/m以下が好ましい。フィラーの電気伝導率が上記上限値を超えると、後述する熱伝導率可変成形体に用い、電圧を印加したときに電極間の絶縁性が低下し、ER効果の発現の妨げとなる。その結果、電極とERゲルとの密着性が低下し、フィラーの効果(すなわち、良好な熱伝導性)が得られなくなる。フィラーの電気伝導率の下限値については特に制限されない。
【0039】
フィラーの電気伝導率は、以下の測定方法により求められる。
フィラー0.5gを、錠剤成型用冶具(φ=10mm、高さ25mm)に入れ、常温かつ減圧下、油圧手動ポンプ(理研計器株式会社製、「P−1B」)を使用し、当該フィラーに10MPaの圧力を10秒間加えて円板状の試料を成形する。
この試料の厚さ(前記高さ方向の長さ)と、円板状の試料における2平面間の電気抵抗値(Ω)とを計測し、下記数式(4)から電気伝導率を算出する。
電気伝導率[S/m]=電気抵抗値の逆数×試料の厚さ/試料断面(円形)の面積 ・・・(4)
【0040】
このようなフィラーとしては、炭化ケイ素、酸化アルミニウム(アルミナ)、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ダイヤモンド、炭素粉、炭素繊維粉、カーボンナノチューブなどが挙げられる。これらフィラーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0041】
フィラーの平均粒径は0.2〜20μmの範囲が好ましく、0.5〜10μmの範囲がより好ましい。フィラーの平均粒径が上記範囲の下限値以上であると、ERゲル内でのフィラーの分散コントロールが容易となる。一方、フィラーの平均粒径が上記範囲の上限値以下であると、フィラー粒子によるER効果発現の障害が起こりにくくなる。
フィラーの平均粒径は、ER粒子の平均粒径の測定方法と同様の方法により求められる。
【0042】
ERゲル中のフィラーの含有割合は、ERゲルの構成材料(ただしフィラーを除く)の合計100質量部に対して、5質量部以上であり、10質量部以上が好ましい。フィラーの含有割合が上記範囲の下限値以上であると、後述する熱伝導率可変成形体に用い、電圧を印加したときに、十分な熱伝導性が得られる。フィラーの含有割合の上限値については、ERゲルの硬度が上昇するのを抑制でき、電圧を印加したときに電極とERゲルとの密着性を維持でき、フィラーの効果(すなわち、良好な熱伝導性)が得られやすくなる点で、45質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましい。
【0043】
<その他の成分>
ERゲルに、塗料業界で一般的に用いられている種々の配合剤を、必要に応じて適宜、慣用量で加えることができる。配合剤の具体例としては、粘度を調整するための稀釈剤または増粘剤、顔料または染料等の着色剤、充填剤(ただし、前記フィラーを除く)、酸化防止剤、紫外線吸収剤等である。
【0044】
<ERゲルの製造方法>
ERゲルの製造方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。以下に、ERゲルの製造方法の一例を示す。
まず、ER粒子およびフィラーと、必要に応じて配合剤とを電気絶縁性媒体に分散し、そこへゲル骨格を形成するための主剤(シリコーンオリゴマー)と架橋剤を添加し、均一化して混合物(I)を得る。次いで、該混合物(I)に触媒を添加し、均一化して混合物(II)を調製する。その後、該混合物(II)を型に流し入れて電圧を印加し、さらにシリコーンオリゴマーを硬化させる。なお、シリコーンオリゴマーの硬化後に電気絶縁性媒体の一部を除去してもよい。
【0045】
以上により、ゲル骨格中に電気絶縁性媒体が保持され、該電気絶縁性媒体にER粒子およびフィラーが分散したERゲルが得られる。
【0046】
[熱伝導率可変成形体]
<第一の実施形態>
本発明の第一の実施形態の熱伝導率可変成形体は、
図1に示すように、シート状の本発明のERゲル10が、正極21および負極22からなる1対の電極20に挟まれて構成されている。
なお、本発明において、「熱伝導率可変」とは、必要に応じ、温度制御の対象とする部材と、冷却源もしくは加熱源との間に流れる、単位面積、単位時間当たりの熱量(熱伝導率)を変化させられることを意味する。
また、
図1に示す熱伝導率可変成形体1は電圧を印加する前の状態であり、ERゲル10と電極20との間には隙間が形成されている。
また、後述する
図2〜5において、
図1と同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0047】
ERゲル10は、ゲル骨格中に電気絶縁性媒体11が保持され、該電気絶縁性媒体11にER粒子12およびフィラー13が分散しているので、ER粒子12およびフィラー13が沈降しにくい。
ERゲル10の厚さは、0.3〜3.0mmが好ましい。ERゲル10の厚さが上記範囲の下限値以上であると、耐久性が得られる。一方、ERゲル10の厚さが上記範囲の上限値以下であると、熱伝導率可変成形体1に電圧を印加したときに、熱伝導性が損なわれにくい。
【0048】
正極21および負極22としては、熱伝導性に優れるものであれば特に制限されず、各種金属やグラファイトなどを用いることができる。なかでも、低コストであり、熱伝導性と電気伝導性とのバランスに優れる点で、アルミニウムや銅が適している。
【0049】
熱伝導率可変成形体1は、上述した混合物(II)をシート状の型内で硬化させてシート状のERゲル10を製造し、正極21、ERゲル10、負極22の順で積層することで製造できる。
また、型内に正極21を配し、該正極21上に上述した混合物(II)を流し入れて硬化させ、正極21とシート状のERゲル10を一体成形した後、ERゲル10上に負極22を積層することでも製造できる。
なお、上記の製造過程において、正極21と負極22とを入れ替えてもよい。
【0050】
スイッチ31を入れて電源32から熱伝導率可変成形体1に電圧を印加すると、
図2に示すように、ERゲル10の表面近傍付近のER粒子12の周辺に存在する、フィラー13が分散した電気絶縁性媒体11が、ERゲル10の表面近傍付近のER粒子12間の谷を埋めるようにせり上がろうとする力が発現する。その結果、フィラー13が分散した電気絶縁性媒体11によりERゲル10の表面近傍付近のER粒子12間の谷が埋まり、ERゲル10と電極20との接触界面での密着性が高まり、電極20がERゲル10に粘着固定される(ER効果の発現)。ERゲル10には、上述した熱伝導率が15W/(m・k)以上であり、かつ電気伝導率が1×10
2S/m未満であるフィラー13が配合されている。よって、ERゲル10と電極20との密着性が高まると、熱が一方の電極(例えば負極22)側からERゲル10を通って、他方の電極(例えば正極21)側へと伝わりやすくなり、熱伝導性が発現される。
【0051】
このように、本発明のERゲルおよび本実施形態の熱伝導率可変成形体1は、電圧を印加すると、
図2に示すように、ER効果によりERゲル10と電極20との密着性が高まり、優れた熱伝導性を発現する。一方、スイッチ31を切って電源32から熱伝導率可変成形体1への電圧の印加を停止すると、
図1に示すように、固定状態が解除される。その結果、熱が一方の電極(例えば負極22)側から他方の電極(例えば正極21)側へと伝わりにくくなり、熱伝導性が低くなる。
よって、本発明のERゲルおよび本実施形態の熱伝導率可変成形体1によれば、電圧のON・OFFという簡単な操作により、電気的に熱伝導率を変化させることができる。しかも、気体吸着材やバネ等を用いることなく熱伝導率を変化させることができるので、構造が複雑になりにくい。特に、ERゲル中の電気絶縁性媒体の含有割合を増やしたり、ERゲルの架橋度合を変化させてERゲルの柔軟性を高めたりすると、電圧を印加したときに熱伝導性がより向上する。
【0052】
本実施形態の熱伝導率可変成形体1は、電気的に熱伝導率を変化させることができるので、工作機械、半導体製造装置、宇宙船用機器等の放熱が必要な装置や部材(以下、これらを総称して「放熱対象部材」)という。)に使用する放熱装置として好適である。
例えば、
図3に示すように、放熱対象部材40に本実施形態の熱伝導率可変成形体1の一方の電極(例えば負極22)を接触させておく。そして、放熱対象部材40に接続されたサーモスタット41により放熱対象部材40の温度を感知する。サーモスタット41の設定温度よりも温度が高い場合には、サーモスタット41と連動したスイッチ31が入り、電源32から熱伝導率可変成形体1に電圧が印加される。このとき、正極21に取り付けられたヒートシンク42と、ヒートシンク42の下方に設置されたファン43とが稼働する。すると、電極がERゲル10に粘着固定され、電極とERゲル10との密着性が高まる。その結果、放熱対象部材40の熱が一方の電極(例えば負極22)側からERゲル10を通って、他方の電極(例えば正極21)側へと伝わり、ヒートシンク42およびファン43を介して放熱対象部材40の熱を放出する。放熱対象部材40の温度がサーモスタット41の設定温度以下となれば、スイッチ31が切られ、熱伝導率可変成形体1への電圧の印加、およびヒートシンク42とファン43の稼働が停止される。電圧の印加が停止すると固定状態が解除され、放熱が止まる。なお、
図3においては、ERゲル10中のER粒子、およびフィラーを省略している。
【0053】
<第二の実施形態>
本発明の第二の実施形態の熱伝導率可変成形体は、
図4に示すように、電極基板51上に正極52と負極53とが形成された電極板50上に、シート状の本発明のERゲル10が積層して構成されている。また、この例の熱伝導率可変成形体2は、ERゲル10上に基材60がさらに積層している。
図4に示す熱伝導率可変成形体2のERゲル10は、第一の実施形態の熱伝導率可変成形体のERゲルと同様である。なお、
図4においては、ERゲル10中のER粒子、およびフィラーを省略している。
【0054】
電極板50の電極基板51を構成する材料としては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルム;ガラス;エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の樹脂板;アルミナ等のセラミック;などの公知の絶縁材料を適宜使用することができる。
正極52および負極53の形状は特に限定されないが、
図5に示す櫛歯形状の他、渦巻形状や魚骨形状などが挙げられる。電極基板51上に正極52および負極53を形成する方法は、エッチング、印刷、蒸着等公知の方法を使用できる。
【0055】
基材60としては、熱伝導率が15W/(m・k)以上のものが好ましい。このような基材60としては、アルミナ板、金属板などが挙げられる。また、基材60としては、絶縁材料からなるものでもよい。これらの中でも電圧を印加したときのERゲル10との密着性に優れる点で、導電材料である金属板が好ましい。
基材60の厚さは、0.3〜10mmが好ましい。基材60の厚さが上記範囲の下限値以上であると、耐久性が得られる。一方、基材60の厚さが上記範囲の上限値以下であると、熱伝導率可変成形体2に電圧を印加したときに、熱伝導性が損なわれにくい。
なお、基材60は、それ自体が放熱対象部材であってもよい。機械加工ワーク、シリコンウエハ、MEMSなどの対象物の加工、可動に伴う発熱を除去したいもので、電圧印加時にERゲルに密着するものであれば、放熱対象部材になり得る。基材60自体が放熱対象部材である場合、基材60自体の熱伝導率や厚さは特に限定されない。
【0056】
熱伝導率可変成形体2は、上述した混合物(II)をシート状の型内で硬化させてシート状のERゲルを製造し、電極板50、ERゲル10、基材60の順で積層することで製造できる。
また、型内に電極板50を配し、該電極板50上に上述した混合物(II)を流し入れて硬化させ、電極板50とシート状のERゲル10を一体成形した後、ERゲル10上に基材60を積層することでも製造できる。
また、例えば型内に基材60を配し、該基材60上に上述した混合物(II)を流し入れて硬化させ、基材60とシート状のERゲル10を一体成形した後、ERゲル10上に電極板50を積層することでも製造できる。
さらに、本実施形態においては、電極板50のERゲル10と接している側とは反対側の面に放熱対象部材を配置してもよい。その場合、基材60がヒートシンクの役割を果たすことになる。
【0057】
スイッチ(図示略)を入れて電源(図示略)から熱伝導率可変成形体2に電圧を印加すると、ERゲル10のER効果により電極板50がERゲル10に粘着固定される。また、電圧を印加することで基材60もERゲル10に粘着固定される。ERゲル10には、上述した熱伝導率が15W/(m・k)以上であり、かつ電気伝導率が1×10
2S/m未満であるフィラーが配合されている。よって、ERゲル10と電極板50との接触界面、およびERゲル10と基材60との接触界面での密着性が高まると、熱が基材60側からERゲル10を通って、電極板50側へと伝わりやすくなり、熱伝導性が発現される。
【0058】
このように、本発明のERゲルおよび本実施形態の熱伝導率可変成形体2は、電圧を印加するとER効果によりERゲル10と電極板50との密着性、およびERゲル10と基材60との密着性が高まり、優れた熱伝導性を発現する。一方、スイッチを切って電源から熱伝導率可変成形体2への電圧の印加を停止すると固定状態が解除される。その結果、熱が基材60側からERゲル10を通って、電極板50側へと伝わりにくくなり、熱伝導性が低くなる。
よって、本発明のERゲルおよび本実施形態の熱伝導率可変成形体2によれば、電圧のON・OFFという簡単な操作により、電気的に熱伝導率を変化させることができる。しかも、気体吸着材やバネ等を用いることなく熱伝導率を変化させることができるので、構造が複雑になりにくい。
【0059】
本実施形態の熱伝導率可変成形体2は、電気的に熱伝導率を変化させることができるので、工作機械、半導体製造装置、宇宙船用機器等の放熱が必要な装置に使用する放熱装置として好適である。
例えば、第一の実施形態と同様にして、放熱対象部材(図示略)に本実施形態の熱伝導率可変成形体2の基材60を接触させておく。そして、放熱が必要と判断されたときにはスイッチが入って電源から熱伝導率可変成形体2に電圧が印加される。このとき、電極板50に取り付けられたヒートシンク(図示略)と、ヒートシンクの下方に設置されたファン(図示略)とが稼働する。すると、電極板50および基材60がERゲル10に粘着固定され、各接触界面での密着性が高まる。その結果、放熱対象部材の熱が基材60側からERゲル10を通って、電極板50側へと伝わり、ヒートシンクおよびファンを介して放熱対象部材の熱を放出する。放熱が不要と判断されれば、スイッチが切られ、熱伝導率可変成形体2への電圧の印加、およびヒートシンクとファンの稼働が停止される。電圧の印加が停止すると固定状態が解除され、放熱が止まる。
【0060】
なお、本実施形態の熱伝導率可変成形体は
図4に示すものに限定されない。
図4に示す熱伝導率可変成形体2は、ERゲル10上に基材60が積層して構成されているが、基材60はなくてもよい。熱伝導率可変成形体が基材を備えていない場合、放熱が必要な装置等に熱伝導率可変成形体のERゲルを接触させて使用すればよい。そして、放熱が必要となったときには熱伝導率可変成形体に電圧を印加すると、電極板がERゲルに粘着固定され、装置の熱がERゲル側から電極板側へと伝わり、熱を放出できる。
【実施例】
【0061】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の例で使用した各原料は以下の通りである。
【0062】
<製造例1:ER粒子の製造>
アンチモンドーピング酸化錫(石原産業株式会社製、「SN−100P」、電気伝導率:1.0×10
−2S/m)22.5gと、水酸化チタン(石原産業株式会社製、一般名:含水チタン、C−II、電気伝導率:9.1×10
−8S/m)7.5gと、破砕アルミナ(住友化学工業株式会社製「AL−32B」)190gの混合物に対して、ボールミルにて100時間の粉砕処理(複合化前処理)を行った。
次いで、当該複合化前処理後の混合物に対して、ジェット気流処理機(株式会社奈良機械製作所製、「ハイブリダイザー」)を用い、周速75m/秒で300秒間のジェット気流処理を行い、平均粒径5μmのER粒子(無機複合粒子)を得た。
ER粒子の平均粒径は、粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製、「コールターカウンターMultisizer2」)を用い、100μmアパーチャーを使用し体積平均粒子径を測定して求めた。
【0063】
[実施例1]
<ERゲルの製造>
まず、前記製造例1で得たER粒子を50.0質量部と、フィラーとして酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製、「ホワイトモランダム#3000」、熱伝導率:21W/(m・k)、電気伝導率:1×10
−15S/m、平均粒径5μm)5質量部とを、電気絶縁性媒体としてジメチルシリコーンオイル(東レ・ダウコーニング株式会社製、「SH−200」、室温(25℃)における粘度が100mm
2/s、比重が0.97/25℃、屈折率が1.402/25℃である。)33.9質量部中に均一に分散した。そこへ、ゲル骨格を形成するための主剤として上記式(1−1)で示される化合物15.03質量部と、架橋剤として上記式(2−1)で示される化合物0.97質量部と、白金触媒0.1質量部とを添加し、これらをプロペラミキサーで均一に混合し、混合物を得た。
なお、白金触媒としては、白金濃度が12.0質量%である白金ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を、ジメチルシリコーンオイル(東レ・ダウコーニング株式会社製、「SH−200」、室温(25℃)における粘度が100mm
2/s、比重が0.97/25℃、屈折率が1.402/25℃である。)で、白金濃度が0.3質量%となるように希釈したものを用いた。
【0064】
ポリフッ化エチレン樹脂系スペーサーを用いて上下を電気的に絶縁した一対の硬化時電界印加用の電極(SUS板)の間に、前記混合物を流し入れた。該一対の電極間の距離は0.5mmである。
この状態で、一対の電極に0.5kV/mmの電圧を印加しつつ、熱成形プレス(北川精機株式会社製、「KVHC」)を用いて、100℃で25分間加圧加熱処理することによって混合物をシート状に硬化させ、シート状のERゲル(ERゲルシート)を得た。得られたERゲルシートの厚さは0.5mmであった。
【0065】
<評価>
縦70mm、横50mm、厚さ15mm、重さ130gのアルミニウムブロックの片側表面に凹部を形成し、該凹部に熱電対を配置したものを2つ用意し、これらを電極として用いた。
まず、縦70mm、横50mm、厚さ0.5mmのアルミニウム板の上下を前記アルミニウムブロックの電極で挟み、試験片とし、アルミニウム板の熱量を以下のようにして求めた。なお、アルミニウム板の厚さ方向を上下方向とする。
【0066】
アルミニウム板の熱量は、
図6に示す測定装置100を用いた。
試験片70Aの上側電極71上に0.8W/cm、質量700gのヒータ81を配置した。次いで、上側電極71に取り付けた熱電対71aと下側電極72に取り付けた熱電対72aとを、PC収集レコーダ82を介してPC83に繋ぎ、上側電極71と下側電極72の温度を測定できるようにした。
下側電極72に取り付けられたヒートシンク42と、ヒートシンク42の下方に設置されたファン43とを稼働させ、ヒータ81にて試験片70Aを60分間加熱し、加熱直後の上側電極71と下側電極72の温度を測定した。下記数式(5A)から、アルミニウム板73Aの熱量を求めた。なお、アルミニウム板の熱伝導率を237W/(m・k)とする。
Q=λA(T
1−T
2)/d ・・・(5A)
式(5A)中、Qはアルミニウム板の熱量[W]であり、λはアルミニウム板の熱伝導率[W/(m・k)]であり、Aはアルミニウム板の縦断面積(伝熱面積)[m
2]であり、T
1は上側電極の温度[K]であり、T
2は下側電極の温度[K]であり、dはアルミニウム板の厚さ[m]である。
【0067】
次に、アルミニウム板73Aに代えて、縦70mm、横50mm、厚さ0.5mmのERゲルシート73Bを前記アルミニウムブロックの電極で挟み、試験片70Bとした。
図6に示す測定装置100を用い、試験片70Bの上側電極71上に0.8W/cm、質量700gのヒータ81を配置した。次いで、上側電極71に取り付けた熱電対71aと下側電極72に取り付けた熱電対72aを、PC収集レコーダ82を介してPC83に繋ぎ、上側電極71と下側電極72の温度を測定できるようにした。
下側電極72に取り付けられたヒートシンク42と、ヒートシンク42の下方に設置されたファン43とを稼働させ、高圧電源84から上側電極71と下側電極72に0.4kV、0.8kV、1.2kVの電圧をそれぞれ印加しながら、ヒータ81にて試験片70Bを60分間加熱し、加熱直後の上側電極71と下側電極72の温度を測定した。先に求めたアルミニウム板の熱量および下記数式(5B)から、各電圧を印加したときのERゲルシート73Bの熱伝導率を求めた。同様に、電圧を印加する前のERゲルシート73Bの熱伝導率も求めた。これらの結果を表1に示す。
Q=λ’A’(T
1−T
2)/d’ ・・・(5B)
式(5B)中、Qはアルミニウム板の熱量[W]であり、λ’はERゲルシートの熱伝導率[W/(m・k)]であり、A’はERゲルシートの縦断面積(伝熱面積)[m
2]であり、T
1は上側電極の温度[K]であり、T
2は下側電極の温度[K]であり、d’はERゲルシートの厚さ[m]である。
【0068】
また、ERゲルシート73Bの熱伝導率の結果から、下記数式(6)より熱伝導率の上昇率を求めた。結果を表1に示す。
熱伝導率の上昇率[%]={(電圧印加印加時の熱伝導率−電圧印加前の熱伝導率)/電圧印加前の熱伝導率}×100 ・・・(6)
【0069】
[実施例2〜15、比較例1〜6]
フィラーの種類および配合量を表1〜3に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてERゲルシートを製造し、評価した。結果を表1〜3に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】
表1〜3中の略号は下記化合物を示す。
「アルミナ#3000」:酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製、「ホワイトモランダム#3000」、熱伝導率:21W/(m・k)、電気伝導率:1×10
−15S/m、平均粒径5μm)、
「炭化ケイ素#3000」:炭化ケイ素(昭和電工株式会社製、「グリーンデンシック#3000」、熱伝導率:180W/(m・k)、電気伝導率:8×10
−8S/m、平均粒径4μm)、
「炭化ケイ素#8000」:炭化ケイ素(昭和電工株式会社製、「グリーンデンシック#8000」、熱伝導率:190W/(m・k)、電気伝導率:3×10
−8S/m、平均粒径1.2μm)、
「FX−35」:カーボンブラック(電気化学工業株式会社製、「デンカブラックFX−35」、熱伝導率:230W/(m・k)、電気伝導率:2×10
2S/m、平均一次粒径23nm)。
【0074】
表1〜2から明らかなように、熱伝導率が15W/(m・k)以上であり、かつ電気伝導率が1×10
2S/m未満であるフィラーを、電気レオロジーゲルの構成材料(ただしフィラーを除く)の合計100質量部に対して5質量部以上含有する実施例1〜15のERゲルシートは、電圧を印加すると、印加前に比べて熱伝導率が上昇した。特に電圧を1.2kV印加すると、電圧の印加前に比べて熱伝導率の上昇率が10%以上と高かった。
一方、熱伝導率が15W/(m・k)以上であり、かつ電気伝導率が1×10
2S/m未満であるフィラーを含有するものの、その含有割合が電気レオロジーゲルの構成材料(ただしフィラーを除く)の合計100質量部に対して5質量部未満である比較例1〜3のERゲルシート、およびフィラーを含有しない比較例6のERゲルシートは、電圧を印加しても熱伝導率の上昇率が実施例1〜15に比べて低かった。
熱伝導率が230W/(m・k)であり、かつ電気伝導率が2×10
2S/mであるフィラーを、電気レオロジーゲルの構成材料(ただしフィラーを除く)の合計100質量部に対して10質量部、または20質量部含有する比較例4、5のERゲルシートは、電圧を印加しても熱伝導率の上昇率が実施例2、4、9、11、15、17に比べて低かった。