(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電源投入時から印刷動作を行わない時間が第二所定時間継続した場合には、前記IC温度検出手段の検出した温度である前記現在IC温度を前記記録環境温度記憶手段に前記記録環境温度として記憶させる第二記録環境温度書換手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
印刷媒体を搬送するモータの駆動IC部に備えられ、前記駆動IC部の温度であるIC温度を検出するIC温度検出手段と、予め所定の温度を記録環境温度として記憶する記録環境温度記憶手段と、現在の環境温度として扱う温度を現在環境温度として記憶する現在環境温度記憶手段とを備えた印刷装置の制御方法において、
前記記録環境温度記憶手段に記憶している前記記録環境温度を前記現在環境温度記憶手段に前記現在環境温度として記憶させる第一環境温度書換ステップと、
前記印刷装置の電源投入時に前記IC温度検出手段の検出した温度である起動時IC温度を起動時IC温度記憶手段に記憶させる起動時IC温度記憶ステップと、
前記起動時IC温度が前記現在環境温度記憶手段に記憶されている前記現在環境温度よりも低い場合に、前記起動時IC温度を前記現在環境温度記憶手段に前記現在環境温度として記憶させる第二環境温度書換ステップと、
電源投入時から第一所定時間経過後の前記印刷装置の動作の開始時に、前記IC温度検出手段の検出した温度である現在IC温度が前記起動時IC温度記憶手段に記憶された前記起動時IC温度から所定温度引いた温度より高いか否かを判断する第一判断ステップと、
前記第一判断ステップにて高いと判断された場合に、前記現在IC温度を前記現在環境温度として前記現在環境温度記憶手段に記憶させる第三環境温度書換ステップと、
前記第一判断ステップにより高いと判断されなかった場合に、前記IC温度検出手段の検出した前記現在IC温度が前記現在環境温度記憶手段に記憶されている前記現在環境温度より低いか否かを判断する第二判断ステップと、
前記第二判断ステップにより低いと判断された場合に、前記現在IC温度を前記現在環境温度として前記現在環境温度記憶手段に記憶させる第四環境温度書換ステップと、
前記印刷装置の動作の終了時に、前記記録環境温度記憶手段に記憶された前記記録環境温度と前記現在環境温度記憶手段に記憶された前記現在環境温度とが異なるか否かを判断する第三判断ステップと、
前記第三判断ステップにより異なると判断された場合には、前記現在環境温度を前記記録環境温度として前記記録環境温度記憶手段に記憶させる第一記録環境温度書換ステップと、
前記現在環境温度記憶手段に記憶されている前記現在環境温度に基づいて前記モータの回転速度を制御するモータ制御ステップと
を前記印刷装置に実行させる印刷装置の制御方法。
印刷媒体を搬送するモータの駆動IC部に備えられ、前記駆動IC部の温度であるIC温度を検出するIC温度検出手段と、予め所定の温度を記録環境温度として記憶する記録環境温度記憶手段と、現在の環境温度として扱う温度を現在環境温度として記憶する現在環境温度記憶手段とを備えた印刷装置のCPUに実行させる印刷装置の制御プログラムにおいて、
前記記録環境温度記憶手段に記憶している前記記録環境温度を前記現在環境温度記憶手段に前記現在環境温度として記憶させる第一環境温度書換ステップと、
前記印刷装置の電源投入時に前記IC温度検出手段の検出した温度である起動時IC温度を起動時IC温度記憶手段に記憶させる起動時IC温度記憶ステップと、
前記起動時IC温度が前記現在環境温度記憶手段に記憶されている前記現在環境温度よりも低い場合に、前記起動時IC温度を前記現在環境温度記憶手段に前記現在環境温度として記憶させる第二環境温度書換ステップと、
電源投入時から第一所定時間経過後の前記印刷装置の動作の開始時に、前記IC温度検出手段の検出した温度である現在IC温度が前記起動時IC温度記憶手段に記憶された前記起動時IC温度から所定温度引いた温度より高いか否かを判断する第一判断ステップと、
前記第一判断ステップにて高いと判断された場合に、前記現在IC温度を前記現在環境温度として前記現在環境温度記憶手段に記憶させる第三環境温度書換ステップと、
前記第一判断ステップにより高いと判断されなかった場合に、前記IC温度検出手段の検出した前記現在IC温度が前記現在環境温度記憶手段に記憶されている前記現在環境温度より低いか否かを判断する第二判断ステップと、
前記第二判断ステップにより低いと判断された場合に、前記現在IC温度を前記現在環境温度として前記現在環境温度記憶手段に記憶させる第四環境温度書換ステップと、
前記印刷装置の動作の終了時に、前記記録環境温度記憶手段に記憶された前記記録環境温度と前記現在環境温度記憶手段に記憶された前記現在環境温度とが異なるか否かを判断する第三判断ステップと、
前記第三判断ステップにより異なると判断された場合には、前記現在環境温度を前記記録環境温度として前記記録環境温度記憶手段に記憶させる第一記録環境温度書換ステップと、
前記現在環境温度記憶手段に記憶されている前記現在環境温度に基づいて前記モータの回転速度を制御するモータ制御ステップと
を前記印刷装置の前記CPUに実行させる印刷装置の制御プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本当に温度を計りたい駆動部には、プリンタの構造上、温度検出手段を設けることができない場合がある。例えば、温度検出手段がモータの駆動回路のICの近傍に設けられていたり、温度検出手段が印字ヘッドに設けられている場合もある。印字を行った場合には、印字ヘッドの温度は急激に上昇する。また、駆動回路のICは電源を入れただけで周辺の部品の影響で高温になる場合がある。この場合には、駆動部が実際には低温であるにも関わらず、温度検出手段が高温を示してしまうため、モータの駆動速度の制限が正しく行われず、モータを高速動作をさせてしまう場合があった。この場合には、モータが脱調するなどの不都合が生じるという問題点があった。
【0005】
本発明の目的は、温度検出手段が本来温度を検出したい箇所と異なる箇所に設けられていても、当該温度検出手段を用いて環境温度を正しく判定してモータの回転速度を制御することができる印刷装置、印刷装置の制御方法及び印刷装置の制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る印刷装置は、印刷媒体を搬送するモータの駆動IC部に備えられ、前記駆動IC部の温度であるIC温度を検出するIC温度検出手段を備えた印刷装置において、予め所定の温度を記録環境温度として記憶する記録環境温度記憶手段と、現在の環境温度として扱う温度を現在環境温度として記憶する現在環境温度記憶手段と、前記記録環境温度記憶手段に記憶している前記記録環境温度を前記現在環境温度記憶手段に前記現在環境温度として記憶させる第一環境温度書換手段と、前記印刷装置の電源投入時に前記IC温度検出手段の検出した温度である起動時IC温度を記憶する起動時IC温度記憶手段と、前記起動時IC温度が前記現在環境温度記憶手段に記憶されている前記現在環境温度よりも低い場合に、前記起動時IC温度を前記現在環境温度記憶手段に前記現在環境温度として記憶させる第二環境温度書換手段と、電源投入時から第一所定時間経過後の前記印刷装置の動作の開始時に、前記IC温度検出手段の検出した温度である現在IC温度が前記起動時IC温度記憶手段に記憶された前記起動時IC温度から所定温度引いた温度より高いか否かを判断する第一判断手段と、前記第一判断手段が高いと判断した場合に、前記現在IC温度を前記現在環境温度として前記現在環境温度記憶手段に記憶させる第三環境温度書換手段と、
前記第一判断手段が高いと判断しなかった場合に、前記IC温度検出手段の検出した前記現在IC温度が前記現在環境温度記憶手段に記憶されている前記現在環境温度より低いか否かを判断する第二判断手段と、前記第二判断手段が低いと判断した場合に、前記現在IC温度を前記現在環境温度として前記現在環境温度記憶手段に記憶させる第四環境温度書換手段と、前記印刷装置の動作の終了時に、前記記録環境温度記憶手段に記憶された前記記録環境温度と前記現在環境温度記憶手段に記憶された前記現在環境温度とが異なるか否かを判断する第三判断手段と、前記第三判断手段が異なると判断した場合には、前記現在環境温度を前記記録環境温度として前記記録環境温度記憶手段に記憶させる第一記録環境温度書換手段と、前記現在環境温度記憶手段に記憶されている前記現在環境温度に基づいて前記モータの回転速度を制御するモータ制御手段とを備えている。
【0007】
第1態様に係る印刷装置は、初めに、第一環境温度書換手段が、記憶環境温度記憶手段に記憶されている記録環境温度を現在環境温度記憶手段に記憶されている現在環境温度に上書きして書き換える。起動時IC温度が現在環境温度記憶手段に記憶されている現在環境温度よりも低い場合に、第二環境温度書換手段が起動時IC温度を現在環境温度記憶手段に現在環境温度として記憶させる。従って、現在環境温度を予め記憶されている記録環境温度又は起動時IC温度の低い方の温度に合わせることができる。電源投入時から第一所定時間経過後の前記印刷装置の動作の開始時に、第一判断手段が、前記IC温度検出手段の検出した温度である現在IC温度が前記起動時IC温度記憶手段に記憶された前記起動時IC温度から所定温度引いた温度より高いと判断した場合に、第三環境温度書換手段が現在IC温度を現在環境温度として現在環境温度記憶手段に記憶させる。従って、印刷装置が暖かい場所に置かれた場合でも温度検出手段の測定誤差に影響されず、現在IC温度を現在環境温度にすることができる。モータ制御手段は現在環境温度記憶手段に記憶されている現在環境温度に基づいてモータの回転速度を制御する。従って、印刷装置の希望する箇所に温度検出手段を取り付けることができない場合であっても、その他の場所である駆動IC部に取り付けられた温度検出手段により検出された現在IC温度を現在環境温度として、モータ制御手段はモータの回転速度を制御することができる。従って、現在の環境温度に対応してモータの回転速度を適切に制限できるのでモータの脱調を防止できる。
【0008】
【0009】
また、第二判断手段が現在IC温度が現在環境温度より低いと判断した場合に、第四環境温度書換手段が現在IC温度を現在環境温度として現在環境温度記憶手段に記憶させるので、現在IC温度を現在環境温度として、モータ制御手段はモータの回転速度を制御することができる。
【0010】
【0011】
また、印刷装置の動作の終了時に、記録環境温度と現在環境温度とが異なる場合には、現在環境温度を記録環境温度として前記記録環境温度記憶手段に記憶させて、記録環境温度を更新することができる。
【0012】
前記印刷装置は、前記電源投入時から印刷動作を行わない時間が第二所定時間継続した場合には、前記IC温度検出手段の検出した温度である前記現在IC温度を前記記録環境温度記憶手段に前記記録環境温度として記憶させる第二記録環境温度書換手段とを備えてもよい。
【0013】
この場合、電源投入時から印刷動作を行わない時間が第二所定時間継続した場合には、駆動IC部の温度であるIC温度が環境温度と同じになっていると考えられるので、現在IC温度を記録環境温度として記憶させて記録環境温度を更新することができる。
【0014】
本発明の第2態様に係る印刷装置の制御方法は、印刷媒体を搬送するモータの駆動IC部に備えられ、前記駆動IC部の温度であるIC温度を検出するIC温度検出手段と、予め所定の温度を記録環境温度として記憶する記録環境温度記憶手段と、現在の環境温度として扱う温度を現在環境温度として記憶する現在環境温度記憶手段とを備えた印刷装置の制御方法において、前記記録環境温度記憶手段に記憶している前記記録環境温度を前記現在環境温度記憶手段に前記現在環境温度として記憶させる第一環境温度書換ステップと、前記印刷装置の電源投入時に前記IC温度検出手段の検出した温度である起動時IC温度を起動時IC温度記憶手段に記憶させる起動時IC温度記憶ステップと、前記起動時IC温度が前記現在環境温度記憶手段に記憶されている前記現在環境温度よりも低い場合に、前記起動時IC温度を前記現在環境温度記憶手段に前記現在環境温度として記憶させる第二環境温度書換ステップと、電源投入時から第一所定時間経過後の前記印刷装置の動作の開始時に、前記IC温度検出手段の検出した温度である現在IC温度が前記起動時IC温度記憶手段に記憶された前記起動時IC温度から所定温度引いた温度より高いか否かを判断する第一判断ステップと、前記第一判断ステップにて高いと判断された場合に、前記現在IC温度を前記現在環境温度として前記現在環境温度記憶手段に記憶させる第三環境温度書換ステップと、
前記第一判断ステップにより高いと判断されなかった場合に、前記IC温度検出手段の検出した前記現在IC温度が前記現在環境温度記憶手段に記憶されている前記現在環境温度より低いか否かを判断する第二判断ステップと、前記第二判断ステップにより低いと判断された場合に、前記現在IC温度を前記現在環境温度として前記現在環境温度記憶手段に記憶させる第四環境温度書換ステップと、前記印刷装置の動作の終了時に、前記記録環境温度記憶手段に記憶された前記記録環境温度と前記現在環境温度記憶手段に記憶された前記現在環境温度とが異なるか否かを判断する第三判断ステップと、前記第三判断ステップにより異なると判断された場合には、前記現在環境温度を前記記録環境温度として前記記録環境温度記憶手段に記憶させる第一記録環境温度書換ステップと、前記現在環境温度記憶手段に記憶されている前記現在環境温度に基づいて前記モータの回転速度を制御するモータ制御ステップとを前記印刷装置に実行させることを特徴とする。本発明の第2態様に係る印刷装置の制御方法は、第1態様に係る印刷装置と同様の効果を奏することができる。
【0015】
本発明の第3態様に係る印刷装置の制御プログラムは、印刷媒体を搬送するモータの駆動IC部に備えられ、前記駆動IC部の温度であるIC温度を検出するIC温度検出手段と、予め所定の温度を記録環境温度として記憶する記録環境温度記憶手段と、現在の環境温度として扱う温度を現在環境温度として記憶する現在環境温度記憶手段とを備えた印刷装置のCPUに実行させる印刷装置の制御プログラムにおいて、前記記録環境温度記憶手段に記憶している前記記録環境温度を前記現在環境温度記憶手段に前記現在環境温度として記憶させる第一環境温度書換ステップと、前記印刷装置の電源投入時に前記IC温度検出手段の検出した温度である起動時IC温度を起動時IC温度記憶手段に記憶させる起動時IC温度記憶ステップと、前記起動時IC温度が前記現在環境温度記憶手段に記憶されている前記現在環境温度よりも低い場合に、前記起動時IC温度を前記現在環境温度記憶手段に前記現在環境温度として記憶させる第二環境温度書換ステップと、電源投入時から第一所定時間経過後の前記印刷装置の動作の開始時に、前記IC温度検出手段の検出した温度である現在IC温度が前記起動時IC温度記憶手段に記憶された前記起動時IC温度から所定温度引いた温度より高いか否かを判断する第一判断ステップと、前記第一判断ステップにて高いと判断された場合に、前記現在IC温度を前記現在環境温度として前記現在環境温度記憶手段に記憶させる第三環境温度書換ステップと、
前記第一判断ステップにより高いと判断されなかった場合に、前記IC温度検出手段の検出した前記現在IC温度が前記現在環境温度記憶手段に記憶されている前記現在環境温度より低いか否かを判断する第二判断ステップと、前記第二判断ステップにより低いと判断された場合に、前記現在IC温度を前記現在環境温度として前記現在環境温度記憶手段に記憶させる第四環境温度書換ステップと、前記印刷装置の動作の終了時に、前記記録環境温度記憶手段に記憶された前記記録環境温度と前記現在環境温度記憶手段に記憶された前記現在環境温度とが異なるか否かを判断する第三判断ステップと、前記第三判断ステップにより異なると判断された場合には、前記現在環境温度を前記記録環境温度として前記記録環境温度記憶手段に記憶させる第一記録環境温度書換ステップと、前記現在環境温度記憶手段に記憶されている前記現在環境温度に基づいて前記モータの回転速度を制御するモータ制御ステップとを前記印刷装置の前記CPUに実行させることを特徴とする。本発明の第3態様に係る印刷装置の制御プログラムは、第1態様に係る印刷装置と同様の効果を奏することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具現化した一実施形態について、図面を参照して説明する。なおこれらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成、各種処理のフローチャートなどは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0018】
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る印刷装置1の概略構成について説明する。以下の説明では、
図1の左側、右側、紙面前側、紙面後側、上側、下側を、それぞれ印刷装置1の前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。印刷装置1は、ロールシートホルダ3に保持された長尺状のロールシート3Aに種々のキャラクタ(文字、数字、及び図形等)を印刷する装置である。印刷装置1の前側の上部には、板状の透明樹脂製のトレー6が立設されている。トレー6の後側には、カバー(図示略)の前端部と筐体2とによって形成された左右方向に長い排出口21が設けられている。トレー6は、排出口21から排出される印刷後のロールシート3Aを受ける。トレー6の後側には、図示しないカバーが設けられている。カバーは、印刷装置1の後端部の左右方向を支点として開閉自在である。
【0019】
なお、筐体2の背面部には一方の側端部に電源コード10が接続されるコネクタが備えられている。また、背面部の他方の側端部にはパーソナルコンピュータ(図示略、以下「PC」という。)等と接続されるUSB(Universal Serial Bus)ケーブルが接続されるコネクタが備えられている。
【0020】
図1に示すように、カバー(図示略)を開いた印刷装置1の内部の後部には、シート収納部4が設けられている。シート収納部4は、側面視で円弧状に下方に凹んでいる。シート収納部4には、ロールシート3Aが巻回されたロールシートホルダ3がその軸線を左右方向に向けて収納される。ロールシート3Aは、例えば、自己発色性を有する長尺状の感熱シート(いわゆる、サーマルペーパー)や、該感熱シートの片面に粘着剤を介して剥離紙が張り合わされた長尺状のラベルシート等で構成され、印刷が行われる面を内側にしてテープスプール(図示略)に巻回されている。ロールシート3Aのテープスプールは、シート収納部4の左右に立設された支持部(図示略)によって回転可能に支持されている。カバー(図示略)が開位置にある場合、ロールシートホルダ3は着脱可能である。
【0021】
筐体2において、シート収納部4の左前方には、レバー(図示略)が設けられている。レバー(図示略)の右側には、左右方向に長いローラホルダ25が設けられている。ローラホルダ25は、プラテンローラ26を回転可能に保持する。ローラホルダ25は、レバー(図示略)の上下方向への回動に連動して、後端の支点を中心に上下方向に移動する。レバー(図示略)は、図示しない巻きバネによって、常に上方に付勢されている。カバー(図示略)が開位置から閉位置に移動すると、レバー(図示略)にカバー(図示略)によって下方に押圧され、レバー(図示略)が前記巻きバネの付勢力に抗して下方に回動する。レバー(図示略)が下方に回動すると、ローラホルダ25が下方に移動し、プラテンローラ26が、ロールシート3Aをサーマルヘッド31及び対向ローラ29に向けて押圧する。この場合、印刷装置1は印刷可能な状態になる。
【0022】
カバー(図示略)が閉位置から開位置に移動すると、レバー(図示略)は、前記巻きバネの付勢力によって上方に回動する。レバー(図示略)が上方に回動すると、ローラホルダ25が上方に移動し、プラテンローラ26が、サーマルヘッド31、対向ローラ29、及びロールシート3Aから離間する。この場合、印刷装置1は、印刷不能な状態になる。
【0023】
図1に示すように、シート収納部4の前側から前方斜め下方向に向けて、ロールシート3Aの搬送経路22が設けられている。搬送経路22は、プラテンローラ26と対向ローラ29との間、及びプラテンローラ26とサーマルヘッド31との間を介して、印刷装置1の上面に設けられた排出口21まで延びている。なお、排出口21は、カバー(図示略)の前端部と筐体2によって形成されるが、
図1では、カバーの図示を省略しているため、筐体2において排出口21が形成される部位を図示している。
【0024】
本実施形態では、ロールシート3Aがシート収納部4から排出口21に搬送されながら印刷が行われる。以下の説明では、ロールシート3Aに印刷が行われながら搬送される方向を「搬送方向の下流」といい、その逆方向を「搬送方向の上流」という。
【0025】
図1に示すように、搬送経路22の前後方向略中央には、プラテンローラ26、対向ローラ29、及びサーマルヘッド31が設けられている。サーマルヘッド31は、左右方向(
図1の紙面方向)に延びる板状の形状をしている。サーマルヘッド31は、前端のやや後側に、発熱する発熱部311を備えている。サーマルヘッド31は、発熱部311を発熱させることで、プラテンローラ26と発熱部311との間に挟まれたロールシート3Aに印刷を行う。以下の説明では、ロールシート3Aに印刷が行われるプラテンローラ26と発熱部311との間の位置を、印刷ポイント23という。尚、サーマルヘッド31上には発熱部311の温度を測定するためのサーミスタ312(
図2参照)が設けられている。尚、後述する駆動IC49、サーミスタ211等が設けられた駆動回路47の基板は、筐体2内に設けられている。
【0026】
サーマルヘッド31の上側には、プラテンローラ26が、サーマルヘッド31の発熱部311に対向して設けられている。プラテンローラ26は、サーマルヘッド31に向かって付勢されており、その外周面は、例えば、弾力性を有する合成樹脂(ゴム等)で形成されている。また、プラテンローラ26は、左右方向を軸線として回転可能にローラホルダ25に軸支されている。プラテンローラ26は、図示しないギアを介してモータ209(
図2参照)と接続されており、モータ209の駆動に伴って回転する。プラテンローラ26は、プラテンローラ26とサーマルヘッド31との間でロールシート3Aを挟んで回転することで、ロールシート3Aを搬送方向の下流側又は上流側に搬送する。
【0027】
プラテンローラ26の後斜め下側には対向ローラ29が設けられている。対向ローラ29の径はプラテンローラ26の径より小さい。対向ローラ29は、発熱部311より搬送方向の上流側に位置しており、左右方向を軸線として回転可能に筐体2に軸支されている。対向ローラ29の外周面は、例えば、弾力性を有する合成樹脂で形成されている。対向ローラ29は、プラテンローラ26の回転によって搬送されるロールシート3Aの移動に伴って回転する。
【0028】
対向ローラ29の後斜め上方、且つ搬送経路22を搬送されるロールシート3Aの上方には、光学センサ95が設けられている。本実施形態では、光学センサ95は、反射型のセンサであるとする。光学センサ95は、光学センサ95の発光部からの光をロールシート3Aの面に当てて、その反射光をフォトトランジスタ等を用いた光学センサ95の受光部により受光する。これによって、光学センサ95に接続されたCPU41(
図2参照)は、ロールシート3Aに印刷されたセンサマーク(図示略)と、個々のセンサマークの間の非印刷部とを読み取ることができる。従って、ロールシート3Aが所定量だけ搬送されたことを検出できる。なお、搬送経路22を搬送されるロールシート3Aの下側には、光学センサ95に対向して反射板97が設けられている。ロールシート3Aが搬送経路22に配置されていない場合、光学センサ95が発した光が、反射板97に反射され、光学センサ95の受光部で受信される。これによって、CPU41は、搬送経路22にロールシート3Aが配置されていないこととを検出できる。
【0029】
印刷ポイント23と排出口21との間には、カッターユニット8が設けられている。カッターユニット8は、ロールシート3Aの搬送経路22の下側に配置されており、搬送経路22に向けて上方に尖った刃先(図示略)を備えている。
【0030】
図2を参照して、印刷装置1の電気的構成について説明する。
図2に示すように、印刷装置1は、印刷装置1の制御を行うCPU41を備えている。CPU41には、ROM42、EEPROM43、RAM44、CGROM45、入力キー7、駆動回路46,47,48、及び通信インターフェイス(以下、通信I/F)210、サーミスタ312、及び、サーミスタ211が接続されている。尚、駆動回路47には、駆動IC49及び駆動IC49の温度を計測するサーミスタ211が設けられている。発熱部311には、発熱部311の温度を計測するサーミスタ312が設けられている。
【0031】
本実施の形態では、環境温度(記録)は、印刷装置1の次回の電源投入時まで記憶される環境温度の値である。また、環境温度(現在)は、現在の環境温度として扱われる温度である。また、IC温度(起動時)は、印刷装置1の電源投入時にサーミスタ211により計測された駆動IC49(駆動回路47)の温度である。ヘッド温度(起動時)は、印刷装置1の電源投入時にサーミスタ312により計測された発熱部311の温度である。また、IC温度(現在)は、サーミスタ211により計測された駆動IC49(駆動回路47)の現在の温度である。ヘッド温度(現在)は、サーミスタ312により計測された現在の発熱部311の温度である。
【0032】
ROM42には、印刷装置1のCPU41が実行する各種プログラム(例えば、
図4のメイン処理のプログラム等)が記憶されている。EEPROM43には、環境温度(記録)を記憶する環境温度(記録)記憶領域431、速度制限テーブル記憶領域432等が設けられている。また、EEPROM43には、図示しない記憶領域も設けられており、種々のデータが記憶される。RAM44には、環境温度(現在)を記憶する環境温度(現在)記憶領域441、IC温度(起動時)記憶領域442、ヘッド温度(起動時)記憶領域443、起動時刻記憶領域444、チェック済フラグ記憶領域445、アイドル状態開始時刻記憶領域446、IC温度(現在)記憶領域447、ヘッド温度(現在)記憶領域448、及び図示しない記憶領域も設けられており、種々の一時データが記憶される。CGROM45には、種々のキャラクタをロールシート3Aに印刷するための印刷用のドットパターンデータが記憶されている。
【0033】
前述したように、入力キー7は、印刷装置1の上面に設けられている。ユーザは、入力キー7を操作して、CPU41に指示を入力することができる。駆動回路46は、サーマルヘッド31の発熱部311を駆動するための電子回路である。CPU41は、駆動回路46を介して、発熱部311の発熱を制御し、ロールシート3Aに印刷を行うことができる。駆動回路47は、モータ209を駆動するための電子回路である。モータ209は直流モータである。モータ209は、プラテンローラ26を回転させることができる。CPU41は、駆動回路47を介してモータ209を制御して、シート収納部4に収納されたロールシートホルダ3から延びるロールシート3Aを搬送することができる。駆動回路48は、光学センサ95を駆動するための電子回路である。CPU41は、駆動回路48を介して、光学センサ95を制御し、センサマークと非印刷部とを検出することができる。通信I/F210は、前記USBケーブルを介して外部の図示しないPCと通信を行うためのインターフェイスである。ユーザは、PCを使用して、印刷装置1に印刷を実行させることができる。
【0034】
サーミスタ312は、サーマルヘッド31の発熱部311の温度を計測する。サーミスタ211は、モータ209の駆動回路47の駆動IC49の温度を計測する。尚、各駆動回路46,48にも、図示しない駆動ICが設けられている。
【0035】
図3を参照して、速度制限テーブル5について説明する。速度制限テーブル5には、後述する印刷装置1の駆動制御で使用する環境温度(現在)とロールシート3Aの搬送速度の制限速度との対応関係が記録されている。一例として、環境温度(現在)が10.0度未満の場合は、制限速度が50mm/sである。環境温度(現在)が10.0度以上15.0度未満の場合は、制限速度が100mm/sである。環境温度(現在)が15.0度以上の場合は、制限速度が150mm/sである。尚、制限速度の値は、印刷装置1を用いて各種の環境温度下で実験を行って定めればよい。従って、制限速度の値は、上記の値に限られない。
【0036】
以下、印刷装置1の駆動処理について説明する。初めに、
図4を参照して、印刷装置1のCPU41によって実行されるメイン処理について説明する。以下の説明において、各処理のステップを「S」と略記する。初めに、印刷装置1の図示外の電源スイッチが操作され、電源がON状態になると、電源ON時処理が実行される(S1)。電源ON時処理(S1)について、
図5に示す電源ON時処理のフローチャートを参照して説明する。
【0037】
電源ON時処理(S1)では、初めに、CPU41は、EEPROM43の環境温度(記録)記憶領域431に記憶されている環境温度(記録)の値を読み出し、RAM44の環境温度(現在)記憶領域441に環境温度(現在)の値として記憶させる(S11)。尚、工場出荷時には、環境温度(記録)の値は、実際の環境温度として測定される値より大きく、一例として80度等を記憶しておく。
【0038】
次に、CPU41は、駆動回路47の駆動IC49の温度をサーミスタ211により測定して、IC温度を取得する(S12)。CPU41は、取得したIC温度をIC温度(起動時)の値としてRAM44のIC温度(起動時)記憶領域442に記憶する(S12)。次いで、CPU41は、発熱部311の温度をサーミスタ312により取得する(S13)。次いで、取得した発熱部311の温度をヘッド温度(起動時)の値としてRAM44のヘッド温度(起動時)記憶領域443に記憶する(S13)。
【0039】
次いで、CPU41は、IC温度(起動時)より環境温度(現在)が高いか否かを判断する(S14)。工場出荷後始めて電源がON状態になった場合は、環境温度(現在)に80度等の大きな値がS11の処理により記憶されているので、CPU41は、IC温度(起動時)より環境温度(現在)が高いと判断する(S14:YES)。また、前回の駆動終了時に計測された環境温度(記録)が環境温度(現在)にS11の処理により記憶されており、IC温度(起動時)より環境温度(現在)が高い場合にも(S14:YES)、CPU41は、RAM44の環境温度(現在)記憶領域441に環境温度(現在)の値としてIC温度(起動時)の値を記憶する(S15)。これは、現在の環境温度であるIC温度(起動時)が環境温度(現在)に記憶されていた温度より低いと判断できるので、環境温度(現在)をIC温度(起動時)で更新するためである。
【0040】
次いで、EEPROM43の環境温度(記録)記憶領域431に記憶されている環境温度(記録)の値としてIC温度(起動時)の値を記憶する(S16)。環境温度(記録)の温度も現在の環境温度であるIC温度(起動時)で更新するためである。次いで、RAM44の起動時刻記憶領域444の起動時刻を現在の時刻にリセットする(S17)。電源ON時からの時間を計測するためである。次いで、RAM44のチェック済フラグ記憶領域445に記憶されたチェック済フラグ=FALSEにする。具体的には、「0」が記憶される(S18)。次いで、CPU41は、処理を
図4のメイン処理に戻し、アイドル状態開始時刻をRAM44のアイドル状態開始時刻記憶領域446にセットする(S2)。具体的には、現在の時刻がアイドル状態開始時刻記憶領域446に記憶される(S2)。印刷装置1が休止しているアイドル状態の継続時間を計測するためである。
【0041】
次いで、印刷装置1のCPU41は、図示外のPC等から駆動指示を受けると(S3:YES)、駆動開始時処理(S4)を実行する。駆動指示を受けない場合には(S3:NO)、CPU41は、後述するS8に処理を移行する。以下、駆動開始時処理(S4)を
図6に示す駆動開始時処理のフローチャートを参照して説明する。CPU41は、駆動開始時処理を開始すると、現在時刻から起動時刻を引いた経過時間が30秒より大きく、かつチェック済フラグがFALSEか否かを判断する(S41)。経過時間が30秒より大きく、かつチェック済フラグがFALSEの場合には(S41:YES)、CPU41は、サーミスタ211により駆動IC49の温度を取得しRAM44のIC温度(現在)記憶領域447にIC温度(現在)の値として記憶する(S42)。次いで、CPU41は、発熱部311の温度であるヘッド温度をサーミスタ312により取得し、取得したヘッド温度をヘッド温度(現在)の値としてRAM44のヘッド温度(現在)記憶領域448に記憶する(S43)。
【0042】
次いで、CPU41は、IC温度(現在)がIC温度(起動時)より−2度した値よりも上昇し、且つ、ヘッド温度(現在)がヘッド温度(起動時)より−2度した値よりも上昇しているか否かを判断する(S44)。この判断を行うのは、サーミスタによる温度検出では、2度程度検出温度はばらつくことが有るからである。もし、低温環境下であった場合は、30秒後には起動時より−2度以上、温度が低下しているからである。IC温度(現在)がIC温度(起動時)より−2度した値よりも上昇し、且つ、ヘッド温度(現在)がヘッド温度(起動時)より−2度した値よりも上昇している場合には(S44:YES)、CPU41は、環境温度(現在)の値としてIC温度(現在)の値を記憶させる(S45)。現在の環境温度が暖かいと判断できるからである。
【0043】
次いで、CPU41は、環境温度(記録)の値としてIC温度(現在)の値をEEPROM43の環境温度(記録)記憶領域431に記憶させる(S46)。環境温度(記録)を更新するためである。次いで、CPU41は、チェック済フラグをTRUEにする(S47)。具体的には、RAM44のチェック済フラグ記憶領域445に「1」を記憶する(S47)。次いで、CPU41は、IC温度(現在)が環境温度(現在)より低いか否かを判断する(S48)。IC温度(現在)が環境温度(現在)より低い場合には(S48:YES)、環境温度(現在)の値として、IC温度(現在)の値を記憶させる(S49)。現在の環境温度が低下しているので、環境温度(現在)を更新するためである。低温時の方が駆動部の動作の条件が厳しいため、環境温度(現在)を低い方の温度に合わせるためである。その後、CPU41は、処理をメイン処理に戻す。
【0044】
尚、CPU41は、S41の判断処理でNOと判断した場合や、S44の判断処理でNOと判断した場合は、S47の処理に移行する。S44の判断処理でNOと判断されるのは、低温環境下であり、起動から30秒後でも起動時より−2度以上、温度が低下している場合である。この場合には、CPU41は、S45及びS46の処理を行わず、処理をS47に移行し、チェック済フラグをTRUEにする(S47)。その後、IC温度(現在)の値が環境温度(現在)の値より低いと判断され(S48:YES)、環境温度(現在)の値として、IC温度(現在)の値が記憶される(S49)。現在の環境温度が低下しているので、環境温度(現在)を更新するためである。また、CPU41は、S48の判断処理でNOと判断した場合には、S49の処理を行わず、処理をメイン処理に戻す。現在の環境温度が低下していないからである。
【0045】
次に、駆動処理(S5)について、
図7に示す駆動処理のフローチャートを参照して説明する。初めにCPU41は、
図3に示す速度制限テーブル5からロールシート3A
の搬送速度を決定する(S51)。具体的には、RAM44の環境温度(現在)記憶領域441に記憶された環境温度(現在)が、10.0度未満の場合には、CPU41は、ロールシート3Aの搬送速度を50mm/sに設定する。また、環境温度(現在)が、10.0度以上15度未満の場合には、CPU41は、ロールシート3Aの搬送速度を100mm/sに設定する。また、環境温度(現在)が、15.0度以上の場合には、CPU41は、ロールシート3Aの搬送速度を150mm/sに設定する。
【0046】
次いで、CPU41は、駆動回路47を制御して、S51で決定した印刷媒体の搬送速度に成るように搬送用のモータ209の動作を開始する(S52)。次いで、CPU41は、光学センサ95を用いて印刷媒体であるロールシート3Aの位置が定められている停止位置より手前か否かを判断する(S53)。ロールシート3Aの位置が定められている停止位置より手前の場合には(S53:YES)、印字が完了していないので、CPU41は、駆動回路46を制御して、サーマルヘッド31の発熱部311を発熱させて文字や図形の印字のヘッド出力を行う(S54)。ロールシート3Aの位置が定められている停止位置まで来た場合には(S53:NO)、CPU41は、駆動回路47を制御して、モータ209を停止する(S55)。その後、CPU41は、処理をメイン処理に戻す。
【0047】
次に、駆動終了処理(S6)について、
図8に示す駆動終了時処理のフローチャートを参照して説明する。駆動終了処理では、初めに、CPU41は、環境温度(記録)と環境温度(現在)とが異なるか否かを判断する(S61)。環境温度(記録)と環境温度(現在)とが異なる場合には(S61:YES)、EEPROM43の環境温度(記録)記憶領域431の環境温度(記録)の値を環境温度(現在)で書き換える(S62)。環境温度(記録)の値を最新の環境温度(現在)で更新するためである。その後、CPU41は、処理をメイン処理に戻す。環境温度(記録)と環境温度(現在)とが異ならない場合には(S61:NO)、CPU41は、処理をメイン処理に戻す。
【0048】
次に、CPU41は、RAM44のアイドル状態開始時刻記憶領域446に記憶されたアイドル状態開始時刻に現在時刻をセットして更新する(S7)。アイドル状態に成った時刻を記録するためである。次いで、CPU41は、現在時刻からアイドル状態開始時刻を引いた値が1時間より大きくなった否かを破断する(S8)。CPU41は、現在時刻からアイドル状態開始時刻を引いた値が1時間より大きくなった場合には(S8:YES)、アイドル時間が1時間続いた時の処理を行う(S9)。これは、アイドル状態が1時間も続くと、駆動回路47の駆動IC49が十分に冷えて環境温度と同じ温度になるからである。
【0049】
アイドル時間が1時間続いた時の処理を
図9のフローチャートを参照して説明する。アイドル時間が1時間続いた時には、温度が安定しているので、CPU41は、サーミスタ211により温度を取得し、IC温度(現在)の値としてIC温度(現在)記憶領域447に記憶する(S91)。次いで、CPU41は、EEPROM43の環境温度(記録)記憶領域431に記憶した環境温度(記録)の値をIC温度(現在)の値で上書きして更新する(S92)。次いで、CPU41は、処理をメイン処理に戻す。次いで、CPU41は、RAM44のアイドル状態開始時刻記憶領域446に記憶したアイドル状態開始時刻を現在の時刻で更新してセットする(S10)。その後、CPU41は、処理をS3に戻す。
【0050】
以上説明したように、上記実施の形態では、電源が投入されON状態になると、環境温度(記憶)記憶領域431に記憶されている環境温度(記録)を環境温度(現在)記憶領域441に記憶されている環境温度(現在)に上書きして更新する。次いで、IC温度(起動時)が環境温度(現在)記憶領域441に記憶されている環境温度(現在)よりも低い場合に、IC温度(起動時)が環境温度(現在)記憶領域441に環境温度(現在)として記憶される。従って、環境温度(現在)を予め記憶されている環境温度(記録)又はIC温度(起動時)の低い方の温度に合わせることができる。電源投入時から第一所定時間の一例である30秒経過後の印刷装置1の動作の開始時に、サーミスタ211の検出した温度であるIC温度(現在)がIC温度(起動時)から所定温度である2度引いた温度より高い場合には、IC温度(現在)が環境温度(現在)として環境温度(現在)記憶領域441に記憶される。従って、印刷装置1が暖かい場所に置かれた場合でも温度検出手段の測定誤差に影響されず、IC温度(現在)を環境温度(現在)として扱うことができる。従って、印刷装置1の希望する箇所に温度検出手段を取り付けることができない場合であっても、その他の場所である駆動IC49に取り付けられたサーミスタ211により検出されたIC温度(現在)を環境温度(現在)として、CPU41はモータ209の回転速度を制御することができる。従って、現在の環境温度に対応してモータ209の回転速度を適切に制限でき、モータ209の脱調を防止できる。
【0051】
また、印刷装置1の駆動開始時に、IC温度(現在)が環境温度(現在)より低い場合には、IC温度(現在)を環境温度(現在)として環境温度(現在)記憶領域441に記憶させる。従って、CPU41は、現在のIC温度を現在の環境温度として、モータ209の回転速度を制御することができ、モータ209の脱調を防止できる。
【0052】
また、印刷装置1の駆動終了時に、環境温度(記録)記憶領域431に記憶された環境温度(記録)と、環境温度(現在)記憶領域441に記憶された環境温度(現在)とが異なる場合には、環境温度(現在)の値が環境温度(記録)の値として環境温度(記録)記憶領域431に記憶される。従って、現在の環境温度を環境温度(記録)として不揮メモリであるEEPROM43の環境温度(記録)記憶領域431に記憶しておくことができる。
【0053】
本実施形態において、ロールシート3Aが本発明の「印刷媒体」の一例である。サーミスタ211が「IC温度検出手段」の一例である。環境温度(記録)記憶領域431が「記録環境温度記憶手段」の一例である。環境温度(現在)記憶領域441が「現在環境温度記憶手段」の一例である。モータ209が本発明の「モータ」の一例である。IC温度(起動時)が本発明の「起動時IC温度」の一例である。IC温度(現在)が本発明の「現在IC温度」の一例である。環境温度(現在)が本発明の「現在環境温度」の一例である。環境温度(記録)が本発明の「記録環境温度」の一例である。また、
図5のS11の処理を行うCPU41が本発明の「第一環境温度書換手段」の一例である。IC温度(起動時)記憶領域442が、「起動時IC温度記憶手段」の一例である。
図5のS15の処理を行うCPU41が本発明の「第二環境温度書換手段」の一例である。
図6のS44の判断処理を行うCPU41が本発明の「第一判断手段」の一例である。
図6のS45の処理を行うCPU41が本発明の「第三環境温度書換手段」の一例である。
図7のS51及びS52の処理を行うCPU41が本発明の「モータ制御手段」の一例である。
【0054】
図6のS48の判断処理を行うCPU41が本発明の「第二判断手段」の一例である。
図6のS49の処理を行うCPU41が本発明の「第四環境温度書換手段」の一例である。
図8のS61の判断処理を行うCPU41が本発明の「第三判断手段」の一例である。
図8のS62の処理を行うCPU41が本発明の「第一記録環境温度書換手段」の一例である。
図9のS92の処理を行うCPU41が本発明の「第二記録環境温度書換手段」の一例である。
【0055】
図5のS11の処理が本発明の「第一環境温度書換ステップ」の一例である。
図5のS12の処理が本発明の「起動時IC温度記憶ステップ」の一例である。
図5のS15の処理が本発明の「第二環境温度書換ステップ」の一例である。
図6のS44の判断処理が本発明の「第一判断ステップ」の一例である。
図6のS45の処理が本発明の「第三環境温度書換ステップ」の一例である。
図7のS51及びS52の処理が本発明の「モータ制御ステップ」の一例である。
【0056】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、第一所定時間は、30秒に限られない。第二所定時間は、1時間に限られない。また、本実施の形態では、サーミスタ312により発熱部311の温度を測定しているが、必ずしも発熱部311の温度の測定は必要がない。従って、S13の処理、S43の処理は省略してもよい。また、S44の処理においては、CPU41は、IC温度(現在)がIC温度(起動時)より−2度した値よりも上昇しか否かだけで判断してもよく、ヘッド温度(現在)がヘッド温度(起動時)より−2度した値よりも上昇しているか否かを判断することは省略してもよい。
【0057】
光学センサ95を用いて、センサマークを検出することで、搬送量を算出し、ロールシート3Aを搬送していたが、これに限定されない。例えば、光学センサ95を設けず、搬送量に応じて予め設定されたパルスをモータ209に供給することで、モータ209を駆動させ、ロールシート3Aを搬送してもよい。
【0058】
また、ロールシート3Aは感熱シートであったが、これに限定されない。例えば、ロールシート3Aは、感熱シートでなくてもよい。この場合、例えば、インクリボンを収納可能に印刷装置1を構成し、印刷ポイント23において、ロールシート3Aとインクリボンとを挟み、発熱部311でインクリボンを加熱して、ロールシート3Aに対してキャラクタを印刷してもよい。