特許第5987745号(P5987745)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5987745ブレーキディスク付き鉄道車輪の皿ばね挿入治具および組立て方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5987745
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】ブレーキディスク付き鉄道車輪の皿ばね挿入治具および組立て方法
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/00 20060101AFI20160825BHJP
   B61H 5/00 20060101ALI20160825BHJP
   F16D 55/22 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   F16D65/00 E
   B61H5/00
   F16D55/22 Z
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-63131(P2013-63131)
(22)【出願日】2013年3月26日
(65)【公開番号】特開2014-190344(P2014-190344A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2015年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日鐵住金株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001553
【氏名又は名称】アセンド特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 徹
(72)【発明者】
【氏名】松本 圭司
【審査官】 谷口 耕之助
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−250374(JP,A)
【文献】 実開平06−067104(JP,U)
【文献】 実開平02−003335(JP,U)
【文献】 特開2005−138226(JP,A)
【文献】 特開2004−255498(JP,A)
【文献】 実公昭45−026301(JP,Y1)
【文献】 特開2007−218413(JP,A)
【文献】 特開平9−100852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 65/00
B61H 5/00
F16D 55/22
B23P 19/08
F16B 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車輪の板部を挟んで一対のブレーキディスクが対向配置され、その一対のブレーキディスクがボルトおよびナットにより、ボルトの頭部と第1のブレーキディスクの間に第1の皿ばねをその凹面がボルトの頭部側に向くように介挿し、かつ、ナットと第2のブレーキディスクの間に第2の皿ばねをその凹面がナット側に向くように介挿する状態で、締結されてなるブレーキディスク付き鉄道車輪を組立てる際に、第1のブレーキディスク、鉄道車輪の板部および第2のブレーキディスクに挿通さているボルトの軸部に第2の皿ばねを挿入する治具であって、
皿ばねを落下させることによりボルトの軸部に挿入するための落下口を有する本体を備え、
その本体が、さらに、落下口の前段に配設され、凹面がナット側に向くように載置されている皿ばねのみが通過可能なゲートを有することを特徴とする皿ばね挿入治具。
【請求項2】
挿入治具は、さらに、投入棒を備え、
その投入棒が、載置されている皿ばねに挿入した状態で投入棒を操作することにより皿ばねをゲートに通過させつつ落下口まで移動させ、かつ、落下口に落下させた状態で落下口に到達している皿ばねを投入棒に沿って落下させるための投入棒であることを特徴とする請求項1に記載の皿ばね挿入治具。
【請求項3】
投入棒は、さらに、落下口で落下する際に投入棒の先端とボルトの軸部の先端が衝突するのを防止するストッパーを有することを特徴とする請求項2に記載の皿ばね挿入治具。
【請求項4】
本体は、さらに、載置される皿ばねを載置位置からゲートを経由して落下口まで案内するガイドを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の皿ばね挿入治具。
【請求項5】
本体は、さらに、第1の皿ばねを挿入するために第1のブレーキディスクに配設されている穴に当接される位置決め部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の皿ばね挿入治具。
【請求項6】
鉄道車輪の板部を挟んで一対のブレーキディスクが対向配置され、その一対のブレーキディスクがボルトおよびナットにより、ボルトの頭部と第1のブレーキディスクの間に第1の皿ばねをその凹面がボルトの頭部側に向くように介挿し、かつ、ナットと第2のブレーキディスクの間に第2の皿ばねをその凹面がナット側に向くように介挿する状態で、締結されてなるブレーキディスク付き鉄道車輪を組立て装置を用いて組立てる際に、組立て装置が備えるボルト受け台にボルトの軸部を上側に向けた姿勢で載置されているボルトの軸部に第1の皿ばねを挿入する治具であって、
形状がリング状であり、その内穴が組立て装置によって支持され、皿ばねを落下させることによりボルトの軸部に挿入するための落下口を有する本体を備え、
その本体が、さらに、落下口の前段に配設され、凹面がボルトの頭部側に向くように載置されている皿ばねのみが通過可能なゲートを有することを特徴とする皿ばね挿入治具。
【請求項7】
本体は、さらに、ボルトの軸部が落下口に挿入されている状態で、ゲートを通過して落下口に位置する皿ばねの落下と保持を切替え可能な保持手段を有することを特徴とする請求項6に記載の皿ばね挿入治具。
【請求項8】
本体は、さらに、皿ばねをゲートから落下口まで案内するガイドを有することを特徴とする請求項6または7に記載の皿ばね挿入治具。
【請求項9】
鉄道車輪の板部を挟んで一対のブレーキディスクが対向配置され、その一対のブレーキディスクがボルトおよびナットにより、ボルトの頭部と第1のブレーキディスクの間に第1の皿ばねをその凹面がボルトの頭部側に向くように介挿し、かつ、ナットと第2のブレーキディスクの間に第2の皿ばねをその凹面がナット側に向くように介挿する状態で、締結されてなるブレーキディスク付き鉄道車輪を組立てる方法であって、
第1のブレーキディスク、鉄道車輪の板部および第2のブレーキディスクに挿通されているボルトの軸部に第2の皿ばねを挿入する治具であって、皿ばねを落下させることによりボルトの軸部に挿入するための落下口を有する本体と、投入棒とを備え、本体が、さらに、落下口の前段に配設され、凹面がナット側に向くように載置された皿ばねのみが通過可能なゲートを有する皿ばね挿入治具を用い、
皿ばねを載置するステップと、
載置された皿ばねに投入棒を挿入し、その状態で投入棒を操作することにより皿ばねを移動させてゲートに通過させるステップと、
ゲートに通過させた皿ばねを、挿入状態の投入棒を操作することにより移動させて落下口まで移動させた後、落下口に投入棒を落下させ、その落下棒に沿って落下口に到達している皿ばねを落下させることによりボルトの軸部に挿入するステップとを含むことを特徴とするブレーキディスク付き鉄道車輪の組立て方法。
【請求項10】
鉄道車輪の板部を挟んで一対のブレーキディスクが対向配置され、その一対のブレーキディスクがボルトおよびナットにより、ボルトの頭部と第1のブレーキディスクの間に第1の皿ばねをその凹面がボルトの頭部側に向くように介挿し、かつ、ナットと第2のブレーキディスクの間に第2の皿ばねをその凹面がナット側に向くように介挿する状態で、締結されてなるブレーキディスク付き鉄道車輪を組立て装置を用いて組立てる方法であって、
組立て装置が備えるボルト受け台にボルトの軸部を上側に向けた姿勢で載置されているボルトの軸部に第1の皿ばねを挿入する治具であって、形状がリング状であり、その内穴が組立て装置によって支持され、皿ばねを落下させることによりボルトの軸部に挿入するための落下口を有する本体を備え、本体が、さらに、落下口の前段に配設され、凹面がボルトの頭部側に向くように載置されている皿ばねのみが通過可能なゲートと、ボルトの軸部が落下口に挿入されている状態で、ゲートを通過して落下口に位置する皿ばねの落下と保持を切替え可能な保持手段とを有する皿ばね挿入治具を用い、
皿ばねを載置するステップと、
載置した皿ばねをゲートに通過させるステップと、
保持手段が落下口に位置する皿ばねを保持する状態で、ゲートに通過させた皿ばねを落下口まで移動させるステップと、
ボルト受け台を回転および上昇させることにより、ボルト受け台に載置されるボルトの軸部を落下口で保持される皿ばねに挿入するステップと、
保持手段を切替え、落下口に位置する皿ばねを落下させるステップとを含むことを特徴とするブレーキディスク付き鉄道車輪の組立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両に搭載されるブレーキディスク付き鉄道車輪を組み立てる際に皿ばねをボルトに挿入するための治具およびその治具を用いる組立方法に関する。特に、向きを誤って皿ばねが介挿されるのを未然に防止できる皿ばね挿入治具およびその治具を用いる組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、鉄道車両の制動装置としてディスクブレーキが採用されている。ディスクブレーキでは、鉄道車輪(以下、単に「車輪」ともいう)の両側面にブレーキディスク(以下、単に「ディスク」ともいう)を取り付けたディスク付き車輪が多用される。
【0003】
ここで、ディスクが単にボルトによって締結されたディスク付き車輪の場合、ディスクは、制動時にブレーキライニングとの摺動による摩擦により熱負荷を受けるため、熱膨張を繰り返し、その結果として車輪に対して芯ずれが生じる。これは、近年の高速化・軽量化に対応するディスクに顕著である。このようなディスクの芯ずれを防止するため、ディスクと車輪の間に芯ずれ防止キーを内蔵したディスク付き車輪が開発されている。
【0004】
図1は、芯ずれ防止キー内蔵型のディスク付き車輪を分解して示す斜視図である。同図に示すディスク付き車輪は、車輪1と、ドーナツ形円盤状の一対のディスク2と、これらを締結するためのボルト3およびナット4と、棒状の芯ずれ防止キー5とから構成される。一対のディスク2は、それぞれ、表面側を摺動面とし、その裏面には複数の冷却フィン部2aが放射状に形成されている。なお、図1では、便宜上、複数の放射状の冷却フィン部2aを1つに簡略化して図示している。
【0005】
車輪1の板部1aおよびディスク2には、それぞれ、ボルト3を挿通させるボルト穴1b、2bが形成されている。また、車輪1の板部1aには、芯ずれ防止キー5を挿通させるキー穴1cが形成され、ディスク2の裏面には、芯ずれ防止キー5の端部と係合されるキー溝2cが径方向に沿って形成されている。
【0006】
ディスク付き車輪は、一対のディスク2が車輪1の板部1aを挟み込むように対向配置され、冷却フィン部2aが車輪1の板部1aと接触した状態で、ボルト穴1b、2bを挿通したボルト3とナット4によりディスク2が車輪1に締結されてなる。このディスク付き車輪において、芯ずれ防止キー5は、車輪1のキー穴1cを挿通しつつ、その両端部がディスク2のキー溝2cに係合しており、制動中にディスク2の中心(芯)を維持した状態でディスク2の熱膨張を許容する。
【0007】
ここで、ディスク付き車輪および芯ずれ防止キー内蔵型のディスク付き車輪では、適当な圧力でディスク2を車輪1に押さえつけるため、ボルト3の軸部に皿ばねを挿入する場合がある。この場合、所定枚数の皿ばねが所定の向きで、ボルト3の頭部とディスク2の間、および、ナット4とディスク2の間にそれぞれ介挿される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特願2012−15341号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述の芯ずれ防止キー内蔵型のディスク付き車輪の組立て装置について、本発明者は、要員の削減とともに、組立て作業時間の短縮化を可能にするため、特許出願を行った(特許文献1)。
【0010】
図2は、特許文献1で提案されるディスク付き車輪の組立て装置の構成を示す縦断面図である。同図に示す組立て装置は、一対のディスク2のうちで車輪1のフランジ側とは反対側に配置されるディスク2(以下、「反フランジ側ディスク」ともいう)を支持するディスク受け台10と、車輪1を支持する車輪受け台20と、ボルト3を支持するボルト受け台30と、を備える。
【0011】
ディスク受け台10は、鉛直方向の中心軸を中心に回転自在に構成されている。同図に示すディスク受け台10は、その下面から中心軸に沿って管状の支軸12が突出しており、この支軸12は、固定の管状支柱40の内部に、図示しないベアリングを介して嵌め込まれている。
【0012】
また、ディスク受け台10の上面からは、その中心軸を中心とする環状部11が突出している。この環状部11の外周面は、上方に行くほど直径が縮小するテーパ状であり、その下端部の直径がディスク2の内穴2dの直径と同一であるか、それよりも僅かに小さい程度に形成されている。
【0013】
このような構成のディスク受け台10には、反フランジ側ディスク2が、その表面(摺動面)を下にされ、その内穴2dが環状部11に嵌合する状態で載置される。このとき、ディスク受け台10に載置された反フランジ側ディスク2は、環状部11との嵌合によって内穴2dの芯出しが行われ、ディスク受け台10とともに回転することが可能である。
【0014】
車輪受け台20は、ディスク受け台10の内側でディスク受け台10と同心状に設けられている。すなわち、車輪受け台20の鉛直方向の中心軸は、ディスク受け台10の中心軸と合致している。さらに、車輪受け台20は、その中心軸を中心に回転自在に構成されている。同図に示す車輪受け台20は、その下面から中心軸に沿って棒状の支軸22が突出しており、この支軸22は、ディスク受け台10の支軸12の内部に、図示しないベアリングを介して嵌め込まれている。
【0015】
また、車輪受け台20の上面からは、その中心軸を中心とする円柱部21が突出している。この円柱部21の外周面は、上方に行くほど直径が縮小するテーパ状であり、その下端部の直径が車輪1のボス穴1dの直径と同一であるか、それよりも僅かに小さい程度に形成されている。
【0016】
このような構成の車輪受け台20には、車輪1が、その反フランジ側の面を下にされ、そのボス穴1dが円柱部21に嵌合する状態で載置される。このとき、車輪受け台20に載置された車輪1は、ディスク受け台10に載置された反フランジ側ディスク2上で、この反フランジ側ディスク2から僅かに浮上した状態に維持されたまま、円柱部21との嵌合によってボス穴1dの芯出しが行われ、車輪受け台20とともに回転することが可能である。したがって、ディスク受け台10に載置された反フランジ側ディスク2、および車輪受け台20に載置された車輪1のそれぞれは、個々に車輪1の中心軸を中心に回転することが可能である。
【0017】
ボルト受け台30は、ディスク受け台10の外側でディスク受け台10および車輪受け台20と同心状に設けられている。すなわち、ボルト受け台30の鉛直方向の中心軸は、ディスク受け台10および車輪受け台20の中心軸と合致している。さらに、ボルト受け台30は、図示しないアクチュエータの駆動力によって昇降動が可能に構成されている。
【0018】
また、ボルト受け台30は、車輪1および各ディスク2のボルト穴1b、2bの位置に対応し、ボルト3を保持するボルト保持柱31を有する。ボルト保持柱31は、その上端面の凹部にボルト3の頭部を挿入して保持し、ボルト3を起立させた状態で支持する。
【0019】
このような構成の組立て装置を用いてディスク付き車輪を組立てる手順を、下記図3を参照して説明する。
【0020】
図3は、特許文献1で提案される組立て装置を用いたディスク付き車輪の組立て手順を示す斜視図である。
【0021】
(1)最初に、同図(a)に示すように、ボルト受け台30を下降させた状態で、各ボルト保持柱31にボルト3を配置する。
【0022】
(2)ボルト3の頭部と反フランジ側ディスクの間に介挿される所定枚数の皿ばね(図示なし)を、所定の向きとなるようにボルト3の軸部に挿入する。
【0023】
(3)同図(b)に示すように、先ずは、一対のディスク2のうちの反フランジ側ディスク2をクレーンで吊り、その表面(摺動面)を下にして、ディスク受け台10に載置する。これにより、反フランジ側ディスク2は、その内穴2dが環状部11に嵌合して支持され、自己の中心軸がディスク受け台10の中心軸と一致した状態になる。
【0024】
(4)次に、同図(c)に示すように、車輪1をクレーンで吊り、その反フランジ側の面を下にして、車輪受け台20に載置する。その結果、車輪1は、そのボス穴1dが円柱部21に嵌合して支持され、自己の中心軸が車輪受け台20の中心軸と一致した状態になる。これにより、車輪1と反フランジ側ディスク2は、それぞれ、相互に中心軸が合致した回転自在な車輪受け台20とディスク受け台10に支持されていることから、個々に車輪1の中心軸を中心に回転することが可能になる。
【0025】
(5)続いて、同図(d)に示すように、車輪1を車輪受け台20とともに回転させるとともに、反フランジ側ディスク2をディスク受け台10とともに回転させて、車輪1のキー穴1cと反フランジ側ディスク2のキー溝2cを位置合わせし、そこに芯ずれ防止キー5を挿入する。その結果、芯ずれ防止キー5は、車輪1のキー穴1cを挿通し、その下端部が反フランジ側ディスク2のキー溝2cに係合した状態になる。これにより、車輪1のキー穴1cおよび反フランジ側ディスク2のキー溝2cと芯ずれ防止キー5との芯が一致し、これと同時に、車輪1のボルト穴1bと反フランジ側ディスク2のボルト穴2bとの芯が一致し、車輪1と反フランジ側ディスク2が位置決めされる。
【0026】
(6)次に、同図(e)、(f)に示すように、車輪1のフランジ側に配置されるディスク(以下、「フランジ側ディスク」ともいう)2をクレーンで吊り、その表面(摺動面)を上にして、そのキー溝2cを芯ずれ防止キー5に位置合わせしながら降ろす。その結果、フランジ側ディスク2は、そのキー溝2cに芯ずれ防止キー5の上端部が係合した状態になる。これにより、車輪1のキー穴1cおよび各ディスク2のキー溝2cと芯ずれ防止キー5との芯が一致し、これと同時に、車輪1のボルト穴1bと各ディスク2のボルト穴2bとの芯が一致し、車輪1と一対のディスク2が位置決めされる。
【0027】
(7)その後、同図(f)、(g)に示すように、車輪1と一対のディスク2を一体で、車輪受け台20とディスク受け台10とともに回転させて、車輪1および各ディスク2のボト穴1b、2bをボルト3に位置合わせし、ボルト受け台30を上昇させる。これにより、ボルト3は、車輪1および各ディスク2のボルト穴1b、2bを挿通した状態になる。また、前記手順(2)でボルト3の軸部に皿ばねを挿入しているので、ボルト3の頭部と反フランジ側ディスク2の間に皿ばね(図示なし)が介挿された状態となる。
【0028】
(8)車輪1および各ディスク2のボルト穴1b、2bを挿通した状態のボルト3の軸部に、フランジ側ディスク2とナットの間に介挿される所定枚数の皿ばね(図示なし)を、所定の向きとなるようにして挿入する。
【0029】
(9)そして、図3(g)、(h)に示すように、ボルト3にナット4を規定の回転角になるように捩じ込み、車輪1と一対のディスク2を締結する。上記(8)の手順でボルト3の軸部に皿ばねを挿入しているので、ナット4とフランジ側ディスク2の間には、所定枚数の皿ばね(図示なし)が所定の向きでそれぞれ介挿された状態となる。
【0030】
このようにして、車輪1の板部1aおよびこの板部1aを貫通する芯ずれ防止キー5を
挟んで一対のディスク2が対向配置され、そのディスク2がボルト3によって締結されて
なる芯ずれ防止キー内蔵型のディスク付き車輪が完成する。
【0031】
一方、前述の通り、ディスク付き車輪および芯ずれ防止キー内蔵型のディスク付き車輪では、皿ばねがボルトの頭部とディスクの間、および、ナットとディスクの間にそれぞれ介挿される場合がある。
【0032】
図4は、ディスク付き車輪における皿ばねの介挿状態を示す部分断面図である。同図には、車輪1と、一対のディスク2と、それらを締結するボルト3およびナット4と、介挿される皿ばね6とを示す。同図に示すディスク付き車輪では、5枚の皿ばねがボルトの頭部3bと一方のディスク2の間にいずれの皿ばね6もその凹面がボルトの頭部側に向くように介挿されている。以下では、ボルトの頭部3bと一方のディスク2の間に介挿される皿ばねを、単に「ボルト側皿ばね」ともいう。また、同図に示すディスク付き車輪では、5枚の皿ばねがナット4と他方のディスク2の間にいずれの皿ばね6もその凹面がナット4側に向くように介挿されている。以下では、ナット4と他方のディスク2の間に介挿される皿ばねを、単に「ナット側皿ばね」ともいう。
【0033】
このように皿ばねを介挿する場合、ボルトの軸部に皿ばねを挿入する際に皿ばねの向きを誤ると、押付力が変化することから、ディスク付き車輪が所望の能力を発揮できないおそれがある。このため、ディスク付き車輪の組立てでは、確実に、仕様により定められた向きおよび枚数で皿ばねを介挿することが求められる。
【0034】
図5は、皿ばねの向きが皿ばねの合成ばね定数および締結トルクに与える影響を示す模式図である。同図には、5枚の皿ばねを介挿する場合の向きの組み合わせ例A〜Eと、それらの組み合わせにおける皿ばねの合成ばね定数と締結トルクの関係を示す。また、同図の組み合わせ例A〜Eにおいて、5枚のボルト側皿ばねおよびナット側皿ばねの向きは、いずれも、上側をナット側とするとともに下側をボルトの頭部側とする。また、向きが誤って介挿されている皿ばねをハッチングを施して示す。
【0035】
同図に示すように、組み合わせC〜Eに示すような向きの誤りは、合成ばね定数が著しく減少し、それに伴って押付力も低下する。ただし、組み合わせC〜Eに示すような向きの誤りは、トルクも著しく減少するので、例えばナットランナを用いてナットを締める際にトルクを測定することにより、向きの誤りを検出して防止できる。しかしながら、組み合わせBに示すような向きの誤りは、合成ばね定数が変わらないことから、締結トルクの変化が僅かであり、検出が困難である。
【0036】
組み合わせBに示すような向きの誤りは、正しい組み合わせAと合成ばね定数が同じであるが、以下の理由により、ボルトの破断を引き起こす可能性があり、検出して防止することが要求される。ボルトおよびナットの締結では、ボルトの軸部のうちで頭部側の付け根部(前記図4で実線矢印で指し示す部分)や、ナット側の付け根部(前記図4で破線矢印で指し示す部分)を起点にボルトが破断しやすい。向きを誤って組み合わせBに示すように皿ばねを介挿すると、ボルトの頭部側の付け根部に皿ばねの凸面の先端が位置することから、接触して破断を誘発するおそれがある。また、ナット側の付け根部も、同様に、皿ばねの凸面の先端が位置することから、接触して破断を誘発するおそれがある。
【0037】
前記図4に示すようにザグリ穴2eが設けられている場合は介挿された皿ばね6を外部から観察できないので、組み合わせBに示すような向きの誤りを目視による検査で検出できない。
【0038】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、誤った向きで皿ばねが介挿されるのを未然に防止できる皿ばね挿入治具およびその治具を用いる組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0039】
前述の通り、介挿された皿ばねの向きは外部から観察できず、締結トルクを測定しても組み合わせBに示すような向きの誤りを検出するのは困難である。したがって、誤った向きで皿ばねが介挿されるのを防止するためには、ボルトの軸部に皿ばねを挿入する際に確実に正しい向きで皿ばねを挿入することが肝要となる。そこで、本発明者は、皿ばねを落下させることによりボルトの軸部に挿入するための落下口と、その前段に正しい向きで載置されている皿ばねのみが通過可能なゲートとを有する治具を用いることにより、ボルトの軸部に正しい向きで皿ばねを挿入でき、その結果、誤った向きで皿ばねが介挿されるのを防止できることを知見した。
【0040】
本発明はこのような知見に基づいてなされたものであり、その要旨は、下記(1)〜(8)の皿ばね挿入治具、並びに、下記(9)および(10)の組立て方法にある:
【0041】
(1)鉄道車輪の板部を挟んで一対のブレーキディスクが対向配置され、その一対のブレーキディスクがボルトおよびナットにより、ボルトの頭部と第1のブレーキディスクの間に第1の皿ばねをその凹面がボルトの頭部側に向くように介挿し、かつ、ナットと第2のブレーキディスクの間に第2の皿ばねをその凹面がナット側に向くように介挿する状態で、締結されてなるブレーキディスク付き鉄道車輪を組立てる際に、第1のブレーキディスク、鉄道車輪の板部および第2のブレーキディスクに挿通さているボルトの軸部に第2の皿ばねを挿入する治具であって、皿ばねを落下させることによりボルトの軸部に挿入するための落下口を有する本体を備え、その本体が、さらに、落下口の前段に配設され、凹面がナット側に向くように載置されている皿ばねのみが通過可能なゲートを有することを特徴とする皿ばね挿入治具(以下では、この実施形態に係る皿ばね挿入治具を「ナット側皿ばね挿入治具」ともいう)。
【0042】
(2)挿入治具は、さらに、投入棒を備え、その投入棒が、載置されている皿ばねに挿入した状態で投入棒を操作することにより皿ばねをゲートに通過させつつ落下口まで移動させ、かつ、落下口に落下させた状態で落下口に到達している皿ばねを投入棒に沿って落下させるための投入棒であることを特徴とする上記(1)に記載の皿ばね挿入治具。
【0043】
(3)投入棒は、さらに、落下口で落下する際に投入棒の先端とボルトの軸部の先端が衝突するのを防止するストッパーを有することを特徴とする上記(2)に記載の皿ばね挿入治具。
【0044】
(4)本体は、さらに、載置される皿ばねを載置位置からゲートを経由して落下口まで案内するガイドを有することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の皿ばね挿入治具。
【0045】
(5)本体は、さらに、第1の皿ばねを挿入するために第1のブレーキディスクに配設されている穴に当接される位置決め部を有することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の皿ばね挿入治具。
【0046】
(6)鉄道車輪の板部を挟んで一対のブレーキディスクが対向配置され、その一対のブレーキディスクがボルトおよびナットにより、ボルトの頭部と第1のブレーキディスクの間に第1の皿ばねをその凹面がボルトの頭部側に向くように介挿し、かつ、ナットと第2のブレーキディスクの間に第2の皿ばねをその凹面がナット側に向くように介挿する状態で、締結されてなるブレーキディスク付き鉄道車輪を組立て装置を用いて組立てる際に、組立て装置が備えるボルト受け台にボルトの軸部を上側に向けた姿勢で載置されているボルトの軸部に第1の皿ばねを挿入する治具であって、形状がリング状であり、その内穴が組立て装置によって支持され、皿ばねを落下させることによりボルトの軸部に挿入するための落下口を有する本体を備え、その本体が、さらに、落下口の前段に配設され、凹面がボルトの頭部側に向くように載置されている皿ばねのみが通過可能なゲートを有することを特徴とする皿ばね挿入治具(以下では、この実施形態に係る皿ばね挿入治具を「ボルト側皿ばね挿入治具」ともいう)。
【0047】
(7)本体は、さらに、ボルトの軸部が落下口に挿入されている状態で、ゲートを通過して落下口に位置する皿ばねの落下と保持を切替え可能な保持手段を有することを特徴とする上記(6)に記載の皿ばね挿入治具。
【0048】
(8)本体は、さらに、皿ばねをゲートから落下口まで案内するガイドを有することを特徴とする上記(6)または(7)に記載の皿ばね挿入治具。
【0049】
(9)鉄道車輪の板部を挟んで一対のブレーキディスクが対向配置され、その一対のブレーキディスクがボルトおよびナットにより、ボルトの頭部と第1のブレーキディスクの間に第1の皿ばねをその凹面がボルトの頭部側に向くように介挿し、かつ、ナットと第2のブレーキディスクの間に第2の皿ばねをその凹面がナット側に向くように介挿する状態で、締結されてなるブレーキディスク付き鉄道車輪を組立てる方法であって、第1のブレーキディスク、鉄道車輪の板部および第2のブレーキディスクに挿通されているボルトの軸部に第2の皿ばねを挿入する治具であって、皿ばねを落下させることによりボルトの軸部に挿入するための落下口を有する本体と、投入棒とを備え、本体が、さらに、落下口の前段に配設され、凹面がナット側に向くように載置された皿ばねのみが通過可能なゲートを有する皿ばね挿入治具を用い、皿ばねを載置するステップと、載置された皿ばねに投入棒を挿入し、その状態で投入棒を操作することにより皿ばねを移動させてゲートに通過させるステップと、ゲートに通過させた皿ばねを、挿入状態の投入棒を操作することにより移動させて落下口まで移動させた後、落下口に投入棒を落下させ、その落下棒に沿って落下口に到達している皿ばねを落下させることによりボルトの軸部に挿入するステップとを含むことを特徴とするブレーキディスク付き鉄道車輪の組立て方法(以下では、この実施形態に係る組立て方法を「組立て方法の第1実施形態」ともいう)。
【0050】
(10)鉄道車輪の板部を挟んで一対のブレーキディスクが対向配置され、その一対のブレーキディスクがボルトおよびナットにより、ボルトの頭部と第1のブレーキディスクの間に第1の皿ばねをその凹面がボルトの頭部側に向くように介挿し、かつ、ナットと第2のブレーキディスクの間に第2の皿ばねをその凹面がナット側に向くように介挿する状態で、締結されてなるブレーキディスク付き鉄道車輪を組立て装置を用いて組立てる方法であって、組立て装置が備えるボルト受け台にボルトの軸部を上側に向けた姿勢で載置されているボルトの軸部に第1の皿ばねを挿入する治具であって、形状がリング状であり、その内穴が組立て装置によって支持され、皿ばねを落下させることによりボルトの軸部に挿入するための落下口を有する本体を備え、本体が、さらに、落下口の前段に配設され、凹面がボルトの頭部側に向くように載置されている皿ばねのみが通過可能なゲートと、ボルトの軸部が落下口に挿入されている状態で、ゲートを通過して落下口に位置する皿ばねの落下と保持を切替え可能な保持手段とを有する皿ばね挿入治具を用い、皿ばねを載置するステップと、載置した皿ばねをゲートに通過させるステップと、保持手段が落下口に位置する皿ばねを保持する状態で、ゲートに通過させた皿ばねを落下口まで移動させるステップと、ボルト受け台を回転および上昇させることにより、ボルト受け台に載置されるボルトの軸部を落下口で保持される皿ばねに挿入するステップと、保持手段を切替え、落下口に位置する皿ばねを落下させるステップとを含むことを特徴とするブレーキディスク付き鉄道車輪の組立て方法(以下では、この実施形態に係る組立て方法を「組立て方法の第2実施形態」ともいう)。
【発明の効果】
【0051】
本発明の皿ばね挿入治具は、本体が、落下口の前段に配設され、所定の向きで載置されている皿ばねのみが通過可能なゲートを有する。このため、ボルトの軸部に正しい向きで皿ばねを挿入でき、その結果、誤った向きで皿ばねが介挿されるのを防止できる。
【0052】
本発明の組立て方法は、上述の皿ばね挿入治具を用いてボルトの軸部に皿ばねを挿入するので、誤った向きで皿ばねが介挿されるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】芯ずれ防止キー内蔵型のディスク付き車輪を分解して示す斜視図である。
図2】特許文献1で提案されるディスク付き車輪の組立て装置の構成を示す縦断面図である。
図3】特許文献1で提案される組立て装置を用いたディスク付き車輪の組立て手順を示す斜視図である。
図4】ディスク付き車輪における皿ばねの介挿状態を示す部分断面図である。
図5】皿ばねの向きが皿ばねの合成ばね定数および締結トルクに与える影響を示す模式図である。
図6】本発明のナット側皿ばね挿入治具の本体を示す図であり、同図(a)は上面図、同図(b)はA−A断面図、同図(c)はB−B断面図、同図(d)はC−C断面図、同図(e)はD−D断面図である。
図7】本発明の組立て方法の第1実施形態によりナット側皿ばねを挿入するステップの一例を示す断面図であり、同図(a)は皿ばねを載置した状態、同図(b)はゲートを通過する状態、同図(c)は投入棒が落下した状態をそれぞれ示す。
図8】本発明のボルト側皿ばね挿入治具の本体を示す図であり、同図(a)は上面図、同図(b)はE−E断面図、同図(c)はF−F断面における拡大図である。
図9】本発明のボルト側皿ばね挿入治具の本体が有する保持手段を説明する上面図であり、同図(a)は落下口の皿ばねを保持する状態、同図(b)は落下口の皿ばねを落下させる状態をそれぞれ示す。
図10】本発明の組立て方法の第2実施形態によりボルト側皿ばねを挿入するステップの一例を示す断面図であり、同図(a)は本体を載置した状態、同図(b)はゲートを通過した皿ばねを落下口で保持する状態、同図(c)はボルトの軸部を皿ばねに挿入した状態、同図(d)は皿ばねを落下させた状態をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下に、本発明の皿ばね挿入治具およびそれを用いた組立て方法について、その実施形態を詳述する。
【0055】
[本発明のナット側皿ばね挿入治具]
図6は、本発明のナット側皿ばね挿入治具の本体を示す図であり、同図(a)は上面図、同図(b)はA−A断面図、同図(c)はB−B断面図、同図(d)はC−C断面図、同図(e)はD−D断面図である。同図には、ナット側皿ばね挿入治具の本体50を示し、同図(d)には、治具の構成の理解を容易にするため、さらに、載置された皿ばね6と、ナット側皿ばね挿入治具が備える投入棒60と、車輪1と、一対のディスク2と、車輪1および一対のディスク2に挿通されたボルト3と、介挿されているボルト側皿ばね6とをそれぞれ想像線で示す。
【0056】
本発明のナット側皿ばね挿入治具の本体50は、皿ばねを落下させることによりボルトの軸部に挿入するための落下口50aを有する。同図に示すナット側皿ばね挿入治具の本体50は、ベース板51、ケース52、天板53およびガイドリング54で構成される。落下口50aは、ガイドリング54およびケース52に設けられた穴により構成され、皿ばねを挿入するためにディスク2に設けられたザグリ穴と同芯に配置される。
【0057】
また、本発明のナット側皿ばね挿入治具の本体50は、落下口50aの前段に配設され、凹面がナット側に向くように載置されている皿ばねのみが通過可能なゲートを有する。このゲートは、同図に示す本体50では、ケース52と天板53とで実現され、同図(c)に示すB−B断面におけるケース52および天板53がゲートとして機能する。ケース52は、直方体状の箱体であり、底壁、左右の側壁52a、前壁52bおよび後壁52cを有し、上部が開口している。このケース52の上部に天板53が設けられ、天板53が上壁となる。ゲートの高さhは、凹面がいずれもナット側に向くように載置された5枚の皿ばねが通過可能、かつ、いずれかの皿ばねの向きが誤って載置された5枚の皿ばね(例えば前記図5の組み合わせC〜Eで示す向きで載置された5枚の皿ばね)が通過不可能となるように設定されている。
【0058】
ケース52の底壁の両端には、同図(c)に示すように、側壁に近づくに伴い高くなるようなテーパ部が設けられている。このテーパ部は、凹面がいずれもナット側に向くように載置された5枚の皿ばねが通過可能なように設定されている。一方、凸面がいずれもナット側に向くように載置された5枚の皿ばねは、ケース52の底壁のテーパ部や天板53と干渉することから、通過不可能となる。
【0059】
このゲートは、落下口50aの前段に配設する。同図に示す本体50は、落下口50aの一部を天板53が覆うことから、真上から皿ばねを落下口50aに直接投入できない構造である。このため、落下口50aから皿ばねを落下させてボルトの軸部に挿入するには、天板53に設けられた装入口53aから載置位置に皿ばねを載置し、その皿ばねをゲートに通過させつつ落下口50aまで移動させる必要がある。
【0060】
このように本発明のナット側皿ばね挿入治具は、皿ばねを落下させることによりボルトの軸部に挿入するための落下口50aを有する本体50を備え、その本体50が、さらに、落下口50aの前段に配設され、凹面がナット側に向くように載置された皿ばねのみが通過可能なゲートを有する。このため、凹面がナット側に向くように載置された皿ばねのみを、ナット側皿ばねとしてボルトの軸部に挿入することができ、誤った向きで皿ばねが介挿されるのを防止できる。
【0061】
ここで、落下口50aに到達した皿ばね6を、ディスクのザグリ穴2eの案内に沿って落下させてボルト3の軸部に挿入する場合、皿ばね6がボルト3の先端に引っかかる等により中腹に止まり、介挿位置(ザグリ穴の底面)まで到達しない場合がある。これを防止するため、本発明のナット側皿ばね挿入治具は、さらに、投入棒60を備えるのが好ましい。その投入棒60は、載置されている皿ばね6に挿入した状態で投入棒60を移動させることにより皿ばね6をゲートに通過させつつ落下口50aまで移動させ、かつ、落下口50aに落下させた状態で落下口50aに到達している皿ばね6を投入棒60に沿って落下させるための投入棒60であるのが好ましい。
【0062】
同図(e)に想像線で示す投入棒60は、丸棒であり、皿ばね6の内穴に挿入して使用される。また、同図に示す本体50は、皿ばね6に挿入した状態で投入棒60を移動可能とするため、天板53に長穴状の操作口53bが設けられ、この操作口53bの一端は装入口53aと接続している。
【0063】
投入棒60は、同図(e)に示すように、装入口53aから載置された皿ばね6に挿入した状態で投入棒60を操作することにより、皿ばね6をゲートに通過させつつ落下口50a上まで移動させる。これにより、皿ばね6をゲートに通過させつつ落下口50aまで移動させる作業を効率よく行うことができる。
【0064】
また、操作により落下口50aに到達した投入棒60を、落下口50aで落下させ、投入棒60の先端とボルト3の先端を接触あるいは近接させる。その状態で、落下口50aに到達している皿ばね6を投入棒60に沿って落下させる。これにより、皿ばね6は、ディスクのザグリ穴2eの案内のみならず、投入棒60の案内に沿って落下するので、皿ばね6が中腹で止まることなく、確実に介挿位置(ザグリ穴の底面)まで到達させることができる。なお、投入棒60の外径は、皿ばね6を円滑に落下させる観点から、ボルト3の軸部の外径と同程度とするのが好ましい。
【0065】
投入棒60を用いる場合、落下口50aに到達した投入棒60が落下し、その先端がボルト3の先端と接触すると、衝撃によってボルト3に疵が発生して破断等の原因となるおそれがある。これを防止するため、本発明のナット側皿ばね挿入治具は、投入棒60が、落下口で落下する際に投入棒60の先端とボルト3の軸部の先端が衝突するのを防止するストッパー60aを有するのが好ましい。
【0066】
同図(e)に示す投入棒60は、フランジ状のストッパー60aを有する。このストッパー60aは、投入棒60が落下口50aに落下した際に本体の天板53と接触することにより、過剰の落下を制限する。また、ストッパー60aは、ストッパー60aから投入棒60の先端までの距離を調整することにより、投入棒60が落下口50aに落下した際に投入棒60の先端がボルト3の先端と接触しないように配設される。
【0067】
本発明のナット側皿ばね挿入治具は、本体50が、載置される皿ばね6を載置位置からゲートを経由して落下口まで案内するガイドを有するのが好ましい。これにより、皿ばねを載置位置からゲートに通過させつつ落下口まで移動させる操作をより効率よく行うことができる。
【0068】
同図に示す本体50は、ガイドがケース52の両側の側壁52aにより実現される。また、ケースの前壁52bは、載置位置で皿ばね6を停止させるストッパーの役割を果たし、ケースの後壁52cは、落下口50aで皿ばねを停止させるストッパーの役割を果たす。
【0069】
本発明のナット側皿ばね挿入治具は、本体50が、皿ばねを挿入するためにブレーキディスクに配設されているザグリ穴2eに当接される位置決め部54aを有するのが好ましい。これにより、ナット側皿ばね挿入治具の本体50の位置決めが容易となるとともに、作業中に位置ずれが生じるのを防止できる。
【0070】
同図に示す本体50は、ガイドリング54の下部がベース板51から突出し、その下部の外周面はテーパ面54aである。このテーパ面54aが、位置決め部であり、ディスクのザグリ穴2eの面取り部に当接するように配設されている。本体50を配置する際は、位置決め部54aがディスクのザグリ穴2eの面取り部に当接するように配置すれば、確実に落下口50aがザグリ穴2eの真上に位置した状態となる。また、皿ばねの載置や移動の際には、位置決め部54aがザグリ穴2eの面取り部に当接していることから、位置ずれを防止できる。
【0071】
同図に示す本体50は、弓状のベース板51に、ケース52、天板53およびガイドリング54がそれぞれ4個配設されている。この構成に本発明のナット側皿ばね挿入治具は限定されず、ケース52、天板53およびガイドリング54の配設数を適宜増減させることができる。また、ベース板をリング状とし、全てのボルトの軸部に挿入可能な構成も採用できる。
【0072】
[本発明の組立て方法の第1実施形態]
本発明の組立て方法の第1実施形態は、上述の本発明のナット側皿ばね挿入治具を用いるディスク付き鉄道車輪の組立て方法である。本発明の組立て方法の第1実施形態は、例えば、前記図3を用いて説明したディスク付き車輪の組立て手順における(1)〜(7)により、車輪の板部を挟んで一対のディスクが対向配置され、かつ、ボルトが車輪および各ディスクのボルト穴を挿通した状態にできる。
【0073】
本発明の組立て方法の第1実施形態は、前記図3を用いて説明したディスク付き車輪の組立て手順における(8)で上述の本発明のナット側皿ばね挿入治具を用いて皿ばねをボルトの軸部に挿入する。そのステップの一例を、詳述する。
【0074】
図7は、本発明の組立て方法の第1実施形態によりナット側皿ばねを挿入するステップの一例を示す断面図であり、同図(a)は皿ばねを載置した状態、同図(b)はゲートを通過する状態、同図(c)は投入棒が落下した状態をそれぞれ示す。同図(a)〜(c)は、いずれも前記図6のD−D断面の位置での断面図である。
【0075】
皿ばねをボルトの軸部に挿入するにあたり、本発明のナット側皿ばね挿入治具の本体50をフランジ側ディスク2上に載置する。その状態で、以下のステップを行う。
(1)同図(a)に示すように皿ばね6を装入口53aから本体50の載置位置に載置する。
(2)載置位置の皿ばね6に投入棒60を挿入し、その投入棒60を操作することにより、同図(b)に示すように、皿ばね6を移動させてゲートを通過させる。
(3)ゲートに通過させた皿ばね6を、挿入状態の投入棒60を操作することにより移動させて落下口50aまで移動させる。同図(c)に示すように落下口50aで投入棒60を落下させ、その投入棒60に沿って、落下口50aに到達している皿ばね6を落下させることによりボルト3の軸部に挿入する。
【0076】
本発明の組立て方法の第1実施形態は、上記ステップ(2)で、前記図5の組み合わせAのように凹面がナット側に向くように載置された皿ばねのみがゲートを通過し、組み合わせB〜Eのように載置された皿ばねは通過できない。このため、本発明の組立て方法の第1実施形態は、向きが誤って皿ばねが装入されるのを防止できる。また、上記ステップ(3)で、落下口に到達している皿ばねを投入棒に沿って落下させることにより、皿ばねを確実にボルトの軸部に挿入できる。
【0077】
皿ばねの挿入後は、例えば、前記図3を用いて説明したディスク付き車輪の組立て手順における(9)により、ボルトにナットを規定の回転角になるように捩じ込み、車輪と一対のディスクを締結する。
【0078】
[本発明のボルト側皿ばね挿入治具]
図8は、本発明のボルト側皿ばね挿入治具の本体を示す図であり、同図(a)は上面図、同図(b)はE−E断面図、同図(c)はF−F断面における拡大図である。また、同図には、ボルト側皿ばね挿入治具の本体70を示し、同図(b)には、治具の構成の理解を容易にするため、さらに、組立て装置のボルト受け台30およびディスク受け台10、ボルト受け台30に載置されたボルト3を想像線で示す。
【0079】
本発明のボルト側皿ばね挿入治具は、組立て装置が備えるボルト受け台にボルトの軸部を上側に向けた姿勢で載置されるボルトの軸部に皿ばねを挿入する治具である。組立て装置としては、例えば、前記図2に示す組立て装置を用いることができる。図8に示すボルト側皿ばね挿入治具の本体は、前記図2に示す組立て装置を用いる場合の構成例である。
【0080】
本発明のボルト側皿ばね挿入治具は、形状がリング状であり、その内穴が組立て装置によって支持される本体70を備える。その本体70は、皿ばねを落下させることによりボルトの軸部に挿入するための落下口71aを有する。同図に示すボルト側皿ばね挿入治具の本体70は、ベースリング71、支持用リング72、ケース73、スライドリング74およびスライドピン75で構成される。その本体70は、支持用リング72の内穴が、組立て装置のディスク受け台10に支持され、落下口71aが、ベースリング71に配設される。
【0081】
また、本発明のボルト側皿ばね挿入治具は、本体70が、落下口の前段に配設され、凹面がボルトの頭部側に向くように載置された皿ばねのみが通過可能なゲートを有する。同図に示す本体70では、ゲートがベースリング71とケース73により実現され、図8(c)に示すF−F断面におけるベースリング71およびケース73がゲートとして機能する。ケース73は、直方体状の箱体であり、上壁、左右の側壁73a、後壁を有し、底部および前部が開口している。このケース73は、ベースリング71上に設けられ、ベースリング71が底壁となる。ゲートの高さhは、凹面がいずれもナット側に向くように載置された5枚の皿ばねが通過可能、かつ、いずれかの皿ばねの向きが誤って載置された5枚の皿ばね(例えば前記図5の組み合わせC〜Eで示す向きで載置された5枚の皿ばね)が通過不可能となるように設定されている。
【0082】
ケース73の上壁の両端には、側壁に近づくに伴い低くなるようなテーパ部が設けられている。このテーパ部は、凹面がいずれもボルトの頭部側に向くように載置されている5枚の皿ばねが通過可能なように設定されている。一方、凸面がいずれもボルトの頭部側に向くように載置されている5枚の皿ばねは、ケース73の上壁のテーパ部やベースリング71と干渉することから、通過不可能となる。
【0083】
このゲートを、落下口71aの前段に配設する。同図に示す本体70は、落下口71aの一部をケース73が覆うことから、皿ばねを真上から落下口71aに直接装入できない構造である。このため、落下口71aから皿ばねを落下させてボルト3の軸部に挿入するには、ベースリング71上であってゲートの入側に皿ばねを載置し、その皿ばねをゲートに通過させて落下口71aに移動させる必要がある。
【0084】
このように本発明のボルト側皿ばね挿入治具は、形状がリング状であり、その内穴が組立て装置によって支持され、皿ばねを落下させることによりボルトの軸部に挿入するための落下口71aを有する本体70を備え、その本体70が、さらに、落下口71aの前段に配設され、凹面がボルトの頭部側に向くように載置された皿ばねのみが通過可能なゲートを有する。このため、凹面がボルトの頭部側に向くように載置された皿ばねのみを、ボルト側皿ばねとしてボルト3の軸部に挿入することができ、誤った向きで皿ばねが介挿されるのを防止できる。
【0085】
ここで、落下する際の衝撃によりボルトや皿ばねに疵が生じ、使用中に破断等の問題が引き起こされるのを防止する観点から、落下口71aから皿ばねが落下する距離は、可能な限り短くするのが好ましい。このため、本発明のボルト側皿ばね挿入治具は、本体70が、ボルトの軸部が落下口71aに挿入されている状態で、ゲートを通過して落下口に位置する皿ばねの落下と保持を切替え可能な保持手段を有するのが好ましい。
【0086】
同図に示す本体70には、ベースリング71とスライドリング74とを締結するために複数のスライドピン75が設けられる。このスライドピン75は、形状がリング状であるスライドリング74に設けられたピン穴(図示なし)と、ベースリング71に設けられた弓状のピン保持口71bとを挿通する。このような本体70は、弓状のピン保持口71b内をスライドピン75が移動可能であることから、ベースリング71に対してスライドリング74が揺動可能となる。このようなスライドリング74の揺動を用いて実現される保持手段について、下記図9を参照しながら説明する。
【0087】
図9は、本発明のボルト側皿ばね挿入治具の本体が有する保持手段を説明する上面図であり、同図(a)は落下口の皿ばねを保持する状態、同図(b)は落下口の皿ばねを落下させる状態をそれぞれ示す。同図は、ボルト側皿ばね挿入治具の本体の部分図である。同図に示すように、スライドリング74には、落下口71aから落下する皿ばねが通過するための通過口74aと、弓状のボルトの軸部の受入れ口74bとが配設されている。弓状の受入れ口74bの一端は、通過口74aと接続している。
【0088】
このスライドリング74を揺動させ、同図(a)に示すように、ベースリングの落下口71aの真下にスライドリングの受入れ口74bが位置する状態とする。この場合、弓状の受入れ口74bの幅が皿ばねの外径よりも小さく設定されているので、落下口71aに位置する皿ばねはスライドリング74によって保持され、すなわち、落下しない。一方、スライドリング74を揺動させ、同図(b)に示すように、ベースリングの落下口71aの真下にスライドリングの通過口74aが位置する状態とする。この場合、通過口74aの径が落下口71aの径より大きくなるように設定されているので、落下口71aに位置する皿ばねはスライドリングの通過口74aを通過して落下する。
【0089】
このように前記図8に示すボルト側皿ばね挿入治具の本体では、落下口に位置する皿ばねの落下と保持を切替え可能な保持手段が、スライドリング74によって実現される。また、スライドリングの弓状の受入れ口74bは、その幅がボルトの軸部の外径よりも大きく設定されるとともに、通過口74aと接続している。このため、ボルトの軸部がベースリングの落下口71aに挿入された状態で、皿ばねの落下と保持を切替え可能である。したがって、ボルト受け台に載置されているボルトの軸部を保持手段で落下口71aに保持されている皿ばねに挿入した状態で、保持手段を操作して皿ばねを落下させることができる。これにより、落下口71aから皿ばねが落下する距離を短くでき、ボルトや皿ばねの疵発生を抑制できる。
【0090】
本発明のボルト側皿ばね挿入治具は、本体70が、ゲートを通過した皿ばねを落下口まで案内するガイドを有するのが好ましい。このガイドは、ケース73の両側の側壁73aにより実現される。また、前記図8に示す本体70が有するガイドでは、ケース73の後壁が、落下口71aで皿ばねを停止させるストッパーの役割を果たす。これにより、ゲートを通過した皿ばねを確実、かつ、効率よく落下口71aまで到達させることができる。
【0091】
本発明のボルト側皿ばね挿入治具は、さらに、投入棒(図示なし)を備えるのが好ましい。これにより、ゲートの入側に載置した皿ばねに投入棒を挿入し、その状態で投入棒を操作することにより、皿ばねをゲートに通過させて落下口まで移動させることができ、その結果、作業をより効率化できる。同図に示すボルト側皿ばね挿入治具は、投入棒の操作により皿ばねをゲートに通過させて落下口まで移動させるため、ケース73の上壁に投入棒を受入れる切り欠き73bが設けられている。投入棒は、例えば、ナット側皿ばね挿入治具と同様の投入棒を用いることができる。
【0092】
[本発明の組立て方法の第2実施形態]
本発明の組立て方法の第2実施形態は、上述の本発明のボルト側皿ばね挿入治具を用いるディスク付き鉄道車輪の組立て方法である。本発明の組立て方法の第2実施形態は、例えば、前記図3を用いて説明したディスク付き車輪の組立て手順における(1)により、組立て装置のボルト受け台を下降させた状態で、各ボルト保持柱にボルトを配置した状態とする。
【0093】
本発明の組立て方法の第2実施形態は、前記図3を用いて説明したディスク付き車輪の組立て手順における(2)で上述の本発明のボルト側皿ばね挿入治具を用いて皿ばねをボルトの軸部に挿入する。そのステップの一例を、詳述する。
【0094】
図10は、本発明の組立て方法の第2実施形態によりボルト側皿ばねを挿入するステップの一例を示す断面図であり、同図(a)は本体を載置した状態、同図(b)はゲートを通過した皿ばねを落下口で保持する状態、同図(c)はボルトの軸部を皿ばねに挿入した状態、同図(d)は皿ばねを落下させた状態をそれぞれ示す。同図(a)〜(d)は、いずれも前記図8のE−E断面の位置での断面図である。
【0095】
皿ばねをボルトの軸部に挿入するにあたり、同図(a)に示すようにボルト側皿ばね挿入治具の本体70の内穴を組立て装置のディスク受け台10で支持する。その後、以下のステップを行う。
【0096】
(1)皿ばねをゲートの入側に載置する。
(2)載置した皿ばねをゲートに通過させる。
(3)保持手段が落下口71aに位置する皿ばね6を保持する状態(ベースリングの落下口71aの真下にスライドリングの受入れ口74bを位置させた状態)で、ゲートに通過させた皿ばねを落下口まで移動させる。これにより、同図(b)に示すように、皿ばね6を落下口で保持する。
(4)ボルト受け台30を回転および上昇させることにより、同図(c)に示すように、ボルト受け台30に載置されるボルト3の軸部を落下口で保持される皿ばね6に挿入する。
(5)保持手段を切替え、すなわち、スライドリング74を揺動させて通過口74aを落下口71aの真下に位置させ、落下口の皿ばね6を落下させる。これにより、同図(d)に示すように皿ばね6が介挿位置(ボルトの頭部)まで落下する。
【0097】
本発明の組立て方法の第2実施形態は、上記ステップ(2)で、前記図5の組み合わせAのように凹面がボルトの頭部側に向くように載置された皿ばねのみがゲートを通過し、組み合わせB〜Eのように載置された皿ばねは通過できない。このため、本発明の組立て方法の第2実施形態は、向きが誤って皿ばねが装入されるのを防止できる。
【0098】
また、上記ステップ(4)で、本体の保持手段により皿ばねを保持した状態で、ボルト受け台に載置されるボルトの軸部を落下口で保持される皿ばねに挿入する。これにより、ボルトを上昇させて皿ばねとボルトの頭部との距離を短くできる。このような状態で上記ステップ(5)により皿ばねを落下させるので、ボルトおよび皿ばねに疵が発生するのを抑制できる。
【0099】
皿ばねの挿入後は、例えば、前記図3を用いて説明したディスク付き車輪の組立て手順における(3)〜(7)により、車輪の板部を挟んで一対のディスクが対向配置され、かつ、ボルトが車輪および各ディスクのボルト穴を挿通した状態にできる。さらに、本発明の組立て方法の第1実施形態に示したステップにより、本発明のナット側皿ばね挿入治具を用いてナット側皿ばねを挿入できる。その後、前記図3を用いて説明したディスク付き車輪の組立て手順における(9)により、ボルトにナットを規定の回転角になるように捩じ込み、車輪と一対のディスクを締結する。
【0100】
上述の本発明の皿ばね挿入治具および組立て方法の実施形態では、ボルト側皿ばねおよびナット側皿ばねをそれぞれ5枚介挿する例に基づいて説明したが、本発明の皿ばね挿入治具および組立て方法は、それに限定されるものではない。すなわち、介挿する皿ばねの枚数にかかわらず、本発明の皿ばね挿入治具および組立て方法を適用できる。皿ばねの枚数は、例えば、それぞれ1〜6枚を採用できる。
【0101】
本発明の組立て方法(第1実施形態および第2実施形態)では、皿ばねとして、所定の管理範囲に自由高さが管理された皿ばねを用いるのが好ましい。ここで、自由高さは、セッチング処理後の自由高さを意味する。皿ばねの自由高さの寸法ばらつきが大きいと、前記図5に示す組み合わせBに示すように誤った向きで載置されている皿ばねが、ゲートを通過する懸念が生じる。皿ばねの自由高さを管理してばらつきの大きい皿ばねを取り除くことにより、誤った向きで載置されている皿ばねがゲートを通過する可能性を完全に排除できる。皿ばねの自由高さの管理範囲は、皿ばねの寸法や載置する皿ばねの枚数、ゲートの寸法等に応じて適宜設定すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明の皿ばね挿入治具および組立て方法は、ブレーキディスク付き鉄道車輪の組立てに有効に利用することができる。誤った向きで皿ばねが介挿されるのを防止できるので、本発明の皿ばね挿入治具および組立て方法は、ブレーキディスク付き鉄道車輪の品質向上に大きく寄与することができる。
【符号の説明】
【0103】
1:鉄道車輪、 1a:車輪の板部、 1b:車輪のボルト穴、
1c:車輪のキー穴、 1d:車輪のボス穴、
2:ブレーキディスク、 2a:ディスクの冷却フィン部、
2b:ディスクのボルト穴、 2c:ディスクのキー溝、
2d:ディスクの内穴、 2e:ディスクのザグリ穴、 3:ボルト、
3a:軸部 3b:頭部、 4:ナット、 5:芯ずれ防止キー、
6:皿ばね、 10:ディスク受け台、 11:環状部、 12:支軸、
13:爪部、 14:爪保持ガイド部、 15:バネ、 20:車輪受け台、
21:円柱部、 22:支軸、 30:ボルト受け台、
31:ボルト保持柱、 32:円筒状ガイド部、 33:ピン、
40:管状支柱、 50:ナット側皿ばね挿入治具の本体、 50a:落下口、
51:ベース板、 52:ケース、 52a:側壁、 52b:前壁、
52c:後壁、 53:天板、 53a:装入口、 53b:操作口、
54:ガイドリング、 54a:位置決め部(テーパ面)、 60:投入棒、
60a:ストッパー、 70:ボルト側皿ばね挿入治具の本体、
71:ベースリング、 71a:落下口、 71b:ピン保持口、
72:支持用リング、 73:ケース、 73a:側壁、
73b:切り欠き、 74:スライドリング、 74a:通過口、
74b:受入れ口、 75:スライドピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10