【実施例】
【0019】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は助手席キックボードへの制御ユニット配置構造およびその組付け方法を示し、
図1は助手席キックボードへの制御ユニット配置構造を示す斜視図、
図2は
図1のA−A線に沿う要部の拡大断面図である。なお、以下の実施例においては、車両右側に運転席が位置し、車両左側に助手席が位置する所謂右ハンドル車両に適用した構造について述べる。
【0020】
図2において、エンジンルーム1と車室2とを前後方向に仕切るダッシュパネルとしてのダッシュロアパネル3を設け、このダッシュロアパネル3の助手席側において、該ダッシュロアパネル3とフロアパネル4との間には、前高後低状に傾斜する助手席キックボード5(詳しくはキックアップボード)が位置している。この助手席キックボード5はダッシュロアパネル3の下部を形成するボードである。
【0021】
図1に示すように、上述のダッシュロアパネル3の上部車室側の壁面には、車幅方向に延びる断面ハット形状のダッシュクロスメンバ6が接合固定されており、このダッシュクロスメンバ6とダッシュロアパネル3との間には、車幅方向に延びるダッシュクロス閉断面が形成されて、前部車体剛性の向上を図るように構成している。
図1に示すように、上述のダッシュロアパネル3の左右両端部から車室2側へ膨出するように左右のホイールハウス7,8が該ダッシュロアパネル3と一体形成されている。
また、
図1に示すように、車幅方向中央にはダッシュロアパネル3およびフロアパネル4から車室2側へ突出して、車両の前後方向に延びるトンネル部9が、一体または一体的に形成されている。
【0022】
一方で、
図2に示すように、エンジンルーム1の左右両サイドにおいて車両の前後方向に延びるフロントサイドフレーム10を設け、このフロントサイドフレーム10の後部10aを助手席キックボード5の前面に沿設させると共に、該フロントサイドフレーム10の後部10aには、フロアパネル4の下部に接合固定したフロアフレーム11(詳しくは、フロアフレームロア)の前部11aを連結し、このフロアフレーム11の前部11aも助手席キックボード5の前面に沿設させている。
ここで、上述のフロントサイドフレーム10は閉断面構造体により形成された車体強度部材であり、またフロアフレーム11は断面ハット形状に形成されており、該フロアフレーム11と助手席キックボード5およびフロアパネル4との間には、車両の前後方向に延びる閉断面が形成されている。
【0023】
図2に断面図で示すように、助手席キックボード5上部には、車両後方側から前方側に向けてポリスチレン製のティビア保護パッド12、セットプレート13上部に固定された制御ユニット14,15(但し、
図2では一方の制御ユニット14のみを示すが、他の制御ユニット15については
図6参照)、ポリプロピレン製のヒールストッパ16の順に配置し、上述の各制御ユニット14,15の上部をスチール製のカバープレート17で隠蔽し、上記ティビア保護パッド12と上記カバープレート17と上記ヒールストッパ16との各上面部が協働して前後に略連続する傾斜面部18を成すように構成している。
また、上述のティビア保護パッド12の後部には、フロアパネル4上部に不織布部材19を配置し、ティビア保護パッド12と不織布部材19との各上面部が協働して前後方向に略連続する概ね水平な連続面部20を成すように構成している。
そして、上述の傾斜面部18および連続面部20の上部を成型フロアマット21で隠蔽したものである。
図1に示すように、上述の成形フロアマット21は助手席キックボード5側のみならず、フロアパネル4上の助手席側、トンネル部9上、フロアパネル4上の運転席側、運転席キックボード側を一体的に覆うように構成されている。
【0024】
[助手席キックボードの構造]
図3はセットプレート取付け前の助手席キックボード5の形状を示す斜視図であって、該助手席キックボード5におけるホイールハウス7近傍部には前後方向に延びる凸部5aが一体形成されると共に、この凸部5aに上方から覆い被せるようにフロアフレームアッパ22を接合固定している。
【0025】
このフロアフレームアッパ22は、
図2で示したフロアフレーム11と上下に対向する位置に設けられており、助手席キックボード5およびフロアパネル4の上部に連続して設けられたものである。また、該フロアフレームアッパ22は断面ハット形状に形成されており、フロアフレームアッパ22とフロアパネル4との間には、車両の前後方向に延びる閉断面が形成されている。
また、ホイールハウス7の後部で、かつフロアフレームアッパ22の車外側には溶接作業用の孔部23が開口形成されている。
【0026】
さらに、助手席キックボード5の前部右側の膨出部5b、この膨出部5bと車幅方向に対応する凸部5aの所定部位、後部右側の膨出部5c、後部左側の膨出部5d、上述の孔部23よりも車幅方向外側に位置する膨出部5eには、それぞれスタッドボルトv1,v2,v3,v4,v5が植設固定されると共に、これら各スタッドボルトv1〜v5の基部には、それぞれ合成樹脂製のカラーc1,c2,c3,c4,c5が遊嵌配置されている。上記各カラーc1〜c5はセットプレート13が助手席キックボード5の上面に直接接触するのを防止するためのスペーサである。
【0027】
[セットプレートの構造]
図4はセットプレートの斜視図であり、このセットプレート13はスチールにより形成されている。
該スチール製のセットプレート13は、前側に位置して車幅方向に延びる前片部13aと、後側に位置する後片部13bと、前片部13aの車幅方向内側と後片部13bの車幅方向内側とを連結して前後方向に延びる内片部13cと、後述するステップオーバ部13eを介して前片部13aの車幅方向外側と後片部13bの車幅方向外側とを連結する外片部13dと、を備えている。
【0028】
上述の後片部13bの車幅方向外側には、フロアフレームアッパ22を跨ぐステップオーバ部13eが形成されており、このステップオーバ部13eは後片部13bに対して上方に位置するように形成されている。
また、上述の外片部13dは凸部5a(
図3参照)上に位置するように、前片部13aに対して上方に位置するように形成されている。
さらに、上述のステップオーバ部13eの車外側には、
図3で示した溶接作業用の孔部23を跨いでその先端部13fが孔部23よりも車幅方向の外側に位置するブリッジ部13gが形成されている。
上述のステップオーバ部13eおよびブリッジ部13gは、助手席キックボード5の凹凸部を回避する回避部である。
【0029】
図4に示すように、前片部13a、後片部13b、内片部13c、外片部13d、ステップオーバ部13e、先端部13f、ブリッジ部13gが平面視で略方形枠状になるように一体形成されており、セットプレート13の中央部には、軽量化用の開口部13hが形成されている。
【0030】
図4に示すセットプレート13において、
図3で示したスタッドボルトv1〜v5と対応する位置には、それぞれナットn1〜n5が配設されている。
すなわち、スタッドボルトv1と対応すべくセットプレート13の前上コーナ部には、ナットn1が配設されており、スタッドボルトv2と対応すべくセットプレート13の外片部13dにはナットn2が配設されており、スタッドボルトv3,v4と対応すべくセットプレート13の後片部13dにはナットn3,n4が配設されており、スタッドボルトv5と対応すべくセットプレート13のブリッジ部13gの先端部13fにはナットn5が配設されている。
また、セットプレート13の次の4箇所にはカバープレート17取付け用のスタッドボルトv6〜v9が植設固定されている。
【0031】
つまり、セットプレート13の前片部13a右側(車幅方向内側)にスタッドボルトv6を植設し、外片部13dの前部車外側にスタッドボルトv7を植設し、後片部13bの車幅方向中間に一体形成された前後方向に延びるビード部13iにスタッドボルトv8を植設し、ブリッジ部13gにスタッドボルトv9を植設している。
そして、これら各スタッドボルトv6〜v9の基部周辺のフラットな部分を、カバープレート17取付け用の台座に設定している。
【0032】
[制御ユニット取付け用ブラケットの構造]
図5はセットプレートに対して制御ユニット取付け用のブラケットを組付けた状態の斜視図である。
図4に示すセットプレート13の内片部13cに
図5に示す制御ユニット取付け用のブラケット24を連結すると共に、セットプレート13のステップオーバ部13eに制御ユニット取付け用のブラケット25を連結している。
一方のブラケット24は車両前後方向に指向し、他方のブラケット25は車幅方向に指向している。また、これら各ブラケット24,25は底部24a,25aと、底部24a,25aの両端部から上方に向けて立上る一対の係止片24b,24b,25b,25bとを有する凹形状に形成されている。
【0033】
[セットプレートへの制御ユニットの取付け構造]
図6はセットプレートに制御ユニットを固定した状態の斜視図である。
この実施例では、一方の制御ユニット14として油圧コントロール用の制御ユニット14を例示し、他方の制御ユニット15としてパーキングブレーキ用の制御ユニット15を例示しているが、これに限定されるものではない。各制御ユニット14,15は
図5で示したブラケット24,25の一対の係止片24b,24b,25b,25bに対応する一対の係合部14a、4a,15a,15aと、ハーネス接続口部14b,15bと、を備えている。
【0034】
図5に示すブラケット24の一対の係止片24b,4bに制御ユニット14の一対の係合部14a,14aを上方から装着させて、
図6に示すように、当該ブラケット24を介して制御ユニット14をセットプレート13に固定している。
同様に、
図5に示すブラケット25の一対の係止片25b,5bに制御ユニット15の一対の係合部15a,15aを上方から装着させて、
図6に示すように、当該ブラケット25を介して制御ユニット15をセットプレート13に固定している。
【0035】
図6に示すように、セットプレート13に対する各制御ユニット14,15の固定完了時に、一方の制御ユニット14のハーネス接続口部14bは、車幅方向外側に向く開口状態となり、他方の制御ユニット15のハーネス接続口部15bは、車両後方側に向く開口状態となる。
また、同図に示すように、セットプレート13上部には、左右に離間して複数の制御ユニット14,15が固定された状態となる。
【0036】
[助手席キックボードへの制御ユニットの取付け構造]
図7は助手席キックボードに制御ユニットを取付けた状態の斜視図である。
図3で示した助手席キックボード5に対して、
図6に示す複数の制御ユニット14,15がサブアセンブリされたセットプレート13を取付けると、
図7に示す状態となる。
すなわち、助手席キックボード5の各スタッドボルトv1〜v5が
図6の各ナットn1〜n5で締結できるように位置合わせした状態で、各カラーc1〜c5上にセットプレート13を上載した後に、スタッドボルトv1をナットn1で締結し、スタッドボルトv2をナットn2で締結し、スタッドボルトv3をナットn3で締結し、スタッドボルトv4をナットn4で締結し、スタッドボルトv5をナットn5で締結すると、
図7に示すように、助手席キックボード5に対して、セットプレート13上部に固定された制御ユニット14,15を取付けることができる(第1工程)。
このように助手席キックボード5に台座としてのセットプレート13を取付けることで、このセットプレート13により助手席キックボード5の剛性向上をも図ることができる。
【0037】
[ハーネス配索構造]
図8は制御ユニットに対してハーネスを配索した状態の斜視図である。
複数のハーネス31,32,33,34,35,36を1つにまとめた制御ユニット用のワイヤハーネス30を設けている。
このワイヤハーネス30は、
図8に示すようにダッシュロアパネル3の左側上部(車幅方向外側上部)から制御ユニット14,15間まで下方に延び、この位置でそれぞれのハーネス31,32,33,34,35,36に分岐している。
【0038】
これら各ハーネス31〜36のうち特定のハーネス33,34,35,36は、制御ユニット14,15間を介して当該制御ユニット14,15の下方部まで配索され、右側の2つのハーネス33,34は当該下方部から右側上方へ延存されてカプラを介して一方の制御ユニット14に接続されており、左側の2つのハーネス35,36は当該下方部から左側上方へ延存されてカプラを介して他方の制御ユニット15に接続されている。つまり、右側の2つのハーネス33,34は平面視でU字状となるように屈曲して配索されており、左側の2つのハーネス35,36は平面視で略J字状となるように屈曲して配索されている。
【0039】
残りの2つのハーネス31,32は制御ユニット14,15の下方部まで配索されることはないものの、当該ハーネス31,32のカプラ位置よりも一旦下方に配索された後に、右側上方へ延存されて当該カプラを介して一方の制御ユニット14に接続されている(第2工程)。
【0040】
上記ハーネス配索構造を採用することで、助手席キックボード5の前部上方に配設される空気調和装置、いわゆる空調ユニットの外壁が結露した場合や、ダッシュロアパネル3のハーネス挿通孔から万一水が侵入して、ワイヤハーネス30および各ハーネス31〜36に水が伝って垂れてきた場合でも、制御ユニット14,15への水の侵入を防止すべく構成したものである。
【0041】
[カバープレートの構造]
図9は制御ユニットをカバープレートで隠蔽した状態の斜視図、
図10はカバープレート単品の斜視図である。但し、
図9においては図示の便宜上、ワイヤハーネス30の図示を省略している。
図10に示すように、上述のカバープレート17は、複数の制御ユニット14,15を上方から一体的に覆うのに充分な面積の略フラット形状の上面部17aを有し、この上面部17aの前部における車幅方向内側には、ヒールストッパ載置用の台座となるランド部17bを介して脚部17cを段下げ形成している。
また、上述の上面部17aの前部における車幅方向外側にも、ヒールストッパ載置用の台座となるランド部17dを介して脚部17eを段下げ形成している。
上述の各ランド部17b、17dはフラットに形成されると共に、これら各ランド部17b、7dにはヒールストッパ16取付け用のクリップ孔17f,17gが開口形成されている。
さらに、上述の各脚部17c,17e下端の取付け座17h,17iには、
図7に示したスタッドボルトv6,v7と対応すべくナットn6,n7が配設されている。
【0042】
カバープレート17の上面部17aの後部における車幅方向内側寄りの位置には、ティビア保護パッド12の前方変位を抑制するパッド係止部17jを段下げ形成し、このパッド係止部17j下端の取付け座17kには、
図7に示したスタッドボルトv8と対応すべくナットn8が配設されている。
また、カバープレート17の上面部17aの後部車外側には、車幅方向外側に延びるように脚部17mを段下げ形成し、この脚部17m下端の取付け座17nには、
図7で示したスタッドボルトv9と対応すべくナットn9が配設されている。
【0043】
そして、
図10に示すカバープレート17で複数の制御ユニット14,15の上部を隠蔽して、
図9に示す状態と成している(第3工程)。
すなわち、セットプレート13側の各スタッドボルトv6〜v9が
図10の各ナットn6〜n9で締結できるように位置合わせした状態で、セットプレート13にカバープレート17の各取付け座17h,17i,17k,17nを上載した後に、スタッドボルトv6をナットn6で締結し、スタッドボルトv7をナットn7で締結し、スタッドボルトv8をナットn8で締結し、スタッドボルトv9をナットn9で締結すると、
図9に示すように、複数の制御ユニット14,15の上部をカバープレート17で隠蔽することができる。
【0044】
[ティビア保護パッドおよびヒールストッパの取付け構造]
図11はティビア保護パッドおよびヒールストッパを組付けた状態の斜視図、
図12はティビア保護パッド単品の斜視図、
図13はヒールストッパ単品の斜視図である。
図11,
図12に示すように、上述のティビア保護パッド12は、トンネル部9の助手席側縦壁から助手席キックボード5の車幅方向略全幅にわたって同方向に延びるパッド本体12aと、カバープレート17の車幅方向外側端部とホイールハウス7後部との間に位置するように上記パッド本体12aの車幅方向外側前部から車両前方へ突出する突出部12bと、を備えている。
【0045】
また、ティビア保護パッド12のパッド本体12aにおける車幅方向中間部下面には、フロアフレームアッパ22の上凸形状に対応する凹部12cが前後方向に延びるように一体形成されると共に、この凹部12cと上下方向に連通するように取付け部材26(
図11参照)用の取付け孔12dが形成されている。
なお、
図9に示すように、フロアフレームアッパ22の上記取付け孔12dと対応する部位には孔部22aが形成されている。この実施例ではフロアフレームアッパ22の孔部22aと対応してその下面には予めナットが溶接固定されている。
【0046】
そして、
図12に示すティビア保護パッド12の凹部12cとフロアフレームアッパ22の上凸形状とを一致させた状態で該ティビア保護パッド12を、
図9に示すカバープレート17の車両後方側位置させた後に、取付け部材26を用いて、該ティビア保護パッド12をフロアフレームアッパ22に締結固定して、
図11の状態と成す。このティビア保護パッド12は車両の前突時に入力される前突荷重から助手席乗員のティビア(tibia)を保護するためのものである。
【0047】
図11,
図13に示すように、上述のヒールストッパ16はトンネル部9の助手席側縦壁から助手席キックボード5の車幅方向略全幅にわたって同方向に延びるストッパ本体16aと、このストッパ本体16aの車幅方向外側から上方に立上がる立上り部16bとを備えている。
上述の立上り部16bの前部には、制御ユニット14,15用のワイヤハーネス30をガイドする凹形状のハーネスガイド部16cが、ワイヤハーネス30の配索方向に沿って一体形成されている。
またヒールストッパ16のストッパ本体16aにおいて、
図9に示すカバープレート17のクリップ孔17f,17gと対応する部位には、クリップ16d,16eが下方に向けて一体形成されている。
【0048】
そして、
図13に示すヒールストッパ16のクリップ16d,16eと
図9に示すカバープレート17のクリップ孔17f,17gとを対応させた状態で該ヒールストッパ16をカバープレート17の車両前方側に位置させ、クリップ16d,16eをクリップ孔17f,17gに挿入係止させると、
図11の状態となる。
【0049】
つまり、
図11に示すように、制御ユニット14,15の車両後方側にティビア保護パッド12が配置されると共に、制御ユニット14,15の車両前方側にヒールストッパ16が配置されて、ティビア保護パッド22とカバープレート17とヒールストッパ16との各上面部で協働して前後に略連続する傾斜面部18が形成される(第4工程)。
この場合、
図11,
図2に示すように、ティビア保護パッド12の前端とカバープレート17の後端との間にはクリアランスが形成されて、異音の発生を防止すると共に、ヒールストッパ16のハーネスガイド部16cでワイヤハーネス30をガイドするように構成している。
【0050】
[制御ユニット組付け方法]
次に、助手席キックボードへの制御ユニット組付け方法について説明する。
図7に示す第1工程で、助手席キックボード5に対して、セットプレート13上部に固定された複数の制御ユニット14,15を取付ける。この場合、
図3に示すカラーc1〜c5の存在により、セットプレート13が助手席キックボード5に直接接触することを防止できる。
次に、
図8に示す第2工程で、制御ユニット14,15に対してワイヤハーネス30および各ハーネス31,32,33,34,35,36を配索する。
次に、
図9に示す第3工程で、制御ユニット14,15上部をカバープレート17で隠蔽する。
【0051】
次に、
図11に示す第4工程で、制御ユニット14,15の車両後方側にティビア保護パッド12を配置すると共に、制御ユニット14,15の車両前方側にヒールストッパ16を配置して、ティビア保護パッド12とカバープレート17とヒールストッパ16との各上面部で協働して前後方向に略連続する傾斜面部18を形成する。ここで、上述のティビア保護パッド12の配置と、ヒールストッパ16の配置とは、何れが先行してもよい。
次に、
図1に示す第5工程で、傾斜面部18の上部を成型フロアマット21で隠蔽するものである。
なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印INは車幅方向の内方を示し、矢印OUTは車幅方向の外方を示す。
【0052】
このように上記実施例の助手席キックボードへの制御ユニット配置構造は、エンジンルーム1と車室2とを前後方向に仕切るダッシュパネル(ダッシュロアパネル3参照)の助手席側において、該ダッシュパネル(ダッシュロアパネル3)とフロアパネル4との間に位置する助手席キックボード5への制御ユニット配置構造であって、車両後方側から前方側に向けてティビア保護パッド12、セットプレート13上部に固定された制御ユニット14,15、ヒールストッパ16の順に配置し、上記制御ユニット14,15上部を、カバープレート17で隠蔽し、上記ティビア保護パッド12と上記カバープレート17と上記ヒールストッパ16との各上面部は協働して前後に略連続する傾斜面部18をなしており、該傾斜面部の上部18を成型フロアマット21で隠蔽し、上記カバープレート17が、上記ヒールストッパ16取付け用の係合部(クリップ孔17f,17g参照)と、上記ティビア保護パッド12の前方変位を抑制するパッド係止部17jとを備えたものである(
図2,
図10参照)。
【0053】
この構成によれば、制御ユニット14,15をセットプレート13上部に固定するので、助手席キックボード5に凹凸部(フロアフレームアッパ22、溶接作業用の孔部23参照)が存在していても、該制御ユニット14,15の助手席キックボード5への配置が可能となる。またカバープレート17で乗員の足荷重から制御ユニット14,15を保護することができる。
さらに前突時にカバープレート17のパッド係止部17jで、ティビア保護パッド12の前方変位を抑制すると共に、ヒールストッパ16で助手席乗員の爪先が前方に変位するのを規制することができる。
また、上記セットプレート13には、上記助手席キックボード5の凹凸部を回避する回避部(ステップオーバ部13e、ブリッジ部13g参照)が設けられたものである(
図5参照)。
【0054】
この構成によれば、助手席キックボード5に凹凸が存在していても、この凹凸部を回避する回避部(ステップオーバ部13e、ブリッジ部13g参照)をセットプレート13に設けているので、セットプレート13および制御ユニット14,15をより一層適切に配置することができる。
さらに、上記ティビア保護パッド12には、上記助手席キックボード5上に設けられたフロアフレーム(フロアフレームアッパ22参照)の上凸形状に対応する凹部12cが一体形成される一方、上記ヒールストッパ16には、上記制御ユニット14,15用のハーネス(ワイヤハーネス30参照)をガイドするハーネスガイド部16cが一体形成されたものである(
図11参照)。
【0055】
この構成によれば、ティビア保護パッド12の凹部12cでフロアフレーム(フロアフレームアッパ22)を有効利用して該ティビア保護パッド12を位置決めすることができ、またヒールストッパ16でハーネス(ワイヤハーネス30)のガイドを兼ねることができる。
加えて、上記セットプレート13上部には、左右に離間して複数の制御ユニット14,15が固定され、該制御ユニット14,15用のハーネス33〜36は、上記ダッシュパネル(ダッシュロアパネル3)の上部から制御ユニット14,15間を介して当該制御ユニット14,15の下方部まで配索され、該下方部から上方へ延存して各制御ユニット14,15に接続されたものである(
図8参照)。
【0056】
この構成によれば、助手席キックボード5の前部上方に配設される空気調和装置の外壁が結露したり、ダッシュパネル(ダッシュロアパネル3)のハーネス挿通孔から万一水が侵入して、ハーネス33〜36に水が伝って垂れてきた場合でも、該水の制御ユニット14,15への侵入を防止することができる。
さらに、上記実施例の助手席キックボードへの制御ユニット組付け方法は、エンジンルーム1と車室2とを前後方向に仕切るダッシュパネル(ダッシュロアパネル3参照)の助手席側において、該ダッシュパネル(ダッシュロアパネル3)とフロアパネル4との間に位置する助手席キックボードへの制御ユニット組付け方法であって、上記助手席キックボード5に対して、セットプレート13上部に固定された制御ユニット14,15を取付ける第1工程(
図7参照)と、上記制御ユニット14,15に対してハーネス31〜36を配索する第2工程(
図8参照)と、上記制御ユニット14,15上部をカバープレート17で隠蔽する第3工程(
図9参照)と、上記制御ユニット14,15の車両後方側にティビア保護パッド12を配置すると共に、上記制御ユニット14,15の車両前方側にヒールストッパ16を配置して、上記ティビア保護パッド12と上記カバープレート17と上記ヒールストッパ16との各上面部で協働して前後に略連続する傾斜面部18を形成する第4工程(
図11参照)と、上記傾斜面部18の上部を成型フロアマット21で隠蔽する第5工程(
図1参照)と、を有し、上記カバープレート17は、上記ヒールストッパ16取付け用の係合部(クリップ孔17f,17g参照)と、上記ティビア保護パッド12の前方変位を抑制するパッド係止部17jとを備えたものである(
図1,
図2,
図7,
図8,
図9,
図10,
図11参照)。
【0057】
この構成によれば、制御ユニット14,15をセットプレート13上部に固定するので、助手席キックボード5に凹凸部が存在していても、該制御ユニット14,15の助手席キックボード5への配置が可能となる。
また、カバープレート17で乗員の足荷重から制御ユニット14,15を保護することができる。
さらに、車両の前突時にカバープレート17のパッド係止部17jで、ティビア保護パッド12の前方変位を抑制することができると共に、ヒールストッパ16で助手席乗員の爪先が前方に変位するのを規制することができるうえ、上記第1工程〜第5工程により、各要素13,14,15,30,31,31〜36,17,12,16,21を手順よく組付けることができる。
【0058】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のダッシュパネルは、実施例のダッシュロアパネル3に対応し、
以下同様に、
助手席キックボードの凹凸部は、フロアフレームアッパ22、溶接作業用の孔部23に対応し、
助手席キックボードの凹凸部を回避する回避部は、ステップオーバ部13e、ブリッジ部13gに対応し、
フロアフレームは、フロアフレームアッパ22に対応し、
ヒールストッパ取付け用の係合部は、クリップ孔17f,17gに対応し、
制御ユニット用のハーネスは、ワイヤハーネス30、ハーネス31〜36に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0059】
例えば、上記実施例においては助手席が車両左側に位置する右ハンドル車に適用した構造を例示したが、本実施例は左ハンドル車に適用してもよい。また、上記実施例においては制御ユニットとして油圧コントロール用の制御ユニットとパーキングブレーキ用の制御ユニットとを例示したが、他の制御ユニットであってもよく、制御ユニットの配置個数も実施例の2つに限定されるものではない。