特許第5987788号(P5987788)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5987788
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】パッケージトレイ
(51)【国際特許分類】
   B60R 5/04 20060101AFI20160825BHJP
【FI】
   B60R5/04 T
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-128601(P2013-128601)
(22)【出願日】2013年6月19日
(65)【公開番号】特開2015-3543(P2015-3543A)
(43)【公開日】2015年1月8日
【審査請求日】2015年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】酒向 慎貴
【審査官】 高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−026654(JP,A)
【文献】 実開昭57−105852(JP,U)
【文献】 特開2012−091657(JP,A)
【文献】 特開2005−067551(JP,A)
【文献】 特開2011−093507(JP,A)
【文献】 特開2002−144962(JP,A)
【文献】 特開昭58−224831(JP,A)
【文献】 特開2006−199316(JP,A)
【文献】 実開昭60−139712(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷室に設けられるパッケージトレイであって、
上方に開口された収容凹部を有する第1ボードと、
板厚方向に貫通された貫通孔を有するとともに、前記第1ボードにおける車両前後方向の一端部に対して第1インテグラルヒンジを介して一体的に連結される第2ボードと、
前記第2ボードにおける前記第1インテグラルヒンジとは反対側の端部に対して、第2インテグラルヒンジを介して一体的に連結される第3ボードと、
前記第1ボードにおける車両前後方向の他端部に対して、第3インテグラルヒンジを介して一体的に連結される第4ボードと、を備え、
前記第2ボードは、前記第1インテグラルヒンジによって、前記第1ボードを上方から覆うように折り返された折り返し状態とされ、
前記折り返し状態では、前記収容凹部と前記貫通孔が連通されており、
前記第3ボードは、前記第2インテグラルヒンジによって、前記折り返し状態の前記第2ボードを上方から覆うように折り返されており、
前記第3ボードによって前記収容凹部の開口及び前記貫通孔が上方から覆われているパッケージトレイ。
【請求項2】
前記第3ボードは、当該第3ボードの上面を構成する第3ボード上壁部と、前記第3ボード上壁部の車幅方向における一端部から下方に延びる第3ボード側壁部と、を備え、
前記第3ボード側壁部の下端部は、前記第1ボードにおける外周端部と前記第2ボードの外周端部によって構成された段差部に嵌合されている請求項1に記載のパッケージトレイ。
【請求項3】
前記第4ボードは、当該第4ボードの上面を構成する第4ボード上壁部と、前記第4ボード上壁部の車幅方向における一端部から下方に延びる第4ボード側壁部と、を備え、
前記第4ボード側壁部は、前記荷室の側壁部に設けられた支持部に下方から支持される構成である請求項1又は請求項2に記載のパッケージトレイ。
【請求項4】
前記第2ボードにおける前記貫通孔の孔縁部には、前記収容凹部に嵌合される延設壁部が前記収容凹部に向かって延びている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のパッケージトレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージトレイに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の荷室に設けられるパッケージトレイとして、例えば下記特許文献1に記載のものが知られている。下記特許文献1のパッケージトレイ(パーセルトレイ)は、その車両前端部を中心として回動可能な構成とされる。これにより、パッケージトレイの車両後端側を持ち上げることで、荷室(パッケージトレイの下方空間)に対して、車両後方から容易に荷物を出し入れする(荷室を利用する)ことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−144962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の構成では、パッケージトレイの車両前端部が固定されている。このため、乗員がパッケージトレイの車両前端側を持ち上げることができず、車両前方から荷室を利用することが困難となり、利便性が低い。車両前後方向の各々から荷室を利用できるようにして、利便性をより高くするためには、パッケージトレイの車両前側及び車両後側をそれぞれ持ち上げ可能な構成とすることが求められる。
【0005】
ここで、パッケージトレイの車両前側及び車両後側をそれぞれ持ち上げ可能とする構成としては、例えば、パッケージトレイを、車両前後方向に配列された少なくとも2枚のボード部材から構成し、2枚のボード部材をヒンジ部材にて連結する構成が考えられる。このような構成とすれば、2枚のボード部材のうち、一方のボード部材を他方のボード部材に対して持ち上げることができる。つまり、パッケージトレイの車両前端部又は車両後端部をそれぞれ持ち上げることができ、車両前後方向の各々から荷室を利用することができる。
【0006】
しかしながら、上記構成においては、パッケージトレイが少なくとも2枚のボードから構成され、両ボードをヒンジ部材によって連結する必要がある。このため、パッケージトレイが複雑な構成となる。この結果、部品点数が増加したり、パッケージトレイの組み付けに係る作業性が低下したりすることが懸念される。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、利便性の高いパッケージトレイをより簡易な構成で実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、車両の荷室に設けられるパッケージトレイであって、上方に開口された収容凹部を有する第1ボードと、板厚方向に貫通された貫通孔を有するとともに、前記第1ボードにおける車両前後方向の一端部に対して第1インテグラルヒンジを介して一体的に連結される第2ボードと、前記第2ボードにおける前記第1インテグラルヒンジとは反対側の端部に対して、第2インテグラルヒンジを介して一体的に連結される第3ボードと、前記第1ボードにおける車両前後方向の他端部に対して、第3インテグラルヒンジを介して一体的に連結される第4ボードと、を備え、前記第2ボードは、前記第1インテグラルヒンジによって、前記第1ボードを上方から覆うように折り返された折り返し状態とされ、前記折り返し状態では、前記収容凹部と前記貫通孔が連通されており、前記第3ボードは、前記第2インテグラルヒンジによって、前記折り返し状態の前記第2ボードを上方から覆うように折り返されており、前記第3ボードによって前記収容凹部の開口及び前記貫通孔が上方から覆われていることに特徴を有する。
【0009】
本発明では、第3インテグラルヒンジを介して第1ボードと第4ボードが連結されている。これにより、第3インテグラルヒンジによって、第1ボードを、その車両前後方向の一端が高くなるように第4ボードに対して回動させることができる。これにより、車両前後方向の一端側から、パッケージトレイの下方空間に荷物を入れることができる。
【0010】
また、第4ボードを、その車両前後方向の他端が高くなるように、第1ボードに対して回動させることができる。これにより、車両前後方向の他端側から、パッケージトレイの下方空間に荷物を入れることができる。
【0011】
さらに、本発明では、第1インテグラルヒンジを介して第1ボードと第2ボードが連結されている。これにより、第1インテグラルヒンジによって、第2ボードを、その車両前後方向の他端が高くなるように、第1ボードに対して回動させることができる。これにより、車両前後方向の他端側から、収容凹部内に荷物を入れることができる。
【0012】
また、第2インテグラルヒンジを介して第2ボードと第3ボードが連結されており、収容凹部の開口と貫通孔とが連通されている。これにより、第2インテグラルヒンジによって、第3ボードを、その車両前後方向の一端が高くなるように、第2ボードに対して回動させることができ、車両前後方向の一端側から、貫通孔を通じて収容凹部内に荷物を入れることができる。
【0013】
このように、本発明では、車両前後方向の両側から、パッケージトレイの下方空間、又は収容凹部内にそれぞれ荷物を入れることができ、利便性を高くすることができる。
【0014】
さらに、本発明では、パッケージトレイを構成する各ボード(第1ボード、第2ボード、第3ボード、第4ボード)が各インテグラルヒンジによって一体的に連結されている。つまり、パッケージトレイを構成する各ボードは一体的に構成されている。このため、パッケージトレイの組み立て作業を行う際には、一体化された各ボードを各インテグラルヒンジによって折り曲げるだけでよく、ヒンジ部材などを用いて各ボードを連結する構成と比べて、作業性が良好となる。また、各ボードを連結するためのヒンジ部材が不要となるため、より簡易な構成にすることができる。
【0015】
上記構成において、前記第3ボードは、当該第3ボードの上面を構成する第3ボード上壁部と、前記第3ボード上壁部の車幅方向における一端部から下方に延びる第3ボード側壁部と、を備え、前記第3ボード側壁部の下端部は、前記第1ボードにおける外周端部と前記第2ボードの外周端部によって構成された段差部に嵌合されているものとすることができる。
【0016】
第3ボード側壁部の下端部を段差部に嵌合させることで、第3ボードの位置決めをより確実に行うことができるとともに、意匠性を高くすることができる。
【0017】
また、前記第4ボードは、当該第4ボードの上面を構成する第4ボード上壁部と、前記第4ボード上壁部の車幅方向における一端部から下方に延びる第4ボード側壁部と、を備え、前記第4ボード側壁部は、前記荷室の側壁部に設けられた支持部に下方から支持される構成であるものとすることができる。
【0018】
このような構成とすれば、設計段階において、第4ボード側壁部の高さを調整することで、第4ボードの上面の高さ(支持部からの高さ)を容易に調整することができる。例えば、第4ボード側壁部の高さを調整し、第4ボードの上面を第3ボードの上面と面一にすることで、意匠性を高くすることが可能となる。
【0019】
また、前記第2ボードにおける前記貫通孔の孔縁部には、前記収容凹部に嵌合される延設壁部が前記収容凹部に向かって延びているものとすることができる。
【0020】
延設壁部を設けることで、貫通孔の孔縁部の剛性をより高くすることができる。また、延設壁部が収容凹部に嵌合されることで、第1ボードに対して第2ボードをより確実に位置決めすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、利便性の高いパッケージトレイをより簡易な構成で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係るパッケージトレイを示す斜視図
図2図1のパッケージトレイが設けられる荷室を示す斜視図
図3図1のパッケージトレイを示す側面図
図4図1のパッケージトレイを示す断面図(図1のA−A線で切断した図に対応)
図5】展開状態のパッケージトレイを示す斜視図
図6】第1ボードを持ち上げた状態のパッケージトレイを示す斜視図
図7】第3ボードを持ち上げた状態のパッケージトレイを示す斜視図
図8】第2ボードを持ち上げた状態のパッケージトレイを示す斜視図
図9】第1ボードを持ち上げた状態のパッケージトレイを示す断面図
図10】第3ボードを持ち上げた状態のパッケージトレイを示す断面図
図11】第2ボードを持ち上げた状態のパッケージトレイを示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態を図1ないし図11によって説明する。本実施形態のパッケージトレイ10は、図2及び図4に示すように、車両の荷室70に設けられ、リアシート71のシートバックとバックドア(図示せず)との隙間を塞ぐことにより、荷室70内の荷物を外部から遮蔽する目的で使用される。なお、図2においては、パッケージトレイ10を2点鎖線で示してある。
【0024】
荷室70を構成するデッキサイドトリム72(荷室の側壁部)には、図1及び図2に示すように、パッケージトレイ10における車幅方向の端部を支持する支持部73が設けられている。
【0025】
支持部73は、車室内側に張り出した段差形状をなしており、パッケージトレイ10は、支持部73の上面に載置されている。なお、デッキサイドトリム72は、車幅方向の両側にそれぞれ配置されている。各デッキサイドトリム72の各支持部73によって、パッケージトレイ10における車幅方向の各端部がそれぞれ支持される構成となっている。
【0026】
パッケージトレイ10は、例えば、熱可塑性樹脂によって構成されている。パッケージトレイ10は、図1及び図5に示すように、プレス成形によって成形された一枚の板材を折り曲げることで構成されている。具体的には、パッケージトレイ10は、図5に示すように、第1ボード11と、第2ボード21と、第3ボード31と、第4ボード41と、を備えている。なお、パッケージトレイ10の成形方法は、プレス成形に限定されず、適宜変更可能である。例えば、パッケージトレイ10をシート成形やインジェクション成形などによって成形してもよい。
【0027】
第2ボード21は、第1ボード11における車両前端部(車両前後方向の一端部)に対して第1インテグラルヒンジ61を介して一体的に連結されている。
【0028】
第3ボード31は、第2ボード21における第1インテグラルヒンジ61とは反対側の端部(図5では、左側の端部)に対して、第2インテグラルヒンジ62を介して一体的に連結されている。
【0029】
第4ボード41は、第1ボード11における車両後端部(車両前後方向の他端部)に対して第3インテグラルヒンジ63を介して一体的に連結されている。
【0030】
各インテグラルヒンジ61,62,63は、図4に示すように、パッケージトレイ10の一部を薄肉状にすることで折り曲げ可能としたものである。また、各インテグラルヒンジ61,62,63は、車幅方向に沿って延設されている。
【0031】
また、図4に示すように、各ボード11,21,31,41の表裏両面を覆う形で表皮材50が貼り付けられている。なお、表皮材50は、各ボード11,21,31,41の表裏両面において、一部のみに貼り付けられていてもよい。例えば、パッケージトレイ10において上面を構成する面にのみ表皮材が貼り付けられていてもよい。
【0032】
図5に示すように、展開状態(プレス成形直後の状態)のパッケージトレイ10は、長手状をなしており、長手方向の一方側(図5の右側)から第4ボード41、第1ボード11、第2ボード21、第3ボード31の順番に配列されている。
【0033】
折り畳み状態のパッケージトレイ10においては、図4に示すように、車両前側に第1ボード11が配され、車両後側に第4ボード41が配されている。なお、以下の説明においては、基本的には、折り畳み状態(使用状態、図1及び図4の状態)のパッケージトレイ10について説明する。
【0034】
折り畳み状態のパッケージトレイ10においては、下側から、第1ボード11、第2ボード21、第3ボード31の順に積層されている。具体的には、第2ボード21は、第1インテグラルヒンジ61によって、第1ボード11を上方から覆うように折り返された折り返し状態となっている。
【0035】
つまり、第2ボード21は、第1インテグラルヒンジ61を中心として回動可能となっており、折り返し状態では、第2ボード21の自由端が車両後方を向いている。
【0036】
第3ボード31は、第2インテグラルヒンジ62によって、折り返し状態の第2ボード21を上方から覆うように折り返されている。つまり、第3ボード31は、第2インテグラルヒンジ62を中心として回動可能となっており、第3ボード31の自由端が車両前方を向いている。
【0037】
なお、図3及び図4に示すように、第2ボード21と第3ボード31との接合部分(第2インテグラルヒンジ62付近)は、第1ボード11において車幅方向に延設された段部11Aに嵌合されている。
【0038】
第1ボード11は、平面視において車幅方向に長い方形状をなしている。第1ボード11は、下方に膨出する形状をなしており、図4及び図5に示すように、上方に開口された収容凹部12を有している。
【0039】
収容凹部12は、平面視方形状をなしており、収容凹部12の開口縁部には、外側に向かって延びるフランジ部13が設けられている。このフランジ部13は、矩形枠状をなし、収容凹部12の開口縁部の全周に亘って設けられている。
【0040】
第2ボード21は、図5に示すように、平面視において車幅方向に長い方形状をなしている。第2ボード21は、板厚方向に貫通された貫通孔22を有している。貫通孔22は、第2ボード21の外形よりも一回り小さい方形状をなしている。言い換えると、第2ボード21は、方形枠状をなしている。
【0041】
図4に示すように、折り返し状態では、収容凹部12の上方に貫通孔22が配され、収容凹部12と貫通孔22が連通されている。
【0042】
第2ボード21における貫通孔22の孔縁部には、図4及び図5に示すように、延設壁部23が収容凹部12に向かって延びている。延設壁部23は、貫通孔22の孔縁部における全周に亘って設けられており、収容凹部12に嵌合されている。具体的には、延設壁部23は、収容凹部12の内面に沿って配されている。
【0043】
第3ボード31は、図4及び図5に示すように、平面視において第2ボード21よりも一回り大きい方形状をなしている。第3ボード31は、車両前端部が、車両前方に向かうにつれて下降する形で湾曲されている。
【0044】
第3ボード31は、図1に示すように、第3ボード31(ひいてはパッケージトレイ10)の上面を構成する第3ボード上壁部32と、第3ボード上壁部32の車幅方向における一端部から下方に延びる第3ボード側壁部33と、を備えている。
【0045】
図1及び図4に示すように、収容凹部12の開口及び貫通孔22は、第3ボード上壁部32によって上方から覆われている。つまり、第3ボード31は、収容凹部12の開口及び貫通孔22を覆う蓋部とされる。
【0046】
図7に示すように、第2ボード21は、第1ボード11のフランジ部13に載置される構成となっている。車幅方向において、第2ボード21の長さは、第1ボード11の長さよりもわずかに小さい値で設定されている。そして、第2ボード21の車幅方向における端部(外周端部の一部、側端部)は、フランジ部13の側端部(フランジ部13において第1ボード11の車幅方向における端部を構成する部分)に載置されている。これにより、パッケージトレイ10の側端部においては、フランジ部13(第1ボードにおける外周端部)と第2ボード21の側端部(外周端部)によって段差部14が構成されている。
【0047】
図1に示すように、第3ボード側壁部33の下端部は、段差部14に嵌合されている。具体的には、第3ボード側壁部33の下端部は、フランジ部13の上面に載置されるとともに、第2ボード21の側面を外側から覆うように配置されている。なお、第3ボード側壁部33及び段差部14は、車幅方向における両側にそれぞれ設けられている(図7参照)。
【0048】
第4ボード41は、第4ボード41(ひいてはパッケージトレイ10)の上面を構成する第4ボード上壁部42と、第4ボード上壁部42の車幅方向における端部から下方に延びる第4ボード側壁部43と、を備えている。なお、第4ボード側壁部43は、第4ボード上壁部42の車幅方向における両端部にそれぞれ設けられている。
【0049】
第4ボード側壁部43は、図3に示すように、デッキサイドトリム72の支持部73(より詳しくは、支持部73における車両後側の部分)に下方から支持されている。また、上述したフランジ部13は、支持部73(より詳しくは、支持部73における車両前側の部分)に下方から支持されている。
【0050】
パッケージトレイ10が支持部73に支持された状態では、図3に示すように、第3ボード上壁部32の上面32Aと、第4ボード上壁部42の上面42Aとが、ほぼ面一となるように配されている。
【0051】
また、支持部73の車両前後方向における中央部付近には、図2及び図3に示すように、上方に突き出す突出部74が設けられている。突出部74は、フランジ部13と第4ボード側壁部43との間に配されている。
【0052】
なお、フランジ部13は、支持部73における突出部74よりも車両前側の部分73Aによって支持されており、第4ボード側壁部43は、支持部73における突出部74よりも車両後側の部分73Bによって支持されている。
【0053】
突出部74の上面には、側面視円形状をなす保持凹部75が形成されている。保持凹部75は、上方及び車両後方に開口されている。図4に示すように、第4ボード41の下面には、ピン45が設けられている。保持凹部75にピン45が嵌合することで、パッケージトレイ10の車両前後方向及び上方の位置決めがされる構成となっている。
【0054】
なお、保持凹部75の開口幅は、例えば、ピン45の径よりもわずかに小さいものとされる。また、保持凹部75の開口端部は、保持凹部75の開口幅が大きくなるように弾性変形可能とされる。
【0055】
これにより、ピン45が保持凹部75に着脱される際には、ピン45によって保持凹部75の開口が押し広げられ、その結果、保持凹部75の開口をピン45が通過することができる構成となっている。なお、ピン45を保持凹部75から取り外すことで、パッケージトレイ10を車両の荷室70から取り外すことができる。
【0056】
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態では、第3インテグラルヒンジ63を介して第1ボード11と第4ボード41が連結されている。これにより、第3インテグラルヒンジ63を回動中心として第1ボード11を回動させることができる。この結果、図6及び図9に示すように、第1ボード11(及び第2ボード21、第3ボード31)を、その車両前端が高くなるように、第4ボード41に対して回動させることができる。
【0057】
これにより、パッケージトレイ10の車両前側の部分を持ち上げることができる。これにより、図9に示すように、リアシート71とパッケージトレイ10の間に隙間S1を設けることができ、車両前側から、パッケージトレイ10の下方に荷物を入れることができる。
【0058】
また、図4の2点鎖線で示すように、第4ボード41を、車両後端部が高くなるように、第1ボード11に対して回動させることができる。これにより、第4ボード41の車両後端部を持ち上げることで、車両後側から、パッケージトレイ10の下方に荷物を入れることができる。なお、図4においては、車両後端部が持ち上げられた状態の第4ボード41を2点鎖線で示し、符号41Aを付してある。
【0059】
さらに、本実施形態では、第1インテグラルヒンジ61を介して第1ボード11と第2ボード21が連結されている。これにより、第1インテグラルヒンジ61を回動中心として第2ボード21を回動させることができる。この結果、図8及び図11に示すように、第2ボード21(及び第3ボード31)を、その車両後端が高くなるように、第1ボード11に対して回動させることができる。これにより、第2ボード21の車両後端を持ち上げることで、収容凹部12を露出させることができ、車両後側から、収容凹部12内に荷物を入れることができる。
【0060】
また、第2インテグラルヒンジ62を介して第2ボード21と第3ボード31が連結されており、収容凹部12の開口と貫通孔22とが連通されている。これにより、第2インテグラルヒンジ62を回動中心として第3ボード31を回動させることができる。この結果、図7及び図10に示すように、第3ボード31を、その車両前端が高くなるように、第2ボード21に対して回動させることができる。このため、第3ボード31の車両前端を持ち上げることで、車両前端側から、貫通孔22を通じて収容凹部12内に荷物を入れることができる。
【0061】
このように、本実施形態では、車両前後方向の両側から、パッケージトレイ10の下方空間(荷室70)又は収容凹部12内にそれぞれ荷物を入れることができ、利便性を高くすることができる。
【0062】
さらに、本実施形態では、パッケージトレイ10を構成する各ボード(第1ボード11,第2ボード21,第3ボード31,第4ボード41)が各インテグラルヒンジ61,62,63によって一体的に連結されている。つまり、パッケージトレイ10を構成する各ボード11,21,31,41は一体的に構成されている。このため、パッケージトレイ10の組み立て作業を行う際には、一体化された各ボード11,21,31,41を各インテグラルヒンジ61,62,63によって折り曲げるだけでよく、ヒンジ部材などを用いて各ボードを連結する構成と比べて、作業性が良好となる。また、各ボードを連結するためのヒンジ部材が不要となるため、より簡易な構成にすることができる。
【0063】
また、第3ボード31は、上面を構成する第3ボード上壁部32と、第3ボード上壁部32の車幅方向における一端部から下方に延びる第3ボード側壁部33と、を備え、第3ボード側壁部33の下端部は、第1ボード11における外周端部と第2ボード21の外周端部によって構成された段差部14に嵌合されている。
【0064】
第3ボード側壁部33の下端部を段差部14に嵌合させることで、第3ボード31の位置決めをより確実に行うことができるとともに、意匠性を高くすることができる。
【0065】
また、図1及び図4に示すように、第2ボード21は、第3ボード31の車両前端部によって車両前方から覆われており、第3ボード側壁部33によって側方から覆われている。これにより、乗員が上方からパッケージトレイ10を視た際には、主に、第3ボード31及び第4ボード41が視えることとなる。このため、パッケージトレイ10の外観をよりすっきりとした印象にすることができ、意匠性をより高くすることができる。
【0066】
また、第4ボード41は、上面を構成する第4ボード上壁部42と、第4ボード上壁部42の車幅方向における一端部から下方に延びる第4ボード側壁部43と、を備え、第4ボード側壁部43は、デッキサイドトリム72に設けられた支持部73に下方から支持される構成とされる。
【0067】
このような構成とすれば、設計段階において、第4ボード側壁部43の高さを調整することで、第4ボード41の上面42Aの高さ(支持部73からの高さ)を容易に調整することができる。例えば、本実施形態のように、第4ボード側壁部43の高さを調整し、第4ボード41の上面42Aを第3ボード31の上面32Aとほぼ面一にすることで、意匠性を高くすることが可能となる。
【0068】
また、第2ボード21における貫通孔22の孔縁部には、収容凹部12に嵌合される延設壁部23が収容凹部12に向かって延びている。
【0069】
延設壁部23を設けることで、貫通孔22の孔縁部の剛性をより高くすることができる。また、延設壁部23が収容凹部12に嵌合されることで、第1ボード11に対して第2ボード21をより確実に位置決めすることができる。
【0070】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0071】
(1)上記実施形態では、車両前後方向の一端部として、車両前端部を例示し、車両前後方向の他端部として、車両後端部を例示したが、これに限定されない。例えば、車両前後方向の一端部として、車両後端部を例示してもよい。つまり、第4ボード41が車両前側に配され、第1ボード11、第2ボード21、第3ボード31が車両後側に配されるようにパッケージトレイ10が配置されていてもよい。
【0072】
(2)第1ボード11、第2ボード21、第3ボード31、第4ボード41の形状及び材質は上記実施形態で例示したものに限定されず適宜変更可能である。例えば、第3ボード側壁部33や第4ボード側壁部43を備えていない構成であってもよい。
【0073】
(3)上記実施形態では、パッケージトレイ10のピン45とデッキサイドトリム72の保持凹部75を用いて、パッケージトレイ10をデッキサイドトリム72に固定する構成を例示したが、これに限定されない。例えば、デッキサイドトリム72に設けられたピンをパッケージトレイ10に設けられた保持凹部に嵌合させる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0074】
10…パッケージトレイ、11…第1ボード、12…収容凹部、14…段差部、21…第2ボード、22…貫通孔、23…延設壁部、31…第3ボード、32…第3ボード上壁部、33…第3ボード側壁部、41…第4ボード、42…第4ボード上壁部、43…第4ボード側壁部、61…第1インテグラルヒンジ、62…第2インテグラルヒンジ、63…第3インテグラルヒンジ、70…荷室、72…デッキサイドトリム(荷室の側壁部)、73…支持部
図1
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図11