(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記トナー受け部材は、前記用紙側転写ローラと前記中間転写ベルトの間に挿入された際に、前記用紙側転写ローラが前記中間転写ベルトに接触する転写ニップ部と対向する
請求項1に記載の画像形成装置。
前記トナー受け部材は、前記用紙側転写ローラと前記中間転写ベルトの間に挿入された際に、前記中間転写ベルトにおける前記ベルト側転写ローラにより形成された湾曲部と対向する
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の画像形成装置を実施するための形態について、
図1〜
図12を参照しながら説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、本発明は、以下の形態に限定されるものではない。
【0014】
1.第1の実施の形態例
1−1.画像形成システムの構成
まず、
図1から
図6を参照して本発明の第1の実施の形態例(以下、「本例」という。)にかかる画像形成装置を有する画像形成システムについて説明する。
図1は、画像形成システム100の概略構成図である。
【0015】
[画像形成システム]
図1に示すように、画像形成システム100は、画像形成装置1と、画像形成装置1にロール紙Sを供給する給紙装置2と、画像形成装置1から排出されたロール紙Sを巻き取る排紙装置3とを備える。
【0016】
[画像形成装置]
次に、画像形成装置1について説明する。画像形成装置1は、電子写真方式によりロール紙Sに画像を形成するものであり、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の4色のトナーを重ね合わせるタンデム形式のカラー画像形成装置である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置1は、搬送部73と、画像形成部40と、中間転写ベルト50と、2次転写部70と、定着部10と、トナー受け機構80と、操作表示部65と、制御部60とを備える。
【0018】
搬送部73は、2次転写部70の上流側に設けられた複数の搬送ローラ77で構成されており、給紙装置2から搬送されてきたロール紙Sを転写位置である2次転写部70に連続して搬送する。
【0019】
画像形成部40は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色のトナー像を形成するために、4つの画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kを有する。
【0020】
第1の画像形成ユニット40Yはイエローのトナー像を形成し、第2の画像形成ユニット40Mはマゼンタのトナー像を形成する。また、第3の画像形成ユニット40Cは、シアンのトナー像を形成し、第4の画像形成ユニット40Kは、ブラックのトナー像を形成する。これら4つの画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kは、それぞれ同一の構成を有しているため、ここでは代表して第1の画像形成ユニット40Yについて説明する。
【0021】
第1の画像形成ユニット40Yは、ドラム状の感光体41と、感光体41の周囲に配置された帯電部42と、露光部43と、現像部44と、クリーニング装置45とを有している。感光体41は、駆動モータ(図示を省略する)によって反時計回りに回転する。帯電部42は感光体41に電荷を与え感光体41の表面を一様に帯電する。露光部43は、外部から送信されてきた画像データに基づいて、感光体41の表面に対して露光走査を行い感光体41に静電潜像を形成する。
【0022】
現像部44は、感光体41に形成された静電潜像にイエローのトナーを付着させる。これにより、感光体41の表面には、イエローのトナー像が形成される。なお、第2の画像形成ユニット40Mの現像部44は、感光体41にマゼンタのトナーを付着させ、第3の画像形成ユニット40Cの現像部44は、感光体41にシアンのトナーを付着させる。そして、第4の画像形成ユニット40Kの現像部44は、感光体41にブラックのトナーを付着させる。
【0023】
感光体41上に付着したトナーは、中間転写ベルト50に転写される。クリーニング装置45は、中間転写ベルト50に転写した後、感光体41の表面に残留しているトナーを除去する。
【0024】
中間転写ベルト50は、無端状に形成されており、駆動ローラ53と、ベルト側転写ローラ55と、複数の従動ローラ54に張架されている。そして、中間転写ベルト50は、駆動ローラ53と、ベルト側転写ローラ55と、複数の従動ローラ54に回転可能に支持されている。
【0025】
また、ベルト側転写ローラ55は、中間転写ベルト50における鉛直方向の下方に配置されている。そして、中間転写ベルト50は、駆動ローラ53、ベルト側転写ローラ55及び複数の従動ローラ54により、感光体41の回転方向とは逆方向の時計回りに回転する。中間転写ベルト50における各画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kの感光体41と対向する位置には、1次転写部51が設けられている。この1次転写部51は、中間転写ベルト50にトナーと反対の極性を印加することで、感光体41上に形成されたトナー像を中間転写ベルト50に転写させる。
【0026】
そして、中間転写ベルト50が回転することで、中間転写ベルト50の表面には、4つの画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kで形成されたトナー像が順次転写される。これにより、中間転写ベルト50上には、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックのトナー像が重なり合いカラー画像が形成される。
【0027】
中間転写ベルト50の近傍で、かつ搬送部73の下流側には、2次転写部70が配置されている。2次転写部70は、中間転写ベルト50が張架されたベルト側転写ローラ55と、中間転写ベルト50を挟んでベルト側転写ローラ55側に押圧される用紙側転写ローラ71とを有している。このベルト側転写ローラ55と用紙側転写ローラ71により、2次転写ローラが構成される。用紙側転写ローラ71は、中間転写ベルト50を間に挟んでベルト側転写ローラ55と対向し、かつベルト側転写ローラ55よりも鉛直方向の下方に配置されている。また、用紙側転写ローラ71は、中間転写ベルト50に対して接触及び離間可能に構成されている。
【0028】
ロール紙S上に中間転写ベルト50に形成されたカラーのトナー像を転写する際、2次転写部70は、用紙側転写ローラ71を中間転写ベルト50におけるベルト側転写ローラ55が配置されている箇所に当接させる。これにより、中間転写ベルト50と用紙側転写ローラ71が当接する部分で転写ニップ部75が形成される(
図2参照)。そして、ロール紙Sが転写ニップ部75を通過することで、2次転写部70は、ロール紙S上に中間転写ベルト50に形成されたカラーのトナー像を転写する。ベルトクリーニング部52は、ロール紙Sに転写した後、中間転写ベルト50の表面に残留しているトナーを除去する。
【0029】
また、画像安定化処理を行う際、2次転写部70は、用紙側転写ローラ71を中間転写ベルト50から離間させる。
【0030】
中間転写ベルト50における2次転写部70よりも回転方向の下流側には、ベルトクリーニング部52が配置されている。ベルトクリーニング部52は、ロール紙Sにトナー像を転写した後、中間転写ベルト50の表面に残留しているトナーを除去する。
【0031】
また、中間転写ベルト50におけるベルトクリーニング部52と、2次転写部70の間には、画像安定化用センサ91が配置されている。画像安定化用センサ91は、画像安定化処理時において、中間転写ベルト50に形成された補正パッチを検出する。
【0032】
また、2次転写部70におけるロール紙Sの排出側には、定着部10が設けられている。定着部10は、定着ベルト11と、加圧部材である加圧ローラ14とを備える。定着ベルト11は無端状の弾性部材で構成されており、駆動ローラである定着ローラ12と従動ローラである加熱ローラ13に支持張架されている。
【0033】
そして、定着ベルト11と加圧ローラ14とが当接する部分で定着ニップ部が形成される。トナー像を担持したロール紙Sが定着部10の定着ニップ部を通過することで、所定の温度に制御された定着ベルト11と加圧ローラ14によってトナーが溶融し、ロール紙Sに定着する。
【0034】
また、定着部10の用紙搬送方向の下流には、一対の排紙ローラ78が配置されている。一対の排紙ローラ78は、定着部10から搬送されてきたロール紙Sを排紙装置3に連続して搬送する。
【0035】
2次転写部70における転写ニップ部75よりも用紙搬送方向の下流側で、2次転写部70と定着部10の間には、トナー受け機構80が配置されている。なお、トナー受け機構80の詳細な構成は、後述する。
【0036】
操作表示部65は、液晶表示装置(LCD)又は有機ELD(Electro Luminescence Display)等のディスプレイからなるタッチパネルである。この操作表示部65は、ユーザに対する指示メニューや取得した画像データに関する情報等を表示する。さらに、操作表示部65は、複数のキーを備え、ユーザのキー操作による各種の指示、文字、数字などのデータの入力を受け付ける入力部としての役割を持つ。
【0037】
制御部60は、操作表示部65又は外部に接続されたパーソナルコンピュータ120(
図4参照)からの指示に従って、画像形成装置1の各部を操作する。
【0038】
[給紙装置・排紙装置]
次に、給紙装置2及び排紙装置3について説明する。給紙装置2は、ロール紙設置部22と、搬送部21とを備える。ロール紙設置部22には、所望のロール紙本体20が回転可能に設置されている。また、搬送部21は、複数の搬送ローラで構成されており、ロール紙設置部22から排出されたロール紙Sを画像形成装置1側に搬送する。
【0039】
排紙装置3は、搬送部31と、巻き取り部32とを備える。搬送部31は、複数の搬送ローラで構成されており、排紙装置3に排出されてきたロール紙Sを巻き取り部32側に搬送する。巻き取り部32は、搬送されてきたロール紙Sをロール状に巻き取る。
【0040】
[トナー受け機構]
次に、
図2及び
図3を参照してトナー受け機構80の構成について説明する。
図2及び
図3は、トナー受け機構80及び2次転写部70を拡大して示す概略構成図である。
【0041】
図2及び
図3に示すように、トナー受け機構80は、トナー受け部材82と、トナー受け部材82を収納するトナー受け駆動部81と、を有している。トナー受け部材82は、略平板状に形成されている。また、トナー受け部材82における幅方向の長さが、ロール紙Sの幅方向の長さと、略等しいか、あるいは若干長く設定されている。また、トナー受け部材82は、トナー受け駆動部81に移動可能に支持されている。
【0042】
トナー受け駆動部81は、例えば、ソレノイドアクチュエータや、ギヤ及びモータ等から構成されている。
【0043】
図2に示すように、用紙側転写ローラ71が中間転写ベルト50に接触している場合、トナー受け部材82は、中間転写ベルト50、ベルト側転写ローラ55と用紙側転写ローラ71から離間しており、かつトナー受け駆動部81に収納されている。そのため、転写ニップ部75においてロール紙Sにトナー像を転写処理時に、トナー受け部材82が中間転写ベルト50、ベルト側転写ローラ55及び用紙側転写ローラ71に干渉することを防ぐことができる。
【0044】
また、
図3に示すように、用紙側転写ローラ71が中間転写ベルト50から離間している場合、トナー受け部材82は、転写ニップ部75の用紙搬送方向の下流側から上流側に向けて中間転写ベルト50と用紙側転写ローラ71の間に挿入される。このとき、トナー受け部材82は、ロール紙Sよりも鉛直方向の上方で、かつ中間転写ベルト50と、ロール紙Sの間に介在される。
【0045】
これにより、中間転写ベルト50に形成された補正パッチP1のトナーが中間転写ベルト50から落下及び飛散したトナーをトナー受け部材82により補足することができる。その結果、用紙側転写ローラ71やロール紙Sが落下及び飛散したトナーによって汚れることを防ぐことができる。
【0046】
ここで、転写ニップ部75よりも用紙搬送方向の上流側には、ロール紙をガイドするガイド板76が設けられている。そのため、中間転写ベルト50において転写ニップ部75よりも用紙搬送方向の上流側から落下したトナーは、ガイド板76によって補足することができる。これに対し、転写ニップ部75は、ベルト側転写ローラ55及び中間転写ベルト50と、用紙側転写ローラ71による圧着動作があるため、ガイド板76を配置することができない。
【0047】
そのため、本例では、
図3に示すように、トナー受け部材82が中間転写ベルト50と用紙側転写ローラ71の間に挿入された際、トナー受け部材82における移動方向の先端部82aは、転写ニップ部75よりも用紙搬送方向の上流側に配置される。すなわち、トナー受け部材82は、転写ニップ部75に対向する。これにより、ガイド板76を設置することができない転写ニップ部75もトナー受け部材82で覆うことができる。
【0048】
また、中間転写ベルト50がベルト側転写ローラ55によって湾曲する湾曲部R1では、遠心力により補正パッチP1のトナーが飛散し易くなる。そのため、トナー受け部材82は、少なくとも中間転写ベルト50の湾曲部R1と対向する位置まで、移動させることが好ましい。これにより、中間転写ベルト50の湾曲部R1よりも半径方向の外側をトナー受け部材82によって覆うことができ、中間転写ベルト50から飛散したトナーを効率良くトナー受け部材82で捕らえることができる。
【0049】
なお、本例では、トナー受け機構80を転写ニップ部75よりも用紙搬送方向の下流側に配置して、トナー受け部材82を転写ニップ部75よりも用紙搬送方向の下流側から挿入させた例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、トナー受け機構80を転写ニップ部75よりも用紙搬送方向の上流側に配置し、転写ニップ部75よりも用紙搬送方向の上流側からトナー受け部材82を中間転写ベルト50と用紙側転写ローラ71の間に挿入するように構成してもよい。
【0050】
または、トナー受け機構80を転写ニップ部75における用紙搬送方向と直交し、かつ用紙側転写ローラ71の移動方向とも直交する幅方向の一側に配置する。そして、トナー受け部材82を転写ニップ部75の幅方向の一側から、中間転写ベルト50と用紙側転写ローラ71の間に挿入するように構成してもよい。
【0051】
[制御系の構成]
次に、画像形成システム100を構成する画像形成装置1の制御系の構成について
図4を参照して説明する。
図4は、画像形成システム100を構成する画像形成装置1の制御系の構成を示すブロック図である。
【0052】
図4に示すように、画像形成装置1は、制御部60と、画像処理部36と、画像形成部40と、操作表示部65と、搬送部73と、HDD64と、定着部10と、トナー受け機構80と、通信部66と、画像安定化用センサ91とを備える。
【0053】
制御部60は、例えばCPU(Central Processing Unit)61と、CPU61が実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)62と、CPU61の作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)63とを有する。なお、ROM62としては、通常電気的に消去可能なプログラマブルROMが用いられる。
【0054】
制御部60は、画像処理部36、画像形成部40、操作表示部65、搬送部73、HDD64、定着部10、トナー受け機構80及び通信部66にそれぞれシステムバス107を介して接続され、画像形成装置1全体を制御する。さらに、制御部60は、通信部66を介して給紙装置2及び排紙装置3の各部を制御する。すなわち、本実施形態では、制御部60が画像形成システム100全体を制御する。
【0055】
画像形成装置1に接続された外部装置の一例を示すPC(パーソナルコンピュータ)120から送信される画像データは、画像処理部36に送られ、画像処理部36において画像処理される。画像処理部36は、制御部60の制御のもと、受信した画像データに対し、必要に応じて、シェーディング補正、画像濃度調整、画像圧縮等の画像処理を行う。また、画像形成部40は、制御部60の制御のもと、画像処理部36によって画像処理された画像データを受け取り、画像データに基づいてロール紙S上に画像を形成する。
【0056】
また、トナー受け機構80は、制御部60の制御に基づいて、トナー受け駆動部81を駆動させてトナー受け部材82(
図2及び
図3)の移動動作を制御する。
【0057】
通信部66は、画像形成システム100を構成する各装置が接続されたネットワークに接続するための通信インターフェイスである。例えば、画像形成装置1は給紙装置2及び排紙装置3と、通信部66を介してそれぞれシリアル通信を行う。
【0058】
画像安定化用センサ91は、画像安定化処理時において、中間転写ベルト50に形成された補正パッチを検出する。画像安定化用センサ91は、検出信号を制御部60に送信する。そして、制御部60は、画像安定化用センサ91が送られた検出信号に基づいて、トナーの濃度調整や、線幅及びドット径の調整を行う。
【0059】
1−2.画像安定化処理時の動作
次に、上述した構成を有する画像形成システム100の画像形成装置1における画像安定化処理時の動作の一例について
図5及び
図6を参照して説明する。
図5は、画像形成装置1における画像安定化処理時の動作の一例を示す説明図、
図6は、画像形成装置1における画像安定処理時の動作の一例を示すフローチャートである。
【0060】
図6に示すフローが開始される前の状態、すなわちロール紙Sに画像を形成する画像形成処理が行われている状態では、
図5Aに示すように、2次転写部70の用紙側転写ローラ71は、中間転写ベルト50を介してベルト側転写ローラ55に接触されている。さらに、トナー受け機構80のトナー受け部材82は、トナー受け駆動部81に収納されており、中間転写ベルト50、ベルト側転写ローラ55及び用紙側転写ローラ71から離間している。
【0061】
まず、
図6に示すように、CPU61は、操作表示部65又は外部に接続されたパーソナルコンピュータ120からJOB信号を受信する(ステップS1)。次に、CPU61は、受信したJOB信号が画像安定化実施信号であるか否かを判別する(ステップS2)。そして、ステップS2の処理で、CPU61が、JOB信号が画像安定化実施信号であると判別したとき(S2がYES判定の場合)、CPU61は、用紙側転写ローラ71を離間させる(ステップS3)。すなわち、
図5Bに示すように、用紙側転写ローラ71が中間転写ベルト50におけるベルト側転写ローラ55が配置された箇所から離間し、用紙側転写ローラ71と中間転写ベルト50の間に隙間が発生する。
【0062】
なお、ステップS2の処理で、CPU61が、JOB信号が画像安定化実施信号でないと判別したとき(S2がNO判定の場合)、CPU61は、画像形成装置1における画像形成処理を継続させる(ステップS10)。
【0063】
また、ステップS3の処理が終了すると、CPU61は、画像形成部40に信号を送り中間転写ベルト50に補正パッチP1を作成する(ステップS4)。これにより、
図5Bに示すように、中間転写ベルト50上には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色のトナーからなる補正パッチP1が作成される。
【0064】
次に、CPU61は、トナー受け駆動部81の駆動をONにする(ステップS5)。そして、トナー受け駆動部81が駆動することにより、トナー受け部材82が移動する(ステップS6)。その結果、
図5Cに示すように、中間転写ベルト50と用紙側転写ローラ71の間に、トナー受け部材82が挿入される。これにより、中間転写ベルト50から落下及び飛散した補正パッチP1のトナーがロール紙Sや用紙側転写ローラ71に付着することをトナー受け部材82で防ぐことができる。
【0065】
次に、CPU61は、画像安定化処理が終了したか否かを判別する(ステップS7)。すなわち、画像安定化処理では、中間転写ベルト50に形成された補正パッチP1を画像安定化用センサ91が検出し、検出信号をCPU61に送信する。そして、CPU61は、検出信号に基づいて、トナーの濃度調整や、線幅及びドット径の調整を行う。また、画像安定化用センサ91を通過した補正パッチP1は、ベルトクリーニング部52により、中間転写ベルト50から除去される。
【0066】
ステップS7の処理において、CPU61が、画像安定化処理が終了したと判別したとき(S7がYES判定の場合)、CPU61は、トナー受け駆動部81の駆動をOFFにする(ステップS8)。なお、ステップS7の処理において、画像安定化処理が終了していないと判別した場合(S7がNO判定の場合)、CPU61は、画像安定化処理を継続させる。
【0067】
ステップS8においてトナー受け駆動部81の駆動がOFFになると、トナー受け部材82は、
図5Bに示すように、中間転写ベルト50、ベルト側転写ローラ55及び用紙側転写ローラ71から離間し、トナー受け駆動部81に収納される(ステップS9)。
【0068】
次に、CPU61は、用紙側転写ローラ71をベルト側転写ローラ55側へ接近させて、
図5Aに示すように、用紙側転写ローラ71を、中間転写ベルト50に圧着させる(ステップS9)。ステップS9の処理が終了すると、CPU61は、画像形成処理を行う(ステップS10)。
【0069】
2.第2の実施の形態例
次に、
図7及び
図8を参照して本発明の第2の実施の形態例にかかる画像形成装置について説明する。
図7は、第2の実施の形態例にかかる画像形成装置のトナー受け機構を拡大して示す概略構成図、
図8は、第2の実施の形態例にかかる画像安定化処理の動作の一例を示すフローチャートである。
【0070】
この第2の実施の形態例にかかる画像形成装置は、トナー受け機構80のトナー受け部材82に電荷を付与したものである。そのため、そのため、ここでは、トナー受け機構80について説明し、第1の実施の形態例にかかる画像形成装置1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0071】
図7に示すように、トナー受け機構80Bのトナー受け部材82には、不図示の電荷付与部により、補正パッチP1のトナーと反対の極性を有する電荷が付与されている。例えば、トナーが−の極性を有している場合、トナー受け部材82には、+の極性を有する電荷が付与される。これにより、中間転写ベルト50から飛散した補正パッチP1のトナーをトナー受け部材82に吸着させることができ、より効果的にトナーを補足することが可能となる。
【0072】
また、トナー受け部材82に付与される電荷量は、中間転写ベルト50に印加された電荷量よりも小さく設定される。これにより、中間転写ベルト50上に形成された補正パッチP1が意図に反してトナー受け部材82に吸着されることを防ぐことができる。
【0073】
なお、トナー受け部材82は、帯電性を有する材質で形成される。
【0074】
また、
図8に示すように、画像安定化処理時の動作では、ステップS5のトナー受け部材82の移動動作が終了した後に、CPU61は、トナー受け部材82に電荷を付与する(ステップS21)。さらに、CPU61は、ステップS8のトナー受け駆動部81の駆動をOFFにした後に、CPU61は、トナー受け部材82への電荷付与を停止する(ステップS22)。なお、他の処理フローは、第1の実施の形態例にかかる画像安定化処理の処理フローと同様であるため、その説明は省略する。
【0075】
このように、トナー受け部材82が中間転写ベルト50と用紙側転写ローラ71の間に挿入されているときにのみ電荷を付与するように構成することで、装置の省電力化を図ることができる。なお、常にトナー受け部材82に電荷を付与するようにしてもよい。
【0076】
その他の構成は、上述した第1の実施の形態例にかかる画像形成装置1のトナー受け機構80と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有するトナー受け機構80Bによっても、上述した第1の実施の形態例にかかるトナー受け機構80と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0077】
3.変形例
次に、
図9〜
図10を参照して本発明の画像形成装置における変形例について説明する。
図9A及び
図9Bは、画像形成処理時及び画像安定化処理時におけるロール紙の状態を模式的に示す説明図である。
図10は、トナー受け部材の変形例を示す斜視図である。
【0078】
図9Aに示すように、画像形成処理時では、ロール紙Sは、画像形成装置1における装置本体内を供給側から排出側にかけて連通している。そして、ロール紙Sは、搬送部73の搬送ローラ77と、2次転写部70のベルト側転写ローラ55及び用紙側転写ローラ71と、定着部10の定着ローラ12及び加圧ローラ14と、一対の排紙ローラ78に挟持されている。このとき、ロール紙Sには、ある程度のテンションかけられた状態で搬送される。
【0079】
そして、
図9Bに示すように、画像安定化処理時では、2次転写部70の用紙側転写ローラ71がベルト側転写ローラ55から離間することで、ロール紙Sには、たわみが発生する。また、ロール紙Sがたわむことで、ロール紙Sとトナー受け部材82が接触する。そして、ロール紙Sとトナー受け部材82が接触することで、ロール紙Sに傷がつくおそれがある。
【0080】
そのため、
図10に示すトナー受け部材82Cでは、ロール紙Sと接触する箇所であるトナー受け部材82Cの先端部82aにローラ83cを回転可能に設けている。これにより、ロール紙Sとトナー受け部材82Cが接触する際に生じる負荷をローラ83cで軽減させることができ、ロール紙Sに傷がつくことを防ぐことが可能となる。
【0081】
なお、ロール紙Sに傷がつくことを防ぐ構成としては、ローラ83cに限定されるものではない。例えば、トナー受け部材82Cの先端部82aを湾曲させてもよく、あるいは先端部82aの材質をロール紙Sよりも柔らかい材質にしてもよい。
【0082】
4.たわみ除去動作
次に、
図11及び
図12を参照して、画像安定化処理時におけるロール紙Sのたわみ除去動作について説明する。
図11及び
図12は、ロール紙Sのたわみ除去動作について示す説明図である。
【0083】
図11に示すたわみ除去動作では、2次転写部70のベルト側転写ローラ55と用紙側転写ローラ71を離間させる。さらに、2次転写部70よりも用紙搬送方向の上流側に配置された上流側搬送ローラである複数の搬送ローラ77のうち少なくとも一対の搬送ローラ77を圧着させてロール紙Sを挟持する。さらに、2次転写部70よりも用紙搬送方向の下流側に配置された定着部10の定着ローラ12及び加圧ローラ14と、一対の排紙ローラ78を圧着させてロール紙Sを挟持する。
【0084】
そして、2次転写部70よりも用紙搬送方向の下流側に配置された定着ローラ12及び加圧ローラ14と、排紙ローラ78の搬送速度、すなわち回転速度を、2次転写部70よりも用紙搬送方向の上流側に配置された搬送ローラ77の回転速度よりも速くする。これにより、ロール紙Sには、所定のテンションが加わり、ロール紙Sのたわみを除去することができる。
【0085】
また、
図11では、定着部10の定着ローラ12及び加圧ローラ14と、一対の排紙ローラ78を共に圧着させた例を説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、2次転写部70よりも用紙搬送方向の下流側に配置された下流側搬送ローラである複数のローラのうち少なくとも一対のローラを圧着させればよい。
【0086】
また、
図12では、2次転写部70よりも用紙搬送方向の下流側に配置された複数のローラのうち、排紙ローラ78を圧着させ、定着部10の定着ローラ12及び加圧ローラ14を離間させている。また、
図11と同様に、2次転写部70よりも用紙搬送方向の下流側に配置された排紙ローラ78の回転速度を上流側に配置された搬送ローラ77の回転速度よりも速く設定し、ロール紙Sに所定のテンションを加える。
【0087】
これにより、画像安定化処理時におけるロール紙Sのたわみを除去するだけでなく、定着部10に定着熱によるロール紙Sへのダメージの発生を抑制することもできる。
【0088】
以上、画像形成装置の実施の形態例について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明の画像形成装置は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0089】
上述した実施の形態例では、4組の画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kを用いてカラー画像を形成する構成としたが、本発明に係る画像形成装置としては、1つの画像形成部を用いて単色画像を形成する構成としてもよい。また、画像形成装置としては複写機に限らず、プリンタやファクシミリ、あるいは複数の機能を備える複合機であっても良い。
【0090】
さらに、画像を形成する記録媒体としてロール紙を用いた例を説明したが、これに限定されるものではなく、所定の大きさに断裁された通常の枚葉シートを記録媒体として用いてもよい。
【0091】
また、上述した実施の形態例では、用紙側転写ローラを中間転写ベルトに対して鉛直方向の下方から接触させる例を説明したが、これに限定されるものではなく、用紙側転写ローラを中間転写ベルトに対して水平方向の側方から接触させてもよい。