【実施例】
【0023】
次に、本発明の実施形態を
図1乃至
図3に基づいて説明する。
【0024】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るイヤホン1の構成例を示した説明図である。図示の例では、イヤホン1は、音導管22を備えた第1のハウジング20のスピーカユニット収容部にスピーカユニット30が収容され、第1のハウジング20の後方に第1のハウジング20と連結用ハウジング50で連結された第2のハウジング60に振動ユニット10が収容され、第1のハウジング20の音導管22にイヤチップ40が設けられている。スピーカユニット30は、音声信号によって音を放出するものであり、音声信号が入力されるボイスコイル31を備えている。ボイスコイル31は音声信号を入力すると振動ユニット(振動手段)10の振動方向(X軸方向)に沿って振動する。
【0025】
また、スピーカユニット30は、磁気ギャップ32Gを有する磁気回路32を備えており、この磁気ギャップ32G内にボイスコイル31が配置されている。磁気回路32は、例えば、マグネット32Aとヨーク32Bとプレート32Cを備え、ヨーク32Bとプレート32Cとの間に磁気ギャップ32Gが形成されている。ボイスコイル31には振動板33が取り付けられ、この振動板33はフレーム34に支持されている。フレーム34には振動板33から放射される音を音導管22(後述)へ放出するための開口部34Aが設けられている。
【0026】
また、重り8を含む磁気回路3の質量と、ハウジング20とスピーカユニット30を合わせた質量とが略等しくなっている。
【0027】
振動ユニット10は、磁気回路3と、コイル9と、ダンパ16とを備えている。第2のハウジング60は、コイル支持部(前面部)60Aと、筒状部60Bと、底部60Cと、を備えている。磁気回路3は、センターポール4と、該センターポール4にはめ込まれて固定された磁石5、ヨーク6、プレート7、重り8とを含む。磁気回路3は、ヨーク6の筒状部6Bの先端に一端が固定されたダンパ16を介して第2のハウジング60の筒状部60Bに支持されている。ヨーク6は、底部6Aと、該底部6Aの外縁から立ち上がる筒状部6Bを備えている。筐体2は、その一部分として、コイル9を支持するコイル支持部(前面部)を備える。コイル9は、磁気回路3に対面する第2のハウジング60のコイル支持部(前面部)60Aに取り付けられているボビンに巻回され、磁気回路3の磁気ギャップ3G内に位置する。ハウジング60の底部60Cには、コイル支持部(前面部)60Aに向かって突出し、磁気回路3と第2のハウジング60の筒状部60Bとの間に配置されている突出部17が一体形成されている。前述したように、振動ユニット10は、磁気回路11、コイル9、ダンパ16を備えており、コイル支持部(前面部)60Bにコイル9が固定されたハウジング60の筒状部60Bに、磁気回路3がダンパ16を介して支持されている。磁気回路3は、センターポール4、マグネット5、ヨーク6、プレート7、重り8を備えており、底部6Aの外周部から立ち上がる筒状部6Bとプレート7Cの間に磁気ギャップが形成されている。
【0028】
振動ユニット10では、コイル9に信号を入力することにより、磁気回路3が振動し、磁気回路3の振動がダンパ16を介して第2のハウジングに伝播して、イヤホン全体が耳に対して振動する。また、音声信号が入力されてスピーカユニット30が駆動している場合には、振動板33の振動と磁気回路3の振動が共振し、振動板33から発せられる低音域の音響特性、特に低音域の音圧が高まる。
【0029】
第1のハウジング20は、スピーカユニット30から放出された音を導く筒状の音導管22と、音導管22の一端に形成される開口23と、音導管22の他端に形成されたスピーカユニット収容部と、スピーカユニット収容部から突出した耳介接触部20Aと、を備えている。音導管22及び開口23はイヤチップ40の内側に設けられている。また、第1のハウジング20のスピーカユニット収容部内におけるスピーカユニット30の位置は、第2のハウジング60内の振動ユニット10の位置より音導管22側にある。
【0030】
図示の例では、イヤチップ40の筒状部42は第1のハウジング60の取付部22Aに連結しており、接触部41と筒状部42の間にエッジ部43を備えている。前述した音導管22及び開口部23はイヤチップ40における筒状部42の内側に設けられている。イヤチップ40がエッジ部43を備えることで、イヤホン1を耳に対して振動させることができる。このため、振動板33の振動と磁気回路3の振動が共振し、振動板33から発せられる低音域の音響特性、特に低音域の音圧を高めることができる。
【0031】
図示の例では、イヤチップ40は音導管22の周囲に環状に備えられ、接触部41の外周側がエッジ部43の外周側に連結し、エッジ部43の内周部が筒状部42の先端部側(一方の端部側)に連結している。このような形態は、接触部41とエッジ部43と筒状部42を一体成形又は異なる部材を用いて形成して得ることができる。
【0032】
本発明の実施形態に係るイヤホン1は、イヤチップ40自体が柔らかく且つ所望の弾性を備える。イヤチップ40は、イヤホン1が耳に対して振動できるよう、所望のコンプライアンスを有するエッジ部43を備える。また、前述したようにイヤホン1の接触部41の一部が外耳道の内面に密着して、外耳道内の空間が密閉又は半密閉されることが好ましい。また、耳介接触部20Aも、耳介と接触して、外耳道内の空間の密閉性を向上させる。
【0033】
イヤチップ40がこのような特性を有するためには、所定の断面形状をエッジ部43は有している。図示の例では、エッジ部43は、一軸方向(X軸方向)に沿った断面形状が凹状である。また、エッジ部43の厚さtbは接触部41の厚さtaより薄く形成されている。このような形態をエッジ部43が備えることで、イヤホン1を耳に対して良好に振動させることができる。
【0034】
このようなイヤホン1は、スピーカユニット30のボイスコイル31に入力される音声信号を振動ユニット10のコイル13に入力される信号として用い、共通の信号で振動することもできる。これによると、イヤチップ40の接触部41が効果的に低音再生を行うので、小型のイヤホンであっても十分な低音域が振動・音圧ともに再生できる。
【0035】
ところで、振動ユニット10を収容する第2のハウジング60は、ほぼ円筒状であり、スピーカユニット30を収容する第1のハウジング20に連結されている。図示の例では、連結部50は、第1のハウジング20と第2のハウジング60とで構成されている。
図2は、イヤホン1を所定の方向にて切断した断面を示している。
図2に示すように、断面における、音導管22の軸Aは、スピーカユニット30の軸Bと略一致しているが、第2のハウジング60の軸Cとは異なっている。また、断面における、第2のハウジング60の軸Cと音導管22の軸Aの交差点P1は、音導管22内に位置する。また、断面における、音導管22の軸Aとスピーカユニット30の底部が交差する点P2は、第2のハウジング60の軸から離れた位置となっている。また、断面における、音導管22の軸Aとスピーカユニット30の底部が交差する点P2は、第2のハウジング60の軸Cからみて、音導管22の軸Aと第2のハウジング60の底部が重なる点P3側にある。連結部50は、図示の例でいえば、第1のハウジングから第2のハウジングにかけて湾曲する部分、すなわち第1のハウジングと第2のハウジングとの境界部分である。連結部50は、軸Cに対して、第2のハウジング60外周部側にある。それにより、第1のハウジング20に連結される第2のハウジング60は、第1のハウジングの外周部側にずれて配置される。耳介接触部20Aは、第2のハウジング60の軸Cに対して、音導管22の軸Aとスピーカユニット30の底部が交差する点P2側にある。振動ユニット10の軸から前記第2のハウジングの外周部までの距離は、前記スピーカユニットの中心軸から前記第1のハウジングの外周部までの距離より大きい。第1のハウジングの外形(太さ)は、第2のハウジングの外形(太さ)に対して小さくなっている。
【0036】
第1の実施形態では、上記のように第2のハウジングの位置を設定することで、第2のハウジング60の位置が、音導管22の軸Aからずれた位置となるため、外耳道101にイヤチップ40が差し込まれた時、第2のハウジング60が耳介102に当たることを抑止でき、良好にイヤホンを耳101に装着することができる。
【0037】
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態に係るイヤホン1の構成例を示した説明図である。第2の実施形態では、断面において、音導管22の軸Aとスピーカユニット30の軸Bが異なる場合を示している。この場合も、第2のハウジング60の軸Cと音導管22の軸Aの交差点P1は、音導管22内に位置する。
【0038】
第2の実施形態においても、このように第2のハウジングの位置を設定することで、第2のハウジング60の位置が、音導管22の軸Aからずれた位置となるため、外耳道101にイヤチップ40が差し込まれた時、第2のハウジング60が耳介102に当たることを抑止でき、良好にイヤホンを耳101に装着できる。
【0039】
なお、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施例に
限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施する
ことができる。
【0040】
例えば、前述の実施例では、第2のハウジング60に振動ユニットが収容されているが、これに限らず、第2のハウジング60は振動ユニット10以外の装置を収容したり、空気室(バックチャンバー)等として利用したりするようにしてもよい。
【0041】
また、連結部50は、第1のハウジング20または第2のハウジング60と一体形成してもよい。また、連結部50は第1のハウジング20の一部及び第2のハウジング60の一部で構成されても構わなく、又は第1のハウジング20及び第2のハウジング60とは異なる部材で構成されても構わなく、第1のハウジング20の一部又は第2のハウジング60の一部で構成しても構わない。